説明

ブリスターパック

【課題】容易に乾電池を取り出すことができるとともに、使用済み乾電池と未使用の乾電池とを取り間違えることなく、簡便に未使用の乾電池を保管することができるブリスターパックを提供する。
【解決手段】天板3aと側壁3bとにより構成されて、複数の乾電池tが並列に収納される収納部3が形成されたケース体2と、このケース体2の収納部3の開口面を閉塞させる台紙4とを備え、台紙4に乾電池tを少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口5が設けられている陳列用のブリスターパック1において、収納部3の天板3aに、天板3aを水平面に載置して開封口5を上方に位置させた際に、乾電池tを開封口5に向かわせる傾斜手段6を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の乾電池を収納して陳列販売などするためのブリスターパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数個の乾電池を収納して販売する際には、乾電池を収納する収納部が形成されたプラスチックケースに、このプラスチックケースの開口側を台紙により閉塞して、この台紙に予め形成された孔部を、壁面などに設けられたフックなどに引っ掛けて販売していた。その際に用いられるブリスターパックとしては、例えば、特許文献1に見られるような、円筒形電池を複数個並列に収納する寸法・形状の凸型収納部を備えた透明性のブリスターパックであって、前記凸型収納部の円筒形電池端面が対接する側壁に、隣接する円筒形電池の外周面に対接する突起部が一対設けられ、また前記凸型収納部の円筒形電池端面が対接する側壁に、円筒形電池の突設した電極端子が嵌合する凹型部が設けられているブリスターパックが提案されている。
【0003】
また、特許文献2においては、プラスチックシートからなるケースの乾電池収納部に、複数本の乾電池が並列状態にて一括的に包装された乾電池包装体が収納されている乾電池収納体であって、乾電池収納部は、帯状のプラスチックシートの長手方向の一端部を他端部側に折り曲げて該シートに固定することにより、該シートの短手方向両側に開口したスリーブ状に形成され、該乾電池収納体の両開口部近傍に切り込みが設けられ、該切り込みの外側に乾電池包装体の乾電池収納部からの抜けを防止するための抜け防止め係止片が形成され、該抜け止め係止片は乾電池収納体の内方に向けて変形することによりその内側のエッジで乾電池包装体を係止する乾電池収納体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−142056号公報
【特許文献2】特開2005−093334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術である特許文献1では、上記凸型収納部の上記円筒形電池端面が対接する側壁に、隣接する上記円筒形電池の外周面に対接する突起部が一対設けられているため、上記円筒形電池は上記突起部により係止され、取り出す際には、上記円筒形電池が位置する上方を開口させる必要がある。これにより、収納されている上記円筒形電池を取り出す毎に、この円筒形電池の上方を開口させなくてはならず、手間が掛かるとともに、万一未使用の上記円筒形電池の上方まで開口してしまった場合には、上記凸型収納部より未使用乾電池が外部に飛び出してしまい、使用済みと未使用との区別が付かなくなってしまうという問題がある。
【0006】
また、上記凸型収納部には、上記円筒形電池を係止させる突起部や凹型部を設ける必要があるため、この凸型収納部を射出成型により成型する際には、型が複雑な構造になってしまう。これにより、射出成型型を製作するコストや型のメンテナンスにコストが掛かってしまうという問題もある。
【0007】
他方、従来の技術である特許文献2では、安価に製造されているため、プラスチックシートからなるケースの乾電池収納部に収納する際には、予め複数本の乾電池を並列状態に一括的に包装しなければならず、その為の装置を別に製作する必要がある。これにより、手間が掛かるとともに、製造コストが掛かってしまうという問題がある。
【0008】
また、例えば、乾電池を1本のみ必要なときにでも、複数本が一括的に包装されている包装体をばらす必要があるため、その他の未使用の乾電池を収納する容器やケースを別に準備しなければならない。これにより、乾電池を使用するにあたって手間が掛かるととともに、乾電池を包装している包装体をばらすことにより、未使用の乾電池が散乱し使用済み乾電池と混ざり合ってしまうという問題もある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、容易に乾電池を取り出すことができるとともに、使用済み乾電池と未使用の乾電池とを取り間違えることなく、簡便に未使用の乾電池を保管することができるブリスターパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部が形成されたケース体と、このケース体の上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、上記収納部の上記天板に、当該天板を水平面に載置して上記開封口を上方に位置させた際に、上記乾電池を上記開封口に向かわせる傾斜手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブリスターパックにおいて、上記フラップ状の開封口は、上記乾電池の長手方向に沿って延設され、上記開封口の短手方向の両縁部がミシン目により係止されているとともに、当該長手方向の一端部側が上記台紙と一体に形成され、他端部側が断裁されていることを特徴とするものである。
【0012】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のブリスターパックにおいて、上記傾斜手段は、上記収納部の上記天板の外面に突出した突状部であることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のブリスターパックにおいて、上記傾斜手段は、上記収納部の上記天板の内面に突出した突状部であることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部が形成されたケース体と、このケース体の上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、上記台紙の一端部側には、上記開封口を上方に位置させた際に、上記天板側に折り返し可能な折曲部が形成され、上記乾電池を上記開封口に向かわせていることを特徴とするものである。
ブリスターパック。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部の上記側壁の縁部に、外方に延設されるフランジ部が一体に形成されたケース体と、このケース体の上記フランジ部が一体的に接合されることにより、上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、上記ケース体の上記フランジ部には、上記開封口を上方に位置させた際に、上記天板側に折り返し可能な折曲部が形成され、上記乾電池を上記開封口に向かわせていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜6のいずれかに記載の発明によれば、ブリスターパックは、複数の乾電池を並列に収納する収納部がケース本体に形成され、この収納部の天板側を水平面に載置して、上記収納部の開口面を閉塞させる台紙に設けられたフラップ状の開封口を上方に位置させた際に、上記乾電池を上記開封口に向かわせる傾斜手段を設けたため、上記乾電池を一つのみ取り出せる上記開封口であっても、上記乾電池は上記傾斜手段によって転動され、一つ取り出す度に次ぎの乾電池が上記開封口の下方に位置する。これにより、複数の乾電池のうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池の散乱を防ぎ、使用済みの乾電池と取り違えることを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記フラップ状の開封口が、上記乾電池の長手方向に沿って延設された上記開封口の短手方向の両縁部をミシン目によって係止するとともに、当該長手方向の一端部側を上記台紙と一体に形成し、他端部側を断裁しているため、この断裁されている上記他端部側から、上記フラップ状の開封口を容易切り離すことができる。しかも、上記一端部側が上記台紙と一体になっているため、上記乾電池を保管する際には、上記フラップ状の開封口によって開口部を再度封止することができ、上記収納部への粉塵などの侵入を防止することができる。
【0018】
そして、請求項3に記載の発明によれば、上記傾斜手段が、上記収納部の上記天板の外面に突出した突状部であるため、上記ケース本体を製造する際には、突状部を上記天板の外面に形成することにより、上記乾電池が転動して上記開口部に向かわせることができる。この結果、上記傾斜手段を設けるためにコストを掛けることなく、安価に製造することができる。
【0019】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、上記傾斜手段が、上記収納部の上記天板の内面に突出した突状部が、上記収納部の長手方向に延設されるため、傾斜の高低を付ける際に、低部を上記収納部の長手方向の任意の位置に設けることができる。したがって、上記開封口の位置を収納部の長手方向の端部近傍に設ける必要がなく、中央部近傍など任意の位置に設けることもできる。
【0020】
また、上記収納部の上記天板の外面を平坦にすることができるため、複数の上記ブリスターパックを重ねて保管する際には、嵩張ることなく保管することができるとともに、店頭に吊して販売する際にも、見栄え良くディスプレーすることができる。
【0021】
そして、請求項5に記載の発明によれば、ブリスターパックは、複数の乾電池を並列に収納する収納部がケース本体に形成され、上記収納部の開口面を閉塞させる台紙に設けられたフラップ状の開封口を上方に位置させた際に、上記乾電池を上記開封口に向かわせる折り返し可能な折曲部を上記台紙の一端部側に設けたため、上記乾電池を一つのみ取り出せる上記開封口であっても、上記乾電池は上記折曲部によって上記天板が傾斜して、一つ取り出す度に次ぎの乾電池が上記開封口の下方に転動される。これにより、複数の乾電池のうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池の散乱を防ぎ、使用済みの乾電池と取り違えることを防止することができる。
【0022】
また、上記折曲部は、上記台紙の一端部側に折り返し可能に形成するため、上記収納部などに加工を施すことなく、簡単な構造により製造することができる。この結果、製造コストを抑えるとともに、安価に製造することができる。
【0023】
そして、請求項6に記載の発明によれば、ブリスターパックは、複数の乾電池を並列に収納する収納部がケース本体に形成され、上記収納部の開口面を閉塞させる台紙に設けられたフラップ状の開封口を上方に位置させた際に、上記乾電池を上記開封口に向かわせる折り返し可能な折曲フラップをフランジ部に設けたため、上記乾電池を一つのみ取り出せる上記開封口であっても、上記乾電池は上記折曲フラップによって上記天板が傾斜して、一つ取り出す度に次ぎの乾電池が上記開封口の下方に転動される。これにより、複数の乾電池のうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池の散乱を防ぎ、使用済みの乾電池と取り違えることを防止することができる。
【0024】
また、上記折曲フラップは、上記フランジ部に折り返し可能に形成するため、上記収納部などに加工を施すことなく、簡単な構造により製造することができる。この結果、製造コストを抑えるとともに、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のブリスターパックの第1の実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明のブリスターパックの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明のブリスターパックの第1の実施形態を示し、(a)は天板の外面に設けた突状部を端部近傍に設けた状態の説明図、(b)は天板の外面に設けた突状部を中央部近傍に設けた状態の説明図、(c)は(a)のケース体の正面図、(d)は(b)のケース体の正面図である。
【図4】本発明のブリスターパックの第2の実施形態を示し、(a)は天板の内面に設けた突状部を長手方向の一端部から他端部に向けて傾斜させた状態の説明図、(b)は天板の内面に設けた突状部を長手方向の両端部から中央に向けて傾斜させた状態の説明図、(c)は(a)のケース体の斜視図、(d)は(b)のケース体の斜視図である。
【図5】本発明のブリスターパックの第3の実施形態を示し、(a)は台紙の一端部側に形成された折曲部を当該台紙の短手方向の一端部から他端部まで折り曲げ可能にした状態の説明図、(b)は(a)の背面図である。
【図6】本発明のブリスターパックの第4の実施形態を示し、(a)はフランジ部に形成された折曲フラップをケース体の短手方向の一端部から他端部まで折り曲げ可能にした状態の説明図、(b)は(a)の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
図1〜3は、本発明のブリスターパックの第1の実施形態を示すものである。
図1に示すように、本発明のブリスターパック1は、天板3aと側壁3bとにより構成されて、複数の乾電池tを並列に収納する収納部3が形成されたケース体2と、このケース体2の収納部3の開口面を閉塞させる台紙4とを備え、この台紙4に乾電池tを少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口5が設けられているとともに、収納部3の天板3aに傾斜手段6が設けられて概略構成されている。
【0027】
また、ケース体2の収納部3は、天板3aが略長方形に形成されているとともに、この天板3aの四方縁部に、側壁3bが垂設され一体に成形されている。また、この側壁3bの周縁部には、外方にフランジが周設され一体に成形されている。そして、収納部3の長手方向に延在する側壁3bの一側壁側には、乾電池tを立たせた状態にして保管するための凸部8が、側壁3bの外方に突出して形成されている。この凸部8は、側壁3bの短手方向に延在して設けられているとともに、収納部3と一体に成形されている。さらに、天板3aの外面には、収納部3の長手方向の一端部側の端部近傍に、突状部6aが一体に成形されている。この突状部6aは、天板3aの外面の短手方向に間隔を置いて2箇所設けられている。
【0028】
そして、収納部3の開口面側には、この開口面を閉塞させる台紙4が、ケース体2と一体的に接合されている。この台紙4には、収納部3の長手方向の端部側の位置に、フラップ状の開封口5が形成されている。この開封口5は、収納部3の天板3aの外面に形成された突状部6aと反対側の位置に、乾電池tを少なくとも一つ取り出せる幅に形成されている。またフラップ状の開封口5は、乾電池tの長手方向に沿って延設され、短手方向の両縁部がミシン目により係止されているとともに、その長手方向の一端部5c側が台紙4と一体に形成され、他端部5d側が断裁されている。
【0029】
さらに、台紙4には、ブリスターパック1をフックなどに吊すためのフック孔hが設けられている。このフック孔hは、収納部3の長手方向に沿って長孔が穿設されているとともに、長孔の短手方向の上側縁部の中央に凹部が形成されている。
【0030】
以上の構成からなるブリスターパック1を用いて、収納されている乾電池tを取り出して使用および保管するには、まず図2に示すように、収納部3の天板3aを机上の水平面上に載置する。次いで、台紙4に設けられている開封口5の断裁されている他端部5d側から、両縁部5a,5bに形成されているミシン目に沿って切り離す。このとき、開封口5は、その一端部5c側が台紙4と一体に形成されているため、上記ミシン目に沿って切り離しても、台紙4から離れることはない。従って、フラップ状の開封口5は、収納されている乾電池tを保管する際に、再度フラップ状の開封口5を穿設された開口部に閉塞させることができる。
【0031】
そして、上記ミシン目より切り離した開封口5に形成された上記開口部より、乾電池tを取り出す。ことのとき、図3に示すように、収納部3の天板3aの外面に形成された突状部6aは、開封口5が収納部3の長手方向の反対側の端部近傍に形成されているため、開封口5の開口部より乾電池tを取り出すと、収納されている乾電池tが収納部3の天板3aの傾斜により、開封口5に向かって転動され、必要に応じて次ぎの乾電池tを開封口5の開口部より取り出すことができる。
【0032】
さらに、ブリスターパック1を保管するには、収納部3の天板3aを机上の水平面上に載置した状態のまま、フラップ状の開封口5によって、上記開口部を閉塞して保管する。また、ブリスターパック1を立てた状態にして保管するには、収納部3に一体に成形された凸部8を水平面に当接させる。このとき凸部8は、台紙4の端部より内側に凸部8の頭頂部が位置しているため、収納部3の天板3a側に傾倒して保管される。これにより、台紙4に形成された開封口5の開口部から、乾電池tが抜け出すことなく保管することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図4は、本発明のブリスターパックの第2の実施形態を示すものである。
図1〜3に示したものと同一構成部分は、同一符号を付して、その説明を簡略する。
【0034】
この第2の実施形態では、傾斜手段6が図4(a)および図4(c)に示すように、収納部3の天板3aの内面に、収納部3の長手方向の一端部側から他端部側に漸次低くなる突状部6bが形成されている。この突状部6bは、天板3aの内面の短手方向に、乾電池tを載置させる位置に間隔を置いて2箇所設けられている。
【0035】
そして、収納部3の開口面側には、この開口面を閉塞させる台紙4が一体的に接合されている。この台紙4には、収納部3の長手方向の端部側の位置に、フラップ状の開封口5が形成されている。この開封口5は、収納部3の天板3aの内面に形成された漸次低くなる突状部6bの最低部側の位置に、乾電池tを少なくとも一つ取り出せる幅に形成されている。またフラップ状の開封口5は、乾電池tの長手方向に沿って延設され、短手方向の両縁部5a,5bがミシン目により係止されているとともに、その長手方向の一端部5c側が台紙4と一体に形成され、他端部5d側が断裁されている。
【0036】
以上の構成からなるブリスターパック1を用いて、収納されている乾電池tを取り出して使用および保管するには、まず図4(c)に示すように、第1の実施形態の作用と同様に収納部3の天板3aを机上の水平面上に載置し、台紙4に形成されている開口部5をミシン目に沿って切り離す。
【0037】
次いで、上記ミシン目より切り離した開封口5により穿設された上記開口部より、乾電池tを取り出す。ことのとき、図4(a)に示すように、収納部3の天板3aの内面に形成された漸次低くなる突状部6bの最低部側に、開封口5が形成されているため、開封口5の開口部より乾電池tを取り出すと、収納されている乾電池tが収納部3の天板3aの内面に形成された突状部の傾斜により、開封口5に向かって転動され、必要に応じて乾電池tを開封口5の開口部より取り出すことができる。
【0038】
さらに、ブリスターパック1を保管するには、第1の実施形態の作用と同様に行う。
【0039】
(第3の実施形態)
図5は、本発明のブリスターパックの第3の実施形態を示すものである。
図1〜3に示したものと同一構成部分は、同一符号を付して、その説明を簡略する。
【0040】
この第3の実施形態では、図5に示すように、台紙40に乾電池tを少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口5が設けられているとともに、台紙40一端部40a側に、開封口5を上方に位置させた際に、天板3a側に折り返し可能な折曲部9が形成されている。この台紙40は、収納部3の開口面側を閉塞させ、ケース体2と一体的に接合されている。この台紙40には、収納部3の長手方向の一端部40a側に、収納部3の天板3a側に折り返し可能な折曲部9が形成されている。この折曲部9は、折り返した際に、収納部3の側壁3bの高さよりも高くなる幅によって、台紙40の一端部40a側に形成されている。また、収納部3の長手方向の一端部側に、フラップ状の開封口5が形成されている。この開封口5は、台紙40の折曲部9と反対側の収納部3の長方向の一端部に、乾電池tを少なくとも一つ取り出せる幅に形成されている。
【0041】
さらに、台紙40には、ブリスターパック1をフックなどに吊すためのフック孔hが設けられている。このフック孔hは、収納部3の長手方向に沿って長孔が穿設されているとともに、長孔の短手方向の上側縁部の中央に凹部が形成されている。
【0042】
以上の構成からなるブリスターパック1を用いて、乾電池tを取り出して使用および保管するには、まず図5に示すように、収納部3の天板3a側を机上の水平面上に位置させる。次いで、台紙40の一端部40a側に形成されている折曲部9を、収納部3の天板3a側に折り返す。このとき収納部3の天板3aは、台紙40の一端部40a側の折曲部9の幅が、収納部3の側壁3bの高さよりも高くなるため、台紙40に形成された開封口5に向かって漸次下がった状態になる。そして、台紙40に設けられている開封口5の断裁されている他端部5d側から、両縁部5a,5bに形成されているミシン目に沿って切り離す。このとき、開封口5は、その一端部5c側が台紙40と一体に形成されているため、上記ミシン目に沿って切り離しても、台紙40から離れることなく、フラップ状の開封口5として、保管の際には、再度開封口5の開口部に閉塞させることができる。
【0043】
そして、上記ミシン目より切り離した開封口5に形成された上記開口部より、乾電池tを取り出す。ことのとき、図5(a)に示すように、台紙40の一端部40a側に形成された折曲部9は、収納部3の側壁3bの高さより高くなるように、その幅が形成されているため、開封口5の開口部より乾電池tを取り出すと、収納されている乾電池tが収納部3の天板3aの傾斜により、開封口5に向かって転動され、必要に応じて次の乾電池tを開封口5の上記開口部より取り出すことができる。
【0044】
さらに、ブリスターパック1を保管するには、台紙40の一端部40a側の折曲部9を折り返したまま収納部3の天板3a側を机上の水平面上に載置して、フラップ状の開封口5を上記開口部に閉塞させて保管する。又は、台紙40の一端部40a側の折曲部9を水平に戻し、収納部3の天板3aを水平面に載置して、フラップ状の開封口5を上記開口部に閉塞させて保管する。さらに、ブリスターパック1を立てた状態にして収納するには、第1の実施形態の作用と同様に行う。
【0045】
(第4の実施形態)
図6は、本発明のブリスターパックの第4の実施形態を示すものである。
図1〜3に示したものと同一構成部分は、同一符号を付して、その説明を簡略する。
【0046】
この第4の実施形態では、図6に示すように、複数の乾電池tが並列に収納される収納部3の側壁3bの縁部に、外方に延設されるフランジ部7が一体に形成されたケース体20と、このケース体20の収納部3の開口面を閉塞させる台紙41とを備え、この台紙41に乾電池tを少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口5が設けられているとともに、ケース体20のフランジ部7に、開封口5を上方に位置させた際に、天板3側に折り返し可能な折曲フラップ7aが形成されている。この折曲フラップ7aは、折り返した際に、収納部3の側壁3bの高さよりも高くなる幅に形成されているとともに、ケース体21の短手方向の一端部から他端部まで折り返し可能に形成されている。
【0047】
さらに、収納部3の開口面側には、この開口面を閉塞させる台紙41が、ケース体2と一体的に接合されている。この台紙4は、折り返し可能な折曲フラップ7aとともに、収納部3の天板3a側に折り返し可能に形成されている。また台紙41には、収納部3に収納されている乾電池tを取り出すための開封口5が形成されている。この開封口5は、フランジ部7に形成されている折曲フラップ7aと反対側の収納部3の端部近傍に、乾電池tを少なくとも一つ取り出せる幅に形成されている。
【0048】
さらに、台紙41には、ブリスターパック1をフックなどに吊すためのフック孔hが設けられている。このフック孔hは、収納部3の長手方向に沿って長孔が穿設されているとともに、長孔の短手方向の上側縁部の中央に凹部が形成されている。
【0049】
以上の構成からなるブリスターパック1を用いて、乾電池tを取り出して使用および保管するには、まず図6に示すように、収納部3の天板3a側を机上の水平面上に位置させる。次いで、ケース体20のフランジ部7に形成されている折曲フラップ7aを、収納部3の天板3a側に折り返す。このとき収納部3の天板3aは、フランジ部7と反対側に向かって漸次下がった状態になる。
【0050】
そして、第1の実施形態同様に、ミシン目より切り離した開封口5に形成された上記開口部より、乾電池tを取り出す。ことのとき、図6(a)に示すように、収納部3の天板3aは、開封口5に向かって漸次下がっているため、開封口5の上記開口部より乾電池tを取り出すと、収納されている乾電池tが収納部3の天板3aの傾斜により、開封口5に向かって転動され、必要に応じて別の乾電池tを開封口5の上記開口部より取り出すことができる。
【0051】
また、ブリスターパック1を保管するには、フランジ部7の折曲フラップ7aを収納部3の天板3a側に折り返した状態のまま、フラップ状の開封口5を上記開口部に閉塞させて保管する。また、ブリスターパック1を立てた状態にして収納するには、第1の実施形態同様の作用により行う。
【0052】
上述の実施形態のブリスターパック1によれば、ブリスターパック1は、複数の乾電池tを並列に収納する収納部3がケース本体2に形成され、この収納部3の天板3a側を水平面に載置して、収納部3の開口面を閉塞させる台紙4に設けられたフラップ状の開封口5を上方に位置させた際に、乾電池tを開封口5に向かわせる傾斜手段6を設けたため、乾電池tを一つのみ取り出せる開封口5であっても、乾電池tは傾斜手段6によって開封口5に向かって転動され、一つ取り出す度に次ぎの乾電池tが開封口5の下方に位置する。これにより、複数の乾電池tのうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池tの散乱を防ぎ、使用済みの乾電池と取り違えることを防止することができる。
【0053】
また、フラップ状の開封口5が、乾電池tの長手方向に沿って延設された開封口5の短手方向の両縁部5a,5bをミシン目によって係止するとともに、当該長手方向の一端部5c側を台紙4と一体に形成し、他端部5d側を断裁しているため、この断裁されている他端部5d側から、フラップ状の開封口5を容易切り取ることができる。しかも、一端部5c側が台紙4と一体になっているため、乾電池tを保管する際には、フラップ状の開封口5によって開口部に再度封止することができ、収納部への粉塵などの侵入を防止することができる。
【0054】
そして、収納部3の長手方向に延在する側壁3bの一側面に、ブリスターパック1を立たせた際に、水平面に当接する凸部8を設けたため、未使用の乾電池tを保管する際に、立てた状態で保管することができる。これにより、場所を取ることなく保管することができるとともに、販売の際には、吊すだけでなく、立てた状態のまま展示して販売することができる。また、凸部8の頭頂部が台紙4の端部より内側に位置しているため、収納部3の天板3a側に傾倒するため、台紙4に形成された開封口5の上記開口部から、乾電池tが抜け出すことなく保管することができる。
【0055】
さらに、第1の実施形態によれば、傾斜手段6が、収納部3の天板3aの外面に突出した突状部6aであるため、ケース本体2を製造する際には、突状部6aを天板3aの外面に形成することにより、乾電池tが転動して開口部5の下方に位置させることができる。この結果、製造コストを掛けることなく製造することができる。
【0056】
また、第2の実施形態によれば、傾斜手段6は、収納部3の天板3aの内面に突出した突状部6bが、収納部3の天板3aの長手方向に延設されるため、傾斜の高低を付ける際に、低部を収納部3の長手方向の任意の位置に設けることができる。これにより、開封口5の位置を収納部3の長手方向の端部近傍に設ける必要がなく、中央部近傍など任意の位置に設けることもできる。
【0057】
そして、収納部3の天板3aの外面を平坦にすることができるため、複数の上記ブリスターパック1を重ねて収納する際には、嵩張ることなく収納することができるとともに、店頭に吊して販売する際にも、見栄え良くディスプレーすることができる。
【0058】
さらに、第3の実施形態によれば、ブリスターパック1は、複数の乾電池tを並列に収納する収納部3がケース本体2に形成され、収納部3の開口面を閉塞させる台紙40に設けられたフラップ状の開封口5を上方に位置させた際に、乾電池tを開封口5に向かわせる折り返し可能な折曲部9を台紙40の一端部40a側に設けたため、乾電池tを一つのみ取り出せる開封口5であっても、乾電池tは折曲部9によって天板3aが傾斜して、一つ取り出す度に次ぎの乾電池tが開封口5の下方に転動される。これにより、複数の乾電池tのうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池tの散乱を防ぎ、使用済みの乾電池tと取り違えることを防止することができる。
【0059】
また、折曲部9は、折り返し可能に台紙40の一端部40a側に形成するため、収納部3などに加工を施すことなく、簡単な構造により製造することができる。この結果、製造コストを抑えるとともに、安価に製造することができる。
【0060】
そして、第4の実施形態によれば、ブリスターパック1は、複数の乾電池tを並列に収納する収納部3がケース本体20に形成され、収納部3の開口面を閉塞させる台紙41に設けられたフラップ状の開封口5を上方に位置させた際に、乾電池tを開封口5に向かわせる折り返し可能な折曲フラップ7aをフランジ部7に設けたため、乾電池tを一つのみ取り出せる開封口5であっても、乾電池tは折曲フラップ7aによって転動され、一つ取り出す度に次ぎの乾電池tが開封口5の下方に位置する。これにより、複数の乾電池tのうち、必要な数だけ容易に取り出すことができるとともに、未使用の乾電池tの散乱を防ぎ、使用済みの乾電池tと取り違えることを防止することができる。
【0061】
また、折曲フラップ7aは、フランジ部7に折り返し可能に形成するため、収納部3などに加工を施すことなく、簡単な構造により製造することができる。これにより、製造コストを抑えるとともに、安価に製造することができる。
【0062】
なお、上記第1の実施形態において、収納部3の天板3aの外面に突出した突状部6aを、円形の突状部6aを2箇所用いる場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図3(d)に示すように、収納部3の天板3aの短手方向に延在する突状部6aでも対応可能である。
また、上記第1の実施形態において、収納部3の天板3aの外面に突出した突状部6aの位置を、収納部3の天板3aの長手方向の端部近傍の開封口5と反対側に用いる場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図3(b)に示すように、収納部3の天板3aの中央近傍に設けても対応可能である。この場合には、乾電池tが開封口5に向かわせる傾斜であれば、任意の位置に突状部6aを設けることが可能である。
そして、上記第2の実施形態において、収納部3の天板3aの内面に突出する突状部6bを、収納体3の天板3aの長手方向の一端部から他端部に漸次低くなる突状部6bを用いる場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(b)および図4(d)に示すように、収納体3の天板3aの長手方向の両端部から中央部に向かって漸次低くなる突状部6bを用いても対応可能である。この場合に開封口5は、収納体3の長手方向の中央部に設けられることになる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
複数の乾電池を並列に収納する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ブリスターパック
2 ケース体
3 収納部
3a 天板
3b 側壁
4 台紙
5 開封口
5a 縁部
5b 縁部
5c 一端部
5d 他端部
6 傾斜手段
6a 突状部
6b 突状部
7 フランジ部
7a 折曲フラップ
9 折曲部
20 ケース体
40 台紙
40a 一端部
41 台紙
t 乾電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部が形成されたケース体と、このケース体の上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、
上記収納部の上記天板に、当該天板を水平面に載置して上記開封口を上方に位置させた際に、上記乾電池を上記開封口に向かわせる傾斜手段を設けたことを特徴とするブリスターパック。
【請求項2】
上記フラップ状の開封口は、上記乾電池の長手方向に沿って延設され、上記開封口の短手方向の両縁部がミシン目により係止されているとともに、当該長手方向の一端部側が上記台紙と一体に形成され、他端部側が断裁されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスターパック。
【請求項3】
上記傾斜手段は、上記収納部の上記天板の外面に突出した突状部であることを特徴とする請求項1または2に記載のブリスターパック。
【請求項4】
上記傾斜手段は、上記収納部の上記天板の内面に突出した突状部であることを特徴とする請求項1または2に記載のブリスターパック。
【請求項5】
天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部が形成されたケース体と、このケース体の上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、
上記台紙の一端部側には、上記開封口を上方に位置させた際に、上記天板側に折り返し可能な折曲部が形成され、上記乾電池を上記開封口に向かわせていることを特徴とするブリスターパック。
【請求項6】
天板と側壁とにより構成されて、複数の乾電池が並列に収納される収納部の上記側壁の縁部に、外方に延設されるフランジ部が一体に形成されたケース体と、このケース体の上記フランジ部が一体的に接合されることにより、上記収納部の開口面を閉塞させる台紙とを備え、上記台紙に上記乾電池を少なくとも一つ取り出せるフラップ状の開封口が設けられている陳列用のブリスターパックにおいて、
上記ケース体の上記フランジ部には、上記開封口を上方に位置させた際に、上記天板側に折り返し可能な折曲フラップが形成され、上記乾電池を上記開封口に向かわせていることを特徴とするブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−228773(P2010−228773A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76831(P2009−76831)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(503025395)FDKエナジー株式会社 (142)
【Fターム(参考)】