説明

ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法

【課題】走行条件や車両条件に応じてブレーキ力を制御し、滑走の発生頻度を低減させることを可能とするブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法を得ること。
【解決手段】複数の車両により構成される列車を制動させるブレーキ力を演算するブレーキ力演算部5と、車両の車輪の滑走を検知した際の車両のブレーキノッチ位置および走行速度を含む走行情報、および滑走情報を記録し、走行情報と滑走情報とに基づいて滑走予測を行い、ブレーキ力に対する車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算する滑走抑制制御部12と、ブレーキ力とブレーキ分担率とに基づいて分担ブレーキ力を設定し、基礎ブレーキ装置にブレーキ制御信号を出力するブレーキ力設定部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両において、制動時に車輪がロックしレール面を滑る滑走が発生すると、車輪踏面の磨耗や電磁弁の多動作が発生し、車輪切削や電磁弁交換などのメンテナンスを行う頻度が高くなる。このため、ブレーキ力を適切に制御し滑走を抑制する必要がある。
【0003】
従来の鉄道車両用のブレーキ制御装置では、例えば、車両の走行中に車輪の滑走を検知し、滑走した車両が走行した距離を累積した累積滑走距離が各車両で同一となるように各車両のブレーキ分担率を演算し、そのブレーキ分担率に基づいてブレーキ力を制御することにより、滑走を抑制するようにしている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4372740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、天候や走行速度等の走行条件や、車両構成位置や車輪径等の車両条件に関わらず、あらかじめ設定されたブレーキ力を出力し、滑走が発生した場合に、滑走の抑制を行うようにしている。しかしながら、実際には、雨天時には車輪とレール面との間が低粘着状態となり滑走し易くなるなど、条件によって滑走の発生頻度が異なる、という問題があった。また、上記従来技術は、滑走発生後における抑制制御であるので、走行条件や車両条件が以前に滑走の発生した条件と同様の条件になった場合には、再度滑走が発生する可能性が高く、十分に滑走の発生頻度を低減させることができない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行条件や車両条件に応じてブレーキ力を制御し、滑走の発生頻度を低減させることを可能とするブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるブレーキ制御装置は、車両を制動する基礎ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置であって、複数の前記車両により構成される列車を制動させるブレーキ力を演算するブレーキ力演算部と、前記車両の車輪の滑走を検知した際の前記車両のブレーキノッチ位置および走行速度を含む走行情報、および滑走情報を記録し、前記走行情報と前記滑走情報とに基づいて滑走予測を行い、前記ブレーキ力に対する前記車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算し、前記滑走防止弁に出力する滑走抑制制御部と、前記ブレーキ力と前記ブレーキ分担率とに基づいて前記分担ブレーキ力を設定し、前記基礎ブレーキ装置にブレーキ制御信号を出力するブレーキ力設定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、走行条件や車両条件に応じたブレーキ力の制御が可能となり、滑走の発生頻度を低減させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態にかかるブレーキ制御装置の一構成例を周辺機器構成とともに示す図である。
【図2】図2は、滑走記録マップの一例を示す図である。
【図3】図3は、滑走予測領域における滑走予測点の一例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態にかかるブレーキ制御装置の別の構成例を示す図である。
【図5】図5は、滑走記録マップ生成部および滑走予測部を列車制御情報管理装置に組み込む例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかるブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本実施の形態にかかるブレーキ制御装置の一構成例を周辺機器構成とともに示す図である。なお、ブレーキ制御装置11は、列車を構成する各車両毎、あるいは各車軸毎に設けられている。
【0012】
図1に示すように、実施の形態にかかるブレーキ制御装置11には、車両の各車輪4の回転速度を検出する複数の速度センサ3と、後述するブレーキ制御信号に応じて各車輪4を制動する基礎ブレーキ装置7と、車両の荷重を台車のバネのたわみ量で検出して応荷重信号を出力する応荷重装置2とが接続されている。ブレーキ制御装置11は、車両の荷重に応じて力行主回路電流、電気ブレーキ電流および空気ブレーキ圧力などを自動的に増減させることにより、荷重の大小にかかわらず、ほぼ一定の加速度および減速度となるように制御する。
【0013】
ブレーキ制御装置11には、図示しない運転台に設けられたブレーキハンドル1から、図示しない各車両にわたって接続されて一方向にブレーキ指令を伝達するブレーキ指令線13を介してブレーキ指令が入力される。また、ブレーキ制御装置11には、例えば列車に搭載される列車制御情報管理装置20から、走行速度、走行地点、走行地点の傾斜等を含み、列車の走行中に変化する情報である走行情報と、列車の編成情報、車両が列車の何両目(あるいは何軸目)であるかを示す車両構成位置、車輪径等を含み、列車の走行中に変化しない情報である車両情報とが入力される。なお、走行情報としては、ブレーキハンドル1から入力されるブレーキ指令から得られるブレーキノッチ位置、および応荷重装置2から出力される応荷重情報から得られる車重情報を含んでいる。また、走行情報として、天候、湿度、車輪温度等を含むことも可能である。また、各車両情報は、ブレーキ制御装置11が予め保持しておくようにすることも可能である。なお、以下の説明では、上述した走行情報のうち、走行速度およびブレーキノッチ位置情報以外、つまり、車重情報、走行地点、走行地点の傾斜、天候、湿度、車輪温度等を「走行補助情報」という。
【0014】
ブレーキ制御装置11は、ブレーキ指令と各車輪4の回転速度と応荷重信号とに基づいて、複数の車両により構成される列車を制動させるブレーキ力を演算するブレーキ力演算部5と、滑走状態、各走行情報および各車両情報に基づいて滑走の発生を抑制する滑走抑制制御を行い、ブレーキ力に対する各車両毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を出力する滑走抑制制御部12と、ブレーキ力演算部5から出力されるブレーキ力と滑走抑制制御部12から出力されるブレーキ分担率とに基づいて分担ブレーキ力を設定し、基礎ブレーキ装置7を制御するブレーキ制御信号を生成するブレーキ力設定部6とを備えている。
【0015】
滑走抑制制御部12は、滑走検知部8と、滑走距離算出部9と、ブレーキ分担率演算部10と、滑走記録マップ生成部16と、滑走予測部17とを備えている。
【0016】
なお、ブレーキ制御装置11は、例えば、プログラムを格納した記憶部とCPUとを有するマイクロコンピュータ等で構成することができ、ブレーキ制御装置11を構成する各ブロックは、マイクロコンピュータの記憶部にソフトウェアとして格納することができる。
【0017】
つぎに、滑走抑制制御部12の動作について、図1〜図3の各図を参照して説明する。図2は、滑走記録マップの一例を示す図である。また、図3は、滑走予測領域における滑走予測点の一例を示す図である。
【0018】
滑走検知部8は、例えば、複数の各速度センサ3から出力される各車輪4の回転速度のうち、最も回転速度の速い車輪4の回転速度と最も回転速度の遅い車輪4の回転速度との差が予め設定した所定値を超えた場合に、滑走が発生したことを検知して、滑走検知信号を滑走距離算出部9および滑走記録マップ生成部16に出力すると共に、滑走が発生したことを検知した時点で最も回転速度の速い車輪4の回転速度を滑走検知信号と共に滑走距離算出部9に出力する。
【0019】
滑走距離算出部9は、滑走検知信号の継続時間と回転速度とを乗算して算出される滑走距離を累積して各車輪4の累積滑走距離を算出し、ブレーキ分担率演算部10および滑走記録マップ生成部16に出力する。また、滑走距離算出部9は、滑走予測部17から後述する滑走予測信号が入力された場合には、滑走予測信号の継続時間と滑走予測信号が入力された時点の回転速度とを乗算して算出される予測滑走距離を累積して各車輪4の予測累積滑走距離を算出し、ブレーキ分担率演算部10に出力する。
【0020】
ブレーキ分担率演算部10は、累積滑走距離あるいは予測累積滑走距離に応じて、ブレーキ力演算部5から出力されるブレーキ力に対する車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算する。このブレーキ分担率は、累積滑走距離あるいは予測累積滑走距離が長いほど、予め設定した所定の割合に対して低減した値となる。
【0021】
滑走記録マップ生成部16は、滑走検知部8から滑走検知信号が入力されると、そのときの各走行情報および各車両情報を記録し、そのときの累積滑走距離を滑走情報として記録する。
【0022】
そして、記録した各走行情報、各車両情報、および滑走情報に基づいて、ブレーキノッチ位置をブレーキ力に換算した算出ブレーキ力を求め、累積滑走距離を離散的に数値化した滑走度合を求め、図2に示すように、滑走度合を走行速度と算出ブレーキ力とに関連付けて記録した滑走度合を走行速度と算出ブレーキ力とに関連づけて記録した滑走記録マップを生成する。図2に示す例では、走行速度を横軸に示し、算出ブレーキ力を縦軸に示している。また、図2中に示す各点は、滑走が発生した滑走発生点を示し、各滑走発生点内の数値は、各滑走発生点における滑走度合を示している。この滑走度合は、ここでは、累積滑走距離の短い方から長い方にかけて5段階に分けて数値化している。この滑走度合が「4」以上となる滑走発生点は、累積滑走距離が予め設定した閾値以上である大滑走発生点を示している。
【0023】
滑走記録マップ生成部16は、滑走が発生する毎に、走行速度および算出ブレーキ力を各走行補助情報および各車両情報に基づいて補正し、各滑走発生点を図2に示す滑走記録マップ上に滑走度合と共に記録する。例えば、走行地点において下り勾配の傾斜がある場合には、より滑走が生じやすいため、走行速度および算出ブレーキ力が小さくなる方向(図中の矢印Aの方向)に補正する。また、例えば、車重が予め設定した値より小さい場合には、滑走が起こり難いため、走行速度および算出ブレーキ力が大きくなる方向(図中の矢印Bの方向)に補正する。つまり、走行速度および算出ブレーキ力に対する各補正量を合算した全補正量を適用して、各滑走発生点を記録する。
【0024】
そして、各滑走発生点とその滑走度合から、滑走発生境界線(図2中に示す点線)を求め、例えば、その滑走発生境界線を大滑走発生点(図2中のC点)まで平行移動した大滑走発生境界線(図2中に示す一点鎖線)以上となる領域(図2中のD領域)を滑走予測領域(図3参照)として、滑走予測部17に出力する。
【0025】
滑走予測部17は、ブレーキ指令が入力されると、そのときの走行速度を各走行補助情報および各車両情報に基づいて補正して補正走行速度を求め、同様に、そのときのブレーキノッチ位置から算出した算出ブレーキ力を各走行補助情報および各車両情報に基づいて補正して補正ブレーキ力を求める。
【0026】
そして、図3に示すように、補正走行速度と補正ブレーキ力との交点である滑走予測点Xが滑走予測領域内である場合には、滑走予測信号を出力する。この滑走予測点は、時間の経過と共に図3に示す矢印Eの方向に移動し、滑走予測領域から脱すると、滑走予測信号の出力を停止する。つまり、滑走予測点が大滑走発生境界線より離れた位置にあるほど、滑走予測信号の継続時間が長くなる。
【0027】
このように制御することにより、走行補助情報を含む走行情報および車両情報に応じた滑走予測が可能となる。
【0028】
図4は、実施の形態にかかるブレーキ制御装置の別の構成例を示す図である。また、図5は、滑走記録マップ生成部および滑走予測部を列車制御情報管理装置に組み込む例を示す図である。上述した図1に示す構成例では、ブレーキ力設定部6がブレーキ力演算部5から出力されるブレーキ力と滑走抑制制御部12から出力されるブレーキ分担率とに基づいて分担ブレーキ力を設定し、基礎ブレーキ装置7を制御するようにしたが、図4に示すように、基礎ブレーキ装置7を制御する滑走防止弁18を備える構成においても適用可能である。なお、図1に示す構成と同一あるいは同等の構成部には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図4に示す例において、ブレーキ力設定部6aは、ブレーキ力演算部5から出力されるブレーキ力に基づいてブレーキ制御信号を生成し、滑走防止弁18に出力する。
【0030】
滑走防止弁18は、図示しないブレーキシリンダ管からブレーキ制御信号に応じた圧縮空気が供給され、ブレーキ分担率演算部10から出力されるブレーキ分担率に応じてブレーキシリンダ圧力を調節して基礎ブレーキ装置7を制御する。
【0031】
また、滑走抑制制御部12をブレーキ制御装置とは異なる他の装置として構成することも可能であるし、また、例えば、図5に示すように、滑走抑制制御部12内の滑走記録マップ生成部16および滑走予測部17を列車制御情報管理装置20に組み込む構成とすることも可能である。いずれの態様であっても、同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0032】
以上説明したように、実施の形態のブレーキ制御装置によれば、実際に滑走が発生した際の走行情報、車両情報、および滑走情報に基づいて滑走記録マップを生成し、ブレーキ指令が入力された際の走行情報および車両情報と滑走記録マップとを対比させて滑走の発生を予測し、その予測に基づいて滑走抑制制御を行うようにしたので、走行条件や車両条件に応じたブレーキ力の制御が可能となり、滑走の発生頻度を低減させることができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、ブレーキ制御装置は、列車を構成する各車両毎、あるいは各車軸毎に設けられているものとして説明したが、勿論この構成に限定されるものではなく、列車の編成毎にブレーキ制御装置を1つ備える構成であってもよい。
【0034】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 ブレーキハンドル
2 応荷重装置
3 速度センサ
4 車輪
5 ブレーキ力演算部
6,6a ブレーキ力設定部
7 基礎ブレーキ装置
8 滑走検知部
9 滑走距離算出部
10 ブレーキ分担率演算部
11 ブレーキ制御装置
12 滑走抑制制御部
13 ブレーキ指令線
16 滑走記録マップ生成部
17 滑走予測部
18 滑走防止弁
20 列車制御情報管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制動する基礎ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置であって、
複数の前記車両により構成される列車を制動させるブレーキ力を演算するブレーキ力演算部と、
前記車両の車輪の滑走を検知した際の前記車両のブレーキノッチ位置および走行速度を含む走行情報、および滑走情報を記録し、前記走行情報と前記滑走情報とに基づいて滑走予測を行い、前記ブレーキ力に対する前記車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算する滑走抑制制御部と、
前記ブレーキ力と前記ブレーキ分担率とに基づいて前記分担ブレーキ力を設定し、前記基礎ブレーキ装置にブレーキ制御信号を出力するブレーキ力設定部と、
を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
車両を制動する基礎ブレーキ装置を滑走防止弁により制御するブレーキ制御装置であって、
複数の前記車両により構成される列車を制動させるブレーキ力を演算するブレーキ力演算部と、
前記ブレーキ力に基づいてブレーキ制御信号を生成して前記滑走防止弁に出力するブレーキ力設定部と、
前記車両の車輪の滑走を検知した際の前記車両のブレーキノッチ位置および走行速度を含む走行情報、および滑走情報を記録し、前記走行情報と前記滑走情報とに基づいて滑走予測を行い、前記ブレーキ力に対する前記車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算し、前記滑走防止弁に出力する滑走抑制制御部と、
を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記滑走抑制制御部は、
前記車輪の滑走を検知した際のブレーキノッチ位置および走行速度を含む前記車両の走行中に変化する情報である前記走行情報、および前記滑走情報を記録し、前記走行情報と前記滑走情報とに基づいて、前記ブレーキノッチ位置から算出ブレーキ力を求め、前記滑走距離を離散的に数値化した滑走度合を求めると共に、前記滑走度合を前記走行速度と前記算出ブレーキ力とに関連付けて記録した滑走記録マップを生成する滑走記録マップ生成部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記滑走抑制制御部は、
ブレーキ指令が入力された際の前記走行情報に基づいて、前記ブレーキノッチ位置から算出ブレーキ力を求めると共に、前記走行速度に対する前記算出ブレーキ力の関係と前記滑走記録マップとを対比させて滑走予測を行い、滑走の発生を予測した場合に、滑走が発生したことを示す滑走予測信号を出力する滑走予測部を備えることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記滑走抑制制御部は、
前記滑走予測信号に応じて前記車両の予測累積滑走距離を算出する滑走距離算出部と、
前記予測累積滑走距離に基づいて、前記ブレーキ力に対する前記車両毎、台車毎、あるいは軸毎の分担ブレーキ力の割合を示すブレーキ分担率を演算するブレーキ分担率演算部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記走行情報は、前記車両の車重、走行地点、前記走行地点の傾斜、天候、湿度、あるいは車輪温度を含む走行補助情報のうちのいずれか1つ以上をさらに含み、
前記滑走記録マップ生成部は、前記走行補助情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走記録マップを生成し、
前記滑走予測部は、前記走行補助情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走予測を行う
ことを特徴とする請求項4に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記滑走記録マップ生成部は、前記列車の編成情報、車両構成位置、あるいは車輪径のうちのいずれか1つ以上を含む前記車両の走行中に変化しない情報である車両情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走記録マップを生成し、
前記滑走予測部は、前記車両情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走予測を行う
ことを特徴とする請求項4に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
車輪の滑走を検知した際に、ブレーキノッチ位置および走行速度を含む車両の走行中に変化する情報である走行情報、および滑走情報を記録し、前記走行情報と前記滑走情報とに基づいて、前記ブレーキノッチ位置から算出ブレーキ力を求め、前記滑走距離を離散的に数値化した滑走度合を求めると共に、前記滑走度合を前記走行速度と前記算出ブレーキ力とに関連付けて記録した滑走記録マップを生成する第1ステップと、
ブレーキ指令が入力された際に、前記走行情報に基づいて、前記ブレーキノッチ位置から算出ブレーキ力を求めると共に、前記走行速度に対する前記算出ブレーキ力の関係と前記滑走記録マップとを対比させて滑走予測を行い、滑走の発生を予測した場合に、滑走が発生したことを示す滑走予測信号を出力する第2ステップと、
前記滑走予測信号に基づいてブレーキ制御を行う第3ステップと、
を有することを特徴とするブレーキ制御方法。
【請求項9】
前記走行情報は、前記車両の車重、走行地点、前記走行地点の傾斜、天候、湿度、あるいは車輪温度を含む走行補助情報のうちのいずれか1つ以上を含み、
前記第1ステップにおいて、前記走行補助情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走記録マップを生成し、
前記第2ステップにおいて、前記走行補助情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走予測を行う
ことを特徴とする請求項8に記載のブレーキ制御方法。
【請求項10】
前記第1ステップにおいて、列車の編成情報、車両構成位置、あるいは車輪径のうちのいずれか1つ以上を含む前記車両の走行中に変化しない情報である車両情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走記録マップを生成し、
前記第2ステップにおいて、前記車両情報に基づいて前記走行速度および前記算出ブレーキ力を補正して前記滑走予測を行う
ことを特徴とする請求項8または9に記載のブレーキ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180027(P2012−180027A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44820(P2011−44820)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】