説明

ブラジャー

【課題】就寝時の特に横臥姿勢において、左右のバストが上下に重なるように近づくことなく、就寝時にバストを圧迫することなく、バストを安定的に保持して型崩れさせることのないブラジャーを提供する。
【解決手段】左右のカップ部1を構成するカップ本体布2のそれぞれの両側に位置する部分に、伸縮性を有し緊締力が強いネット状の布であるパワーネットNを配した支持布4を備えたものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、就寝時に着用するのに適したブラジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラジャーとしては、例えば図4に示したようなナイト用のブラジャーが存在する。このブラジャーは、女性のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部11、12を備えている。これらの左右のバストカップ部11、12は、これらのバストカップ部11、12の内側の下端部どうしが、互いにパイプ状に形成された下端縁によって接合されている。また、前記左右のバストカップ部11、12の側方は、これらのバストカップ部11、12と一体的に形成された側布13によって、女性の体の背面側で互いに連結されている。さらに、前記左右のカップ部11、12の三角形状に形成された上端部には、女性の肩に掛けるストラップ14、15がそれぞれ装着されている。またさらに、前記左右のバストカップ部11、12には、適宜にカットされた装飾用のテープ16を、バストのトップ部分から螺旋状にタック状態に縫い止めされ、装飾が施されている(特許文献1)。
【0003】
そして、このブラジャーは、左右のバストカップ部11、12の内側の縫着部と、左右のバストカップ部11、12の上端部に、装着用の紐17がそれぞれ縫着されており、これらの装着用紐17を結ぶことによって、ブラジャーを着用するようになっているとしている。
【0004】
このように構成された従来のブラジャーは、就寝時の着用感と肌当たりを向上させると共に、装飾性を付与して視覚性を高めることができ、さらに着脱性を容易にすることができるとしている。
【0005】
さらに、この種のブラジャーとしては、例えば図5に示したような就寝用のブラジャーが存在する。このブラジャーは、右側のバストを包み込む三日月状の右側バストカップ21と、左側のバストを包み込む三日月状の左側バストカップ22と、右側バストカップ21および左側バストカップ22を保持する保持パネル23と、保持パネル23を胴体に固定する胴回パネル24と、保持パネル23を吊上げる肩掛部25とを備えている。さらに、前記保持パネル23は、右側バストカップ21および左側バストカップ22の一方端部どうしおよび他方端部どうしを交差させた状態でこれらの外周縁に縫い付けられているとしている(特許文献2)。
【0006】
そして、このブラジャーは、前記右側バストカップ21および左側バストカップ22が、バストの下部、中央部および上部を覆う本体パネル26、27と、脇側部を覆う側部パネル28、29とによって立体縫製されているとしている。
【0007】
このように構成された従来のブラジャーは、装着した状態では、バストカップ21および22がバストに密着し、起きている時でも寝ている時でもバストを胸の中央部へ引き寄せることができ、バストを理想の形に保持することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−69708号公報
【特許文献2】実用新案登録第3107384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記図4に示した従来のブラジャーは、就寝時の着用感と肌当たりを向上させると共に、装飾性を付与して視覚性を高めることができ、さらに着脱性を容易にすることができるとしても、就寝時においてバストを安定的に保持して型崩れさせることのないようにしたものではない。
【0010】
さらに、図5に示した従来のブラジャーは、起きている時でも寝ている時でもバストを胸の中央部へ引き寄せることができ、バストを理想の形に保持することができるとしているが、バストを圧迫するものであるので、起床時においてはそれほど気にならないが、就寝時においては非常に気になり、就寝時において使用するのには不向きなものである。
【0011】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、就寝時の特に横臥姿勢において、左右のバストが上下に重なるように近づくことなく、就寝時にバストを圧迫することなく、バストを安定的に保持して型崩れさせることのないブラジャーを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、この発明のブラジャーは、左右のカップ部1を構成するカップ本体布2のそれぞれの両側に位置する部分に、伸縮性を有し緊締力が強いネット状の布であるパワーネットNを配した支持布4を備えたものとしている。
【0013】
そして、この発明のブラジャーは、前記支持布4を二枚布からなるものとし、これら二枚布の間に前記パワーネットNを配したものとしている。
【0014】
さらに、この発明のブラジャーは、前記カップ本体布2の間に離間布3を備えたものとし、前記支持布4の裏面において、この支持布4と、前記カップ本体布2およびカップ離間布3との境界部に、着用者のバスト隆起部の下方略外輪線に沿うようにした伸縮バンド8を取り付けたものとしている。
【0015】
また、この発明のブラジャーは、前記カップ本体布2の後側に位置する背面布5と、カップ本体布2の上側に位置する肩掛布6を備え、これら背面布5と肩掛布6をそれぞれ途中で分割させず連続させ、かぶりタイプにしている。
【発明の効果】
【0016】
この発明のブラジャーは、以上に述べたように構成されているので、就寝時の特に横臥姿勢において、左右のバストが上下に重なるように近づくことなく、就寝時にバストを圧迫することなく、バストを安定的に保持して型崩れさせることがないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明のブラジャーの正面図である。
【図2】この発明のブラジャーの背面図である。
【図3】この発明のブラジャーの正面裏側を一部破断して示す説明図である。
【図4】従来のブラジャーの一例を示す斜視図である。
【図5】従来のブラジャーの他の例を示す斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明のブラジャーを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
この発明のブラジャーは、図1〜3に示したように、左右のカップ部1を構成するカップ本体布2と、これらカップ本体布2の間に位置するカップ離間布3と、これらカップ本体布2の下側から両側に位置する支持布4と、カップ本体布2および支持布4の後側に位置する背面布5と、カップ本体布2の上側に位置する肩掛布6を備えたものとし、首周りおよび脇周りには縁取り7を施している。
【0020】
カップ本体布2は、正面布2a、脇側布2b、上側布2cからなり、伸縮性を有すると共に通気性を有する布とし、正面布2aおよび脇側布2bを二枚布からなるものとし、上側布2cを一枚布からなるものとしている。正面布2aの上辺は、上側布2cの下辺に縫着し、正面布2aの側辺と上側布2cの側辺は、脇側布2bの側辺に縫着している。
【0021】
カップ離間布3は、伸縮性を有すると共に通気性を有する布とし、二枚布からなるものとし、両側辺をそれぞれカップ本体布2の正面布2aの側辺と上側布2cの側辺に縫着している。なお、このように縫着する場合、前記正面布2aと上側布2cのカップ離間布3寄りには、それぞれギャザーGを設けて、着用者のバストに対応させて膨らむようにしている。
【0022】
支持布4は、伸縮性を有すると共に通気性を有する布とし、二枚布からなるものとし、それぞれのカップ本体布2の両側に位置する部分に、伸縮性を有し緊締力が強いネット状の布であるパワーネットNを配して、このパワーネットNと共に、内側辺4aをカップ本体布2の脇側布2bの側辺に、上辺4bを縁取り7に、外側辺4cを背面布5の側辺に、それぞれ縫着し、内下辺4dはカップ本体布2の脇側布2bの下辺および正面布2aの下辺に縫着している。前記パワーネットNは、支持布4の裏面に配したものとしてもよいが、二枚布からなる支持布4の間に配したものとするのが、このパワーネットNが着用者の肌に直に接触しないので好ましい。また、前記パワーネットNの面積比率をカップ本体布2の25〜50%とするのが、以下に述べるような効果を発揮するのに好ましいものとなる。さらに、前記支持布4の裏面において、この支持布4と、左右のカップ本体布2およびカップ離間布3とを縫着する境界部には、着用者のバスト隆起部の下方略外輪線に沿うようにしたゴムバンド等の伸縮バンド8を取り付けたものとしている。
【0023】
背面布5は、伸縮性を有すると共に通気性を有する布とし、一枚布からなるものとし、側辺を前記したようにパワーネットNと共に支持布4の外側辺4cに縫着している。そして、この背面布5の下端と前記支持布4の下端により形成されるブラジャーの下端周縁の裏面には、着用者のバスト下方の胴体部周囲に沿うようにしたゴムバンド等の伸縮バンド9を取り付けたものとしている。なお、前記背面布5は、背中の中央などの途中で分割させず連続させたものとして、ブラジャーをかぶりタイプのものにし、就寝時に着用し易いものとしているが、途中で分割して、留め具を設けたものとして、ブラジャーを後止めタイプのものにしてもよい。
【0024】
肩掛布6は、伸縮性を有すると共に通気性を有する布とし、一枚布からなるものとし、カップ本体布2の脇側布2bの上辺と、背面布5の上辺との間に、一体布または別体布として、掛け渡したものとしている。なお、前記肩掛布6は、肩から胸元にかかる途中で分割させず連続させたものにして、ブラジャーをかぶりタイプのものにし、就寝時に着用し易いものとしているが、途中で分割して、留め具を設けたものとして、ブラジャーを止めタイプのものにしてもよい。
【0025】
以上のように構成されたこの発明のブラジャーでは、着用者が仰臥姿勢で就寝しているときは、伸縮性を有するカップ本体布2からなるカップ部1に納められた着用者の左右のバストが、カップ離間布3によって離されると共に伸縮バンド8によってそれぞれ包囲され、これらのカップ部1で移動しにくい状態に維持され、バストが型崩れしにくいようになる。
【0026】
さらに、この発明のブラジャーでは、着用者が横臥姿勢で就寝している場合には、前記カップ部1で移動しにくい状態に維持された左右のバストの上になった方のバストが、パワーネットNの緊締力によって、下方に垂れるのを引き上げられ、しかも左右のバストはカップ離間布3によって離されているので、上下に重なるように近づくことなく、就寝時にバストを圧迫することがない。なお、前記パワーネットNの緊締力は、ブラジャーのサイズ、着用者の使用感などに応じて、適切な強さにしておくのはいうまでもない。
【0027】
したがって、この発明のブラジャーは、着用者が仰臥姿勢で就寝している場合に、バストを型崩れさせることがないものとなるが、特に横臥姿勢で就寝している場合において、左右のバストが上下に重なるように近づくことなく、就寝時にバストを圧迫することなく、バストを安定的に保持して型崩れさせることがないものとなり、就寝時の横臥姿勢において、特に効果を発揮するものとなる。
【符号の説明】
【0028】
1 カップ部
2 カップ本体布
3 カップ離間布
4 支持布
5 背面布
6 肩掛布
8 伸縮バンド
N パワーネット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のカップ部(1)を構成するカップ本体布(2)のそれぞれの両側に位置する部分に、伸縮性を有し緊締力が強いネット状の布であるパワーネット(N)を配した支持布(4)を備えたことを特徴とするブラジャー。
【請求項2】
前記支持布(4)を二枚布からなるものとし、これら二枚布の間に前記パワーネット(N)を配したことを特徴とする請求項1記載のブラジャー。
【請求項3】
前記カップ本体布(2)の間に離間布(3)を備えたものとし、前記支持布(4)の裏面において、この支持布(4)と、前記カップ本体布(2)およびカップ離間布(3)との境界部に、着用者のバスト隆起部の下方略外輪線に沿うようにした伸縮バンド(8)を取り付けたことを特徴とする請求項1または2記載のブラジャー。
【請求項4】
前記カップ本体布(2)の後側に位置する背面布(5)と、前記カップ本体布(2)の上側に位置する肩掛布(6)を備え、これら背面布(5)と肩掛布(6)をそれぞれ途中で分割させず連続させ、かぶりタイプにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のブラジャー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−107368(P2012−107368A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258760(P2010−258760)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(506192995)株式会社アンジュ (3)
【Fターム(参考)】