説明

ブラシシール

【課題】コスト効果があると同時にターボ機械及び他の産業機械の固定部品と回転部品との間の漏洩を阻止するのにも効果的である改良されたブラシシールを提供すること。
【解決手段】ブラシシール200は、圧力プレート114とブリストルパックバッキングプレート206とを含むことができる。ブリストルパックバッキングプレート206は、対向する側部を通って開口する複数の半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置されたスロット208、210を含むことができる。スロット208、210は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212及び外側半径方向縁部214上に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的にタービンエンジン及び/又は産業機械の効率及び/又は作動を改善するためのシステム及び/又は装置に関し、これらのタービンエンジン及び/又は産業機械には、本明細書で使用される場合に別段の具体的記載がない限り、ガスタービンエンジン、航空機エンジン、発電エンジン、蒸気タービンエンジン及びその他を含む、あらゆるタイプのエンジン、特にタービンエンジン又はロータリーエンジンを含むものとする。より具体的には、限定ではないが、本出願は、蒸気タービンのようなターボ機械の固定部品と回転部品との間の改良されたブラシシールに関連する方法、システム、及び/又は装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の運転中、ターボ機械の固定部品及び回転部品の上流側で高圧領域が生成され、下流側で低圧領域が生成される。回転部品が自由に回転するように、固定部品と回転部品との間にはクリアランスギャップが残されている。しかしながら、これらのギャップが適切にシールされていない場合、高圧領域から低圧領域に流れ漏洩が生じるおそれがある。ターボ機械の固定部品及び回転部品を通るこの漏洩は、ターボ機械の性能に重大な影響を及ぼすおそれがある。
【0003】
長年にわたり、固定部品と回転部品との間のクリアランスギャップをシールするために、様々な概念が用いられてきた。これらには、非接触型のラビリンスシールと接触型のブラシシールとが含まれ、その両方が、回転構成要素と固定構成要素との間に動的シールを提供するためにターボ機械において広く用いられている。ラビリンスシールは、接触を回避するために大きな物理的クリアランスを必要とし、さもなければ初期摩擦を有し、該初期摩擦は平滑歯をもたらし、その後大量の漏洩を引き起こすおそれがある。一方、ブラシシールは、ロータの運転サイクルの大部分の間ロータとの接触を維持するので、ブラシシールにおける有効クリアランスは、従来のラビリンスシールにおけるよりも大幅に小さい。しかしながら、ブラシシール内のブリストルにわたる圧力降下によって、剛性のブリストルパックが生じる可能性があり、これがロータの加熱につながり、その後、高振動を引き起こすおそれがある。しかも、ブリストルは、圧力降下の影響により変形する傾向がある。この作用に対処するために、一般に圧力プレートを用いて、下流側のブリストル、すなわちブリストルの低圧側部に側方支持を提供することができる。しかしながら、ブリストルパックにわたって存在する圧力降下によってブリストルが圧力プレートの面と摩擦係合する可能性があり、これによりブリストルの剛性が増大し、ロータが偏位した場合に摩耗を引き起こすようになる。加えて、ブリストル固有の弾性によってもたらされる復元力及び他のこのような力も抑制され、このことがブラシシールのシール性能に更に影響を及ぼす。
【0004】
摩擦係合は、ブリストルパックの両側で圧力バランスが得られる構成を達成することによって低減することができる。ブラシシールに圧力バランス機構を導入するために、これまで幾つかの試みがなされてきた。1つのこのような解決策は、ブリストル層と低圧領域との間に配置される圧力プレートを位置付けて、ブリストルパックと圧力プレートとの間に形成される少なくとも1つのポケットがこの配列によって定められるようにすることを含む。この利点は、圧力プレートの半径方向長さのほとんどを覆うのに十分に広くポケットを作製することによって最大限にすることができる。しかしながら、このようなポケットは、圧力プレートによって提供される支持を損なうことになる。1つの解決策は、ブリストルに対する支持が向上するように、ポケットを複数の溝に分割するものである。しかしながら、溝間に設けられたランドは、一般に、溝間の圧力連通を妨げる。孔を用いて溝間に連通トンネルを設けてもよく、更に、上流圧力に直接接続してもよい。しかしながら、このような設計は一般に、必要な孔及び通路を収容するように作製される過度に厚い圧力プレートをもたらす。加えて、このような機構は一般に、製造上の問題を生じ、又は最低でもコストを増大させる。より頻繁には、圧力バランス機構、すなわち複数のキャビティ又は溝は、圧力プレートによってブリストルパッドに提供される支持に対して悪影響を及ぼすことになる。また、狭いランド部分は、切断又は恒久的な曲げなど、ブリストルに対する損傷を生じる。その結果、これらの制限により、より高い圧力差及び/又はより高温でのブラシシールの使用が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7255352号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、コスト効果があると同時にターボ機械及び他の産業機械の固定部品と回転部品との間の漏洩を阻止するのにも効果的である改良されたブラシシールに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本出願は、機械の固定構成要素と回転構成要素との間に位置付けられ、機械の運転中に上流側部において高圧領域と、下流側部において低圧領域とを有する円周方向に延びるブラシシールであって、該ブラシシールが、固定構成要素によって担持され、且つ回転構成要素に向かって片持ちにされたブリストルパックを形成する複数のブリストルと、ブリストルパックの下流側上で固定構成要素によって担持される圧力プレートと、ブリストルパックと圧力プレートとの間で固定構成要素によって担持されるブリストルパックバッキングプレートと、を備えるブラシシールを記載する。ブリストルパックバッキングプレートは、その対向する側部を通って開口する半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数のスロットを含むことができる。スロットは、ブリストルパックバッキングプレートの内側半径方向縁部及び外側半径方向縁部に配置することができる。
【0008】
幾つかの実施形態では、ブリストルパックバッキングプレートのスロットは、内側半径方向スロット208と外側半径方向スロットを含み、該内側半径方向スロット208は、ブリストルパックバッキングプレートの半径方向中心近傍から始まりブリストルパックバッキングプレートの内側半径方向縁部を通ってほぼ半径方向に延びるスロットを含み、外側半径方向スロットは、ブリストルパックバッキングプレートの半径方向中心近傍から始まりブリストルパックバッキングプレートの外側半径方向縁部を通ってほぼ半径方向に延びるスロットを含む。
【0009】
幾つかの実施形態では、圧力プレートは、ブリストルパックバッキングプレートに面する側面上に形成された複数の円周方向に延びる溝を有し、該溝は、運転中にブリストルパックバッキングプレートが内部に好適に収まるように構成された第1の溝と、第1の溝の内部に形成され、複数の内側半径方向スロットの各々を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロットに接続する流れチャンネルが形成されるように構成された第2の溝とを少なくとも含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、形成された流れチャンネルによって複数の内側半径方向スロットが少なくとも1つの対応する外側半径方向スロットに接続されるように構成される第2の溝は、複数の内側半径方向スロットが各々少なくとも1つの対応する外側半径方向スロットと流体連通するように第2の溝を構成することを含む。
【0011】
幾つかの実施形態では、圧力プレートは、ブリストルパックバッキングプレートに面する側面上に形成された複数の円周方向に延びる溝を有し、該溝は、運転中にブリストルパックバッキングプレートが内部に好適に収まるように構成された第1の溝と、第1の溝の内部に形成され、機械の運転中にブリストルパックの下流側部に沿って実質的に均一な圧力分布が維持されるように複数の内側半径方向スロットの各々を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロットに接続するよう構成された第2の溝とを少なくとも含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、第2の溝の外側半径方向縁部は、複数の外側半径方向スロットの内側半径方向縁部の外側部に配置され、第2の溝の内側半径方向縁部は、複数の内側半径方向スロットの外側半径方向縁部の内寄りに配置されている。
【0013】
幾つかの実施形態では、圧力プレートは、ブリストルパックバッキングプレートに面する側面上に形成された複数の円周方向に延びる溝を有し、該溝は、運転中にブリストルパックバッキングプレートが内部に好適に収まるように構成された第1の溝と、第1の溝の内部に形成され、第1の選択された半径において複数の内側半径方向スロットの上に重なるように構成された第2の溝とを少なくとも含み、第2の溝は、第2の選択された半径において第2の溝が複数の外側半径方向スロットの上に重なるように構成され、該第2の溝は、少なくとも複数の内側半径方向スロットと複数の外側半径方向スロットとが第2の溝を介して流体連通するように構成されている。
【0014】
幾つかの実施形態では、内側半径方向スロットは各々、実質的に細い矩形形状を含み、ブリストルパックバッキングプレートの円周周りにほぼ規則的な間隔を置いて配置されており、外側半径方向スロットは各々、実質的に細い矩形形状を含み、ブリストルパックバッキングプレートの円周周りにほぼ規則的な間隔を置いて配置されている。
【0015】
幾つかの実施形態では、外側半径方向スロット及び内側半径方向スロットは、ブリストルパックバッキングプレートの円周周りに同じ規則的な間隔を置いて配置されており、選択された円周方向位置において各外側半径方向スロットが内側半径方向スロットのうちの1つと重なるように整列されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、外側半径方向スロット及び内側半径方向スロットは、内側半径方向スロットの各々の半径方向長さをブリストルパックバッキングプレートの半径方向長さで除算したものを表す第1の比が、約0.17〜約0.33の値を有し、外側半径方向スロットの各々の半径方向長さをブリストルパックバッキングプレートの半径方向長さで除算したものを表す第2の比が、約0.17〜約0.33の値を有し、内側半径方向スロットの各々の円周方向幅を内側半径方向スロットの半径方向長さで除算したものを表す第3の比が、約0.2〜約2.0の値を有し、外側半径方向スロットの各々の円周方向幅を外側半径方向スロットの半径方向長さで除算したものを表す第4の比が、約0.2〜約3.0の値を有するように構成されている。
【0017】
幾つかの実施形態では、圧力プレートは、ブリストルパックバッキングプレートに面する側面上に形成された円周方向に延びる溝を含み、該溝は、運転中にブリストルパックバッキングプレートが内部に好適に収まるように構成されており、溝の深さは、ブリストルパックバッキングプレートの厚さと隆起区域の高さとを加えたものにほぼ対応し、溝の内側半径方向縁部及び溝の外側半径方向縁部は、運転中、対向する内向きに傾斜した面によってブリストルパックバッキングプレートが溝内に保持されるように構成された内向きに傾斜した面を含む。
【0018】
本出願のこれら及び他の特徴は、図面及び請求項を参照しながら以下の好ましい実施形態の詳細な説明を精査することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】典型的な圧力バランス溝を有する従来のブラシシールの断面図。
【図2】本出願の1つの実施形態による円周方向に延びるブラシシールの断面図。
【図3】本出願の例示的な実施形態によるブラシシールの断面図。
【図4】本出願の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図5】本出願の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図6】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの断面図。
【図7】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図8】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図9】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの断面図。
【図10】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図11】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図12】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの断面図。
【図13】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【図14】本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシールの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を詳細に検討することによって完全に理解され認識されるであろう。
【0021】
本出願の発明を明確に説明するために、タービンエンジンの特定の機械構成要素又は部品に言及し説明する用語を選択することが必要な場合がある。当該業界で通常使用される用語は、可能な限り、一般に受け入れられる意味と適合するように使用及び利用されることになる。しかしながら、あらゆるこのような用語は広範な意味が付与されており、本明細書で意図された意味及び添付の請求項の技術的範囲が不当に限定されるような狭義に解釈されることがないものとする。特定の構成要素は、幾つかの異なる名称で呼ばれることが多い点は当業者には理解されるであろう。加えて、本明細書で単一の要素として説明できる事柄は、別の状況では複数の構成要素を含み、又は複数の構成要素からなるものとして言及することができ、或いは、本明細書で複数の構成要素を含むものとして説明できる事柄は、単一の要素に構築され、場合によっては単一の要素として言及することができる。従って、本明細書で記載される本発明の範囲を理解する際に、提供される用語及び説明にのみ留意するのではなく、本明細書で記載される構成要素の構造、構成、機能、及び/又は使用に対しても留意すべきである。
【0022】
加えて、幾つかの記述上の用語を本明細書で使用する場合がある。これらの用語の意味は、以下の定義を含むものとする。本明細書で使用される「下流側」及び「上流側」は、タービンを通過する作動流体の流れに対する方向を示す用語である。従って、用語「下流」とは、流れの方向を意味し、用語「上流」とは、タービンを通る流れの反対の方向を意味する。用語「半径方向」は、軸線に垂直な動き又は位置を指す。この用語は、軸線に対して異なる半径方向位置にある部品を説明するのに必要となることが多い。この場合、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に接近して位置する場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「内寄り」又は「半径方向内向き」にあると表現することができる。反対に、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「外寄り」又は「半径方向外向き」にあると表現することができる。用語「軸方向」とは、軸線に平行な動き又は位置を指す。また、用語「円周方向」とは、軸線を中心とした動き又は位置を指す。
【0023】
ここで、複数の図面全体を通して種々の数字が同様の要素を表している図面を参照し、図1は、従来の圧力バランス溝101を有する従来のブラシシール100の断面図を示している。円周方向に延びるブラシシール100は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。ターボ機械の運転中、流れは、高圧領域106を形成する上流側から出発し、低圧領域108を形成する下流側部に向かうことができる。ブラシシール100は更に、複数のブリストルを共に束ねることによって形成されたブリストルパック110を含むことができる。ブリストルパック110は、固定構成要素102によって担持され、回転構成要素104に向かって片持ちにすることができ、これによりブリストルの先端が、ターボ機械の運転中に回転構成要素104と係合するようになる。ブラシシール100は更に、ブリストルパック110の上流側部に位置付けられた円周方向に延びるフェンス112を含むことができ、該フェンス112の先端は、回転構成要素104に係合しないように終端するようになる。機械の運転中、ブリストルパック110のブリストルは、ブリストルパック110にわたって存在する圧力降下の影響により変形する傾向がある。この影響に対処するために、ブラシシール100は更に、ブリストルパック110の下流側で固定構成要素102によって担持される圧力プレート114を含むことができる。圧力プレート114は、回転構成要素104に向かって突出し、回転構成要素104に係合しないように終端することができる。
【0024】
ブリストルパック110にわたり存在する圧力降下によって、ブリストルが圧力プレート114に押し付けられ、これにより、ブリストルの寿命を制限するおそれのある、圧力プレート114の面との摩擦係合を引き起こす。加えて、摩擦係合は、ブリストル固有の弾性及び他のこのような力によって与えられる復元力を抑制する可能性があり、このことは、ブラシシール100のシール性能に更に影響を及ぼすおそれがある。摩擦係合は、ブリストルパック110の両側の圧力が実質的にバランスを保つようにブラシシール100を構成することによって低減することができる。ブラシシール100に圧力バランス機構を導入するために、これまでに幾つかの試みがなされてきた。1つのこのような解決策は、ブリストルパック110と低圧領域108との間に配置される圧力プレート114を位置付け、この配列によってブリストルパック110と圧力プレート114との間に形成される少なくとも1つのポケットが定められるようにすることを含む。この配列はまた、低圧領域108の圧力よりも高い圧力で前記ポケットに流体を供給し、これによりブリストルパック110にわたる圧力降下を低減する手段を含む。しかしながら、このような設計は、極めて広いブラシシール100をもたらす可能性がある。また、ブラシシールの供給業者は、シールに利用可能な空間並びにブラシシールの形成の製造上の問題によって制限を受ける可能性がある点に留意されたい。更に、複数の溝101を有することは、ブリストルを支持するのには役立つが、溝101間に形成されるランド103は、溝101間の圧力連通を妨げる可能性がある。従って、このような状況では、通路又は孔(図示せず)を用いて、溝101間に連通トンネルを設けることができる。しかしながら、上述のように、このような設計では、過度に厚い圧力プレートをもたらす可能性がある。その結果、これらの制限により、より高い圧力差及び/又はより高い温度でのこのようなブラシシール100の使用が制限される。
【0025】
図2〜図14は、本出願の種々の例示的な実施形態を示す。図2は、本出願の例示的な実施形態による円周方向に延びるブラシシール200の断面図を示す。ブラシシール200は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。当業者であれば、本明細書で説明する本出願の実施形態が、限定ではないが、ガスタービンエンジン、航空機エンジン、発電用エンジン、蒸気タービンエンジン、及び同様のものを含む、幾つかのタイプのターボ機械で用いることができる点は理解されるであろう。図2に示すように、ターボ機械の固定構成要素102はステータとすることができ、ターボ機械の回転構成要素104はロータとすることができる。ターボ機械の運転中、流れは、高圧領域106を形成する上流側から出発して、より低圧領域108を形成する下流側部に向かうことができる。ブラシシール200は、複数のブリストルを共に束ねることによって形成されたブリストルパック110を含むことができる。本出願の1つの実施形態では、ブリストルパック110は、固定構成要素102によって担持され、且つ回転構成要素104に向かって片持ちにすることができる。この配列は、ターボ機械の運転中にブリストルの少なくとも一部の先端が回転構成要素104と係合可能にすることができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110の上流側部に位置付けられた円周方向に延びるフェンス112を含むことができる。本出願の1つの実施形態では、フェンス112は、固定構成要素102によって担持することができ、更に、回転構成要素104に向かって突出することができ、その結果、フェンス112の先端が回転構成要素104に係合しないように終端することになる。
【0026】
ブラシシール200は更に、ブリストルパック110下流側の固定構成要素102によって担持される圧力プレート114を含むことができる。圧力プレート114は、回転構成要素104に向かって突出することができる。圧力プレート114は、ブリストルパック110と圧力プレート114との間にキャビティが形成されるように、ブリストルパック110に面する側部上に形成された少なくとも1つの円周方向に延びる溝202を含むことができる。圧力プレート114は更に、下方ダム204を更に含むことができ、この下方ダム204は、ブリストルパック110のブリストル先端に係合するが回転構成要素104には係合しないようになっている。これにより、ブリストルパック110上流側側部への高圧の影響により、ブリストル先端の軸線方向移動を阻止することができる。
【0027】
ブラシシール100は更に、ブリストルパック110と圧力プレート114との間にブリストルパックバッキングプレート206を含むことができる。ブリストルパックバッキングプレート206は、様々な方法で圧力プレート114の溝202により担持することができる。本出願の1つの例示的な実施形態では、ブリストルパックバッキングプレート206の内側及び外側半径方向縁部は、溶接によって圧力プレート114の溝202に接合することができる。本出願の他の例示的な実施形態では、ブリストルパックバッキングプレート206は、圧力プレート114の溝202にスナップ嵌合することができる。ブリストルパックバッキングプレート206は更に、対向する側部を通って開いた、半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数の内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)を含むことができる。内側半径方向スロット208は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212上に円周方向に配置することができる。同様に、外側半径方向スロット(210)は、ブリストルパックバッキングプレート206の外側半径方向縁部(214)上に円周方向に配置することができる。図4、図7、図10及び図13を参照して説明するように、スロット208及び210の様々な構成をブリストルパックバッキングプレート206において利用することができる。
【0028】
本出願の1つの例示的な実施形態では、本明細書に記載されるフェンス112は、430ステンレス鋼から形成することができ、圧力プレート114は、430ステンレス鋼から形成することができ、ブリストルパックバッキングプレート206は、409ステンレス鋼から形成することができる。圧力プレート114及びブリストルパックバッキングプレート206に対して異なる材料を用いることで、ブラシシール200をコスト効果的にすることができると共に、高い温度差及び圧力差を有する領域でのブラシシール100の使用を可能にすることもできる。当業者であれば、ブラシシールの製造に用いる材料は、コスト効果と共にターボ機械の性能の両方を判断する上で不可欠な要素となる可能性がある点は理解されるであろう。更に、上に挙げた実施例は単に例証に過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0029】
本明細書で記載されるブリストルパック110、フェンス112及び圧力プレート114は、溶接によって互いに且つ固定構成要素102に接合することができる。更に、ブリストルパック110、フェンス112、圧力プレート114及びブリストルパックバッキングプレート206は、回転構成要素104の軸線の周りに、限定ではないが、各々60°の6つのセグメントのような、弓状セグメントの形態で備えることができる。図3〜図14は、本出願の種々の例示的な実施形態による、ブリストルパックバッキングプレート206及び圧力プレート114のこのような弓状セグメントの断面図及び正面図を示している。
【0030】
図3には、本出願の1つの例示的な実施形態によるブラシシール200の断面図を示す。図3に示すように、ブラシシール200は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110を形成する複数のブリストルを含むことができる。ブラシシール200はまた、ブリストルパック110下流側側部上の圧力プレート114と、ブリストルパック110の上流側側部上に位置付けられたフェンス112とを含むことができる。ブリストルパック110、圧力プレート114及びフェンス112は、固定構成要素102によって担持され、且つ回転構成要素104に向かって片持ちすることができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110と圧力プレート114との間で固定構成要素102によって担持されるブリストルパックバッキングプレート206を含むことができる。
【0031】
図4及び図5は、ブリストルパックバッキングプレート206及び圧力プレート114の弓状セグメントの正面図を示し、図3と関連して検討する。図4に示すように、ブリストルパックバッキングプレート206は、ブリストルパックバッキングプレート206の対向する側部を通って開口する、半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数のスロット208及び210を含むことができる。スロット208及び210は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212及び外側半径方向縁部(214)上にそれぞれ配置することができる。内側半径方向スロット208は、ブリストルパックバッキングプレート206の半径方向中心402近傍から始まり、内側半径方向縁部212を通って半径方向に延びることができる。同様に、外側半径方向スロット(210)は、ブリストルパックバッキングプレート206の半径方向中心402近傍から始まり、外側半径方向縁部(214)を通って半径方向に延びることができる。本出願の1つの実施形態では、内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)の各々は、実質的に細い矩形形状を有し、ブリストルパックバッキングプレート206の円周周りにほぼ規則的な間隔で配置することができる。更に、半径方向スロット208及び210は、選択された円周方向位置において各外側半径方向スロット(210)が内側半径方向スロット208のうちの1つと重なるように整列させることができる。半径方向スロット208及び210は、半径方向に整列した長手方向軸線を有することができる。他の実施形態では、半径方向スロット208及び210は、半径方向に対して角度を形成する長手方向軸線を有することができる。
【0032】
図5は、ブリストルパックバッキングプレート206に面する圧力プレート114の一方の側部の正面図を示す。圧力プレート114は、上方ダム502と、下方ダム204と、2つの側部ダム504とを含むことができ、これらは、ブリストルパック110と接触することができる。本出願の1つの例示的な実施形態では、2つの側部ダムは、図に示すように、半径方向切り込みであってもよく、或いはそうでなくてもよい。更に、圧力プレート114は、ブリストルパックバッキングプレート206に面する側部上に形成された、円周方向に延びる複数の溝202を有することができる。本出願の1つの実施形態では、圧力プレート114は、2つの溝、すなわち、第1の溝202a及び第2の溝202bを有することができる。第1の溝202aは、ターボ機械の運転中にブリストルパックバッキングプレート206が第1の溝202aの内部に好適に収まるように構成することができる。圧力プレート114は、第1の溝202aの内部に形成された第2の溝202bを有することができる。この結果、ブリストルパックバッキングプレート206が圧力プレート114に接合されたときに、圧力プレート114とブリストルパックバッキングプレート206との間にキャビティを得ることができる。更に、第2の溝202bの外側半径方向縁部506は、外側半径方向スロット(210)の内側半径方向縁部404の外寄りに位置付けることができる。同様に、第2の溝202bの内側半径方向縁部508は、内側半径方向スロット208の外側半径方向縁部406の内寄りに位置付けることができる。この構成は、内側半径方向スロット208の各々を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)に接続する流れチャンネルを形成可能にすることができる。これは更に、第2の溝202bによって形成されたキャビティを通じて、内側半径方向スロット208の各々が少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)と流体連通できるようにすることができる。更に、第1の選択された半径では、第2の溝202bは複数の内側半径方向スロット208の上に重なることができ、第2の選択された半径では、第2の溝202bは、複数の外側半径方向スロット(210)の上に重なることができる。これに対応して、少なくとも複数の内側半径方向スロット208及び複数の外側半径方向スロット(210)が、第2の溝202bを介して流体連通することができる。本明細書に記載する構成は、ブリストルパック110の下流側側部に沿って実質的に均一な圧力分布が維持される結果をもたらすことができる。ターボ機械の運転中、高圧領域106からの流体の一部はブリストルパック110を通過することができ、外側半径方向スロット(210)を介して圧力プレート114の第2の溝202bに入り、次いで、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向スロット208を通って流出し、シールの内側領域を加圧することができる。第2の溝202bの内部では、流体は、低圧領域108よりも高い圧力を維持することができ、すなわち、ブリストルパック110の両側でほぼ等しい圧力が達成されるまで、ブリストルパック110にわたる圧力降下を低減することができる。ブリストルパック110の両側のバランスの取れた圧力は、ブリストルパック110とブリストルパックバッキングプレート206との間の摩擦係合を低減し、ブリストルパック110のブリストルの実質的に自由な移動を可能にする。
【0033】
本出願の1つの実施形態では、内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)は、内側半径方向スロット208の各々の半径方向長さをブリストルパックバッキングプレート206の半径方向長さで除算した第1の比が、限定ではないが、およそ0.17〜0.33の値とすることができ、外側半径方向スロット(210)の各々の半径方向長さをブリストルパックバッキングプレート206の半径方向長さで除算した第2の比が、限定ではないが、およそ0.17〜0.33の値のものとすることができるように構成することができる。更に、内側半径方向スロット208の各々の円周方向幅をスロット208の半径方向長さで除算した第3の比は、限定ではないが、およそ0.20〜2.0の値のものとすることができ、外側半径方向スロット(210)の各々の円周方向幅をスロット(210)の半径方向長さで除算した第4の比は、限定ではないが、およそ0.2〜3.0のものとすることができる。本出願の他の例示的な実施形態では、第1の比は、限定ではないが、およそ0.20〜0.30の値のものとすることができ、第2の比は、限定ではないが、およそ0.17〜0.25の値のものとすることができ、第3の比は、およそ0.5〜1.0の値のものとすることができ、第4の比は、限定ではないが、およそ0.5〜1.0の値のものとすることができる。
【0034】
図6は、本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシール200の断面図を示す。本出願の他の例示的な実施形態(図2及び図3で説明したような)と同様に、ブラシシール200は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110を形成する複数のブリストルを含むことができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110の下流側に位置付けられた圧力プレート114と、ブリストルパック110の上流側に位置付けられたフェンス112とを含むことができる。ブリストルパック110、圧力プレート114及びフェンス112は、固定構成要素102によって担持され、且つ回転構成要素104に向かって片持ちにすることができる。ブラシシール200は更に、ブリストルパック110と圧力プレート114との間で固定構成要素102によって担持されるブリストルパックバッキングプレート206を含むことができる。
【0035】
図7及び図8は、ブリストルパックバッキングプレート206及び圧力プレート114の弓状セグメントの正面図をそれぞれ示す。図7に示すように、ブリストルパックバッキングプレート206は、ブリストルパックバッキングプレート206の対向する側部を通って開口する、半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数の内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)を含むことができる。スロット208及び210は、それぞれ、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212及び外側半径方向縁部(214)上に配置することができる。内側半径方向スロット208は、ブリストルパックバッキングプレート206の半径方向中心402近傍から始まり、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212を通って半径方向に延びることができる。同様に、外側半径方向スロット(210)は、ブリストルパックバッキングプレート206の半径方向中心402近傍から始まることができ、ブリストルパックバッキングプレート206の外側半径方向縁部(214)を通って半径方向に延びることができる。本出願の1つの実施形態では、内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)の各々は、ほぼ細い矩形形状を有し、且つブリストルパックバッキングプレート206の円周周りにほぼ同じ規則的な間隔を置いて配置することができる。更に、半径方向スロット208及び210は、選択された円周方向位置で各外側半径方向スロット(210)が内側半径方向スロット208のうちの1つと重なるように整列させることができる。
【0036】
ブリストルパックバッキングプレート206は更に、複数の不連続な隆起区域602を含むことができる。図6に示すように、隆起区域602は、ブリストルパックバッキングプレート206がブラシシール200内で圧力プレート114に接して適切に設置されたときに、隆起区域602が圧力プレート114と接触するように構成することができる。これにより、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間にキャビティを形成することができる。本出願の1つの実施形態では、図6に示すように、隆起区域602は、ブリストルパックバッキングプレート206の円周周りに規則的又は不規則的に間隔を置いて配置された複数のディンプルとすることができる。当業者であれば、ディンプル、すなわち隆起区域602は、限定ではないが、金属板打ち抜き加工によって生成することができることは理解されるであろう。本出願の1つの実施形態では、ディンプル、すなわち隆起区域602は、完全に打ち抜いてもよく、或いは、完全に打ち抜かなくてもよい。別の実施形態によれば、隆起区域602は、ブリストルパックバッキングプレート206に沿って円周方向又は半径方向に延びる複数のリッジ(図示せず)とすることができる。
【0037】
図8は、ブリストルパックバッキングプレート206に面した圧力プレート114の一方の側部の正面図を示す。圧力プレート114は、上方ダム502と、下方ダム204と、2つの側部ダム504とを含むことができ、これらはブリストルパック110と接触する。更に、圧力プレート114は、ブリストルパックバッキングプレート206に面する側部上に形成された、円周方向に延びる溝202を有することができる。溝202の内側半径方向縁部802及び外側半径方向縁部804は、内向きに傾斜した面を含むことができ、対向する内向きに傾斜した面がブリストルパックバッキングプレート206を溝202内部に保持するように構成される。更に、ブリストルパックバッキングプレート206は、ターボ機械の運転中に溝202の内部に好適に収まることができる。上述のように、ブリストルパックバッキングプレート206の隆起区域602は、圧力プレート114と接触することができる。この構成は、ブリストルパック110を支持するために、隆起区域602がブリストルパックバッキングプレート206を圧力プレート114の溝202の底部から上昇させるのを可能にすることができる。これに対応して、溝202の深さは、限定ではないが、ブリストルパックバッキングプレート206の厚さと隆起区域602の高さとを加えたものにほぼ等しくすることができる。ターボ機械の運転中、流体は、外側半径方向スロット(210)を通って、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティに入り、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向スロット208を通って流出し、シールの内側領域を加圧することができる。ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティは、この領域内の圧力を半径方向全体にわたって均等に維持可能にすることができる。本出願の幾つかの実施形態では、この構成によりブリストルを効果的に支持することができる。また、この構成において単一の溝202を使用することにより、圧力プレート114の厚さを低く維持可能にすることができ、このことによって、ブラシシール200の製造コストを削減可能にすることができる。
【0038】
図9は、本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシール200の断面図を示す。図9に示すように、ブラシシール200は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。ブラシシール200は、ブリストルパック110と、圧力プレート114と、フェンス112と、ブリストルパック110と圧力プレート114との間に配置されたブリストルパックバッキングプレート206とを含むことができる。ブリストルパック110、圧力プレート114及びフェンス112は、固定構成要素102によって担持され、且つ回転構成要素104に向かって片持ちにすることができる。
【0039】
図10及び図11は、ブリストルパックバッキングプレート206及び圧力プレート114の弓状セグメントの正面図をそれぞれ示す。図10に示すように、ブリストルパックバッキングプレート206は、ブリストルパックバッキングプレート206の対向する側部を通って開口する、半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数の内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)を含むことができる。スロット208及び210は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212及び外側半径方向縁部(214)上にそれぞれ配置することができる。本出願の1つの実施形態では、内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)は、限定ではないが、スカロップ形状のような半径方向に浅く円周方向に狭い形状のものとすることができる。スカロップ形スロットの使用は、ターボ機械の運転中にブリストルパック110のブリストルがスロット208及び210に巻き込まれる可能性を低減することのような、特定の性能上の利点を提供することができる。当業者であれば、スカロップ形スロット208及び210は、限定ではないが、金属板打ち抜き加工によって切り抜くことができる点は理解されるであろう。ブリストルパックバッキングプレート206は更に、複数の不連続な隆起区域602を含むことができる。図9に示すように、隆起区域602は、ブリストルパックバッキングプレート206がブラシシール200において圧力プレート114と接して適切に設置されたときに、隆起区域602が圧力プレート114と接触するように構成することができる。これにより、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間にキャビティを形成することができる。
【0040】
図11は、ブリストルパックバッキングプレート206に面した、圧力プレート114の側部の正面図を示す。圧力プレート114は、上方ダム502と、下方ダム204と、2つの側部ダム504とを含むことができ、これらはブリストルパック110と接触する。更に、圧力プレート114は、ブリストルパックバッキングプレート206に面する側部上に形成された、少なくとも1つの円周方向に延びる溝202を有することができる。溝202は、内向きに傾斜した内側半径方向縁部802及び外側半径方向縁部804を含むことができ、これらは、ブリストルパックバッキングプレート206を溝202内部に保持する。ターボ機械の運転中、流体は、スカロップ形の外側半径方向スロット(210)を通って、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティに入り、内側半径方向スロット(210)を通って流出し、圧力プレート114の先端領域を加圧することができる。ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティは、この領域内の圧力を半径方向全体にわたって均等に維持可能にすることができる。
【0041】
図12は、本出願の別の例示的な実施形態によるブラシシール200の断面図を示す。図12に示すように、ブラシシール200は、ターボ機械の固定構成要素102と回転構成要素104との間に位置付けることができる。ブラシシール200は、ブリストルパック110と、圧力プレート114と、フェンス112と、ブリストルパック110と圧力プレート114との間に配置されたブリストルパックバッキングプレート206とを含むことができる。ブリストルパック110、圧力プレート114及びフェンス112は、固定構成要素102よって担持され、且つ回転構成要素104に向かって片持ちにすることができる。
【0042】
図13及び図14は、ブリストルパックバッキングプレート206及び圧力プレート114の弓状セグメントの正面図をそれぞれ示す。図13に示すように、ブリストルパックバッキングプレート206は、ブリストルパックバッキングプレート206の対向する側部を通って開口する、半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数の内側半径方向スロット208及び外側半径方向スロット(210)を含むことができる。スロット208及び210は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212及び外側半径方向縁部(214)上にそれぞれ配置することができる。ブリストルパックバッキングプレート206のスロット208及び210は、半径方向に浅く円周方向に狭いスロット(210)と、並びに半径方向に浅く円周方向に広いスロット208とを含むことができる。本出願の1つの実施形態では、ブリストルパックバッキングプレート206は、限定ではないが、図13に示すような1つの半径方向に浅く円周方向に広いスロット208を含むことができる。半径方向に浅く円周方向に狭いスロット(210)は、ブリストルパックバッキングプレート206の外側半径方向縁部(214)に沿って円周方向に間隔を置いて配置することができ、半径方向に浅く円周方向に広いスロット208は、ブリストルパックバッキングプレート206の内側半径方向縁部212に沿って円周方向に間隔を置いて配置することができる。内側半径方向縁部212の両端にある押し出し部は、ブリストルパックバッキングプレート206を圧力プレート114内に収めることができるようにすることができる。滑らかな円周方向に広いスロット208は、上をブリストルパック110のブリストルが容易に摺動できるようにすることができる。ブリストルパックバッキングプレート206は更に、複数の不連続な隆起区域602を含むことができる。図12に示すように、ブリストルパックバッキングプレート206がブラシシール200内で圧力プレート114に接して適切に設置することができるときに、隆起区域602が圧力プレート114と接触し、その結果、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間にキャビティが形成される。
【0043】
図14は、ブリストルパックバッキングプレート206に面した圧力プレート114の側の正面図を示す。圧力プレート114は、ブリストルパック110と接触した、上方ダム502、下方ダム204及び2つの側部ダム504と、並びに、内向きに傾斜した内側半径方向縁部802及び外側半径方向縁部804を備え、ブリストルパックバッキングプレート206を内部に保持する円周方向に延びた溝202とを含むことができる。ターボ機械の運転中、流体は、半径方向に浅く円周方向に狭いスロット(210)及び半径方向に浅く円周方向に広いスロット208を通って、ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティに流入することができる。ブリストルパックバッキングプレート206と圧力プレート114との間に形成されたキャビティは、この領域内の圧力を半径方向全体にわたって均等に維持可能にすることができる。
【0044】
当業者であれば理解されるように、幾つかの例示的な実施形態に関して上述された多くの様々な特徴及び構成は、本発明の他の実施可能な実施形態を形成するよう更に選択的に適用することができる。簡潔にするため、及び当業者の能力を考慮して、実施可能な繰り返しの全ては本明細書で詳細には提供され又は説明していないが、添付の複数の請求項又はその他によって包含される全ての組み合わせ及び可能な実施形態は、本出願の一部をなすものとする。加えて、上記の説明で示されるように、本発明の幾つかの例示的な実施形態の記載から、当業者には、その改善、変更、及び修正が明らかであろう。当該技術分野におけるこのような改善、変更、及び修正は、請求項によって保護されることを意図している。更に、以上の説明は本出願の記載した実施形態のみに関するものであること、また請求項及びその均等物によって定義される本出願の技術的思想及び範囲から逸脱することなく本明細書において数多くの変形及び変更を加えることができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0045】
100 ブラシシール
102 固定構成要素
104 回転構成要素
106 高圧領域
108 低圧領域
110 ブリストルパック
112 円周方向に延びるフェンス
114 圧力プレート
200 ブラシシール
202 溝
202a 第1の溝
202b 第2の溝
204 下方ダム
206 ブリストルパックバッキングプレート
208 内側半径方向スロット
210 外側半径方向スロット
212 圧力プレートの内側半径方向縁部
214 圧力プレートの外側半径方向縁部
402 半径方向中心
404 外側半径方向スロットの内側半径方向縁部
406 内側半径方向スロットの外側半径方向縁部
502 上方ダム
504 側部ダム
506 第2の溝の外側半径方向縁部
508 第2の溝の内側半径方向縁部
602 不連続な隆起区域
802 溝の内側半径方向縁部
804 溝の外側半径方向縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の固定構成要素(102)と回転構成要素(104)との間に位置付けられ、前記機械の運転中に上流側部において高圧領域(106)と、下流側部において低圧領域(108)とを有する円周方向に延びるブラシシール(200)であって、当該ブラシシール(200)が、
前記固定構成要素(102)によって担持され、且つ前記回転構成要素(104)に向かって片持ちにされたブリストルパック(110)を形成する複数のブリストルと、
前記ブリストルパック(110)の下流側上で前記固定構成要素(102)によって担持される圧力プレート(114)と、
前記ブリストルパック(110)と前記圧力プレート(114)との間で前記固定構成要素(102)によって担持されるブリストルパックバッキングプレート(206)と
を備えており、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)が、その対向する側部を通って開口する半径方向に延び且つ円周方向に間隔を置いて配置された複数のスロット(208、210)を含み、前記スロット(208、210)が、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の内側半径方向縁部(212)及び外側半径方向縁部(214)上に配置されている、ブラシシール(200)。
【請求項2】
前記ブリストルパックバッキングプレート(206)のスロットは、内側半径方向スロット(208)及び外側半径方向スロット(210)を含み、前記内側半径方向スロット(208)が、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の半径方向中心(402)近傍から始まり、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の内側半径方向縁部(212)を通ってほぼ半径方向に延びるスロットを構成し、前記外側半径方向スロット(210)が、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の半径方向中心(402)近傍から始まり、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の外側半径方向縁部(214)を通ってほぼ半径方向に延びるスロットを構成している、請求項1記載のブラシシール(200)。
【請求項3】
前記圧力プレート(114)は、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)に面する側部上に形成された複数の円周方向に延びる溝(202)を有し、該溝(202)が、運転中に前記ブリストルパックバッキングプレート(206)が内部に好適に収まるように構成された第1の溝(202a)と、前記第1の溝(202a)の内部に形成され、複数の前記内側半径方向スロット(208)の各々を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)に接続する流れチャンネルが形成されるように構成された第2の溝(202b)とを少なくとも含む、請求項2記載のブラシシール(200)。
【請求項4】
形成された前記流れチャンネルが複数の前記内側半径方向スロット(208)を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)に接続するように構成される前記第2の溝(202b)は、複数の内側半径方向スロット(208)が各々少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)と流体連通するように前記第2の溝(202b)を構成することを含む、請求項3記載のブラシシール(200)。
【請求項5】
前記圧力プレート(114)は、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)に面する側部上に形成された複数の円周方向に延びる溝(202)を有し、該溝(202)が、運転中に前記ブリストルパックバッキングプレート(206)が内部に好適に収まるように構成された第1の溝(202a)と、前記第1の溝(202a)の内部に形成された第2の溝(202b)とを少なくとも含み、前記第2の溝(202b)が、前記機械の運転中に前記ブリストルパック(110)の下流側部に沿ってほぼ均一な圧力分布が維持されるように、複数の前記内側半径方向スロット(208)の各々を少なくとも1つの対応する外側半径方向スロット(210)に接続するように構成されている、請求項2記載のブラシシール(200)。
【請求項6】
前記第2の溝(202b)の外側半径方向縁部(506)が、複数の前記外側半径方向スロット(210)の内側半径方向縁部(404)の外側部に配置されており、前記第2の溝(202b)の内側半径方向縁部(508)が、複数の前記内側半径方向スロット(208)の外側半径方向縁部(406)の内寄りに配置されている、請求項5記載のブラシシール(200)。
【請求項7】
前記圧力プレート(114)は、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)に面する側部上に形成された複数の円周方向に延びる溝(202)を有し、該溝(202)が、運転中に前記ブリストルパックバッキングプレート(206)が内部に好適に収まるように構成された第1の溝(202a)と、前記第1の溝(202a)の内部に形成され、第1の選択された半径において複数の前記内側半径方向スロット(208)の上に重なるように構成された第2の溝(202b)とを少なくとも含み、前記第2の溝(202b)は、第2の選択された半径において前記第2の溝(202b)が複数の前記外側半径方向スロットの上に重なるように構成されており、前記第2の溝(202b)は、少なくとも複数の前記内側半径方向スロット(208)及び複数の前記外側半径方向スロット(210)が前記第2の溝(202b)を介して流体連通するように構成されている、請求項2記載のブラシシール(200)。
【請求項8】
前記内側半径方向スロット(208)は各々、実質的に細い矩形形状を備え、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の円周周りにほぼ規則的な間隔を置いて配置されており、前記外側半径方向スロット(210)は各々、実質的に細い矩形形状を備え、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の円周周りにほぼ規則的な間隔を置いて配置されている、請求項2記載のブラシシール(200)。
【請求項9】
前記外側半径方向スロット(210)及び前記内側半径方向スロット(208)は、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の円周周りにほぼ同じ規則的な間隔を置いて配置されており、選択された円周方向位置において各外側半径方向スロット(210)が前記内側半径方向スロット(208)のうちの1つと重なるように整列されている、請求項8記載のブラシシール(200)。
【請求項10】
前記外側半径方向スロット(210)及び前記内側半径方向スロット(208)は、
前記内側半径方向スロット(208)の各々の半径方向長さを前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の半径方向長さで除算したものを表す第1の比が、約0.17〜約0.33の値を有し、前記外側半径方向スロット(210)の各々の前記半径方向長さを前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の半径方向長さで除算したものを表す第2の比が、約0.17〜約0.33の値を有し、前記内側半径方向スロット(208)の各々の円周方向幅を前記内側半径方向スロット(208)の半径方向長さで除算したものを表す第3の比が、約0.2〜約2.0の値を有し、前記外側半径方向スロット(210)の各々の前記円周方向幅を前記外側半径方向スロット(210)の半径方向長さで除算したものを表す第4の比が、約0.2〜約3.0の値を有するように構成されている、請求項2記載のブラシシール(200)。
【請求項11】
前記圧力プレート(114)は、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)に面する側部上に形成された円周方向に延びる溝(202)を含み、前記溝(202)は、運転中に前記ブリストルパックバッキングプレート(206)が前記溝(202)の内部に好適に収まるように構成されており、前記溝(202)の深さは、前記ブリストルパックバッキングプレート(206)の厚さと隆起区域の高さとを加えたものにほぼ対応し、前記溝(202)の内側半径方向縁部及び前記溝(202)の外側半径方向縁部は、運転中、対向する内向きに傾斜した面が前記ブリストルパックバッキングプレート(206)を前記溝(202)の内部に保持するように構成された内向きに傾斜した面を含む、請求項10記載のブラシシール(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−137543(P2011−137543A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283895(P2010−283895)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】