説明

ブラシ及び洗浄具

【課題】 汚れや異物などを十分に除去することができるブラシ及び該ブラシを備えた洗浄具を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係るブラシは、基部と、該基部に多数立設される可撓性を有する毛部とを備え、前記毛部の、基端部を除く少なくとも先端部には、研磨性を有する研磨部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄全般に用いられるブラシ及びこれを備えた洗浄具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を洗浄するために用いられるブラシとして、例えば、基部上に可撓性を有する毛部を多数植設して構成される足洗いマットが公知である(特許文献1)。
【0003】
かかる足洗いマットにあっては、足を洗うべく毛部に足を載せて擦りつけると、足裏に毛部が接触し、或いは足指間に可撓性のある毛部が入り込み、足裏や足指間の皮膚が毛部によって適度な強さで刺激されつつ、その皮膚に付着した垢や汚れを毛部によって擦り落として除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−325373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の足洗いマットにあっては、毛部が可撓性を有する柔らかいものであるため、比較的簡単に除去できる垢や汚れは十分に除去することができるが、例えば足裏の硬い角質など、簡単には除去できないような汚れや異物は十分に除去することができないという点で改善の余地があった。尚、かかる点は、足洗いマットに限らず、例えば人の手指や体を洗うブラシや調理器具を洗うブラシ、或いは、床やタイルなどを洗うブラシなど、洗浄全般に用いるブラシに共通するものである。
【0006】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたもので、汚れや異物などを十分に除去することができるブラシ及び該ブラシを備えた洗浄具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るブラシは、上記課題を解決するためになされたもので、基部と、該基部に多数立設される可撓性を有する毛部とを備え、前記毛部の、基端部を除く少なくとも先端部には、研磨性を有する研磨部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成からなるブラシにあっては、基部に立設される毛部の、基端部を除いた少なくとも先端部に、研磨性を有する研磨部が設けられているため、洗浄対象(例えば、足裏や調理器具、床など)を洗浄すべく、洗浄対象をブラシに擦りつける、或いは、洗浄対象にブラシを擦りつけると、毛部は、研磨部が設けられていない基端部を主として全体が撓んで洗浄対象の形状によくなじみ、先端部側の研磨部が洗浄対象にしっかりと当接し、該研磨部で当接部分を研ぐように汚れや異物などを削り取って研磨することができる。従って、例えば、足裏の硬い角質や調理器具の焦げ付いた汚れ、或いは、床やタイルの汚れなどの簡単に除去することができない汚れや異物であっても十分に除去することができる。
【0009】
また、本発明に係るブラシでは、前記研磨部は、前記毛部の表面に、研磨材が塗付されて形成された研磨層であることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、研磨層によって洗浄対象に当接している部分を研ぐように、汚れや異物などを削り取って研磨することができ、研磨性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係るブラシでは、前記毛部は、先端部側ほど細くなる先細り形状をなし、隣り合う毛部同士の離間間隔は、3〜10mmであることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、洗浄対象をブラシに(或いは、洗浄対象にブラシを)擦りつけると、多数の毛部は、3〜10mmの離間間隔を有して、それぞれが基端部を主として撓んで全体として洗浄対象の形状になじむので、洗浄対象のブラシと擦り合っている領域に毛部が満遍なく当接し、しかも、洗浄対象に狭い部分(例えば、足指の間や調理器具の溝部など)がある場合には、その狭い部分に先細りした先端部(研磨部が設けられている)が入り込む。よって、容易に且つ効果的に洗浄対象の汚れや異物などを削り取って研磨することができる。
【0013】
また、本発明に係るブラシでは、前記毛部の長さは5〜30mmであり、隣り合う毛部同士の離間間隔は3〜10mmであることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、洗浄対象をブラシに(或いは、洗浄対象にブラシを)擦りつけると、多数の毛部は、3〜10mmの離間間隔を有し、それぞれが5〜30mmの長さを有して柔軟に撓んで洗浄対象の形状によくなじむので、洗浄対象のブラシと擦り合っている領域に毛部が満遍なく当接する結果、容易に且つ効果的に洗浄対象の汚れや異物などを削り取って研磨することができる。さらに、洗浄対象とブラシとが擦れ合っている領域において、洗浄中に、各毛部が互いに擦れ合うため、例えば石鹸等の洗剤を用いて洗浄する際に、洗剤の泡立ちを促進させることができる。
【0015】
また、本発明に係る洗浄具は、前記のいずれかに記載のブラシと、抗菌性を有する洗剤とを備えてなることを特徴とする。
【0016】
かかる構成からなる洗浄具によれば、前記ブラシによって、洗浄対象の汚れや異物などを削り取って研磨することができるとともに、洗剤の界面活性作用により汚れ等の除去を促進することができ、また、洗剤の抗菌作用によって、洗浄対象の研磨した部分における洗浄後の細菌の繁殖を抑制することができる。さらに、洗浄の際の洗剤の泡立ちを良くすることができるため、洗剤の界面活性作用を効果的に高めて洗浄効果を向上させることができる。従って、例えば、足裏の硬い角質や調理器具の焦げ付いた汚れ、或いは、床やタイルの汚れなどの簡単に除去することができない汚れや異物であっても極めて十分に除去することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るブラシ及び該ブラシを備えた洗浄具によれば、毛部の、基端部を除いた少なくとも先端部に、研磨性を有する研磨部が設けられているので、洗浄対象を洗浄すべく洗浄対象をブラシに擦りつける(或いは、洗浄対象にブラシを擦りつける)と、ブラシの毛部が撓んで洗浄対象の表面形状によくなじみ、研磨部によって洗浄対象の表面を研ぐようにして、汚れや異物などを十分に除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るブラシを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】同ブラシに係る毛部を示す図であって、(a)は毛部の通常状態を示す断面図、(b)は毛部が撓んだ状態を示す断面図である。
【図3】他実施形態に係るブラシにおける毛部の斜視図であって、(a)は先端部側が十字溝形状である毛部の斜視図であり、(b)は先端部側が天面凸形状である毛部の斜視図であり、(c)は先端部側が球形状である毛部の斜視図である。
【図4】他実施形態に係るブラシにおける毛部の斜視図であって、(a)は先端部側が縦リブ形状である毛部の斜視図であり、(b)は先端部側が縦溝形状である毛部の斜視図であり、(c)は先端部側が側面凸形状である毛部の斜視図であり、(d)は先端部側が側面凹形状である毛部の斜視図である。
【図5】他実施形態に係るブラシにおける毛部の斜視図であって、(a)は先端部側が横リブ形状である毛部の斜視図であり、(b)は先端部側が横溝形状である毛部の斜視図である。
【図6】他実施形態に係るブラシにおける毛部の斜視図であって、(a)は先端部側がテーパー状である毛部の斜視図であり、(b)は先端部側がテーパーR形状である毛部の斜視図であり、(c)は先端部側がストレート形状である毛部の斜視図であり、(d)は先端部側がストレートR形状である毛部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るブラシの一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
図1に、本実施形態に係るブラシ1が示されている。このブラシ1は、人の足裏(角質や汚れ等)を洗浄するために用いられるもので、足裏を擦りつけて使用される。具体的には、ブラシ1は、基部2と、該基部2に多数立設される可撓性を有する毛部3とを備えて構成されている。尚、ブラシ1(即ち、基部2と毛部3)は、可撓性(或いは弾力性)を有する素材であって、合成樹脂からなる樹脂成形体(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー樹脂)として、一体成形されてなる。
【0021】
本実施形態に係る基部2は、表裏面が平坦な平板状の本体部21と、該本体部21の周縁に設けられている縁部22とを備えてマット状に構成されている。ここで、縁部22は、内端部が2a側に突出し、外端部が2b側に突出するように構成されている。また、本体部表面2aには、後述の多数の毛部3が立設され、本体部裏面2bには、本体部21を床や傾斜面、壁等に吸着固定させるための吸盤23が多数設けられている。尚、これら多数の吸盤23は、本体部裏面2bの全面に亘るように互いに離間して配置されており、特に足の土踏まずに対応する中央領域が、足先や踵に対応する他の領域よりも密になるように離間間隔をつめて配置されている。また、基部2は、可撓性(或いは弾力性)を有する素材であって、合成樹脂からなる樹脂成形体(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー樹脂)である。
【0022】
本実施形態に係る毛部3は、直線状の棒形状をなし、その長手方向の基端部31が基部2に固定されて該基部2に対して立設されている。具体的には、毛部3は、基端部31から先端部側32aに向けて徐々に細径となる先細り形状(テーパー状で平面視略円形状、つまり円錐形状)であり、その先端部32は、図2(a)に示すように、上面が平坦で平面視略円形状の、上方ほど径が大きくなるような正面視杯形状(以下、杯形状)に構成されている。また、この毛部3は、長さが20mm、樹脂硬度が40度(JIS-K6253のデュロメータータイプA(ショアA)硬度)、基端部側31aの直径が2.8mm、先端部側32aの直径が1.7mm、先端部32の上面の直径が3.5mm(つまり、先端部32の上面の直径は基端部側31aの直径よりも大きい)で構成されている。尚、多数の毛部3のうち、足の指に対応する基部2の本体部表面2aの前方側Xに設けられている毛部3における基端部側31aの直径及び先端部側32aの直径は、足の踵に対応する後方側Yに設けられている毛部3における各直径よりもわずかに大きくなっている。例えば、前方側Xの毛部3の基端部側31aの直径は3.0mmであり、先端部側32aの直径は1.9mmである。
【0023】
また、毛部3は、基部2の本体部表面2aの全面に亘って、互いに離間して複数立設され、隣り合う毛部3同士の離間間隔(基部2の前後(XY)方向とそれに直交する左右方向の離間間隔)が6mmで構成されている。尚、毛部3は、可撓性(或いは弾力性)を有する素材であって、合成樹脂からなる樹脂成形体(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー樹脂)である。
【0024】
また、毛部3は、その長手方向の基端部31を除く少なくとも先端部32に、研磨性を有する研磨部33が設けられて構成される。具体的には、研磨部33は、毛部3の基端部31よりも先端側の領域のうち、少なくとも先端部32に設けられている。本実施形態では、研磨部33は、毛部3の先端部32から長手方向中央部にかけて設けられており、具体的には、先端部32から長手方向に沿って5mm程度の長さに亘って設けられている。尚、毛部3の研磨部33は、図2(a),(b)においてハッチングを用いて簡略して示し、他の図においては図示を省略している。
【0025】
本実施形態に係る研磨部33は、毛部3の表面に、研磨材が塗付されて形成された研磨層からなる。研磨材は、例えば炭化ケイ素、トルマリン、アルミナ、ガラスのいずれか一つ或いは複数からなり、好ましくは、アルミナからなる。また、研磨材の粒径は、1〜100μmからなり、好ましくは、3〜60μmからなる。
【0026】
ここで、本実施形態に係るブラシ1の成形について説明する。上記構成のブラシ1は、インジェクション成形(射出成型)によって、所定の金型に注入口(図1(a)の溶融樹脂注入口痕Rに対応)を介して溶融樹脂(合成樹脂)を注入して充填し、研磨部33を除き全体が一体的に成形されている。このようにして成形された樹脂成形体の毛部3の先端部側32aに、ウレタン系やアクリル系の接着剤を介して研磨材を塗付して毛部3の表面に薄膜状の研磨層である研磨部を形成する。ここで、塗付は、接着剤と研磨材との配合割合が3:7であるような塗料を、毛部3の先端部側32aにスプレー等で噴きつけ、或いは、前記塗料を入れた容器に、毛部3の先端部側32aを漬けることによってなされる。
【0027】
上記構成からなる、本実施形態に係るブラシ1は、足裏を洗浄すべく、本体部裏面2bを床等に吸着固定して、本体部表面2aに対して足裏を擦りつけて使用される。詳細に説明すると、ブラシ1は、本体部裏面2bの吸盤23を床等に吸着させてブラシ1を固定する。そして、本体部表面2aの毛部3に対して、径が比較的大きくなっている前方側Xの毛部3に足指を載置させ、また後方側Yの毛部3に足の踵を載置させて、足を前後に動かして足裏を毛部3に擦りつける。足裏を擦りつけた際には、毛部3は、例えば図2(b)に示すように、研磨部33が設けられていない基端部31を主として全体が撓む。尚、ブラシ1は、両足で使用することも、右足又は左足の一方だけで使用することも可能である。
【0028】
また、本実施形態に係るブラシ1は、上記のような足裏を洗浄するために単独で使用される他、抗菌性を有する洗剤と共に洗浄具(つまり、本実施形態に係る洗浄具は、ブラシ1と、抗菌性を有する洗剤とを備えて構成される)として使用される。洗剤は、例えば石鹸や合成洗剤等であり、本実施形態では抗菌性を有する石鹸である。石鹸の使用に際しては、ブラシ1が例えば本体部裏面2bの吸盤23によって床等に吸着固定された状態で、本体部表面2aの毛部3の先端部側32aに対して、水に濡らした石鹸を擦りつける。石鹸を擦りつけた際には、石鹸は、研磨部33と擦れ合って泡立ち、その泡は、ブラシ1(基部2や毛部3)に付着する。そして、ブラシ1(基部2や毛部3)に石鹸の泡が付着した状態で、足をブラシ1に載置させ、足裏を毛部3に擦りつける。
【0029】
以上のように、本実施形態に係るブラシ1によれば、基部2に立設される毛部3の、基端部31を除いた少なくとも先端部32に、研磨性を有する研磨部33が設けられているため、足裏を洗浄すべく、足裏をブラシ1に擦りつける、或いは、足裏にブラシ1を擦りつけると、毛部3は、研磨部33が設けられていない基端部31を主として全体が撓んで足裏の形状によくなじみ、先端部側32aの研磨部33が足裏にしっかりと当接し、該研磨部33で当接部分を研ぐように汚れや異物などを削り取って研磨することができる。従って、足裏に硬い角質があっても十分に除去することができる。さらに、ブラシ1は、樹脂成形体であるため、撥水性によって、洗浄後のブラシ1表面に汚れが付着しにくく衛生的に使用できる。
【0030】
また、研磨部33は、毛部3の表面に、研磨材が塗付されて形成された研磨層であるため、研磨層によって足裏に当接している部分を研ぐように、角質や汚れなどを削り取って研磨することができ、研磨性を向上させることができる。
【0031】
また、研磨部33は、例えば粒径3〜60μmのアルミナの微粒子からなるため、足裏を研磨する際に、肌触り感が良く、足裏を優しく円滑に研磨できる。
【0032】
また、毛部3は、先端部側32aほど細くなる先細り形状をなし、隣り合う毛部3同士の離間間隔が、6mmで密集して設けられているため、足裏をブラシ1に(或いは、足裏にブラシ1を)擦りつけると、多数の毛部3は、6mmの離間間隔を有して、それぞれが基端部31を主として撓んで全体として足裏の形状になじむので、足裏のブラシ1と擦り合っている領域に毛部3が満遍なく当接し、しかも、足裏の狭い部分(例えば、足指の間)に先細りした先端部32(研磨部33が設けられている)が入り込む。よって、容易に且つ効果的に足裏の汚れや異物などを削り取って研磨することができる。
【0033】
また、毛部3の先端部32は杯形状をなしているため、先端部側32aの形状に即して塗付された研磨材が先端部32に保持される。即ち、毛部3には、研磨部33(研磨層)を構成する研磨材を毛部3に対して保持する研磨材保持部が形成されているので、研磨材が毛部3に保持されて該毛部3からの剥離が抑制され(阻止され)、研磨材の耐久性を向上させることができる。また、先端部32における杯形状上面周縁は尖って形成されているため、研磨部33による研磨性を向上せることができる。
【0034】
また、毛部3の長さは20mmであり、隣り合う毛部3同士の離間間隔は6mmであるため、足裏をブラシ1に(或いは、足裏にブラシ1を)擦りつけると、多数の毛部3は、6mmの離間間隔を有し、それぞれが20mmの長さを有して柔軟に撓んで足裏の形状によくなじむので、足裏のブラシ1と擦り合っている領域に毛部3が満遍なく当接する結果、容易に且つ効果的に足裏の汚れや異物などを削り取って研磨することができる。さらに、足裏とブラシ1とが擦れ合っている領域において、洗浄中に、各毛部3が互いに擦れ合うため、例えば石鹸等の洗剤を用いて洗浄する際に、洗剤の泡立ちを促進させることができる。
【0035】
また、毛部3は、先端部側32aほど細くなる先細り形状をなし、基端部側31aの直径が2.8mm(3.0mm)、先端部側32aの直径が1.7mm(1.9mm)であるため、足裏をブラシ1に(或いは、足裏にブラシ1を)擦りつけると、各毛部3が基端部31を主として全体が柔軟に撓み、多数の毛部3が全体として足裏の表面形状によくなじみ、各毛部3の先端部側32aの研磨部33が足裏の表面にしっかり当接する結果、容易に且つ効果的に足裏の汚れや異物などを削り取って研磨することができる。
【0036】
また、毛部3は、樹脂成形体であって、その樹脂硬度は40度であるため、毛部3の可撓性(或いは弾力性)を向上させることができ、足裏の洗浄時に毛部3に足裏を擦りつけた際に、毛部3は極めて柔軟に撓むことができる。
【0037】
また、多数の毛部3のうち、足の指に対応する基部2の本体部表面2aの前方側Xに設けられている毛部3における基端部側31aの直径及び先端部側32aの直径は、足の踵に対応する後方側Yに設けられている毛部3における各直径よりもわずかに大きくなっているため、足指間の隙間に前方側Xの毛部3が程よく入り込んでしっかり当接し、足裏をブラシ1に擦りつけた際には、足指間の汚れや角質を容易に且つ効果的に削り取って研磨することができる。
【0038】
また、ブラシ1の本体部裏面2bには、吸盤23が設けられているため、ブラシ1を床等に吸着固定でき、ブラシ1に対して、足裏を容易に擦りつけることができる。
【0039】
また、多数の吸盤23は、本体部裏面2bの全面に亘るように互いに離間して配置されており、特に足の土踏まずに対応する中央領域が、足先や踵に対応する他の領域よりも密になるように離間間隔をつめて配置されているため、例えば足裏をブラシ1に強く擦りつけた場合であっても、ブラシ1の前後方向中心部分がぶれることなく吸着固定された状態を保持し、足裏を円滑にブラシ1に擦りつけることができる。
【0040】
また、基部2の本体部表面2aには、周縁に縁部22が設けられているため、足裏の洗浄時に洗剤や水等を使用するに際し、これらを本体部表面2aに溜めておくことができ、洗剤の泡立ちを促進させることができる。
【0041】
また、洗浄具は、ブラシ1と、抗菌性を有する石鹸(洗剤)とを備えて構成されるため、前記ブラシ1によって、足裏の汚れや異物などを削り取って研磨することができるとともに、石鹸の界面活性作用により汚れ等の除去を促進することができ、また、石鹸の抗菌作用によって、足裏の研磨した部分における洗浄後の細菌(例えば水虫の原因となる白癬菌)の繁殖を抑制することができる。さらに、洗浄の際の洗剤の泡立ちを良くすることができるため、石鹸の界面活性作用を効果的に高めて洗浄効果を向上させることができる。従って、足裏の硬い角質であっても極めて十分に除去し、除去後においても足裏の細菌発育が抑制されて清潔感を維持することができる。
【0042】
尚、本発明のブラシ1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0043】
本実施形態においては、ブラシ1は、足裏を洗浄すべくマット状に構成される場合について説明したが、これに限らず、ブラシは、例えば調理具や床等を洗浄すべく掃除用具用であって、所謂亀の子たわしのようなタワシ状、スポンジ状やデッキブラシ状に構成されても好い。ここで、例えば、スポンジ状のブラシは、略立方体状の合成スポンジの一面(基部)に対向する他面に研磨材を塗付し、該他面に複数の切れ目(例えば采の目)を設けて、多数の毛部を形成してなり、また、デッキブラシ状のブラシは、棒状の柄と、該柄の一端に設けられた平板状で平面視略長方形の基部と、該基部に多数立設される可撓性を有する毛部とを備え、前記毛部の、基端部を除く少なくとも先端部には、研磨性を有する研磨部が設けられてなる。かかる掃除用具用のブラシでは、調理器具の焦げ付いた汚れ、或いは、床やタイルの汚れなどの簡単に除去することができない汚れや異物であっても極めて十分に除去することができる。
【0044】
その他にも、ブラシ1は、化粧分野等の用途であって、例えば肘や膝等の身体の部位を洗浄や刺激するように使用(構成)されることも可能であり、この場合、ブラシは、例えば、棒状の基部と、該基部の長手方向一方側表面に多数立設される可撓性を有する毛部とを備え、前記毛部の、基端部を除く少なくとも先端部には、研磨性を有する研磨部が設けられてなる。かかるブラシでは、洗浄効果に加え、美容や美肌効果をもたらすことができる。
【0045】
また、本実施形態においては、毛部3は、合成樹脂からなる樹脂成形体で構成される場合について説明したが、これに限らず、毛部は、可撓性(或いは弾力性)を有する素材であって、獣毛或いは天然繊維(例えば、ヤシの木の繊維など)で構成されても好い。
【0046】
また、本実施形態においては、毛部3は、先端部側32aほど細くなる先細り形状をなして構成される場合について説明したが、これに限らず、毛部は、径が一定となるように構成されることも可能である。
【0047】
また、本実施形態においては、毛部3は、基端部側31aの直径が2.8mm、先端部側32aの直径が1.7mm、長さが20mmで構成される場合について説明したが、これに限らず、毛部は、基端部の直径が1.8〜4.1mmの範囲、先端部側の直径が0.7〜3.0mmの範囲、長さが5〜30mmの範囲で構成することが可能である。
【0048】
また、本実施形態では、多数の毛部3のうち、足の指に対応する基部2の本体部表面2aの前方側Xに設けられている毛部3における基端部側31aの直径及び先端部側32aの直径は、足の踵に対応する後方側Yに設けられている毛部3における各直径よりもわずかに大きくなっている場合について説明したが、これに限らず、前方側の毛部が後方側の毛部の各直径と同じように構成されても好いし、洗浄対象の表面形状に応じて変更することも可能である。
【0049】
また、本実施形態においては、毛部3は、隣り合う毛部3同士の離間間隔が6mmで構成される場合について説明したが、これに限らず、毛部は、隣り合う毛部同士の離間間隔が3〜10mmの範囲で構成することが可能である。
【0050】
また、本実施形態においては、毛部3は、基部2と一体的に構成される場合について説明したが、これに限らず、毛部は、基部とは別に成形されて、基端部側を基部に取り付けて設けるように構成されても好い。
【0051】
また、本実施形態においては、毛部3は、全ての長さが20mmで多数設けられる場合について説明したが、これに限らず、毛部は、長さが足裏の形状に対応して、例えば、足の土踏まずに対応する基部の本体部表面の中央側、足指に対応する前方側、足の踵に対応する後方側の順に長くなるように構成(即ち、中央側が一番長く、次に前方側が長くなるように構成)されても好い。或いは、基部2は、本体部表面2aが両足裏の形状に対応して、例えば、中央側に足の土踏まずに対応した凸状の膨らみ部を設けて構成されても好い。
【0052】
また、本実施形態においては、毛部3の研磨材保持部(先端部32)は、上面が平坦な正面視杯形状となる場合について説明したが、これに限らず、毛部の研磨材保持部(先端部)は、研磨部(研磨層)を構成する研磨材を毛部に対して保持する凹凸形状を採用することが可能である。例えば、毛部の先端部側は、上面中央部が上面周縁に対して窪んだ凹状の正面視杯形状となるように構成されても好い。
【0053】
その他にも、毛部の先端部側は、長手方向外側に突起が設けられてなる凸形状をなすようにしても好い。この場合、毛部の先端部側は、例えば、十字型の溝(切り込み)を先端部上面から毛部の長手方向に沿って設け、先端部側に4つの突起aを形成してなる十字溝形状(図3(a)参照)、先端ほど先細りする平面視略円形状の突起bが先端部上面に4つ隣設されてなる天面凸形状(図3(b)参照)、略球形状の突起cが先端部上面に1つ設けられてなる球形状(図3(c)参照)となるように構成されることが可能である。
【0054】
また、毛部の先端部側は、側周面に凹凸形状が設けられて構成されても好い。この場合、毛部の先端部側は、例えば、毛部の先端部から長手方向に沿って畝状の凹凸部が側周面に設けられてなる形状であって、毛部の先端部から長手方向に沿う直線状の凸部dを周方向に6つ略均等に離間して有する平面視略六角形状の縦リブ形状(図4(a)参照)、毛部の先端部から長手方向に沿う直線状の凹(溝)部eを周方向に6つ略均等に離間して有する平面視略六角形状の縦溝形状(図4(b)参照)とすることが可能である。
【0055】
或いは、毛部の先端部側は、平面視略円形状の凸部又は凹部が側周面に設けられてなる形状であって、平面視略円形状の凸部fが長手方向に沿って直線状に2〜3つ設けられ、該直線状に設けられる凸部f群が、周方向に4つ略均等に離間して配置されてなる側面凸形状(図4(c)参照)、平面視略円形状の凹部gが長手方向に沿って直線状に2〜3つ設けられ、該直線状に設けられる凹部g群が、周方向に4つ略均等に離間して配置されてなる側面凹形状(図4(d)参照)とすることも可能である。
【0056】
さらに、毛部の先端部側は、毛部の周方向に沿って畝状の凹凸部が側周面に設けられてなる形状であって、毛部の周方向一周に亘る凸部hが長手方向に3つ略均等に離間して配置されてなる平面視略円形状の横リブ形状(図5(a)参照)、毛部の周方向一周に亘る凹(溝)部iが長手方向に3つ略均等に離間して配置されてなる平面視略円形状の横溝形状(図5(b)参照)とすることも可能である。
【0057】
また、毛部の先端部側は、研磨部(研磨層)を構成する研磨材を毛部に対して保持する凹凸形状の他にも、起伏のない平坦な形状を採用しても好い。この場合、毛部の先端部側は、平面視略円形状のテーパー形状や円柱形状とすることが可能である。毛部の先端部側がテーパー形状の場合、毛部の先端部側は、例えば、先端上面が平坦部jであり、その先端にかけて先細りするテーパー形状(図6(a)参照)、先端上面が半球形状kであり、その先端にかけて先細りするテーパーR形状(図6(b)参照)とすることができる。また、毛部の先端部側が円柱形状の場合、毛部の先端部側は、例えば、先端上面が平坦部lであり、基端部から先端部まで径が略一定のストレート形状(図6(c)参照)、先端上面が半球形状mであり、基端部から先端部まで径が略一定のストレートR形状(図6(d)参照)とすることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、毛部3の樹脂硬度は、40度からなる場合について説明したが、これに限らず、毛部の樹脂硬度は、35〜70度の範囲で構成することが可能である。
【0059】
また、本実施形態においては、研磨材の毛部3への塗付は、接着剤と研磨材との配合割合が3:7であるような塗料を用いてなされる場合について説明したが、これに限らず、研磨材の毛部への塗付において、塗料における接着剤と研磨材との配合割合は、1:9、2:8、5:5等でも好く、また接着剤と研磨材とを混合した塗料を用いることなく、接着剤を毛部の先端部側に先に塗付して、その接着剤の上から研磨材を別途塗付するようにしても好い。
【0060】
また、本実施形態においては、研磨部33は、毛部3の先端部側32aに、先端部32から長手方向に沿って5mm程度の長さに亘って設けられる場合について説明したが、これに限らず、研磨部は、毛部の先端部から長手方向に沿う方向に、毛部の長手方向の全体長の2/3、1/2、1/3、1/4、1/5等に亘って設けられるようにしても好いし、また、研磨部は、毛部の先端部から長手方向外側に向かって延設されても好い。
【0061】
また、本実施形態においては、研磨材は、接着剤を介して塗付される場合について説明したが、これに限らず、研磨材は、毛部表面に織込んで構成することも可能である。
【0062】
また、本実施形態においては、吸盤23は、本体部裏面2bの全面に亘るように互いに離間して配置されており、特に足の土踏まずに対応する中央領域が、足先や踵に対応する他の領域よりも密になるように離間間隔をつめて配置される場合について説明したが、これに限らず、吸盤23は、本体部裏面2bの全面に亘るように互いに略均等に離間して配置されることや、本体部裏面2bの一部領域だけに配置されることも可能であり、或いは、吸盤23を本体部裏面2bに設けないことも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…ブラシ、2…基部、2a…本体部表面、2b…本体部裏面、3…毛部、21…本体部、22…縁部、23…吸盤、31…基端部、31a…基端部側、32…先端部、32a…先端部側、33…研磨部、X…本体部表面の前方側、Y…本体部表面の後方側、R…溶融樹脂注入口痕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部に多数立設される可撓性を有する毛部とを備え、前記毛部の、基端部を除く少なくとも先端部には、研磨性を有する研磨部が設けられていることを特徴とするブラシ。
【請求項2】
前記研磨部は、前記毛部の表面に、研磨材が塗布されて形成された研磨層であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記毛部は、先端部側ほど細くなる先細り形状をなし、隣り合う毛部同士の離間間隔は、3〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記毛部の長さは5〜30mmであり、隣り合う毛部同士の離間間隔は3〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のブラシと、抗菌性を有する洗剤とを備えてなる洗浄具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217544(P2012−217544A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84393(P2011−84393)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(391057052)株式会社サンパック (16)
【Fターム(参考)】