ブラジャー
【課題】乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成でき、ストラップおよびバックを省略することによって背中が大きく開いた服を着る際にも着用できると共に、軽量で長時間装着しても補整したバストのシルエットを自然な形で維持することが可能なブラジャーを提供する。
【解決手段】樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップ12と、前記カップ12の内表面に設けられた粘着材層と、前記カップ12の内側部12a同士を互いに連結する連結部材16とを備えるブラジャー10であって、前記カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が前記下側湾曲縁12bの形状に沿うように固着されていることを特徴とする。
【解決手段】樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップ12と、前記カップ12の内表面に設けられた粘着材層と、前記カップ12の内側部12a同士を互いに連結する連結部材16とを備えるブラジャー10であって、前記カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が前記下側湾曲縁12bの形状に沿うように固着されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストラップおよびバックを省略でき、乳房間溝や高いバストラインを得ることができるブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
自身のバストを大きく且つ美しく見せたいという女性の願いを叶えるべく、乳房間溝や高いバストラインを形成できる様々なタイプのブラジャーが提案されている。
【0003】
このような技術の一つとして、略椀状に成形され且つその内表面に粘着材層が設けられたカップを乳房に貼り付けると共に、該カップの内側間を連結部品で連結するブラジャーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
かかる技術によれば、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成できると共に、ストラップおよびバックを省略できるため、背中が大きく開いた服を着る際にも着用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−3102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなストラップおよびバックがないブラジャーでは、軽量化を図るべく、カップの基材としてウレタンフォームなどの樹脂発泡材料を用いた場合、カップのクッション性や柔軟性が高くなる結果、カップの自然な形状を維持しながら強い力でバストを補整するのが困難になる(換言すれば、強い力でバストを補整した場合、カップの形が不自然に変形し、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成できなくなる)と共に、仮に一旦自然なシルエットでバストを補整できたとしても当該ブラジャーを長時間装着していると次第に補整効果が弱くなって来ると云った問題が生じ得る。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成でき、ストラップおよびバックを省略することによって背中が大きく開いた服を着る際にも着用できると共に、軽量で長時間装着しても補整したバストのシルエットを自然な形で維持することが可能なブラジャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「請求項1」に記載した発明は、
(a)樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップ12と、前記カップ12の内表面に設けられた粘着材層14と、前記カップ12の内側部12a同士を互いに連結する連結部材16とを備えるブラジャー10であって、
(b)前記カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が前記下側湾曲縁12bの形状に沿うように固着されていることを特徴とする
(c)ブラジャー10、である。
【0009】
この発明では、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が固着されているので、樹脂発泡材料からなり軽量でクッション性や柔軟性が高いカップ12自体の形態保持力を向上させる事ができると共に、ブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができ、自然なシルエットで形成した乳房間溝や高いバストラインを長時間維持することができるようになる。
【0010】
ここで、ストラップやバックを有し、カップの下側湾曲縁の直上にワイヤーが取着された従来のワイヤー付きのブラジャーでは、これを装着した際、ワイヤーが乳房の下輪郭(すなわち乳房とボディとの境界)である所謂バージスラインに配置されるようになるが、本発明のブラジャー10では、ワイヤー18がカップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に固着されているので、ブラジャー10を装着した際に、ワイヤー18がバージスラインよりも乳房側、すなわち乳房下側面に配置されて乳房の下部を直接支持するようになる。このため、ワイヤー18による乳房の補整力を乳房にダイレクトに作用させることができ、上述したようにブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成でき、ストラップおよびバックを省略することによって背中が大きく開いた服を着る際にも着用できると共に、軽量で長時間装着しても補整したバストのシルエットを自然な形で維持することが可能なブラジャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例のブラジャーの正面図である。
【図2】図1におけるI−I断面図で、破線円内はその要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に従って詳述する。図1は、本発明の一実施例のブラジャー10を示す正面図であり、図2は、図1におけるI−I断面図である。このように本発明のブラジャー10は、大略、左右一対のカップ12,粘着材層14,連結部材16およびワイヤー18で構成されている。
【0014】
カップ12は、左右のバストを包み込むものであり、ウレタンフォームやポリエチレンフォームなどの樹脂発泡材料からなり、乳房の形に添うように略椀状に成形された基材20(図2に示す例の場合には、表裏方向に5枚の基材20a〜20fが積層して形成されている)を有する。この基材20の表裏両面には、ポリエステル繊維やポリアミド(ナイロン)繊維などの熱可塑性繊維を緯編したメリヤス生地等からなる布帛22が取着されると共に、これらの端縁部が熱融着により一体化されている。このように樹脂発泡材料からなる基材20の表裏両面を布帛22で被覆することによって、カップ12の表面強度や保形性の向上が図られている。
【0015】
なお、基材20及び布帛22の端縁部は上述のように熱融着で一体化したものに限定されるものではなく、これらの端縁部を二つ折りにしたバイアステープ(図示せず)で包み、その上からこれらを一体的に縫着するようにしてもよい。
【0016】
また、本実施例では、図2に示すように、表裏方向にて5枚積層された基材20a〜20fのうち、内表面(裏面)側の基材20aとこれに隣接する基材20bとの間に4フッ化エチレン樹脂(未焼成)などからなるフィルム24が介装されている。このようなフィルム24を介装することで、後述する粘着材層14を形成する際に粘着材がカップ12の内部奥まで浸透してしまうのを防止することができる。なお、基材20を構成する樹脂発泡材料が独立気泡型のものである場合等、基材20に接着材(樹脂)が染み込み難い場合には、このようなフィルム24を省略するようにしてもよい。
【0017】
粘着材層14は、バストの所定の位置にカップ12を貼着するためのものであり、カップ12の内表面に粘着材を塗設することによって形成される。この粘着材層14を構成する接着材としては、使用者の肌への着脱が容易であり、汗や水などによっても粘着性が衰えることなく、剥離後の再粘着性に優れた(つまり繰返しの使用が可能な)シリコーン粘着材(Pressure Sensitive Adhesive,PSA;感圧性粘着剤)が好適である。
【0018】
連結部材16は、各カップ12を使用者のバストに貼着した後、互いに対向する両カップ12の内側部12a同士を着脱自在に連結するためのものであり、一方(図1においては左側)のカップ12の内側部に取り付けられた第1部材16aと他方(図1においては右側)のカップ12の内側部に取り付けられた第2部材16bとを有する。この第1部材16aおよび第2部材16bは、相互に係合することによって左右の各カップ12の内側面同士を一体的に連結できるものであれば如何なる態様であってもよく、例えば通常の(すなわちストラップやバックを有する)ブラジャーに用いられているフロントホックや面ファスナーなどがこれに該当する。
【0019】
ワイヤー18は、カップ12の形態を保持すると共に、カップ12に収容した乳房に対してその下側から補整力を与えるためのもので、カップ12の下側湾曲縁12bの形状に近似する円弧状に形成された弾性回復力の高い線材である。このワイヤー18を構成する素材は特に限定されるものではないが、ピアノ線などのスチール、Ni−Ti合金、形状記憶合金、ステンレス、アモルファス合金と云った金属材料や、合成樹脂或いは繊維強化プラスチック(FRP)などが単独で或いは複合して用いられている。ここで、ワイヤー18に用いる合成樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等を挙げることができる。また、ワイヤー18に用いる繊維強化プラスチックとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などを補強材としたエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0020】
図2に示す例では、このワイヤー18が、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの熱可塑性繊維で形成されたバイアステープなどの生地からなる袋状物26に封入されている。このような袋状物26にワイヤー18を封入することによって、特にワイヤー18が金属製の場合には、乳房下部へのワイヤー18の当たりを柔らかくすることができると共に、後述するように基材20等と重ね合わせて金型で熱圧する際に、袋状物26の表面が若干熱溶融(或いは軟化)して基材20の表面に接着するようになり、カップ12内のワイヤー18が簡単に移動しないよう固定させることができる。
【0021】
なお、図2では、ワイヤー18がフィルム24よりも外表面(表面)側に積層された基材20bと基材20cとの間に配設されている場合を示しているが、ワイヤー18の配設位置は、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥にてワイヤー18の形状が当該下側湾曲縁12bに沿うように配設されているものであれば如何なる態様であってもよく、上記位置に限定されるものではない。
【0022】
以上のように構成されたブラジャー10を製造する際には、まず始めに、表裏方向にて積層する複数の基材20a,20b…、布帛22及びフィルム24を各々所定の大きさ及び形状に裁断し、これらを(外表面となる)布帛22、外表面(表面)側の基材20f〜20b、フィルム24、内表面(裏面)側の基材20a及び(内表面となる)布帛22の順に積層すると共に、表面側に積層された基材20bと基材20cとの間であって、カップ12が形成された際にその下側湾曲縁12bに沿う位置にワイヤー18を配設した後、図示しない金型にセットして熱圧する。するとカップ12の外表面になる布帛22と内表面になる布帛22とが出会う個所、すなわちカップ12の周縁にて両者が熱溶融することによって基材20及びフィルム24の周縁共々熱圧にて一体化され、所定形状のカップ12が形成される。
【0023】
なお、カップ12の下側湾曲縁12bの内部に配設したワイヤー18は、カップ12の内部で簡単に移動しないよう所定の位置に固定させる必要がある。このため上述したようにワイヤー18を熱可塑性繊維の生地からなる袋状物26に封入する事のほかに、ワイヤー18を、接着剤などの接着手段を用いて固定したり、基材20に縫着したりするようにしてもよい。また、基材20や布帛22やフィルム24等を積層して金型で熱圧する際に、カップ12構成する各部材の層間にポリエチレンなどの低融点熱可塑性樹脂からなるホットメルトなどの接着材を介装するようにしてもよい。
【0024】
続いて、カップ12の内側部12aの先端に連結部材16の第1部材16aまたは第2部材16bのいずれか一方を縫着し、カップ12内表面における粘着材層14を設けない所定部分をマスキングテープなどでマスキングする。
【0025】
然る後、スプレー法,刷毛塗り法,スクリーン印刷法などの公知の塗布方法を用いてカップ12の内表面に感圧性シリコーン粘着剤などの粘着材を塗布し、カップ12の内表面に接着材層14を形成する。そして、マスキングした部分の粘着材を除去することによって、本実施例のブラジャー10が完成する。なお、粘着材の塗布にスクリーン印刷法を用いた場合には、上述のマスキング工程は不要である。
【0026】
ここで、本実施例のブラジャー10は、内表面側の基材20aと基材20bとの間にフィルム24が介装されているので、基材20が連続気泡型のものであっても、接着材を塗布して接着材層14を形成する際、当該接着材がカップ12を構成する基材20の内部深くに浸透するのを抑えることができ、カップ12の内表面に十分な厚みの接着材層14を形成することができる。
【0027】
次に、本実施例のブラジャー10を装着する際には、まず、左右の乳房それぞれの所定位置にカップ12を貼着する。そして乳房に貼着した左右一対のカップ12を体の中心に向けて引寄せ、各カップ12の内側部に取り付けられた第1部材16aおよび第2部材16b(すなわち連結部材16)を係合して両カップ12を連結する。これにより、ブラジャー10の装着が完了し、バストには乳房間溝や高いバストラインが自然なシルエットで形成される。
【0028】
このように本実施例のブラジャー10では、ストラップおよびバックを省略できるので、背中が大きく開いた服を着る際にも着用することができる。しかも、カップ12が軽量な樹脂発泡材料を主体として構成されているので、装着感が極めて良好なものとなる。
【0029】
また、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が固着されているので、樹脂発泡材料からなり軽量でクッション性や柔軟性が高いカップ12自体の形態保持力を向上させる事ができると共に、ブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができ、自然なシルエットで形成した乳房間溝や高いバストラインを長時間維持することができるようになる。とりわけ、本発明のブラジャー10では、ワイヤー18がカップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に固着されているので、ブラジャー10を装着した際に、ワイヤー18がバージスラインよりも乳房側の乳房下側面に配置されて乳房の下部を直接支持するようになる結果、ワイヤー18による乳房の補整力を乳房にダイレクトに作用させることができ、上述したようにブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
10…ブラジャー
12…カップ
12a…(カップの)内側部
12b…(カップの)下側湾曲縁
14…粘着材層
16…連結部材
16a…第1部材
16b…第2部材
18…ワイヤー
20…基材
22…布帛
24…フィルム
26…袋状物
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストラップおよびバックを省略でき、乳房間溝や高いバストラインを得ることができるブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
自身のバストを大きく且つ美しく見せたいという女性の願いを叶えるべく、乳房間溝や高いバストラインを形成できる様々なタイプのブラジャーが提案されている。
【0003】
このような技術の一つとして、略椀状に成形され且つその内表面に粘着材層が設けられたカップを乳房に貼り付けると共に、該カップの内側間を連結部品で連結するブラジャーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
かかる技術によれば、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成できると共に、ストラップおよびバックを省略できるため、背中が大きく開いた服を着る際にも着用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−3102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなストラップおよびバックがないブラジャーでは、軽量化を図るべく、カップの基材としてウレタンフォームなどの樹脂発泡材料を用いた場合、カップのクッション性や柔軟性が高くなる結果、カップの自然な形状を維持しながら強い力でバストを補整するのが困難になる(換言すれば、強い力でバストを補整した場合、カップの形が不自然に変形し、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成できなくなる)と共に、仮に一旦自然なシルエットでバストを補整できたとしても当該ブラジャーを長時間装着していると次第に補整効果が弱くなって来ると云った問題が生じ得る。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成でき、ストラップおよびバックを省略することによって背中が大きく開いた服を着る際にも着用できると共に、軽量で長時間装着しても補整したバストのシルエットを自然な形で維持することが可能なブラジャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「請求項1」に記載した発明は、
(a)樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップ12と、前記カップ12の内表面に設けられた粘着材層14と、前記カップ12の内側部12a同士を互いに連結する連結部材16とを備えるブラジャー10であって、
(b)前記カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が前記下側湾曲縁12bの形状に沿うように固着されていることを特徴とする
(c)ブラジャー10、である。
【0009】
この発明では、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が固着されているので、樹脂発泡材料からなり軽量でクッション性や柔軟性が高いカップ12自体の形態保持力を向上させる事ができると共に、ブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができ、自然なシルエットで形成した乳房間溝や高いバストラインを長時間維持することができるようになる。
【0010】
ここで、ストラップやバックを有し、カップの下側湾曲縁の直上にワイヤーが取着された従来のワイヤー付きのブラジャーでは、これを装着した際、ワイヤーが乳房の下輪郭(すなわち乳房とボディとの境界)である所謂バージスラインに配置されるようになるが、本発明のブラジャー10では、ワイヤー18がカップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に固着されているので、ブラジャー10を装着した際に、ワイヤー18がバージスラインよりも乳房側、すなわち乳房下側面に配置されて乳房の下部を直接支持するようになる。このため、ワイヤー18による乳房の補整力を乳房にダイレクトに作用させることができ、上述したようにブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乳房間溝や高いバストラインを自然なシルエットで形成でき、ストラップおよびバックを省略することによって背中が大きく開いた服を着る際にも着用できると共に、軽量で長時間装着しても補整したバストのシルエットを自然な形で維持することが可能なブラジャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例のブラジャーの正面図である。
【図2】図1におけるI−I断面図で、破線円内はその要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に従って詳述する。図1は、本発明の一実施例のブラジャー10を示す正面図であり、図2は、図1におけるI−I断面図である。このように本発明のブラジャー10は、大略、左右一対のカップ12,粘着材層14,連結部材16およびワイヤー18で構成されている。
【0014】
カップ12は、左右のバストを包み込むものであり、ウレタンフォームやポリエチレンフォームなどの樹脂発泡材料からなり、乳房の形に添うように略椀状に成形された基材20(図2に示す例の場合には、表裏方向に5枚の基材20a〜20fが積層して形成されている)を有する。この基材20の表裏両面には、ポリエステル繊維やポリアミド(ナイロン)繊維などの熱可塑性繊維を緯編したメリヤス生地等からなる布帛22が取着されると共に、これらの端縁部が熱融着により一体化されている。このように樹脂発泡材料からなる基材20の表裏両面を布帛22で被覆することによって、カップ12の表面強度や保形性の向上が図られている。
【0015】
なお、基材20及び布帛22の端縁部は上述のように熱融着で一体化したものに限定されるものではなく、これらの端縁部を二つ折りにしたバイアステープ(図示せず)で包み、その上からこれらを一体的に縫着するようにしてもよい。
【0016】
また、本実施例では、図2に示すように、表裏方向にて5枚積層された基材20a〜20fのうち、内表面(裏面)側の基材20aとこれに隣接する基材20bとの間に4フッ化エチレン樹脂(未焼成)などからなるフィルム24が介装されている。このようなフィルム24を介装することで、後述する粘着材層14を形成する際に粘着材がカップ12の内部奥まで浸透してしまうのを防止することができる。なお、基材20を構成する樹脂発泡材料が独立気泡型のものである場合等、基材20に接着材(樹脂)が染み込み難い場合には、このようなフィルム24を省略するようにしてもよい。
【0017】
粘着材層14は、バストの所定の位置にカップ12を貼着するためのものであり、カップ12の内表面に粘着材を塗設することによって形成される。この粘着材層14を構成する接着材としては、使用者の肌への着脱が容易であり、汗や水などによっても粘着性が衰えることなく、剥離後の再粘着性に優れた(つまり繰返しの使用が可能な)シリコーン粘着材(Pressure Sensitive Adhesive,PSA;感圧性粘着剤)が好適である。
【0018】
連結部材16は、各カップ12を使用者のバストに貼着した後、互いに対向する両カップ12の内側部12a同士を着脱自在に連結するためのものであり、一方(図1においては左側)のカップ12の内側部に取り付けられた第1部材16aと他方(図1においては右側)のカップ12の内側部に取り付けられた第2部材16bとを有する。この第1部材16aおよび第2部材16bは、相互に係合することによって左右の各カップ12の内側面同士を一体的に連結できるものであれば如何なる態様であってもよく、例えば通常の(すなわちストラップやバックを有する)ブラジャーに用いられているフロントホックや面ファスナーなどがこれに該当する。
【0019】
ワイヤー18は、カップ12の形態を保持すると共に、カップ12に収容した乳房に対してその下側から補整力を与えるためのもので、カップ12の下側湾曲縁12bの形状に近似する円弧状に形成された弾性回復力の高い線材である。このワイヤー18を構成する素材は特に限定されるものではないが、ピアノ線などのスチール、Ni−Ti合金、形状記憶合金、ステンレス、アモルファス合金と云った金属材料や、合成樹脂或いは繊維強化プラスチック(FRP)などが単独で或いは複合して用いられている。ここで、ワイヤー18に用いる合成樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等を挙げることができる。また、ワイヤー18に用いる繊維強化プラスチックとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などを補強材としたエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0020】
図2に示す例では、このワイヤー18が、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの熱可塑性繊維で形成されたバイアステープなどの生地からなる袋状物26に封入されている。このような袋状物26にワイヤー18を封入することによって、特にワイヤー18が金属製の場合には、乳房下部へのワイヤー18の当たりを柔らかくすることができると共に、後述するように基材20等と重ね合わせて金型で熱圧する際に、袋状物26の表面が若干熱溶融(或いは軟化)して基材20の表面に接着するようになり、カップ12内のワイヤー18が簡単に移動しないよう固定させることができる。
【0021】
なお、図2では、ワイヤー18がフィルム24よりも外表面(表面)側に積層された基材20bと基材20cとの間に配設されている場合を示しているが、ワイヤー18の配設位置は、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥にてワイヤー18の形状が当該下側湾曲縁12bに沿うように配設されているものであれば如何なる態様であってもよく、上記位置に限定されるものではない。
【0022】
以上のように構成されたブラジャー10を製造する際には、まず始めに、表裏方向にて積層する複数の基材20a,20b…、布帛22及びフィルム24を各々所定の大きさ及び形状に裁断し、これらを(外表面となる)布帛22、外表面(表面)側の基材20f〜20b、フィルム24、内表面(裏面)側の基材20a及び(内表面となる)布帛22の順に積層すると共に、表面側に積層された基材20bと基材20cとの間であって、カップ12が形成された際にその下側湾曲縁12bに沿う位置にワイヤー18を配設した後、図示しない金型にセットして熱圧する。するとカップ12の外表面になる布帛22と内表面になる布帛22とが出会う個所、すなわちカップ12の周縁にて両者が熱溶融することによって基材20及びフィルム24の周縁共々熱圧にて一体化され、所定形状のカップ12が形成される。
【0023】
なお、カップ12の下側湾曲縁12bの内部に配設したワイヤー18は、カップ12の内部で簡単に移動しないよう所定の位置に固定させる必要がある。このため上述したようにワイヤー18を熱可塑性繊維の生地からなる袋状物26に封入する事のほかに、ワイヤー18を、接着剤などの接着手段を用いて固定したり、基材20に縫着したりするようにしてもよい。また、基材20や布帛22やフィルム24等を積層して金型で熱圧する際に、カップ12構成する各部材の層間にポリエチレンなどの低融点熱可塑性樹脂からなるホットメルトなどの接着材を介装するようにしてもよい。
【0024】
続いて、カップ12の内側部12aの先端に連結部材16の第1部材16aまたは第2部材16bのいずれか一方を縫着し、カップ12内表面における粘着材層14を設けない所定部分をマスキングテープなどでマスキングする。
【0025】
然る後、スプレー法,刷毛塗り法,スクリーン印刷法などの公知の塗布方法を用いてカップ12の内表面に感圧性シリコーン粘着剤などの粘着材を塗布し、カップ12の内表面に接着材層14を形成する。そして、マスキングした部分の粘着材を除去することによって、本実施例のブラジャー10が完成する。なお、粘着材の塗布にスクリーン印刷法を用いた場合には、上述のマスキング工程は不要である。
【0026】
ここで、本実施例のブラジャー10は、内表面側の基材20aと基材20bとの間にフィルム24が介装されているので、基材20が連続気泡型のものであっても、接着材を塗布して接着材層14を形成する際、当該接着材がカップ12を構成する基材20の内部深くに浸透するのを抑えることができ、カップ12の内表面に十分な厚みの接着材層14を形成することができる。
【0027】
次に、本実施例のブラジャー10を装着する際には、まず、左右の乳房それぞれの所定位置にカップ12を貼着する。そして乳房に貼着した左右一対のカップ12を体の中心に向けて引寄せ、各カップ12の内側部に取り付けられた第1部材16aおよび第2部材16b(すなわち連結部材16)を係合して両カップ12を連結する。これにより、ブラジャー10の装着が完了し、バストには乳房間溝や高いバストラインが自然なシルエットで形成される。
【0028】
このように本実施例のブラジャー10では、ストラップおよびバックを省略できるので、背中が大きく開いた服を着る際にも着用することができる。しかも、カップ12が軽量な樹脂発泡材料を主体として構成されているので、装着感が極めて良好なものとなる。
【0029】
また、カップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に、円弧状のワイヤー18が固着されているので、樹脂発泡材料からなり軽量でクッション性や柔軟性が高いカップ12自体の形態保持力を向上させる事ができると共に、ブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができ、自然なシルエットで形成した乳房間溝や高いバストラインを長時間維持することができるようになる。とりわけ、本発明のブラジャー10では、ワイヤー18がカップ12の下側湾曲縁12b側の内部奥に固着されているので、ブラジャー10を装着した際に、ワイヤー18がバージスラインよりも乳房側の乳房下側面に配置されて乳房の下部を直接支持するようになる結果、ワイヤー18による乳房の補整力を乳房にダイレクトに作用させることができ、上述したようにブラジャー10装着によるバストの補整効果をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
10…ブラジャー
12…カップ
12a…(カップの)内側部
12b…(カップの)下側湾曲縁
14…粘着材層
16…連結部材
16a…第1部材
16b…第2部材
18…ワイヤー
20…基材
22…布帛
24…フィルム
26…袋状物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップと、前記カップの内表面に設けられた粘着材層と、前記カップの内側部同士を互いに連結する連結部材とを備えるブラジャーであって、
前記カップの下側湾曲縁側の内部奥に、円弧状のワイヤーが前記下側湾曲縁の形状に沿うように固着されていることを特徴とするブラジャー。
【請求項1】
樹脂発泡材料を乳房の形に対応する略椀状に成形した左右一対のカップと、前記カップの内表面に設けられた粘着材層と、前記カップの内側部同士を互いに連結する連結部材とを備えるブラジャーであって、
前記カップの下側湾曲縁側の内部奥に、円弧状のワイヤーが前記下側湾曲縁の形状に沿うように固着されていることを特徴とするブラジャー。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2011−157669(P2011−157669A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22357(P2010−22357)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(503028662)ブラジェル インターナショナル インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】Bragel International Inc.
【住所又は居所原語表記】3383 POMONA BLVD. POMONA, CA 91768, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(503028662)ブラジェル インターナショナル インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】Bragel International Inc.
【住所又は居所原語表記】3383 POMONA BLVD. POMONA, CA 91768, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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