ブレーキ制御装置
【課題】構造をより簡単化できるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ装置であって、ブレーキ操作状態検出部5と、第1ブレーキ回路11Pと、第2ブレーキ回路19Pと、第3ブレーキ回路21FLと、第4ブレーキ回路22Pと、ポンプP、流入弁、流出弁、リザーバ24P、と第4ブレーキ回路上であって、リザーバと第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ、回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁28Pを備えた。
【解決手段】回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ装置であって、ブレーキ操作状態検出部5と、第1ブレーキ回路11Pと、第2ブレーキ回路19Pと、第3ブレーキ回路21FLと、第4ブレーキ回路22Pと、ポンプP、流入弁、流出弁、リザーバ24P、と第4ブレーキ回路上であって、リザーバと第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ、回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁28Pを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ制御装置では、ポンプ吐出圧を増幅する増幅ピストンと、増幅ピストンを介してホイルシリンダ圧を加圧する経路と増幅ピストンを介さずにホイルシリンダ圧を加圧する経路とを切り替える2つの制御弁を設けることで、ポンプ駆動によるブレーキの倍力作用を実現している。上記説明の技術に関係する一例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-302031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来装置において、構造をより簡単化して欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、構造をより簡単化できるブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のブレーキ制御装置では、リザーバとポンプの吸入側との間に設けられ、回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁を備えた。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のブレーキ制御装置では、構造をより簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の制動系を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図3】実施例1のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
【図4】実施例1のブレーキコントロールユニットBCUで実行される回生協調制御におけるリザーバ液量制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】高車速域からドライバがブレーキペダルBPを踏み込んで車両が停止するまでの各制動力(ドライバ要求制動力、回生制動力、摩擦制動力)のタイムチャートである。
【図6】制動開始時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図7】制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図8】回生制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図9】回生制動終了時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図10】実施例2のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図11】実施例3のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図12】実施例4のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施例は、多くのニーズに適応できるように検討されており、構造をより簡単化できることは検討されたニーズの1つである。以下の実施例では、さらに、既存の液圧制御ユニットを流用できるとのニーズにも対応している。
【0009】
〔実施例1〕
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の制駆動系を示すシステム構成図、図2は実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
[システム構成]
液圧制御ユニットHUは、ブレーキコントロールユニット(液圧制御部)BCUからの指令に基づいて、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧を増減または保持する。
モータジェネレータMGは、三相交流モータであり、左右後輪RL,RRのリアドライブシャフトRDS(RL),RDS(RR)とディファレンシャルギアDGを介してそれぞれ連結され、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、力行または回生運転し、後輪RL,RRに駆動力または回生制動力を付与する。
インバータINVは、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、バッテリBATTの直流電力を交流電力に変換しモータジェネレータMGに供給することで、モータジェネレータMGを力行運転する。一方、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、モータジェネレータMGで発生する交流電力を直流電力に変換してバッテリBATTを充電することで、モータジェネレータMGを回生運転する。
【0010】
モータコントロールユニットMCUは、駆動コントローラ1からの指令に基づいて、インバータINVに指令を出力する。また、ブレーキコントロールユニットBCUからの指令に基づいて、インバータINVに指令を出力する。
モータコントロールユニットMCUは、モータジェネレータMGによる駆動力または回生制動力の出力制御の状況と、現時点で発生可能な最大回生制動力を、通信線2を介してブレーキコントロールユニットBCU、駆動コントローラ1へと送る。ここで、「発生可能な最大回生制動力」は、例えば、バッテリBATTの端子間電圧と電流値とから推定されるバッテリSOCや、車輪速センサ3により算出(推定)される車体速(車速)から算出する。また、旋回時には、車両のステア特性も加味して算出する。
すなわち、バッテリSOCが上限値または上限値に近い状態にある満充電時には、バッテリ保護の観点から過充電防止を図る必要がある。また、制動により車速が減少した場合、モータジェネレータMGで発生可能な最大回生制動力は減少する。さらに、高速走行時に回生制動を行うと、インバータINVが高負荷となるため、高速走行時にも最大回生制動力を制限する。
【0011】
加えて、実施例1の車両では、回生制動力を後輪に付与しているため、旋回時に摩擦制動力に対して回生制動力過大、すなわち前輪に対して後輪の制動力が大き過ぎると、車両のステア特性はオーバーステア傾向が顕著となり、旋回挙動が乱れてしまう。このため、オーバーステア傾向が強くなった場合は最大回生制動力を制限し、旋回時における制動力の前後輪配分を、車両の諸元に応じた理想配分(例えば、前:後=6:4)に近づける必要がある。
モータジェネレータMG、インバータINV、バッテリBATTおよびモータコントロールユニットMCUより、車輪(左右後輪RL,RR)に対して回生制動力を発生させる回生制動装置が構成される。
駆動コントローラ1は、直接または通信線2を介して、アクセル開度センサ4からのアクセル開度、車輪速センサ3により算出される車速(車体速)、バッテリSOC等が入力される。
駆動コントローラ1は、各センサからの情報に基づき、エンジンENGの動作制御と、図外の自動変速機の動作制御と、モータコントロールユニットMCUへの指令によるモータジェネレータMGの動作制御とを行う。
【0012】
ブレーキコントロールユニットBCUは、直接または通信線2を介して、マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ操作状態検出部)5からのマスタシリンダ圧、ブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作状態検出部)6からのブレーキペダルストローク量、操舵角センサ7からのハンドル操舵角、車輪速センサ3からの各車輪速、ヨーレートセンサ8からのヨーレート、ホイルシリンダ圧センサ9からのホイルシリンダ圧、バッテリSOC等が入力される。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量に基づいて車両に必要な制動力であるドライバ要求制動力を算出する。そして、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とに配分し、回生制動力が得られるようモータコントロールユニットMCUへ指令を出力すると共に、摩擦制動力が得られるよう液圧制御ユニットHUの動作を制御する。
ここで、実施例1では、回生協調制御として、摩擦制動力よりも回生制動力を優先し、ドライバ要求制動力を回生分で賄える限りは液圧分を用いることなく、最大限(最大回生制動力)まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。なお、ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動中、車速の低下や上昇等に伴い回生制動力が制限される場合には、回生制動力を減少させ、その分だけ摩擦制動力を増加させて必要な制動力(ドライバ要求制動力)を確保する。逆に、回生制動力の制限が緩和された場合には、回生制動力を増加させ、その分だけ摩擦制動力を減少させる。
【0013】
[ブレーキ回路構成]
実施例1の液圧制御ユニットHUは、P系統(第1配管系統)とS系統(第2配管系統)との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、FL,RR,FR,RLは左前輪、右後輪、右前輪、左後輪に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはFL,RR,FR,RLの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、「クローズド油圧回路」とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。ちなみに、クローズド油圧回路に対し、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介すことなく直接リザーバタンクRSVへ戻すことが可能な油圧回路を、「オープン油圧回路」という。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。
P系統には、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。また、P系統、S系統には、ポンプPP、ポンプPSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、ギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動され、吸入部10aから吸入したブレーキ液を加圧して吐出部10bへ吐出する。
【0014】
マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとは、管路11と管路12により接続されている。管路12Pは、管路12FL,12RRに分岐し、管路12FLはホイルシリンダW/C(FL)と接続され、管路12RRはホイルシリンダW/C(RR)と接続されている。管路12Sは、管路12FR,12RLに分岐し、管路12FRはホイルシリンダW/C(FR)と接続され、管路12RLはホイルシリンダW/C(RL)と接続されている。管路11,12により、第1ブレーキ回路が構成される。管路11と管路12との接続点には、ホイルシリンダ圧センサ9が設けられている。
管路11上には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウトバルブ13が設けられている。P系統の管路11Pのゲートアウトバルブ13PよりもマスタシリンダM/C側の位置には、マスタシリンダ圧センサ5が設けられている。管路11上には、ゲートアウトバルブ13と並列に管路14が設けられている。管路14上には、チェックバルブ15が設けられている。チェックバルブ15は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路12上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドインバルブ(流入弁)16が設けられている。管路12上には、ソレノイドインバルブ16と並列に管路17が設けられている。管路17上には、チェックバルブ18が設けられている。チェックバルブ18は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0015】
管路11と管路12の接続点と、ポンプPの吐出部10bとは、管路(第2ブレーキ回路)19により接続されている。管路19上には、吐出弁20が設けられている。吐出弁20は、吐出部10bから管路11および管路12へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11のゲートアウトバルブ13よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとは、管路(第3ブレーキ回路)21により接続されている。管路21上には、常閉型の電磁弁であるゲートインバルブ(ソレノイド弁)23が設けられている。
管路12のソレノイドインバルブ16よりもホイルシリンダW/C側の位置と管路21とは、管路25と管路22により接続されている。管路25,22により、第4ブレーキ回路が構成される。管路25上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウトバルブ(流出弁)26が設けられている。
管路22上であってソレノイドアウトバルブ26よりも管路21との接続点側には、リザーバ24が設けられている。リザーバ24には、リザーバ内に貯留されたブレーキ液の液量を検出するリザーバ液量検出センサ(リザーバ液量算出部)27が設けられている。
管路22上であってリザーバ24と管路21との接続位置との間には、常閉の電磁弁であるカットオフバルブ(カットオフ弁)28が設けられている。カットオフバルブ28は、回生制動装置が作動中にリザーバ24から第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制するリザーバ内ブレーキ液流出抑制手段である。
ブレーキコントロールユニットBCUは、ブレーキペダルストロークセンサ6から得られるブレーキペダルストローク量と回生制動装置(モータジェネレータMG,インバータINV,バッテリBATT)の回生状態に応じてゲートインバルブ23、ゲートアウトバルブ13、ソレノイドインバルブ16、ソレノイドアウトバルブ26、カットオフバルブ28およびモータMを作動させ、ブレーキ液圧を制御する。ここで、ゲートアウトバルブ13、ソレノイドインバルブ16およびモータMはPWM制御し、ゲートインバルブ23、ソレノイドアウトバルブ26およびカットオフバルブ28はオンオフ制御する。
【0016】
[回生協調制御]
図3は、実施例1のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
倍力制御部30は、マスタシリンダ圧やブレーキペダルストローク量に基づいてドライバ要求制動力を算出し、算出したドライバ要求制動力が得られる各輪のホイルシリンダ圧であるドライバ要求ホイルシリンダ圧を算出する。
液量変換部31は、回生制動力をホイルシリンダW/Cの液量に変換し、回生協調目標減圧液量を算出する。
液圧変換部32は、回生協調目標減圧液量を液圧に変換する。
目標ホイルシリンダ圧算出部33は、ドライバ要求ホイルシリンダ圧から回生制動力の液圧換算分を減じた回生協調後目標ホイルシリンダ圧を出力する。
ホイルシリンダ液圧制御部34は、ホイルシリンダ圧が回生協調後目標ホイルシリンダ圧と一致するように、現在のホイルシリンダ圧をフィードバックし、ゲートアウトバルブ13、ゲートインバルブ23に指令電流(GVout電流、GVin電流)を出力する。
リザーバ液量制御部35は、リザーバ24に貯留されるブレーキ液量が回生協調目標減圧液量と一致するように、現在のリザーバ液量をフィードバックし、ソレノイドアウトバルブ26、カットオフバルブ28に指令電流(SOLout電流、CutOFFV電流)を出力する。
【0017】
[リザーバ液量制御処理]
図4は、実施例1のブレーキコントロールユニットBCUで実行される回生協調制御におけるリザーバ液量制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、液量変換部31において、回生制動力から回生協調目標減圧液量を算出する。
ステップS2では、リザーバ液量制御部35において、リザーバ液量検出センサ27により検出されたリザーバ液量を読み込む。
ステップS3では、リザーバ液量制御部35において、回生協調目標減圧液量がリザーバ液量と一致するか否かを判定し、YESの場合にはステップS5へ進み、NOの場合にはステップS4へ進む。
ステップS4では、リザーバ液量制御部35において、回生協調目標減圧液量がリザーバ液量よりも大きいか否かを判定し、YESの場合にはステップS6へ進み、NOに場合にはステップS7へ進む。
ステップS5では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28、ソレノイドアウトバルブ26およびモータMを全てOFF(非通電)とする。
ステップS6では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28およびモータMをOFFし、ソレノイドアウトバルブ26をOPEN駆動することにより、リザーバ24への減圧制御を行う。
ステップS7では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28をOPEN駆動し、モータMをONし、ソレノイドアウトバルブ26をOFFすることにより、リザーバ24からのポンプアップ制御を行う。
【0018】
次に、実施例1の作用を説明する。
図5は高車速域(例えば、100km/h)からドライバがブレーキペダルBPを踏み込んで車両が停止するまでの各制動力(ドライバ要求制動力、回生制動力、摩擦制動力)のタイムチャート、図6〜図9は各時点A,B,C,Dにおける液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。なお、油圧回路はP系統のみ図示するが、S系統についてもP系統と同じ動作を行う。
以下、Aから順に説明する。
【0019】
A.制動開始時
図6は、制動開始時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力に合わせて、ゲートインバルブ23およびモータMを駆動する。ただし、制動開始時のドライバ要求制動力は、回生制動力のみで賄われるため、ホイルシリンダ圧が上昇しないよう、ソレノイドアウトバルブ26をOPEN駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液(ブレーキフルード)をリザーバ24へ吸入させる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を回生制動力のみで賄うことができ、エネルギ回収効率が高められる。
B.制動力増加時
図7は、制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力に合わせて、ゲートインバルブ23およびモータMを駆動する。
ソレノイドアウトバルブ26を調圧駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ吸収させる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧となるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とにより達成できる。
【0020】
C.回生制動力増加時
図8は、回生制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力が一定であるため、ゲートインバルブ23およびモータMは停止させる。
ソレノイドアウトバルブ26を調圧駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ吸収させる。この結果、自動的にホイルシリンダ圧は摩擦制動力相当圧力となる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を満たしつつ、回生制動力の増加に対して摩擦制動力を低下させ、エネルギ回収効率を高めることができる。
D.回生制動終了時
図9は、回生制動終了時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力が一定であるため、ゲートインバルブ23は停止する。
カットオフバルブ28のOPEN駆動とモータMの駆動により、回生制動力の低下に合わせてブレーキ液をリザーバ24から吐出する。結果、自動的にホイルシリンダ圧は摩擦制動力相当圧力に上昇する。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を満たしつつ、回生制動力から摩擦制動力へのすり替えを実現できる。
【0021】
従来のブレーキ制御装置では、ポンプ駆動によるブレーキの倍力作用を実現するために、ポンプ吐出圧を増幅する増幅ピストンと、増幅ピストンを介してホイルシリンダ圧を加圧する経路と増幅ピストンを介さずにホイルシリンダ圧を加圧する経路とを切り替える2つの制御弁を設けることで、ポンプ駆動による倍力作用を実現しているが、部品点数の増加や構造の複雑化によるコストアップを招いている。
これに対し、実施例1のブレーキ制御装置では、従来のABS制御や車両挙動安定制御を実現可能な液圧制御ユニットに対し、3つのセンサ(ブレーキペダルストロークセンサ6、ホイルシリンダ圧センサ9、リザーバ液量検出センサ27)を追加し、通常、モータMの吸入側に設けられるチェックバルブを電磁弁(カットオフバルブ28)に変更した液圧制御ユニットHUを採用している。
実施例1の液圧制御ユニットHUにおいて、ドライバ要求ホイルシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも大きな値に設定し、ホイルシリンダ圧がドライバ要求ホイルシリンダ圧(回生制動力が出力されている場合は回生協調後目標ホイルシリンダ圧)と一致するようにポンプPを駆動するアクティブ増圧を行いつつ、ゲートアウトバルブ13およびゲートインバルブ23を作動することで、所望の倍力比が得られ、ポンプ駆動による倍力作用を実現できる。
また、液圧制御ユニットHUにおいて、ドライバ要求ホイルシリンダ圧から回生制動力相当液圧を減じた値を回生協調後目標ホイルシリンダ圧とし、ホイルシリンダ圧センサ9の検出値が回生協調後目標ホイルシリンダ圧と一致するようにポンプP、ゲートアウトバルブ13およびゲートインバルブ23をフィードバック制御しつつ、リザーバ液量検出センサ27の検出値が回生制動力相当液量と一致するようにポンプP、ソレノイドアウトバルブ26およびカットオフバルブ28をフィードバック制御することで、回生協調制御への対応を実現できる。
よって、実施例1のブレーキ制御装置は、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。また、既存の液圧制御ユニットを流用してさらなるコスト低減を図ることができる。
【0022】
実施例1の液圧制御ユニットHUは、管路21にゲートインバルブ23を設けたため、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んだとき、ポンプPの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できることから、管路21において、ゲートインバルブ23よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプPの耐久性をより高めることが可能である。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力に基づいて、各弁13,16,23,26,28およびポンプPを作動させてブレーキ液圧を制御するため、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動力が発生している場合、ソレノイドアウトバルブ26を開くため、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液のうち回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ貯留できる。このとき、管路22上であってリザーバ24と管路21との接続位置との間に設けたカットオフバルブ28は閉じているため、リザーバ24へ流入したブレーキ液がポンプPに吸入されるのを防止できる。
【0023】
ブレーキコントロールユニットBCUは、ソレノイドアウトバルブ26を開弁方向に駆動し、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液をホイルシリンダW/Cとリザーバ24に対して分配し、所望の制動力を得る。これにより、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とから達成できる。
ソレノイドアウトバルブ26を比例電磁弁としたため、リザーバ24へ貯留するブレーキ液をきめ細かく制御できる。
リザーバ24へのブレーキ液の貯留量を検出するリザーバ液量検出センサ27を備えるため、ブレーキ液の貯留量を正確に検出でき、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ貯留できる。
車両は左前輪FLと右後輪RRのグループからなるP系統と、右前輪FRと左後輪RLのグループからなるS系統を有し、各ブレーキ回路、ポンプP、リザーバ24およびカットオフバルブ28は、それぞれの系統に設けられていると共に、ホイルシリンダW/C、ソレノイドインバルブ16、ソレノイドアウトバルブ26および第4ブレーキ回路(25,22)は、各輪に設けられている。よって、一方の配管系統が故障した場合であっても、他方の配管系統を用いて正常時の半分の制動力を発生させることができる。
【0024】
次に、効果を説明する。
実施例1のブレーキ制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 回生制動装置(モータジェネレータMG,インバータINV,バッテリBATT)を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、マスタシリンダM圧を検出するマスタシリンダ圧センサ5と、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキペダルストロークセンサ6と、ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM/Cとブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダW/Cを接続する第1ブレーキ回路(管路11,12)と、マスタシリンダM/C内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁20を備えたポンプPと、第1ブレーキ回路とポンプPの吐出部10bとを接続する第2ブレーキ回路(管路19)と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとを接続する第3ブレーキ回路(管路21)と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもホイルシリンダW/C側に設けられたソレノイドインバルブ16と、第1ブレーキ回路上であってソレノイドインバルブ16よりもホイルシリンダW/C側の位置とポンプPの吸入部10aとを接続する第4ブレーキ回路(管路22,25)と、第4ブレーキ回路上に設けられたソレノイドアウトバルブ26と、第4ブレーキ回路上であってソレノイドアウトバルブ26よりも第3ブレーキ回路との接続点側に設けられたリザーバ24と、第4ブレーキ回路上であって、リザーバ24と第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフバルブ28と、を備えた。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
【0025】
(2) 管路21(第3ブレーキ回路)上にゲートインバルブ23を設けたため、ポンプPの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できるため、管路21において、ゲートインバルブ23よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプPの耐久性を高めることが可能である。
(3) マスタシリンダ圧センサ5およびブレーキペダルストロークセンサ6によって検出されたマスタシリンダ圧およびブレーキペダルストローク量と回生制動装置の回生状態とに基づいて、13,16,23,26,28と、ポンプPを作動させてブレーキ液圧を制御するブレーキコントロールユニットBCUを備えた。
よって、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
(4) カットオフバルブ28は、リザーバ24からポンプPへのブレーキ液の吸入量を制限するため、リザーバ24へ流入したブレーキ液がポンプPに吸入されるのを防止できる。
(5) ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧センサ5およびブレーキペダルストロークセンサ6によって検出されたマスタシリンダ圧およびブレーキペダルストローク量が検出され、回生制動装置が作動している間、ソレノイドインバルブ16およびソレノイドアウトバルブ26を開弁方向に、カットオフバルブ28を閉弁方向に駆動して、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液をリザーバ24へ貯留する。
よって、リザーバ24に回生制動力相当液量を貯留でき、エネルギ回収効率を高めることができる。
【0026】
〔実施例2〕
図10は、実施例2のブレーキ制御装置の回路構成図である。
実施例2では、液圧制御ユニットHUの配管系統をいわゆるH配管系統とした点で実施例1と相違する。実施例2の液圧制御ユニットHUは、左右前輪FL,FRのグループからなるP系統(第1配管系統)と、左右後輪RL,RRのグループからなるS系統(第2配管系統)を有する。
なお、他の構成は実施例1と同一である。
よって、実施例2のブレーキ制御装置では、一方の配管系統が故障して他方の配管系統により制動力を発生させる場合、左右均等に制動力を発生させることができるため、減速時における車両挙動の乱れを抑制できる。
【0027】
〔実施例3〕
図11は、実施例3のブレーキ制御装置の回路構成図である。
実施例3の液圧制御ユニットHUは、図2のゲートインバルブ23に代えて、調圧弁(一方向弁)41を設けたものである。調圧弁41は、管路21において、調圧弁41よりもマスタシリンダ側のブレーキ液の圧力がポンプ側のブレーキ液の圧力よりも高い場合に閉じるが、ポンプPの吸入側の圧力が負圧となった場合には開弁する。
なお、他の構成は実施例1と同一である。
実施例3のブレーキ制御装置では、液圧制御ユニットHUにおいて、管路21に調圧弁41を設けたため、実施例1のゲートインバルブ23と同様、ポンプPの吸入側に押圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。
また、実施例1の構成に対して2つの電磁弁(ゲートインバルブ23P,23S)を省くことができ、低コスト化を実現できる。
さらに、ゲートインバルブに代えて調圧リザーバを設けた従来の液圧制御ユニットに対し、調圧リザーバのリザーバ機能と調圧機能とを分離してその間にカットオフバルブ28を設けた構成であるため、既存の液圧制御ユニットを流用できる。
【0028】
〔実施例4〕
図12は、実施例4のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
実施例4では、リザーバ24に貯留されたブレーキ液量を推定するリザーバ液量推定部36を設けた点で実施例1と相違する。
リザーバ液量推定部36は、マスタシリンダ圧、ブレーキペダルストローク量およびホイルシリンダ圧に基づいて、リザーバ24に貯留されたブレーキ液量を推定する。ここで、液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路であるため、マスタシリンダ圧、ブレーキペダルストローク量およびホイルシリンダ圧からリザーバ液量を推定できる。
よって、実施例4では、リザーバ液量を推定するセンサが不要であるため、さらなるコストダウンを図ることができる。
【0029】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、本発明のブレーキ制御装置をハイブリッド車に適用した例を示したが、本発明は、電気自動車等の回生制動装置を備えた車両であれば、任意の車両に適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施例では、ドライバ要求制動力、回生制動力および摩擦制動力をブレーキコントロールユニットBCUが決定する例を示したが、ドライバ要求制動力および回生制動力は他のコントロールユニットにより決定される構成としてもよい。
【0030】
以下に、実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について説明する。
(a) 請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御部は、前記流出弁を開弁方向に駆動し、前記マスタシリンダから流出したブレーキ液を前記ホイルシリンダと前記リザーバに対して分配し、所望の制動力を得ることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、所望の制動力を回生制動力と摩擦制動力とから達成できる。
(b) (a)に記載のブレーキ制御装置において、
前記流出弁を比例電磁弁としたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、リザーバへ貯留するブレーキ液をきめ細かく制御できる。
【0031】
(c) 請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバへのブレーキ液の貯留量を算出するリザーバ液量算出部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバへ貯留できる。
(d) (c)に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバ液量算出部は、リザーバ液量検出センサであることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液の貯留量を正確に検出できる。
【0032】
(e) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上に前記マスタシリンダから流出したブレーキ液によって閉弁して前記ポンプの吸入側へのブレーキ液の流れを抑制する一方向弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。
(f) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は左前輪と右後輪のグループからなる第1配管系統と、右前輪と左後輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記各ブレーキ回路、前記ポンプ、前記リザーバおよび前記カットオフ弁は、それぞれの系統に設けられていると共に、前記ホイルシリンダ、前記流入弁、前記流出弁および前記第4ブレーキ回路は、各輪に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、一方の配管系統が故障した場合であっても他方の配管系統により正常時の半分の制動力を発生させることができる。
(g) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は左右前輪のグループからなる第1配管系統と、左右後輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記各ブレーキ回路、前記ポンプ、前記リザーバおよび前記カットオフ弁は、それぞれの系統に設けられていると共に、前記ホイルシリンダ、前記流入弁、前記流出弁および前記第4ブレーキ回路は、各輪に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、一方の配管系統が故障して他方の配管系統により制動力を発生させる場合、左右均等に制動力を発生させることができるため、減速時における車両挙動の乱れを抑制できる。
【0033】
(h) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は、前記回生制動装置を備えた車輪のグループからなる第1配管系統と、その他の車輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記カットオフ弁は、前記第1配管系統に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動装置を備えた車輪のホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液をリザーバへ逃がすことができる。
(i) 回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられ、前記流入弁および流出弁を経由して前記マスタシリンダから流出したブレーキ液が流入可能なリザーバと、
前記第4ブレーキ回路上であって、前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ前記リザーバに流入したブレーキ液をリザーバ内に貯留するように前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続を断つカットオフ弁と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
(j) (i)に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上にソレノイド弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できるため、第3ブレーキ回路において、ソレノイド弁よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプの耐久性を高めることが可能である。
【0034】
(k) (j)に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ操作状態と回生状態とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
(l) (k)に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上に前記マスタシリンダから流出したブレーキ液によって閉弁して前記ポンプの吸入側へのブレーキ液の流れを抑制する一方向弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に押圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。ソレノイド弁を設けた場合と比較して低コスト化を実現できる。
【0035】
(m) 回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられ、前記流入弁および流出弁を経由して前記マスタシリンダから流出したブレーキ液が流入可能なリザーバと、
前記回生制動装置が作動中に前記リザーバから前記第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制するリザーバ内ブレーキ液流出抑制手段と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
【0036】
(n) (m)に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバ内ブレーキ液流出抑制手段は、前記第4ブレーキ回路との接続点と間に設けられ前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続を断つカットオフ弁を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動装置が作動中にリザーバから第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制できる。
(o) (m)に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ操作状態と回生状態とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
【符号の説明】
【0037】
BATT バッテリ(回生制動装置)
BP ブレーキペダル
INV インバータ(回生制動装置)
M/C マスタシリンダ
MG モータジェネレータ(回生制動装置)
P ポンプ
W/C ホイルシリンダ
5 マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ操作状態検出部)
6 ブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作状態検出部)
11 管路(第1ブレーキ回路)
12 管路(第1ブレーキ回路)
16 ソレノイドインバルブ(流入弁)
19 管路(第2ブレーキ回路)
20 吐出弁
21 管路(第3ブレーキ回路)
22 管路(第4ブレーキ回路)
24 リザーバ
25 管路(第4ブレーキ回路)
26 ソレノイドアウトバルブ(流出弁)
28 カットオフバルブ(カットオフ弁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ制御装置では、ポンプ吐出圧を増幅する増幅ピストンと、増幅ピストンを介してホイルシリンダ圧を加圧する経路と増幅ピストンを介さずにホイルシリンダ圧を加圧する経路とを切り替える2つの制御弁を設けることで、ポンプ駆動によるブレーキの倍力作用を実現している。上記説明の技術に関係する一例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-302031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来装置において、構造をより簡単化して欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、構造をより簡単化できるブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のブレーキ制御装置では、リザーバとポンプの吸入側との間に設けられ、回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁を備えた。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のブレーキ制御装置では、構造をより簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の制動系を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図3】実施例1のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
【図4】実施例1のブレーキコントロールユニットBCUで実行される回生協調制御におけるリザーバ液量制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】高車速域からドライバがブレーキペダルBPを踏み込んで車両が停止するまでの各制動力(ドライバ要求制動力、回生制動力、摩擦制動力)のタイムチャートである。
【図6】制動開始時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図7】制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図8】回生制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図9】回生制動終了時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
【図10】実施例2のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図11】実施例3のブレーキ制御装置の回路構成図である。
【図12】実施例4のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施例は、多くのニーズに適応できるように検討されており、構造をより簡単化できることは検討されたニーズの1つである。以下の実施例では、さらに、既存の液圧制御ユニットを流用できるとのニーズにも対応している。
【0009】
〔実施例1〕
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の制駆動系を示すシステム構成図、図2は実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
[システム構成]
液圧制御ユニットHUは、ブレーキコントロールユニット(液圧制御部)BCUからの指令に基づいて、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧を増減または保持する。
モータジェネレータMGは、三相交流モータであり、左右後輪RL,RRのリアドライブシャフトRDS(RL),RDS(RR)とディファレンシャルギアDGを介してそれぞれ連結され、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、力行または回生運転し、後輪RL,RRに駆動力または回生制動力を付与する。
インバータINVは、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、バッテリBATTの直流電力を交流電力に変換しモータジェネレータMGに供給することで、モータジェネレータMGを力行運転する。一方、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、モータジェネレータMGで発生する交流電力を直流電力に変換してバッテリBATTを充電することで、モータジェネレータMGを回生運転する。
【0010】
モータコントロールユニットMCUは、駆動コントローラ1からの指令に基づいて、インバータINVに指令を出力する。また、ブレーキコントロールユニットBCUからの指令に基づいて、インバータINVに指令を出力する。
モータコントロールユニットMCUは、モータジェネレータMGによる駆動力または回生制動力の出力制御の状況と、現時点で発生可能な最大回生制動力を、通信線2を介してブレーキコントロールユニットBCU、駆動コントローラ1へと送る。ここで、「発生可能な最大回生制動力」は、例えば、バッテリBATTの端子間電圧と電流値とから推定されるバッテリSOCや、車輪速センサ3により算出(推定)される車体速(車速)から算出する。また、旋回時には、車両のステア特性も加味して算出する。
すなわち、バッテリSOCが上限値または上限値に近い状態にある満充電時には、バッテリ保護の観点から過充電防止を図る必要がある。また、制動により車速が減少した場合、モータジェネレータMGで発生可能な最大回生制動力は減少する。さらに、高速走行時に回生制動を行うと、インバータINVが高負荷となるため、高速走行時にも最大回生制動力を制限する。
【0011】
加えて、実施例1の車両では、回生制動力を後輪に付与しているため、旋回時に摩擦制動力に対して回生制動力過大、すなわち前輪に対して後輪の制動力が大き過ぎると、車両のステア特性はオーバーステア傾向が顕著となり、旋回挙動が乱れてしまう。このため、オーバーステア傾向が強くなった場合は最大回生制動力を制限し、旋回時における制動力の前後輪配分を、車両の諸元に応じた理想配分(例えば、前:後=6:4)に近づける必要がある。
モータジェネレータMG、インバータINV、バッテリBATTおよびモータコントロールユニットMCUより、車輪(左右後輪RL,RR)に対して回生制動力を発生させる回生制動装置が構成される。
駆動コントローラ1は、直接または通信線2を介して、アクセル開度センサ4からのアクセル開度、車輪速センサ3により算出される車速(車体速)、バッテリSOC等が入力される。
駆動コントローラ1は、各センサからの情報に基づき、エンジンENGの動作制御と、図外の自動変速機の動作制御と、モータコントロールユニットMCUへの指令によるモータジェネレータMGの動作制御とを行う。
【0012】
ブレーキコントロールユニットBCUは、直接または通信線2を介して、マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ操作状態検出部)5からのマスタシリンダ圧、ブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作状態検出部)6からのブレーキペダルストローク量、操舵角センサ7からのハンドル操舵角、車輪速センサ3からの各車輪速、ヨーレートセンサ8からのヨーレート、ホイルシリンダ圧センサ9からのホイルシリンダ圧、バッテリSOC等が入力される。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量に基づいて車両に必要な制動力であるドライバ要求制動力を算出する。そして、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とに配分し、回生制動力が得られるようモータコントロールユニットMCUへ指令を出力すると共に、摩擦制動力が得られるよう液圧制御ユニットHUの動作を制御する。
ここで、実施例1では、回生協調制御として、摩擦制動力よりも回生制動力を優先し、ドライバ要求制動力を回生分で賄える限りは液圧分を用いることなく、最大限(最大回生制動力)まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。なお、ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動中、車速の低下や上昇等に伴い回生制動力が制限される場合には、回生制動力を減少させ、その分だけ摩擦制動力を増加させて必要な制動力(ドライバ要求制動力)を確保する。逆に、回生制動力の制限が緩和された場合には、回生制動力を増加させ、その分だけ摩擦制動力を減少させる。
【0013】
[ブレーキ回路構成]
実施例1の液圧制御ユニットHUは、P系統(第1配管系統)とS系統(第2配管系統)との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、FL,RR,FR,RLは左前輪、右後輪、右前輪、左後輪に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはFL,RR,FR,RLの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、「クローズド油圧回路」とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。ちなみに、クローズド油圧回路に対し、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介すことなく直接リザーバタンクRSVへ戻すことが可能な油圧回路を、「オープン油圧回路」という。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。
P系統には、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。また、P系統、S系統には、ポンプPP、ポンプPSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、ギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動され、吸入部10aから吸入したブレーキ液を加圧して吐出部10bへ吐出する。
【0014】
マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとは、管路11と管路12により接続されている。管路12Pは、管路12FL,12RRに分岐し、管路12FLはホイルシリンダW/C(FL)と接続され、管路12RRはホイルシリンダW/C(RR)と接続されている。管路12Sは、管路12FR,12RLに分岐し、管路12FRはホイルシリンダW/C(FR)と接続され、管路12RLはホイルシリンダW/C(RL)と接続されている。管路11,12により、第1ブレーキ回路が構成される。管路11と管路12との接続点には、ホイルシリンダ圧センサ9が設けられている。
管路11上には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウトバルブ13が設けられている。P系統の管路11Pのゲートアウトバルブ13PよりもマスタシリンダM/C側の位置には、マスタシリンダ圧センサ5が設けられている。管路11上には、ゲートアウトバルブ13と並列に管路14が設けられている。管路14上には、チェックバルブ15が設けられている。チェックバルブ15は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路12上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドインバルブ(流入弁)16が設けられている。管路12上には、ソレノイドインバルブ16と並列に管路17が設けられている。管路17上には、チェックバルブ18が設けられている。チェックバルブ18は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0015】
管路11と管路12の接続点と、ポンプPの吐出部10bとは、管路(第2ブレーキ回路)19により接続されている。管路19上には、吐出弁20が設けられている。吐出弁20は、吐出部10bから管路11および管路12へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11のゲートアウトバルブ13よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとは、管路(第3ブレーキ回路)21により接続されている。管路21上には、常閉型の電磁弁であるゲートインバルブ(ソレノイド弁)23が設けられている。
管路12のソレノイドインバルブ16よりもホイルシリンダW/C側の位置と管路21とは、管路25と管路22により接続されている。管路25,22により、第4ブレーキ回路が構成される。管路25上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウトバルブ(流出弁)26が設けられている。
管路22上であってソレノイドアウトバルブ26よりも管路21との接続点側には、リザーバ24が設けられている。リザーバ24には、リザーバ内に貯留されたブレーキ液の液量を検出するリザーバ液量検出センサ(リザーバ液量算出部)27が設けられている。
管路22上であってリザーバ24と管路21との接続位置との間には、常閉の電磁弁であるカットオフバルブ(カットオフ弁)28が設けられている。カットオフバルブ28は、回生制動装置が作動中にリザーバ24から第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制するリザーバ内ブレーキ液流出抑制手段である。
ブレーキコントロールユニットBCUは、ブレーキペダルストロークセンサ6から得られるブレーキペダルストローク量と回生制動装置(モータジェネレータMG,インバータINV,バッテリBATT)の回生状態に応じてゲートインバルブ23、ゲートアウトバルブ13、ソレノイドインバルブ16、ソレノイドアウトバルブ26、カットオフバルブ28およびモータMを作動させ、ブレーキ液圧を制御する。ここで、ゲートアウトバルブ13、ソレノイドインバルブ16およびモータMはPWM制御し、ゲートインバルブ23、ソレノイドアウトバルブ26およびカットオフバルブ28はオンオフ制御する。
【0016】
[回生協調制御]
図3は、実施例1のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
倍力制御部30は、マスタシリンダ圧やブレーキペダルストローク量に基づいてドライバ要求制動力を算出し、算出したドライバ要求制動力が得られる各輪のホイルシリンダ圧であるドライバ要求ホイルシリンダ圧を算出する。
液量変換部31は、回生制動力をホイルシリンダW/Cの液量に変換し、回生協調目標減圧液量を算出する。
液圧変換部32は、回生協調目標減圧液量を液圧に変換する。
目標ホイルシリンダ圧算出部33は、ドライバ要求ホイルシリンダ圧から回生制動力の液圧換算分を減じた回生協調後目標ホイルシリンダ圧を出力する。
ホイルシリンダ液圧制御部34は、ホイルシリンダ圧が回生協調後目標ホイルシリンダ圧と一致するように、現在のホイルシリンダ圧をフィードバックし、ゲートアウトバルブ13、ゲートインバルブ23に指令電流(GVout電流、GVin電流)を出力する。
リザーバ液量制御部35は、リザーバ24に貯留されるブレーキ液量が回生協調目標減圧液量と一致するように、現在のリザーバ液量をフィードバックし、ソレノイドアウトバルブ26、カットオフバルブ28に指令電流(SOLout電流、CutOFFV電流)を出力する。
【0017】
[リザーバ液量制御処理]
図4は、実施例1のブレーキコントロールユニットBCUで実行される回生協調制御におけるリザーバ液量制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、液量変換部31において、回生制動力から回生協調目標減圧液量を算出する。
ステップS2では、リザーバ液量制御部35において、リザーバ液量検出センサ27により検出されたリザーバ液量を読み込む。
ステップS3では、リザーバ液量制御部35において、回生協調目標減圧液量がリザーバ液量と一致するか否かを判定し、YESの場合にはステップS5へ進み、NOの場合にはステップS4へ進む。
ステップS4では、リザーバ液量制御部35において、回生協調目標減圧液量がリザーバ液量よりも大きいか否かを判定し、YESの場合にはステップS6へ進み、NOに場合にはステップS7へ進む。
ステップS5では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28、ソレノイドアウトバルブ26およびモータMを全てOFF(非通電)とする。
ステップS6では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28およびモータMをOFFし、ソレノイドアウトバルブ26をOPEN駆動することにより、リザーバ24への減圧制御を行う。
ステップS7では、リザーバ液量制御部35において、カットオフバルブ28をOPEN駆動し、モータMをONし、ソレノイドアウトバルブ26をOFFすることにより、リザーバ24からのポンプアップ制御を行う。
【0018】
次に、実施例1の作用を説明する。
図5は高車速域(例えば、100km/h)からドライバがブレーキペダルBPを踏み込んで車両が停止するまでの各制動力(ドライバ要求制動力、回生制動力、摩擦制動力)のタイムチャート、図6〜図9は各時点A,B,C,Dにおける液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。なお、油圧回路はP系統のみ図示するが、S系統についてもP系統と同じ動作を行う。
以下、Aから順に説明する。
【0019】
A.制動開始時
図6は、制動開始時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力に合わせて、ゲートインバルブ23およびモータMを駆動する。ただし、制動開始時のドライバ要求制動力は、回生制動力のみで賄われるため、ホイルシリンダ圧が上昇しないよう、ソレノイドアウトバルブ26をOPEN駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液(ブレーキフルード)をリザーバ24へ吸入させる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を回生制動力のみで賄うことができ、エネルギ回収効率が高められる。
B.制動力増加時
図7は、制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力に合わせて、ゲートインバルブ23およびモータMを駆動する。
ソレノイドアウトバルブ26を調圧駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ吸収させる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧となるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とにより達成できる。
【0020】
C.回生制動力増加時
図8は、回生制動力増加時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力が一定であるため、ゲートインバルブ23およびモータMは停止させる。
ソレノイドアウトバルブ26を調圧駆動し、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ吸収させる。この結果、自動的にホイルシリンダ圧は摩擦制動力相当圧力となる。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を満たしつつ、回生制動力の増加に対して摩擦制動力を低下させ、エネルギ回収効率を高めることができる。
D.回生制動終了時
図9は、回生制動終了時の液圧制御ユニットHUの動作およびブレーキ液の流れを示す油圧回路図である。
ドライバ要求制動力が一定であるため、ゲートインバルブ23は停止する。
カットオフバルブ28のOPEN駆動とモータMの駆動により、回生制動力の低下に合わせてブレーキ液をリザーバ24から吐出する。結果、自動的にホイルシリンダ圧は摩擦制動力相当圧力に上昇する。
同時に、摩擦制動力相当のホイルシリンダ圧が保持できるように、ゲートアウトバルブ13を駆動する。
以上の動作により、ドライバ要求制動力を満たしつつ、回生制動力から摩擦制動力へのすり替えを実現できる。
【0021】
従来のブレーキ制御装置では、ポンプ駆動によるブレーキの倍力作用を実現するために、ポンプ吐出圧を増幅する増幅ピストンと、増幅ピストンを介してホイルシリンダ圧を加圧する経路と増幅ピストンを介さずにホイルシリンダ圧を加圧する経路とを切り替える2つの制御弁を設けることで、ポンプ駆動による倍力作用を実現しているが、部品点数の増加や構造の複雑化によるコストアップを招いている。
これに対し、実施例1のブレーキ制御装置では、従来のABS制御や車両挙動安定制御を実現可能な液圧制御ユニットに対し、3つのセンサ(ブレーキペダルストロークセンサ6、ホイルシリンダ圧センサ9、リザーバ液量検出センサ27)を追加し、通常、モータMの吸入側に設けられるチェックバルブを電磁弁(カットオフバルブ28)に変更した液圧制御ユニットHUを採用している。
実施例1の液圧制御ユニットHUにおいて、ドライバ要求ホイルシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも大きな値に設定し、ホイルシリンダ圧がドライバ要求ホイルシリンダ圧(回生制動力が出力されている場合は回生協調後目標ホイルシリンダ圧)と一致するようにポンプPを駆動するアクティブ増圧を行いつつ、ゲートアウトバルブ13およびゲートインバルブ23を作動することで、所望の倍力比が得られ、ポンプ駆動による倍力作用を実現できる。
また、液圧制御ユニットHUにおいて、ドライバ要求ホイルシリンダ圧から回生制動力相当液圧を減じた値を回生協調後目標ホイルシリンダ圧とし、ホイルシリンダ圧センサ9の検出値が回生協調後目標ホイルシリンダ圧と一致するようにポンプP、ゲートアウトバルブ13およびゲートインバルブ23をフィードバック制御しつつ、リザーバ液量検出センサ27の検出値が回生制動力相当液量と一致するようにポンプP、ソレノイドアウトバルブ26およびカットオフバルブ28をフィードバック制御することで、回生協調制御への対応を実現できる。
よって、実施例1のブレーキ制御装置は、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。また、既存の液圧制御ユニットを流用してさらなるコスト低減を図ることができる。
【0022】
実施例1の液圧制御ユニットHUは、管路21にゲートインバルブ23を設けたため、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んだとき、ポンプPの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できることから、管路21において、ゲートインバルブ23よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプPの耐久性をより高めることが可能である。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力に基づいて、各弁13,16,23,26,28およびポンプPを作動させてブレーキ液圧を制御するため、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動力が発生している場合、ソレノイドアウトバルブ26を開くため、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液のうち回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ貯留できる。このとき、管路22上であってリザーバ24と管路21との接続位置との間に設けたカットオフバルブ28は閉じているため、リザーバ24へ流入したブレーキ液がポンプPに吸入されるのを防止できる。
【0023】
ブレーキコントロールユニットBCUは、ソレノイドアウトバルブ26を開弁方向に駆動し、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液をホイルシリンダW/Cとリザーバ24に対して分配し、所望の制動力を得る。これにより、ドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とから達成できる。
ソレノイドアウトバルブ26を比例電磁弁としたため、リザーバ24へ貯留するブレーキ液をきめ細かく制御できる。
リザーバ24へのブレーキ液の貯留量を検出するリザーバ液量検出センサ27を備えるため、ブレーキ液の貯留量を正確に検出でき、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバ24へ貯留できる。
車両は左前輪FLと右後輪RRのグループからなるP系統と、右前輪FRと左後輪RLのグループからなるS系統を有し、各ブレーキ回路、ポンプP、リザーバ24およびカットオフバルブ28は、それぞれの系統に設けられていると共に、ホイルシリンダW/C、ソレノイドインバルブ16、ソレノイドアウトバルブ26および第4ブレーキ回路(25,22)は、各輪に設けられている。よって、一方の配管系統が故障した場合であっても、他方の配管系統を用いて正常時の半分の制動力を発生させることができる。
【0024】
次に、効果を説明する。
実施例1のブレーキ制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 回生制動装置(モータジェネレータMG,インバータINV,バッテリBATT)を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、マスタシリンダM圧を検出するマスタシリンダ圧センサ5と、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキペダルストロークセンサ6と、ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM/Cとブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダW/Cを接続する第1ブレーキ回路(管路11,12)と、マスタシリンダM/C内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁20を備えたポンプPと、第1ブレーキ回路とポンプPの吐出部10bとを接続する第2ブレーキ回路(管路19)と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとを接続する第3ブレーキ回路(管路21)と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもホイルシリンダW/C側に設けられたソレノイドインバルブ16と、第1ブレーキ回路上であってソレノイドインバルブ16よりもホイルシリンダW/C側の位置とポンプPの吸入部10aとを接続する第4ブレーキ回路(管路22,25)と、第4ブレーキ回路上に設けられたソレノイドアウトバルブ26と、第4ブレーキ回路上であってソレノイドアウトバルブ26よりも第3ブレーキ回路との接続点側に設けられたリザーバ24と、第4ブレーキ回路上であって、リザーバ24と第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフバルブ28と、を備えた。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
【0025】
(2) 管路21(第3ブレーキ回路)上にゲートインバルブ23を設けたため、ポンプPの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できるため、管路21において、ゲートインバルブ23よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプPの耐久性を高めることが可能である。
(3) マスタシリンダ圧センサ5およびブレーキペダルストロークセンサ6によって検出されたマスタシリンダ圧およびブレーキペダルストローク量と回生制動装置の回生状態とに基づいて、13,16,23,26,28と、ポンプPを作動させてブレーキ液圧を制御するブレーキコントロールユニットBCUを備えた。
よって、マスタシリンダ圧とブレーキペダルストローク量と回生制動力とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
(4) カットオフバルブ28は、リザーバ24からポンプPへのブレーキ液の吸入量を制限するため、リザーバ24へ流入したブレーキ液がポンプPに吸入されるのを防止できる。
(5) ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧センサ5およびブレーキペダルストロークセンサ6によって検出されたマスタシリンダ圧およびブレーキペダルストローク量が検出され、回生制動装置が作動している間、ソレノイドインバルブ16およびソレノイドアウトバルブ26を開弁方向に、カットオフバルブ28を閉弁方向に駆動して、マスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液をリザーバ24へ貯留する。
よって、リザーバ24に回生制動力相当液量を貯留でき、エネルギ回収効率を高めることができる。
【0026】
〔実施例2〕
図10は、実施例2のブレーキ制御装置の回路構成図である。
実施例2では、液圧制御ユニットHUの配管系統をいわゆるH配管系統とした点で実施例1と相違する。実施例2の液圧制御ユニットHUは、左右前輪FL,FRのグループからなるP系統(第1配管系統)と、左右後輪RL,RRのグループからなるS系統(第2配管系統)を有する。
なお、他の構成は実施例1と同一である。
よって、実施例2のブレーキ制御装置では、一方の配管系統が故障して他方の配管系統により制動力を発生させる場合、左右均等に制動力を発生させることができるため、減速時における車両挙動の乱れを抑制できる。
【0027】
〔実施例3〕
図11は、実施例3のブレーキ制御装置の回路構成図である。
実施例3の液圧制御ユニットHUは、図2のゲートインバルブ23に代えて、調圧弁(一方向弁)41を設けたものである。調圧弁41は、管路21において、調圧弁41よりもマスタシリンダ側のブレーキ液の圧力がポンプ側のブレーキ液の圧力よりも高い場合に閉じるが、ポンプPの吸入側の圧力が負圧となった場合には開弁する。
なお、他の構成は実施例1と同一である。
実施例3のブレーキ制御装置では、液圧制御ユニットHUにおいて、管路21に調圧弁41を設けたため、実施例1のゲートインバルブ23と同様、ポンプPの吸入側に押圧が作用するのを抑制でき、ポンプPの耐久性を高めることができる。
また、実施例1の構成に対して2つの電磁弁(ゲートインバルブ23P,23S)を省くことができ、低コスト化を実現できる。
さらに、ゲートインバルブに代えて調圧リザーバを設けた従来の液圧制御ユニットに対し、調圧リザーバのリザーバ機能と調圧機能とを分離してその間にカットオフバルブ28を設けた構成であるため、既存の液圧制御ユニットを流用できる。
【0028】
〔実施例4〕
図12は、実施例4のブレーキコントロールユニットBCUの回生協調制御ブロック図である。
実施例4では、リザーバ24に貯留されたブレーキ液量を推定するリザーバ液量推定部36を設けた点で実施例1と相違する。
リザーバ液量推定部36は、マスタシリンダ圧、ブレーキペダルストローク量およびホイルシリンダ圧に基づいて、リザーバ24に貯留されたブレーキ液量を推定する。ここで、液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路であるため、マスタシリンダ圧、ブレーキペダルストローク量およびホイルシリンダ圧からリザーバ液量を推定できる。
よって、実施例4では、リザーバ液量を推定するセンサが不要であるため、さらなるコストダウンを図ることができる。
【0029】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、本発明のブレーキ制御装置をハイブリッド車に適用した例を示したが、本発明は、電気自動車等の回生制動装置を備えた車両であれば、任意の車両に適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施例では、ドライバ要求制動力、回生制動力および摩擦制動力をブレーキコントロールユニットBCUが決定する例を示したが、ドライバ要求制動力および回生制動力は他のコントロールユニットにより決定される構成としてもよい。
【0030】
以下に、実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について説明する。
(a) 請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御部は、前記流出弁を開弁方向に駆動し、前記マスタシリンダから流出したブレーキ液を前記ホイルシリンダと前記リザーバに対して分配し、所望の制動力を得ることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、所望の制動力を回生制動力と摩擦制動力とから達成できる。
(b) (a)に記載のブレーキ制御装置において、
前記流出弁を比例電磁弁としたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、リザーバへ貯留するブレーキ液をきめ細かく制御できる。
【0031】
(c) 請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバへのブレーキ液の貯留量を算出するリザーバ液量算出部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動力相当液量のブレーキ液をリザーバへ貯留できる。
(d) (c)に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバ液量算出部は、リザーバ液量検出センサであることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液の貯留量を正確に検出できる。
【0032】
(e) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上に前記マスタシリンダから流出したブレーキ液によって閉弁して前記ポンプの吸入側へのブレーキ液の流れを抑制する一方向弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。
(f) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は左前輪と右後輪のグループからなる第1配管系統と、右前輪と左後輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記各ブレーキ回路、前記ポンプ、前記リザーバおよび前記カットオフ弁は、それぞれの系統に設けられていると共に、前記ホイルシリンダ、前記流入弁、前記流出弁および前記第4ブレーキ回路は、各輪に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、一方の配管系統が故障した場合であっても他方の配管系統により正常時の半分の制動力を発生させることができる。
(g) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は左右前輪のグループからなる第1配管系統と、左右後輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記各ブレーキ回路、前記ポンプ、前記リザーバおよび前記カットオフ弁は、それぞれの系統に設けられていると共に、前記ホイルシリンダ、前記流入弁、前記流出弁および前記第4ブレーキ回路は、各輪に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、一方の配管系統が故障して他方の配管系統により制動力を発生させる場合、左右均等に制動力を発生させることができるため、減速時における車両挙動の乱れを抑制できる。
【0033】
(h) 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記車両は、前記回生制動装置を備えた車輪のグループからなる第1配管系統と、その他の車輪のグループからなる第2配管系統を有し、
前記カットオフ弁は、前記第1配管系統に設けられていることを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動装置を備えた車輪のホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液をリザーバへ逃がすことができる。
(i) 回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられ、前記流入弁および流出弁を経由して前記マスタシリンダから流出したブレーキ液が流入可能なリザーバと、
前記第4ブレーキ回路上であって、前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ前記リザーバに流入したブレーキ液をリザーバ内に貯留するように前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続を断つカットオフ弁と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
(j) (i)に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上にソレノイド弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に高圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。また、ポンプ吸入側のブレーキ液圧をより細かく制御できるため、第3ブレーキ回路において、ソレノイド弁よりもポンプ側の圧力をマスタシリンダ側の圧力よりもわずかに低くすることで、ポンプ吸入側のブレーキ液圧を小さく抑え、ポンプの耐久性を高めることが可能である。
【0034】
(k) (j)に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ操作状態と回生状態とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
(l) (k)に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上に前記マスタシリンダから流出したブレーキ液によって閉弁して前記ポンプの吸入側へのブレーキ液の流れを抑制する一方向弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ポンプの吸入側に押圧が作用するのを抑制でき、ポンプの耐久性を高めることができる。ソレノイド弁を設けた場合と比較して低コスト化を実現できる。
【0035】
(m) 回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられ、前記流入弁および流出弁を経由して前記マスタシリンダから流出したブレーキ液が流入可能なリザーバと、
前記回生制動装置が作動中に前記リザーバから前記第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制するリザーバ内ブレーキ液流出抑制手段と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、簡単な構造でコストを抑制しつつ、ポンプ駆動による倍力作用と回生協調制御への対応を実現できる。
【0036】
(n) (m)に記載のブレーキ制御装置において、
前記リザーバ内ブレーキ液流出抑制手段は、前記第4ブレーキ回路との接続点と間に設けられ前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続を断つカットオフ弁を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、回生制動装置が作動中にリザーバから第3ブレーキ回路へのブレーキ液の流出を抑制できる。
(o) (m)に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ操作状態と回生状態とに応じた最適な摩擦制動力を出力できる。
【符号の説明】
【0037】
BATT バッテリ(回生制動装置)
BP ブレーキペダル
INV インバータ(回生制動装置)
M/C マスタシリンダ
MG モータジェネレータ(回生制動装置)
P ポンプ
W/C ホイルシリンダ
5 マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ操作状態検出部)
6 ブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作状態検出部)
11 管路(第1ブレーキ回路)
12 管路(第1ブレーキ回路)
16 ソレノイドインバルブ(流入弁)
19 管路(第2ブレーキ回路)
20 吐出弁
21 管路(第3ブレーキ回路)
22 管路(第4ブレーキ回路)
24 リザーバ
25 管路(第4ブレーキ回路)
26 ソレノイドアウトバルブ(流出弁)
28 カットオフバルブ(カットオフ弁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられたリザーバと、
前記第4ブレーキ回路上であって、前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ前記回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上にソレノイド弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキ制御装置において、
前記カットオフ弁は、前記リザーバから前記ポンプへのブレーキ液の吸入量を制限することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御部は、前記ブレーキ操作状態検出部によってブレーキ操作が検出され、前記回生制動装置が作動している間、前記流入弁および前記流出弁を開弁方向に、前記カットオフ弁を閉弁方向に駆動して、前記マスタシリンダから流出したブレーキ液を前記リザーバへ貯留するようにしたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項1】
回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ドライバのブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出部と、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記マスタシリンダ内のブレーキ液を吸入可能であって吐出側に吐出弁を備えたポンプと、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記第3ブレーキ回路とを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記第4ブレーキ回路上であって前記流出弁よりも前記第3ブレーキ回路との接続点側に設けられたリザーバと、
前記第4ブレーキ回路上であって、前記リザーバと前記第3ブレーキ回路との接続位置との間に設けられ前記回生制動装置の作動状態に応じて作動するカットオフ弁と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記第3ブレーキ回路上にソレノイド弁を設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキ制御装置において、
前記ブレーキ操作状態検出部によって検出されたブレーキ操作状態と前記回生制動装置の回生状態とに基づいて、各弁と、前記ポンプを作動させブレーキ液圧を制御する液圧制御部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキ制御装置において、
前記カットオフ弁は、前記リザーバから前記ポンプへのブレーキ液の吸入量を制限することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御部は、前記ブレーキ操作状態検出部によってブレーキ操作が検出され、前記回生制動装置が作動している間、前記流入弁および前記流出弁を開弁方向に、前記カットオフ弁を閉弁方向に駆動して、前記マスタシリンダから流出したブレーキ液を前記リザーバへ貯留するようにしたことを特徴とするブレーキ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−10407(P2013−10407A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143648(P2011−143648)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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