説明

ブラシ用毛材

【課題】 被洗浄面に打痕傷や細かな傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮される各種洗浄ブラシ、各種清掃ブラシに使用されるブラシ用毛材を安価に提供する。
【解決手段】 ブラシ用毛材1は、基部6と、中間部7と、先端部8とから構成されている。また、基部6及び中間部7は、熱可塑性樹脂で構成された複数本の概柱形状からなるモノフィラメント糸2、2、・・が溶融接合された接合部を有して集束されたセミマルチフィラメント糸4が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車や車両等を洗浄する自動洗車機、各種ガラス洗浄機等に搭載される回転ブラシに使用するブラシ用毛材や、食器洗浄ブラシ、食品洗浄ブラシ等の各種洗浄用ブラシに使用するブラシ用毛材、各種清掃用ブラシ用毛材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の洗浄、清掃等に使用するブラシ用毛材に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされている。例えば、断面に複数の凹凸を有する多葉断面モノフィラメントのブリッスルからなり、少なくとも一方の先端には、多葉断面の境界部分を介して分岐した複数の先割れ部を有する研磨のためのブラシ用毛材がある(特許文献1)。
【0003】
また、断面が複数の芯部と、該複数の芯部間を連結する結合部とにより構成され、少なくとも長手方向の一端は、前記結合部において分割されているブラシ用毛材がある(特許文献2)。このブラシ用毛材は、結合部の肉厚と芯部の肉厚との差を任意に設定する事によって、毛腰を強く設定することができるものであった。
【0004】
また、ブラシ毛材の主体周面に繊維を螺旋巻きし或いは組み紐状に編み設け樹脂セットして、カバーリングを施すブラシロールのブラシ用毛材において、前記カバーリングを、公定水分率がポリアミド繊維の3倍以上である繊維のマルチフィラメントヤーンによるものとしたブラシ用毛材がある(特許文献3)。
【0005】
また、ブラシ用毛材の両側先端部の所定長さを、所定の回転速度の分割刃や回転カッターを有する細分割加工機にて細分割加工することにより先割れ部を形成したブラシ用毛材がある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−172724号公報
【特許文献2】特開2007−50497号公報
【特許文献3】特開2003−129347号公報
【特許文献4】特開2007−244815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術においては、分岐部(先割れ部)を形成するために、ある程度大きな機械的応力(バリ取りや研磨などにおける機械的応力)を負荷させる必要があるので、軽度な洗浄や磨き、清掃等の小さな機械的応力では先割れ部が形成され難いという課題を有していた。また、特許文献1に開示されているブラシ用毛材は、多葉断面のモノフィラメントである為、機械的応力の負荷のかかり方により、先割れ部の形成状態にばらつきや不均一さが発生するという課題を有していた。
【0008】
また、葉列部から直接、境界部を介して分岐部(先割れ部)が形成されている為、使用時において、機械的応力が直接、境界部に加わる為に分岐部(先割れ部)が裂け易く、使用時(ブラッシング時)のブラシ用毛材のブラッシング力が弱くなり易く、洗浄効果が減少し易いという課題も有していた。
【0009】
また、上記特許文献2に開示されている技術においては、先割れ部が結合部に限定されるため、微細な先割れ部を形成することが困難であるという課題を有していた。
【0010】
また、上記特許文献3に開示されている技術においては、カバーリングの脱落により異物が発生し易く、洗浄時に除去した異物がブラシ用毛材の主体周面のカバーリングの編み目に入り込み蓄積する為、被洗浄物に異物が転写し易いという課題を有していた。さらに、製造工程が複雑であり、生産されるブラシ用毛材がコスト高であるという課題を有していた。
【0011】
また、上記特許文献4に開示されている技術においては、細分割加工機の回転カッターで軟質部材を加工する時には、軟質部材はカッターにたいして逃げてしまい、その為一定にカッターが当らず、先割れ部にバラツキが生じて均一に切断することが困難であるという課題を有していた。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、被洗浄面に打痕傷や細かな傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮される各種洗浄ブラシ、各種清掃ブラシに使用されるブラシ用毛材を安価に提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂で構成された複数本の概柱形状からなるモノフィラメント糸が溶融接合された接合部を有して集束されたセミマルチフィラメント糸が形成されていると共に、複数本の前記セミマルチフィラメント糸が溶融接合された接合部を有して集束されたマルチフィラメント糸が形成されており、外力によって、接合された前記モノフィラメント糸同士及び前記セミマルチフィラメント糸同士が前記接合部あるいは前記接合部近傍から分離可能なブラシ用毛材であって、該ブラシ用毛材は、基部、中間部、及び先端部を有するとともに、前記基部は、複数本の前記セミマルチフィラメント糸が集束されたマルチフィラメント糸であり、前記中間部は、前記マルチフィラメント糸が分離する事により形成された複数本の独立したセミマルチフィラメント糸であり、前記先端部は、前記セミマルチフィラメント糸が互いに分離する事により形成された複数本の独立したモノフィラメント糸であり、前記マルチフィラメント糸が複数本の独立したセミマルチフィラメント糸に分離する分離強度が、前記セミマルチフィラメント糸が複数本の独立したモノフィラメント糸に分離する分離強度より小であるかあるいは同一であることを特徴としている。
【0014】
基部、中間部、先端部と、3段階に分割されているので、基部への応力集中を緩和させることができ、ブラシの長寿命化に役立つ。また、先端に行くほど徐々にブラシの本数が増えると共に、細径化されるので、各ブラシ自体の屈曲性や強度も安定すると共に、ブラッシング時におけるブラッシング力をブラシ自体が吸収するので、基部への応力集中を緩和することができる。また、ブラッシング時において、製品の表面に付着する比較的大きくかつ強固に付着する塵埃等は、大径でかつ束になっている中間部が処理し、細塵は先端部で処理できるので、塵埃をムラなく除去することができる。
【0015】
また、モノフィラメント糸によって先端部を形成することができ、先端部にはモノフィラメント糸が均一に形成されることから、高い洗浄性を発揮することができる。また、モノフィラメント糸によって先端部が形成される為、ブラシ用毛材は筆のタッチの如く、極めて滑らかに被洗浄面に当接する事ができ、高い洗浄性を発揮できる。また、マルチフィラメント糸はセミマルチフィラメント糸に比べて強い毛腰を有すると共に、セミマルチフィラメント糸はモノフィラメント糸に比べて強い毛腰を有する為、高い耐久性を発揮できる。
【0016】
また、マルチフィラメント糸が複数本の独立したセミマルチフィラメント糸に分離する分離強度が、セミマルチフィラメント糸が複数本の独立したモノフィラメント糸に分離する分離強度より小であるか、或いは同一に形成されている。ところで、使用時のブラシ用毛材に加わる被洗浄面からの反力は、被洗浄面からの距離がマルチフィラメント糸がセミマルチフィラメント糸に分離する箇所に比べて、セミマルチフィラメント糸がモノフィラメント糸に分離する箇所の方がより近い為、被洗浄面からの反力は、セミマルチフィラメント糸に分離させるよりも、モノフィラメント糸に分離させる為により大きな反力が加わる。その為、モノフィラメント糸への必要以上の分離を防止でき、安定的かつ的確な洗浄性能を発揮できる。また、セミマルチフィラメント糸への分離も過度に進行する事を防止でき、的確な毛腰を保持できる。
【0017】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸及び/又はマルチフィラメント糸の外周部には凹部が形成されてあると共に、前記凹部の内周部に穴部が形成されていることを特徴としている。ここで、穴部とは、四方をモノフィラメント糸によって囲まれている箇所のことであり、凹部とは、四方の一部がモノフィラメント糸によって囲まれていない箇所のことである。したがって、使用時に外力が加わると、凹部から穴部へと亀裂が広がり、均一なモノフィラメント糸に分離し易くなる。また、ブラシ用毛材の製造時に、中間部及び先端部を容易に製作することができる。
【0018】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の材質として、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂のいずれかが使用されていることを特徴としている。これらの材質の樹脂は、押出成形機によって容易にブラシ用毛材に加工することができる。
【0019】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は、マルチフィラメント糸において、中心部のセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数と該中心部の周りのセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数が異なることを特徴としている。したがって、中心部又は、中心部の周りのセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数を調節することによって、マルチフィラメント糸がセミマルチフィラメント糸に分離する分離強度を調節することができる。
【0020】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は中心部にモノフィラメント糸を有し、該中心部のモノフィラメント糸の周りに複数のモノフィラメント糸が前記中心部のモノフィラメント糸とそれぞれ接合部を有して形成されていると共に、隣接する前記複数のモノフィラメント糸が互いに接触した接触部又は非接触の空間部を有することを特徴としている。したがって、接触部と非接触の空間部とを有することによって、マルチフィラメント糸における断面変形を容易にし、接合されていない接触部にて外力を吸収、分散させることができる。また、非接触の空間部によって水分を保持することができる。
【0021】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は複数のモノフィラメント糸を数珠状に形成し、中心部に中空部を設けたことを特徴としている。したがって、中空部によって外力を吸収、分散させることができると共に、扁平等の断面変形が容易となり、被洗浄面への接触面積を増加させることができる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は複数のモノフィラメント糸を略C字形状に形成し、開口部を設けたことを特徴としている。したがって、開口部によって、外力を吸収、分散させることができると共に、水分を保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、ブラシの長寿命化に役立つと共に、塵埃をムラなく除去することができる。また、請求項2の発明は、均一なモノフィラメント糸に分離し易くなり、ブラシ用毛材を容易に製作することができる。また、請求項3の発明は、ブラシ用毛材への加工を容易にする。また、請求項4の発明は、分離強度の調節を容易にする。また、請求項5の発明は、接合されていない接触部にて外力を吸収、分散させることができると共に、非接触の空間部によって水分を保持できる。また、請求項6の発明は、中空部によって外力を吸収、分散させることができると共に、接触面積を増加できる。また、請求項7の発明は、略C字形状のモノフィラメント糸によって、外力を吸収、分散させることができると共に、水分を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】同B−B断面図
【図4】同C−C断面図
【図5】(a)本発明の第2実施形態を示す断面図(b)本発明の第3実施形態を示す断面図(c)本発明の第4実施形態を示す断面図
【図6】本発明の第5実施形態を示す斜視図
【図7】(a)本発明の第6実施形態を示す断面図(b)本発明の第7実施形態を示す断面図
【図8】本発明の第8実施形態を示す断面図
【図9】本発明の第9実施形態を示す断面図
【図10】本発明の第10実施形態を示す斜視図
【図11】本発明の第11実施形態を示す断面図
【図12】本発明の第12実施形態を示す斜視図
【図13】本発明の第13実施形態を示す断面図
【図14】本発明の第14実施形態を示す断面図
【図15】本発明の第15実施形態を示す断面図
【図16】本発明の第16実施形態を示す断面図
【図17】(a)本発明に係るブラシ用毛材を使用したチャンネルブラシを示す断面図(b)同チャンネルブラシに先端部を形成した状態を示す断面図
【図18】本発明に係るブラシ用毛材を使用したブラシロールの部分正面図
【図19】(a)図18のブラシロールが搭載された洗浄装置の斜視図、(b)は、(a)のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB−B断面図、図4は、図1のC−C断面図である。これらの図に示すように、本発明に係るブラシ用毛材1は、基部6と、中間部7と、先端部8とから構成されている。
【0026】
そして、基部6及び中間部7は、図2及び図3に示すように、熱可塑性樹脂で構成された複数本の概柱形状からなるモノフィラメント糸2、2、3、3、・・が溶融接合された接合部2aを有して集束されたセミマルチフィラメント糸4が形成されている。尚、図面上、セミマルチフィラメント糸4は、複数のモノフィラメント糸2、3が集束している領域として二点鎖線の円で表現している。
【0027】
また、外力によって、接合されたモノフィラメント糸2、2、3、3同士が接合部2aあるいは接合部2aの近傍から分離可能であって、基部6は、複数本の概柱形状からなるモノフィラメント糸2、2、3、3、・・が溶融接合された接合部2aを有して集束されたセミマルチフィラメント糸4の複数本が溶融接合された接合部20aを有して集束されたマルチフィラメント糸5が形成されている。
【0028】
そして、図3に示すように、中間部7は、基部6に形成されている一体化されたマルチフィラメント糸5が互いに分離する事により複数本の独立したセミマルチフィラメント糸4、4・・が形成されている。ここで、図3に示す中間部7では、図2に示す基部6と比較して、隣り合うセミマルチフィラメント糸4、4間の間隔が広がることによってブラシ用毛材1の外周が広がっている。
【0029】
また、図4に示すように、先端部8は、中間部7に形成されている独立したセミマルチフィラメント糸4を構成する複数本のモノフィラメント糸2、2、3、3、・・が互いに分離する事により複数本の独立したモノフィラメント糸2、2、3、3、・・が形成されている。ここで、図4に示す先端部8では、図3に示す中間部7と比較して、隣り合うセミマルチフィラメント糸4、4間の間隔が広がると共に、セミマルチフィラメント糸4を構成する隣り合うモノフィラメント糸2、3の間隔が広がることによってブラシ用毛材1の外周が広がっている。
【0030】
そして、マルチフィラメント糸5が複数本の独立したセミマルチフィラメント糸4、4、・・に分離する分離強度が、セミマルチフィラメント糸4が複数本の独立したモノフィラメント糸2、2、・・に分離する分離強度より小であるか、或いは同一であるように形成されている。ここで、分離強度が異なるようにするためには、図2に示すように、マルチフィラメント糸5に形成されるセミマルチフィラメント糸間の穴部20c及びセミマルチフィラメント糸4に形成されるモノフィラメント糸間の穴部2cと、凹部2gの大きさを調節することによって可能となる。
【0031】
図5(a)は、本発明の第2実施形態のブラシ用毛材8aを示す断面図であり、図4の先端部8のC−C断面図に対応している。図4と同様に、中間部7においては、マルチフィラメント糸5が複数本の独立したセミマルチフィラメント糸4、4、・・に分離し、先端部8においては、セミマルチフィラメント糸4が複数本の独立したモノフィラメント糸2、2、3、3、・・に分離しているが、隣り合う独立したセミマルチフィラメント糸4、4間の距離が図4に示す隣り合う独立したセミマルチフィラメント糸4、4間の距離よりも狭くなっていると共に、互いのセミマルチフィラメント糸4が隣接して形成されている。
【0032】
図5(b)は、本発明の第3実施形態のブラシ用毛材6aを示す断面図であり、図5(c)は、本発明の第4実施形態のブラシ用毛材6bを示す断面図であり、図2の基部6のA−A断面図に対応している。第3実施形態のブラシ用毛材6aは、マルチフィラメント糸であって、中心部のセミマルチフィラメント糸4aを構成するモノフィラメント糸2hの本数が、3本であり、中心部の周りのセミマルチフィラメント糸4を構成するモノフィラメント糸2及び3の合計の本数が、7本となっている。また、第4実施形態のブラシ用毛材6bは、マルチフィラメント糸であって、中心部のセミマルチフィラメント糸4bを構成するモノフィラメント糸2i及び3aの合計の本数が、8本であり、中心部の周りのセミマルチフィラメント糸4cを構成するモノフィラメント糸2及び3の合計の本数が、5本となっている。このように、中心部又は、中心部の周りのセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数を異ならせる調節を行うことによって、マルチフィラメント糸がセミマルチフィラメント糸に分離する分離強度を調節することができる。
【0033】
図6は、本発明の第5実施形態のブラシ用毛材1aを示す斜視図である。この実施形態では、先端部8の各々のモノフィラメント糸2、2、3、3、・・の先端にテーパ加工10を施している。テーパ加工10により、細かな隙間に先端部8が入り込んで、より的確に洗浄効果を発揮できる。尚、先端部8は、テーパ加工10に代えて先丸加工等を採用することもできる。先丸加工を採用した場合においては、被洗浄面を傷つける事なく、より的確に洗浄効果を発揮できる。
【0034】
次に、図7〜図16に示す各種セミマルチフィラメント糸の断面図を用いて、本発明に係るブラシ用毛材の第6実施形態〜第16実施形態について説明する。
【0035】
図7(a)は、本発明に係るブラシ用毛材の第6実施形態を示す断面図である。第6実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸4cは、断面略円形の中央のモノフィラメント糸3の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸2が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸2、3は、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸3は、周囲のモノフィラメント糸2との間に接合部2aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸2、2同士の間にも接合部2bを有している。上記構成からなるセミマルチフィラメント糸4cは、外力が加わると、接合部2a及び2bが分離してモノフィラメント状の分岐部が形成され、この分岐部でモノフィラメント糸2、3へと均一に分岐され、被洗浄面への衝撃を吸収、分散させることができるため、被洗浄面に打痕傷や細かな傷を発生し難くすることができる。尚、溶融接合とは、モノフィラメント糸同士が完全固化する前に、互いに接合される状態をいう。また、溶融接合の方法として、完全固化後の状態でモノフィラメント糸同士に振動を与え、互いに溶融させて接合する方法も採用できる。さらにまた、ブラシ用毛材1は、外力にて接合されたモノフィラメント糸同士が接合部あるいは接合部近傍から分離可能であるが、外力についての方法は、例えば、ブラシ用毛材の使用時の衝撃とか、モノフィラメント糸同士が、接合された状態で、押し潰し等により、先端部をほぐし、接合部を分離させる方法等がある。
【0036】
また、セミマルチフィラメント糸4cの、モノフィラメント糸2、3間には、穴部2cが形成されている。この穴部2cによって、外力を吸収、分散させることができる。さらに、マルチフィラメント状のブラシ用毛材1の外周部には凹部2gが形成されている。ここで、穴部2cとは、四方をモノフィラメント糸2、3によって囲まれている箇所のことであり、凹部2gとは、四方の一部がモノフィラメント糸2によって囲まれていない箇所のことである。したがって、使用時に外力が加わると、凹部2gから穴部2cへと亀裂が広がり、均一なモノフィラメント糸2、3に分離し易くなる。
【0037】
図7(b)は、本発明に係るブラシ用毛材の第7実施形態を示す断面図である。第7実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸4dは、断面略六角形の中央のモノフィラメント糸13の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸12が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸12、13は、第4実施形態と同様に、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸13は、周囲のモノフィラメント糸12との間に接合部12aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸12、12同士の間にも接合部12bを有している。さらに、マルチフィラメント状のブラシ用毛材11の外周部には凹部12gが形成されている。
【0038】
図8は、本発明に係るブラシ用毛材の第8実施形態を示す断面図である。第8実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸21は、断面略円形の中央のモノフィラメント糸23の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸22が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸22、23は、概柱形状を有している。また、中央のモノフィラメント糸23と、周囲のモノフィラメント糸22の外周面には、表皮層24が形成されている。そして、中央のモノフィラメント糸23は、周囲のモノフィラメント糸22との間に接合部22aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸22、22同士の間にも接合部22bを有している。この接合部22a及び22bは、表皮層24、24同士が接合しているものである。また、モノフィラメント糸22、23は、外部から冷却されていく為、表皮層24は、内部よりも密度が高い状態にて形成される。
【0039】
上記構成からなるセミマルチフィラメント糸21は、外力が加わると、接合部22a及び22bが分離してモノフィラメント状の分岐部が形成され、この分岐部で被洗浄面への衝撃を吸収、分散させることができるため、被洗浄面に打痕傷や細かな傷を発生し難くすることができる。また、接合部22a及び22bは表皮層24、24同士が接合しているものなので互いの表皮層24が剥がれやすく弱いことから、外力によって分岐部を形成し易くしている。ここで表皮層24とは、モノフィラメント糸22、23の表面に形成される内部よりも密度の高い層のことである。形成された表皮層24は、表皮層24と内部の境界より分離して分岐部を形成し易い傾向になる。また、接合部22a及び22bの接合力を設定する事により、互いの表皮層24が分離するようにすることもできる。
【0040】
また、セミマルチフィラメント糸21の、モノフィラメント糸22、23間には、穴部22cが形成されている。この穴部22cによって、外力を吸収、分散させることができる。
【0041】
図9は、本発明に係るブラシ用毛材の第9実施形態を示す断面図である。第9実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸31は、断面多角形の中央のモノフィラメント糸33の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸32が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸32、33は、第6実施形態と同様に、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸33は、周囲のモノフィラメント糸32との間に接合部32aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸32、32同士の間には接触部32bが形成されている。また、ブラシ用毛材31の、モノフィラメント糸32、33間には、穴部32cが形成されている。この穴部32cによって、外力を吸収、分散させることができる。
【0042】
ここで、接合部32aは、セミマルチフィラメント糸31の長手方向に接触面が形成されることから、接合力は強い。一方、接触部32bは、隣接する周囲のモノフィラメント糸32同士が互いに接触はしているが、接合はされていない状態である。
【0043】
図10は、本発明に係るブラシ用毛材の第10実施形態を示す斜視図である。第10実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸41は、断面略円形の中央のモノフィラメント糸43の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸42が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸42、43は、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸43は、周囲のモノフィラメント糸42との間に接合部42aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸42、42同士の間にも接合部42bを有している。さらに、周囲のモノフィラメント糸42は、捩られて螺旋状部44が形成されている。
【0044】
尚、ブラシ用毛材には、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂が使用されている。ナイロン樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等が好適である。また、前記のナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂を使用したブラシ用毛材は、約650デニールであるが、使用目的に応じて、400デニール〜2000デニールの設定を適宜採用することができる。前記のナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂を使用したブラシ用毛材は、自動車や車両等に使用される鋼板を洗浄する洗浄装置に好適に使用される。
【0045】
また、ブラシ用毛材には低密度ポリエチレン樹脂も使用できる。ブラシ用毛材を形成する低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、約370MPaであるが、使用目的に応じて、120MPa〜1000MPaの熱可塑性樹脂を、適宜、採用できる。
【0046】
また、低密度ポリエチレン樹脂を使用したブラシ用毛材は、約5000デニールであるが、使用目的に応じて、3000デニール〜20000デニールの設定を、適宜、採用できる。なお、デニールとは合成樹脂あるいは化学繊維の太さを示す単位のことであり、9000m当たりの重さが1gのものを1デニールという。
【0047】
また、低密度ポリエチレン樹脂以外にも、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、あるいはウレタン樹脂が採用できる。これらの樹脂を使用したブラシ用毛材は、自動車や車両等を洗浄する自動洗車機に好適に使用される。
【0048】
次に、ブラシ用毛材の製造方法について説明する。まず、ブラシ用毛材を形成する低密度ポリエチレン樹脂が、押出機(図示せず)の先端に取り付けられた複数の口金を通して押し出されることにより複数のモノフィラメント糸が形成される。押し出し後、互いのモノフィラメント糸同士を完全固化前の状態にて接合させる。その後、アニーリングと呼ばれる工程にて冷却固化させることにより形成される。ところで、一般的には、樹脂の成形技術には、溶融成形、固層成形、注型成形、射出成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等があるが、前記の如くの製造方法は、溶融成形の一種の押出成形と呼ばれている。
【0049】
また、ブラシ用毛材を構成するセミマルチフィラメント糸の線径については、仮想外径で0.3〜3mmが好適である。0.3mm以下では、洗浄等に必要とされる毛腰の確保が困難となり、3mm以上では洗浄ムラが発生し易くなる。
【0050】
また、ブラシ用毛材を構成するモノフィラメント糸の線径については、ブラシ用毛材を構成するモノフィラメント糸の本数により、適宜設定できるが、好適には、モノフィラメント糸の仮想外径で、0.05〜1.5mmが好適である。0.05mm以下では、製造時に毛切れ等が発生し易く、一定の品質を確保することが困難となり、1.5mm以上では、洗浄ムラが発生し易くなる。
【0051】
図11は、本発明に係るブラシ用毛材の第11実施形態を示す断面図である。第11実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸61は、断面十字状の中央のモノフィラメント糸63の先端部に、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸62が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸62、63は、第1実施形態と同様に、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸63は、周囲のモノフィラメント糸62との間に接合部62aを有している。断面十字状の中央のモノフィラメント糸63が形成されている為、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定できる。また、なお、前記実施例においては、中央のモノフィラメント糸63は断面十字状の断面に形成されているが、上記以外にも、概三日月型等、採用できる。
【0052】
図12は、本発明に係るブラシ用毛材の第12実施形態を示す斜視図である。第12実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸71は、断面略円形の中央のモノフィラメント糸73の周囲を囲むように、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸72が配置され、集束してマルチフィラメント状に形成されている。また、モノフィラメント糸72、73は、第4実施形態と同様に、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸73は、周囲のモノフィラメント糸72との間に接合部72aを有している。また、周囲のモノフィラメント糸72、72同士の間にも接合部72bを有している。さらに、モノフィラメント糸72、73は、長手方向に波形状部74が形成されている。
【0053】
図13は、本発明に係るブラシ用毛材の第13実施形態を示す断面図である。第13実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸81は、複数のモノフィラメント糸82、82同士を数珠状に形成し、中央部に中空部83を形成している。また、モノフィラメント糸82、82同士の間には、接合部82bが形成されている。したがって、中空部によって外力を吸収、分散させることができると共に、被洗浄面への当接時における断面変形が容易となる為、扁平等に変形することにより、ブラシ用毛材81の被洗浄面への接触面積を大きくすることができ、より確実に洗浄ができる。
【0054】
図14は、本発明に係るブラシ用毛材の第14実施形態を示す断面図である。第14実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸91は、複数のモノフィラメント糸92、92同士を略C字形状に形成し、空間部93が形成されている。また、モノフィラメント糸92、92同士の間には、接合部92bが形成されている。したがって、空間部93によって、外力を吸収、分散させることができると共に、水分を保持することができる。また、空間部93が閉じて、接触状態になった場合においても、外力の吸収、分散、水分保持等の効果は著しく低下するものではない。
【0055】
図15は、本発明に係るブラシ用毛材の第15実施形態を示す断面図である。第15実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸101は、断面略円形の中央のモノフィラメント糸103の周囲に、断面略円形の周囲のモノフィラメント糸102が配置されている。また、モノフィラメント糸102、103は、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸103は、周囲のモノフィラメント糸102との間に接合部102aを有している。一方、周囲のモノフィラメント糸102、102同士の間は、接合されておらず、空間部102cが形成されている。したがって、空間部102cによって、外力を吸収、分散させることができると共に、水分を保持することができる。
【0056】
図16は、本発明に係るブラシ用毛材の第16実施形態を示す断面図である。第16実施形態に係るブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸111は、断面略円形で大径の中央のモノフィラメント糸113の周囲に、断面略円形で、中央のモノフィラメント糸113の約3分の1の小径の周囲のモノフィラメント糸112が配置されている。また、モノフィラメント糸112、113は、概柱形状を有している。そして、中央のモノフィラメント糸113は、周囲のモノフィラメント糸112との間に接合部112aを有している。一方、周囲のモノフィラメント糸112、112同士の間は、接合されておらず、空間部112cが形成されている。したがって、空間部112cによって、外力を吸収、分散させることができると共に、水分を保持することができる。また、中央のモノフィラメント糸113は、周囲のモノフィラメント糸112よりも機械的強度が大である為、設定に応じて強い毛腰を付与できる。
【0057】
図17(a)は、本発明に係るブラシ用毛材を使用したチャンネルブラシを示す断面図であり、図17(b)は、チャンネルブラシに先端部を形成した状態を示す断面図である。このチャンネルブラシ130は、モノフィラメント糸136、セミマルチフィラメント糸137、及びマルチフィラメント糸138より構成された複数本のブラシ用毛材133を芯線132、及び帯状体131にて挟み付けると共に、折り合わせて形成されている。チャンネルブラシ130を構成する芯線132は、概丸形断面を有する略円柱形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。また、帯状体131は、概コ字状断面を有する長尺形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。そして、モノフィラメント状の分岐部133aが形成され、この分岐部133aでモノフィラメント糸136へと均一に分岐され、被洗浄面への衝撃を吸収、分散させることができるため、被洗浄面に打痕傷や細かな傷を発生し難くすることができる。また、分岐部133aから分離させることによって、先割れ部133bが形成され、この先割れ部133bを先細加工することによって、図17(b)に示すように、チャンネルブラシ130aは、端部133cが形成される。この端部133cが形成されたモノフィラメント糸136は、より細かい箇所へと入り込むことができ、高い洗浄性を発揮することができる。尚、端部133cは、先細加工に代えて先丸加工等を採用することもできる。
【0058】
図18は、図17のチャンネルブラシ130を使用したブラシロールの部分正面図である。ブラシロール231は、鉄、アルミニウム等の金属材料、あるいはポリ塩化ビニル、ポリアセタール等の合成樹脂材料からなると共に、中空部209を有する直径Dの略円筒状の回転軸233の外周に、チャンネルブラシ130が傾斜角度θを有して螺旋状に装着されたブラシ部232が形成されている。なお、回転軸233は、中実状の略棒状であってもよい。
【0059】
図19(a)は、図18のブラシロールが搭載された洗浄装置の斜視図、図19(b)は、図19(a)のA−A断面図である。なお、構成の説明を容易にする為に、各部品の軸受け部や、支持部品の図示、説明は省略することとする。
【0060】
図19(a)において、洗浄装置230は、自動車の鋼板237のプレス加工ライン等に設置され、プレス機等の加工機器(図示せず)に供給される鋼板237等のブランク材を洗浄するもので、平板状の鋼板237をブラシロール231a、231bに送り込む図示しない上下一対の送りロールと、前記送りロールから送り出された鋼板237の両面を洗浄する上下一対にて設置されたブラシロール231a、231bと、ブラシロール231a、231bを回転駆動する駆動手段234、234と、ブラシロール231a、231b及び/又は鋼板237に洗浄液等の液体を吹き付ける複数のノズル235を有する配管236、236から構成されている。
【0061】
ブラシロール231a、231bは、略円筒状の回転軸233の外周にブラシ部232が形成されている。上部に位置するブラシロール231aは鋼板237の表面を洗浄し、下部に位置するブラシロール231bは鋼板237の裏面を洗浄する。
【0062】
ブラシロール231a、231bは、駆動手段234により、図19(b)の如く、矢印の方向に一定の回転速度で回転している。送りロール(図示せず)によりブラシロール231a、231bに送り込まれた鋼板237は、上部のブラシロール231aと下部のブラシロール231bの間を通過すると共に、ブラシロール231a、231bの有するブラシ部232が鋼板237の両面に当接し、鋼板237の表面、裏面に付着、堆積している異物等の対象物(図示せず)を除去する。その際、配管236からノズル235に洗浄液が送り込まれ、ノズル235からブラシロール231a、231b及び/又は鋼板237にたいして洗浄液が噴霧され、洗浄液により異物等の対象物が鋼板237から浮き上がりやすくする。
【0063】
上記の如く構成された洗浄装置230の動作、作用は下記の通りである。図示しない送りロールにより鋼板237がブラシロール231a、231bに送り込まれると、配管236を通して各洗浄ノズル235に洗浄液が供給されながら、ブラシロール231a、231b及び/又は鋼板237にたいして洗浄液が噴霧され、鋼板237は回転している上部のブラシロール231aと、下部のブラシロール231bとの間を通過すると共に、上部のブラシロール231aで鋼板237の表面が、下部のブラシロール231bで鋼板237の裏面がそれぞれ洗浄される。
【0064】
鋼板237の表面では、上部のブラシロール231aで擦り取られた塵埃や鉄粉等の対象物が、洗浄液と共に上部のブラシロール231aの一方の端部へ向かって送り出され、洗浄装置230の内部に落下していく。また、鋼板237の裏面では、下部のブラシロール231bで擦り取られた異物等の対象物の一部は、洗浄液と共に、直ちに洗浄装置230の内部に落下していき、洗浄液の粘着性や表面張力により、ブラシ部232に捕捉された対象物は、下部のブラシロール231bの螺旋状のブラシ部232により、下部のブラシロール231bの一方の端部へ向かって送り出され、洗浄装置230の内部に落下していく。
【0065】
洗浄装置230の内部に落下し、回収された異物等の対象物は、汚れた洗浄液と共に排出配管(図示せず)を通って、図示しない濾過装置や、廃液処理装置に送られていき、フィルター等により捕捉される。洗浄液は濾過されて、再び配管236へ送り込まれる。
【0066】
以上のように、本発明に係るブラシ用毛材を使用した洗浄装置230は、洗浄性能に優れ、しかも鋼板237の両面にブラシロール231a、231bのブラシ部232によるブラシマークが付き難い洗浄装置230を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のブラシ用毛材は、自動車や車両等に使用する鋼板を洗浄する洗浄装置、自動車や車両等を洗浄する自動洗車機、各種ガラス洗浄機等に搭載される回転ブラシ、食器洗浄ブラシ、食品洗浄ブラシ等の各種洗浄用ブラシ、各種清掃用ブラシに、ブラシ用毛材として使用する。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、6a、6b、8a ブラシ用毛材
2、2h、2i、12、22、32、42、62、72、82、92、102、112 周囲のモノフィラメント糸
2a、2b、12a、12b、20a、22a、22b、32a、42a、42b、62a、72a、72b、82b、92b、102a、112a 接合部
2c、20c、22c、32c 穴部
2g、12g 凹部
3、3a、13、23、33、43、63、73、103、113 中央のモノフィラメント糸
4、4a、4b、4c、4d、21、31、41、61、71、81、91、101、111、137 セミマルチフィラメント糸
5、138 マルチフィラメント糸
6 基部
7 中間部
8 先端部
10 テーパ加工
24 表皮層
32b 接触部
44 螺旋状部
74 波形状部
83、209 中空部
93、102c、112c 空間部
130、130a チャンネルブラシ
131 帯状体
132 芯線
133a 分岐部
133b 先割れ部
133c 端部
136 モノフィラメント糸
230 洗浄装置
231、231a、231b ブラシロール
232 ブラシ部
233 回転軸
234 駆動手段
235 ノズル
236 配管
237 鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂で構成された複数本の概柱形状からなるモノフィラメント糸が溶融接合された接合部を有して集束されたセミマルチフィラメント糸が形成されていると共に、複数本の前記セミマルチフィラメント糸が溶融接合された接合部を有して集束されたマルチフィラメント糸が形成されており、外力によって、接合された前記モノフィラメント糸同士及び前記セミマルチフィラメント糸同士が前記接合部あるいは前記接合部近傍から分離可能なブラシ用毛材であって、該ブラシ用毛材は、基部、中間部、及び先端部を有するとともに、
前記基部は、複数本の前記セミマルチフィラメント糸が集束されたマルチフィラメント糸であり、
前記中間部は、前記マルチフィラメント糸が分離する事により形成された複数本の独立したセミマルチフィラメント糸であり、
前記先端部は、前記セミマルチフィラメント糸が互いに分離する事により形成された複数本の独立したモノフィラメント糸であり、
前記マルチフィラメント糸が複数本の独立したセミマルチフィラメント糸に分離する分離強度が、前記セミマルチフィラメント糸が複数本の独立したモノフィラメント糸に分離する分離強度より小であるかあるいは同一であることを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項2】
請求項1に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材のセミマルチフィラメント糸及び/又はマルチフィラメント糸の外周部には凹部が形成されてあると共に、前記凹部の内周部に穴部が形成されていることを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の材質として、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂のいずれかが使用されていることを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は、マルチフィラメント糸において、中心部のセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数と該中心部の周りのセミマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント糸の本数が異なることを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は中心部にモノフィラメント糸を有し、該中心部のモノフィラメント糸の周りに複数のモノフィラメント糸が前記中心部のモノフィラメント糸とそれぞれ接合部を有して形成されていると共に、隣接する前記複数のモノフィラメント糸が互いに接触した接触部又は非接触の空間部を有することを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は複数のモノフィラメント糸を数珠状に形成し、中心部に中空部を設けたことを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成よりなるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は複数のモノフィラメント糸を略C字形状に形成し、開口部を設けたことを特徴とするブラシ用毛材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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