説明

ブラシ用樹脂繊維糸

【課題】塗布や洗浄、さらには清掃、磨きなどを確実に行うことが可能なブラシ用樹脂繊維糸を提供する。
【解決手段】ブラシ用具のブラシ毛材に用いる樹脂繊維糸1であり、樹脂繊維糸1は、糸外周表面1aに凸凹模様Dを有する。凸凹模様Dは、糸外周表面1aに一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成される。凸凹模様Dは、糸外周表面1aにエンボス加工により形成され、エンボス加工は、樹脂繊維糸1の成形時に行う。樹脂繊維糸1は、端部が切断され、切断部1bに先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃、磨きなどを確実に行うことが可能なブラシ用具のブラシ毛材に用いるブラシ用樹脂繊維糸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からブラシ用具として化粧用ブラシがあり、基材から外方にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有し、例えば皮膚のマッサージ、皮膚の洗浄、油成分の除去、化粧料の塗布や洗浄、身体の洗浄などに用いられている。この化粧用ブラシは、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維糸をブラシ毛材として用い、このブラシ毛材をそれぞれ所定の長さに切断し、この切断した同じ太さのブラシ毛材を集めて束にしたものがある。
【0003】
このようなブラシ用樹脂繊維糸には、断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形、星型、V型、U型、H型、パイプ形状など種々な形状に形成したものがある(引用文献1)。このブラシ用樹脂繊維糸は、所定の長さに切断してそのまま使用したり、切断した先端部を針状に加工して使用するもの(引用文献1)、また所定の長さに切断した同じ太さのブラシ毛材の切断部を球状に加工して使用するもの(引用文献1〜4)、また切断部を曲げ加工して使用するものがある(引用文献1,4〜7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−307304
【特許文献2】特開平6−22815
【特許文献3】特開平5−228018
【特許文献4】特開2003−79427
【特許文献5】特開2003−189930
【特許文献6】特表2000−505669
【特許文献7】特開2009−201893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなブラシ用樹脂繊維糸を用いたブラシ用具として、例えばマスカラブラシがあり、このマスカラブラシの使用は塗布液容器の取出口から、キャップに固着された基材の先端に設けられたブラシ本体を出し入れすることにより、ブラシ本体のブラシ用樹脂繊維糸を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出し、まゆ毛にマスカラを塗布しているが、密集するブラシ用樹脂繊維糸の間にマスカラを保持しているだけで、ブラシ用樹脂繊維糸の側面でただ滑るようになり、多量のマスカラをまゆ毛に塗布するには何回も塗布する必要があった。
【0006】
また、ブラシ用樹脂繊維糸を用いたブラシ用具として、例えば歯ブラシなどもあるが、ブラシ用樹脂繊維糸の側面でただ滑るようになでてしまい洗浄の効果が得られない。
【0007】
この発明は、以上の点を考慮してなされたもので、塗布や洗浄、さらには清掃、磨きなどを確実に行うことが可能なブラシ用樹脂繊維糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、ブラシ用具のブラシ毛材に用いる樹脂繊維糸であり、
前記樹脂繊維糸は、糸外周表面に凸凹模様を有することを特徴とするブラシ用樹脂繊維糸である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記凸凹模様は、糸外周表面に一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成されることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用樹脂繊維糸である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記凸凹模様は、前記糸外周表面にエンボス加工により形成したことを特徴とするブラシ用樹脂繊維糸である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記エンボス加工は、前記樹脂繊維糸の成形時又は成形後に行うことを特徴とする請求項3に記載のブラシ用樹脂繊維糸である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記樹脂繊維糸は、端部が切断され、
前記切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用樹脂繊維糸である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明では、ブラシ用具のブラシ毛材に樹脂繊維糸を用いることで、樹脂繊維糸が糸外周表面に凸凹模様を有し、例えばマスカラブラシなどでは凸凹模様によって塗布液を保持して多量な塗布や確実な塗布が可能であり、また歯ブラシなどでは凸凹模様によって確実な清掃が可能であり、各種のブラシ用具に用いることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、凸凹模様は、糸外周表面に一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成され、凸凹模様によって多量な塗布や確実な塗布、また確実な清掃が可能である。
【0016】
請求項3に記載の発明では、凸凹模様は、糸外周表面にエンボス加工により形成することで、樹脂繊維糸が細くても簡単な加工で形成することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、エンボス加工は、樹脂繊維糸の成形時又は成形後に行うことで、樹脂繊維糸の搬送速度、温度、加工圧力を調整して凸凹模様を加工することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、樹脂繊維糸は、端部が切断され、切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部を有し、この広がり部により汚れやごみを除去したり、掻き出したり、削ったりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明が適用されるブラシ用樹脂繊維糸を説明する図である。
【図2】ブラシ用樹脂繊維糸の凸凹模様を説明する図である。
【図3】ブラシ用樹脂繊維糸の他の実施の形態の凸凹模様を説明する図である。
【図4】ブラシ用樹脂繊維糸の他の実施の形態の凸凹模様を説明する図である。
【図5】ブラシ用樹脂繊維糸の凸凹模様の成形を説明する図である。
【図6】ブラシ用樹脂繊維糸の切断部の構成を説明する図である。
【図7】ブラシ用具の第1の実施の形態を説明する図である。
【図8】ブラシ用具の第2の実施の形態を説明する図である。
【図9】ブラシ用具の第3の実施の形態を説明する図である。
【図10】ブラシ用具の第4の実施の形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明のブラシ用樹脂繊維糸の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
[ブラシ用樹脂繊維糸の構成]
この実施の形態のブラシ用樹脂繊維糸は、図1(a)に示すように、ブラシ用具のブラシ毛材に用いる樹脂繊維糸1であり、この樹脂繊維糸1は、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用いて形成した糸である。この樹脂繊維糸1は、図1(b)〜(g)に示すように、断面形状が円形、星型、楕円形、三角形、パイプ形状、U型形状などに適用されるが、さらにH型、V型、クローバ形状など種々な形状のものに適用できる。
【0021】
この樹脂繊維糸1は、図2に示すように、糸外周表面1aに凸凹模様Dを有する。この凸凹模様Dは、糸外周表面に一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成される。この凸凹模様Dは、円周方向に形成したリング状で構成される。
【0022】
図2(a)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したリング状の凹形状で構成され、リング状溝2aが樹脂繊維糸1の軸方向に連続して配置されている。このリング状溝2aの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。
【0023】
図2(b)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したリング状の凹形状で構成され、リング状溝2bが樹脂繊維糸1の軸方向に所定間隔で配置されている。このリング状溝2bの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。
【0024】
図2(c)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したリング状の凸形状で構成され、リング状凸2cが樹脂繊維糸1の軸方向に所定間隔で配置されている。このリング状凸2cの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。
【0025】
この樹脂繊維糸1は、図3及び図4に示すように、糸外周表面1aに凸凹模様Dを有する。この凸凹模様Dは、糸外周表面に一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成される。この凸凹模様Dは、凸形状、または凹形状を樹脂繊維糸1の軸方向に連続して形成した構成である。
【0026】
図3(a)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成した周方向に延びる所定長さの凹形状で構成され、周方向に延びる長溝3aを樹脂繊維糸1の軸方向に連続して配置されている。この周方向に延びる長溝3aは、2列設けられているが、2列以上複数設けることが好ましく、また周方向に延びる長溝3aの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様Dは糸外周表面1aに一体に形成した周方向に延びる所定長さの凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
【0027】
図3(b)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成した菱形形状の凹形状で構成され、菱形溝3bを樹脂繊維糸1の軸方向に連続して配置している。この菱形溝3bは、2列設けられているが、2列以上複数設けることが好ましく、また菱形溝3bの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様Dは糸外周表面1aに一体に形成した菱形形状の凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
【0028】
図3(c)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したV字形状の凹形状で構成され、V字形溝3cを樹脂繊維糸1の軸方向に連続して配置している。このV字形溝3cは、2列設けられているが、2列以上複数設けることが好ましく、またV字形溝3cの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様Dは糸外周表面1aに一体に形成したV字形状の凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
【0029】
図3(d)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成した斜めにリングを交差させた形状の凹形状で構成され、リング交差形状溝3dを樹脂繊維糸1の軸方向に連続して配置している。このリング交差形状溝3dは、2列設けられているが、2列以上複数設けることが好ましく、またリング交差形状溝3dの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様Dは糸外周表面1aに一体に形成した斜めにリングを交差させた形状の凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
【0030】
図4(a)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したねじ状の凹形状で構成され、ねじ状溝4aを樹脂繊維糸1の軸方向に1条ねじにして配置している。このねじ状溝4aは、1条ねじに設けられているが、1条ねじ以上、例えば2条ねじ、3条ねじ、4条ねじなどに設けることができる。また、ねじ状溝4aの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様Dは糸外周表面1aに一体に形成したねじ状の凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
【0031】
図4(b)の実施の形態では、凸凹模様Dが糸外周表面1aに一体に形成したスパイラル状の凹形状で構成され、スパイラル状溝4bを樹脂繊維糸1の軸方向に4条スパイラルにして配置している。このスパイラル状溝4bは、4条スパイラルに設けられているが、1条スパイラル以上、例えば2条スパイラル、3条スパイラルなどに設けることができる。また、スパイラル状溝4bの断面形状は、半円状、V字状、U字状などが好ましいが、特に限定されない。また、凸凹模様3は糸外周表面1aに一体に形成したスパイラル状の凸形状でもよく、凹形状と同様に構成される。
[ブラシ用樹脂繊維糸の凸凹模様の成形]
この実施の形態の樹脂繊維糸1は、糸外周表面1aに凸凹模様Dを有し、この凸凹模様Dは、糸外周表面1aにエンボス加工により成形され、このエンボス加工は、樹脂繊維糸1の成形時に行う。
【0032】
図5はエンボス加工により凸凹模様Dを成形する実施の形態を示し、樹脂繊維糸1を成形する工程の後段に、エンボス加工部Aを配置する。このエンボス加工部Aには、一対の加工ロール10,11が配置され、この加工ロール10,11にはエンボス加工溝10a,11aが複数個形成され、このエンボス加工溝10a,11aにはエンボス加工模様が形成されている。
【0033】
一対の加工ロール10,11は、モータなどの回転駆動手段20によって一体回転し、ヒータなどの加熱手段21によって加熱される。搬送手段22によって複数本の樹脂繊維糸1が搬送され、この樹脂繊維糸1は回転する加工ロール10,11のエンボス加工溝10a,11aを通り、このときエンボス加工溝10a,11aのエンボス加工模様によって糸外周表面1aに凸凹模様Dが成形される。
【0034】
複数本の樹脂繊維糸1の搬送速度は、制御手段23によって搬送手段22を介して制御され、一対の加工ロール10,11の回転速度は、制御手段23によって回転駆動手段20を介して制御され、また一対の加工ロール10,11の温度は、制御手段23によって加熱手段21を介して制御され、一対の加工ロール10,11の温度は、50℃〜150℃の範囲で用いられる。このエンボス加工を、樹脂繊維糸1の成形時又は成形後に行うことで、樹脂繊維糸1の搬送速度、温度、加工圧力を調整して凸凹模様Dを糸外周表面1aに加工することができる。
【0035】
このように、凸凹模様Dは、糸外周表面1aにエンボス加工により形成することで、樹脂繊維糸1が細くても簡単な加工で形成することができる。また、エンボス加工は、樹脂繊維糸1の成形時又は成形後に行うことで、樹脂繊維糸1の搬送速度、温度、加工圧力を調整し、凸凹模様Dを高精度に加工することができる。
[ブラシ用樹脂繊維糸の切断部の構成]
この実施の形態の樹脂繊維糸1は、糸外周表面1aに凸凹模様Dを有し、この樹脂繊維糸1は、図6(a)の正面図、図6(b)の側面図に示すように、端部が切断され、この切断部1bに先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する。この樹脂繊維糸1の広がり部1cは、図6(c)及び図6(d)に示すように形成される。
【0036】
図6(c)の実施の形態では、プレス切直角刃40とプレス切直角刃41を用い、プレス切直角刃40とプレス切直角刃41が離間している間に、樹脂繊維糸1を位置させ、プレス切直角刃40をプレス操作して樹脂繊維糸1を所定長さに切断する。このとき、プレス切直角刃40とプレス切直角刃41が樹脂繊維糸1を切断した後に、この切断部1bを押し潰して先端糸径より外方に広げた広がり部1cを成形する。
【0037】
図6(d)の実施の形態では、直角刃50と先端鈍角刃51を円周上に多数有する切断具を用い、直角刃50に対して先端鈍角刃51が離間している間に、樹脂繊維糸1を位置させ、先端鈍角刃51を回転させながら直角刃50に近づけ、先端鈍角刃51によって樹脂繊維糸1を押し付けて所定長さに切断する。
【0038】
図6(e)の実施の形態では、1個の先端鈍角刃51を有する切断具を用い、樹脂繊維糸1を同様に切断する。
【0039】
このとき、先端鈍角刃51が樹脂繊維糸1を直角刃50に対して押し付けることで、樹脂繊維糸1を切断した後に、この切断部1bを押し潰して先端糸径より外方に広げた広がり部1cを成形される。
【0040】
このように樹脂繊維糸1は、端部が切断され、この切断部1bに先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有し、この広がり部1cにより汚れやごみを除去したり、掻き出したり、削ったりすることができる。この広がり部1cは、樹脂繊維糸1の先端糸径より外方に広げた構造であればよいが、先端糸径の1.2〜2.5倍の範囲で広がっていると、ブラシ用具のブラシ毛材として用いるときに、簡単に曲がるなど変形することなく汚れやごみを除去したり、掻き出したり、削ったりすることができる。
[ブラシ用具の第1の実施の形態]
ブラシ用具の第1の実施の形態を、図7に基づいて説明する。この実施の形態は、化粧用ブラシ101は、マスカラブラシであり、図7(a)に示すように、化粧用ブラシ101は、キャップに差し込み保持される円筒状の支持部102を閉塞する先端部材102aに基材103が突出保持されている。
【0041】
基材103には、ブラシ毛材104として樹脂繊維糸1が用いられ、この樹脂繊維糸1の糸外周表面1aには、図7(b)に示すように、凸凹模様Dが設けられ、樹脂繊維糸1は放射方向に外方に延長するように植毛されている。
【0042】
この化粧用ブラシ101の使用は、図7(c)に示すように、樹脂繊維糸1に付着した塗布液を用いてまつ毛80に塗布するが、樹脂繊維糸1の凸凹模様Dによって塗布液を保持しており、何回も塗布操作をしたとしても多量な塗布や確実な塗布が可能である。
【0043】
また、化粧用ブラシ101として、図7(d)に示すように、樹脂繊維糸1の端部が切断され、切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する構成のものでは、樹脂繊維糸1に付着した塗布液を用いてまつ毛80に塗布すると、何回も塗布操作をしたとしても多量な塗布や確実な塗布が可能であるとともに、広がり部1cによってまつ毛80の細部まで塗布量を微調整して塗布することができる。
【0044】
[ブラシ用具の第2の実施の形態]
ブラシ用具の第2の実施の形態を、図8に基づいて説明する。この実施の形態の化粧用ブラシ111は、塗布液としてマスカラをまつ毛に塗布するように用いる場合とは別に、リップブラシ、アイシャドウブラシ、アイブロウブラシ等のように、塗布液を直接に皮膚に塗布するようなブラシである。
【0045】
この実施の形態の化粧用ブラシ111は、ブラシ毛材114として樹脂繊維糸1が用いられ、この樹脂繊維糸1の糸外周表面には、図8(b)に示すように、凸凹模様Dが設けられている。
【0046】
ブラシ毛材114の先端面の形状は、皮膚に対する塗布液の塗布形状に適合するように選定され、ブラシ毛材114の樹脂繊維糸1を円柱状に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が円形状を有する。
【0047】
これにより、化粧用ブラシ111は、ブラシ毛材114の先端面を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、皮膚の比較的広い部位に塗布液を塗布することができる。また、樹脂繊維糸1の凸凹模様Dによって塗布液を保持しており、何回も塗布操作をしたとしても多量な塗布や確実な塗布が可能である。
【0048】
また、化粧用ブラシ111として、図8(c)に示すように、樹脂繊維糸1の端部が切断され、切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する構成のものでは、樹脂繊維糸1に付着した塗布液を用いて先端面を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、何回も塗布操作をしたとしても多量な塗布や確実な塗布が可能であるとともに、広がり部1cによって皮膚の細部まで塗布量を微調整して塗布することができる。
[ブラシ用具の第3の実施の形態]
ブラシ用具の第3の実施の形態を、図9に基づいて説明する。この実施の形態の化粧用ブラシ121は、歯を磨くための歯ブラシである。
【0049】
この実施の形態の化粧用ブラシ121は、ブラシ毛材124として樹脂繊維糸1が用いられ、この樹脂繊維糸1の糸外周表面には、図9(c), (d)に示すように、凸凹模様Dが設けられている。
【0050】
この化粧用ブラシ121は、図9(b)に示すように、前歯の裏側のような複雑な形状を持つ部分を磨くものであるが、図9(c)に示すように、樹脂繊維糸1の凸凹模様Dによっては磨き粉を付けて歯91を磨き、また歯91の隙間奥や歯周に対して掻き出し、歯垢を確実に除去することができる。
【0051】
また、化粧用ブラシ121として、図9(d)に示すように、樹脂繊維糸1の端部が切断され、切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する構成のものでは、樹脂繊維糸1の凸凹模様Dによっては磨き粉を付けて歯91を磨き、また歯91の隙間奥や歯周に対して掻き出し、歯垢を確実に除去することができるが、さらに広がり部1cが歯91の隙間又は奥の方まで届き、隙間奥や歯周に対して掻き出し、歯垢をより確実に除去することができる。
【0052】
[ブラシ用具の第4の実施の形態]
ブラシ用具の第4の実施の形態を、図10に基づいて説明する。この実施の形態の掃除用ブラシ131は、清掃などの掃除に用いるブラシである。
【0053】
この実施の形態の掃除用ブラシ131は、ブラシ毛材134として樹脂繊維糸1が用いられ、この樹脂繊維糸1の糸外周表面には、図10(b), (c)に示すように、凸凹模様Dが設けられている。
【0054】
この掃除用ブラシ131は、図10(b)に示すように、例えばピアノの鍵盤92のような狭い隙間の清掃を行うが、樹脂繊維糸1の糸外周表面に凸凹模様Dが設けられており、この凸凹模様Dによって鍵盤92上のごみを確実に除去することができる。
【0055】
また、掃除用ブラシ131として、図10(c)に示すように、樹脂繊維糸1の端部が切断され、切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部1cを有する構成のものでは、樹脂繊維糸1の凸凹模様Dによって鍵盤92上のごみを確実に除去することができ、さらに広がり部1cが鍵盤92の隙間や奥に対してごみを掻き出してより確実に除去することができる。
【0056】
ブラシ具として、化粧用ブラシ、歯ブラシ、掃除用ブラシについて用いる場合について説明したが、この発明はこれに限定されないで、さらに磨きブラシなど各種のブラシ具に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃、磨きなどを確実に行うことが可能なブラシ用具のブラシ毛材に用いるブラシ用樹脂繊維糸に適用可能であり、塗布や洗浄、さらには清掃、磨きなどを確実に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 樹脂繊維糸
1a 糸外周表面
1b 切断部
1c 広がり部
2aリング状溝
2b リング状溝
2c リング状凸
3a 周方向に延びる長溝
3b 菱形溝
3c V字形溝
3d リング交差形状溝
4a ねじ状溝
4b スパイラル状溝
101,111,121 化粧用ブラシ
131 掃除用ブラシ
D 凸凹模様



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ用具のブラシ毛材に用いる樹脂繊維糸であり、
前記樹脂繊維糸は、糸外周表面に凸凹模様を有することを特徴とするブラシ用樹脂繊維糸。
【請求項2】
前記凸凹模様は、糸外周表面に一体に形成した凸形状、または凹形状、凸形状と凹形状の組み合わせ形状により構成されることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用樹脂繊維糸。
【請求項3】
前記凸凹模様は、前記糸外周表面にエンボス加工により形成したことを特徴とするブラシ用樹脂繊維糸。
【請求項4】
前記エンボス加工は、前記樹脂繊維糸の成形時又は成形後に行うことを特徴とする請求項3に記載のブラシ用樹脂繊維糸。
【請求項5】
前記樹脂繊維糸は、端部が切断され、
前記切断部に先端糸径より外方に広げた広がり部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用樹脂繊維糸。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−40091(P2012−40091A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182302(P2010−182302)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】