説明

ブリスタパックトレー自動供給装置

【課題】 コストを低減することができるブリスタパックトレー自動供給装置を提供する。
【解決手段】 駆動部28が、受台16と切離爪18とを一体的に横移動可能に支持するとともに、受台16をブリスタパックトレー11の最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ切離爪18をブリスタパックトレー11から離間する位置に位置させた状態から、受台16をブリスタパックトレー11の最下のものを支持しない状態に横移動させつつ切離爪18をブリスタパックトレー11の最下のもの11(11a)とその上側のもの11(11b)との間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレー11の前記最下のもののみを落下させることになるため、駆動源30が一つで済むことになる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブリスタパックの製造ラインにおいてブリスタパックトレーを供給するブリスタパックトレー自動供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ブリスタパックの製造ラインにおいては、透明なプラスチックシートに凹部を形成した形状のブリスタパックトレーをコンベアで搬送しながら、前記凹部内に内容物を装填し、さらに、凹部の開口側に紙等を接着させて包装を行うようになっているが、ブリスタパックトレーのコンベアへの供給は、手作業で行われるのが一般的である。このように手作業で行うのでは、当然のことながら人件費によるコスト増が生じることになり、加えて、ラインの速度に合わせて供給することができないとコンベアに空の状態が生じて生産効率が下がってしまうことになる。このような状況を改善するために、ブリスタパックトレーをコンベアに自動供給することを考えた。ここで、この種の自動供給装置として、例えば特開昭63−185738号公報に開示されるように、ワークを上下方向に積層状態で保持する保持部と、該保持部に保持されたワークを下側から支持可能な一対の受台と、これら受台で支持されたワークの最下のものとその一つ上側のものとの間に入り込んでこれらを分離可能な一対の切離爪とを有するものがある。そして、この自動供給装置をブリスタパックトレーの自動供給に適用することを考えた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の自動供給装置は、受台がワークの下側を支持するように移動した後に、ワークの最下のものとその一つ上のものとの間に切離爪が入り込み、その後、受台が逃げることでワークの最下のものが落下するようになっている。このため、受台と切離爪とが別々に動作しなければならず、これらに別々に駆動源を設けることが必要となり、よって、コストが増大してしまうという問題があった。勿論、共通の駆動源で別々に動作させることも可能であるが、そのためには、複雑な機構を介在させる必要があり、やはりコストが増大してしまう。したがって、本発明の目的は、コストを低減することができるブリスタパックトレー自動供給装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載のブリスタパックトレー自動供給装置は、ブリスタパックトレーを上下方向に積層状態で保持する保持部と、該保持部に保持されたブリスタパックトレーを下側から支持可能な受台と、該受台で支持されたブリスタパックトレーの最下のものとその一つ上側のものとの間に入り込んでこれらを分離可能な切離爪と、前記受台と前記切離爪とを一体的に横移動可能に支持するとともに、前記受台をブリスタパックトレーの最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ前記切離爪をブリスタパックトレーから離間する位置に位置させた状態から、前記受台をブリスタパックトレーの前記最下のものを支持しない状態に横移動させつつ前記切離爪をブリスタパックトレーの前記最下のものとその上側のものとの間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレーの前記最下のもののみを落下させる駆動部と、を有することを特徴としている。このように、駆動部が、受台と切離爪とを一体的に横移動可能に支持するとともに、受台をブリスタパックトレーの最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ切離爪をブリスタパックトレーから離間する位置に位置させた状態から、受台をブリスタパックトレーの最下のものを支持しない状態に横移動させつつ切離爪をブリスタパックトレーの最下のものとその上側のものとの間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレーの前記最下のもののみを落下させることになるため、駆動源が一つで済むことになる。
【0005】本発明の請求項2記載のブリスタパックトレー自動供給装置は、請求項1記載のものに関し、切離爪を、一つの保持部に対し片側のみに設けてなることを特徴としている。このように、切離爪を、一つの保持部に対し片側のみに設けているため、ブリスタパックトレーの最下のものとその上側のものとの間に入り込む際には、片側からのみ切離爪が入り込むことになる。このため、ブリスタパックトレーに多少の捩れがあったり積層状態が不良であったりしても、切離爪の先端がブリスタパックトレーに突き当ってしまう可能性を、両側から入り込ませるものに比して低くできる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のブリスタパックトレー自動供給装置の一の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。このブリスタパックトレー自動供給装置10により取り扱うブリスタパックトレー11は、透明なプラスチック材料からなるもので、平面視略長方形状をなしており、平面部12とその中央に形成された凹部13とからなる。
【0007】ブリスタパックトレー自動供給装置10は、角筒状をなし上下に開口部が配置された保持部15を有している。この保持部15はその内側がブリスタパックトレー11より一回り大きい形状をなしており、凹部13の出っ張りを下側に配置した状態で上部の開口部から投入されるブリスタパックトレー11を上下方向に凹部13同士を嵌合させつつ積層させた状態で保持するようになっている。
【0008】また、ブリスタパックトレー自動供給装置10は、保持部15の下部開口部の下側に位置して、保持部15に保持されたブリスタパックトレー11を下側から支持可能な受台16を有している。この受台16は、互いに平行をなし高さ方向の位置を合わせて水平配置される一対の同形状の台部17からなっている。これら台部17は、互いの間の空間にブリスタパックトレー11の凹部13を配置した状態で凹部13の両外側の平面部12を支持するようになっている。
【0009】さらに、ブリスタパックトレー自動供給装置10は、受台16の水平側方に配置されるとともに該受台16で支持されたブリスタパックトレー11の最下のものとその一つ上側のものとの間に入り込んでこれらを分離可能な切離爪18を有している。この切離爪18は、互いに平行をなし高さ方向の位置を合わせて水平配置される一対の同形状の爪部19からなっている。これら爪部19は、互いの間の空間にブリスタパックトレー11の凹部13を配置した状態で凹部13の両外側の平面部12とこれの上側に重なる平面部12との間に入り込むようになっている。
【0010】各爪部19は、受台16側に、受台16の上面と高さ方向の位置を合わせて水平配置される第1下面部21と、受台16側が下方に位置するよう直線状に傾斜するとともに受台16側の端部が第1下面部21と交わる第1上面部22とを有しており、受台16に対し反対側に、第1上面部22に連設されるとともに水平配置される第2上面部23と、第1下面部21に連設されるとともに受台16に対し反対側が下側に位置するよう傾斜する第2下面部24と、該第2下面部24に連設されるとともに水平配置される第3下面部25とを有している。ここで、第2上面部23と第3下面部25とは水平方向における位置を一部重ね合わせており、これらの間隔は、重なり合うブリスタパックトレー11の凹部13同士の嵌合を解除するのに十分な値に設定されることになる。また、両爪部19の受台16側の端部には、互いの反対側に面取部26が形成されている。ここで、切離爪18は、一つの保持部15に対し片側のみに設けられている。
【0011】そして、これら受台16および切離爪18は、上記状態で一体的に横移動可能となるよう駆動部28に支持されている。この駆動部28は、受台16および切離爪18が一体的に固定される支持部材29と、該支持部材29の受台16に対し反対側に連結されるエアシリンダ(駆動源)30とを有している。
【0012】この駆動部28は、受台16をブリスタパックトレー11の最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ切離爪18をブリスタパックトレー11から離間する位置に位置させた状態から、受台16をブリスタパックトレーの最下のものを支持しない状態に横移動させつつ切離爪18をブリスタパックトレー11の最下のものとその上側のものとの間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレー11の最下のもののみを落下させるものである。
【0013】図1,図3を参照しつつさらに具体的に説明する。駆動部28は、図1に示すように、支持部材29を最も後退させた状態で、受台16を最下のブリスタパックトレー11(11a)を下側から水平状態を保ったまま支持する位置に位置させかつ切離爪18をブリスタパックトレー11から側方に離間する位置に位置させた初期状態となる。
【0014】そして、この状態から駆動部28が支持部材29を前進させると、受台16が保持部15の真下位置から逃げかつ切離爪18が保持部15の真下位置に位置するように一体に移動する。なお、このとき、ブリスタパックトレー11は凹部13同士が嵌合状態にあり、上部のブリスタパックトレー11は保持部15で横移動が規制されているため、ブリスタパックトレー11の最下のものも横移動が規制されることになり、よって、ブリスタパックトレー11が受台16の移動に引きずられて横移動することはない。
【0015】上記受台16および切離爪18の移動で、受台16が最下のブリスタパックトレー11(11a)を下側から支持可能な状態で徐々に支持長さを短くすることになり、その支持が不可能な状態になる前に切離爪18が最下のブリスタパックトレー11(11a)とその上側のブリスタパックトレー11(11b)との間に入り込む。
【0016】続いて、切離爪18が最下のブリスタパックトレー11(11a)より上側のものを支持可能な位置まで横移動した後に、受台16が最下のブリスタパックトレー11(11a)から離間する供給状態となる。そして、この時点では、切離爪18が入り込むことで最下のブリスタパックトレー11(11a)とその上側のブリスタパックトレー11(11b)との間隔を特に第2下面部24の傾斜で強制的に広げ、凹部13同士の嵌合を解除させており、その結果、図3に示すように、最下のブリスタパックトレー11(11a)のみが落下して下側のコンベア31に供給される。
【0017】次に、この状態から駆動部28が支持部材29を後退させると、切離爪18が保持部15の真下位置から逃げかつ受台16が保持部15の真下位置に位置するように一体に移動する。すると、切離爪18が、その時点での最下のブリスタパックトレー11(11b)を下側から支持可能な状態で徐々に支持長さを短くすることになり、その支持が不可能な状態になる前に受台16が最下のブリスタパックトレー11(11b)の下側に入り込む。
【0018】続いて、受台16がブリスタパックトレー11をすべて支持可能な位置まで横移動した後に、切離爪18がブリスタパックトレー11から離間して初期状態に戻る。
【0019】以上に述べたように、このブリスタパックトレー自動供給装置10によれば、駆動部28が受台16と切離爪18とを一体的に横移動可能に支持しており、これらの横移動によりブリスタパックトレー11の最下のもののみを落下させることになるため、駆動源28としてのエアシリンダ30が一つで済むことになる。したがって、コストを低減することができる。
【0020】しかも、積層状態で保持されたブリスタパックトレー11間に、切離爪18が片側からのみ入り込むことになるため、ブリスタパックトレー11に多少の捩れがあったり積層状態が不良であったりしても、切離爪18の先端がブリスタパックトレー11に突き当ってしまう可能性を、両側から入り込ませるものに比して低くできる。したがって、切離爪18の先端がブリスタパックトレー11に突き当ってしまうことに起因する不具合の発生率を低減できる。
【0021】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の請求項1記載のブリスタパックトレー自動供給装置によれば、駆動部が、受台と切離爪とを一体的に横移動可能に支持するとともに、受台をブリスタパックトレーの最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ切離爪をブリスタパックトレーから離間する位置に位置させた状態から、受台をブリスタパックトレーの最下のものを支持しない状態に横移動させつつ切離爪をブリスタパックトレーの最下のものとその上側のものとの間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレーの前記最下のもののみを落下させることになるため、駆動源が一つで済むことになる。したがって、コストを低減することができる。
【0022】本発明の請求項2記載のブリスタパックトレー自動供給装置によれば、切離爪を、一つの保持部に対し片側のみに設けているため、ブリスタパックトレーの最下のものとその上側のものとの間に入り込む際には、片側からのみ切離爪が入り込むことになる。このため、ブリスタパックトレーに多少の捩れがあったり積層状態が不良であったりしても、切離爪の先端がブリスタパックトレーに突き当ってしまう可能性を、両側から入り込ませるものに比して低くできる。したがって、切離爪の先端がブリスタパックトレーに突き当ってしまうことに起因する不具合の発生率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のブリスタパックトレー自動供給装置の一の実施の形態の初期状態を示す側面図である。
【図2】 本発明のブリスタパックトレー自動供給装置の一の実施の形態の初期状態を示す平面図である。
【図3】 本発明のブリスタパックトレー自動供給装置の一の実施の形態の供給状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10 ブリスタパックトレー自動供給装置
11 ブリスタパックトレー
15 保持部
16 受台
18 切離爪
28 駆動部
30 エアシリンダ(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブリスタパックトレーを上下方向に積層状態で保持する保持部と、該保持部に保持されたブリスタパックトレーを下側から支持可能な受台と、該受台で支持されたブリスタパックトレーの最下のものとその一つ上側のものとの間に入り込んでこれらを分離可能な切離爪と、前記受台と前記切離爪とを一体的に横移動可能に支持するとともに、前記受台をブリスタパックトレーの最下のものを下側から支持する位置に位置させかつ前記切離爪をブリスタパックトレーから離間する位置に位置させた状態から、前記受台をブリスタパックトレーの前記最下のものを支持しない状態に横移動させつつ前記切離爪をブリスタパックトレーの前記最下のものとその上側のものとの間に入り込むよう横移動させることにより、ブリスタパックトレーの前記最下のもののみを落下させる駆動部と、を有することを特徴とするブリスタパックトレー自動供給装置。
【請求項2】 前記切離爪を、一つの前記保持部に対し片側のみに設けてなることを特徴とする請求項1記載のブリスタパックトレー自動供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−142629(P2000−142629A)
【公開日】平成12年5月23日(2000.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−319661
【出願日】平成10年11月10日(1998.11.10)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】