説明

ブレーキ装置

【課題】回生協調を行なうブレーキ装置において、ブレーキペダルを急操作したとき、ブレーキペダルに適度な反力を与えると共に液圧制御装置に円滑にブレーキ液を供給する。
【解決手段】ブレーキペダル19によってマスタシリンダ110でブレーキ液圧を発生させて、各車輪のホイールシリンダBa〜Bdに供給する。リザーバポート166、167を開いた状態で回生ブレーキ装置8により回生制動を行ない、液圧制御装置5によってホイールシリンダBa〜Bdに供給するブレーキ液圧を調整して回生協調制御を実行する。ブレーキペダル19の急操作に対して、リザーバポート166、167のオリフィスにより適度な反力を付与し、また、リザーバポート166、167をバイパスするバイパス通路180、181及び逆止弁182、183により、液圧制御装置5にブレーキ液を円滑に供給して、プライマリ及びセカンダリ室162、163の過度の減圧を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ装置において、液圧式ブレーキによる摩擦制動とモータジェネレータ等の発電機による回生制動との制動力配分を制御して所望の制動力を得る回生協調制御が知られている。特許文献1には、マスタシリンダと各車輪の液圧ブレーキとの間に、ポンプ、アキュムレータ及び電磁弁等からなり液圧ブレーキに供給する液圧を増減及び保持する液圧制御装置が介装され、この液圧制御装置によって回生制動時に液圧ブレーキに供給する液圧を調整することにより回生協調制御を行なうブレーキ制御装置が記載されている。
【0003】
このブレーキ制御装置では、ブレーキペダルの操作量が所定ストローク以下の場合、マスタシリンダでブレーキ液圧を発生させないことにより、最大限の回生エネルギーが得られるようにしている。また、回生協調制御時にブレーキペダルを急操作したとき、液圧制御装置の応答遅れ及びブレーキペダルの反力の不足による違和感を防止するため、マスタシリンダとリザーバとを連通するリザーバポートに、オリフィスと逆止弁とを並列に配置している。このことにより、ブレーキペダルの急操作時には、オリフィスの流通抵抗により適度な反力を得ると共に、逆止弁の開弁によりリザーバから液圧制御装置に円滑にブレーキ液を供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−264357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、次のような問題がある。オリフィス及び逆止弁がリザーバポートに設けられているので、ブレーキペダルの操作ストロークが所定ストローク以下の範囲でしか、逆止弁が開弁しない。このため、所定ストロークを超える領域では、液圧制御装置に円滑にブレーキ液を供給することができず、ブレーキ操作の解除時に所定ストローク以下になったとき、逆止弁が急激に開弁して異音が発生する虞がある。
【0006】
本発明は、回生協調制御を行なうブレーキ装置において、ブレーキペダルを急操作したときでも、適度な反力を発生させると共に、ブレーキペダルの操作ストロークにかかわらず、液圧制御装置に円滑にブレーキ液を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、ブレーキペダルの操作により、ピストンを推進して液圧室を加圧し、ブレーキ液圧を発生して車両のホイールシリンダに供給するマスタシリンダと、前記マスタシリンダにブレーキ液を補充するリザーバと、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に介装され、回生ブレーキ手段と協働して前記ホイールシリンダに供給するブレーキ液圧を調整する液圧制御装置とを備えたブレーキ装置において、前記マスタシリンダは、前記ピストンのストロークが所定ストロークに達するまでは前記リザーバと前記液圧室とを連通させ、所定ストロークに達したとき遮断されるリザーバポートと、前記リザーバポートの流路を絞るオリフィスと、前記ピストンのストロークにかかわらず前記リザーバポートをバイパスして前記リザーバと前記液圧室とを連通するバイパス通路と、前記バイパス通路の前記リザーバ側から前記液圧室側への流れのみを許容する逆止弁とを備え、前記液圧制御装置は、前記ピストンのストロークが所定ストロークに達するまで、前記回生ブレーキ手段と協働して前記ホイールシリンダに供給するブレーキ液圧を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るブレーキ装置によれば、ブレーキペダルを急操作したとき、適度な反力を発生させると共に、ブレーキペダルの操作ストロークにかかわらず、液圧制御装置に円滑にブレーキ液を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るブレーキ装置の概略構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すブレーキ装置のマスタシリンダ及び気圧式倍力装置の縦断面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す図である。
【図4】図2に示すマスタシリンダの平面図である。
【図5】図2に示すマスタシリンダに設けられた逆止弁を示す図4のA−A線及びB−B線による縦断面図である。
【図6】図5に示す逆止弁の変形例を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6に示す逆止弁の開閉状態を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1を参照して、本実施形態に係る自動車のブレーキ装置200について説明する。ブレーキ装置200は、倍力装置101と、倍力装置101に取付けられたマスタシリンダ110の液圧ポート164、165に接続されて、各車輪Wa〜WdのホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液圧を供給する液圧制御装置5と、液圧制御装置5を制御するコントローラ7と、回生制動を行なう回生ブレーキ手段である回生ブレーキ装置8とを備えている。
【0011】
液圧制御装置5は、マスタシリンダ110のプライマリポート164からの液圧を左前輪Wa及び右後輪WbのホイールシリンダBa、Bbに供給するための第1液圧回路5A(図1の液圧制御装置5の中央より右側分部)と、セカンダリポート165からの液圧を右前輪Wc及び左後輪Wdのブレーキ装置のホイールシリンダBc、Bdに供給するための第2液圧回路5B(図1の液圧制御装置5の中央より左側分部)とからなる所謂「X配管」とした2系統の液圧回路を備えている。
【0012】
本実施形態では、ホイールシリンダBa〜Bdは、液圧をに供給してピストンを前進させ、ブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに押圧して制動力を発生させる液圧式ディスクブレーキとしているが、公知のドラムブレーキ等の他の液圧式ブレーキでもよい。
【0013】
なお、第1液圧回路5Aと第2液圧回路5Bとは、同様の構成であり、また、各車輪Wa〜WdのホイールシリンダBa〜Bdに接続された液圧回路の構成は同様の構成であり、以下の説明において参照符号の添え字A、B及びa〜dは、それぞれ、第1、第2液圧回路5A、B、及び、各車輪Wa〜Wdに対応することを示している。
【0014】
液圧制御装置5には、マスタシリンダ110から各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置Ba〜Bdのホイールシリンダへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である供給弁35A、35Bと、ホイールシリンダBa〜Bdへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である増圧弁36a〜36dと、ホイールシリンダBa〜Bdから液圧を解放するためのシステムリザーバ37A、37Bと、ブレーキ装置Ba〜Bdからシステムリザーバ37A、37Bへの液圧の解放を制御する電磁弁開閉弁である減圧弁38a〜38dと、ホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給するためポンプ39A、39Bと、ポンプ39A、39Bを駆動するポンプモータ40と、マスタシリンダ110からポンプ39A、39Bの吸込み側への液圧の供給を制御する電磁開閉弁である加圧弁41A、41Bと、ポンプ39A、39Bの下流側から上流側への逆流を防止するための逆止弁42A、42B、43A、43B、44A、44Bと、マスタシリンダ110のプライマリポート164及びセカンダリポート165の液圧を検出する液圧センサ45A、45Bとを備えている。
【0015】
そして、コントローラ7によって供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41B及びポンプモータ40の作動を制御して、次のような作動モードを実行することができる。
【0016】
[通常制動モード]
通常制動時には、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41Bを閉じることにより、マスタシリンダ2から各車輪Wa〜WdのホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給する。
【0017】
[減圧モード]
減圧弁38a〜38dを開き、供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d及び加圧弁41A、41Bを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧をリザーバ37A、37Bに解放して減圧する。
【0018】
[保持モード]
増圧弁36a〜36d及び減圧弁38a〜38dを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧を保持する。
【0019】
[増圧モード]
増圧弁36a〜36dを開き、供給弁35A、35B、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを閉じて、ポンプモータ40を作動することにより、ブレーキ液をリザーバ37A、37Bからマスタシリンダ2側へ戻してホイールシリンダBa〜Bdの液圧を増圧する。
【0020】
[加圧モード]
加圧弁41A、41B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d及び供給弁35A、35Bを閉じて、ポンプモータ40を作動することにより、マスタシリンダ110の液圧にかかわらず、ポンプ39A、39Bによってブレーキ液をホイールシリンダBa〜Bdに供給する。
【0021】
これらの作動モードを車両状態に応じて適宜実行することにより、各種ブレーキ制御を行なうことができる。例えば、制動時に接地荷重等に応じて各車輪に適切に制動力を配分する制動力配分制御、制動時に各車輪の制動力を自動的に調整して車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御、走行中の車輪の横滑りを検知して、ブレーキペダル19の操作量にかかわらず各車輪に適宜自動的に制動力を付与することにより、アンダーステア及びオーバーステアを抑制して車両の挙動を安定させる車両安定性制御、坂道(特に上り坂)において制動状態を保持して発進を補助する坂道発進補助制御、発進時等において車輪の空転を防止するトラクション制御、先行車両に対して一定の車間を保持する車両追従制御、走行車線を保持する車線逸脱回避制御、障害物との衝突を回避する障害物回避制御等を実行することができる。
【0022】
なお、ポンプ39A、39Bとしては、例えばプランジャポンプ、トロコイドポンプ、ギヤポンプ等の公知の液圧ポンプを用いることができるが、車載性、静粛性、ポンプ効率等を考慮するとギヤポンプとすることが望ましい。ポンプモータ40としては、例えばDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等の公知のモータを用いることができるが、制御性、静粛性、耐久性、車載性等の観点からDCブラシレスモータが望ましい。
【0023】
また、液圧制御装置5の電磁開閉弁の特性は、使用態様に応じて適宜設定することができるが、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを常開弁とし、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを常閉弁とすることにより、コントローラ6からの制御信号がない場合に、マスタシリンダ12からホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給することができるので、フェイルセーフ及び制御効率の観点から、このような構成とすることが望ましい。
【0024】
回生ブレーキ装置8は、減速時及び制動時等に少なくとも1つの車輪の回転によって発電機(電動モータ)を駆動することにより、運動エネルギーを電力として回収する。回生ブレーキ装置8とコントローラ7とは、相互に制御信号の授受を行ない、運転者によるブレーキペダル19の操作によるストロークセンサ20からの信号に基づき、回生制動中には回生制動分を減じたブレーキ液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給することにより、所望の制動力を得る回生協調制御を実行する。
【0025】
次に、図2乃至図5を参照して、倍力装置101及びマスタシリンダ110について説明する。図2及び図3に示すように、倍力装置101は、気圧式アクチュエータを倍力源とするシングル型の気圧式倍力装置である。薄板によって形成されたフロントシェル102とリアシェル103とが結合されてハウジング104が形成されている。このハウジング104内は、ダイアフラム105を有するパワーピストン106によって定圧室107と変圧室108との2室に区画されている。フロントシェル102及びリアシェル103は、略有底円筒状であり、これらは、フロントシェル102の外周の開口縁部に、リアシェル103の外周の開口縁部を嵌合し、これらの間にダイアフラム105の外周部を挟み込むことによって、気密的に結合されている。
【0026】
フロントシェル102の底部側の中央開口109にマスタシリンダ110の後端部が挿入され、フロントシェル102にマスタシリンダ110が取付けられている。リアシェル103の底部側の中央部には、後述するバルブボディ111を挿通するための後部円筒部112が突出されている。後部円筒部112の周囲には、車体のダッシュパネル(図示せず)に当接するリア座面113が形成されている。
【0027】
ハウジング104には、フロントシェル102からリアシェル103のリア座面113に貫通するタイロッド114が設けられている。タイロッド114は、両端部に取付ネジ部115及び固定ネジ部116が形成され、取付ネジ部115及び固定ネジ部116の基部に、それぞれ拡径されたフロントフランジ117及びリアフランジ118が形成されている。そして、フロントフランジ117がフロント座面102Aの内側にリテーナ119及びシール120を介して気密的に当接し、リアフランジ118がリア座面113の内側に気密的に当接した状態で、リアシェル103側にカシメによって固定されている。タイロッド114の中央部は、パワーピストン106に設けられた開口121及びダイアフラム105と一体に形成された略円筒状のロッドシール122に挿入されて、パワーピストン106及びダイアフラム105に対して摺動可能かつ気密的に貫通している。
【0028】
タイロッド114は、フロントシェル102及びリアシェル103の直径方向2箇所に配置されており(一方のみ図示する)、取付ネジ部115によってフロントシェル102にマスタシリンダ110を固定し、固定ネジ部116によってリア座面113を上述の車体のダッシュパネル(図示せず)に固定する。また、リア座面113には、これをダッシュパネルに固定するためのリアボルト123がカシメによって固定されている。
【0029】
バルブボディ111の前部は、小径の円筒部111Eの外周部に拡開された大径円筒部111Aが一体に形成された二重構造となっている。パワーピストン106及びダイアフラム105の中央開口部105A、106Aに、バルブボディ111の大径円筒部111Aが挿入されている。そして、ダイアフラム105の中央開口部105Aがバルブボディ111の外周溝111Bに嵌合して、これらが気密的に結合されている。バルブボディ111の後端側の小径筒部111Cは、変圧室108を通り、リアシェル103の後部の円筒部112に挿入されて外部へ延出している。円筒部112には、シール部材124が装着されて、バルブボディ111の小径筒部111Cとの間を摺動可能にシールしている。また、円筒部112とバルブボディ111の小径筒部111Cとの間には、蛇腹状のダストカバー125が設けられている。フロントシェル102には、接続管126が取付けられており、接続管126がエンジンの吸気管等の負圧源(図示せず)に接続されて、定圧室107が常時所定の負圧に維持される。
【0030】
バルブボディ111は、その推力を、リアクション部材155及び出力ロッド128を介して、マスタシリンダ110のプライマリピストン160に伝達する。この出力ロッド128は、先端部128Aがプライマリピストン160に当接し、基端部128Bがカップ状に形成されて円板状のリアクション部材155が内包されている。バルブボディ111の円筒部111E内に、環状の反力受部材152が嵌合して固定されている。反力受部材152内には、略円柱状の反力伝達部材153が軸方向に沿って移動可能に案内されている。反力受部材152の前端部は、バルブボディ111の円筒部111Eの前端部と共にリアクション部材155に当接している。反力伝達部材153は、その外周部に嵌合された環状のバネ受部材153Aと、反力受部材152から後方に延びる円筒部の後端部に固定されたバネ受部材152Aとの間に介装された圧縮コイルばねである反力調整バネ157によってリアクション部材155側に付勢されている。
【0031】
なお、本実施形態において、リアクション部材155は、カップ状に形成された出力ロッド128の基端部128Bに内包されるように設けられているが、反力受部材152に凹部を形成して内包するようにしてもよい。その場合、出力ロッドは、基端部128Bを円盤状としてその形状を簡略化することができる。
【0032】
バルブボディ111の後端の小径筒部111C内には、プランジャ131が挿入されて軸方向に沿って移動可能に案内されている。プランジャ131は、前端部が反力伝達部材153の後端部との間に隙間Cをもって対向している。プランジャ131には、バルブボディ111の後部から挿入された入力ロッド133の先端部が連結され、入力ロッド133によりプランジャ131が操作されるようになっている。入力ロッド133の基端部は、バルブボディ111の後端部に装着された通気性のダストシール134を貫通して外部へ延出されている。入力ロッド133の基端部には、ブレーキペダル19を連結するためのクレビス135が取付けられている。また、バルブボディ111の小径筒部111Cには、プランジャ131によって開閉弁が制御される制御バルブ132が挿入されている。制御バルブ132は、一端が入力ロッド133に係止された弁バネ141によって閉弁方向に付勢されている。
【0033】
バルブボディ111の側壁111Dには、バルブボディ111の軸方向に延びて定圧室107に連通する定圧通路136及びバルブボディ111の径方向に延びて変圧室108に連通する変圧通路137が設けられている。制御バルブ132は、バルブボディ111とプランジャ131との相対変位に応じて変圧通路137に対する定圧通路136と大気(ダストシール134側)との接続、遮断を切換えるものである。ブレーキペダル19が操作されていない状態では、変圧通路137(すなわち変圧室108)に対して定圧通路136(すなわち定圧室107)及び大気(ダストシール134側)を遮断している。そして、ブレーキペダル19が操作されてバルブボディ111に対してプランジャ131が前進すると、変圧通路137に対して定圧通路136を遮断したまま、大気(ダストシール134側)に接続する。このとき、変圧通路137は、ダストシール134を介して大気に開放されるようになっている。
【0034】
バルブボディ111の側壁111Dを径方向に延びる変圧通路137には、ストップキー138が挿入されている。ストップキー138は、リアシェル103の円筒部112の段部に係合することによってバルブボディ111の後退位置を制限している。また、ストップキー138は、プランジャ131の外周溝に移動可能に係合することによってバルブボディ111とプランジャ131との相対変位量を制限している。
【0035】
フロントシェル102の前壁とバルブボディ111の前端の大径円筒部111Aに取付けられたバネ受部151との間には、バルブボディ111を後退位置へ付勢する戻しバネ139が設けられている。また、バルブボディ111の後部側の小径筒部内には、入力ロッド133を後退位置へ付勢する戻しバネ140が設けられている。
【0036】
ブレーキペダル19は、反力バネ159により、非制動位置に向って常時付勢されている。これにより、倍力装置101の入力ロッド133は、ブレーキペダル19及びクレビス135を介して、反力バネ159により、非制動位置へ向って常時付勢されている。
【0037】
マスタシリンダ110には、開口側に、先端部がカップ状に形成された円筒状のプライマリピストン160が嵌装され、底部側にカップ状のセカンダリピストン161が嵌装されている。プライマリピストン160の後端部は、マスタシリンダ110の開口部から突出して、低圧室107内において出力ロッド128の先端部に当接している。マスタシリンダ110内は、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161によってプライマリ室162及びセカンダリ室163の2つの液圧室が形成されている。プライマリ室162及びセカンダリ室163には、液圧ポート164、165がそれぞれ設けられている。液圧ポート164、165は、2系統の液圧回路からなる液圧制御装置5を介して各車輪Wa〜Wdの液圧ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdに接続されている(図1参照)。
【0038】
マスタシリンダ110の側壁の上部には、プライマリ室162及びセカンダリ室163をリザーバ10に接続するためのリザーバポート166、167が設けられている。マスタシリンダ110のシリンダボアと、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161との間は、それぞれ2つのシール部材168A、168B及び169A、169Bによってシールされている。シール部材168A、168Bは、軸方向に沿ってリザーバポート166を挟むように配置されている。そして、プライマリピストン160が図2及び図3に示す非制動位置にあるときに、プライマリ室162がプライマリピストン160の側壁に設けられたポート170を介してリザーバポート166に連通し、プライマリピストン160が非制動位置から所定の無効ストロークS(図3参照)だけ前進したとき、シール部材168Bによってプライマリ室162がリザーバポート166から遮断されてプライマリ室162が加圧される。同様に、シール部材169A、169Bは、軸方向に沿ってリザーバポート167を挟むように配置されている。そして、セカンダリピストン161が図2及び図3に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室163がセカンダリピストン161の側壁に設けられたポート171を介してリザーバポート167に連通する。セカンダリピストン161が非制動位置から所定の無効ストロークSだけ前進したとき、シール部材169Bによってセカンダリ室163がリザーバポート167から遮断されてセカンダリ室163が加圧される。
【0039】
プライマリ室162内のプライマリピストン160とセカンダリピストン161との間には、バネアセンブリ172が介装されている。また、セカンダリ室163内のマスタシリンダ110の底部とセカンダリピストン161との間には、圧縮コイルバネである戻しバネ173が介装されている。バネアセンブリ172は、圧縮コイルバネを伸縮可能なリテーナによって所定の圧縮状態で保持し、そのバネ力に抗して圧縮可能としたものである。そして、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161は、通常は同時に移動してプライマリ室162及びセカンダリ室163を同時に加圧する。
【0040】
マスタシリンダ110のプライマリ及びセカンダリピストン160、161に設けられたピストンポート170、171は、流路が絞られてオリフィスとなっている。これらの流路面積は、直径1mmの丸穴相当以下であることが望ましい。なお、ピストンポート170、171の流路を絞る代りに、リザーバポート166、167の流を絞ってオリフィスとしてもよい。
【0041】
また、図4及び図5に示すように、マスタシリンダ110には、リザーバポート166、167及びオリフィスとしたピストンポート170、171をバイパスして、リザーバ10とプライマリ室162及びセカンダリ室163とをそれぞれ接続するバイパス通路180、181が設けられ、バイパス通路180、181には、それぞれリザーバ10からプライマリ室162及びセカンダリ室163へのブレーキ液の流通のみを許容する逆止弁182、183が設けられている。なお、プライマリ側とセカンダリ側とに設けられたバイパス通路180、181及び逆止弁182、183は、同様構造であるから、図5にプライマリ側の構造を例示して説明する。図5(A)図4のA−A線による縦断面を示し、図5(B)は、B−B線による縦断面を示している。
【0042】
バイパス通路180、181は、マスタシリンダ110のリザーバ10に接続されるプライマリ及びセカンダリ側の接続口166A、167Aと逆止弁182、183を収容するバルブ室184、185とを接続する通路180A、181A(図5(A)参照)と、バルブ室184、185とプライマリ及びセカンダリ室162、163とをそれぞれ接続する通路180B、181Bとから構成されている。バイパス通路180、181は、リザーバポート166、167及びピストンポート170、171をバイパスしているので、プライマリ及びセカンダリピストン160、161の位置にかかわらず、リザーバ10とプライマリ及びセカンダリ室162、163とを接続する。
【0043】
逆止弁182、183は、それぞれ弁体186、187を弁バネ188、189によってシート部190、191に押圧して閉弁して通路180A、181Aと通路180B、181Bとの間の流路を遮断し、リザーバ10側とプライマリ室162(セカンダリ室163)側の差圧が所定圧力に達したとき開弁して、リザーバ10側からプライマリ162室(セカンダリ163室)側へのブレーキ液の流通を許容するようになっている。図中、符号192、193はフィルタである。
【0044】
次に倍力装置101の作動について説明する。
図2及び図3に示す非制動状態においては、プランジャ131が図示の非制動位置にあり、定圧室107と変圧室108とは同圧となっているためパワーピストン106に推力は生じない。このとき、定圧通路136(すなわち定圧室107)と変圧通路137(すなわち変圧室108)とは、制御バルブ132によって遮断されている。
【0045】
ブレーキペダル19の踏込みが開始され、ブレーキペダル19に連結された反力バネ159及び戻しバネ140のバネ力に抗して、入力ロッド133によってプランジャ131を前進させると、制御バルブ132からプランジャ131が離間し、変圧通路137が大気に開放されて、変圧室108に大気が導入される。これにより、定圧室107と変圧室108との間に差圧が生じ、この差圧によってパワーピストン106に推力が発生し、バルブボディ111が前進して、リアクション部材155を介して出力ロッド128を前進させ、マスタシリンダ110のプライマリピストン160を押圧する。バルブボディ111が前進すると、制御バルブ132によって変圧通路137が大気から遮断されるので、定圧室107と変圧室108との差圧、すなわち、パワーピストン106の推力が維持されるので、バルブボディ111は、プランジャ131の移動に追従して移動することになる。
【0046】
このとき、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161が無効ストロークS分前進して液圧発生位置に達するまでは、マスタシリンダ110で液圧が発生せず、液圧による反力も生じないので、ブレーキペダル19には、反力バネ159及び戻しばね140のバネ力による反力のみが作用する。
【0047】
ブレーキペダル19が更に踏込まれて、プライマリピストン160が無効ストロークS分前進して液圧発生位置に達すると、シール部材168B、169Bによってポート170、171が閉じてマスタシリンダ110で液圧が発生し、その反力がリアクション部材155を介してバルブボディ111に作用する。このとき、その反力の一部がリアクション部材155を介して反力伝達部材153にも作用するが、反力伝達部材153に作用する反力が反力調整バネ157のバネ力に達するまでは、反力伝達部材153は移動せず、プランジャ131との間の隙間Cにより、プランジャ131には、マスタシリンダ110の液圧による反力は作用せず、引続き反力バネ159及び戻しバネ140のバネ力による反力のみが作用する。これにより、マスタシリンダ110の液圧の変動に左右されない良好なブレーキペダル19の操作フィーリングを得ることができる。
【0048】
ブレーキペダル19が更に踏込まれ、バルブボディ111の前進により、マスタシリンダ110の液圧が上昇し、液圧による反力が増大して、リアクション部材155から反力伝達部材153に作用する反力が反力調整バネ157のバネ力を超えると、反力伝達部材153が後退してプランジャ131に当接する。これにより、マスタシリンダ110の液圧による反力の一部がプランジャ131に作用する。その結果、所定の倍力比で、マスタシリンダ110の液圧上昇にともなう反力がブレーキペダル19に伝わり、反力バネ159のみでは得られない剛性感のあるブレーキフィーリングを与えることができる。その後、ブレーキペダル19が更に踏込まれて全負荷点に達すると、倍力比が1となる。
【0049】
ブレーキペダル19を戻して入力ロッド133への入力を解除すると、プランジャ131が後退し、制御バルブ132によって変圧通路137が大気から遮断された状態で定圧通路136に接続され、これにより、定圧室107と変圧室108との差圧が解消され、パワーピストン106の推力が消失して、プランジャ131の移動に追従してパワーピストン106が後退して図2及び図3に示す非制動状態に戻る。
【0050】
次に、コントローラ7によるブレーキ装置200の制御について説明する。
ブレーキペダル19の踏込みが開始され、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161が無効ストロークS分前進して液圧発生位置に達するまでは、ストロークセンサ20によって検出した入力ロッド133(すなわちブレーキペダル19)のストロークに基づき、液圧制御装置5を作動させてホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液を供給し、ブレーキペダル19の操作量に応じた制動力を発生させる。このとき、反力バネ159のバネ力により、ブレーキペダル19には、その操作量に応じた反力が作用する。
【0051】
通常、この制動領域においては、ブレーキペダル19の踏み始めのから僅かな遊びを経て、回生ブレーキ装置8によって回生制動が行なわれ、コントローラ7により回生協調制御を実行する。回生協調制御実行中には、ストロークセンサ20が検出する入力ロッド133のストロークに基づき決定した目標制動力に対応した回生制動を行う。また、回生制動では足りない分の制動力は、目標制動力から回生制動分を減じたブレーキ液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給することにより、所望の制動力を得る。
【0052】
このとき、入力ロッド133の操作ストロークがプライマリピストン160及びセカンダリピストン161の無効ストロークSに対応するストロークに達するまでは、マスタシリンダ110で液圧が発生しないので、回生制動を最大限に活用することができ、効率よくエネルギーを回収することができる。また、液圧制御装置5による回生協調作動により、マスタシリンダ110の液圧が変動した場合でも、マスタシリンダ110のプライマリ室162及びセカンダリ室163がリザーバ10に連通しているので、マスタシリンダ110の液圧は上昇しない。このため、ブレーキペダルに液圧の反力によるキックバックが生じることがなく、ブレーキペダル19の違和感のない操作フィーリングを得ることができる。ここで、無効ストロークSの領域において、回生制動装置8が最大回生状態に達するようにすることにより、回生制動を最大限に活用することが可能になり、効率よくエネルギーを回収することができる。また、上記無効ストロークSの領域において、回生制動装置8が回生制動しないような場合には、液圧制御装置5が入力ロッド133の操作ストロークに応じた液圧を発生するので、ブレーキペダル19の操作に対して運転者が感じる減速感に違和感を憶えることを防止できる。ここで、最大回生状態とは、車両の設計段階で設定される回生ブレーキの最大の制動力(力または減速度で表されることが多い)をいう。
【0053】
ブレーキペダル19が更に踏込まれて、プライマリピストン160のが無効ストロークS分前進して液圧発生位置に達すると、リザーバポート170、171が閉じてマスタシリンダ110で液圧が発生する。このマスタシリンダ110で発生した液圧による反力がリアクション部材155を介して反力受部材152及び反力伝達部材153に作用する。このとき、反力伝達部材153に作用する反力が反力調整バネ157のバネ力に達するまでは、反力伝達部材153は移動せず、プランジャ131との間の隙間Cにより、プランジャ131には、マスタシリンダ110の液圧による反力は作用せず、引続き反力バネ159と戻しバネ140とのバネ力による反力のみが作用する。これにより、マスタシリンダ110の液圧の変動に左右されない良好なブレーキペダル19の操作フィーリングを得ることができる。
【0054】
このようにして、マスタシリンダ液圧は発生しないものの、回生ブレーキ装置8又は液圧制御装置5によって制動力を発生させることにより、ブレーキペダル19の操作量に応じた所望の制動力を得ることができる。
【0055】
ブレーキペダル19が更に踏込まれ、バルブボディ111の前進により、マスタシリンダ110の液圧が上昇し、液圧による反力が増大して、リアクション部材155から反力伝達部材153に作用する反力が反力調整バネ157のバネ力を超えると、反力伝達部材が後退して、プランジャ131に当接する。これにより、マスタシリンダ110の液圧による反力の一部がプランジャ131に作用する。
【0056】
このとき、回生ブレーキ装置8は、回生制動を終了し、また、コントローラ7により、液圧制御装置5は通常制動モードに移行し、マスタシリンダ110の液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給する。これにより、倍力装置101により負圧による倍力が行なわれ、全負荷点に達する。その結果、負圧による倍力により、違和感のないブレーキペダルの操作フィーリングを得ることができる。また、液圧制御装置5の第1又は第2液圧回路5A、5Bの一方の液圧系統が失陥した場合、他方の液圧系統によって液圧を発生させることができ、制動機能を維持することができる。
【0057】
上述の非制動状態から入力ロッド133が無効ストロークSまで前進しておらず、液圧発生位置に達する前の領域において、ブレーキペダル19を急に踏込んだ場合、ストロークセンサ20によって検出した入力ロッド133(すなわちブレーキペダル19)のストロークに基づき、コントローラ7によって液圧制御装置5を作動させてホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液を供給し、ブレーキペダル19の操作量に応じた制動力を発生させる。このとき、プライマリ及びセカンダリ室162、163のブレーキ液は、ピストンポート170、171を介してリザーバ10へ戻されるが、ピストンポート170、171がオリフィスとなっているため、その流通抵抗により、ブレーキペダル19の踏込みに対して反力が作用して適度な剛性感が得られる。
【0058】
また、ブレーキペダル19の操作量に応じたブレーキ液圧を各ホイールシリンダBa〜Bdに供給するため、液圧制御装置5が作動してポンプ39A、39Bによってプライマリ室162及びセカンダリ室163からブレーキ液が急速に吸込まれることになる。このとき、マスタシリンダ110の逆止弁182、183が開弁して、バイパス通路180、181により、ピストンポート170、171(オリフィス)による流路の絞りにかかわらず、リザーバ10からプライマリ室162及びセカンダリ室163にブレーキ液が円滑に供給される。
【0059】
ここで、マスタシリンダ110に逆止弁182、183及びバイパス通路180、181が設けられていないマスタシリンダで上述の状況となった場合には、シール部材168B、169Bの内周若しくは外周に生じる僅かな隙間を通過してリザーバ10からプライマリ室162及びセカンダリ室163にブレーキ液が供給されることになるが、リザーバからのブレーキ液の供給量が少なく、ブレーキ液圧が変動しまって、ブレーキペダル19の操作フィーリングが悪化する可能性がある。また、上記特許文献1のようにリザーバポートに絞りが設けられている場合には、さらにリザーバからのブレーキ液の供給量が少なくなるため、ブレーキ液の急激な流れにより異音が発生したり、プライマリ室162及びセカンダリ室163が過度に減圧されて、ブレーキペダル19の操作フィーリングが悪化する可能性がある。しかしながら、上述した本実施形態の構成であれば、プライマリ室162及びセカンダリ室163が過度に減圧されることがなく、ブレーキ液の急激な流れにより異音が発生したり、ブレーキ液圧の変動によりブレーキペダル19の操作フィーリングが悪化することがない。
【0060】
また、プライマリピストン160が無効ストロークS分前進して液圧発生位置を超えるストローク領域、すなわち、所定ストロークを超える領域では、マスタシリンダ110の逆止弁182、183及びバイパス通路180、181によってリザーバ10からプライマリ室162及びセカンダリ室163にブレーキ液が円滑に供給されるので、ブレーキ操作の解除時に所定ストローク以下になるときに、プライマリ室162及びセカンダリ室163が過度に減圧されることがないので、ピストンポート170、171(オリフィス)を介してプライマリ室162及びセカンダリ室163とリザーバ10が連通したときに、ピストンポート170、171(オリフィス)を通過するブレーキ液によって異音が発生することも抑制することができる0。
【0061】
次に、バイパス通路180、181に設けられた逆止弁182、183の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。なお、上述の図1乃至図5に示すものに対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0062】
図6に示すように、本変形例に係る逆止弁182A、183Bでは、バルブ室184、185内に弁体としてカップシール194、195が設けられ、カップシール194、195の内周部を円筒状のリテーナ196、197によって保持し、底部194A、195Aをシート部194C、195Cに離着座し、外周のリップ部194B、195Bをバルブ弁184、185の内周面に離着座することにより、流路198、199を開閉するようになっている。
【0063】
そして、図7(A)に示すように、通路180B、181B(リザーバ10側)からス通路180A、181A(プライマリ及びセカンダリ室162、163側)へのブレーキ液の流れに対しては、カップシール194、195の底部194A、195Aがシート部194C、195Cに押付けられ、リップ部194B、195Bがバルブ室184、185の内周面に押付けられることにより、流路198、199が閉じて閉弁する。また、図7(B)に示すように、通路180A(プライマリ及びセカンダリ室162、163側)から通路180B、181B(リザーバ10側)へのブレーキ液の流れに対しては、カップシール194、195の底部194A、195Aがシート194C、195C部から持上げられ、リップ部194B、195Bがバルブ室184、185の内周面から離間することにより流路198、199が開いて閉弁する。これにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0064】
なお、上記実施形態では、タンデムマスタシリンダを用いた例を示したが、前輪2輪を液圧制御し、後輪を電気制御するブレーキを用いる場合などは、前輪2輪のホイールシリンダ用にシングルマスタシリンダを用いることも可能である。また、上記実施形態において、負圧源をエンジンの吸気管としたが、これに限らず電動の負圧ポンプ等を負圧源としてもよい。さらに、倍力装置は、倍力源として、気圧式アクチュエータを用いた場合について説明しているが、これに限らず、電動アクチュエータ、液圧式その他のアクチュエータを用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
5…液圧制御装置、8…回生ブレーキ装置(回生ブレーキ手段)、10…リザーバ、110…マスタシリンダ、160…プライマリピストン(ピストン)、161…セカンダリピストン(ピストン)、162…プライマリ室(液圧室)、163…セカンダリ室(液圧室)、166、167…リザーバポート、170、171…ピストンポート(オリフィス)、180、181…バイパス通路、182、183…逆止弁、200…ブレーキ装置、Ba〜Bd…ホイールシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルの操作により、ピストンを推進して液圧室を加圧し、ブレーキ液圧を発生して車両のホイールシリンダに供給するマスタシリンダと、前記マスタシリンダにブレーキ液を補充するリザーバと、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に介装され、回生ブレーキ手段と協働して前記ホイールシリンダに供給するブレーキ液圧を調整する液圧制御装置とを備えたブレーキ装置において、
前記マスタシリンダは、前記ピストンのストロークが所定ストロークに達するまでは前記リザーバと前記液圧室とを連通させ、所定ストロークに達したとき遮断するリザーバポートと、前記リザーバポートの流路を絞るオリフィスと、前記ピストンのストロークにかかわらず前記リザーバポートをバイパスして前記リザーバと前記液圧室とを連通するバイパス通路と、前記バイパス通路の前記リザーバ側から前記液圧室側への流れのみを許容する逆止弁とを備え、
前記液圧制御装置は、前記ピストンのストロークが所定ストロークに達するまで、前記回生ブレーキ手段と協働して前記ホイールシリンダに供給するブレーキ液圧を調整することを特徴とするブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−91381(P2013−91381A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233909(P2011−233909)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】