説明

ブラシ

【課題】複数の繊維束が並列して帯状をなすように形成されたブラシにおける繊維束が縦割り状に切断された場合に当該繊維束から繊維が解れることを抑制することができるブラシを提供する。
【解決手段】ブラシ41は、複数の繊維束45と、該繊維束45を構成する繊維45aが延びる方向と直交する方向へ各繊維束45を並列させた状態において各繊維束45を束状に保持しつつ連結する保持繊維46とを備え、繊維束45を構成する各繊維45aの間に接着機能を有する樹脂材料47が含浸されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気掃除機用の回転ブラシや画像形成装置における除電ブラシなどに用いられる帯状のブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラシは、例えば特許文献1に記載されるように、複数の並列する繊維束が、該繊維束を構成する繊維が延びる方向と交差する方向に延びる保持繊維によって、各繊維束における毛羽状の先端よりも基端側の部分を束状に保持されつつ並列方向に連結されることで、帯状をなすように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−125811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1における帯状のブラシは、そのブラシが装着される部品の規格に合わせて、各繊維束が並列する方向となる長手方向の寸法が調整される。すなわち、そのブラシが装着される部品の装着部位の長さに合わせて切断される。そのため、切断箇所によっては、多数の繊維が束ねられた繊維束を縦割りしてしまい、その繊維束を束状に保持すべく巻き付いている保持繊維も切断されるために、その切断箇所から繊維束を構成する繊維が解れてしまったり、さらには飛散したりする虞があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、複数の繊維束が並列して帯状をなすように形成されたブラシにおける繊維束が縦割り状に切断された場合に当該繊維束から繊維が解れることを抑制することができるブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るブラシは、複数の繊維束と、該繊維束を構成する繊維が延びる方向と直交する方向へ前記各繊維束を並列させた状態において前記各繊維束を束状に保持しつつ連結する保持繊維とを備え、前記繊維束を構成する各繊維の間に接着機能を有する樹脂材料が含浸されていることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、繊維束を構成する各繊維は、保持繊維が各繊維束を束状に保持する保持機能によるばかりでなく、各繊維の間に含浸される樹脂材料の接着機能によっても、多数の繊維が集まって束ねられた状態が保持される。したがって、複数の繊維束が並列して帯状をなすように形成されたブラシにおける繊維束が縦割り状に切断された場合に当該繊維束から繊維が解れることを抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係るブラシにおいて、前記樹脂材料は、前記繊維束における先端よりも基端側の部分において前記各繊維の間に含浸されていることを要旨とする。
この構成によれば、樹脂材料は繊維束における先端よりも基端側の部分において各繊維の間に含浸しているので、各繊維束は先端を毛羽状態に保持することができ、ブラシ性能を良好に維持することができる。
【0009】
また、本発明に係るブラシにおいて、前記保持繊維は、前記繊維束における先端から基端側への距離が異なる複数位置で前記各繊維束に各々巻き付く複数の保持繊維で構成され、前記各保持繊維のうち、前記繊維束における先端に一番近い位置で前記各繊維束に巻き付く先端側保持繊維は、当該先端側保持繊維よりも基端側で前記各繊維束に巻き付く他の保持繊維よりも前記樹脂材料の吸収保持能力が高くなるように構成されていることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、各繊維束に対して樹脂材料を例えば各繊維束における先端側保持繊維が巻き付く位置よりも基端側から含浸させた場合において、繊維束を構成する各繊維の毛管現象で樹脂材料が繊維束の先端側へ浸透しようとすると、その樹脂材料は先端側保持繊維により吸収保持される分だけ繊維束の先端側への浸透量が低減される。したがって、各繊維束の先端の毛羽状態が毛管現象で基端側から先端側へ浸透してくる樹脂材料で阻害されることを抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係るブラシにおいて、前記保持繊維は、前記樹脂材料を吸収した場合に変色することを要旨とする。
この構成によれば、例えば繊維束に対して複数の保持繊維がそれぞれ別々の位置で巻き付いている場合、樹脂材料を吸収して変色した保持繊維を視認することで、各繊維束への樹脂材料の含浸量を把握することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るブラシにおいて、前記繊維束を構成する前記繊維は、導電性繊維であることを要旨とする。
この構成によれば、導電性繊維が解れて飛散した場合などに発生することが懸念される電気的な不具合の発生を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の繊維束が並列して帯状をなすように形成されたブラシにおける繊維束が縦割り状に切断された場合に当該繊維束から繊維が解れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るブラシが装着される回転ブラシを備えた電気掃除機のヘッドを示す平断面図。
【図2】電気掃除機のヘッドの使用状態を示す側断面図。
【図3】電気掃除機における回転ブラシを示す斜視図。
【図4】ブラシ組品の一部破断斜視図。
【図5】ブラシの平面図。
【図6】ブラシの製造過程を示す要部拡大簡略図。
【図7】図5における7−7線矢視断面図。
【図8】(a)は比較例のブラシにおける部分断面図、(b)は(a)に示す比較例のブラシの部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のブラシを電気掃除機用の回転ブラシに用いられる帯状のブラシに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、電気掃除機のヘッド11は、平面視略T字状のケース12を備えている。ケース12の後端部には接続パイプ13の一端側が該ケース12に対して回動可能に接続されているとともに、接続パイプ13の他端側は電気掃除機の本体部(図示略)に接続されている。ケース12の底壁における前端側の位置には左右方向に長い矩形状の吸込口14が該底壁を貫通するように形成されている。
【0016】
ケース12の内底面上には矩形枠状をなす仕切板15が吸込口14を囲むように立設されており、該仕切板15を構成する後壁の中央部には該後壁を貫通するようにエア吸引口16が形成されている。ケース12の左内側面にはモータ軸受17が設けられ、該モータ軸受17はケース12内における仕切板15の後方に設けられたモータ18から延びるモータ軸19の先端を回転可能に支持している。
【0017】
仕切板15の左右両側壁にはそれぞれ回転支持体20が設けられ、該両回転支持体20はケース12の左右両内側面に設けられたブラシ軸受21によってそれぞれ回転可能に支持されている。仕切板15の内側には、回転軸線が左右方向に延びる回転ブラシ22が収容されており、該回転ブラシ22の両端部は両回転支持体20によってそれぞれ支持されている。
【0018】
また、左側の回転支持体20とモータ軸19に取着されたローラ19aとの間には無端状のベルト23が掛装されている。したがって、モータ18が駆動されると、該モータ18の回転駆動力が、モータ軸19、ローラ19a、ベルト23、及び左側の回転支持体20を介して回転ブラシ22に伝達されるようになっている。
【0019】
図3に示すように、回転ブラシ22は、金属等の導電性材料により円柱状をなすように形成された回転体31と、該回転体31に取着された4つのブラシ組品32とを備えている。回転体31の周面には、螺旋状をなす4本の凹溝33が周方向へ等間隔の配置態様となるように一方の端面から他方の端面まで形成されている。そして、これらの各凹溝33内にブラシ組品32が1つずつ装着されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、ブラシ組品32は、スチレン系またはオレフィン系の熱可塑性エラストマを押出成型することにより形成された長尺状の基材40と、その基材40に取着される帯状のブラシとしての毛羽体41を備えている。基材40は、回転体31の端面側から凹溝33内にスライド挿入された状態で凹溝33内から放射方向への抜け防止を図るべく凹溝33内の突起(図示略)に係止する側面視略半円状をなす係止部42と、毛羽体41を挟持するための側面視略U字状をなす挟持部43と、係止部42と挟持部43とを連結する帯状の連結部44とを備えている。
【0021】
図5に示すように、毛羽体41は、モノフィラメントである極細の導電性繊維(以下、単に「繊維」ともいう。)45aが多数本集まって束ねられたマルチフィラメントである繊維束45と、繊維束45の繊維45aが延びる方向と直交する方向へ各繊維束45を並列させた状態で各繊維束45を束状に保持しつつ連結する保持繊維46とを備えている。なお、導電性繊維45aとしては、炭素繊維の他にステンレス繊維等の金属繊維、レーヨン繊維やキュプラ繊維等の再生繊維に導電性を付与した繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維に導電性を付与した繊維等が挙げられる。ちなみに、本実施形態では、炭素繊維によって導電性繊維45aが構成されている。
【0022】
また、保持繊維46は、繊維束45において毛羽状の先端から基端側への距離が異なる複数位置(本実施形態では3位置)で各繊維束45に各々巻き付く複数(本実施形態では一対(2本)×3位置=3対(6本))の保持繊維46a,46b,46cで構成されている。具体的には、矩形状をなす毛羽体41の幅方向の略中間位置であって且つ3位置のうちでは繊維束45における毛羽状の先端に一番近い位置に先端側保持繊維46aが巻き付くと共に、この先端側保持繊維46aが巻き付いた位置よりも先端から順次に離れた2位置に他の保持繊維46b,46cが巻き付いている。
【0023】
各保持繊維46(46a,46b,46c)は、耐久性、柔軟性が高い繊維により形成されている。このような条件を満たす繊維としては、レーヨン繊維やキュプラ繊維等の再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等から形成される合成繊維、綿等の天然繊維等が挙げられる。ちなみに、本実施形態における保持繊維46は、合成繊維の一種であるポリプロピレン繊維と、加熱されても溶融しない非溶融繊維(例えば、綿などの天然繊維)が撚られた紡績繊維で構成されている。また、先端側保持繊維46aは、他の保持繊維46b,46cよりも、液体の吸収保持能力が高くなるように、合成繊維よりも液体の吸収性に優れた非溶融繊維(例えば、綿などの天然繊維)の比率が多くされている。
【0024】
図6に示すように、毛羽体41は、長尺の繊維束45を蛇行状に編み、両側の湾曲部分45bよりも幅方向内側の複数位置を互いに平行に延びる複数(この場合は、一対(2本)×6位置=6対(12本))の保持繊維46でそれぞれ編んだ後、幅方向の中央を切断する(図6中の矢印に沿って切断する)ことによって同時に2つ形成される。そして、毛羽体41の幅方向において保持繊維46(46a,46b,46c)が巻き付いた一定幅領域が熱プレスされる。すると、図7に示すように、保持繊維46(46a,46b,46c)において主に非溶融繊維からなる非溶融要素146は繊維束45に巻き付いた状態を維持する一方、溶融性のあるポリプロピレン繊維の一部である溶融要素246は繊維束45の外周縁部分に位置する一部の繊維45a同士の間に浸透し、その後、冷却するに連れて固化する。なお、本実施形態における樹脂材料47としては、例えばアクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョンなどの水溶性の樹脂材料が好ましく、繊維束45を構成する繊維45aとの相性などを考慮して適宜選択される。
【0025】
そして更には、図示しない塗布装置を用いて、毛羽体41の幅方向において先端側保持繊維46aが巻き付いた位置と湾曲部分45bとの間の一定幅領域に接着機能を有する樹脂材料47が塗布される。すなわち、毛羽体41の各繊維束45において毛羽状になる先端よりも基端側の部分において各繊維束45を構成する繊維45aの間に接着機能を有する樹脂材料47が含浸させられる。すると、図7に示すように、繊維束45を構成する繊維45aは、各繊維45aの間に万遍なく浸透して固化した樹脂材料47の接着機能により多数の繊維45aが集まって束ねられた状態に固められる。
【0026】
そこで次に、以上のように構成された帯状のブラシである毛羽体41の作用について、図8(a)(b)に示す比較例と対比しながら説明する。
さて、毛羽体41は、その毛羽体41が装着される部品の規格に合わせて、すなわち、この場合は回転ブラシ22における回転体31の凹溝33の長さに合わせて、繊維束45の並列方向となる長手方向の寸法を調整するべく、その一部が幅方向(繊維束45を構成する繊維45aの延びる方向)に沿って切断される。そのため、図4、図5及び図7に示すように、切断箇所によっては、繊維束45を縦割りしてしまうことがある。
【0027】
こうした場合において、図8(a)(b)に示す比較例の毛羽体のように、繊維束45を構成する各繊維45aの間に接着機能のある樹脂材料47が含浸されていないと、繊維45aが切断箇所から一本ずつ解れることがあり得る。そして、そのように繊維束45の縦割り切断箇所から解れた繊維45aが飛散してしまい、それが落下する箇所によっては電気的不具合を招いてしまう虞もある。
【0028】
これに対し、本実施形態のブラシである毛羽体41は、図7に示すように、繊維束45を構成する各繊維45aは、繊維束45全体として各繊維45aの間に万遍なく浸透して固化した樹脂材料47の接着機能により、多数の繊維45aが集まって束ねられた状態に固められている。そのため、図7に示す繊維束(同図では左端の繊維束)45のように、たとえ縦割り状に切断されたとしても、その切断箇所から繊維45aが解れることは抑制される。したがって、導電性繊維45aが飛散するようなことも抑制される。
【0029】
また、樹脂材料47は、繊維束45における先端よりも基端側の部分で各繊維45aの間に含浸しており、先端側の部分には含浸していないため、繊維束45は先端の毛羽状態が維持される。しかも、繊維束45における先端よりも基端側の部分に塗布されることで各繊維45a間に浸透した樹脂材料47は、各繊維45aの毛管現象で繊維束45の先端側へ浸透しようとするが、そのような樹脂材料47は液体の吸収性に優れた先端側保持繊維46aにより少なくとも一部が吸収保持されるので、その分だけ先端側への浸透量が低減される。
【0030】
そして、毛羽体41を基材40に挟持したブラシ組品32が、回転ブラシ22における回転体31の凹溝33内にスライド挿入されて装着された後、その回転ブラシ22が電気掃除機のヘッド11内に取り付けられる。なお、このとき回転ブラシ22の導電材料からなる回転体31は、図示しないアース機構に接続されると共に、その回転体31に対してブラシ組品32における毛羽体41の導電性繊維45aからなる繊維束45が、図示しない配線機構を介して電気的に接続される。
【0031】
そして次に、図2に示すように、ヘッド11が床面F上に載置された状態で電気掃除機が駆動されると、仕切板15の内側のエアがエア吸引口16及び接続パイプ13を介して電気掃除機の本体部(図示略)内に吸引される。さらに、回転ブラシ22が回転されることで、床面F上から塵、埃、毛髪等の塵埃が掻き取られながらエアとともに吸込口14から吸い込まれる。このとき、回転ブラシ22は、電気掃除機のヘッド11の前進を妨げない方向(図2の矢印で示す方向)に回転される。
【0032】
しかも、その際において、回転ブラシ22の回転に伴い床面F上に摺接する毛羽体41における繊維束45の各繊維45aは導電性繊維であるため、静電気除去機能を発揮する。したがって、静電気により床面F上に付着している塵埃をエアの吸引力とブラシでの掻き取り力で容易に床面F上から離れさせることが可能となる。
【0033】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)毛羽体41の繊維束45を構成する各繊維45aは、保持繊維46が繊維束45を束状に保持する保持機能によるばかりでなく、各繊維45aの間に含浸される樹脂材料47の接着機能によっても、多数の繊維45aが集まって束ねられた状態が保持される。したがって、複数の繊維束45が並列して帯状をなすように形成された毛羽体(ブラシ)41における繊維束45が縦割り状に切断された場合に当該繊維束45から繊維45aが解れることを抑制することができる。
【0034】
(2)樹脂材料47は繊維束45における先端よりも基端側の部分において各繊維45aの間に含浸しているので、各繊維束45は先端を毛羽状態に保持することができ、ブラシ性能を良好に維持することができる。
【0035】
(3)各繊維束45に対して樹脂材料47を例えば各繊維束45における先端側保持繊維46aが巻き付く位置よりも基端側から含浸させた場合、繊維束45を構成する各繊維45aの毛管現象で樹脂材料47は繊維束45の先端側へ浸透しようとするが、その樹脂材料47は先端側保持繊維46aにより少なくとも一部が吸収保持される。そのため、その分だけ繊維束45の先端側への樹脂材料47の浸透量が低減される。したがって、各繊維束45の先端の毛羽状態が毛管現象で基端側から先端側へ浸透してくる樹脂材料47で阻害されることを抑制することができる。
【0036】
(4)毛羽体41の繊維束45を構成する各繊維45aは、導電性繊維により構成されているが、上述したように、たとえ繊維束45が縦割り状に切断されたとしても、その切断箇所から導電性繊維45aが解れて飛散することはほとんどない。したがって、そうした導電性繊維45aが解れて飛散した場合などに発生することが懸念される電気的な不具合の発生を低減することができる。
【0037】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施形態において、複数の保持繊維46(46a,46b,46c)を樹脂材料47とは異なる色の繊維であって且つ各繊維45aの毛管現象によって先端側へ浸透する樹脂材料47を当該保持繊維46が繊維束45に巻き付いている位置で吸収した場合には変色する繊維により構成してもよい。このようにすれば、繊維束45における基端側から先端側へ毛管現象で浸透する樹脂材料の浸透量を目視により把握することが可能となる。
【0038】
・上記実施形態において、樹脂材料47は、例えば金属粉末を含んだ組成にするなど、導電性を有した樹脂材料であってもよい。このようにすれば、毛羽体41の繊維束45が導電性繊維45a及びそれらの間に含浸された導電性のある樹脂材料にて構成されることになるため、除電機能を発揮する際の電気抵抗を低減させることができる。
【0039】
・上記実施形態において、保持繊維46は、例えばポリプロピレン繊維などの合成繊維のように全て熱溶融性のある溶融繊維で構成してもよく、その逆に、例えば綿などの天然繊維のように全て非熱溶融の非溶融繊維で構成してもよい。この場合にも、繊維束45の各繊維45a間に含浸した樹脂材料47の接着機能により各繊維45aは束ねられた状態に固められることに変化はない。
【0040】
・上記実施形態において、繊維束45を構成する繊維45aは導電性繊維以外の非導電性繊維で構成してもよい。
・上記実施形態において、各繊維束45に対して束状に保持するべく巻き付く保持繊維46の本数は実施形態における本数に限定されず、任意の本数を採用可能である。
【0041】
・上記実施形態において、樹脂材料47は、繊維束45の先端部まで至らないならば、先端側保持繊維46aが巻き付いた位置よりも先端側の一定領域まで含浸させられていても良い。
【0042】
・上記実施形態において、複数の保持繊維46(46a,46b,46c)は全て同じ液体の吸収保持能力であってもよい。
・上記実施形態において、毛羽体41を回転体31に装着する手段としては、必ずしも基材40を介する必要はなく、接着剤、両面テープなどを使用して、直接、回転体31に貼り付けて装着するようにしてもよい。その場合、回転体31に設けられる貼り付け部の形状は装着方法に応じて適宜変更されうる。なお、この点が本発明の主旨に与える影響はほとんどないことは言うまでもない。
【0043】
・上記実施形態に示した帯状のブラシである毛羽体41は、電気掃除機用の回転ブラシ22に限定されず、例えば画像形成装置における除電ブラシや感光ドラムに付着したトナーを掻き取ったりするブラシなどの他のブラシ製品に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0044】
41…毛羽体(ブラシ)、45…繊維束、45a…繊維(導電性繊維)、46,46a,46b,46c…保持繊維、46a…先端側保持繊維、47…樹脂材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維束と、
該繊維束を構成する繊維が延びる方向と直交する方向へ前記各繊維束を並列させた状態において前記各繊維束を束状に保持しつつ連結する保持繊維とを備え、
前記繊維束を構成する各繊維の間に接着機能を有する樹脂材料が含浸されていることを特徴とするブラシ。
【請求項2】
前記樹脂材料は、前記繊維束における先端よりも基端側の部分において前記各繊維の間に含浸されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記保持繊維は、前記繊維束における先端から基端側への距離が異なる複数位置で前記各繊維束に各々巻き付く複数の保持繊維で構成され、
前記各保持繊維のうち、前記繊維束における先端に一番近い位置で前記各繊維束に巻き付く先端側保持繊維は、当該先端側保持繊維よりも基端側で前記各繊維束に巻き付く他の保持繊維よりも前記樹脂材料の吸収保持能力が高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記保持繊維は、前記樹脂材料を吸収した場合に変色することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のブラシ。
【請求項5】
前記繊維束を構成する前記繊維は、導電性繊維であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−27651(P2013−27651A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167433(P2011−167433)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(596024426)槌屋ティスコ株式会社 (47)
【Fターム(参考)】