説明

ブラシ毛用カバー

【課題】本発明は、少なくとも1本の棒状体の周囲を覆うブラシ毛用カバーに関するものである。
【解決手段】発明のブラシ毛用カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲をシート部材によって覆っている。前記シート部材は、前記不織布、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材、天然繊維、合成繊維、天然毛の少なくとも一種類を織って作製されたシート部材、あるいは天然または合成革からなるシート部材からなる。前記棒状体は、金属部材、合成樹脂部材、その他ブラシ部材からなり、研磨中に折れても、前記不織布製シート等の内に止まり、作業者に危険を与えない。また、前記不織布等からなるブラシ毛用カバーによって覆われたブラシは、内部の棒状体と、これを囲むカバーとによって、ブラシとしての硬さを被研磨部材の硬さに合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1本の棒状体の周囲を覆うブラシ毛用カバーに関するものである。本発明は、ブラシ毛用カバーとして、不織布、発泡成形されたゴム系部材および/または合成樹脂性部材、織物、紙部材と接着剤からなるシート部材によって成形されたブラシ毛用カバーに関するものである。本発明でいう「ブラシ毛用カバー」は、ブラシ毛素材の一部でもある。
【背景技術】
【0002】
特開2008−12632号公報に記載されているブラシ毛用カバーは、前記ブラシ毛素材の周囲に巻き付ける紐状部材、網状部材、メッキ部材、蒸着部材からなるものである。前記ブラシ毛用カバーによってカバーされたブラシ毛は、毛丈が長い場合であっても、腰が強く、使用中に広がらないで研削力あるいは研磨力を向上させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−12632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、毛丈が長い筒型ブラシのブラシ毛素材は、使用中にブラシ毛の先端部分が広がってしまい、ブラシ毛の側面で研磨等を行うことになり、所望の研磨等を正確に行うことが困難であった。前記ブラシ毛の先端部分における広がり防止手段は、たとえば、前記ブラシ毛の側面を針金で巻く、チューブあるいはパイプを被せる、接着剤で止める等があった。前記広がり防止手段は、前記各手間、作業性の悪さ、および研磨部分の不揃い等課題が多くあった。また、前記接着剤で止めるブラシは、研磨中に摩擦熱によって異臭を発生し、作業者の目や鼻を刺激するといった問題があった。
【0005】
ブラシ毛は、近年、磨く対象物の種類が多く、それぞれに対応したものが要求されるようになってきた。特に、表面が柔らかい対象物、たとえば、液晶表示画面、ガラス、レンズ等は、表面を上手に磨くことができなかった。また、ブラシ毛は、研磨中に折れて飛び散り、作業者の目等に入り、危険であるという問題が発生している。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、比較的柔らかい表面の対象物に使用できるブラシ毛用カバーを提供することを目的とする。また、本発明は、ブラシ毛素材の素材と、これらを覆うブラシ毛用カバーとしての素材とのコラボレイションを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、ランダムに結合され、方向性を持たない化学繊維から構成される不織布製シート部材であることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材を発泡成形して作製されたシート部材であることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、天然繊維、合成繊維、天然毛の少なくとも一種類を織って作製されたシート部材、あるいは革材であることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、不織布、合成樹脂、ゴム系部材、紙部材の少なくとも一種類に、少なくとも一種類の砥粒が混練されてシート状に成形されたシート部材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【0011】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、切り裂き、裁断、粉砕した紙材の少なくとも一種と接着剤とによって成形されている紙製シート部材であることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛カバーにおいて、棒状体は、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0013】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛カバーにおいて、前記棒状体および/またはシート部材は、砥粒が塗布または接着されていることを特徴とする。
【0014】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛カバーにおいて、紙製素材からなる棒状体は、接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められ、捻じられるとともに、縒られていることを特徴とする。
【0015】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛カバーにおいて、シート部材は、内面および/または外面に複数本のブラシ毛が分散して設けられていることを特徴とする。
【0016】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛カバーにおいて、シート部材の厚さは、棒状体の直径の1.2倍から4倍であることを特徴とする。
【0017】
(第11発明)
第11発明のブラシ毛カバーにおいて、シート部材は、内面に接着剤が付着されている合成樹脂製粘着テープであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブラシ毛用カバーは、内部の棒状体が折れた際に、飛散するのを防止して、作業者に危険を与えないものであり、前記棒状体の飛散したものを吸収できるとともに、ブラシ毛を広げることなく、所望の強さを有するようにしている。また、本発明のブラシ毛用カバーは、前記内部の棒状体を覆うとともに、ブラシ毛素材の一部となってワークを研磨することができる。
【0019】
本発明によれば、ブラシ毛用カバーは、内部の棒状体の周りが柔らかいため、ブラシ毛の広がりを防止するとともに、内部の棒状体にバネ性、柔らかさ、弾力、強度等の多様性を持たせることができる。
【0020】
本発明によれば、ブラシ毛用カバーは、内部の棒状体のバネ性および/または硬さと相まった所定の硬度によって、被研磨部材を上手に磨くことができる。
【0021】
本発明によれば、ブラシ毛用カバーは、不織布、スポンジ、紙等を使用することにより、今までにない感触のブラシを作製することができる。
【0022】
本発明によれば、ブラシ毛用カバーは、厚さを適当にすることで、前記各効果をより大きくすることができる。
【0023】
本発明によれば、接着剤の種類および濃度、砥粒の種類および大きさ、ブラシ毛用カバーの素材の選択により、独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強くすることができる。
【0024】
本発明によれば、接着剤および/または砥粒を入れたブラシ毛用カバーによって、紙製素材、金属線、樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛を芯線として巻き込むことにより、ブラシ毛の腰の強度を調整することができ、使用目的に合ったブラシ毛カバーを作製することができる。
【0025】
本発明によれば、少なくとも一本のブラシ毛等からなる棒状の周囲を覆うものであり、耐熱性の高い不織布、合成樹脂、ゴム系部材、紙部材の少なくとも一種類に、少なくとも一種類の砥粒、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属砥粒等のうちの少なくとも一つを混練してシート状に成形してシート部材としているため、前記砥粒の保持力が高くなる。また、前記ブラシ毛カバーは、耐熱性に優れているため、大きな引張力、高い弾力性、強い引裂力に耐えることができ、切削力を向上させることができるだけでなく、過酷な使用条件に耐えるものができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例である各種素材によってブラシ毛の周囲をカバーした例を説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例である紙製カバーを説明するための模式図である。(実施例2)
【図3】(イ)から(ニ)は本発明の第3実施例である紙を裁断してブラシ毛用カバーとした例を説明するための模式図である。(実施例3)
【図4】(イ)から(ニ)は本発明の第4実施例である紙を引き裂いてブラシ毛用カバーとした例を説明するための模式図である。(実施例4)
【図5】(イ)から(ホ)は本発明の第5実施例であるシート部材にブラシ毛を入れたブラシ毛用カバーの例を説明するための模式図である。(実施例5)
【図6】(イ)から(ホ)は本発明の第6実施例で、ブラシ毛の周囲をブラシ毛用カバーで覆った例を説明するための模式図である。(実施例6)
【図7】(イ)から(ハ)は本発明の第7実施例で、ブラシ毛の周囲をブラシ毛用カバーで覆った他の例を説明するための模式図である。(実施例7)
【図8】(イ)から(ト)は本発明の第8実施例で、ブラシ毛用カバーまたはブラシ毛用カバーで覆う芯線の例を説明するための模式図である。(実施例8)
【図9】本発明の第9実施例で、ブラシ毛カバーで覆ったブラシ毛をチャンネル部材に植設した例を説明するための模式図である。(実施例9)
【図10】本発明の第10実施例で、耐熱性合成樹脂部材の中にダイアモンド砥粒が混練されている状態を説明するための図である。(実施例10)
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛用カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を不織布製シート部材、によって覆っている。前記不織布製シート部材は、ランダムに結合され、方向性を持たない化学繊維から構成されている。前記棒状体は、研磨中に折れても、前記不織布製シート内に止まり、作業者に危険を与えない。また、前記不織布からなるブラシ毛用カバーによって覆われたブラシは、内部の棒状体と、これを囲むカバーとによって、ブラシとしての硬さを被研磨部材の硬さに合わせることができる。
【0028】
前記不織布は、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン等からなり、繊維が短く、方向性を持たないようにランダムに結合され、厚みおよび空隙を簡単に変更できるものである。また、前記不織布は、ホットメルト接着剤を入れることにより所定の硬さに調整することができる。なお、本発明でいう棒状体は、金属製、合成樹脂製、紙製、天然製等からなり、少なくとも一種類および/または1本であり、必要に応じて、これらに砥粒等を添加することができる。また、前記棒状体は、目的にしたがい任意の太さにすることができる。
【0029】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛用カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆う部材が第1発明と異なっている。ブラシ毛用カバーは、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材からなり、内部に気泡ができるように発泡成形して作製される。前記ブラシ毛用カバーは、内部の棒状体の硬さと、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材の硬さ、および気泡部のもつ柔らかさとによって、ブラシとなった場合、独特の柔らかさおよび/または硬さを有することができる。
【0030】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛用カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆う部材が第1発明および第2発明と異なっている。ブラシ毛用カバーは、天然繊維、合成繊維、天然毛の少なくとも一種類を織って作製されたシート部材、あるいは天然または合成革からなるシート部材である。前記織られた部材は、前記繊維の織り目によって得られる空間と、棒状体と硬さを調和させることにより、所望の硬さからなるブラシを得ることができる。革部材は、天然あるいは合成であっても、摩擦、弾力等独特の性質を有効に生かすことができる。
【0031】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛用カバーは、たとえば、不織布、合成樹脂部材、ゴム系部材、紙部材からなる少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものである。ブラシ毛用カバーは、前記不織布、合成樹脂、ゴム系部材、紙部材の少なくとも一種類に、少なくとも一種類の砥粒が混練されてシート状に成形されたシート部材から構成されている。前記ブラシ毛カバーは、前記不織布、合成樹脂部材、ゴム系部材、紙部材の中に前記砥粒が混練されてシート状に成形されているため、前記砥粒の保持力が高く、耐熱性に優れ、大きな引張力、高い弾力性、強い引裂力に耐えることができ、切削力を向上させることができるだけでなく、過酷な使用条件に耐えるものができる。
【0032】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛用カバーは、少なくとも一本の棒状体の周囲を覆う部材が第1発明から第4発明と異なっている。ブラシ毛用カバーは、切り裂き、裁断、粉砕した紙材の少なくとも一種と接着剤とによって成形されている紙製シート部材である。前記ブラシ毛用カバーは、切り裂き、裁断、粉砕した紙材の少なくとも一種と接着剤とを混合し、成形してシート部材としている。さらに、前記ブラシ毛用カバーは、接着剤を塗布した後、前記粉状あるいは粒状の砥粒を散布することができる。
【0033】
前記紙シートは、たとえば、ケナフまたは楮のような和紙を原料とすることができる。和紙からなる紙シートは、ひげのような細い繊維からなるとともに、厚さに濃淡があり、繊維の先端部が紙独特の柔軟性を有し、たとえば、液晶表示画面等表面の比較的柔らかいものを拭く紙製ブラシ毛を作製することができる。また、前記紙シートは、和紙に限らず、あらゆる紙を使用することができ、使用する紙の種類により、ブラシ毛の独特の柔らかさを変えることができる。
【0034】
また、通常使用される木材パルプは、和紙と比較して強度がやや落ちる。さらに、洋紙、古紙、牛乳パック、段ボール等は、和紙と異なる独特の柔らかさを有し、合成樹脂製ブラシ毛と異なる独特の柔軟性を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、接着剤および/または砥粒の種類および大きさと合わせて、紙製ブラシ毛として使用する際に、用途および目的に合ったものを選択することができる。
【0035】
前記接着剤は、特に限定されるものではないが、天然の糊材、合成樹脂系、ゴム系のものを水、アルコール系、無機系、有機樹脂系の溶媒に溶け込ませたものが良く、研磨の目的に従って前記溶媒の種類および濃度を調整することにより、所望の硬さのブラシ素材を得ることができる。また、前記接着剤は、水も含むものとする。本発明の接着剤は、紙に塗布すると記載されていても、塗布以外に、吹き付け、浸す等幅広い手段で紙材に対して付着されるものとする。
【0036】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛カバーで覆う棒状体は、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つである。前記棒状体の材料自体の硬軟、ブラシ毛カバーの材質に伴う性質と柔らかさが相伴って、ブラシ毛を構成することで独特の接触面を持つブラシができる。
【0037】
(第7発明)
第7発明の棒状体および/またはシート部材は、砥粒が塗布または接着されている。前記砥粒は、棒状体に電着、塗布、接着剤等により付着させることができる。前記砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属砥粒等、公知の材料のうちの少なくとも一つであり、接着剤により、所定量が接着される。前記砥粒の大きさおよび種類と接着剤の量は、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒および接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。
【0038】
(第8発明)
第8発明の紙製素材からなる棒状体は、接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められ、捻じられるとともに、縒られている。前記紙シートは、丸めて棒状体にする。次に、丸めた棒状体は、捻じられる。さらに、前記捻じられた棒状体は、縒られる。前記丸め、捻じられ、縒られた棒状体は、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、軽量で柔軟性の優れたものとなる。
【0039】
前記丸め、捩じり、縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合される。前記棒状体は、カバーリングされた後、一本のブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、たとえば、チャンネル部材、あるいはデッキ等に植え込まれる。また、前記カバーリングされた棒状体は、合成樹脂製等に無い、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものであり、長さを適宜調整することにより容易に変えられる。
【0040】
前記カバーリングされた棒状体は、丸めた後、捻じり、さらに、縒っているため、先端部の柔らかさ、摩擦力、弾力、腰の強さ等が紙独特のものからなり、研磨ブラシとして、従来にない独特の特性を持つだけでなく、水に対する耐候性が高く、強度も高い。前記作製方法で作製された紙製ブラシ毛は、たとえば、液晶表示装置の画面、ガラス部材(特に、レンズの表面研磨)、セラミック部材の表面を磨くのに適した紙の種類、捩じりおよび縒りから生じる独特の柔らかさ、強度、および柔軟性を兼ね備えている。
【0041】
また、前記捩じりおよび縒られた紙製ブラシ毛素材は、捩じりおよび縒り部において、紙独特の柔らかさに加えて隙間ができるだけでなく、接着剤および/または砥粒も入り込むため、研磨面の振動を吸収することができ、表面の柔らかい部材から比較的硬い部材の研磨に独特の効果を発揮する。
【0042】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛用カバーとなるシート部材は、内面および/または外面に複数本のブラシ毛が分散して設けられている。前記シート部材に入れるブラシ毛は、一カ所に集中するのではなく、分散して配置することにより、柔軟性を増加させることができた。前記ブラシ毛は、金属製、合成樹脂製、紙製の何れかであり、棒状体として丸める際に砥粒および/または接着剤等を入れることができる。
【0043】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛カバーは、棒状体の直径と比較して厚めに作製することで、前記棒状体が折れた際に、飛び散ることなく内部に吸収できることが判った。前記シート部材の厚さは、棒状体の直径の1.2倍から4倍である場合、折れた棒状体が飛散することなく、ブラシ毛カバー内に留まることができた。
【0044】
(第11発明)
第11発明のブラシ毛カバーは、シート部材の内面に接着剤が付着されている合成樹脂製粘着テープ、たとえば、セロハンテープを使用した。前記合成樹脂製粘着テープは、前記棒状体の周囲に螺旋状にオーバーラップしながら巻回することが望ましい。前記棒状体は、折れても、前記合成樹脂製粘着テープの接着剤により、接着されるため、飛散して、作業者の目に飛び込むことがない。また、前記合成樹脂製粘着テープは、ブラシ毛カバーとして、既製品を使用することができるため、安価なブラシを作製することができる。
【実施例1】
【0045】
図1(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例である各種素材によってブラシ毛の周囲をカバーした例を説明するための模式図である。図1(イ)において、本発明のブラシ毛用カバー11は、ランダムに結合され、方向性を持たない化学繊維から構成される不織布製シート部材である。前記不織布製シート部材からなるブラシ毛用カバー11は、内部に1本の棒状体16を入れて周囲を覆っている。前記不織布製シート部材は、短い化学繊維がランダムに結合されて、厚みおよび空隙を有するため、内部の棒状体を柔らかく覆うとともに、折れた部分を吸収することができる。
【0046】
図1(ロ)において、本発明のブラシ毛用カバー12は、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材からなるシート状に発泡成形されている。前記ブラシ毛用カバー12は、内部に2本の棒状体16を入れて周囲を覆っている。前記ブラシ毛用カバー12の内部に成形されている空間は、前記棒状体16に弾性を与えるだけでなく、折れた棒状体16を飛散させない。
【0047】
図1(ハ)において、本発明のブラシ毛用カバー13は、天然繊維、合成繊維、天然毛の少なくとも一種類を織って作製されたシート部材、あるいは天然または合成革からなる。前記ブラシ毛カバー13は、3本の棒状体16を入れて周囲を覆っている。前記ブラシ毛用カバー13の素材は、いわゆるバフ部材であり、前記棒状体16を包むだけでなく、前記棒状体16の広がり、柔らかい研磨、および飛散を防止することができる。
【0048】
図1(ニ)において、本発明のブラシ毛用カバー14は、たとえば、和紙、通常の用紙、段ボール、牛乳パック等からなり、接着剤により、シート部材が成形されている。前記ブラシ毛カバー14は、4本の棒状体16を入れて周囲を覆っている。前記紙部材は、切り裂き、裁断、粉砕した後、接着剤により、シート部材に成形される。前記紙部材は、柔らかい繊維であるため、棒状体の柔らかさとともに、ブラシ毛の性能を向上させることができる。
【0049】
図1(ホ)において、本発明のブラシ毛用カバー15は、紙部材と砥粒が混合されるとともに、接着剤によりシート部材が成形されている。前記ブラシ毛カバー15は、5本の棒状体16を入れて周囲を覆っている。前記棒状体16の本数は、任意であり、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つからなる。
【0050】
なお、前記ブラシ毛用カバー15の材料は、セロハンテープとすることができる。前記セロハンテープは、図示されていないが、市販のものを利用することができ、接着剤が予め付いているため、棒状体16が折れても飛散することなく、安価で使い勝手が良い。
【実施例2】
【0051】
図2(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例である紙製カバーを説明するための模式図である。図2(イ)および(ロ)において、切り裂かれた紙21は、容器22に入れられる。図2(ハ)において、前記切り裂かれた紙21および接着剤211は、前記容器22に入れられ、必要に応じて、砥粒212が入れられ、図2(ニ)に示すシート部材23に成形される。前記シート部材23は、ブラシ毛用カバーとなる。また、前記シート部材23は、必要に応じて、丸めた後、捩じり、これらを縒って棒状体とすることができる。
【実施例3】
【0052】
図3(イ)から(ニ)は本発明の第3実施例である紙を裁断してブラシ毛用カバーとした例を説明するための模式図である。図3(イ)および(ロ)において、たとえば、図示のごとく裁断された紙31は、容器32内に収納される。図3(ハ)において、前記容器32には、接着剤311が入れられる。図3(ニ)において、前記接着剤311の入った裁断された紙31は、シート状に成形される。前記シート部材33は、ブラシ毛用カバーとなるとともに、必要に応じて、丸めた後、捩じり、これらを縒って棒状体とすることができる。
【実施例4】
【0053】
図4(イ)から(ニ)は本発明の第4実施例である紙を粉砕してブラシ毛用カバーとした例を説明するための模式図である。図4(イ)および(ロ)において、たとえば、図示のごとく粉砕された紙41は、容器42内に収納される。図4(ハ)において、前記容器42には、接着剤411が入れられる。図4(ニ)において、前記接着剤411の入った粉砕された紙41は、シート状に成形される。前記シート部材43は、ブラシ毛用カバーとなるとともに、必要に応じて、丸めた後、捩じり、これらを縒って棒状体とすることができる。
【0054】
図2から図4に示す紙は、たとえば、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙は、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙は、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【実施例5】
【0055】
図5(イ)から(ホ)は本発明の第5実施例であるシート部材にブラシ毛を入れたブラシ毛用カバーの例を説明するための模式図である。図5(イ)において、シート状部材58は、図1から図4に示すものであり、さらに、内部および/または外部にブラシ毛51がほぼ等間隔で平行に接着剤により付けられている。図5(ロ)において、シート部材58は、内部および/または外部にブラシ毛53、54が直角に交差した状態で接着剤により付けられている。
【0056】
図5(ハ)において、シート部材58は、斜めに交差した状態で接着剤により付けられている。図5(ニ)において、シート部材58は、内部および/または外部の全面に接着剤により砥粒55が付けられている。図5(ホ)に示すブラシ毛は、芯線57の周囲を図5(イ)から(ニ)に示すブラシ毛用カバー56の少なくとも一つによって周囲が覆われている。また、前記ブラシ毛51から54は、紙製素材、金属線、樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛から構成することができる。
【0057】
前記接着剤は、特に限定されるものではないが、天然の糊材、無機系、合成樹脂系、ゴム系のものを水、アルコール、有機樹脂系の溶媒に溶け込ませたものが良く、研磨の目的に従って前記溶媒の種類および濃度を調整することにより、所望の硬さのブラシ素材を得ることができる。また、前記接着剤は、水も含むものとする。本発明の接着剤は、紙に塗布すると記載されていても、塗布以外に、吹き付け、浸す等幅広い手段で紙材に対して付着されるものとする。
【実施例6】
【0058】
図6(イ)から(ホ)は本発明の第6実施例で、ブラシ毛の周囲をブラシ毛用カバーで覆った例を説明するための模式図である。図6(イ)および(ロ)において、ブラシ毛61は、一本あるいは複数本からなり、金属製、紙製、合成樹脂製、天然または合成繊維等、またはこれらの表面および/または内部に付着または表面に添着した砥粒からなる。図6(ハ)において、前記ブラシ毛61の周囲にブラシ毛用カバー62が巻回されている。前記ブラシ毛用カバー62は、金属製、紙製、合成樹脂、天然または合成繊維を網状としたものである。
【0059】
図6(ニ)において、前記ブラシ毛61は、不織布、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材からなる発泡成形されたシート、紙製シート、金属シート等からなるブラシ毛用カバー63が周囲に巻回されている。図6(ホ)において、前記ブラシ毛61は、前記各シート部材に砥粒612が入れられたブラシ毛用カバー64によって周囲が巻回されている。
【実施例7】
【0060】
図7(イ)から(ハ)は本発明の第7実施例で、ブラシ毛の周囲をブラシ毛用カバーで覆った他の例を説明するための模式図である。図7(イ)において、金属線71は、周囲に砥粒72が電着されている。図7(ロ)において、砥粒の入った金属線71は、周囲にブラシ毛用カバー73が巻回されている。図7(ハ)において、金属線71は、前記ブラシ毛用カバー73の周囲にブラシ毛用カバー74が巻回されている。すなわち、ブラシ毛用カバーは、同じ種類のものまたは異なる種類のものを二重または三重、それ以上に覆うことができる。
【実施例8】
【0061】
図8(イ)から(ト)は本発明の第8実施例で、ブラシ毛用カバーまたはブラシ毛用カバーで覆う芯線の例を説明するための模式図である。ブラシ毛用カバーの内部に入れる芯線の形状は、図8(イ)から(ト)に示す形状とすることができる。また、前記形状は、基本的なものであり、これらを変形させることもできる。
【実施例9】
【0062】
図9は本発明の第9実施例で、ブラシ毛カバーで覆ったブラシ毛をチャンネル部材に植設した例を説明するための模式図である。図9(イ)において、チャンネル部材91は、ほぼU字状に成形されている。ブラシ毛94は、芯材(図示されていない)の周囲をブラシ毛用カバーで覆われている。前記ブラシ毛94は、二つ折りにして前記チャンネル部材91に挟んだ後、前記チャンネル部材91の上部側面に力を加えて挟持する。図9(ロ)において、図9(イ)と異なるのは、ブラシ毛94の下部が接着剤93によって接着されている点である。
【0063】
また、紙製ブラシ毛の中心に入れる材料は、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛とすることができる。また、砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属等のうちの少なくとも一つの砥粒が接着剤により、所定量だけ取り付けることができる。前記砥粒の種類、大きさ、および接着剤の量は、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く(磨く)対象物によって、先端部の一部、先端部から中間部まで、あるいは全体といったように任意に選択できる。
【0064】
本発明の紙製ブラシは、ワークの表面を磨く以外に、通常のヘアーブラシ、歯間ブラシ等に利用することもできる。前記ヘアーブラシおよび歯間ブラシは、紙製ブラシ毛以外に、柄の部分を紙製部材とすることで、軽く作製することができるとともに、焼却の際に、有毒ガスを放出しないという効果を奏する。
【0065】
図10は本発明の第10実施例で、耐熱性合成樹脂部材の中にダイアモンド砥粒が混練されている状態を説明するための図である。図10において、ブラシ毛用カバー1011は、たとえば、ダイアモンド砥粒1012と耐熱性合成樹脂部材1013とが混練された状態になっているとともに、シート状に成形されている。前記ブラシ毛用カバー1011は、耐熱性合成樹脂部材1013の中にダイアモンド砥粒1012を混練しているため、砥粒の脱落がなく、切削力を向上させることができる。前記ブラシ毛用カバー1011は、樹脂部材の表面にダイアモンドをコーティングしたものと比較して、過酷な条件に耐えることができる構造になっている。
【0066】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛用カバーとなる部材の種類、厚さ等は、任意に選択することができる。また、ブラシ毛用カバーを紙とした場合、紙の捩じり、または縒り方は、従来から使用されている機械により作製することができる。
【符号の説明】
【0067】
11、12、13、14、15・・・ブラシ毛用カバー
16・・・棒状体 411・・・接着剤
21・・・切り裂かれた紙 42・・・容器
211・・・接着剤 43・・・シート部材
212・・・砥粒
22・・・容器
23・・・シート部材
31・・・裁断された紙
311・・・接着剤
32・・・容器
33・・・シート部材
41・・・粉砕された紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、ランダムに結合され、方向性を持たない化学繊維から構成される不織布製シート部材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【請求項2】
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、ゴム系部材および/または合成樹脂製部材を発泡成形して作製されたシート部材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【請求項3】
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、天然繊維、合成繊維、天然毛の少なくとも一種類を織って作製されたシート部材、あるいは革材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【請求項4】
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、不織布、合成樹脂、ゴム系部材、紙部材の少なくとも一種類に、少なくとも一種類の砥粒が混練されてシート状に成形されたシート部材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【請求項5】
少なくとも一本の棒状体の周囲を覆うものであり、切り裂き、裁断、粉砕した紙材の少なくとも一種と接着剤とによって成形されている紙製シート部材であることを特徴とするブラシ毛用カバー。
【請求項6】
前記棒状体は、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたブラシ毛カバー。
【請求項7】
前記棒状体および/またはシート部材は、砥粒が塗布または接着されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたブラシ毛カバー。
【請求項8】
前記紙製素材からなる棒状体は、接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められ、捻じられるとともに、縒られていることを特徴とする請求項5に記載されたブラシ毛カバー。
【請求項9】
前記シート部材は、内面および/または外面に複数本のブラシ毛が分散して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたブラシ毛カバー。
【請求項10】
前記シート部材の厚さは、棒状体の直径の1.2倍から4倍であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載されたブラシ毛カバー。
【請求項11】
前記シート部材は、内面に接着剤が付着されている合成樹脂製粘着テープであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたブラシ毛カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−6117(P2012−6117A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145033(P2010−145033)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】