説明

ブレーカ装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電気自動車の電源回路等に介設して用いられるブレーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、従来のナイフスイッチ型に比べて安全性に優れ、かつ全体がコンパクトにまとまるブレーカ装置として、特願平8−77133号に記載のものを提案した。このものは、図16ないし図19に示すように、ケーシングa内に一対の固定電極bが設けられる一方、両固定電極bに抜き差しされる可動電極cにハンドルdが傾倒可能に設けられており、ハンドルdを立てた状態で可動電極cを固定電極bに差し込み、差し込みが完了したらハンドルdを倒す構造であって、導通路がケーシングa内に収められているために安全性に優れ、またハンドルdを傾倒できるので装置全体がコンパクトにまとまるというものである。
【0003】さらには、図16に示すように、ハンドルdの傾倒軸eに摺動子fが設けられる一方、ケーシングaにその摺動子fが嵌合されるガイド溝gが形成されていて、そのガイド溝gは、図17に示すように、ハンドルdの差し込み動作時には摺動子fの摺動のみを案内でき、固定電極bと可動電極cが正規に嵌合された差し込み完了時には、図18,19に示すように、摺動子fの回動を許容してハンドルdの傾倒を許容する傾倒許容部hが設けられた構造となっている。かかる構造により、両電極b,cが正規に嵌合されない限りはハンドルdを倒すことができないので、両電極b,cが半嵌合状態に止め置かれることが防止できるという優れた特徴を有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構造のものにおいて可動電極cを引き抜く場合は、図19の傾倒姿勢にあるハンドルdを図18のように起こし、摺動子fをガイド溝gに摺動させつつ引き抜くことになるが、まず摺動子fの姿勢をガイド溝gに正確に合わせる必要がある。具体的には、ハンドルdを起こして引っ張りつつ摺動子fをガイド溝gに臨ませて位置合わせをすることになるが、ハンドルdの引っ張り操作は両電極b,cの嵌合摩擦力に抗して行わねばならないので、位置合わせの作業が結構面倒であるという問題があり、さらなる改良が切望されていた。本発明は、このような要望に応えるべく完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るブレーカ装置は、ケーシング内に設けられた一対の固定電極と、両固定電極に抜き差しされて両固定電極間を切断または接続する可動電極と、その可動電極に傾倒可能に設けられた抜き差し操作用のハンドルとを備え、前記ハンドルとケーシングとの間には、摺動子と、ハンドルの差し込み動作に伴う前記摺動子の相対的摺動のみを案内するガイド溝とが設けられ、かつそのガイド溝には、前記両電極が正規に嵌合される差し込み完了時において前記摺動子の相対的変位を許容して前記ハンドルの傾倒を許容する傾倒許容部が設けられたものであって、前記ハンドルが前記可動電極に対してその可動電極の抜き差し方向に遊動可能に設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0006】請求項2の発明は、請求項1の発明において、ハンドルと可動電極のいずれか一方に固定された傾倒軸が、いずれか他方に設けられた長孔に嵌合されることで前記ハンドルが遊動可能とされている構成としたところに特徴を有する。請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ハンドルと可動電極との間には、両者のがたつきを防止すべく弾性保持手段が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用および効果】
<請求項1の発明>可動電極の引き抜き操作を行う場合には、ハンドルを傾倒姿勢から起立させ、ハンドルを引っ張って摺動子をガイド溝に臨ませつつ位置合わせする。その場合、ハンドルは可動電極に対して遊動可能となっているので、固定電極と可動電極とを嵌合させたまま、ハンドルを単体で引っ張ることができ、小さい力でもって摺動子の位置合わせをすることができる。位置合わせができたら、摺動子をガイド溝に通しつつ両電極の嵌合摩擦力に抗してハンドルを引き抜けばよい。すなわち本発明によれば、ハンドルの引き抜き操作に先だって摺動子をガイド溝に位置合わせする作業を簡単に行うことができる。
【0008】<請求項2の発明>傾倒軸が長孔内を相対的に移動することで、ハンドルの可動電極に対する遊動が許容される。
<請求項3の発明>ハンドルと可動電極の間のがたつきが防止されるので、差し込み操作を円滑に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>図1ないし図11によって本発明の第1実施形態を説明する。図1ないし図3において、符号1は合成樹脂製のケーシングであって、下ケーシング2と上ケーシング3とから構成されている。下ケーシング2は、有底で平面略長方形の筒状に形成され、その底面4がほぼ中央深さ部分まで迫り上がって形成されているとともに、下端部の外周面に取り付け用のフランジ5が形成され、四隅に設けられた取付孔6からねじをねじ込んで図示しない車体上に取り付けられるようになっている。一方の上ケーシング3は、下ケーシング2の上端部に被着される蓋状に形成されており、その上面に設けられた挿入孔に通したねじ8を、下ケーシング2の上端面に設けられたねじ孔に螺合して締め付けることで、着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0010】上記した下ケーシング2内の一側(図4の手前側)には、一対の固定電極11a,11bが立設され、他側にはヒューズ12が収容されるようになっている。固定電極11a,11bを立てるために、下ケーシング2の底面4には、図2に示すように、一対の雌ねじ体13がインサート成形により所定の間隔を隔てて埋設されている。固定電極11a,11bはピン状に形成され、長さ方向の中央に六角部15が形成されているとともに、下端側には雄ねじ16が切られている。すなわち、各固定電極11a,11bは、それぞれの雄ねじ16を雌ねじ体13にねじ込むことで立設されている。
【0011】一方の固定電極11a(図2の左側)には、図4にも示すように、電線xの一方の分断部分に接続された端子金具18が共締めされて固定されている。その電線xは、底面4に開口された挿通孔19を通して外部に引き出されている。また他方の固定電極11bには、後記するようにヒューズ12の一端と接続されたバスバー20が、同じく共締めされて固定されている。下ケーシング2の底面4の他側には上記のようにヒューズ12が収容されている。ヒューズ12の両端にはそれぞれ接続片23,24が突設されており、一方の接続片23には、電線xの他方の分断部分に接続された端子金具26がボルト27で締め付けられて固定されている。その電線xは、底面4に開口された上記と同様の挿通孔(図示せず)を通して外部に引き出されている。なお両挿通孔19には、電線xの外周に設けられた防水ゴム栓29が嵌められてシールされている。またヒューズ12の他方の接続片24には、上記のバスバー20の一端が直交姿勢においてボルト27で締め付けられて固定され、その他端が既述のように固定電極11bに共締めされて固定されている。
【0012】上記した一対の固定電極11a,11bには、可動電極31が抜き差し可能とされている。この可動電極31は、図2に示すように、各固定電極11a,11bの先端がそれぞれに嵌合可能な一対のルーバ端子32a,32bの間に、架橋部33が差し渡されて接続された構造である。そして可動電極31は、合成樹脂製の細長い取付体35に対して、インサート成形によって各ルーバ端子32a,32bを下面から突出させた状態で設けられている。各ルーバ端子32a,32bは、図6R>6に示すようにその付け根部分が拡径されていて、その拡径部47の外周にシールリング48が嵌着されている。
【0013】一方、上ケーシング3の天井面における各固定電極11a,11bの直上位置には、可動電極31の両ルーバ端子32a,32bをそれぞれに挿入可能とする一対の挿入孔36が開口されている。各挿入孔36は、その入り口側がルーバ端子32a,32bの拡径部47が嵌合される拡径部36aとなった段付き状に形成されている。すなわち、可動電極31の各ルーバ端子32a,32bが、挿入孔36を通してケーシング1内の一対の固定電極11a,11bに抜き差しされ、これにより両固定電極11a,11bの間を切断または接続するブレーカスイッチ38が構成されており、各ルーバ端子32a,32bと対応する挿入孔36との間は、シールリング48によってシールされるようになっている。また上記したヒューズ12は、電線xの途中においてブレーカスイッチ38と直列に接続されて設けられたことになる。
【0014】可動電極31の取付体35の上面側には、その抜き差しの操作を行うためのハンドル40が設けられている。このハンドル40は、外形が逆台形をなす枠状に形成されている。取付体35の上面の長さ方向の両端部には軸受部41が突設されている一方、ハンドル40の取付側の端縁には、上記の軸受部41が嵌合される一対の嵌合凹部43が形成されている。このハンドル40の取付端縁には、上記の両嵌合凹部43を貫通し、かつ左右両端面に開口するようにして軸受孔44が形成されている。一方、取付体35の両軸受部41には、図5に示すように上下方向の長孔42が形成されている。
【0015】そして、ハンドル40の両嵌合凹部43の間に取付体35の軸受部41を差し入れ、軸受孔44並びに両長孔42にわたって支持軸45を挿入することによって、ハンドル40が取付体35の上面側で支持軸45回りの揺動自由に支持され、かつ支持軸45を長孔42内で相対的に移動させつつ、ハンドル40が取付体35に対して上下動可能となっている。また、ハンドル40における支持軸45の挿通部分の両外側面には、図6にも示すように、それぞれ正面方形をなす摺動突部70が所定寸法突出して形成されている。この摺動突部70には支持軸45の挿通孔71が上記の軸受孔44と同心に形成されている。
【0016】一方、上ケーシング3の上面には、ハンドル40が差し込まれる位置の左右両側において一対のガイド柱73が立設されており、各ガイド柱73には、ハンドル40の差し込み動作に伴って上記の摺動突部70が挿入案内されるガイド溝74が形成されている。このガイド溝74は、図6に示すように、上端が開口した縦向きに形成されており、上端側には上記した摺動突部70が回動不能で摺動のみが自由に嵌まる直線部75が形成され、その下端には、略円形に拡幅されて摺動突部70が支持軸45回りに回動することを許容する回動許容部76が形成されている。
【0017】そしてハンドル40の差し込みが行われて、可動電極31が固定電極11a,11bに嵌合し始めると、可動電極31が嵌合抵抗を受けることでハンドル40が取付体35側に接近した状態となって取付体35を押し込み、その間に摺動突部70がガイド溝74の直線部75に入り始め、可動電極31が固定電極11a,11bに正規に嵌合されて差し込みが完了すると、摺動突部70が回動許容部76に至る設定となっている。
【0018】なお、上ケーシング3の天井面におけるヒューズ12の収容部分と対応する部分には、図1,3に示すように受け台60が設けられ、その受け台60上にそれぞれL字形の受け具61が取り付けられており、可動電極31が固定電極11a,11bに正規に差し込まれて、ハンドル40が傾倒位置に倒された場合に、ハンドル40の両側縁の略中央部を嵌めつつ受けるようになっている。また、ハンドル40の両側縁の外面側には、マグネット63が対称位置に嵌着されている。一方上ケーシング3の天井面にはリードスイッチ65が取り付られており、このリードスイッチ65は、可動電極31が固定電極11a,11bに正規に差し込まれて、ハンドル40が傾倒位置に倒された場合に、一方のマグネット63の直前に対応するように設けられ、マグネット63が直前に来た場合に検知信号を送出し得るようになっている。リードスイッチ65は、上ケーシング3の側面にブラケット66により取り付けられたコネクタ67を介して、図示しない制御用コンピュータに接続されている。
【0019】本第1実施形態は上記のような構造であって、続いてその作用を説明する。ケーシング1内には一対の固定電極11a,11bが立設されるとともにヒューズ12が収容され、電線xの分断部分の間で既述した態様で接続される。電線xを導通状態とするには、図6に示すように、ケーシング1の外部においてハンドル40を起立位置に起こし、ハンドル40を持って取付体35から突設された可動電極31のルーバ端子32a,32bを上ケーシング3の挿入孔36に差し込む。
【0020】ルーバ端子32a,32bが対応する固定電極11a,11bに嵌合し始めると、嵌合抵抗を受けるために、図7に示すように、支持軸45が長孔42内で下動しつつハンドル40が取付体35側に接近し、その状態で取付体35が押し込まれる。その間に、図8に示すように、ハンドル40に設けられた摺動突部70がガイド溝74の直線部75に入り込み、その直線部75では摺動突部70の回動は阻止されるから、ハンドル40はぐらつくことなく真直に押し込まれ、ルーバ端子32a,32bが固定電極11a,11bにスムーズに嵌合される。それにより、ブレーカスイッチ38が入り、電線xがヒューズ12を介して導通されて使用状態となる。
【0021】ここで、可動電極31の両ルーバ端子32a,32bが対応する固定電極11a,11bに正規に嵌合されていれば、図9に示すように、摺動突部70がガイド溝74の直線部75を超えて回動許容部76に達し、そこでは摺動突部70の支持軸45回りの回動が許容されるので、起立していたハンドル40を、図10に示すように倒すことができる。
【0022】一方、可動電極31のルーバ端子32a,32bと固定電極11a,11bとが正規に嵌合されていない半嵌合状態では、図8のように摺動突部70は未だ直線部75に留まっていて回動不能な状態にあるから、ハンドル40を傾倒しようとしてもできない。これにより半嵌合状態にあることが検知でき、その場合は再度ハンドル40を正規位置まで押し込めばよい。
【0023】なお、摺動突部70とガイド溝74とは、左右両側に一対設けられているので、ハンドル40を左右反転させた姿勢で差し込み動作を行っても、上記と同様の作用を期することができる。また、上記のように可動電極31が固定電極11a,11bに正規に嵌合されたのち、ハンドル40を傾倒位置に倒すと、ハンドル40に設けられたマグネット63の一方がリードスイッチ65の直前に対応し、リードスイッチ65が検知信号を送出して正規にブレーカスイッチ38が入ったことが電気的に検知される。
【0024】メンテナンスを行う場合等においてブレーカスイッチ38を切る場合は、図3の実線及び図10に示す傾倒位置からハンドル40を起立位置に起こして引き上げる。その場合、ハンドル40を引き上げつつ摺動突部70をガイド溝74の直線部75の下端に位置合わせする必要があるが、支持軸45が長孔42内で上方に移動可能となっているので、固定電極11a,11bと可動電極31とを嵌合させたまま、ハンドル40を単体で引っ張ることができ、その間に小さい力でもって、図1111に示すように摺動突部70の位置合わせをしてガイド溝74の直線部75に通すことができる。そののちは、摺動突部70を直線部75に通しつつ固定電極11a,11bと可動電極31との嵌合摩擦力に抗してハンドル40を引き抜けばよい。これにより、可動電極31が固定電極11a,11bから引き抜かれ、ブレーカスイッチ38が切れて電線xが非導通状態となる。
【0025】またヒューズ12が切れた場合は、上記と同様にして可動電極31を引き抜くことでブレーカスイッチ38を切り、そののち、ねじ8を緩めて上ケーシング3を外す。そうすると、ヒューズ12が露出された状態となるので、ボルト27を緩めつつヒューズ12を外して新しいものと交換すればよい。ここでブレーカスイッチ38はすでに切られているので、安全に交換作業を行うことができる。
【0026】以上のように本実施形態のブレーカ装置によれば、ハンドル40の引き抜き操作に先だって摺動突部70をガイド溝74の直線部75に位置合わせする作業を、小さな力でもって簡単に行うことができる。
【0027】<第2実施形態>図12および図13は本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、可動電極31を初めに差し込む場合に、ハンドル40ががたつくことを防止する手段が講じられている。すなわち取付体35に設けられた軸受部41には、長孔42を挟んだ両側において装着孔80が形成され、その装着孔80内に板ばね82が装着されており、両板ばね82により支持軸45が弾性的に挟持されている。装着孔80の上面は蓋板83で塞がれている。一方、ハンドル40の引き抜き操作の初期には、既述したように、摺動突部70の位置合わせのために、支持軸45が長孔42に沿って比較的簡単に移動する必要があるので、板ばね82による挟持力は、固定電極11a,11bと可動電極31との嵌合摩擦力よりも十分に小さく設定する必要がある。その他の構造は第1実施形態と同様であって、同一機能を有する部位については同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0028】この第2実施形態によれば、板ばね82が支持軸45を挟持することによって、ハンドル40を取付体35に対して起立姿勢でがたつき無く保持することができる。そのため、ハンドル40を持って可動電極31のルーバ端子32a,32bを挿入孔36に初めに差し込む場合に、取付体35すなわち可動電極31ががたつかず、両ルーバ端子32a,32bを挿入孔36に差し込む作業がスムーズに行える。また、摺動突部70がガイド溝74に嵌まるまでのハンドル40の倒れも防止できる。ハンドル40の引き抜き操作を行う場合は、固定電極11a,11bと可動電極31とを嵌合させたまま、支持軸45を板ばね82の挟持力に抗して長孔42に沿って移動させつつハンドル40を単体で引っ張ることができ、その間に摺動突部70の位置合わせを行うことができる。
【0029】<第3実施形態>図14は本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態では、ハンドル40を傾倒可能に支持する支持軸85が角棒により形成され、かつ上記の第2実施形態と同様にその支持軸85が一対の板ばね82で挟持された構造となっている。なお、支持軸85は長孔86内で回転し得る必要がある。支持軸85が角形であると、板ばね82が支持軸85の両側の面の広い面積にわたって密着しつつ挟持することになるので、ハンドル40の取付体35に対するがたつきをより有効に防止することが可能となる。
【0030】<第4実施形態>図15は本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態では、摺動突部70aが、ハンドル40を立てた場合に縦長の姿勢を取る形状に形成されている。一方、ガイド柱73aに形成されたガイド溝74aは、縦向きの摺動突部70aを摺動のみが自由に嵌めることができる直線部75aの下端側に、その摺動突部70aが支持軸45回りに回転することを許容する回動許容部76aを形成した形状となっている。
【0031】この第4実施形態によれば、ハンドル40を差し込み操作する過程で、摺動突部70aがガイド溝74aの直線部75aに入り込んで回動が阻止されるために、ハンドル40をぐらつくことなく真直に押し込むことができ、可動電極31と固定電極11a,11bとが正規に嵌合されていれば、摺動突部70aがガイド溝74aの回動許容部76aに達して、摺動突部70aの支持軸45回りの回動を許容しつつ、ハンドル40を倒すことができる。また同様に、ハンドル40の引き抜き操作に先だって摺動突部70aをガイド溝74aの直線部75aに位置合わせする作業を、小さな力でもって簡単に行うことができる。特にこの第4実施形態では、ハンドル40を傾倒させた場合に、摺動突部70aが横向きとなってガイド溝74aの直線部75aに引っ掛かる構造であるため、ハンドル40、すなわち可動電極31の固定電極11a,11bからの抜け止めとしても機能させることができる。
【0032】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)ハンドル40を遊動可能とする手段として、上記実施形態とは逆に、ハンドル40の軸受孔44側を長孔としてもよい。
(2)また摺動突部を固定のケーシング1側に、ガイド溝を移動するハンドル40側に設けてもよく、そのような構造のものにも本発明は同様に適用することができる。
(3)本発明は、ヒューズを並設したものに限らず、ブレーカスイッチ単体のものにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のハンドルを傾倒させた状態の一部切欠平面図である。
【図2】ハンドルを立てた状態の断面図である。
【図3】ハンドルの抜き差し動作を説明するための側面図である。
【図4】ケーシングの内部構造並びにハンドルの構造を示す斜視図である。
【図5】取付体の拡大斜視図である。
【図6】ハンドルを差し込む前の状態の部分側面図である。
【図7】電極同士の嵌合の取っ掛かり状態を示す部分側面図である。
【図8】ハンドルの差し込み途中の状態の部分側面図である。
【図9】ハンドルの差し込みが完了した状態の部分側面図である。
【図10】ハンドルを傾倒した状態の部分側面図である。
【図11】ハンドルの引き抜き動作の初めの状態の部分側面図である。
【図12】第2実施形態に係る支持軸の軸受部分の構造を示す縦断面図である。
【図13】その蓋板を外した平面図である。
【図14】第3実施形態に係る支持軸の軸受部分の構造を示す縦断面図である。
【図15】第4実施形態に係るハンドルの抜き差し動作を説明するための側面図である。
【図16】従来例におけるハンドルを差し込む前の状態の部分側面図である。
【図17】そのハンドルの差し込み途中の状態の部分側面図である。
【図18】そのハンドルの差し込みが完了した状態の部分側面図である。
【図19】そのハンドルを傾倒した状態の部分側面図である。
【符号の説明】
x…電線
1…ケーシング
2…下ケーシング
3…上ケーシング
11a,11b…固定電極
31…可動電極
32a,32b…ルーバ端子
35…取付体
40…ハンドル
42…長孔
45…支持軸
70…摺動突部
73…ガイド柱
74…ガイド溝
75…直線部
76…回動許容部
82…板ばね
85…支持軸
86…長孔
70a…摺動突部
73a…ガイド柱
74a…ガイド溝
75a…直線部
76a…回動許容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシング内に設けられた一対の固定電極と、両固定電極に抜き差しされて両固定電極間を切断または接続する可動電極と、その可動電極に傾倒可能に設けられた抜き差し操作用のハンドルとを備え、前記ハンドルとケーシングとの間には、摺動子と、ハンドルの差し込み動作に伴う前記摺動子の相対的摺動のみを案内するガイド溝とが設けられ、かつそのガイド溝には、前記両電極が正規に嵌合される差し込み完了時において前記摺動子の相対的変位を許容して前記ハンドルの傾倒を許容する傾倒許容部が設けられたものであって、前記ハンドルが前記可動電極に対してその可動電極の抜き差し方向に遊動可能に設けられていることを特徴とするブレーカ装置。
【請求項2】 ハンドルと可動電極のいずれか一方に固定された傾倒軸が、いずれか他方に設けられた長孔に嵌合されることで前記ハンドルが遊動可能とされていることを特徴とする請求項1記載のブレーカ装置。
【請求項3】 前記ハンドルと可動電極との間には、両者のがたつきを防止すべく弾性保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブレーカ装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図10】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図14】
image rotate


【図17】
image rotate


【図18】
image rotate


【図19】
image rotate


【図9】
image rotate


【図11】
image rotate


【図15】
image rotate


【図16】
image rotate


【特許番号】特許第3360713号(P3360713)
【登録日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【発行日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−303358
【出願日】平成8年11月14日(1996.11.14)
【公開番号】特開平10−144185
【公開日】平成10年5月29日(1998.5.29)
【審査請求日】平成11年7月21日(1999.7.21)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【参考文献】
【文献】特開 昭53−70372(JP,A)
【文献】特開 平9−265874(JP,A)
【文献】特開 平9−204856(JP,A)
【文献】特開 平9−282980(JP,A)
【文献】特開 平9−223439(JP,A)
【文献】実開 昭49−13862(JP,U)
【文献】実開 平1−70282(JP,U)