説明

ブレーキ液圧制御用アクチュエータ

【課題】簡素な電気的接続構造により、圧力センサのターミナルと回路基板に備えられる配線との電気的な接続およびその接続の切り離しが行えるようにする。
【解決手段】凹部53aが形成された絶縁部材53と、凹部53a内に配置されるコイルばね部52aおよび凹部53aの底部から絶縁部材53を貫通して回路基板5におけるパッド部5bと電気的に接続される貫通配線52cを有する配線部52とを備えた接続用部品51を回路基板5に固定する。ターミナル7を圧力センサ3のボディ3aに対して固定し、ボディ3aから直線状に突き出した棒状部材とする。ケース6とブロック2とを組み付けると、ターミナル7の先端が絶縁部材53の凹部53a内に挿入されて配線部52と電気的に接続され、ケース6とブロック2とを分解すると、ターミナル7の先端が凹部53aから離れることでターミナル7と配線部52との接続が切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧の検出を行う圧力センサと回路基板とを電気的に接続する構造を有し、圧力センサに備えられるターミナルと回路基板に備えられる制御回路との電気的接続およびその切り離しが行えるブレーキ液圧制御用アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられる圧力センサと回路基板に形成された制御回路との電気的接続は、圧力センサに備えられたターミナルを回路基板上のパッドに直接ハンダ付けすることによって為されていた。
【0003】
しかしながら、ブレーキ液圧制御用アクチュエータにおいては、圧力センサや回路基板の制御回路に含まれるICチップ等が故障した際に、修理を行うために、その故障箇所の取り替えを行う必要がある。このため、ハンダ付けのように圧力センサに備えられたターミナルと回路基板上のパッドとが強固に接続されてしまうものではなく、容易にターミナルが電気的接続部位から取り外せるような構造が望ましい。
【0004】
このように、圧力センサのターミナルが回路基板のパッドから容易に取り外せる構造として、例えば、特許文献1に示されるものがある。ここに示される圧力センサは、コンタクトプローブを外筒部とロッドおよびコイルばねとによって構成し、外筒部内にロッドを挿入し、ロッドをコイルばねによって一方向に押圧できる構造とされている。このような構造により、回路基板のパッドに対してコンタクトプローブが押し付けられると、ロッドがコイルばねの弾性力によってパッド側に押圧され、ロッドとパッドとの接触が確保されることで、圧力センサとパッドとの電気的な接続を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−42144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される圧力センサの電気的接続構造のように、コンタクトプローブを外筒部とロッドおよびコイルばねによって構成する場合、外筒部のような金属を細い筒状のものに加工することは難しい。特に、装置の小型化に伴って各要素の微細化が進められると、外筒部のような複雑な構造を構成し難く、微細化に対応できない。
【0007】
また、外筒部をなくしてコンタクトプローブをロッドおよびコイルばねのみによって構成することも考えられるが、コイルばねの一端にロッドが取り付けられた構造になるため、コイルばねの変形によってロッドの先端位置がずれる。このため、ロッドの先端位置のずれを許容できるように回路基板のパッドの面積を拡大する必要があるため、結局微細化に対応できなくなる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、簡素な電気的接続構造により、圧力センサのターミナルと回路基板に備えられる配線との電気的な接続およびその接続の切り離しが行えるブレーキ液圧制御用アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ケース(6)がブロック(2)に組み付けられることで、圧力センサ(3)がターミナル(7)を介して接続部(5b)に電気的に接続されることで、圧力センサ(3)と回路基板(5)に形成された制御回路とが電気的に接続されるブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、圧力センサ(3)は、回路基板(5)側に絶縁材料で構成されたボディ(3a)を有し、ターミナル(7)は、ボディ(3a)に固定され、ボディ(3a)からケース(6)のブロック(2)への組み付け方向およびケース(6)のブロック(2)からの分離方向に延びる棒状に導電材料で構成され、回路基板(5)における圧力センサ(3)側の一面に固定され、ターミナル(7)の形状に応じてターミナル(7)の延伸方向に窪む凹部(53a)を形成する絶縁部材(53)と、凹部(53a)内に配置されると共に該凹部(53a)内において伸縮可能に導電材料で構成された弾性導体部(52a、52d)と、絶縁部材(53)を貫通して回路基板(5)における接続部(5b)と弾性導体部(52a、52d)とを電気的に接続する貫通配線(52b)と、を備え、ケース(6)がブロック(2)に組み付けられると、ターミナル(7)の先端が凹部(53a)内で弾性導体部(52a、52d)により圧力センサ(3)側に押圧された状態で接続部(5b)と電気的に接続され、ケース(6)がブロック(2)から分離されるとターミナル(7)の先端が凹部(53a)から離れることでターミナル(7)と配線部(52)との接続が切り離されることを特徴としている。
【0010】
このような構造により、圧力センサ(3)のターミナル(7)を外筒部が無い簡素な電気的接続構造としても、圧力センサ(3)のターミナル(7)と回路基板(5)に備えられる制御回路との電気的な接続およびその接続の切り離しが行えるようにできる。これにより、装置の小型化に伴って各要素の微細化が進められても、外筒部のような複雑な構造を構成する必要がないため、微細化に対応することも可能となる。
【0011】
また、圧力センサ(3)のターミナル(7)をコイルばねによって支持するような構造ではないため、ターミナル(7)は基本的には直線状に延設された状態となる。このため、ターミナル(7)の先端位置のずれは少なく、ターミナル(7)の先端が確実に接続用部品(5)の凹部(53a)内に挿入されるようにできる。したがって、接続用部品(51)の電気的接続が行われる部分の面積を必要以上に大きくしなくても良く、微細化に対応することも可能となる。
【0012】
例えば、請求項2に記載したように、弾性導体部(52a、52d)の圧力センサ(3)側端部に接続され、弾性導体部(52a、52d)の伸縮に伴って凹部(53a)内を摺動する電極パッド(52b)を備え、ケース(6)とブロック(2)とが組み付けられるときには、電極パッド(52b)を介してターミナル(7)と弾性導体部(52a、52d)の電気的接続が行われる構成とされる。
【0013】
このように、電極パッド(52b)を備えることで、ターミナル(7)の先端と広面積で接触させられ、よりターミナル(7)と配線部(52)との電気的接続を確保することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載したように、弾性導体部をコイルばね部(52a)で構成すると共に、ターミナル(7)を先端が先細り形状とし、ケース(6)とブロック(2)とが組み付けられるときに、ターミナル(7)の先端がコイルばね部(52a)の内部に挿入されることで、ターミナル(7)とコイルばね部(52a)とが電気的に接続される構成とされても良い。このような構成とされても、ターミナル7と配線部52との電気的接続を確保できる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の一部断面概略図である。
【図2】(a)は、図1におけるターミナル7の近傍を拡大した図であり、(b)は、圧力センサ3の上面図である。
【図3】図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付け前の様子を示した一部断面概略図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1のうちの圧力センサ3のターミナル7の近傍を拡大した図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1のうちの圧力センサ3のターミナル7の近傍を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態が適用されたブレーキ液圧制御用アクチュエータについて説明する。図1は、本実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の一部断面概略図である。
【0019】
この図に示されるように、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1は、ブレーキ液圧制御を行うための配管(図示せず)が形成された金属製のブロック2と、この金属製のブロック2に対して嵌め込まれた圧力センサ3や図示しない電磁弁およびポンプと、ブロック2のうち電磁弁や圧力センサ3と反対側に備えられたポンプ駆動用のモータ4と、圧力センサ3や電磁弁およびモータ4を駆動するための制御回路が組み込まれた回路基板5と、回路基板5を収容するケース6とを備えている。
【0020】
ブロック2は、例えば直方体で構成されており、その一面に圧力センサ3や電磁弁が並べられて固定されている。具体的には、金属製ブロック2には、ブレーキ液圧制御を行うための配管に接続される凹部2aが複数箇所に形成されており、この凹部2a内に圧力センサ3および電磁弁の一部が挿入されて固定されている。これら圧力センサ3や電磁弁については、ブロック2から外れてしまうと、ブロック2に形成された配管からブレーキ液が洩れてしまうことになるため、圧力センサ3や電磁弁の周囲のシール性が保たれた状態で例えばブロック2に対してカシメ固定されている。
【0021】
また、圧力センサ3や電磁弁のうちブロック2から突出した部分の先端位置からは、回路基板5に形成された制御回路との電気的な接続を図るためのターミナル(リードピン)7が引き出されている。
【0022】
ケース6には、回路基板5が収容されるスペースと圧力センサ3や電磁弁が収容されるスペースが備えられている。そして、回路基板5およびケース6の所望箇所に固定部が備えられ、この固定部で例えばネジでの締結もしくはフックでの締結が行われることで回路基板5がケース6に固定されている。
【0023】
このようにケース6に固定された回路基板5のうち圧力センサ3側に接続用部品51が備えられており、この接続用部品51を介して圧力センサ3のターミナル7が回路基板5の配線の所望位置に電気的に接続されている。
【0024】
この圧力センサ3のターミナル7と接続用部品51および回路基板5の配線との電気的な接続構造の詳細について、図2を参照して説明する。図2(a)は、図1におけるターミナル7の近傍を拡大した図であり、図2(b)は、圧力センサ3の上面図である。
【0025】
図2(a)に示されるように、本実施形態では、圧力センサ3のターミナル7は、樹脂などの絶縁材料で構成された圧力センサ3のボディ3aに一体成形されている。ターミナル7は、ボディ3aから当該ボディ3aの圧力センサ3が固定されている一面に対して垂直方向に直線状に突き出した棒状部材によって構成されており、先端が平坦面とされ、断面形状が円形、四角形もしくは他の多角形などとされている。
【0026】
本実施形態では、ターミナル7は、図2(b)に示すように4つ備えられており、各ターミナル7が圧力センサ3の所望部位と電気的に接続されている。具体的には、圧力センサ3の内部構造については、従来と同様であるため省略してあるが、例えば半導体チップを部分的に薄膜化させたダイアフラムにホイートストンブリッジを構成するゲージ抵抗が備えられ、ホイートストンブリッジの電源端子と2つの中間端子およびGND端子の4つに対してそれぞれターミナル7が接続された構造とされている。圧力センサ3の電源端子に対して電圧が印加されているときには、ダイアフラム部にブレーキ液圧が印加されることでゲージ抵抗の抵抗値が変化し、2つの中間端子の出力電位が変化する。この2つの中間端子の出力電位に基づいてブレーキ液圧を検出することができる。なお、ここでは圧力センサ3のターミナル7が4つ備えられている場合を例に挙げているが、これは単なる一例を示したものであり、ターミナル7の数については他の数、例えば3つであっても良い。
【0027】
一方、回路基板5には、圧力センサ3や電磁弁およびモータ4を駆動するための制御回路が組み込まれており、その制御回路を構成する配線パターンが形成されている。そして、配線パターンの所望場所にスルーホール5aが形成されており、このスルーホール5aに接続用部品51の配線部52の一部が挿入され、スルーホール5aに備えられた接続部としてのパッド部5bに対してはんだ付けにより電気的に接続されている。
【0028】
接続用部品51は、配線部52を絶縁部材53に形成された円柱状の凹部53a内に配置することによって構成されている。配線部52は、絶縁部材53の凹部53a内に収容されるコイルばね部52aと、コイルばね部52aの一端側に備えられた直線状配線52bと、コイルばね部52aの他端、つまり凹部53aの入口側に配置された電極パッド52cとを有した構成とされている。これらコイルばね部52a、直線状配線52bおよび電極パッド52cはすべて導体によって構成されている。
【0029】
コイルばね部52aは、凹部53aよりも外形が小さくされており、凹部53a内において弾性力によって伸縮自在とされている。本実施形態では、このコイルばね部52aが弾性導体部を構成している。
【0030】
直線状配線52bは、コイルばね部52aの一端を直線状に延設すること、もしくは、コイルばね部52aの一端に溶接等によって接合されることによって構成されている。直線状配線52bは、貫通配線に相当するもので、絶縁部材53の凹部53aの底部を貫通して回路基板5側に突き出しており、この直線状配線52bのうち絶縁部材53から突き出している部分が回路基板5のスルーホール5aに挿入されることで、回路基板5に形成された配線パターンの所望場所との電気的接続が為されている。
【0031】
電極パッド52cは、板状部材で構成され、コイルばね部52aの他端に溶接等によって接合されており、コイルばね部52aの伸縮に伴って凹部53a内を摺動する。本実施形態では、電極パッド52cを円形状で構成してあり、少なくとも外周部に所定の厚みを持たせることで電極パッド52cが傾倒することなく凹部53a内を摺動できるようにしてある。これにより、電極パッド52cをガイドとして機能させている。また、電極パッド52cのうちのコイルばね部52a側ではコイルばね部52aが嵌り込む凹みが形成されており、この凹みにおいてコイルばね部52aと電極パッド52cとが溶接されている。なお、電極パッド52cは、凹部53aと同じ形状で構成されると好ましいが、凹部53a内において摺動できればよいため、凹部53aと異なる形状であっても構わない。
【0032】
絶縁部材53は、樹脂などの絶縁材料によって構成されており、圧力センサ3の各ターミナル7と対応する位置に凹部53aが形成された構造とされている。各凹部53a内に、上記したコイルばね部52aおよび電極パッド52cが配置され、凹部53aの底部に直線状配線52bが挿通されている。絶縁部材53は、例えば樹脂成形などによって形成されている。絶縁部材53と配線部52とを、一体成形することで接合用部品51を構成することもできるし、成形後の絶縁部材53の凹部53aの底部に配線部52の直線状配線52bを挿通させることで接合用部品51を構成することもできる。
【0033】
このように構成された接続用部品51を介して、圧力センサ3のターミナル7が回路配線5の配線パターンの所望場所に電気的に接続されることで、図1に示すブレーキ液圧制御用アクチュエータ1が構成されている。
【0034】
以上のように構成されたブレーキ液圧制御用アクチュエータ1は、次のようにして組み付けられている。
【0035】
図3は、図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付け前の様子を示したものである。この図に示されるように、ブロック2に対して圧力センサ3やモータなどを固定してユニット化したものと、ケース6に回路基板5を固定してユニット化したものとを用意する。
【0036】
続いて、これらのうちの少なくとも一方を図3の矢印のように移動させることで、ユニット化されたケース6とブロック2とを組み付けて一体化させる。このとき、ターミナル7の先端が電極パッド52cに接触し、コイルばね部52aの弾性力に抗して電極パッド52cを凹部53aの奥側に押し込む。そして、各ユニットをネジ締めなどによって固定する。これにより、ターミナル7の先端が電極パッド52cに接触し、かつ、コイルばね部52aの弾性力に基づき、ターミナル7の先端が電極パッド52cを押圧した状態でターミナル7の先端と電極パッド52cとの接触が確保される。これにより、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1が完成する。
【0037】
このようにして、2つのユニットを一体化させられると共に、ターミナル7と接続用部品51の配線部52との電気的な接続が行われ、圧力センサ3と回路基板5に設けられた制御回路の配線パターンの所望箇所との電気的な接続が為される。そして、このような接続構造であれば、制御回路の故障などにより、回路基板5に備えられる制御回路のICチップ等を取り替える際に、再び、2つのユニットに分解しても、ターミナル7が電極パッド52cと接触させられているだけであり、はんだ付けなどによって接合されていないため、ターミナル7が凹部53aから離れることで容易にターミナル7と配線部52との接続の切り離しが行われる。
【0038】
以上説明したブレーキ液圧制御用アクチュエータ1では、圧力センサ3のターミナル7を外筒部が無い簡素な電気的接続構造としても、圧力センサ3のターミナル7と回路基板5に備えられる制御回路との電気的な接続およびその接続の切り離しが行えるようにできる。これにより、装置の小型化に伴って各要素の微細化が進められても、外筒部のような複雑な構造を構成する必要がないため、微細化に対応することも可能となる。
【0039】
また、圧力センサ3のターミナル7をコイルばねによって支持するような構造ではないため、ターミナル7は基本的には直線状に延設された状態となる。このため、ターミナル7の先端位置のずれは少なく、ターミナル7の先端は確実に凹部53a内に挿入されるようにできる。したがって、接続用部品51のうち電気的接続が行われる部分(電極パッド52c)の面積を必要以上に大きくしなくても良く、微細化に対応することも可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、配線部52に電極パッド52bを備えた構成としているが、電極パッド52bを備えることで、ターミナル7の先端と広面積で接触させられ、よりターミナル7と配線部52との電気的接続を確保することが可能となる。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して接続用部品51の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
図4は、本実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1のうちの圧力センサ3のターミナル7の近傍を拡大した図である。なお、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の基本的な全体構成については、第1実施形態で説明した図1と同様である。
【0043】
上記第1実施形態では、弾性導体部としてコイルばね部52aを用いたが、本実施形態では、図4に示すように、弾性導体部として導電性ゴム52dを用いている。導電性ゴム52dは、導体を錬り込んだゴム部材52dによって構成されており、少なくとも圧力センサ3のターミナル7の先端によって伸縮させられる方向において通電が行える構成とされている。この導電性ゴム52dの一端に直線状配線52bが接合されると共に、他端に電極パッド52cが接合されることにより、配線部52が構成されている。
【0044】
このように、本実施形態では、弾性導体部として導電性ゴム52dを用いるようにしている。このような構成とされても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して接続用部品51および圧力センサ3のターミナル7の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図5は、本実施形態にかかるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1のうちの圧力センサ3のターミナル7の近傍を拡大した図である。なお、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の基本的な全体構成については、第1実施形態で説明した図1と同様である。
【0047】
本実施形態でも、配線部52にコイルばね部52aと直線状配線52bを備えているが、図5に示すように、第1実施形態で使用していた電極パッド52cについては備えず、コイルばね部52aの内部に圧力センサ3のターミナル7の先端を挿入することで、コイルばね部52aと圧力センサ3のターミナル7との電気的接続が行えるようにしている。ターミナル7の先端は、コイルばね部52aに接触させられればどのような形状であっても良いが、本実施形態ではコイルばね部52a内に一部挿入され、かつ、コイルばね部52aの内周部と広範囲に接触させられるように、先細り形状とされている。
【0048】
このように、本実施形態では、コイルばね部52aに圧力センサ3のターミナル7が直接接触させられる構造としている。このような構成とされても、ターミナル7と配線部52との電気的接続を確保でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(他の実施形態)
上記各実施形態において、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1を構成する各部の構造の一例を示したが、適宜設計変更可能である。例えば、ブロック2やケース6の形状等やこれらの固定構造を適宜変更しても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、配線部52のうちの直線状配線52bを回路基板5のスルーホール5a内に挿入する構造としたが、そのような構造としなくても良い。すなわち、貫通配線が回路基板5に対してはんだバンプなどを介して表面実装されるような接続構造とされていても良い。
【0051】
また、上記実施形態では、直線状配線53bが絶縁部材53の凹部53aの底部を貫通する構成としたが、凹部53aの側壁を貫通させても良い。この場合、絶縁部材53の凹部53aの側壁を貫通させた直線状配線53bに面実装用のピンやタブを接続することが考えられる。
【符号の説明】
【0052】
1…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、2…ブロック、3…圧力センサ、3a…ボディ、4…モータ、5…回路基板、5a…スルーホール、5b…パッド部、6…ケース、7…ターミナル、51…接続用部品、52…配線部、52a…コイルばね部、52b…直線状配線、52c…電極パッド、52d…導電性ゴム、53…絶縁部材、53a…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ配管が形成されたブロック(2)と、
前記ブロック(2)における一面に備えられ、ターミナル(7)を有してなる圧力センサ(3)と、
前記圧力センサ(3)を駆動するための制御回路および該制御回路に電気的に接続される接続部(5b)が形成された回路基板(5)と、
前記回路基板(5)を収容するケース(6)と、
前記ケース(6)が前記ブロック(2)に組み付けられることで、前記圧力センサ(3)が前記ターミナル(7)を介して前記接続部(5b)に電気的に接続されることで、前記圧力センサ(3)と前記制御回路とが電気的に接続されるブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、
前記圧力センサ(3)は、前記回路基板(5)側に絶縁材料で構成されたボディ(3a)を有し、
前記ターミナル(7)は、前記ボディ(3a)に固定され、当該ボディ(3a)から前記ケース(6)の前記ブロック(2)への組み付け方向および前記ケース(6)の前記ブロック(2)からの分離方向に延びる棒状に導電材料で構成され、
前記回路基板(5)における前記圧力センサ(3)側の一面に固定され、前記ターミナル(7)の形状に応じて当該ターミナル(7)の延伸方向に窪む凹部(53a)を形成する絶縁部材(53)と、
前記凹部(53a)内に配置されると共に該凹部(53a)内において伸縮可能に導電材料で構成された弾性導体部(52a、52d)と、
前記絶縁部材(53)を貫通して前記回路基板(5)における前記接続部(5b)と前記弾性導体部(52a、52d)とを電気的に接続する貫通配線(52b)と、を備え、
前記ケース(6)が前記ブロック(2)に組み付けられると、前記ターミナル(7)の先端が前記凹部(53a)内で前記弾性導体部(52a、52d)により前記圧力センサ(3)側に押圧された状態で前記接続部(5b)と電気的に接続され、前記ケース(6)が前記ブロック(2)から分離されると前記ターミナル(7)の先端が前記凹部(53a)から離れることで当該ターミナル(7)と前記配線部(52)との接続が切り離されることを特徴とするブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項2】
前記弾性導体部(52a、52d)の前記圧力センサ(3)側端部に接続され、前記弾性導体部(52a、52d)の伸縮に伴って前記凹部(53a)内を摺動する電極パッド(52b)を備え、前記ケース(6)と前記ブロック(2)とが組み付けられるときには、前記電極パッド(52b)を介して前記ターミナル(7)と前記弾性導体部(52a、52d)の電気的接続が行われることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項3】
前記弾性導体部は、コイルばね部(52a)であり、
前記ターミナル(7)は、先端が先細り形状とされており、
前記ケース(6)と前記ブロック(2)とが組み付けられるときには、前記ターミナル(7)の先端が前記コイルばね部(52a)の内部に挿入されることで、前記ターミナル(7)と前記コイルばね部(52a)との電気的接続が行わることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240640(P2012−240640A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115761(P2011−115761)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】