説明

ブラシロール及び洗浄装置

【課題】被洗浄面に洗浄残りが発生することがなく、ブラシロールの回転方向に限定されることなく、効率よく確実に異物等の対象物を除去する高い洗浄性能を有するブラシロール、及びそのブラシロールを搭載した洗浄装置を提供する。
【解決手段】ブラシロール1は、略棒状又は円筒状のシャフト3と、前記シャフト3の外周に螺旋状に巻き付けられたブラシ部2を有し、前記ブラシ部2は断面略U字状の帯状体6と、前記帯状体6で芯線7と共に挟持されるブラシ毛材8とで構成されたチャンネルブラシ5からなるブラシ体4a、4b、4cが3本以上並列に設けられてあると共に、前記シャフト3の外周に螺旋状に巻き回されて形成されてあり、隣り合う前記ブラシ体4a、4b、4cの隙間Gは前記帯状体6の幅W以下にて設定されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、ガラス板 あるいはフィルム状樹脂組成物等からなる被洗浄面の洗浄、清掃、研磨、表面処理等を行うブラシロール、及びそのブラシロールを搭載した洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のブラシロール、及びそのブラシロールを搭載した洗浄装置として、ブラシ材の基部をチャンネルに保持させて成るチャンネルブラシを密着螺旋巻きしてコイルブラシを形成し、該コイルブラシをロールに外挿して成るロールブラシにおいて、上記コイルブラシの外側面と対向する制動フランジを備え、該制動フランジに上記コイルブラシを形成するチャンネルブラシの巻端のチャンネル端面と係合して上記コイルブラシの制動を図る係止部を設けたことを特徴とするロールブラシ(特許文献1)が考案されている。
【0003】
また、チャンネルブラシが、長尺の芯線と、断面が概U字状に屈曲し、該芯線を包有する長尺のチャンネルと、該芯線と該チャンネルとの間に挟着される毛材とを備えてなり、該チャンネルブラシ式ブラシロールの外周面において、毛材先端の密度が全周に亘って25本/cm以上、250本/cm以下である帯状円周領域が存在することを特徴とするチャンネルブラシ式ブラシロール(特許文献2)がある。
【0004】
さらに、入口側に洗浄ノズルを有し、ロール本体の外周面に所定幅のブラシを、ロール本体の全長の中央に設定した対称軸に対して対称に所定ピッチで且つ、前記対称軸からロール本体の端へ向かって対象物を送ることができる螺旋方向に巻き付けたことを特徴とする鋼板洗浄機のブラシロール(特許文献3)もある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−346629号公報
【特許文献2】特開2007−50120号公報
【特許文献3】特開2004−137573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のロールブラシは、チャンネルブラシをコイルブラシに形成する際、1本のチャンネルブラシによりコイルブラシが形成され、前記コイルブラシがロールに外挿して製作される。その為、コイルブラシはロールの長手方向にたいして略直角に配置されるので、ロールの長手方向と直交する方向にたいするコイルブラシの傾斜角度は小さく、ロールブラシの回転に伴い、被洗浄面にブラシ材が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークが発生する。前記の如くのブラシマークは、被洗浄面にたいする洗浄残りとなることから、ロールブラシは被洗浄面を均一に洗浄することができず、洗浄性能が劣るという課題を有していた。
【0007】
特許文献2のチャンネルブラシ式ブラシロールは、洗浄残り(ブラシマーク等)による洗浄性低下を防ぐ為、毛材先端の密度を25本/cm以上、250本/cm以下に設定しているが、毛材先端の密度が小さい場合、毛材の間に隙間が発生することから、前記の如くの隙間部分には毛材が被洗浄面に当接しないので、被洗浄面から異物等の対象物を完全に除去することができない。また、毛材先端の密度が大きい場合、被洗浄面から除去された対象物は毛材の間に捕捉され、チャンネルブラシ式ブラシロールの外部に排除され難い為、チャンネルブラシ式ブラシロールの回転に伴い、毛材の間に捕捉された対象物は被洗浄面の表面に落下し、被洗浄面に再付着する。その為、効率よく確実に被洗浄面から対象物を除去することが難しいという課題を有していた。
【0008】
特許文献3のブラシロールは、ブラシロールが対称軸からロール本体の端へ向かって異物等の対象物を送る方向と逆の方向に回転した場合、対象物はロール本体の中央に設定された対称軸に向かって集積するので、ブラシロールの外部に対象物を排除することができない。その為、効率よく確実に被洗浄面から対象物を排除するには、ブラシロールの回転方向が限定されるという課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被洗浄面に洗浄残りが発生することがなく、ブラシロールの回転方向に限定されることなく、効率よく確実に異物等の対象物を除去する高い洗浄性能を有するブラシロール、及びそのブラシロールを搭載した洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、請求項1のブラシロールは、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、ガラス板、あるいはフィルム状樹脂組成物等からなる被洗浄面の洗浄、清掃、研磨、表面処理等を行うブラシロールにおいて、前記ブラシロールは、略棒状又は円筒状のシャフトと、前記シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられたブラシ部を有し、前記ブラシ部は断面略U字状の帯状体と、前記帯状体で芯線と共に挟持されるブラシ毛材とで構成されたチャンネルブラシからなるブラシ体が3本以上並列に設けられてあると共に、前記シャフトの外周に螺旋状に巻き回されて形成されてあり、隣り合う前記ブラシ体の隙間は前記帯状体の幅以下にて設定されてあるもので、ブラシロールは1本のブラシ体がシャフトの外周に螺旋状に巻き回されてあるピッチの間に、他の2本以上のブラシ体が配列されている。従って、ブラシロールは、1本のブラシ体のみによりシャフトの外周に螺旋状に巻き回されて形成されてある場合に比べ、各ブラシ体のシャフトの長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度を、大きく設定することができる。その為、ブラシロールの回転に伴い、ブラシ毛材は被洗浄面にたいして接触面積を広く確保して当接するので、被洗浄面にブラシ毛材が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークの発生が抑えられ、被洗浄面に洗浄残りが生じることがなく、ブラシロールは被洗浄面を均一に洗浄する。
【0011】
また、ブラシロールは、ブラシ体がシャフトの長手方向と直交する方向にたいして傾斜角度を大きく設定して形成されていることから、被洗浄面からブラシ毛材により除去された異物等の対象物がブラシ毛材の間に捕捉されても、ブラシロールの回転に伴い被洗浄面の表面に落下し難い。その為、対象物の被洗浄面への再付着が防止される。
【0012】
また、ブラシロールは、ブラシ体の隙間が、帯状体の幅以下の寸法にて設定されているので、被洗浄面にたいして、ブラシ毛材が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークの発生が抑えられる。
【0013】
さらに、ブラシロールは、回転することにより、ブラシ体の傾斜角度に沿って異物等の対象物を移動させ、ブラシロールの外部に排除するが、ブラシ体はシャフトの外周に同一の方向にて螺旋状に巻き回されて形成されているので、ブラシロールの回転方向に限定されることなく、ブラシロールのどちらか一方の端部から対象物を外部に排除する。
【0014】
請求項2のブラシロールは、特に、請求項1のブラシロールにおいて、隣り合うブラシ体の隙間は略同一にて形成されてあるもので、チャンネルブラシからなるブラシ体を一定の隙間をもってシャフトの外周に巻き回して装着すればよいので、ブラシ部の形成、すなわちブラシ体のシャフトへの取り付けが容易となる。その為、ブラシロールの生産性が向上するので、安価にてブラシロールを提供することができる。また、ブラシ体の隙間が一定の為、ブラシロールの回転バランスが向上し、回転に伴う芯ブレが抑制される。
【0015】
請求項3のブラシロールは、特に、請求項1から2のブラシロールにおいて、ブラシ部は少なくとも1本以上のブラシ体が、他のブラシ体と異なるブラシ毛材にて構成されてあるもので、例えば、被洗浄面にたいして異なる押付力、接触力にてブラシ毛材を当接させることができる。被洗浄面には、例えば、塗料ミスト、ペンキ等の合成樹脂、鉄粉、石等の無機物、繊維クズ等の塵埃等、さまざまな対象物が付着している。また、付着状態も、塗料ミスト、ペンキ等の如く、強固に付着している対象物から、塵埃等の如く、表面に添付しているだけの対象物までさまざまである。また、硬さも、鉄粉、石等の如く、硬い対象物から、塵埃等の如く、柔らかい対象物までさまざまである。その為、ブラシ体を異なるブラシ毛材にて構成することにより、前記の如くのさまざまな対象物を、効率よく確実に、被洗浄面から除去することが可能となる。
【0016】
異なるブラシ毛材とは、例えば、硬度、材質等に起因する剛性、ブラシ毛材の線径、ブラシ毛材の毛丈、ブラシ毛材の断面形状等のことである。
【0017】
請求項4の洗浄装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載されたブラシロールと、前記ブラシロールを回転駆動する駆動手段と、前記ブラシロール及び/又は被洗浄面に洗浄液等の液体を吹き付ける複数のノズルを有するもので、被洗浄面にブラシマーク、すなわち洗浄残りが発生することがなく、優れた洗浄性能を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1のブラシロールは、ブラシ体のシャフトの長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度を大きく設定することができるので、被洗浄面の表面にブラシマークを残すことがなく、優れた洗浄性能を有すると共に、異物等の対象物を、効率よく確実に除去することができる。
【0019】
請求項2のブラシロールは、ブラシ体のシャフトへの取り付けが容易であり、生産性が向上するので、安価にてブラシロールを提供することができる。また、ブラシロールの回転バランスが向上するので、回転に伴う芯ブレを抑制することができる。
【0020】
請求項3のブラシロールは、異なるブラシ毛材が被洗浄面に当接するので、被洗浄面に付着、堆積しているさまざまな性状を有する異物等の対象物を、効率よく確実に除去することができる。
【0021】
請求項4の洗浄装置は、優れた洗浄性能を有するブラシロールが搭載されているので、被洗浄面にブラシマーク、すなわち洗浄残りが発生することがなく、優れた洗浄性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
図1(a)は、本発明の第1の実施例におけるブラシロールの部分正面図、図1(b)は、ブラシロールの側面図、図1(c)は、ブラシ体を前面側から見た斜視図、図2は、本発明の第1の実施例におけるブラシロールの部分断面図、図3は、チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図である。
【0024】
図1(a)、及び図1(b)において、ブラシロール1は、鉄、アルミニウム等の金属材料、あるいはポリ塩化ビニル、ポリアセタール等の合成樹脂材料からなると共に、中空部9を有する略円筒状のシャフト3の外周に、3本のブラシ体4a、4b、4cからなるブラシ部2が装着されて形成されている。3本のブラシ体4a、4b、4cは、それぞれピッチPにてシャフト3の外周に螺旋状に巻き回されていると共に、シャフト3の長手方向と直交する方向の傾斜角度θを有して並列に装着されている。なお、シャフト3は、中実状の略棒状であってもよい。
【0025】
図1(c)において、ブラシ体4a、4b、4cは、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属材料からなる長尺状の断面略U字状の帯状体6と、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属材料からなる概丸形断面を有する長尺状の芯線7との間に、ブラシ毛材8が挟持された長尺状のチャンネルブラシ5にて形成されている。ブラシ体4a、4b、4cは、シャフト3の外周に装着される際、図1(b)の如く、シャフト3の一方の端部近傍の外周等分3箇所に、3本のブラシ体4a、4b、4cの始点S、S、Sが溶接による固定部10を介して固定され、螺旋状に巻き回されると共に、シャフト3の他方の端部近傍の外周等分3箇所に、3本のブラシ体4a、4b、4cの終点(図示せず)が溶接による固定部(図示せず)を介して固定されて形成される。
【0026】
シャフト3の長手方向にたいして、3本のブラシ体4a、4b、4cが有する傾斜角度θは、4°以上12°以下にて設定されるのが望ましい。傾斜角度θが4°未満の場合、角度が小さすぎて被洗浄面から除去された異物等の対象物がシャフト3の長手方向に移動し難く、効率よく確実に対象物をブラシロール1の外部に排除するのが難しい。一方、傾斜角度θが12°を超える場合、角度が大きすぎてブラシ毛材8はシャフト3の近傍、すなわち帯状体6の近傍まで被洗浄面に当接しやすくなり、ブラシ毛材8の折れ、切れが発生しやすくなり、ブラシロール1の耐久性の低下につながる。
【0027】
また、それぞれのブラシ体4a、4b、4cがシャフト3の外周に巻き回されて装着される際のピッチPは、20mm以上50mm以下にて設定されるのが望ましい。ピッチPが20mm未満の場合、間隔が狭すぎてブラシ毛材8が密集するので、被洗浄面から除去された異物等の対象物がブラシ毛材8の間に捕捉され、シャフト3の長手方向に移動し難く、効率よく確実に対象物をブラシロール1の外部に排除するのが難しい。一方、ピッチPが50mmを超える場合、間隔が広すぎてブラシ毛材8の植設量が少なく、被洗浄面から迅速、且つ確実に対象物を除去することが困難である。
【0028】
なお、本実施例では、シャフト3の外周に、3本のブラシ体4a、4b、4cを設けたが、勿論4本、あるいはそれ以上でもよい。
【0029】
次に、図2を用いて、ブラシロール1の構成について詳説する。
【0030】
図2において、ブラシロール1は、帯状体6と芯線7にブラシ毛材8が挟持されたチャンネルブラシ5からなる3本のブラシ体4a、4b、4cが、中空部9を有するシャフト3の外周に並列に巻き回されて装着されたブラシ部2として形成されている。1本のブラシ体4aは、ピッチPをもってシャフト3の外周に螺旋状に装着されている。そして、前記の如くのピッチPの間に、他の2本のブラシ体4b、4cが並列されると共に、他の2本のブラシ体4b、4cもピッチPをもってシャフト3の外周に螺旋状に巻き回されて装着されている。
【0031】
また、隣り合うブラシ体4aとブラシ体4b、ブラシ体4bとブラシ体4c、ブラシ体4cとブラシ体4aの隙間Gは略同一の寸法にて形成されている。隙間Gの寸法は、ブラシ体4a、4b、4cを構成する帯状体6の幅W以下にて設定される。隙間Gの寸法が、帯状体6の幅Wを超える場合、隙間Gが広すぎて、ブラシロール1の回転に伴い、ブラシ毛材8が被洗浄面に当接する際、被洗浄面にブラシ毛材8が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークが発生しやすくなり、被洗浄面に洗浄残りが生じることになる。帯状体6の幅Wは5mm以上10mm以下が好適である。幅Wが5mm未満の場合、ブラシ毛材8の植設量が少なく、被洗浄面から迅速、且つ確実に対象物を除去することが難しい。一方、幅Wが10mmを超える場合、金属材料からなる帯状体6の強度が強すぎて、シャフト3の外周に螺旋状に巻き回して形成することが難しく、ブラシロール1を製作する際の作業性が劣る。なお、隣り合うブラシ体4a、4b、4cの隙間Gは、部分的にばらつきにて、広がることもあるが、ブラシロール1の性能劣化につながるものではなく、本発明の権利範囲内である。
【0032】
なお、本実施例では、帯状体6の幅W、及び隣り合うブラシ体4a、4b、4cの隙間Gは、それぞれ略同一寸法にて形成されているが、幅W及び/又は隙間Gは、異なる寸法にて形成されてあっても構わない。
【0033】
次に、図3を用いて、ブラシロール1の製作方法について説明する。
【0034】
最初に、図3の如く、概丸形断面を有する長尺状のブラシ毛材8を用意する。ブラシ毛材8は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ビニリデン、ポリウレタン等の合成繊維、アセテート、プロミックス等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の再生繊維、綿、羊毛、絹等の天然繊維、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパー線、真鍮線、りん青銅線等の金属繊維のいずれかからなる。ブラシ毛材8の断面形状は、特に限定されるものではなく、概丸形以外にも、例えば三角形、四角形等の多角形、星形、卍形、十字形、M形、N形等の異形断面形状であっても構わない。また、中実状、中空状のいずれであってもよい。さらに、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれであっても何ら支障はない。ブラシ毛材8の材質、形状等については、ブラシロール1の使用される環境、コスト等を勘案して、適宜、決定されるものである。
【0035】
上記の如くのブラシ毛材8が複数本、用意されたならば、ブラシ毛材8の略中央部が、帯状体6の上部に重なるよう基台35に設置する。次いで、縦ロール36を使用して、芯線7にてブラシ毛材8を挟み付けると共に、芯線7を断面略U字状の帯状体6の内部に押し込む。次に、帯状体6の両側に設置された横ロール37を使用して、帯状体6を両側から、かしめる。その結果、図1(c)の如く、長尺状のブラシ毛材8の略中央部が芯線7、及び帯状体6に挟み付けられて折り合わされた長尺状のチャンネルブラシ5が形成される。
【0036】
次に、図1(b)の如く、1本のブラシ体4aの一方の端部、すなわち始点Sは、シャフト3の一方の端部近傍に、溶接による固定部10を介して固定され、図1(a)の如く、シャフト3の外周にピッチPをもって螺旋状に巻き回されて装着される。そして、ブラシ体4aの他方の端部、すなわち終点(図示せず)が、シャフト3の他方の端部近傍に、溶接による固定部(図示せず)を介して固定される。同様に、他の2本のブラシ体4b、4cがシャフト3の外周に、ブラシ体4aのピッチPの間に装着されると共に、他の2本のブラシ体4b、4cもピッチPをもってシャフト3の外周に巻き回され、シャフト3の両端部近傍に始点S、Sと、終点が溶接による固定部10を介して固定されることにより、ブラシ部2がシャフト3の外周に形成されたブラシロール1が、図1(a)の如く、製造される。
【0037】
上記の如く構成されたブラシロール1の動作、作用は下記の通りである。
【0038】
ブラシロール1は、1本のブラシ体4aがシャフト3の外周に螺旋状に巻き回されてあるピッチPの間に、他の2本のブラシ体4b、4cが配列されている。従って、ブラシロール1は、1本のブラシ体4aのみによりシャフト3の外周に螺旋状に巻き回されて形成されてある場合に比べ、各ブラシ体4a、4b、4cのシャフト3の長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度θを、大きく設定することができる。その為、ブラシロール1の回転に伴い、ブラシ毛材8は被洗浄面にたいして接触面積を広く確保して当接するので、被洗浄面にブラシ毛材8が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークの発生が抑えられ、被洗浄面に洗浄残りが生じることがなく、ブラシロール1は被洗浄面を均一に洗浄する。
【0039】
また、ブラシロール1は、1本のブラシ体4aのみによりシャフト3の外周に螺旋状に巻き回されて形成されてある場合に比べ、ブラシ体4a、4b、4cがシャフト3の長手方向と直交する方向にたいして傾斜角度θを大きく設定して形成されていることから、被洗浄面からブラシ毛材8により除去された異物等の対象物がブラシ毛材8の間に捕捉されても、ブラシロール1の回転に伴い被洗浄面の表面に落下し難い。その為、対象物の被洗浄面への再付着が防止される。
【0040】
また、ブラシロール1は、回転することにより、ブラシ体4a、4b、4cの傾斜角度θに沿って対象物を移動させ、ブラシロール1の外部に排除するが、ブラシ体4a、4b、4cはシャフト3の外周に同一の方向にて螺旋状に巻き回されて形成されているので、ブラシロール1の回転方向に限定されることなく、ブラシロール1のどちらか一方の端部から対象物を外部に排除する。
【0041】
さらに、ブラシロール1は、隣り合うブラシ体4a、4b、4cの隙間Gが略同一の寸法にて形成されてあるので、チャンネルブラシ5からなるブラシ体4a、4b、4cを一定の隙間Gをもってシャフト3の外周に巻き回して装着すればよい為、ブラシ部2の形成、すなわちブラシ体4a、4b、4cのシャフト3への取り付けが容易となる。その為、ブラシロール1の生産性が向上するので、安価にてブラシロール1を提供することができる。また、ブラシ体4a、4b、4cの隙間Gが一定の為、ブラシロール1の回転バランスが向上し、回転に伴う芯ブレが抑制される。
【0042】
次に、本発明のブラシロール1の洗浄性能について試験した。下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0043】
実施例1として、線径が0.2mmのナイロンからなる長尺状のブラシ毛材8の長手方向における略中央部を、鉄からなる長尺状の帯状体6と、芯線7の間に挟み付けると共に、折り合わせ、長尺状のチャンネルブラシ5からなる3本のブラシ体4a、4b、4cを形成した。折り合わされたブラシ毛材8の毛丈は60mmに設定した。次に、直径が90mmで且つ長さが360mmの鉄製の略円筒状のシャフト3の外周に、3本のブラシ体4a、4b、4cを、隣り合う隙間Gの間隔を2mm、各ブラシ体4a、4b、4cのピッチPを30mmに設定して螺旋状に巻き回し、ブラシ部2を形成した。帯状体6の幅Wは8mmであり、3本のブラシ体4a、4b、4cのシャフト3の長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度θは約5.5°に形成された。また、チャンネルブラシ5の始点S、S、S、及び終点は、シャフト3の両端部近傍の外周等分3箇所に、溶接による固定部10を介して固定した。そして、前記の手順にて実施例1のブラシロールを2本製作した。
【0044】
比較例1として、1本のブラシ体4aにてブラシ部2を形成したブラシロール1を2本製作した。比較例1のブラシロール1は、シャフト3の外周に、ブラシ体4aを、隣り合う隙間Gの間隔を2mm、帯状体6の幅Wを8mm、ブラシ体4aのピッチPを10mmに設定して螺旋状に巻き回して形成した。シャフト3の寸法等、他の条件は、実施例1のブラシロール1と同一の条件である。なお、ブラシ体4aのシャフト3の長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度θは約1.8°に形成された。
【0045】
比較例2として、2本のブラシ体4a、4bにてブラシ部2を形成したブラシロール1を2本製作した。比較例2のブラシロール1は、シャフト3の外周に、ブラシ体4a、4bを、隣り合う隙間Gの間隔を2mm、帯状体6の幅Wを8mm、各ブラシ体4a、4bのピッチPを20mmに設定して螺旋状に巻き回して形成した。シャフト3の寸法等、他の条件は、実施例1のブラシロール1と同一の条件である。なお、2本のブラシ体4a、4bのシャフト3の長手方向と直交する方向にたいする傾斜角度θは約3.5°に形成された。
【0046】
次に、上記の如く構成された各2本ずつの実施例1、比較例1、及び比較例2のブラシロール1を、それぞれ上下一対にて通板試験機に取り付け、150rpmの一定の回転速度で回転させる一方、一面に人工汚れを塗布した溶融亜鉛メッキ鋼板を用意し、前記回転速度で回転しているシャフト3の外周に取り付けられたブラシ部2の先端が描く仮想円上から3mmだけシャフト3の方向に近接した位置に前記溶融亜鉛メッキ鋼板が、その汚れ面をシャフト3に対向するよう設定すると共に、7L毎分の散布量にて洗浄水を吹き付けながら、溶融亜鉛メッキ鋼板を100mpmの周速にて、上下一対で取り付けられたブラシロール1の間を通板させ、鋼板の汚れ面にブラシ部2を当接させることによって鋼板の汚れを除去した。
【0047】
そして、鋼板の汚れ面におけるブラシ部2によって汚れを除去した部分の明度を、日本電色工業株式会社製の色差計NR−1で測定して、下記基準により、洗浄性能を判断した。
○・・・明度の向上が+5以上
△・・・明度の向上が+3以上+5未満
×・・・明度の向上が+3未満
【0048】
また、試験後の鋼板のブラシマーク、すなわち洗浄残りの有無を目視観察して、下記基準により判断した。
○・・・ブラシマークが無い
×・・・ブラシマークが有る
【0049】
【表1】

【0050】
上記試験結果より、実施例1のブラシロール1は、各ブラシ体4a、4b、4cのシャフト3の長手方向にたいする傾斜角度θが大きい為、ブラシロール1の回転に伴い、ブラシ毛材8は鋼板にたいして接触面積を広く確保して当接するので、鋼板にブラシ毛材8が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークの発生が抑えられ、鋼板に洗浄残りが生じることがなく、優れた洗浄性能を有するものであった。
【0051】
比較例1のブラシロール1は、ブラシ体4aのシャフト3の長手方向にたいする傾斜角度θが極めて小さい為、ブラシロール1の回転に伴うブラシ毛材8の鋼板にたいする接触面積も極めて狭く、鋼板にブラシ毛材8が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークが発生し、鋼板に洗浄残りが生じることから、洗浄性能は非常に劣るものであった。
【0052】
比較例2のブラシロール1は、各ブラシ体4a、4bのシャフト3の長手方向にたいする傾斜角度θが小さい為、ブラシロール1の回転に伴い、ブラシ毛材8は鋼板にたいして接触面積を広く確保することができず、鋼板にブラシ毛材8が当接しない隙間部分、すなわちブラシマークが発生し、鋼板に洗浄残りが生じることから、洗浄性能は劣るものであった。
【0053】
(実施例2)
図4(a)は、本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する1本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図、図4(b)は、本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する2本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図、図4(c)は、本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する3本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図である。実施例2は、実施例1の3本のブラシ体の各々のブラシ体を構成するブラシ毛材の材質が異なる形態である。なお、上記第1の実施例におけるブラシロールと同一部材については、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0054】
図4(a)において、ブラシ毛材28aは、概丸形断面を有する長尺状の合成繊維29の外周に、粒状の砥粒25が複数固着して形成されている。砥粒25は、合成繊維29との重量比で、20〜30%程度配合される。ブラシ毛材28aは、前記の如く、砥粒25を含有していることから、1本目のブラシ体4aとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、毛腰が極めて強く、被洗浄面に強固に付着している対象物、例えば、塗料ミスト、ペンキ等の合成樹脂を掻き取ることができる。
【0055】
ブラシ毛材28aを構成する合成繊維29は、ナイロン、ポリエステル等からなり、線径は0.1〜0.8mm程度である。また、砥粒25は、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ダイアモンド等の無機物で、粒径は0.1〜10μm程度である。合成繊維29に、砥粒25を固着させる際、シランカップリング剤を用いると、砥粒25を合成繊維29に強固に接着させることができ、洗浄中にブラシロール1から砥粒25が脱落することを防止することができる。シランカップリング剤は、分子中に2個の異なった反応基をもつ有機ケイ素単量体で、一方の反応基は無機物と化学結合する反応基であり、他方の反応基は有機物と化学結合する反応基である。従って、シランカップリング剤は、無機物である砥粒25と、有機物である合成繊維29とを化学的に結合する為、砥粒25を合成繊維29に強固に接着させることができるのである。
【0056】
図4(b)において、ブラシ毛材28bは、概丸形断面を有する長尺状の合成繊維であり、ナイロン、ポリエステル等からなる。ブラシ毛材28bの線径は0.1〜0.8mm程度である。ブラシ毛材28bは、2本目のブラシ体4bとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、耐摩耗性に優れた合成繊維からなる為、被洗浄面に付着している対象物の内、鉄粉、石等の硬い無機物に当接した場合においても毛折れ、毛切れ等を発生させることなく、鉄粉、石等を除去することができる。
【0057】
図4(c)において、ブラシ毛材28cは、概丸形断面を有する長尺状の合成繊維からなる複数本の単糸27が撚り合わされて形成された撚り糸26である。単糸27はナイロン、ポリエステル等からなり、線径は10〜100μm程度である。単糸27の撚り本数に関しては、特に、限定されるものではない。ブラシ毛材28cは、3本目のブラシ体4cとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、撚り糸26にて形成されているので、被洗浄面への当接を繰り返すことにより、ブラシ毛材28cの先端部がほぐれ、被洗浄面の細かな凹凸部分に付着している繊維クズ等の塵埃を掻き出すことができる。また、ブラシ毛材28cは、撚りが形成されている為、被洗浄面からの衝撃等の反力を吸収できるので、高い耐久性を維持できる。
【0058】
ブラシ毛材28cは、複数本の単糸27を撚り合わせ、撚り糸26に形成する際、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、NBR、SBR、MBR等の高分子弾性体を、撚り合わされた単糸27を接着する接着剤として用いても構わない。前記の如くの接着剤が用いられている場合、撚り糸26は被洗浄面への当接を繰り返すことにより、短期間にて撚りが全てほぐれ、単糸27にばらけてしまうことが防止されるので、長期間に亘って、ブラシ毛材28cの毛腰を保持することができる。使用される高分子弾性体の種類については、ブラシロール1が使用される環境、洗浄液の種類等に応じて、適宜、決定される。
【0059】
本実施例におけるブラシロール1は、以上のように構成されているので、被洗浄面に付着しているさまざまな性状を有する対象物を、ブラシ毛材28a、28b、28cの異なる接触力、押付力により、効率よく確実に、被洗浄面から除去することができる。
【0060】
(実施例3)
図5(a)は、本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する1本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A断面図、図5(c)は、本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する2本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、図5(d)は、図5(c)のB−B断面図、図5(e)は、本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する3本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、図5(f)は、図5(e)のC−C断面図である。実施例3は、実施例1の3本のブラシ体の各々のブラシ体を構成するブラシ毛材の線径が異なる形態である。なお、上記第1の実施例におけるブラシロールと同一部材については、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0061】
図5(a)から図5(f)において、ブラシ毛材38a、38b、38cは、概丸形断面を有する長尺状の合成繊維であり、ナイロン、ポリエステル等からなる。ブラシ毛材38a、38b、38cの線径D、D、Dは0.1〜0.8mm程度で、ブラシ毛材38aの線径Dが最も大きく、次いでブラシ毛材38bの線径D、ブラシ毛材38cの線径Dが最も小さい。例えば、ブラシ毛材38aの線径Dは0.5mm、ブラシ毛材38bの線径Dは0.3mm、ブラシ毛材38cの線径Dは0.2mm等に設定される。
【0062】
ブラシ毛材38aは、上記の如く、線径Dが最も大きいことから、1本目のブラシ体4aとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、毛腰が極めて強く、被洗浄面に強固に付着している対象物、例えば、塗料ミスト、ペンキ等の合成樹脂を掻き取ることができる。
【0063】
ブラシ毛材38bは、上記の如く、線径Dが、ブラシ毛材38aに次いで大きいことから、2本目のブラシ体4bとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、毛腰を強く設定し、被洗浄面に付着している鉄粉、石等の硬い無機物系の対象物を、迅速に除去することができる。
【0064】
ブラシ毛材38cは、上記の如く、線径Dが、最も小さいことから、3本目のブラシ体4cとして構成され、ブラシロール1に形成された場合、毛腰は他のブラシ毛材38a、38bに比べて弱いものの、被洗浄面に傷を付着させることなく、繊維クズ等の被洗浄面に軽く添付している柔らかい対象物を、的確に掃き取ることができる。
【0065】
本実施例におけるブラシロール1は、以上のように構成されているので、被洗浄面に付着しているさまざまな性状を有する対象物を、ブラシ毛材38a、38b、38cの異なる接触力、押付力により、効率よく確実に、被洗浄面から除去することができる。
【0066】
(実施例4)
図6は、本発明の第4の実施例におけるブラシロールの部分断面図である。なお、上記第1の実施例におけるブラシロールと同一部材については、詳しい説明を省略する。
【0067】
図6において、ブラシロール41は、帯状体46と芯線47にブラシ毛材48a、48b、48cが挟持されたチャンネルブラシ45からなる3本のブラシ体44a、44b、44cが、中空部49を有するシャフト43の外周に並列に巻き回されて装着されたブラシ部42として形成されている。ブラシ毛材48a、48b、48cは合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維、金属繊維のいずれかである。
【0068】
1本目のブラシ体44aを構成するブラシ毛材48aは毛丈Hを有し、2本目のブラシ体44bを構成するブラシ毛材48bは毛丈Hを有し、3本目のブラシ体44cを構成するブラシ毛材48cは毛丈Hを有する。ブラシ毛材48a、48b、48cの毛丈H、H、Hは40〜70mm程度で、ブラシ毛材48aの毛丈Hが最も長く、次いでブラシ毛材48bの毛丈H、ブラシ毛材48cの毛丈Hが最も短い。例えば、ブラシ毛材48aの毛丈Hは60mm、ブラシ毛材48bの毛丈Hは55mm、ブラシ毛材48cの毛丈Hは50mm等に設定される。ブラシ毛材48a、48b、48cの毛丈H、H、Hが40mm未満の場合、ブラシ毛材48a、48b、48cはシャフト43の近傍、すなわち帯状体46の近傍まで被洗浄面に当接しやすくなり、ブラシ毛材48a、48b、48cの折れ、切れが発生しやすくなり、ブラシロール1の耐久性の低下につながる。一方、ブラシ毛材48a、48b、48cの毛丈H、H、Hが70mmを超える場合、被洗浄面から除去された異物等の対象物がブラシ毛材48a、48b、48cの間に捕捉され、シャフト43の長手方向に移動し難く、効率よく確実に対象物をブラシロール41の外部に排除するのが難しい。
【0069】
ブラシ毛材48aは、上記の如く、毛丈Hが最も長いことから、1本目のブラシ体44aとして構成され、ブラシロール41に形成された場合、被洗浄面にたいする接触面積を広く確保して、繊維クズ等の被洗浄面に軽く添付している柔らかい対象物を、的確に掃き取ることができる。
【0070】
ブラシ毛材48bは、上記の如く、毛丈Hが、ブラシ毛材48aに次いで長いことから、2本目のブラシ体44bとして構成され、ブラシロール41に形成された場合、毛腰を強く設定し、被洗浄面に付着している鉄粉、石等の硬い無機物系の対象物を、迅速に除去することができる。
【0071】
ブラシ毛材48cは、上記の如く、毛丈Hが、最も短いことから、3本目のブラシ体44cとして構成され、ブラシロール41に形成された場合、ブラシ毛材48cの先端部にて、毛腰を極めて強く設定し、被洗浄面に強固に付着している対象物、例えば、塗料ミスト、ペンキ等の合成樹脂を掻き取ることができる。
【0072】
本実施例におけるブラシロール41は、以上のように構成されているので、被洗浄面に付着しているさまざまな性状を有する対象物を、ブラシ毛材48a、48b、48cの異なる接触力、押付力により、効率よく確実に、被洗浄面から除去することができる。
【0073】
(実施例5)
図7(a)は、本発明のブラシロールが搭載された洗浄装置の斜視図、図7(b)は、図7(a)のE−E断面図である。なお、構成の説明を容易にする為に、各部品の軸受け部や、支持部品の図示、説明は省略することとする。
【0074】
図7(a)において、洗浄装置50は、自動車の鋼板60のプレス加工ラインなどに設置され、プレス機等の加工機器(図示せず)に供給される鋼板60などのブランク材を洗浄するもので、平板状の鋼板60をブラシロール51a、51bに送り込む図示しない上下一対の送りロールと、前記送りロールから送り出された鋼板60の両面を洗浄する上下一対にて設置されたブラシロール51a、51bと、ブラシロール51a、51bを回転駆動する駆動手段54と、ブラシロール51a、51b及び/又は鋼板60に洗浄液等の液体を吹き付ける複数のノズル55を有する配管56から構成されている。
【0075】
ブラシロール51a、51bは、略円筒状のシャフト53の外周にブラシ部52が形成されてあり、上記第1、第2、第3、あるいは第4の実施例におけるブラシロール1、41のいずれかと同一である。上部に位置するブラシロール51aは鋼板60の表面を洗浄し、下部に位置するブラシロール51bは鋼板60の裏面を洗浄する。
【0076】
ブラシロール51a、51bは、駆動手段54により、図7(b)の如く、矢印の方向に一定の回転速度で回転している。送りロール(図示せず)によりブラシロール51a、51bに送り込まれた鋼板60は、上部のブラシロール51aと下部のブラシロール51bの間を通過すると共に、ブラシロール51a、51bの有するブラシ部52が鋼板60の両面に当接し、鋼板60の表面、裏面に付着している異物等の対象物(図示せず)を除去する。その際、配管56からノズル55に洗浄液が送り込まれ、ノズル55からブラシロール51a、51b及び/又は鋼板60にたいして洗浄液が噴霧され、洗浄液により対象物が鋼板60から浮き上がりやすくする。
【0077】
上記の如く構成された洗浄装置50の動作、作用は下記の通りである。
【0078】
図示しない送りロールにより鋼板60がブラシロール51a、51bに送り込まれると、各洗浄ノズル55に配管56を通して洗浄液が供給されながら、ブラシロール51a、51b及び/又は鋼板60にたいして洗浄液が噴霧され、鋼板60は回転している上部のブラシロール51aと、下部のブラシロール51bとの間を通過すると共に、上部のブラシロール51aで鋼板60の表面が、下部のブラシロール51bで鋼板60の裏面がそれぞれ洗浄される。
【0079】
鋼板60の表面では、上部のブラシロール51aで擦り取られた塵埃や鉄粉等の対象物が、洗浄液と共に上部のブラシロール51aの一方の端部へ向かって送り出され、洗浄装置50の内部に落下していく。また、鋼板60の裏面では、下部のブラシロール51bで擦り取られた対象物の一部は、洗浄液と共に、直ちに洗浄装置50の内部に落下すると共に、洗浄液の粘着性や表面張力により、ブラシ部52に捕捉された対象物は、下部のブラシロール51bの螺旋状のブラシ部52により、下部のブラシロール51bの一方の端部へ向かって送り出され、洗浄装置50の内部に落下していく。
【0080】
洗浄装置50の内部に落下し、回収された対象物は、汚れた洗浄液と共に排出配管(図示せず)を通って、図示しない濾過装置や、廃液処理装置に送られていく。洗浄液は濾過されて、再び配管56へ送り込まれる。
【0081】
以上のように、本実施例によれば、洗浄性能に優れ、しかも鋼板60の両面にブラシロール51a、51bのブラシ部52によるブラシマークが付き難い洗浄装置50を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明にかかるブラシロール及び洗浄装置は、洗浄性能、異物等の対象物の除去性能に優れたもので、各種洗浄装置、清掃装置、研磨装置、表面処理装置などに幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(a)本発明の第1の実施例におけるブラシロールの部分正面図、(b)ブラシロールの側面図、(c)ブラシ体を前面側から見た斜視図
【図2】本発明の第1の実施例におけるブラシロールの部分断面図
【図3】チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図
【図4】(a)本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する1本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図、(b)本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する2本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図、(c)本発明の第2の実施例におけるブラシロールを構成する3本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の斜視図
【図5】(a)本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する1本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、(b)図5(a)のA−A断面図、(c)本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する2本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、(d)図5(c)のB−B断面図、(e)本発明の第3の実施例におけるブラシロールを構成する3本目のブラシ体に用いられるブラシ毛材の平面図、(f)図5(e)のC−C断面図
【図6】本発明の第4の実施例におけるブラシロールの部分断面図
【図7】(a)本発明のブラシロールが搭載された洗浄装置の斜視図、(b)図7(a)のE−E断面図
【符号の説明】
【0084】
1、41、51a、51b ブラシロール
2、42、52 ブラシ部
3、43、53 シャフト
4a、4b、4c、44a、44b、44c ブラシ体
5、45 チャンネルブラシ
6、46 帯状体
7、47 芯線
8、28a、28b、28c、38a、38b、38c、48a、48b、48c ブラシ毛材
9、49 中空部
10 固定部
25 砥粒
26 撚り糸
27 単糸
29 合成繊維
35 基台
36 縦ロール
37 横ロール
50 洗浄装置
54 駆動手段
55 ノズル
56 配管
60 鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板、非鉄金属板、樹脂板、ガラス板、あるいはフィルム状樹脂組成物等からなる被洗浄面の洗浄、清掃、研磨、表面処理等を行うブラシロールにおいて、前記ブラシロールは、略棒状又は円筒状のシャフトと、前記シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられたブラシ部を有し、前記ブラシ部は断面略U字状の帯状体と、前記帯状体で芯線と共に挟持されるブラシ毛材とで構成されたチャンネルブラシからなるブラシ体が3本以上並列に設けられてあると共に、前記シャフトの外周に螺旋状に巻き回されて形成されてあり、隣り合う前記ブラシ体の隙間は前記帯状体の幅以下にて設定されてあることを特徴とするブラシロール。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなるブラシロールにおいて、隣り合うブラシ体の隙間は略同一にて形成されてあることを特徴とするブラシロール。
【請求項3】
請求項1から2記載の構成よりなるブラシロールにおいて、ブラシ部は少なくとも1本以上のブラシ体が、他のブラシ体と異なるブラシ毛材にて構成されてあることを特徴とするブラシロール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載されたブラシロールと、前記ブラシロールを回転駆動する駆動手段と、前記ブラシロール及び/又は被洗浄面に洗浄液等の液体を吹き付ける複数のノズルを有する洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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