説明

ブラジャー

【課題】乳房脇部の肉がブラジャー着用時に、ブラジャーからはみ出さないようにする。
【解決手段】カップ2の脇部21の横側と、バック布4の上辺41の上側の所定箇所を占める脇部押さえ布6を、ブラジャー1に縫い付ける。具体的には、カップ2の上端部近傍とバック布4の上辺41の所定位置を結ぶ略直線と、カップ2の上端部近傍から脇部21を通ってバック布4の上辺41の所定位置に至るブラジャー1に沿った曲線で囲まれた領域を有する脇部押さえ布6を、脇部21と上辺41に沿って縫い付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳房の脇部の肉を押さえて体の中心方向に寄せる機能を有する、ブラジャー部のある女性用衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジャーを着用した際、身体に適切にフィットせず、特に、乳房の脇部の肉がブラジャーに納まらず、横方向にはみ出してしまうことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3506362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、カップの脇部にテープ上の補強部材を設けているが、脇部の肉をブラジャーに収めることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の女性用衣料は、一対のカップと、カップの下辺に縫着された土台部と、カップから側方に延びるバック布と、一端がカップの上辺に取り付けられ、他端がバック布の上辺に取り付けられたストラップとからなる、ブラジャー部を有する女性用衣料において、少なくとも、カップの脇部上端近傍とバック布の上辺の所定位置を連結している、脇部押さえ布を設けたことを特徴とする。
【0006】
また、脇部押さえ布は、カップの脇部上端近傍とバック布の上辺の所定位置を結んだ直線と、該カップの脇部上端近傍からカップの脇部とバック布の上辺を通って該バック布の上辺の所定位置に至る線で囲まれた領域を占め、縁部がカップの脇部と前記バック布の上辺に縫着してあることにより、乳房脇部の肉の大部分を押さえて体の中心側へ寄せることができる。
【0007】
脇部押さえ布は、ヘム生地を2枚重ねてなることにより、乳房脇部の肉の大部分を押さえて体の中心側へ寄せると共に脇部押さえ布の縁部における段差を解消することができる。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の授乳用女性用衣料は、一対のカップと、カップの下辺に縫着された土台部と、カップから側方に延びるバック布と、一端がカップの上辺に取り付けられ、他端がバック布の上辺に取り付けられたストラップとからなる、ブラジャー部を有する女性用衣料において、カップの上端近傍に取り付けられたカップ側連結具と、該連結具と着脱可能な、ストラップのカップ側端に取り付けられたストラップ側連結具と、一端がストラップ側連結具に取り付けられ他端が前記バック布の上辺に取り付けられた帯状テープを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カップの脇部とバック布上辺の間にある、乳房の脇部の肉を押さえて、体の中心側へ寄せることができる。請求項4に係る発明によれば、上記の効果に加えて、授乳時にブラジャーが位置ずれしにくいという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例のブラジャーの正面図である。
【図2】第1実施例のブラジャーの背面図である。
【図3】第1実施例を人体に着用した状態の簡略図である。
【図4】第2実施例のブラジャーの正面図である。
【図5】第2実施例のブラジャーの背面図である。
【図6】第2実施例のカップ側連結具の拡大図である。
【図7】第2実施例のストラップ側連結具の拡大図である。
【図8】連結具を接続した状態の拡大図である。
【図9】第2実施例を人体に着用した状態の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図1に示されているのは、本発明の実施例であるブラジャー1である。ブラジャー1は、左右一対のカップ2、カップの下辺に縫着された土台部3、カップ2から側方(図1中、左右方向)に延びる一対のバック布4、カップ2の上辺に一端が縫着され、バック布4の上辺に他端が縫着されている一対のストラップ5、脇部押さえ布6、バック布4に縫着された係止部からなる。
【0012】
カップ2は、不図示のポリウレタンを熱成型して立体化し、その表側に伸縮性を有するツーウェイトリコット生地を、肌側に綿とポリウレタンの混成生地を取り付けてなる。ツーウェイトリコット生地は、バック布4の一端部(図1の左側の係止部との境界部)からバック布4の他端部(図1の右側の係止部との境界部)まで、一枚の生地で成り、カップ2、土台部3、バック布4の表側の全てを覆っている。カップ2においては、カップ2の脇部21とワイヤーチューブ22に沿って前記のポリウレタンに縫着されている。さらに、カップ2の上辺においては、ツーウェイトリコット生地を折り返して、肌側において上記混成生地と縫着している。
【0013】
土台部3は非伸縮性生地からなり、ワイヤーチューブ22に縫着され、横方向(図1中、左右方向)において両カップ2,2の最下点L,L間を占め、縦方向(図1中、上下方向)においてカップ2の下部を占めている。
【0014】
バック布4は、表側と肌側のツーウェイトリコット生地が上辺41と下辺42において伸縮性テープTU、TLと共に縫着されてなる。他の箇所においては、ボーン43が縫着されている箇所を除いて、2枚の生地は相互にフリーの状態となっている。さらに、バック布4の先端には、ブラジャー1の着脱時に着脱可能な係止部が縫着されている。
【0015】
ストラップ5は伸縮性素材からなり、カップ2の上端部とバック布4の上辺41の係止部よりの所定箇所をつないでいる。
【0016】
伸縮性テープTUは、バック布4の上辺41からカップ2の脇部21を通ってストラップ5の真中近傍まで続いている。また、伸縮性テープTLは、バック布4の下辺42からカップ下を通って土台部3の真中近傍まで続いている。
【0017】
脇部押さえ布6は、図1及び図2に示されているように、カップ2の脇部21の上端近傍とバック布4の上辺41の所定位置を結んだ略直線と、カップ2の脇部21の上端近傍からカップ2の脇部21とバック布4の上辺41を通ってバック布4の上辺41の所定位置に至る曲線で囲まれた領域を占めている。ここで、上記の所定位置は、脇部21と上辺41の境界端部から、上辺41の長さの1/4から1/3までの位置をいう。
【0018】
脇部押さえ布6は、2枚のヘム生地を重ねて、一縁部(カップ2の脇部21の上端近傍とバック布4の上辺41の所定位置を結んだ直線の近傍)を互いに縫着し、他縁部をカップ2の脇部21とバック布4の上辺41に縫着することにより、ブラジャー1に取り付けてある。脇部押さえ布6は、ブラジャー1の表側に取り付けてあるツーウェイトリコット生地に比べると伸びが抑えられている。脇部押さえ布6の伸張性は、バック布4やストラップ5の伸張性に合わせて適宜決定すればよい。
【0019】
脇部押さえ布6は、ヘム生地とすることにより、縁部に縫着、テープ取り付け等の処理をする必要がなく、縁部に段差が生じない。従って、着用時にアウターにひびかない。ここで、ヘム生地とは、生地間の糸を抜くことにより生地を分離し、糸抜き処理を施した箇所に後処理を施さなくても糸の解れが生じない生地をいう。
【0020】
なお、本実施例では、脇部押さえ布6にヘム生地を用いているが、裁断時に端始末不要な、いわゆる切りっ放し生地を用いてもよい。アウターにひびかないという観点からは、ヘム生地或いは切りっ放し生地を用いるのが好ましいが、装飾を重視するのであればレース生地を用いればよく、他の機能を重視するのであれば、それに合わせた生地を用いればよい。
【0021】
図3は、ブラジャー1を人体に着用した状態の簡略図である。従来では、乳房脇部の肉はブラジャーからはみ出していたが、本実施例では、脇部押さえ布6によって、体の中心部に寄せることができる。
【0022】
なお、本実施例において、カップ2は、ポリウレタンを熱成型して立体化し、その表側に伸縮性を有するツーウェイトリコット生地を、肌側に綿とポリウレタンの混成生地を、取り付けてなるが、それに限定されないのは、当然である。複数枚の生地を接いで立体感を出してもよい。カップ表面に縫着する生地は、伸縮性生地でなくてもよく、肌側に縫着する生地は、綿混生地でなくてもよい。
【0023】
バック布4は、ツーウェイトリコット生地を2枚用いているが、他の伸縮性生地であってもよいのは、当然である。また、表側布と肌側布を別の生地にしてもよい。また、本実施例では、表側を1枚のツーウェイトリコット生地で覆っているが、複数種類の生地を用いてもよいのは、当然である。
【0024】
図4に示されているのは、本発明の第2の実施例である。第1の実施例と同一の構成箇所については同一の符号を付し、説明を省略する。ブラジャー1は、授乳用に開発されたものであり、実施例1のものとは、以下の点が異なる。
【0025】
ストラップ5は、樹脂製のカップ側連結具7,8を介してカップ2に着脱自在に取り付けられている。具体的には、カップ2に固定して取り付けられたカップ側連結具7と、ストラップ5のカップ側先端部に固定して取り付けられたストラップ側連結具8が、着脱可能となっている(図6、図7参照)。
【0026】
カップ側カップ側連結具7は基部71と先端部72の間に下に凹の貫通穴73を有する。ストラップ側連結具8は、基部81、基部81から延び平面が爪形状となっている係止部82、ストラップ5を挿通(挿入して折り返す)する第一貫通穴83、帯状テープ9を挿通する第二貫通穴84からなる。第一貫通穴83は、先端側が係止部82側より幅広となっていて、ストラップ5の挿通を可能としている。また、第二貫通穴84は、中心部側(係止部82側)が反対側とほぼ同一幅の略矩形となっている。
【0027】
カップ側連結具7をストラップ側連結具8に係合する方法について説明する。カップ側連結具7をストラップ側連結具8に対してほぼ垂直にして、貫通穴73を係止部82に嵌め込んだ後、カップ側連結具7をカップ2側に約90度回動させると、クリック音がしてカップ側連結具7とストラップ側連結具8が係合する。係合すると、図8の状態となる。授乳の際に、カップ側連結具7をストラップ側連結具8から外すときは、逆の動作をすればよい。
【0028】
帯状テープ9は、実施例1の脇部押さえ布6より伸縮性を持たせており、前述のように一端はストラップ側連結具8の第二貫通穴84に挿通されている。他端は、バック布4の上辺41の所定箇所に縫着されている。本実施例の場合、上記の所定位置は、脇部21と上辺41の境界端部から、少しだけ離れた位置をいい、図4のボーン43近傍である。
【0029】
図9は、ブラジャー1を人体に着用した状態を左側から見た図である。本実施例では、帯状テープ9が、乳房脇部の肉を押さえて体の中心側へ寄せている。授乳の際は、カップ側連結具7とストラップ側連結具8を外すと、帯状テープ9がカップ2とつながっていないので、カップ2を体の前側に容易に倒すことができ、乳房が露出して授乳可能な状態となる。この時、ストラップ5は、ストラップ側連結具8と帯状テープ9を介してバック布4とつながっているので、ブラジャー1が授乳前の位置とずれることが少なくなる。
【0030】
従って、本実施例のブラジャーでは、実施例1のものに比べると、乳房脇部の肉を押さえて体の中心側に寄せる作用は弱くなるが、授乳時にブラジャーがずれにくいという効果を得ることができる。
【0031】
なお、上記二つの実施例では、いずれもブラジャーを例にとって説明したが、本発明はブラジャーに限られるものでなく、ブラジャー部分を有するボディシェイパー、ブラジャーキャミソール等にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 ブラジャー
2 カップ
3 土台部
4 バック布
5 ストラップ
6 脇部押さえ布
7 カップ側連結具
8 ストラップ側連結具
9 帯状テープ
21 脇部
22 ワイヤーチャネル
41 バック布上辺
42 バック布下辺
43 ボーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のカップと、前記カップの下辺に縫着された土台部と、前記カップから側方に延びるバック布と、一端が前記カップの上辺に取り付けられ、他端が前記バック布の上辺に取り付けられたストラップとからなる、ブラジャー部を有する女性用衣料において、少なくとも、前記カップの脇部上端近傍と前記バック布の上辺の所定位置を連結している、脇部押さえ布を設けたことを特徴とする、女性用衣料。
【請求項2】
前記脇部押さえ布は、前記カップの脇部上端近傍と前記バック布の上辺の所定位置を結んだ略直線と、該カップの脇部上端近傍から前記カップの脇部と前記バック布の上辺を通って該バック布の上辺の所定位置に至る曲線で囲まれた領域を占め、縁部が前記カップの脇部と前記バック布の上辺に縫着してあることを特徴とする、請求項1記載の女性用衣料。
【請求項3】
前記脇部押さえ布は、ヘム生地を2枚重ねてなることを特徴とする、請求項2記載の女性用衣料。
【請求項4】
一対のカップと、前記カップの下辺に縫着された土台部と、前記カップから側方に延びるバック布と、一端が前記カップの上辺に取り付けられ、他端が前記バック布の上辺に取り付けられたストラップとからなる、ブラジャー部を有する女性用衣料において、前記カップの上端近傍に取り付けられたカップ側連結具と、該連結具と着脱可能な、前記ストラップのカップ側端に取り付けられたストラップ側連結具と、一端がストラップ側連結具に取り付けられ他端が前記バック布の上辺に取り付けられた帯状テープとを有する、授乳用女性用衣料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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