説明

ブリスターパッケージ

【課題】自立の安定性を容易に高めることが可能であり、商品をより強固に保持可能であり、しかも載置面に対して商品を確実に保護可能なブリスターパッケージを提供する。
【解決手段】ブリスターパッケージ1は、商品としての充電器100を受容可能な凹形状の容器部8と、容器部8の開口外周縁を全周に渡り囲むフランジ部9と、フランジ部9に接合して容器部8を塞ぐ蓋部と、フランジ部9から離れるにしたがい容器部8から遠ざかる傾斜面11、およびフランジ部9の縁または蓋部の縁とともに載置面に接地可能な自由端部12a、13aを有して、載置面にフランジ部9を立てた起立状態で充電器100の重量を含む自重を分担可能な一対の脚部12、13と、一対の脚部12、13間に架かり起立状態にあるとき充電器100を支える支持部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態はブリスターパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
電池や充電器などの商品を受容可能な容器部を有する第一板状部材と、第一板状部材に接合して容器部を閉鎖する第二板状部材と、を備えるブリスターパッケージが知られている。
このブリスターパッケージは、フックなどに吊り下げて陳列するだけでなく、陳列棚等に並べて陳列する場合がある。陳列棚等に並べて陳列する場合、ブリスターパッケージを起立させ、ブリスターパッケージのフェイス面を陳列棚の正面に向けて陳列することが重要である。
【0003】
そこで、容器部に連接する脚部を備えるブリスターパッケージが知られている。この脚部は、ブリスターパッケージを起立状態に保つ。脚部は中空であり、起立状態において載置面に接する底板として、第二板状部材の縁に略直交する方向へ延びる平板状部分を第一板状部材側に備える。
また、容器部を脚として兼用するブリスターパッケージが知られている。この脚を兼ねる容器部は、第二板状部材の縁と協働してブリスターパッケージを起立状態に保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−137430号公報
【特許文献2】特開2001−122329号公報
【特許文献3】特開2000−191037号公報
【特許文献4】実開平2−83271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脚部を備える従来のブリスターパッケージは、中空な脚部を第二板状部材で閉鎖する一方で、脚部と第二板状部材との接合しろを確保することが困難であり、当該部分の接合強度を期待できず、商品の保持およびブリスターパッケージそのものの保形に係る強度が低下してしまう。
【0006】
他方、容器部を脚として兼用する従来の兼用するブリスターパッケージは、容器部を載置面へ直接的に接して起立状態を保つため、商品と載置面との離間距離を確保し難く、載置面の状況によっては商品そのものを傷付けてしまう虞がある。また、この種のブリスターパッケージは、商品の大きさ次第によって容器部の大きさを変えてしまう。例えば、第二板状部材の法線方向における商品の厚みが減少するほど、脚として働く距離が短くなり、この種のブリスターパッケージは転倒し易くなる。
【0007】
そこで、本発明は、自立の安定性を容易に高めることが可能であり、商品をより強固に保持可能であり、しかも載置面に対して商品を確実に保護可能なブリスターパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係るブリスターパッケージは、商品を受容可能な凹形状の容器部と、前記容器部の開口外周縁を全周に渡り囲むフランジ部と、前記フランジ部に接合して前記容器部を塞ぐ蓋部と、前記フランジ部から離れるにしたがい前記容器部から遠ざかる傾斜面、および前記フランジ部の縁または前記蓋部の縁とともに載置面に接地可能な自由端部を有して、前記載置面に前記フランジ部を立てた起立状態で前記商品の重量を含む自重を分担可能な一対の脚部と、前記一対の脚部間に架かり前記起立状態にあるとき前記商品を支える支持部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す正面図。
【図3】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す平面図。
【図4】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す右側面図。
【図5】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す縦断面図。
【図6】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す底面図。
【図7】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージの第一板状部材の成形方法を示す概略図。
【図8】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージの第一板状部材の成形方法を示す概略図。
【図9】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージの第一板状部材の成形方法を示す概略図。
【図10】本発明の実施形態に係るブリスターパッケージの第一板状部材の成形方法を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るブリスターパッケージの実施の形態について、図1から図10を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す正面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す平面図である。
図4は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す右側面図である。
図5は、図2のV−V線において、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す縦断面図である。
図6は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージを示す底面図である。
なお、図2から図5は、載置面Gに起立するブリスターパッケージ1を示す図である。また、
【0012】
図1から図6に示すように、本実施形態に係るブリスターパッケージ1は、商品としての充電器100を包装する。ブリスターパッケージ1は、充電器100を受容可能な窪みを有する第一板状部材5と、窪みを塞いで充電器100を保持する第二板状部材6と、を備える。なお、ブリスターパッケージ1の正面はフェイス面である。
【0013】
第一板状部材5および第二板状部材6のそれぞれは、ポリエチレンテレフタレートシート(PET)や、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の種々の合成樹脂の成形品であり、約0.2mm〜約1.0mmの厚さの合成樹脂シートの成形品である。なお、第二板状部材6は紙製シートでも良い。
【0014】
第一板状部材5は、充電器100を受容可能な凹形状の容器部8と、容器部8の開口外周縁を全周に渡り囲むフランジ部9と、フランジ部9から離れるにしたがい容器部8から遠ざかる傾斜面11、およびフランジ部9の縁または第二板状部材6の縁とともに載置面Gに接地可能な自由端部12a、13aを有して、載置面Gにフランジ部9を立てた起立状態で充電器100の重量を含む自重を分担可能な一対の脚部12、13と、一対の脚部12、13間に架かり起立状態にあるとき充電器100を支える支持部15と、を備える。
【0015】
容器部8は、ブリスターパッケージ1の前方へ突き出し、充電器100を収容する。容器部8は、充電器100の形状に応じ、外面に沿うようなドーム状の形状を有する。なお、容器部8は商品の形状に応じて直方体形状であっても良いし、その他任意の形状でも良い。
また、容器部8は、脚部12、13に対向しかつ傾斜面11と略同じく傾斜する壁部分16を有する。
【0016】
フランジ部9は、容器部8の縁から張り出し、窪みの外側へ向かって上下左右に向かって平面状に延びる。フランジ部9の下端縁は、脚部12、13とともに載置面Gに接地して、起立状態にあるブリスターパッケージ1の自重と充電器100の重量を分担する。
【0017】
また、フランジ部9は、第二板状部材6を第一板状部材5に接合するためにあり、接着剤を塗布して接着したり、フランジ部9と第二板状部材6とを溶着したり、フランジ部9と第二板状部材6とのいずれか一方に爪を形成し、他方に爪を掛けるスリットなどの穴を形成し、爪を穴に差し込んだり、フランジ部9と第二板状部材6とのいずれか一方にレール状の折返し部を形成し、他方を折返し部に差し込んだりする種々な接合方法を適用できる。
【0018】
脚部12、13は、丸みのある容器部8の底部から下方へ向かって膨出し、側面視においてくちばしのように先鋭して載置面Gに接する。また、脚部12、13は、前面視において容器部8よりも幅が狭く、容器部8の下端部右側と下端部左側とに分かれて位置する。脚部12、13の自由端部12a、13aは、脚部12、13の前端部である。
【0019】
なお、脚部12、13は、充電器100の重心位置に対応して脚部12、13間の離間幅と、フランジ部9からの突出長さLとを適宜に調整することで、容器部8の形状に係わらずブリスターパッケージ1をより安定に自立することが可能である。特に、脚部12、13の突出長さLを充電器100の前後方向における厚さTよりも大きくすれば、前後方向における極めて高い自立安定性を得る。また、脚部12、13を容器部8の左右それぞれの壁面の延長位置に配置することで、左右方向における極めて高い自立安定性を得る。
【0020】
傾斜面11は、脚部12、13の底板であり、フランジ部9側にある根元12b、13bから前斜め下方へ傾斜して自由端部12a、13aに至る。傾斜面11の根元12b、13bを充電器100に近づけ、すなわちフランジ部9の縁(下端縁)よりも上方に配置することによって、フランジ部9は、容器部8の開口外周縁を全周に渡り囲むことが可能になる。
なお、傾斜面11と容器部8の壁部分16とは、平面状のフランジ部9に対して同じ方向へ傾斜して略同じ角度をなし、略平行に位置する。
【0021】
支持部15は、容器部8に連接して左右の脚部12、13に架かり、容器部8と協働して充電器100を支える。このため、支持部15は、フランジ部9から離れるにしたがい傾斜面11から遠ざかって充電器100に沿う形状を有し、充電器100から加わる荷重を脚部12、13へ伝える。
【0022】
他方、第二板状部材6は、フランジ部9に接合して容器部8を塞ぐ蓋部である。第二板状部材6は、容器部8を閉塞した状態で、容器部8が受容した充電器100を容器部の正面壁17に沿わせて移動を規制する。
【0023】
また、第二板状部材6の下端縁は、フランジ部9の下端縁および脚部12、13とともに載置面Gに接地して、起立状態にあるブリスターパッケージ1の自重と充電器100の重量を分担する。第二板状部材6の下端縁およびフランジ部9の下端縁は、いずれか一方が載置面Gに接地すれば良い。
【0024】
さらに、第二板状部材6は、ブリスターパッケージ1を吊り下げて陳列する際に使用する、フックを引っ掛け可能な吊下孔18を有する。吊下孔18は、第二板状部材6の上部に位置する。
さらにまた、第二板状部材6は、商品をPRする印刷を施しても良い。
【0025】
次に、第一板状部材5の成型方法について説明する。
図7から図10は、本発明の実施形態に係るブリスターパッケージの第一板状部材の成形方法を示す概略図である。
【0026】
図7から図10に示すように、本実施形態に係るブリスターパッケージ1の第一板状部材5は、軟化したシート材19を金型31に押し当てて硬化させることで一体成形される。
【0027】
シート材19は、ポリエチレンテレフタレートシート(PET)や、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の種々の合成樹脂の成形品であり、約0.2mm〜約1.0mmの厚さの合成樹脂シートである。
【0028】
金型31は、容器部8、脚部12、13および支持部15を成形する凸形状部32と、フランジ部9を形成する壁面33と、を備える。
また金型31は、凸形状部32と壁面33との間にあり、シート材19と金型31との間から空気を抜く排気孔35を有する。
【0029】
凸形状部32は、互いに平行な脚部12、13の傾斜面11および容器部8の壁部分16を成形する壁面36、37を略垂直に立てる。
壁面33は、水平面に対して傾く。
【0030】
そして、先ず、シート材19をヒータなどの加熱装置(図示省略)により加熱して軟化する(図7)。次いで軟化したシート材19を金型に押し当て、シート材19と金型31との間から空気を抜くために型枠38を金型31の壁面33に押し付ける(図8)。次いで、排気孔35を通じてシート材19と金型31との間に満ちる空気を抜き、真空成型する(図9)。シート材19が硬化した後、金型31から抜き取り、プレス機等で切断してフランジ部9を整え、第一板状部材5を得る(図10)。
【0031】
第一板状部材5は、脚部12、13の傾斜面11と容器部8の壁部分16とを同じ方向へ略同じ傾斜角度で傾けているため、成形時に金型31から取り外し易い。また、第一板状部材5の支持部15は、フランジ部9から離れるにしたがい傾斜面11から遠ざかるため、成形時に離型を阻害しない。
【0032】
本実施形態に係るブリスターパッケージ1を用いて充電器100を包装する場合、先ず、第一板状部材5の容器部8の窪みに充電器100を配置し、フランジ部9の裏面に接着剤を塗布しまたは塗布せずに、蓋部である第二板状部材6をフランジ部9の裏面に重ね合わせ、接着、溶着または機械的な結合方法で第一板状部材5と第二板状部材6とを接合、固着し、充電器100を包装したブリスターパッケージ1を完成する。
本実施形態に係るブリスターパッケージ1は、容器部8の全周縁に渡ってフランジ部9と第二板状部材6とを固着するため、充電器100の重量を確実かつ強固に保持できる。
【0033】
また、本実施形態に係るブリスターパッケージ1は、容器部8の下部にある脚部12、13とフランジ部9の下端縁とを協働して自立するため、脚部12、13間の離間距離や、脚部12、13の突出長さLを充電器100の重心位置に応じて適宜に設定することにより自立安定性を容易に高めることができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係るブリスターパッケージ1は、脚部12、13間に架かる支持部15を備えることによって、少なくとも脚部12、13の高さまで載置載置面Gから充電器100を離すことが可能であり、載置面Gの状況に限らず、充電器100の損傷をより確実に防止することが可能である。
【0035】
さらにまた、本実施形態に係るブリスターパッケージ1は、起立状態にあっても、支持部15を備えることによって、充電器100の重量を確実に支えることができる。しかも、支持部15は、第一板状部材5の成形時に脚部12、13周囲の離型を阻害することがない。
【0036】
したがって、本実施形態に係るブリスターパッケージ1によれば、自立の安定性を容易に高めることが可能であり、商品をより強固に保持可能であり、しかも載置面Gに対して商品を確実に保護可能である。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 ブリスターパッケージ
5 第一板状部材
6 第二板状部材
8 容器部
9 フランジ部
11 傾斜面
12、13 脚部
12a、13a 自由端部
12b、13b 根元
15 支持部
16 壁部分
17 正面壁
18 吊下孔
19 シート材
31 金型
32 凸形状部
33 壁面
35 排気孔
36 壁面
38 型枠
100 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を受容可能な凹形状の容器部と、
前記容器部の開口外周縁を全周に渡り囲むフランジ部と、
前記フランジ部に接合して前記容器部を塞ぐ蓋部と、
前記フランジ部から離れるにしたがい前記容器部から遠ざかる傾斜面、および前記フランジ部の縁または前記蓋部の縁とともに載置面に接地可能な自由端部を有して、前記載置面に前記フランジ部を立てた起立状態で前記商品の重量を含む自重を分担可能な一対の脚部と、
前記一対の脚部間に架かり前記起立状態にあるとき前記商品を支える支持部と、を備えることを特徴とするブリスターパッケージ。
【請求項2】
前記容器部は、前記脚部に対向しかつ前記傾斜面と略同じく傾斜する壁部分を有し、
前記支持部は、前記フランジ部から離れるにしたがい前記傾斜面から遠ざかることを特徴とする請求項1に記載のブリスターパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86807(P2013−86807A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226115(P2011−226115)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】