説明

ブリスター基底部品用の冷間成形可能なラミネート

医薬品のブリスター包装の基底部品を製造するために、プラスチック材料で両面を被覆されたアルミニウム箔(26、46)で作られ、前記医薬品は前記基底部品の中で凍結乾燥されるように構成された、冷間成形可能なラミネートは、
−層A(22)/層B(24)/アルミニウム箔(26)/層C(28)/層D(30)の層配列において、層Aは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC−PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムであり、層B及びCは、oPA、oPP又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド、共押出しCOC/PE又はPVCで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムであり、層A及びDは相違する、前記層配列、又は、
−層A(22)/層B(24)/アルミニウム箔(26)/層C(28)/層D(30)の層配列において、層Aは、oPP又はPETで作られた4乃至20μmの厚さのフィルムであり、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列、又は、
−層B(44)/アルミニウム箔(46)/層C(48)/層D(50)の層配列において、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、8乃至40g/mの坪量を有するPEで作られたコーティングである、前記層配列、又は、
−層B(44)/アルミニウム箔(46)/層C(48)/層D(50)の層配列において、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列、
のうちのいずれかの層配列を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装の基底部品の凹所の内部で凍結乾燥される医薬品用のブリスター包装の基底部品を製造するために、アルミニウム箔の両面をプラスチック材料で被覆して作られた、冷間成形可能なラミネートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面をプラスチック材料で被覆されたアルミニウム箔で作られた冷間成形可能なラミネートは、とりわけ、医薬品用のブリスター包装の基底部品を製造するために使用されている。この基底部品には、個々の錠剤やその他の形態の一回分の服用量を収容する複数の凹所が形成されている。このアルミニウム箔は、ここでは、主として、水蒸気や気体の通過を防止するためのバリヤー層として使用され、主として、製品が湿気を吸収したり、放出したりすることから、製品を保護する。
【0003】
医薬品用のブリスター包装の基底部品を製造するための従来のラミネートは、しばしば、oPA/アルミニウム箔/密封層という構造を有する。従来の密封層は、15乃至100μmの厚さのPVC、20乃至60μmの厚さのPP又は30乃至50μmの厚さのPEによって構成されている。基底部品の複数の凹所に詰めた後、選択的に剥離可能な外側箔(蓋材)が基底部品に接触して密封される。従来の外側箔(蓋材)は、状況に応じて、プラスチック材料で被覆されたアルミニウム箔か、フィルム又はラッカーで覆われたアルミニウム箔である。
【0004】
凍結乾燥された医薬品は、生体内の各部位への薬物送達システム(ドラッグ・デリバリーシステム)(DDS)の新しい形態である。この薬の投与形態によれば、有効成分は咽喉内で放出され、そして、粘膜を通って血液循環に至る。
【0005】
このような薬物送達システムを製造するための第一の方法は、凍結乾燥された医薬品を製造し、その後、ブリスターに充填するという、従来の錠剤の包装に類似する方法である。
【0006】
このような薬物送達システムを製造する第二の方法は、ブリスター包装の基底部品に配置された複数の凹所の内部に、医薬品を液体の形態で導入し、そして、これらの凹所の内部で、直接、凍結乾燥を行うことにある。しかしながら、実施に際して、プラスチック材料によって被覆されたアルミニウム箔で作られたラミネートは、凍結乾燥工程中に温度変化の影響を受けて、丸くなる傾向があることが明らかにされている。
【0007】
この製造工程の結果として、ブリスター基底部品の内部で、直接、凍結乾燥を行う方法では、ラミネートの冷間成形の後に、複数の箔部分がブリスター基底部品と共に打ち出し加工され、次いで、それらの凹所が、液体の形態で存在する医薬品で満たされる。このように充填された凹所を有する複数の箔部分は、次に、連続的に案内されて冷凍トンネルを通過する。これらの凹所から密封層の上に液体が出てくることができないように、これらの箔部分は、凍結工程の間、ねじれやひずみが生じないように、平坦な状態に置かれている必要がある。
【0008】
両面にプラスチック層を配されたアルミニウム箔から作られたラミネートは、EP−A−0 646 367から公知であり、これらの層は、凍結乾燥中のブリスター基底部品のねじれやひずみを避けるために、ほぼ同一の熱膨張係数を有する。この条件は、両面に同一のプラスチック材料の層を配置することによって満たされる。
【特許文献1】EP−A−0 646 367
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アルミニウム箔の両面に配置されたプラスチック材料の層が、同一の熱膨張係数を有する必要性を排除し、基底部品の内部で、直接、凍結乾燥される医薬品用のブリスター包装の基底部品を製造するのに適した、冒頭に述べた形式のラミネートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によれば、次の層配列を有するラミネートによって達成される。すなわち、

−層A/層B/アルミニウム箔/層C/層Dの層配列において、層Aは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムであり、層B及びCは、oPA、oPP又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド、共押出しCOC/PE又はPVCで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムであり、層Aと層Dは相違する、前記層配列、又は、

−層A/層B/アルミニウム箔/層C/層Dの層配列において、層Aは、oPP又はPETで作られた4乃至20μmの厚さのフィルムであり、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列、又は、

−層B/アルミニウム箔/層C/層Dの層配列において、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、8乃至40g/mの坪量を有するPEで作られたコーティングである、前記層配列、又は、

−層B/アルミニウム箔/層C/層Dの層配列において、層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列である。
【0011】
COC/PEブレンド、共押出しCOC/PE又はPVCで作られた層A及びDのフィルムは、15乃至60μmの厚さを有し、oPP又はPETで作られた層Aのフィルムは、6乃至10μmの厚さを有し、そして、層B及びCのフィルムは、12乃至30μmの厚さを有することが好ましい。コーティングが存在する場合には、層Dは10乃至30g/mの坪量を有することが好ましい。
【0012】
層Dは、本発明によるラミネートから製造されたブリスター包装の基底部品上に、外側箔(蓋材)を密封するときの密封層となる。
【0013】
特定の層構造に加えて、ラミネートの二つの外側層が、異なる化学組成及び異なる構造のいずれか一方又は双方を有することは、本発明の基本的な特徴である。
【0014】
このアルミニウム箔は、曲がりやすい状態にあり、20乃至100μmの厚さを有し、好ましくは、30乃至60の厚さを有する。
【0015】
個々の層は、溶剤ベースの接着剤、無溶剤型接着剤又は水性接着剤で被覆することによって、又は、押出しカバーリング、熱カレンダ加工及び/又は押出しコーティングによって、プライマーを使用し、或いは、使用しないで、結合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
表1及び2は、本発明のラミネートとして好ましいフィルムの組み合わせの一覧を示す。これらのフィルムの基礎となるプラスチック材料の短縮記号は、以下の意味を有する。

oPA 延伸ポリアミド
oPP 延伸ポリプロピレン
PET ポリエチレン・テレフタレート
COP シクロオレフィン・ポリマー
PE ポリエチレン
PVC ポリ塩化ビニル
COC シクロオレフィン・コポリマー

【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
本発明によるラミネートの好ましい応用分野は、基底部品の複数の凹所の内部で凍結乾燥される医薬品用のブリスター包装の基底部品の製造である。
【0020】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、以下の好ましい実施例の記述と図面から明らかになる。
【実施例】
【0021】
図1及び2に示されたブリスター包装の基底部品10は、ラミネートからなり、このラミネートから凹所12の形態をなす複数の陥凹が冷間成形によって形成されている。各凹所12の内部には、液体の形態の薬剤その他の薬品の一回分の服用量が詰まっている。
【0022】
基底部品10を製造するための、図3に示された、第1のラミネート20は、その外側から内側に向かって、次の層構造を有する。

22 層A 例えば、COC/PEブレンドで作られた厚さ40μmのフィ
ルム、又は、PETで作られた9μmの厚さのフィルム

24 層B 例えば、oPAで作られた厚さ20μmのフィルム

26 アルミニウム箔 例えば、厚さ60μm

28 層C 例えば、oPAで作られた厚さ20μmのフィルム

30 層D 例えば、共押出しCOC/PEで作られた厚さ40μmのフィ
ルム

後に、上述の層Aは、ラミネート20から製造されたブリスター基底部品の外側面となり、上述の層Dは、外側箔(蓋材)を密封するための密封面となる。
【0023】
図4に示す、基底部品10を製造するための第2のラミネート40は、外側から内側に向かって次の層構造を有する。

44 層B 例えば、oPAで作られた厚さ15μmのフィルム

46 アルミニウム箔 例えば、厚さ45μm

48 層C 例えば、oPAで作られた厚さ15μmのフィルム

50 層D 例えば、PEの坪量15g/mのコーティング、又は、共押
出しCOC/PEで作られた厚さ40μmのフィルム

後に、上述の層Bは、ラミネート40から製造されたブリスター基底部品の外側面となり、上述の層Dは、外側箔(蓋材)を密封するための密封面となる。
【0024】
図1に示された基底部品10と共に凍結乾燥を行う際に、液体の形態の医薬品の一回分の服用量14が凹所12の内部に導入される。次いで、基底部品10は冷凍ステーションを通過し、ここで一回分の服用量14は急速に凍結する。次いで、基底部品10は、この凍結された一回分の服用量14と共に、真空下でチャンバーの内部において凍結乾燥される。この凍結乾燥の後、基底部品10は、例えば、アルミニウム箔のような外側箔(蓋材)16に、好ましくは、基底部品10から剥がすことができるように、密封されて閉鎖され、完成したブリスター包装18が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、ブリスター包装の基底部品の平面図である。
【図2】図2は、図1の基底部品のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図3は、ブリスター基底部品を製造するためのラミネートの第一実施例の全体断面図である。
【図4】図4は、ブリスター基底部品を製造するためのラミネートの第二実施例の全体断面図である。
【図5】図5は、外側箔(蓋材)を有する基底部品で作られたブリスター包装の全体断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品(14)のブリスター包装(18)の基底部品(10)を製造するために、プラスチック材料で両面を被覆されたアルミニウム箔(26、46)で作られた、冷間成形可能なラミネートであって、前記医薬品は前記基底部品の中で凍結乾燥される、前記冷間成形可能なラミネートにおいて、前記冷間成形可能なラミネートの層配列は、

−層A(22)/層B(24)/アルミニウム箔(26)/層C(28)/層D(30)の層配列において、前記層Aは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムであり、前記層B及びCは、oPA、oPP又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、前記層Dは、COC/PEブレンド、共押出しCOC/PE又はPVCで作られた、10乃至100μmの厚さのフィルムであり、前記層A及びDは相違する、前記層配列、又は、

−層A(22)/層B(24)/アルミニウム箔(26)/層C(28)/層D(30)の層配列において、前記層Aは、oPP又はPETで作られた4乃至20μmの厚さのフィルムであり、前記層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、前記層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列、又は、

−層B(44)/アルミニウム箔(46)/層C(48)/層D(50)の層配列において、前記層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、前記層Dは、8乃至40g/mの坪量を有するPEで作られたコーティングである、前記層配列、又は、

−層B(44)/アルミニウム箔(46)/層C(48)/層D(50)の層配列において、前記層B及びCは、oPA又はPETで作られた10乃至50μmの厚さのフィルムであり、そして、前記層Dは、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PEで作られた10乃至100μmの厚さのフィルムである、前記層配列、

であることを特徴とする、冷間成形可能なラミネート。
【請求項2】
請求項1に記載されたラミネートにおいて、COC/PEブレンド又は共押出しCOC/PE又はPVCで作られた前記層A(22)及びD(30、50)の前記フィルムは、15乃至60μmの厚さを有することを特徴とする、前記ラミネート。
【請求項3】
請求項1に記載されたラミネートにおいて、oPP又はPETで作られた前記層A(42)の前記フィルムは、6乃至10μmの厚さを有することを特徴とする、前記ラミネート。
【請求項4】
請求項1に記載されたラミネートにおいて、前記層B(24、44)及びC(28、48)の前記フィルムは、12乃至30μmの厚さを有することを特徴とする、前記ラミネート。
【請求項5】
請求項1に記載されたラミネートにおいて、前記層D(50)の前記コーティングは、10乃至30g/mの坪量を有することを特徴とする、前記ラミネート。
【請求項6】
請求項1に記載されたラミネートにおいて、前記アルミニウム箔(26、46)は、20乃至100μmの厚さを有し、好ましくは、30乃至60μmの厚さを有することを特徴とする、前記ラミネート。
【請求項7】
前記基底部品(10)の前記凹所(12)の内部で凍結乾燥される医薬品(14)のためのブリスター包装(18)の基底部品(10)を製造するための、請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載されたラミネート(20、40)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−511298(P2009−511298A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534898(P2008−534898)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009567
【国際公開番号】WO2007/042174
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(504313044)アルカン テヒノロギー ウント メーニッジメント リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN TECHNOLOGY & MANAGEMENT LTD.
【住所又は居所原語表記】Badische Bahnhofstrasse 16, CH−8212 Neuhausen am Rheinfall, Switzerland
【Fターム(参考)】