説明

ブリスター容器

【課題】カバー部材の収納凹部の形成位置や形状に拘わらず、自立させることができるブリスター容器を提供する。
【解決手段】ブリスター容器1は、シート材の面内の一部分を凸状に変形させることによって、商品を収納する収納凹部5と前記収納凹部5の開口縁の周囲から延出されたフランジ部6とが形成されているカバー部材2と、前記フランジ部の裏面に添付され且つ前記収納凹部の開口を閉塞する閉塞シート3と、を有し、前記カバー部材のフランジ部の下縁6aを設置面上に置いたときにブリスター容器が自立するように、前記フランジ部の両側部61,62が、収納凹部の開口縁よりも収納凹部の突出面55側に曲げられた部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立させて陳列できるブリスター容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品などの各種商品を包装する容器として、ブリスター容器が知られている。
ブリスター容器は、一般に、商品を収納可能な収納凹部が形成されたカバー部材と、前記カバー部材の収納凹部に対応する開口を塞ぐ閉塞シートと、を有し、前記カバー部材が、合成樹脂製透明シート材の成形品からなり、カバー部材及び閉塞シートの上部には、両者に貫通する吊下げ用孔が形成されている。
かかるブリスター容器は、商品を収納した包装体の態様で、前記吊下げ用孔を介して吊り下げて陳列される。
【0003】
また、吊下げ陳列のみならず、自立させて陳列できるブリスター容器も知られている。 例えば、特許文献1には、透明カバーと台紙によって構成されており、前記透明カバーに、第1及び第2の物品収容部が形成され、第1及び第2の物品収容部の底面に、接地部が形成されているブリスター容器が開示されている。
しかしながら、このブリスター容器は、透明カバーの底縁が台紙の底縁に略一致しているため、透明カバーの底縁が台紙に対して接着し難く、両底縁の間に隙間が生じる虞があるという問題点がある。このように隙間が生じると、物品収容部内の物品が不正に取り出される虞がある。
さらに、上記特許文献1のブリスター容器は、物品収容部の底面に接地部を形成しているため、物品収容部の形成位置が、下方に限定されるという問題点もある。
【0004】
また、特許文献2には、収納部及びその周囲にフランジ部を有する容器本体と、容器本体のフランジ部に接着された蓋体と、からなり、前記収納部の1つの側壁が下方に傾斜されているブリスター容器が開示されている。
かかるブリスター容器は、下方に傾斜した前記側壁の縁部と蓋体の下端縁とを設置面上に置くことによって、自立可能である。
特許文献2のブリスター容器は、収納部の周囲全体にフランジ部が形成されているので、該フランジ部と蓋体を面接着することにより、上記特許文献1のような、隙間が発生しない。
しかしながら、かかるブリスター容器は、自立させるために、収納部の側壁を傾斜状に成形しなければならない。かかる傾斜状の側壁を有する収納部は、成形困難である上、成形後、スタッキングして保管できない。前記スタッキングとは、複数の容器本体を重ね合わせて省スペース化を図ることである。
【0005】
さらに、特許文献3には、紙が積層されたフランジ部を加熱して紙側へと折り曲げることにより、内容物充填部位とは反対側(紙側)に自立補助部が形成されたブリスター容器が開示されている。
しかしながら、かかるブリスター容器は、内容物充填部位内に商品などを入れ且つフランジ部に紙を積層した後、該フランジ部を熱加工で折り曲げなければならないので、容易に製造できない。また、自立補助部が内容物充填部位とは反対側に出ているので、特許文献3のブリスター容器は、全体として嵩張り、1つの梱包箱内に詰める個数も少なくなる。さらに、特許文献3のブリスター容器は、自立補助部だけで自立させることは困難であり、自立補助部と内容物充填部位の下面とが一体となった自立面を形成しなければならない。このため、内容物充填部位の形成位置が、下方に限定されるという問題点もある。
【0006】
さらに、上記特許文献1〜3のブリスター容器は、流通時、外側から収納凹部に異物が当たることによって収納凹部が変形する結果、商品価値を損ねるという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−138847号公報
【特許文献2】実開平2−83271号公報
【特許文献3】特開2002−104504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、カバー部材と閉塞シートの間に隙間を生じず、且つカバー部材の収納凹部の形成位置や形状に拘わらず、自立させることができるブリスター容器を提供し、併せて収納凹部の変形を防止できるブリスター容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブリスター容器は、シート材の面内の一部分を凸状に変形させることによって、商品を収納可能な収納凹部と前記収納凹部の開口縁の周囲から延出されたフランジ部とが形成されているカバー部材と、前記フランジ部の裏面に添付され且つ前記収納凹部の開口を閉塞する閉塞シートと、を有し、前記カバー部材のフランジ部の下縁を設置面上に置いたときに、ブリスター容器が自立するように、前記フランジ部の両側部が、収納凹部の開口縁よりも収納凹部の突出面側に曲げられた部分を有する。
好ましくは、前記収納凹部の下面部が前記フランジ部の下縁から上方に離れて形成されている。
【0010】
上記ブリスター容器は、収納凹部内に商品を収納した後、カバー部材のフランジ部の下縁を設置面上に置くことによって、自立させることができる。
本発明のブリスター容器の自立性は、フランジ部の両側部を収納凹部の突出面側に曲げることによって達成できる。このため、本発明では、収納凹部を下方側に寄せて形成する必要性はなく、又、収納凹部の一部分を傾斜状に形成する必要性もない。さらに、収納凹部の形成位置が下方に限定されないので、収納凹部の下面部をフランジ部の下縁から離して形成でき、例えば、収納凹部の周囲全体からフランジ部を延設できる。このため、本発明のブリスター容器は、収納凹部の開口縁の周囲から延出されたフランジ部に、閉塞シートを添付できるので、カバー部材と閉塞シートの間に、不正に商品を取り出すことができるほどの隙間が生じない。
さらに、本発明のブリスター容器は、フランジ部の両側部が収納凹部の突出面側に曲げられているので、自立安定性に優れている。具体的には、収納凹部内に商品が入れられた後のブリスター容器は、重心が収納凹部の突出面側に偏るため、収納凹部側に倒れやすい。この点、本発明のように、フランジ部の両側部が収納凹部の突出面側に曲げられていることにより、商品収納後のブリスター容器は、収納凹部側に倒れ難くなり、優れた自立安定性を有する。
また、フランジ部の両側部が収納凹部の突出面側に曲げられていることにより、出っ張り部分(フランジ部の両側部及び収納凹部)が、一方の面に集約される。このため、本発明のブリスター容器は、フランジ部の両側部を折り曲げているにも拘わらず、全体として嵩張らず、省スペース化を図ることができる。
【0011】
本発明の好ましいブリスター容器は、前記フランジ部の両側部の少なくとも一方の側部の先端が、前記収納凹部の突出面よりも外側に位置している。
かかる好ましいブリスター容器は、自立安定性に特に優れている上、収納凹部の両側にフランジ部の両側部が位置しているため、この両側部が防御壁の如く機能して、収納凹部に異物が当たることを防止できる。このため、上記好ましいブリスター容器は、流通時に、収納凹部が変形し難い。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブリスター容器は、カバー部材と閉塞シートの間に隙間を生じず、カバー部材の収納凹部の形成位置や形状に拘わらず、安定的に自立させることができる。かかるブリスター容器は、吊下げ陳列だけでなく、自立させて陳列販売することもできる。
さらに、本発明の好ましいブリスター容器は、異物が収納凹部に当たることを防止できる。このため、流通時に収納凹部が変形し難く、商品価値の高いブリスター容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】1つの実施形態に係るブリスター容器の正面図。
【図2】同底面図。
【図3】同右側面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】1つの実施形態に係るカバー部材の斜視図。
【図6】他の実施形態に係るカバー体の斜視図。
【図7】更なる他の実施形態に係るカバー部材の斜視図。
【図8】更なる他の実施形態に係るカバー部材の斜視図。
【図9】更なる他の実施形態に係るカバー部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、方向を示す用語として、「上」及び「下」は、ブリスター容器を自立させた状態を基準とする。
【0015】
図1〜図4において、1は、本発明のブリスター容器を示す。
ブリスター容器1は、シート材の成形品からなるカバー部材2と、カバー部材2のフランジ部6に添付される閉塞シート3と、を有する。
カバー部材2は、シート材の面内の一部分を凸状に変形させることによって得られる。カバー部材2には、シート材を凸状に変形させることによって商品を収納可能な収納凹部5が形成されており、その収納凹部5の開口縁の周囲には、フランジ部6が延出されている。
前記カバー部材2の収納凹部5と閉塞シート3の間に、商品Aが収納される。
ただし、図4にのみ、商品Aを二点差線で表している。
収納する商品Aは、特に限定されない。本発明のブリスター容器1は、化粧品、医薬品、食品、乾電池、おもちゃ、文房具、電子機器類、建築部品などの従来公知の各種商品を収納できる。
【0016】
具体的には、カバー部材2は、フランジ部6と、フランジ部6の面内においてその表面側に凸状に突設された収納凹部5と、を有する。
カバー部材2は、例えば、合成樹脂製シート材から形成されている。前記合成樹脂製シート材の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。前記カバー部材2は、透明性に優れたシート材を用いることが好ましいが、透明性が損なわれない範囲で、着色されていてもよい。また、カバー部材2の表面又は裏面の一部には、所望の印刷が施されていてもよいし、或いは、表示ラベルが貼付されていてもよい。
前記シート材の厚みは特に限定されず、通常、厚み200μm〜1000μm程度のシート材が用いられる。
【0017】
カバー部材2には、図5にも示すように、外側へ突出した収納凹部5が形成されている。この収納凹部5は、平坦面状のシート材の面内の一部分を凸状にシート成形することによって形成できる。
シート成形は、真空成形、圧空成形、プレス成形などの従来公知の成形法で行えばよい。
【0018】
収納凹部5は、上面部51及び下面部52と、上下面部51,52の間に連設された両側面部53,54と、上下面部51,52の各外端縁及び両側面部53,54の各外端縁に連設され且つ外向きに膨らんだ湾曲面からなる突出面55と、を有する凹形状である。この収納凹部5をカバー部材2から除いた残りの部分が、上記フランジ部6である。
図4に示すように、上下面部51,52の各内端縁51a,52a及び両側面部53,54の各内端縁53aによって、収納凹部5の開口縁が形成されている。収納凹部5を基準にして、前記開口縁の周囲から径外方向(開口縁から離れる方向)にフランジ部6が延設されている。上下面部51,52は、フランジ部6に対して略直交状に形成され、両側面部53,54もフランジ部6に対して略直交状に形成されている。上面部51は、フランジ部6の上縁から下方に離れており、下面部2は、フランジ部6の下縁6aから上方に離れている。
収納凹部5の大きさ(上下面部51,52、両側面部53,54及び突出面55で区画される空間の容積)は、商品Aを収納できる程度であれば特に限定されず、商品Aに応じて任意に設定される。
【0019】
フランジ部6は、全体として湾曲状に曲げられている。このため、フランジ部6の下縁6aの底面視形状は、湾曲状(弧状とも言う)である。なお、底面視形状とは、図2のように、カバー部材を底面側から見た形状を言う。
具体的には、フランジ部6は、収納凹部5が設けられた部分を基準にして、フランジ部6の両側部61,62が収納凹部5側に曲げられている(つまり、フランジ部6は、幅方向に湾曲している)。換言すると、フランジ部6は、その下縁6aを含む両方の側部61,62が、収納凹部5の開口縁よりも収納凹部5の突出面55側に曲げられている。
このようにフランジ部6の両側部61,62が、収納凹部5の開口縁よりも収納凹部5の突出面55側に曲げられた部分を有することにより、フランジ部6の下縁6aを設置面上に置いた状態で、ブリスター容器1を安定的に自立させることができる。
従来のブリスター容器のカバー部材においては、収納凹部の開口縁を含む平面上に、全体的に平坦面とされたフランジ部が形成されている。この点、本発明のブリスター容器1のカバー部材2は、フランジ部6の両側部61,62が曲げられているので、フランジ部6の下縁6aを設置面上に置くことにより、当該設置面上に自立し得る。
【0020】
また、フランジ部6の両側部61,62のうち少なくとも何れか一方の側部の先端が、収納凹部5の突出面55よりも外側に出た位置となるように、前記フランジ部6が形成されていることが好ましい(図4参照)。特に、両側部61,62のそれぞれの先端61a,62aが、収納凹部5の突出面55よりも外側に位置していることが好ましい。この場合、ブリスター容器1を下方から見たときに(図2参照)、収納凹部5は、フランジ部6の下縁6aと、前記両先端61a,62aを結んだ仮想線とによって区画される領域内に含まれる。
収納凹部5の開口縁から延出されるフランジ部6の一方の側部61の先端61a(好ましくは、両側部61,62の先端61a,62a)が、収納凹部5の突出面55を越えることにより、特に自立安定性に優れたブリスター容器1(カバー部材2)を提供できる。
さらに、収納凹部5の両側にフランジ部6の両側部61,62が位置しているため、この両側部61,62が収納凹部5を守る防御壁の如く機能を発揮して、収納凹部に異物が当たることを防止できる。このため、流通時に、収納凹部が変形し難いブリスター容器1を提供できる。
【0021】
本実施形態のように、フランジ部6の下縁6aを含むフランジ部6の全体が湾曲状に形成されている場合、その曲率は特に限定されず、収納凹部5の大きさやフランジ部6の幅などに応じて任意に設定できる。収納凹部5内に商品Aを入れたカバー部材2に閉塞シート3を添付したブリスター容器1について、そのカバー部材2のフランジ部6の下縁6aを設置面上に置いたときに、前記ブリスター容器1が自立するように、フランジ部6の下縁6aの湾曲度合いを適宜設定すればよい。
なお、フランジ部6は、製造し易く且つ外観も良好であることから、その全体が湾曲状に曲げられていることが好ましいが、これに限定されない。例えば、フランジ部6は、フランジ部6の下方側が湾曲状に曲げられ且つフランジ部6の上方側に向かうに従い平坦状に形成されていてもよい。このような形状のフランジ部6であっても、その下縁6aを設置面上に置くことにより、ブリスター容器1は自立し得る。
もっとも、収納凹部5を異物から保護するためには、フランジ部6の側部61,62は、その上下方向全体において略同じように曲げられていることが好ましい。
【0022】
閉塞シート3は、前記カバー部材2の収納凹部5の開口を閉塞するために、カバー部材2のフランジ部6の裏面に添付されている。本実施形態では、閉塞シート3は、カバー部材2のフランジ部6の周縁形状と略同じ形状(大きさ)に形成されている。
前記閉塞シート3は、カバー部材2のフランジ部6の裏面に面接着されていてもよいし、カバー部材2のフランジ部6の裏面と接着しないでフランジ部6に付けられていてもよい。閉塞シート3を接着しないでカバー部材2のフランジ部6に付ける方法としては、例えば、(1)フランジ部6の裏面に閉塞シート3を重ねた後、粘着テープで両者を留める、(2)カバー部材2のフランジ部6の周縁部を180度(ヘアピン状に)折り曲げることによって、閉塞シート3の周縁部を挿入保持する係止溝部を形成し、この係止溝部に閉塞シート3を保持することによって閉塞シート3をフランジ部6に付ける、などが挙げられる。
【0023】
本実施形態の閉塞シート3は、粘着剤を介して、カバー部材2のフランジ部6に接着されている。かかる閉塞シート3は、ベースシート31と、ベースシート31の一面に形成された粘着剤層32と、を有する。
ベースシート31は、柔軟性を有していれば特に限定されず、例えば、厚紙、合成紙、合成樹脂製シートなどの単層シート、及びこれらの積層シート、並びにこれらシートに他の機能層(金属蒸着層など)が積層された積層シートなどが挙げられる。なお、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれているものを含む意味である。
ベースシート31としては、好ましくは厚紙、厚紙を含む積層シート、合成樹脂製シート、又は、合成樹脂製シートを含む積層シートが用いられる。具体的には、ベースシート31は、例えば、厚み0.5mm〜1.5mm程度の厚紙若しくはその積層シート、又は、厚み0.3mm〜0.8mm程度の合成樹脂製シート若しくはその積層シートが好ましい。これらのベースシートは、適度な柔軟性を有し、フランジ部6の形状に沿って、フランジ部6の裏面に容易に接着し得る。
なお、ベースシート31には、通常、商品名、絵柄、商品説明などの意匠印刷が施される。
【0024】
粘着剤層32は、カバー部材2のフランジ部6に対応する部分に少なくとも設けられていればよい(図4参照)。粘着剤としては、常温で粘着性を示す感圧型粘着剤、常温で粘着性を示さず且つ加熱することによって粘着性を発揮する感熱型粘着剤などを用いることができる。感圧型粘着剤は、接着時に加熱する必要がないので、カバー部材に熱変形を生じさせる虞がない。従って、感圧型粘着剤を使用すれば、耐熱性の低い材料を用いてカバー部材を形成することも可能である。また、感圧型粘着剤は、剥離後再貼付することも可能である。このような理由から、粘着剤層32は、感圧型粘着剤で形成されていることが好ましい。
【0025】
なお、粘着剤層32は、カバー部材2の収納凹部5の開口側に対応する部分にも設けられていてもよい(図4において、収納凹部の開口を符号5aで示す)。開口側に対応する部分に粘着剤層32を設けることにより、収納した商品Aが前記粘着剤層32に部分接着される。従って、収納した商品Aが閉塞シート3によって接着保持されるため、商品Aの位置ずれを防止できる。かかる位置ずれ防止により、商品Aの正面(商品名などが表示されている面)を、カバー部材2を通じて消費者に確実に見せることができる。
【0026】
また、上記閉塞シート3は、ベースシートの全面に粘着剤層を設け且つこの粘着剤層上の所定範囲に隠蔽層を設けることによって、形成することもできる(図示せず)。隠蔽層は、粘着剤の粘着力を隠蔽するための層である。隠蔽層は、例えば、粘着剤層の一面の所定範囲に、印刷インキの塗工又はフィルムの貼り付けなどを行うことにより形成できる。隠蔽層が設けられた所定範囲は、粘着剤が露出しなくなるので、接着予定箇所を除いて、隠蔽層を設けることにより、上記閉塞シート3を容易に得ることができる。
【0027】
上記ブリスター容器1は、次のようにして使用される。
カバー部材2の開口から収納凹部5内に、商品Aを入れた後、閉塞シート3で前記開口を塞ぎながら、閉塞シート3をフランジ部6に接着する。このようにして、収納凹部5と閉塞シート3で区画される閉空間内に、商品Aが収納されたブリスター容器1が得られる。
本発明のブリスター容器1は、カバー部材2のフランジ部6の下縁6aを設置面上に置いて使用される。カバー部材2のフランジ部6の両側部61,62が収納凹部5の突出面55側に曲げられているので、ブリスター容器1は、前記フランジ部6の下縁6aを設置面上に置くことによって、安定的に自立し得る。すなわち、収納凹部5内に商品Aが入れられた後のブリスター容器1は、重心が収納凹部5の突出面55側に偏るため、収納凹部側に倒れやすい。しかしながら、上述のように、フランジ部6の両側部61,62が収納凹部5の突出面55側に曲げられていることにより、商品収納後のブリスター容器1は、収納凹部側に倒れ難くなる。このため、自立安定性に優れたブリスター容器1を提供できる。さらに、フランジ部6の両側部61,62の先端61a,62aが、収納凹部5の突出面55よりも外側に位置しているので、特に自立安定性に優れている。
【0028】
このようにフランジ部6の両側部61,62を曲げることによってブリスター容器1が自立するため、上記収納凹部5を下方側に寄せて形成する必要性はなく、又、収納凹部5の一部分を傾斜状に形成する必要性もない。また、収納凹部5の形成位置が下方に限定されないので、収納凹部5の下面部52をフランジ部6の下縁6aから離して形成することができ、例えば、収納凹部5の開口縁の周囲全体からフランジ部6を延設することもできる。この開口縁の周囲全体において、閉塞シート3をフランジ部6の裏面に所定幅接着することにより、収納凹部5と閉塞シート3によって閉空間を形成できる。本発明のブリスター容器は、前記閉空間に商品Aが収納されており、前記商品Aが不正に取り出されるおそれがない。
【0029】
また、上記ブリスター容器1は、フランジ部6の両側部61,62が収納凹部5の突出面55側に曲げられているので、出っ張り部分(フランジ部の両側部及び収納凹部)が、フランジ部の表面側に集約される。このため、フランジ部6の裏面側(収納凹部5とは反対側)に出っ張りが生じず、より多くのブリスター容器1を、梱包箱内に詰めることが可能となる。
なお、フランジ部6の両側部61,62が収納凹部5側に曲げられたカバー部材2は、閉塞シート3を添付する前、その複数個をスタッキングして保管することもできる。
【0030】
次に、本発明のブリスター容器の他の実施形態を説明する。
ただし、他の実施形態の説明において、上記実施形態のブリスター容器の各部と同一の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0031】
上記実施形態において、閉塞シート3は、カバー部材2のフランジ部6の周縁形状と略同じ形状(大きさ)に形成されているが、閉塞シート3は、フランジ部6の周縁形状よりも小さい形状でもよいし、或いは、大きい形状でもよい。閉塞シート3がフランジ部6の周縁形状よりも小さい場合、この閉塞シート3は、収納凹部5の開口縁の形状よりも大きく、且つフランジ部6の周縁形状よりも小さく形成されていれば、収納凹部5の開口を塞ぐことができる。他方、閉塞シート3がフランジ部6の周縁形状よりも大きい場合、閉塞シート3をフランジ部6に添付したときに、フランジ部6の周縁全体又は周縁の一部から、閉塞シート3の周縁部全体又は周縁部の一部が舌状に延出される。
【0032】
また、上記実施形態において、フランジ部6は、全体として湾曲状に曲げられている又は少なくともフランジ部6の下方側が湾曲状に曲げられているが、フランジ部6は、湾曲状に限られない。フランジ部6の下縁6aを設置面上に置いたときにブリスター容器が自立するように、フランジ部6の両側部61,62が、収納凹部5の突出面55側に曲げられていればよい。
【0033】
例えば、図6に示すカバー部材2のフランジ部6は、収納凹部5の開口縁の周囲全体から延設された平坦状のフランジ本体611と、収納凹部5の開口縁よりも収納凹部5の突出面55側に曲げられ且つフランジ本体611の表面に対して所定角で折り曲げられた両側部61,62と、を有する。このフランジ部6の両方の側部61,62の、フランジ本体611に対するそれぞれの折れ曲がり角度αは、好ましくは40度〜140度であり、より好ましくは60度〜140度であり、特に好ましくは90度を超え140度以下である。前記角度αが90度を超え140度以下である場合、カバー部材2をスタッキングして保管することができる。
図6に示すフランジ部6の両側部61,62は、フランジ本体611に対して略直角に折り曲げられている。
【0034】
また、図6に示すフランジ部6の両側部61,62のうち少なくとも何れか一方の側部61,62の先端61a,62aが、収納凹部5の突出面55よりも外側に出るように形成されていることが好ましい。上記実施形態と同様に、フランジ部6の下縁6aを載置面上に置いたときに、ブリスター容器1をより安定的に自立させることができる上、収納凹部5の変形を防止できるからである。
【0035】
また、図7に示すカバー部材2のフランジ部6は、全体が波形状に湾曲されている。波形の数は特に限定されず、通常、2〜3個である。カバー部材2が波形状に形成される場合、フランジ部6の両側部61,62は、収納凹部5の開口縁よりも収納凹部5の突出面55側に曲げられた部分を有する。また、上記実施形態と同様の効果を奏することから、両側部61,62のうち少なくとも何れか一方の側部61,62(より好ましくは両側部)の先端61a,62aが、収納凹部5の突出面55よりも外側に出るように形成されていることが好ましい。
【0036】
図8に示すカバー部材2のフランジ部6は、全体が山型状に屈折されている。このフランジ部6は、収納凹部5を挟んだ一対の平坦状のフランジ片621,622が、互いの側縁で所定の結合角を以て接合されることにより、山型状に形成されている。前記結合角は、特に限定されないが、好ましくは鈍角であり、より好ましくは100度〜160度である。フランジ部6が山型状に形成されている場合も、フランジ部6の両側部61,62は、収納凹部5の開口縁よりも収納凹部5の突出面55側に曲げられた部分を有する。また、上記実施形態と同様の効果を奏することから、両側部61,62のうち少なくとも何れか一方の側部61,62(より好ましくは両側部)の先端61a,62aが、収納凹部5の突出面55よりも外側に出るように形成されていることが好ましい。
【0037】
図9に示すカバー部材2は、フランジ部6の両側部61,62の下方側が収納凹部5の突出面55側に曲げられていると共に、両側部61,62の上方側がフランジ部6の下縁6aから上方に向かうに従い徐々に平坦状となり、上縁の上面視形状が直線状に形成されている。フランジ部6の両側部61,62は全体が曲げられておらず、両側部61,62の少なくとも下方側が収納凹部5側に曲げられていれば(下縁6aの底面視形状が非直線状)、ブリスター容器1は自立し得る。
【0038】
また、上記各実施形態においては、フランジ部6の略中央部に収納凹部5が形成されているが、収納凹部5は、フランジ部6の任意の位置に設けられる。例えば、収納凹部5は、フランジ部6の一方の側部61寄りに形成されていてもよいし、或いは、フランジ部6の上縁又は下縁6a寄りの位置に形成されていてもよい。
また、上記各実施形態では、収納凹部5の突出面55が、湾曲面とされているが、例えば、図9に示すように、収納凹部5の突出面55は、平坦面とされていてもよい。その他、収納凹部5の形状は、任意に設定できる。
【0039】
上記各実施形態のブリスター容器1において、フランジ部6及び閉塞シート3の面内の上方部に、両者を貫通する吊下げ孔が穿設されていてもよい。
このようなブリスター容器1は、吊下げ陳列、及び、自立陳列の何れの用途でも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のブリスター容器は、各種商品Aの包装容器として利用できる。ブリスター容器に商品Aが収納されたブリスター容器は、ハンガー棒に吊り下げて陳列販売できる。
【符号の説明】
【0041】
1…ブリスター容器、2…カバー部材、3…閉塞シート、5…収納凹部、6…フランジ部、6a…フランジ部の下縁、61,62…フランジ部の側部、61a,62a…フランジ部の側部の先端、A…商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の面内の一部分を凸状に変形させることによって、商品を収納可能な収納凹部と前記収納凹部の開口縁の周囲から延出されたフランジ部とが形成されているカバー部材と、前記フランジ部の裏面に添付され且つ前記収納凹部の開口を閉塞する閉塞シートと、を有するブリスター容器において、
前記カバー部材のフランジ部の下縁を設置面上に置いたときに、ブリスター容器が自立するように、
前記フランジ部の両側部が、収納凹部の開口縁よりも収納凹部の突出面側に曲げられた部分を有することを特徴とするブリスター容器。
【請求項2】
前記フランジ部の両側部の少なくとも一方の側部の先端が、前記収納凹部の突出面よりも外側に位置している請求項1に記載のブリスター容器。
【請求項3】
前記収納凹部の下面部が、前記フランジ部の下縁から上方に離れている請求項1又は2に記載のブリスター容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−79561(P2011−79561A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234707(P2009−234707)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】