説明

ブラシ及びその製造方法

【課題】従来のブラシに比べて、短時間で製造可能で、交換頻度を低減でき、毛材を支持するキャップ状の支持部材を廃止できるブラシとその製造方法を提供する。
【解決手段】ブラシ装置の取付け部に着脱自在に取付けられるブラシの製造方法において、樹脂製の複数の毛材11からなる毛束の基端部に毛材11を溶かして一体に融着した融着部12を形成してブラシ体10を製作するブラシ体製作工程と、ブラシ装置の取付け部に係合する樹脂製の係合体20を製作する係合体製作工程と、ブラシ体10の融着部12と係合体20とを融着させる接合工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ装置に着脱自在に取付けられるブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車部品のバリを除去するため研磨用のブラシが利用されている。ブラシを構成する毛材は使用に伴って磨耗する。製品の品質を維持するために、一定期間使用したブラシは別の新たなブラシに取り換えられている。
【0003】
ブラシ装置全体の交換は費用が嵩むため、従来より、ブラシ装置に装着されているブラシを交換可能に構成している。図10は従来のブラシ50の概略図である。ブラシ50は、複数の毛材51と、これらの毛材51を支持するキャップ52と、を備えている。
【0004】
毛材51は研磨材を樹脂に含めて構成された線状の部材であり、同じ長さの毛材51が先端位置を揃えて、図示しない針金で束ねられている。これら毛材51の基端部はキャップ52内に入れられている。キャップ52は、円形の底部とこの底部の周縁から立ち上がった円筒形の側壁とから構成されている。これらの側壁と底部とで画成される凹部領域に複数の毛材51の基端部が入れられている。ブラシ50の製造時に、キャップ52の凹部内に接着剤を充填し、この接着剤に基端部が浸るように複数の毛材51をキャップ52に収容する。凹部内に複数の毛材51が入り込むことで、接着剤が複数の毛材51間に浸入する。そして、接着剤が固化するまで放置する。接着剤によって、キャップ52と複数の毛材51、さらに毛材51同士が接着される。このようにして、ブラシ50を製造している。
【0005】
製造されたブラシ50は、ブラシ装置のブラシヘッドに着脱可能に取付けられる。例えば、ブラシヘッドに設けられた取付穴にブラシ50の基端側、つまりキャップ52側を挿入し、取付穴内に進退自在に取付けられたネジを当該取付穴内に入ったキャップ52に押し付けることで、ブラシ50はブラシヘッドに固定される。
【0006】
特許文献1には、磨耗した毛束を新たな毛束に交換することができる回転ブラシが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−287168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図10に示す従来のブラシ50の製造方法は、複数の毛材51をキャップ52に入れる場合に毛材51同士の基端と先端とを揃え、さらに断面円形のキャップ52に入るよう、図示しない針金等で毛材51を束ねる必要があり、作業が煩雑となってしまう。また、複数の毛材51をキャップ52に固定する接着剤を乾燥させる時間、例えば24時間程度を必要とするため、製造時間が長くなってしまう。なお、毛材51のキャップ52内に収容されている部分は使用に供することができないため、その部分が無駄になり交換頻度を高めている。このため、金属製のキャップ52を廃止できるブラシ構造が求められている。
【0009】
本発明は、短時間で製造し得るとともに、ブラシ装置への取り替えが容易で、且つ、毛材を支持するキャップ状の支持部材を廃止して毛材のほぼ全長に亙って使用可能なブラシ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、ブラシ装置の取付け部に着脱自在に取付けられるブラシの製造方法において、樹脂製の複数の毛材からなる毛束の基端部に上記毛材を溶かして一体に融着した融着部を形成することでブラシ体を製作するブラシ体製作工程と、上記ブラシ装置の取付け部に係合する樹脂製の係合体を製作する係合体製作工程と、上記ブラシ体の融着部と上記係合体とを融着させる接合工程と、を含むことを特徴としている。
上記接合工程では、好ましくは、上記ブラシ体の融着部を、径方向からクランプして該ブラシ体の軸線方向の移動を拘束し、上記ブラシ体の融着部と上記係合体とを重ね合わせた後、該ブラシ体の融着部及び/又は係合体を溶融して接合する。
本発明のブラシ製造方法において、上記ブラシ体製作工程で製作されるブラシ体の融着部、及び/又は上記係合体製作工程で製作される樹脂製の係合体には、好ましくは、対向する面に突起が形成されている。例えば、上記突起は、上記係合体の一端面に備えられブラシ体の融着部と接触する樹脂製のリブであり、該リブは、上記一端面に形成された基部と、該基部から一方へ向けて先細りに形成されたテーパ部と、を備えており、上記接合工程において、リブのテーパ部が溶融してブラシ体の融着部と係合体とを接合させる。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、ブラシ装置の取付け部に着脱自在に取付けられるブラシにおいて、樹脂製の複数の毛材からなる毛束の端部に該各毛材が融けて一体に融着した融着部を有するブラシ体と、上記ブラシ装置の取付け部に係合する樹脂製の係合体と、を備え、上記ブラシ体の融着部と上記係合体とが融着していることを特徴としている。
本発明のブラシにおいて、好ましくは、上記ブラシ体と上記係合体とを切断分離するためのカットオフ部が、上記ブラシ体の固着面を境に形成されている。
本発明のブラシにおいて、上記係合体は、好ましくは、一端面に上記ブラシ体の融着部と接触する樹脂製のリブを備え、上記リブは、上記一端面に形成された基部と、該基部から一方へ向けて先細りに形成されたテーパ部と、を備え、上記リブのテーパ部が溶融して上記ブラシ体の融着部と上記係合体とが接合される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、毛材の束を確実に係合体に接合させることができるので、従来の金属製のキャップ52(図10参照)を備えたブラシ50に比べて、製造時間を短くすることができる。
さらに、従来のブラシ50ではキャップ52に収まる部分の毛材51を使用できず無駄な部分が生じていたが、本発明によればキャップ52を廃止し、毛材を基端付近まで無駄なく使用することができる。よって、ブラシの交換頻度を低減させ、長期に亘って使用することができる。また、ブラシ装置への着脱が簡単に行なえ、ブラシの交換が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るブラシの使用例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブラシの側面図である。
【図3】図2のブラシの分解図である。
【図4】本発明の実施形態に係るブラシ体の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る係合体の斜視図である。
【図6】図3のA−A線に沿った部分断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るブラシ体と係合体とを接合するための超音波接合装置の一部を示す側面図である。
【図8】(A)及び(B)は本実施形態に係るブラシ体と係合体とを接合する方法を説明するための図である。
【図9】(A)及び(B)は本実施形態に係るブラシ体と係合体とを接合する方法を説明するための図である。
【図10】従来のブラシを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るブラシ1の使用例を示す図である。本実施形態に係るブラシ1は、ブラシ装置のブラシヘッド100に着脱自在に取付けられて使用に供される。
【0015】
ブラシヘッド100は、図1に示すように、ヘッド本体110と、ヘッド本体110の下面から距離を置いた下方位置に設けられブラシ1を支持するガイド120と、ヘッド本体110の上面中央に設けられた軸受部130と、から構成されている。ヘッド本体110の下面には、図示を省略する複数の取付け穴が刻設されている。これらの取付け穴のそれぞれにブラシ1が取付けられる。ヘッド本体110の底面から下方へ延出したブラシ1は、ガイド120に形成された貫通穴121を通っている。
【0016】
図1に示すように、複数のブラシ1を取付けたブラシヘッド100を、図示を省略する回転機構によって回転させることで当該ブラシヘッド100が回転する。各ブラシ1がワークWに当たり、例えばワークWを研磨する。
【0017】
本実施形態に係るブラシ1は、ワークWの研磨を繰り返すうち、ブラシ1を構成する毛材が徐々に磨耗していく。そのため、例えば一定期間使用後にブラシヘッド100に取付けたブラシ1は新たなブラシ1に取り換えられる。新たなブラシに交換する際、従来のブラシ50のように金属製のキャップ52を用いるとブラシを最初から新たに製造しなければならなくなり、製造時間が長くなってしまうことに加え、製造コストも嵩んでしまう。
【0018】
このため、本発明の実施形態に係るブラシ1は以下のように構成されている。図2は本発明の実施形態に係るブラシ1の側面図を示しており、図3は図2のブラシ1の分解図である。本実施形態に係るブラシ1は、ブラシ体10と係合体20とで構成されている。
【0019】
ブラシ体10は、樹脂で線状に形成された複数の毛材11を束ねて構成されている。各毛材11は同じ寸法に設定されており、各毛材11の基端部同士が連結されて構成されている。具体的には、ブラシ体10は、複数の毛材11からなる毛束の端部に各毛材11が融けて一体に溶着した融着部12を有する。この融着部12は係合体20と当接するための固着面13(図3参照)を有する。
各毛材11は、例えばポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂で構成されている。上記融着部12は、次のようにして形成される。すなわち、図4(A)に示すように複数の毛材11を束ねて、図4(B)に示すように毛材をプレート150に押し当てる。このとき、プレート150は毛材を構成する樹脂が溶融する温度に加熱されている。すると、各毛材11の基端部分が融けて、それらを冷却して固化させることで融着部12(図3)が形成される。これにより、毛材の基端部は互いに溶着されることで融着部12を形成する。
【0020】
図5は本発明の実施形態に係る係合体20の斜視図である。係合体20は、円盤状に樹脂で形成された支持部21と、ブラシ体10の固着面13に対向する面に、この支持部21の一端面を刻設して形成されたリブ22と、支持部21の底面側に埋め込まれた金属製のナット(図2の一点鎖線参照)23と、から構成されている。
支持部21の断面は、ブラシ体10の融着部12の固着面13と同じ円形に形成されている。
【0021】
図6は図3のA−A線に沿った部分断面図である。リブ22は、支持部21の上面21Aから上方へ突出するように形成されている。具体的には、リブ22は、支持部21の上面21Aの中心C(図5参照)と同じ位置に中心を持つ仮想の円に沿ってリング状に形成されている。なお、リブ22は、支持部21の上面21Aで外周縁21B寄りの位置に設けられている。これは、リング状を成すリブ22がブラシ体10との接合箇所を構成し、この接合箇所に加わる力、つまりブラシヘッド100に取付けられた状態でブラシヘッド100の回転に伴って加わる力にブラシ体10との接合が耐えられるようにするためである。
【0022】
また、図6に示すように、リブ22は、断面四角形状の基部22Aと、基部22Aの上端からさらに上方へ向かうにつれて先細に形成されたテーパ部22Bと、から構成されている。基部22Aと、テーパ部22Bとは、樹脂製の支持部21を刻設して一体に形成されている。
【0023】
ナット23は、ブラシ体10と共に係合体20をブラシヘッド100に取付けるためのものであり、ブラシヘッド100に設けられた図示を省略するボルトと係合する。
なお、ナット23と支持部21とは、例えば型内にナット23を入れたモールド成形によって一体的に形成される。
【0024】
図7は本実施形態に係るブラシ体10と係合体20とを接合するための超音波接合装置200である。210は振動を係合体20に伝達するホーンであり、具体的には超音波振動の振幅を、係合体20に対して適正な幅に調整するものである。220はホーン210を支持するベース、230は係合体20を位置決めするガイド、240はブラシ体10を固定するコレットチャックである。
【0025】
ホーン210は、振動体211と、振動体211に振動を与えるピエゾ素子212と、を備えている。本実施形態では振動体211は円柱状に形成され、振動体211の振動面211Aが平坦に形成されている。係合体20は振動体211の振動面211Aに載置される。なお、上述の超音波振動をつくり出すものとしてピエゾ素子の例を示したが、振動による摩擦熱で接合される面において融着が発生するのであれば、その振動は超音波域でなくてもかまわない。
【0026】
ガイド230は、振動体211の振動面211Aに載置された係合体20の位置決めを行う。ガイド230の上面231は平坦に形成されており、この上面231上に後述するコレットチャック240の下端が当接するように設けられている。
【0027】
コレットチャック240は、外側に配置される筒状のスリーブ部241と、内側に配置される筒状のチャック部242と、から構成されている。スリーブ部241の内周面241Aはチャック部242が入り込む下側の開口から上側の開口までが次第に径が狭くなるテーパ面として形成されている。チャック部242は、スリーブ部241のテーパ面を摺動するように、外周部242Aが下側から上側に行くにつれて次第に径が狭くなるテーパ面として形成され、さらに内周部242Bの下端部には、ブラシ体10の融着部12の側面を把持するように突起部242Cが設けられている。なお、チャック部242とスリーブ部241との相対的な位置関係は、例えばチャック部242がスリーブ部241の内側への侵入量が大きくなるに従って突起部242C同士の間隔が狭くなるように構成されている。
【0028】
このように構成された超音波接合装置200を利用してブラシ体10と係合体20とを接合する方法について説明する。なお、説明図の図8、図9では係合体20のリブ22に構成された基部22Aの表記は省略している。
先ず図8(A)に示すように、コレットチャック240を拡開した状態で振動体211の振動面211Aに係合体20を載置する。このとき、係合体20のリブ22を有する上面21Aをコレットチャック240側に向けて配置する。
【0029】
次に、図8(B)に示すように、ブラシ体10を係合体20上に載置する。この際、ブラシ体10の融着部12の固着面13を係合体20に向けて配置する。リブ22のテーパ部22Bがブラシ体10の融着部12と接触する。
【0030】
次に、図9(A)に示すように、スリーブ部241を下げて、チャック部242をスリーブ部241内に押し込む。これにより、チャック部242が縮径して突起部242Cによってブラシ体10の融着部12の側面が挟持される。このようにして、ブラシ体10がコレットチャック240によって固定される。このようにブラシ体10は、振動体211の振動面211Aに置かれた係合体20に当接した状態で固定されて、一定の位置に保持される。
【0031】
図9(B)に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)212に高周波を付与して係合体20に超音波振動が与えられる。この振動を与えつつ、ベース220を上方へホーン210と共に移動させて、所望の押し付け荷重で係合体20をブラシ体10に押し付ける。押し付け荷重はホーン210が移動している間、一定の荷重であっても、又は位置に応じて荷重を変えてもかまわない。このとき、係合体20のリブ22の内、テーパ部22Bが融けてこれが広がり、この溶融部分がブラシ体10の固着面13に接合する。ブラシ体10を構成する樹脂と係合体20を構成する樹脂とが同じ材料、例えば両者がPBTで構成されていることで、係合体20とブラシ体10とが強固に接合する。リブ22の基部22Aが溶融しないよう、上述のとおり所望の押し付け荷重で係合体20をブラシ体10に押し付けているので、図2に示すように、基部22Aはブラシ1のブラシ体10と係合体20との間に残る。この基部22Aはブラシ体10と係合体20とを分離するためのカットオフ部として、係合体20の再利用時に機能する。上記した実施形態では、支持部21の一端面を刻設することでリブ22を形成した例を示したが、支持部21の一端面には突起があればよく、その突起は一端面全域に一様にあってもかまわない。例えば、ローレット目を、一端面に施してもかまわない。また、支持部21の一端面に対向するブラシ体10の固着面13(図3参照)に、例えば、リブやローレット目を設けてもよい。
【0032】
振動開始後、所定時間経過したら振動と押し付け動作とを停止する。ベース220を下げ、さらにコレットチャック240の内部を拡開して、ブラシ1を取り出す。このようにして、ブラシ1を製造することができる。
【0033】
製造されたブラシ1は、図1に示すようにブラシヘッド100に取付けられて使用に供される。そして、繰り返しの使用により一定期間過ぎると、ブラシの毛材が磨耗するためブラシヘッド100から取り外される。本実施形態のブラシ1は、ブラシヘッド100から取り外された後、そのまま廃棄されるのではなく、係合体20を再利用することができる。このため、ブラシ1のブラシ体10と係合体20との境界のカットオフ部、つまりリブ22の基部22Aを切断することで、ブラシ体10と係合体20とを分離することができる。分離した係合体20は、再使用できるように、係合体20の上面側を加工して、リブ22を再度形成する。
【0034】
本実施形態に係るブラシ1は、摩擦圧接、例えば超音波溶着によって毛材11の束を係合体20に接合させることができるので、従来の金属製のキャップ52(図10参照)を備えたブラシ50に比べて、製造時間を短縮することができる。また、ブラシの使用後、係合体20を再利用するとき、ブラシ体10の固着面13全体に係合体20が密着しているのではなく、リブ22の周辺だけがブラシ体10に接合し、その他の領域ではブラシ体10と係合体20とは接合していない。このため、カットオフ部だけに切れ込みを入れるだけで、ブラシ体10と係合体20とを容易に分離することができる。また、カットオフ部を成すリブ22の基部22Aが、支持部21の外周と融着部12の外周より若干内側に入り込んでいるため、カットオフすべき位置の目印として機能する。
さらに、従来のブラシ50ではキャップ52に収容した基端部分の毛材51を使用することができなかったが、本実施形態ではキャップ52を廃止し、毛材11を根元付近まで無駄なく使用することができるので、交換頻度を低減化でき、従来のブラシ50より長期に亘って使用することができる。本発明では、キャップ52を廃止したことに伴い、図示しない針金等で毛材51を束ねてキャップに収容する作業を省略することができることに加えて、使用限度となったブラシ50の廃棄物の発生が削減される。
【0035】
以上説明したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
例えば、ブラシの用途はワークの研磨用に限定されるものではなく、洗浄、清掃、表面処理等に用いるものでもよい。また、ワークは金属製に限らず、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状樹脂組成物等でもよい。
ブラシを構成する毛材も上記説明例に限定されるものではなく、例えば研磨材を省略して構成されてもよい。
ブラシ体10の固着面にリブ22を形成してもよい。このリブ22やローレット目などの溶融部分をブラシ体10に形成する場合は、ブラシ体10と係合体20との摩擦圧接時に、ブラシ体10を係合体20に押し当てるようにして一体化させて構成してもよい。
ブラシ体と係合体を構成する樹脂材料は、PBT以外のものを使用してもよい。
また、ブラシ体が光透過性樹脂材料或いは光吸収性樹脂材料で構成され、係合体が光吸収性樹脂材料或いは光透過性樹脂材料で構成されている場合、上記の摩擦圧接(超音波溶着)に代えて、レーザー透過溶着法によって、ブラシ体と係合体とを接合することができる。この場合、光吸収性樹脂の部品と光透過性樹脂の部品とを所望の圧力で重ね合わせ、光透過性樹脂の外側から境界面へ向けてレーザービームを照射すると、光吸収性樹脂の部品の境界面付近で発熱し、光吸収性樹脂の境界部分と光透過性樹脂の境界部分とが溶融し、それらを固化することで、ブラシ体と係合体とを接合することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ブラシ
10 ブラシ体
11 毛材
12 融着部
13 固着面
20 係合体
21 支持部
22 リブ
22A 基部
22B テーパ部
23 ナット
100 ブラシヘッド
110 ヘッド本体
120 ガイド
130 軸受部
200 超音波接合装置
210 ホーン
211 振動体
212 ピエゾ素子
220 ベース
230 ガイド
240 コレットチャック
241 スリーブ部
242 チャック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ装置の取付け部に着脱自在に取付けられるブラシの製造方法において、
樹脂製の複数の毛材からなる毛束の基端部に上記毛材を溶かして一体に融着した融着部を形成したブラシ体を製作するブラシ体製作工程と、
上記ブラシ装置の取付け部に係合する樹脂製の係合体を製作する係合体製作工程と、
上記ブラシ体の融着部と上記係合体とを融着させる接合工程と、を含むことを特徴とするブラシ製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のブラシ製造方法において、
上記接合工程において、
上記ブラシ体の融着部を、径方向からクランプして該ブラシ体の軸線方向の移動を拘束し、
上記ブラシ体の融着部と上記係合体とを重ね合わせた後、該ブラシ体の融着部及び/又は係合体が溶融して接合することを特徴とするブラシ製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のブラシ製造方法において、
上記ブラシ体製作工程で製作されるブラシ体の融着部及び/又は上記係合体の製作工程で製作される樹脂製の係合体には、対向する面に突起が形成されることを特徴とするブラシ製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のブラシ製造方法において、
上記突起は、上記係合体の一端面に備えられ上記ブラシ体の融着部と接触する樹脂製のリブであり、
上記リブは、上記一端面に形成された基部と、該基部から一方へ向けて先細りに形成されたテーパ部と、を備えており、
上記接合工程において、上記リブのテーパ部が溶融して上記ブラシ体の融着部と上記係合体とを接合させることを特徴とするブラシ製造方法。
【請求項5】
ブラシ装置の取付け部に着脱自在に取付けられるブラシにおいて、
樹脂製の複数の毛材からなる毛束の端部に該各毛材が融けて一体に融着した融着部を有するブラシ体と、
上記ブラシ装置の取付け部に係合する樹脂製の係合体と、を備え、
上記ブラシ体の融着部と上記係合体とが融着していることを特徴とするブラシ。
【請求項6】
請求項5に記載のブラシにおいて、
上記ブラシ体と上記係合体とが切断分離するためのカットオフ部が、上記ブラシ体の固着面を境に形成されていることを特徴とするブラシ。
【請求項7】
請求項5又は6記載のブラシにおいて、
上記係合体は、一端面に上記ブラシ体の融着部と接触する樹脂製のリブを備え、
上記リブは、上記一端面に形成された基部と、該基部から一方へ向けて先細りに形成されたテーパ部と、を備え、
上記リブのテーパ部が溶融して上記ブラシ体の融着部と上記係合体とが接合されていることを特徴とするブラシ。
【請求項8】
請求項7記載のブラシにおいて、
上記係合体から摩耗したブラシ体を切断分離するためのカットオフ部を、上記基部に設けたことを特徴とするブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−31537(P2013−31537A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168845(P2011−168845)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(390015266)ステイト工業株式会社 (3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】