説明

ブラジャー

【課題】着用時に動きやすく、かつアンダーの段差を低減できるブラジャーを提供する。
【解決手段】左右背面部14、15は、土台部11と連なり、左右方向に伸縮する第1の部分14a、15aと、左右ストラップ部16、17と連なり、上下方向に伸縮する第2の部分14a、15bとを含む。第1の部分14a、15aと第2の部分14b、15bとは、端縁14e、15eと上端縁14c、15cとにかけ渡された境界線Bで区画される。境界線Bと上端縁14cとの接点P1は、上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から上端縁14c、15cと土台部11との接点C2までの長さの半分または半分よりも左右ストラップ部16、17側に位置する。接点C1から下端縁14d、15dへの垂線と境界線Bとの交点は、垂線Vの長さの1/3または1/3よりも下端縁14d、15d側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体型を整えると共に、着用者の動作に対する追従性があるブラジャーが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1に開示のブラジャーは、カップ部の脇側縁部分と背中側フック部との間に下部脇布が配置されると共に、カップ部のアンダー側縁部分と背中側フック部と背中側ストラップ部との間に上部脇布が配置されている。
また、特許文献1には、下部脇布で背中から脇にかけての贅肉をカップ部側に寄せ、上部脇布で背中の贅肉の膨出を抑え、さらに着用者の動作に対して上部脇布がストラップの引張りに柔軟に追従して上下方向に動くことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−154972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、上部脇布は背中の膨出を抑えるように構成されているため、上記特許文献1のブラジャーを肉質の比較的柔らかい高齢者等が着用した場合に、ブラジャーのアンダーに段差ができてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、着用時に動きやすく、かつアンダーの段差を低減できるブラジャーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブラジャーは、左右のカップ部と、該左右のカップ部を連結し、かつ該左右のカップ部の下方を取り囲む土台部と、該土台部に連なる左右の背面部と、該左右のカップ部及び該左右の背面部のそれぞれに接続された左右のストラップ部と、該左右の背面部における該土台部と反対側の端縁に接続され、かつ互いに係合可能な左右の係合部とを備え、該左右の背面部は、該土台部と連なる第1の部分と、該第1の部分及び該左右のストラップ部と連なる第2の部分とを含み、該第1の部分は相対的に左右方向に伸縮する材料であり、該第2の部分は相対的に上下方向に伸縮する材料であり、該第1の部分と該第2の部分とは、該左右の背面部において該左右の係合部側の該端縁と上端縁とにかけ渡された境界線で区画され、該境界線と該上端縁との接点は、該上端縁と該左右のストラップ部との接点から該上端縁と該土台部との接点までの長さの半分または半分よりも該左右のストラップ部側に位置し、該左右の背面部の該上端縁と該左右のストラップ部との接点から該左右の背面部の下端縁へ下ろした垂線と、該境界線との交点は、該垂線の長さの1/3または1/3よりも該下端縁側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のブラジャーによれば、左右の背面部の下端縁を含む第1の部分は相対的に左右方向に伸縮する材料であるので、着用時にアンダーの段差を低減することができる。左右のストラップ部直下に位置する第2の部分は相対的に上下方向に伸縮する材料であるので、着用者の動きに追従可能であるため、着用時に動きやすくなる。左右の背面部において第1の部分と第2の部分との境界を上記のようにすることで、第1の部分でのアンダーの段差を低減する効果と、左右の背面部の第2の部分での動きやすいという効果とを両立することができる。したがって、本発明は、着用時に動きやすく、かつアンダーの段差を低減できるブラジャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態におけるブラジャーを概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるブラジャーの右見頃を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態におけるブラジャーについて説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態におけるブラジャー10は、土台部11と、左カップ部12と、右カップ部13と、左背面部14と、右背面部15と、左ストラップ部16と、右ストラップ部17と、左係合部18と、右係合部19とを備えている。
【0011】
土台部11は、左右カップ部12、13を連結している。また、土台部11は、左右カップ部12、13の下方(左右カップ部12、13の脇側に位置する円弧状部分の下側の一部)の少なくとも取り囲んでおり、左右カップ部12、13の脇側に位置する円弧状部分の上方(左右カップ部12、13の脇側に位置する円弧状部分の上側)の少なくとも一部をさらに取り囲んでいてもよく、左右カップ部12、13の脇側に位置する円弧状部分のすべてを取り囲んでいてもよい。
【0012】
左右カップ部12、13は、左右の乳房をそれぞれ覆う。なお、左右カップ部12、13は、ワイヤを含んでいてもよく、ワイヤを含んでいなくてもよい。
【0013】
左右背面部14、15は、土台部11の脇側端縁11aに連なっている。つまり、左右背面部14、15のそれぞれは、土台部11を介して左右カップ部12、13に接続されている。左右背面部14、15の外周縁は、土台部11側の端縁と、上端縁14c、15cと、下端縁14d、15dと、左右係合部18、19側の端縁14eとで構成されている。
【0014】
左右ストラップ部16、17は、左右カップ部12、13及び左右背面部14、15のそれぞれに接続されている。左右ストラップ部16、17と、左右カップ部12、13及び左右背面部14、15との接続手段は特に限定されず、縫合されていてもよく、留め具等を介して接続されていてもよい。左右ストラップ部16、17は、例えば長さを調節する調節部16a、17aを含んでいてもよい。
【0015】
左右係合部18、19は、左右背面部14、15における土台部11と反対側の端縁14e、15eに接続されている。本実施の形態の左右係合部18、19は、左右背面部14、15の端縁14e、15eを含む端部と縫合されている。左右係合部18、19は、互いに係合可能であり、背面で左右背面部14、15のそれぞれを固定する。左右係合部18、19は、例えば、布と、この布に形成された互いに係止可能なフックとを含んでいる。
【0016】
左右背面部14、15のそれぞれは、第1の部分14a、15aと、この第1の部分14a、15aと連なる第2の部分14b、15bとを含んでいる。
第1の部分14a、15aは、土台部11の脇側端縁11a及び左右係合部18、19の下端18b、19bと連なっている。第1の部分14a、15aは、左右ストラップ部16、17と、第2の部分14b、15bを介して接続され、直接接続されて(連なって)いない。
第2の部分14b、15bは、左右係合部18、19の上端18a、19a及び左右ストラップ部16、17と連なっている。第2の部分14b、15bは、土台部11と、第1の部分14a、15aを介して接続され、直接接続されていない。
第1の部分14a、15aと、第2の部分14b、15bとは、例えば縫合されている。
【0017】
第1の部分14a、15aは、相対的に左右方向(左右背面部14、15の下端縁14d、15dに沿った方向)に伸縮する材料である。つまり、第1の部分14a、15aは、左右方向の伸縮率が最も高い材料である。第2の部分14b、15bは、相対的に上下方向(左右ストラップ部16、17の延びる方向)に伸縮する材料である。つまり、第2の部分14b、15bは、上下方向の伸縮率が最も高い材料である。
第1の部分14a、15a及び第2の部分14b、15bは、例えば、製造コスト低減の観点から、同じ材料の生地において、相対的に大きく伸縮する方向が交差するように縫合される。このような第1の部分14a、15a及び第2の部分14b、15bを構成する材料(生地)として、例えばスパンデックスが生地目方向(縦方向)に編まれた布を用いることができる。
なお、第1の部分14a、15aを構成する材料と、第2の部分14b、15bを構成する材料とは異なっていてもよい。
【0018】
また、第1の部分14a、15aのそれぞれは、下端縁14d、15dに沿って延在する保持部14a1、15a1を有していてもよい。保持部14a1、15a1は、着用時に段差が形成されにくいような加工(例えばヘム加工)がなされており、例えばサテンのパワーネットで構成される。本実施の形態では、第1の部分14a、15aにおいて、保持部14a1、15a1は、スパンデックス2本が編み込まれたパワーネットであり、保持部14a1、15a1以外の部分はスパンデックス1本が編み込まれたパワーネットである。
【0019】
第1の部分14a、15aと第2の部分14b、15bとは、左右背面部14、15において左右係合部18、19側の端縁14e、15eと上端縁14c、15cとにかけ渡された境界線Bで区画されている。境界線Bは、直線であってもよく、曲線であってもよい(図示せず)。
【0020】
境界線Bと上端縁14c、15cの接点P1(図2参照)は、上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1(図2参照)から上端縁14c、15cと土台部11との接点C2(図2参照)までの上端縁14c、15cに沿った長さの半分または半分よりも左右ストラップ部16、17側に位置している。つまり、左右背面部14、15の上端縁14c、15cにおける境界線Bは、接点C1と接点C2との間であって、接点C1に相対的に近い位置に存在する。ここで、接点C1から接点C2までの長さとは、左右背面部14、15の上端縁14c、15cにおいて、接点C1から接点C2まで上端縁14c、15cに沿って延在する線が曲線の場合には、当該曲線を直線に換算したときの長さを意味する。また、接点C2は、左右ストラップ部16における脇側土台部11の脇側端縁11aと、左右背面部14、15との接続点を意味する。
【0021】
左右背面部14、15の上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から左右背面部14、15の下端縁14d、15dへ下ろした垂線V(図2参照)と、境界線Bとの交点P3は、垂線Vの長さLの1/3または1/3よりも下端縁14d、15d側に位置している。つまり、左右背面部14、15において、接点C1から下端縁14d、15dまでの距離(鉛直方向長さL)に対する、接点C1から境界線Bまでの距離(鉛直方向長さL2)の比(L2/L)は、1/3以上である。
【0022】
また、境界線Bと左右係合部18、19との接点P2は、上端19a及び下端19bを含まず、上端19aと下端19bとの間に位置することが好ましい。
【0023】
第1の部分14a、15aと第2の部分14b、15bとの境界線Bは、左右背面部14、15の上端縁14c、15cにおいて、左右ストラップ部16、17との接点C1から土台部11との接点C2までの長さの半分よりも左右ストラップ部16、17側に位置し、かつ、左右背面部14、15の上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から左右背面部14、15の下端縁14d、15dまでの距離(鉛直方向の長さ)Lの半分よりも左右背面部14、15の下端縁14d、15d側に位置することが好ましい。この場合、左右背面部14、15の上端縁14c、15cの半分以上及び下端縁14d、15dの全てを左右方向に伸縮しやすい第1の部分で構成できると共に、左右ストラップ部16、17直下の半分以上を上下方向に伸縮しやすい第2の部分で構成できる。このため、第1の部分14a、15aでのアンダーの段差を低減する効果と、左右背面部14、15の第2の部分14b、15bでの動きやすいという効果とを効果的に発現することができる。
【0024】
本実施の形態では、第1の部分14a、15aと第2の部分14b、15bとの境界線Bは、左右背面部14、15の上端縁14c、15cにおいて左右ストラップ部16、17との接点C1から土台部11との接点C2までの長さの半分よりも左右ストラップ部16、17側の位置(接点P1)と、左右背面部14、15と左右係合部18、19との端縁14e、15eにおいて、上端19aと下端19bとの間の位置(接点P2)とを結ぶ直線であって、垂線Vと境界線Bとの交点P3は、左右背面部14、15の上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から左右背面部14、15の下端縁14d、15dまでの距離(鉛直方向の長さ)Lの1/3よりも左右背面部14、15の下端縁14d、15d側に位置する。この場合、第1の部分14a、15a、第2の部分14b、15b、及び左右係合部18、19のそれぞれをまとめて縫合できるので、製造コストの観点で有利である。
また、本実施の形態では、左右係合部18、19と境界線Bとの接点P2(図2参照)は、第1の部分14a、15aの保持部14a1、15a1の上端に位置している。言い換えると、接点P2には、境界線Bの端点及び保持部14a1、15a1の上端の端点とが集まっている。このため、ブラジャー10は、優れたデザイン性を有している。
【0025】
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるブラジャー10は、左右カップ部12、13と、左右カップ部12、13を連結し、かつ左右カップ部12、13の下方を取り囲む土台部11と、土台部11に連なる左右背面部14、15と、左右カップ部12、13及び左右背面部14、15のそれぞれに接続された左右ストラップ部16、17と、左右背面部14、15における土台部11と反対側の端縁14e、15eに接続され、かつ互いに係合可能な左右係合部18、19とを備え、左右背面部14、15は、土台部11と連なる第1の部分14a、15aと、第1の部分14a、15a及び左右ストラップ部16、17と連なる第2の部分14a、15bとを含み、第1の部分14a、15aは相対的に左右方向に伸縮する材料であり、第2の部分14b、15bは相対的に上下方向に伸縮する材料であり、第1の部分14a、15aと第2の部分14b、15bとは、左右背面部14、15において左右係合部18、19側の端縁14e、15eと上端縁14c、15cとにかけ渡された境界線Bで区画され、境界線Bと上端縁14cの接点P1は、上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から上端縁14c、15cと土台部11との接点C2までの長さの半分または半分よりも左右ストラップ部16、17側に位置し、左右背面部14、15の上端縁14c、15cと左右ストラップ部16、17との接点C1から左右背面部14、15の下端縁14d、15dへ下ろした垂線Vと、境界線Bとの交点P3は、垂線Vの長さの1/3または1/3よりも下端縁14d、15d側に位置することを特徴としている。
【0026】
本発明の実施の形態におけるブラジャー10によれば、左右背面部14、15の下端縁14d、15dを含む第1の部分14a、15aは相対的に左右方向に伸縮する材料であるので、肉質のやわらかい高齢者(例えば60歳以上の高齢者)がブラジャー10を着用した場合であっても、アンダーの段差を低減することができる。
また、左右ストラップ部16、17直下に位置する第2の部分14b、15bは相対的に上下方向に伸縮する材料であるので、着用者の肩周りなどの動き(図中上下方向)に追従可能である。このため、左右背面部14、15の第2の部分14b、15bは、肩周りなどの動きになじむので、着用時に動きやすくなる。
左右背面部14、15において第1の部分14a、15bと第2の部分14b、15bとの境界線Bを上記のように設定することで、左右背面部14、15の第1の部分14a、15aでのアンダーの段差を低減する効果と、左右背面部14、15の第2の部分14b、15bでの動きやすいという効果とを両立することができる。したがって、本発明の実施の形態におけるブラジャー10は、着用時に動きやすく、かつアンダーの段差を低減できる。
【0027】
今回開示された実施の形態すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
10 ブラジャー、11 土台部、11a 脇側端縁、12 左カップ部、13 右カップ部、14 左背面部、14a,15a 第1の部分、14a1,15a1 保持部、14b,15b 第2の部分、14c,15c 上端縁、14d,15d 下端縁、14e,15e 端縁、14f,15f 保護部、15 右背面部、16 左ストラップ部、16a,17a 調節部、17 右ストラップ部、18 左係合部、18a,19a 上端、18b,19b 下端、19 右係合部、B 境界線、C1,C2,P1,P2 接点、P3 交点、L,L2 距離、V 垂線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のカップ部と、
前記左右のカップ部を連結し、かつ前記左右のカップ部の下方を取り囲む土台部と、
前記土台部に連なる左右の背面部と、
前記左右のカップ部及び前記左右の背面部のそれぞれに接続された左右のストラップ部と、
前記左右の背面部における前記土台部と反対側の端縁に接続され、かつ互いに係合可能な左右の係合部とを備え、
前記左右の背面部は、前記土台部と連なる第1の部分と、前記第1の部分及び前記左右のストラップ部と連なる第2の部分とを含み、
前記第1の部分は相対的に左右方向に伸縮する材料であり、前記第2の部分は相対的に上下方向に伸縮する材料であり、
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記左右の背面部において前記左右の係合部側の前記端縁と上端縁とにかけ渡された境界線で区画され、
前記境界線と前記上端縁との接点は、前記上端縁と前記左右のストラップ部との接点から前記上端縁と前記土台部との接点までの長さの半分または半分よりも前記左右のストラップ部側に位置し、
前記左右の背面部の前記上端縁と前記左右のストラップ部との接点から前記左右の背面部の下端縁へ下ろした垂線と、前記境界線との交点は、前記垂線の長さの1/3または1/3よりも前記下端縁側に位置することを特徴とする、ブラジャー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−67881(P2013−67881A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206189(P2011−206189)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(591087264)イオン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】