説明

ブレーキ制御システム

【課題】本発明は、ブレーキの連動制動時にブレーキの操作感が固くなるのを防ぐための構造を簡素化することができるブレーキ制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第1の車輪の制動に連動して、ポンプを作動させることにより第2の車輪を連動制動可能なブレーキ制御システムにおいて、前記ポンプの吸込側と前記第2の車輪を制動させるためのマスタシリンダとの間の液圧回路上に設けられ、連動制動中に前記マスタシリンダが作動したときに前記液圧回路のブレーキ液を貯留する貯液部1を備え、前記貯液部1、前記ブレーキ液が貯留される貯液室2と、前記貯液室2の容積を調節する調節部3とを有し、前記調節部3は、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動していないときに、前記貯液室2の容積を拡大させ、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動するときに、前記貯液室の容積を縮小させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の車輪の制動に連動して、ポンプを作動させることにより第2の車輪を連動制動可能なブレーキ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1の車輪の制動に連動して、ポンプを作動させることにより第2の車輪を連動制動可能なブレーキ制御システムが知られている。この種のブレーキ制御システムでは、第2の車輪が連動制動しているときに、ポンプの作動により第2の車輪の液圧回路の液圧がポンプとホイールシリンダとの間で高くなってしまう。この状態で使用者がブレーキ操作を行うと、液圧回路の液圧が高いためブレーキの操作感が固く、使用者が違和感を覚えてしまうことがあった。このような問題を解消すべく、連動により第2の車輪の液圧回路の液圧が上昇しているときであっても、液圧回路の液圧が上昇していない状態を疑似的に再現するシミュレータを備えたブレーキ制御システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のブレーキ制御システムでは、シミュレータにシミュレータ弁、逆止弁、及びシミュレータチャンバを備え、シミュレータチャンバ内にはピストンとばねとが用いられており、部品点数が多くて構成が複雑になっていた。また、このようなブレーキ制御システムでは、シミュレータ弁の開閉を制御する必要があり、制御が複雑になっていた。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ブレーキの連動制動時にブレーキの操作感が固くなるのを防ぐための構造を簡素化することができるブレーキ制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の車輪の制動に連動して、ポンプを作動させることにより第2の車輪を連動制動可能なブレーキ制御システムにおいて、前記ポンプの吸込側と前記第2の車輪を制動させるためのマスタシリンダとの間の液圧回路上に設けられ、前記ポンプの吸込側と前記マスタシリンダとの間のブレーキ液の流量を制御する吸入弁と、前記マスタシリンダと前記吸入弁との間の液圧回路上に設けられ、連動制動中に前記マスタシリンダが作動したときに前記液圧回路のブレーキ液を貯留する貯液部とを備え、前記貯液部は、前記ブレーキ液が貯留される貯液室と、前記貯液室の容積を調節する調節部とを有し、前記調節部は、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動していないときに、前記貯液室の容積を拡大させ、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動するときに、前記貯液室の容積を縮小させることを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記調節部は、前記ポンプの吸込側に生じた負圧により、前記貯液室の容積を縮小させてもよい。前記調節部は、前記マスタシリンダが作動したときに、前記貯液室の容積を拡大させてもよい。前記調節部は、前記第2の車輪の制動後に前記ブレーキ液が前記第2の車輪のホイールシリンダから前記液圧回路に流入したときに、前記貯液室の容積を拡大させてもよい。
【0008】
また、この場合において、前記貯液部は、前記マスタシリンダに接続されるとともに前記ポンプの吐出側と前記ポンプの吸込側とに分岐する分岐点と、前記吸入弁との間の液圧回路上に設けられていてもよい。前記分岐点と前記貯液部との間の液圧回路上にブレーキ液の流量を制御する制御弁を設けてもよい。前記制御弁は、連動制動中、前記マスタシリンダが作動して前記液圧回路が加圧されたときに開いてもよい。前記制御弁は、連動制動中、前記マスタシリンダによる前記液圧回路の加圧が中止されたときに閉じてもよい。
【0009】
さらに、この場合において、前記調節部は、ピストンであってもよい。前記調節部は、外周にOリングが巻き回されていてもよい。前記貯液室は、シリンダであってもよい。
さらにまた、この場合において、前記調節部は、電磁石の磁力により、前記貯液室の容積を調節してもよい。前記電磁石は、前記第2の車輪が連動制動するときに励磁されて前記貯液室の容積を縮小させてもよい。前記電磁石は、前記第2の車輪の連動制動が終了するときに励磁を終了してもよい。前記電磁石は、前記第2の車輪が連動制動している間、励磁されていてもよい。前記調節部は、前記貯液室と前記電磁石との間に配置されていてもよい。前記調節部は、永久磁石が設けられていてもよい。前記電磁石は、前記調節部の前記電磁石側の空間を外部と連通させるための空気孔が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ブレーキの連動制動時にブレーキの操作感が固くなるのを防ぐための構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るブレーキ制御システムの液圧回路を示す回路図である。
【図2】シミュレータを示す模式図である。
【図3】第2実施形態に係るシミュレータを示す模式図である。
【図4】図4(a)は、第3実施形態に係るシミュレータを示す模式図であり、図4(b)は、シミュレータをばね側から見た模式図である。
【図5】圧力とストロークとの関係を示す図である。
【図6】図6(a)は、ピストンがばねと当たった状態を示す模式図であり、図6(b)は、ピストンがピストンストッパに当たった状態を示す模式図である。
【図7】第4実施形態に係るブレーキ制御システムの液圧回路を示す回路図である。
【図8】シミュレータを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るブレーキ制御システムの液圧回路を示す回路図である。このブレーキ制御システム400は、自動二輪車に搭載され、前輪液圧回路100と、後輪液圧回路200と、前輪液圧回路100及び後輪液圧回路200の各液圧ポンプ119,219を駆動するDCモータ300とを備えている。液圧回路100,200は、ブレーキ液で満たされている。なお、図中一点鎖線で囲われた領域は1つのユニットに組み込まれていることを示している。
【0013】
前輪液圧回路100は、運転者の右手で操作されるブレーキレバー101と、ブレーキレバー101が操作されると前輪液圧回路100を加圧する前輪側マスタシリンダ103と、前輪側マスタシリンダ103に接続された前輪側マスタシリンダ用リザーバ105と、管路104を介して前輪側マスタシリンダ103に接続された前輪側切替弁107と、管路104を介して前輪側マスタシリンダ103に接続された前輪側吸入弁109とを備えている。なお、管路104と前輪側切替弁107との接続部、及び管路104と前輪側吸入弁109との接続部には、それぞれフィルタが設けられている。さらに、管路104には圧力センサ111が設けられ、圧力センサ111は、前輪側マスタシリンダ103と前輪側切替弁107及び前輪側吸入弁109との間の圧力を検知して、電子制御ユニットであるECUに検知結果に基づく信号を送信するように設けられている。
【0014】
前輪側込め弁113は、管路104に接続されている。前輪側込め弁113と管路104との接続部にも、フィルタが設けられている。前輪側込め弁113は、管路114を介して前輪側キャリパ115のホイールシリンダに接続されている。
【0015】
前輪ブレーキは、前輪液圧回路100によって作動される。前輪ブレーキは、前輪側キャリパ115を含んでいる。
前輪側キャリパ115は、上述のように前輪側込め弁113と管路114とを介して接続されている。
【0016】
管路106には、前輪側液圧ポンプ119の吐出側が絞りを介して接続されている。前輪側液圧ポンプ119の吸込側は、フィルタを介して管路120に接続されている。前輪側液圧ポンプ119は、DCモータ300により駆動される。また、管路120には、前輪側逆止弁121の一端が接続されている。さらに、管路120には、前輪側吸入弁109の吐出ポートが接続されている。また、前輪側逆止弁121の他端は、管路122に接続されている。前輪側逆止弁121は、管路120から管路122への逆流を防止するように配置されている。
【0017】
また、管路122には、前輪側弛め弁123の吐出ポートが接続されている。さらに、管路122には、前輪側逆止弁121と前輪側弛め弁123との間に、前輪側アキュムレータ125が接続されている。
【0018】
前輪側キャリパ115には、管路114を介して前輪側弛め弁123の流入ポートに接続されている。前輪側弛め弁123の流出ポートは、管路122に接続されている。また、前輪側弛め弁123の流入ポートと管路114との接続部には、フィルタが設けられている。管路114には、圧力センサ127が設けられており、圧力センサ127は、管路114内の圧力を測定して、ECUに圧力信号を送信する。
【0019】
次に、図1を用いて後輪液圧回路200の構成を説明する。後輪液圧回路200は、運転者の右足で操作されるブレーキペダル201と、ブレーキペダル201が操作されると後輪液圧回路200を加圧する後輪側マスタシリンダ203と、後輪側マスタシリンダ203に接続された後輪側マスタシリンダ用リザーバ205と、管路204を介して後輪側マスタシリンダ203に接続された後輪側切替弁207と、管路204を介して後輪側マスタシリンダ203に接続された後輪側吸入弁209とを備える。なお、管路204と後輪側切替弁207との接続部、及び管路204と後輪側吸入弁209との接続部には、それぞれフィルタが設けられている。さらに、管路204には圧力センサ211が設けられ、圧力センサ211は、後輪側マスタシリンダ203と後輪側切替弁207及び後輪側吸入弁209との間の圧力を検知して、ECUに検知結果に基づく信号を送信する。
【0020】
また、後輪側込め弁213は、後輪側切替弁207及び管路206を介して接続されている。後輪側切替弁207や後輪側込め弁213と管路206との接続部にも、それぞれフィルタが設けられている。後輪側込め弁213は、管路214を介して後輪側キャリパ215のホイールシリンダに接続されている。後輪ブレーキは、後輪側キャリパ215から構成される。そして、後輪側キャリパ215は、上述のように後輪側込め弁213及び管路214を介して接続されている。
【0021】
一方、管路206には、後輪側液圧ポンプ219の吐出側が絞りを介して接続されている。後輪側液圧ポンプ219の吸込側は、フィルタを介して管路220に接続されている。後輪側液圧ポンプ219は、DCモータ300により駆動される。また、管路220には、後輪側逆止弁221の一端が接続されている。さらに、管路220には、後輪側吸入弁209の吐出ポートが接続されている。また、後輪側逆止弁221の他端は、管路222に接続されている。後輪側逆止弁221は、管路220から管路222への逆流を防止するように配置されている。
【0022】
また、管路222には、後輪側弛め弁223の吐出ポートが接続されている。さらに、管路222には、後輪側逆止弁221と後輪側弛め弁223との間に、後輪側アキュムレータ225が接続されている。
【0023】
後輪側キャリパ215は、管路214を介して後輪側弛め弁223の流入ポートに接続されている。後輪側弛め弁223の流出ポートは、管路222に接続されている。また、後輪側弛め弁223の流出ポートと管路214と接続部には、フィルタが設けられている。管路214には、圧力センサ227が設けられており、圧力センサ227は、管路214内の圧力を測定して、ECUに圧力信号を送信する。
【0024】
ECUは、圧力信号、速度信号に基づき、所定の条件に従って、DCモータ300、前輪側切替弁107、前輪側吸入弁109、前輪側込め弁113、及び前輪側弛め弁123のそれぞれを作動する。さらに、ECUは、圧力信号、速度信号に基づき、所定の条件に従って、後輪側切替弁207、後輪側吸入弁209、後輪側込め弁213、及び後輪側弛め弁223のそれぞれを作動する。なお、各弁はソレノイドを備えた電磁弁であり、ECUによって通電されて開閉状態が切り換えられる。
【0025】
さらに、ブレーキング時に、前輪速度センサや後輪速度センサからの回転速度信号をECUが受けて車輪のロックを検知した場合に、ECUは、ABS(アンチロックブレーキ制御システム)を作動させて、各液圧ポンプを作動し、各弁を開閉して、制動力を制御して車輪のロックを防止する。
【0026】
本実施形態に係るブレーキ制御システム400は、使用者が前輪及び後輪の一方を制動させたときに他方も制動させることが可能に設けられている。
前輪のブレーキを制動させるべく使用者がブレーキレバー101のみを操作すると、前輪液圧回路100内のブレーキ液が加圧される。ECUは、圧力センサ111により前輪液圧回路100が加圧されたことを検出すると、後輪側吸入弁209を開くとともに、後輪側切替弁207を閉じる。また、ECUは、DCモータ300を駆動して後輪側液圧ポンプ219を作動させる。このとき、後輪側弛め弁223は閉じており、後輪側液圧ポンプ219は、後輪側液圧ポンプ219の吸込側と連通している後輪側マスタシリンダ203からブレーキ液を吸引する。後輪側液圧ポンプ219は、吸引したブレーキ液を吐出側から管路206内に吐出して後輪側キャリパ215にブレーキ液を供給し、後輪を制動させる。
【0027】
一方、後輪のブレーキを制動させるべく使用者がブレーキペダル201のみを操作すると、後輪液圧回路200内のブレーキ液が加圧される。ECUは、圧力センサ211により後輪液圧回路200が加圧されたことを検出すると、前輪側吸入弁109を開くとともに、前輪側切替弁107を閉じる。また、ECUは、DCモータ300を駆動して前輪側液圧ポンプ119を作動させる。このとき、前輪側弛め弁123は閉じており、前輪側液圧ポンプ119は、前輪側液圧ポンプ119の吸込側と連通している前輪側マスタシリンダ103からブレーキ液を吸引する。前輪側液圧ポンプ119は、吸引したブレーキ液を吐出側から管路106内に吐出して前輪側キャリパ115にブレーキ液を供給し、前輪を制動させる。
【0028】
ブレーキ制御システム400は、前輪側マスタシリンダ103と前輪側切替弁107及び前輪側吸入弁109との間にブレーキレバー101の操作性を所定のフィーリングにするためのシミュレータ(貯液部)1を備えている。一方、ブレーキ制御システム400は、後輪側マスタシリンダ203と後輪側切替弁207及び後輪側吸入弁209との間に、ブレーキペダル201の操作性を所定のフィーリングにするためのシミュレータ(貯液部)1を備えている。
【0029】
前輪側のシミュレータ1は、後輪の制動に連動して前輪が制動するときに、前輪側吸入弁109が開いて前輪側切替弁107が閉じた状態で、前輪側液圧ポンプ119の吸込側と前輪側マスタシリンダ103との間の前輪液圧回路100上に流体的に連通して設けられている。シミュレータ1は、管路104から分岐する分岐管104aを介して前輪液圧回路100に接続されている。前輪側のシミュレータ1は、前輪が後輪の制動に連動して制動している状態で、使用者がブレーキレバー101の操作により前輪側マスタシリンダ103を作動させたときに前輪液圧回路100のブレーキ液の一部を貯留できるようになっている。
【0030】
後輪側のシミュレータ1は、前輪の制動に連動して後輪が制動するときに、後輪側吸入弁209が開いて後輪側切替弁207が閉じた状態で、後輪側液圧ポンプ219の吸込側と後輪側マスタシリンダ203との間の後輪液圧回路200上に流体的に連通して設けられている。シミュレータ1は、管路204から分岐する分岐管204aを介して後輪液圧回路200に接続されている。後輪側のシミュレータ1は、後輪が前輪の制動に連動して制動している状態で、使用者がブレーキペダル201の操作により後輪側マスタシリンダ203を作動させたときに後輪液圧回路200のブレーキ液を貯留できるようになっている。
【0031】
以下、シミュレータ1について説明する。なお、本実施形態におけるシミュレータ1は、前輪側と後輪側とで共通のものを使用しており、ブレーキレバー101を操作するのかブレーキペダル201を操作するのかのみ異なるため、以下前輪側のシミュレータ1のみについて説明する。
【0032】
図2は、シミュレータを示す模式図である。
前輪側のシミュレータ1は、図2に示すように、ブレーキ液が貯留される貯液室であるシリンダ2と、このシリンダ2の容積を調節する調節部であるピストン3とを備えている。
【0033】
シリンダ2は、内部空間が分岐管104aを介して前輪液圧回路100と流体的に連通している。
ピストン3は、シリンダ2内をスライドして往復できるように設けられている。ピストン3は、O(オー)リング4が巻き回されていることにより、貯液室2との間が密封されている。
【0034】
シミュレータ1は、前輪液圧回路100と大気圧との差がピストン3のシリンダ2に対してスライドするときの抵抗よりも高くなったときに、ピストン3がシリンダ2内をスライドしてシリンダ2の容積を調節する。ピストン3は、分岐管104aに近づくほどシリンダ2の容積を縮小し、分岐管104aから離れるほどシリンダ2の容積を拡大するようになっている。
【0035】
ピストン3は、連動制動の開始により前輪側液圧ポンプ119が駆動すると、前輪側液圧ポンプ119の吸込側に生じた負圧により、分岐管104a側に引き寄せられて、シリンダ2の容積を縮小させ、シリンダ2の容積を最小にするようになっている。
【0036】
一方、ピストン3は、前輪が後輪の制動に連動して制動している状態で、使用者がブレーキレバー101の操作により前輪側マスタシリンダ103を作動させたときに、前輪液圧回路100内の液圧が上昇することにより、シリンダ2の容積を拡大する方向に移動する。これにより、シミュレータ1は、連動制動により前輪液圧回路100の液圧が上昇しているときであっても、液圧回路100の液圧が上昇していない状態のブレーキレバー101のフィーリングを疑似的に再現することができる。すなわち、シミュレータ1は、前輪側マスタシリンダ103が作動したときに液圧が逃げることにより生じる、非連動制動状態のいわゆる「遊び」を再現するのに十分な大きさでシリンダ2が設けられている。
【0037】
なお、ピストン3は、前輪が連動制動している状態で使用者がブレーキレバー101の操作を行わなかった場合には、前輪の制動が終了したのちに前輪側キャリパ115のホイールシリンダから前輪液圧回路100にブレーキ液が流入したときの液圧で、シリンダ2の容積を拡大するようになっている。すなわち、シミュレータ1は、連動制動していないときには、シリンダ2の容積を拡大するようにピストン3を移動させるようになっている。
【0038】
ピストン3は、前輪が後輪の制動に連動して制動した後は、常に、シリンダ2の容積を最大にした状態になり、前輪が後輪と連動して制動していないときに、前輪液圧回路100の液圧が付与されていなくてもシリンダ2の容積を最大にした状態を維持する。このため、前輪の制動と後輪の制動とが連動していない状態で、使用者がブレーキレバー101を操作しても、シリンダ2の容積をほとんど変化しないようになっている。
【0039】
本実施形態では、ブレーキ制御システム400は、シミュレータ1がシリンダ2とピストン3とを備え、連動制動していないときに、シリンダ2の容積を拡大するようにピストン3を移動させ、連動制動するときに、シリンダ2の容積を縮小するようにピストン3を移動させる。これにより、連動制動していないときは、シリンダ2の容積を最大にして、使用者にブレーキ操作時の剛性不足を感じさせないようにすることができ、連動制動しているときは、シリンダ2の容積を最小にした後に、マスタシリンダ103,203の作動に応じてシリンダ2の容積を拡大し、液圧回路100,200の液圧が上昇していない状態を疑似的に再現することができる。このため、ブレーキ制御システム400は、ブレーキの連動制動時にブレーキの操作感が固くなるのを防ぐための構造を簡素化することができる。
【0040】
[2]第2実施形態
図3は、第2実施形態に係るシミュレータを示す模式図である。なお、第2実施形態に係るシミュレータ11は、シリンダ2に電磁石12が取り付けられ、ピストン3に永久磁石15が取り付けられた構成が、第1実施形態のシミュレータ1と異なっている。以下、第1実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0041】
本実施形態に係るシミュレータ11は、図3に示すように、シリンダ2の端部に電磁石12が取り付けられている。この電磁石12は、コイル13が円柱形状の芯14の周りに巻き回されている。芯14のシリンダ2側の端部には、シリンダ2と略同径の円盤形状の取付部16が取り付けられており、電磁石12は取付部16がシリンダ2に取り付けられている。取付部16は、ピストン3の電磁石12側の空間を外部と連通させ、シリンダ2内でピストン3がスライド移動したときに外気を導入及び排出するための空気孔17が形成されている。
【0042】
ピストン3は、シリンダ2と電磁石12との間に配置され、電磁石12側に永久磁石15が取り付けられている。これにより、ピストン3は、電磁石12から磁力を生じていないときに、永久磁石15の磁力により電磁石側12に移動するようになっている。
【0043】
シミュレータ11は、前輪及び後輪を連動制動させるときに、永久磁石15と反発する磁力を発するように電磁石12を作動させて分岐管104a側にピストン3を押し込み、シリンダ2の容積を縮小させるように調節する。これにより、シミュレータ11は、シリンダ2内のブレーキ液を液圧ポンプ119,219の吸込側に吐出させ、連動制動される側の液圧回路100,200の昇圧を補助する。このため、連動される車輪の制動力が立ち上がるまでの時間を短縮して、使用者が感じる制動の連動の遅れを解消し、連動制動の応答性を向上させることができる。
【0044】
電磁石12は、前輪と後輪とが連動制動するとき励磁され、ピストン3を分岐管104a側に押し込み、連動制動が終了するときに励磁を終了するようになっている。すなわち、電磁石12は、前輪と後輪とが連動制動している間、常に励磁されてピストン3を分岐管104a側に押し込む力が作用している。
【0045】
ピストン3は、前輪が後輪の制動に連動して制動している状態で、使用者がブレーキレバー101の操作により前輪側マスタシリンダ103を作動させたときに、前輪液圧回路100内の液圧が上昇して、電磁石12と永久磁石15との磁力に打ち勝つことにより、シリンダ2の容積を拡大する方向に移動する。シミュレータ11は、連動制動により前輪液圧回路100の液圧が上昇しているときであっても、液圧回路100の液圧が上昇していない状態のブレーキレバー101のフィーリングを疑似的に再現することができる。すなわち、シミュレータ11は、前輪側マスタシリンダ103が作動したときに液圧が逃げることにより生じる非連動制動状態のいわゆる「遊び」を再現するのに十分な大きさでシリンダ2が設けられている。なお、シミュレータ11は、連動制動が終了したときには電磁略11の作動を停止されているため、ピストン3は永久磁石15の磁力により取付部16側に引き寄せられて貯液室2の容積を最大にした状態を維持する。
【0046】
本実施形態では、シミュレータ11は、電磁石12を作動させることにより、ピストン3を分岐管104a側に移動させたり、分岐管104aから離れる側に移動させたりすることができる。これにより、シミュレータ11は、シリンダ2内のブレーキ液を液圧ポンプ119,219の吸込側に吐出させ、連動される側の液圧回路100,200の昇圧を補助する。このため、連動される車輪の制動力が立ち上がるまでの時間を短縮して使用者が感じる制動の連動の遅れを解消し、応答性を向上させることができる。
【0047】
また、シミュレータ11は、例えば、連動制動中に使用者が既に一度ブレーキレバー101を握ってピストン3が分岐管104aから離れる側に移動した後であっても、電磁石12を作動させてピストン3を再び分岐管104a側に移動させることができる。このため、一度の連動制動中に上述の「遊び」を複数回再現することができる。
【0048】
さらに、シミュレータ11は、シリンダ2の容積が最大になったときにピストン3と取付部16との間に挟まる高硬度ゴム18をシリンダ2内に設けることにより、例えば、後輪の制動に連動して前輪が制動している状態でABSが作動したときに液圧回路100,200内で生じてしまうブレーキ液の脈動を高硬度ゴム18が吸収して低減することができる。高剛性弾性体である高硬度ゴム18は、例えば、液圧回路100,200内のブレーキ液が50bar(バール)以下である通常時はほとんど縮まないが、液圧回路100,200内のブレーキ液が50bar(バール)以上であるABS作動時は縮むような弾性力で形成されている。
【0049】
[3]第3実施形態
図4(a)は、第3実施形態に係るシミュレータを示す模式図であり、図4(b)は、シミュレータをばね側から見た模式図であり、図5は、圧力とストロークとの関係を示す図であり、図6(a)は、ピストンがばねと当たった状態を示す模式図であり、図6(b)は、ピストンがピストンストッパに当たった状態を示す模式図である。なお、第3実施形態に係るシミュレータ20は、図4(a)に示すように、ピストン3に突起3aが形成され、ピストン3に当たるばね21、及びスプリングストッパ22が設けられた構成が、第1実施形態のシミュレータ1と異なっている。以下、第1実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0050】
ピストン3の突起3aは、分岐管104aに対してピストン3の裏側になる位置に設けられている。この突起3aは、一対のスプリングストッパ22の間を通ってばね21当たることができるように形成されている。
【0051】
ばね21は、コイルスプリングであり、シリンダ2内に設けられている。ばね21は、ピストン3がばね21に当たったときに、ピストン3を分岐管104a側に押し返すように設けられている。
【0052】
スプリングストッパ22は、例えば金属で形成されている。本実施形態では、図4(b)に示すように、一対のスプリングストッパ22がピストン3とばね21との間に設けられている。スプリングストッパ22は、シリンダ2内に固定されており、ばね21が予め縮んでプリロードがかかった状態になるようにばね21を保持している。
【0053】
本実施形態におけるシミュレータ20は、ブレーキ液の圧力とピストン3のストロークとの関係が図5に示すようになっている。なお、この図において、縦軸はピストン3のストロークを示しており、横軸は分岐管104aからシリンダ2内に流入したブレーキ液の圧力を示している。
【0054】
先ず、ピストン3がストロークしていない点aの状態、すなわち、図4(a)に示すように、ピストン3が分岐管104aに最も近づいた状態で分岐管104aからブレーキ液がシリンダ2内に流入すると、ピストン3はばね21側に移動を開始する。
【0055】
ばね21側に移動するピストン3は、図6(a)に示すように、突起3aがばね21に当たり、図5の点bの状態になる。ばね21は、予め圧縮されてプリロードがかかった状態にある。このため、ピストン3は、図5の点bと点cとの間の範囲に示すように、ブレーキ液の圧力によってピストン3が受ける荷重が、ばね21を縮ませ始める作動開始荷重に達する点Cの状態までほとんどストロークしないようになっている。
【0056】
ピストン3が受ける荷重が作動開始荷重に達すると、ピストン3は、図5の点cと点dとの間の範囲に示すように、ばね21を縮ませながらさらにばね21側にストロークする。
【0057】
ばね21を縮ませながらストロークするピストン3は、図6(b)に示すように、ピストンストッパ22に当たって図5の点dの状態になると、それ以上はほとんどストロークできないようになっている。
【0058】
本実施形態では、シミュレータ20は、ピストン3が受ける荷重が作動開始荷重に達したときにのみ、ばね21が縮んでピストン3がさらにストロークできるようになっている。これにより、ばね21は、ブレーキ液の圧力が小さいときはピストン3にほとんど作用せず、ブレーキ液の圧力が大きくなったときのみに縮んでピストン3に作用することができる。このため、ブレーキ液の圧力が小さいときはピストン3が容易にストロークできる構成であっても、ポンプ119,219の作動等によって生じたブレーキ液の脈動による大きな圧力変動をばね21で吸収して低減することができる。
【0059】
[4]第4実施形態
図7は、第4実施形態に係るブレーキ制御システムの液圧回路を示す回路図であり、図8は、シミュレータの状態を示す模式図である。第4実施形態に係るブレーキ制御システム500は、図7に示すように、圧力センサ111,211の位置、前輪側及び後輪側シミュレータ1,1の位置、及び、前輪側及び後輪側制御弁110、210を備えたことが第1実施形態のブレーキ制御システム400と異なっている。以下、第1実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0060】
以下、ブレーキ制御システム500について説明する。なお、本実施形態におけるブレーキ制御システム500は、前輪側と後輪側とで共通の構成を使用しており、ブレーキレバー101を操作するのかブレーキペダル201を操作するのかのみ異なるため、以下前輪側の前輪側液圧回路100のみについて説明する。
【0061】
前輪側液圧回路100は、前輪側マスタシリンダ103から延びる液圧回路が分岐点aに接続されており、分岐点aで前輪側液圧ポンプ119の吐出側と前輪側液圧ポンプ119の吸込側とに分岐している。
【0062】
前輪側液圧回路100は、前輪側液圧ポンプ119の吸込側と前輪側マスタシリンダ103及び分岐点aとの間にブレーキ液の流量を制御する前輪側吸入弁109が設けられている。
【0063】
前輪側シミュレータ1は、分岐点aと、前輪側吸入弁109との間の液圧回路上に分岐管104aで分岐して設けられている。
前輪側制御弁110は、前輪側マスタシリンダ103及び分岐点aと前輪側シミュレータ1との間の液圧回路上に設けられ、弁の開閉によってブレーキ液の流量を制御できるようになっている。前輪側制御弁110は、電磁弁であり、ECUによる制御により開閉状態が切り換えられる。なお、管路104と前輪側制御弁110との接続部には、フィルタが設けられている。
【0064】
圧力センサ111は、前輪側マスタシリンダ103と分岐点aとの間に設けられ、前輪側マスタシリンダ103と前輪側切替弁107及び前輪側制御弁110との間の管路104内の圧力を検知して、ECUに検知結果に基づく信号を送信するように設けられている。
【0065】
次に、ブレーキ制御システム500の動作について説明する。
後輪のブレーキを制動させるべく使用者がブレーキペダル201のみを操作すると、後輪液圧回路200内のブレーキ液が加圧される。ECUは、圧力センサ211により後輪液圧回路200が加圧されたことを検出すると、前輪側吸入弁109を開くとともに、前輪側切替弁107及び前輪側制御弁110を閉じる。また、ECUは、DCモータ300を駆動して前輪側液圧ポンプ119を作動させる。このとき、前輪側弛め弁123は閉じており、前輪側液圧ポンプ119は、前輪側液圧ポンプ119の吸込側と連通しているシミュレータ1からブレーキ液を吸引する。シミュレータ1は、前輪側液圧ポンプ119の吸込側に生じた負圧により、図8(a)に示すように、ピストン3が分岐管104a側に引き寄せられて、シリンダ2の容積を縮小させる。シミュレータ1のシリンダ2の容積は、図7に示す前輪側液圧ポンプ119の作動により前輪側キャリパ115が前輪を制動させるのに十分な量のブレーキ液を貯留できる大きさであることが望ましい。ブレーキ制御システム500は、前輪側液圧ポンプ119が吸引したブレーキ液を吐出側から管路106内に吐出して前輪側キャリパ115にブレーキ液を供給し、前輪を制動させることにより、連動制動中の状態になる。
【0066】
前輪が後輪の制動に連動して制動している状態で、使用者がブレーキレバー101の操作により前輪側マスタシリンダ103を作動させると、ECUは、圧力センサ111を用いて管路104内が加圧されたことを検出する。管路104内が加圧されたことを検出すると、ECUは、前輪側制御弁110を開いて、図8(b)に示すように、ブレーキ液をシミュレータ1に流入させることにより、前輪側マスタシリンダ103と前輪側切替弁107及び前輪側制御弁110との間の液圧回路を減圧させる。このとき、ECUは、ブレーキレバー101の操作感が固くなるといった違和感を使用者に覚えさせないように、前輪側制御弁110を通過するブレーキ液の流量を調節しながら、前輪側制御弁110を開く。すなわち、前輪側制御弁110は、前輪側制御弁110の上流側と下流側との圧力の差を制御するいわゆる差圧コントロールを行うようになっている。
【0067】
なお、連動制動中にブレーキレバー101の操作により前輪側マスタシリンダ103を作動させていた使用者が、ブレーキレバー101を放して前輪側マスタシリンダ103の作動を停止させると、ECUは、圧力センサ111を用いて加圧が中止されたことを検出する。加圧が中止されたことを検出すると、ECUは、前輪側制御弁110を閉じる。これにより、ブレーキ制御システム500は、前輪側液圧ポンプ119の吸込側に生じた負圧により、シミュレータ1内のブレーキ液を吸引して管路104内に再度流出させ、次に使用者が前輪側マスタシリンダ103を作動させたときにブレーキ液をシミュレータ1に貯留できるように備えることができる。
【0068】
本実施形態では、ブレーキ制御システム500は、マスタシリンダ103,203と吸入弁109,209との間に制御弁110,210が設けられており、制御弁110,210と吸入弁109,209との間にシミュレータ1が設けられている。これにより、ブレーキ制御システム500は、制御弁110,210の開閉を制御して、シミュレータ1内に貯留されるブレーキ液の量を調節することができる。このため、制御弁110,210の開閉によってシミュレータ1のピストン3の位置を調節することができ、予め分岐管104a内の圧力に応じてピストン3が所望の位置になるように厳密にシミュレータ1を設計する必要がなく、シミュレータ1の設計を容易にすることができる。また、連動制動時に制御弁110,210を閉じることにより、液圧ポンプ119,219の作動によって生じた負圧による影響をブレーキレバー101やブレーキペダル201に伝わらないようにすることができる。
【0069】
また、本実施形態では、ブレーキ制御システム500は、ブレーキレバー101またはブレーキペダル201の操作によりマスタシリンダ103,203を作動させていた使用者が、ブレーキレバー101またはブレーキペダル201を放してマスタシリンダ103,203の作動を停止すると、制御弁110,210は閉じるようになっている。これにより、ブレーキ制御システム500は、液圧ポンプ119,219の吸込側に生じた負圧により、シミュレータ1のシリンダ2の内部のブレーキ液を吸引することができる。このため、ブレーキ制御システム500は、連動制動中に一度シミュレータ1内がいっぱいになっても、次に使用者がマスタシリンダ103,203を作動させたときにシミュレータ1にブレーキ液を貯留できるように備えることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、ブレーキ制御システム500は、ABS制動を行ったときに、制御弁110,210を開くことにより、液圧ポンプ119,219の背圧を低くしたり脈動を逃がしたりすることができる。このため、ブレーキレバー101やブレーキペダル201の使用者による操作感が固くなることを防ぐことができる。
【0071】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、実施形態では、連動制動中に上述の「遊び」を再現する際に電磁石の作動を停止させているが、これに限られることはない。「遊び」を再現する際に電磁石を作動させ、例えば、電磁石12の磁力を細かく調節することにより、より緻密に「遊び」を再現してもよい。
【0072】
また、実施形態では、永久磁石15の磁力を用いてピストン3を取付部16側に引き寄せたが、これに限定されることはない。ピストン3が取付部16に移動すれば、例えば、電磁石12を作動させてピストン3を取付部16側に引き寄せてもよい。
【0073】
さらに、実施形態では、前輪の制動をブレーキレバー101で操作し、後輪の制動をブレーキペダル201で操作しているが、これに限定されることはない。前輪と後輪とが連動制動すれば、例えば、前輪の制動及び後輪の制動ともにブレーキレバーまたはブレーキペダルで操作してもよい。
【0074】
さらにまた、実施形態では、前輪側制御弁110として、電磁弁を用いて断続的な開閉を繰り返しながら通過するブレーキ液の流量を調節しているが、これに限定されることはない。弁を通過するブレーキ液の流量を調節できれば、弁体の開度を調節可能な弁などその他の弁を用いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 シミュレータ(貯液部)
2 シリンダ(貯液室)
3 ピストン(調節部)
3a 突起
4 Oリング
11 シミュレータ(貯液部)
12 電磁石
13 コイル
14 芯
15 永久磁石
16 取付部
17 空気孔
18 高硬度ゴム
20 シミュレータ(貯液部)
21 ばね
22 スプリングストッパ
100 前輪液圧回路
101 ブレーキレバー
103 前輪側マスタシリンダ
105 前輪側マスタシリンダ用リザーバ
104 管路
106 管路
107 前輪側切替弁
109 前輪側吸入弁
110 制御弁
111 圧力センサ
113 前輪側込め弁
114 管路
115 前輪側キャリパ
119 前輪側液圧ポンプ
120 管路
121 前輪側逆止弁
122 管路
123 前輪側弛め弁
125 アキュムレータ
127 圧力センサ
129 前輪速度センサ
200 後輪液圧回路
201 ブレーキペダル
203 後輪側マスタシリンダ
204 管路
205 後輪側マスタシリンダ用リザーバ
207 後輪側切替弁
209 後輪側吸入弁
210 制御弁
211 圧力センサ
213 後輪側込め弁
214 管路
215 後輪側キャリパ
219 後輪側液圧ポンプ
220 管路
221 後輪側逆止弁
222 管路
223 後輪側弛め弁
225 後輪側アキュムレータ
227 圧力センサ
229 後輪速度センサ
300 DCモータ
400 ブレーキ制御システム
500 ブレーキ制御システム
a 分岐点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車輪の制動に連動して、ポンプを作動させることにより第2の車輪を連動制動可能なブレーキ制御システムにおいて、
前記ポンプの吸込側と前記第2の車輪を制動させるためのマスタシリンダとの間の液圧回路上に設けられ、前記ポンプの吸込側と前記マスタシリンダとの間のブレーキ液の流量を制御する吸入弁と、
前記マスタシリンダと前記吸入弁との間の液圧回路上に設けられ、連動制動中に前記マスタシリンダが作動したときに前記液圧回路のブレーキ液を貯留する貯液部とを備え、
前記貯液部は、前記ブレーキ液が貯留される貯液室と、前記貯液室の容積を調節する調節部とを有し、
前記調節部は、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動していないときに、前記貯液室の容積を拡大させ、前記第2の車輪の制動が前記第1の車輪の制動に連動するときに、前記貯液室の容積を縮小させることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、前記ポンプの吸込側に生じた負圧により、前記貯液室の容積を縮小させることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、前記マスタシリンダが作動したときに、前記貯液室の容積を拡大させることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記貯液部は、前記マスタシリンダに接続されるとともに前記ポンプの吐出側と前記ポンプの吸込側とに分岐する分岐点と、前記吸入弁との間の液圧回路上に設けられたことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記分岐点と前記貯液部との間の液圧回路上にブレーキ液の流量を制御する制御弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記制御弁は、連動制動中、前記マスタシリンダが作動して前記液圧回路が加圧されたときに開くことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記制御弁は、連動制動中、前記マスタシリンダによる前記液圧回路の加圧が中止されたときに閉じることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、前記第2の車輪の制動後に前記ブレーキ液が前記第2の車輪のホイールシリンダから前記液圧回路に流入したときに、前記貯液室の容積を拡大させることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、ピストンであることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、外周にOリングが巻き回されたことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記貯液室は、シリンダであることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、電磁石の磁力により、前記貯液室の容積を調節することを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記電磁石は、前記第2の車輪が連動制動するときに励磁されて前記貯液室の容積を縮小させることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記電磁石は、前記第2の車輪の連動制動が終了するときに励磁を終了することを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記電磁石は、前記第2の車輪が連動制動している間、励磁されていることを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、前記貯液室と前記電磁石との間に配置されたことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項17】
請求項12乃至16のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記調節部は、永久磁石が設けられたことを特徴とするブレーキ制御システム。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか一項に記載のブレーキ制御システムにおいて、
前記電磁石は、前記調節部の前記電磁石側の空間を外部と連通させるための空気孔が形成されたことを特徴とするブレーキ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107623(P2013−107623A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158804(P2012−158804)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】