説明

ブレース搬送用パレット及び長手材搬送用パレット

【課題】 異なる径及び長さのブレース5を安定して積載することができるブレース搬送用パレット1を提供する。
【解決手段】 ブレース搬送用パレット1は、建物躯体を構成する矩形の軸組フレームに所定単位本数溶接される円柱長手形状のブレース5を搬送するブレース搬送用パレット1であって、長方形の枠体2と、該枠体2の上に前記枠体2の短辺に平行に架設される長手材であって、その上端にブレース5を載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成された複数のブレース支持体3と、前記ブレース支持体3の前記溝部31に載置されたブレース5を前記所定単位本数づつ押さえる押さえ部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅その他の建物の構造躯体を構成する矩形の軸組フレームに所定単位本数溶接される円柱長手形状のブレースを搬送するブレース搬送用パレット及び長手材搬送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の円柱に形成された鋼材や結束した条材を運搬するパレットであって、波形の板材で形成された受座が設けられており、この受座の波形によって、積載された円柱鋼材や結束条材が位置決めされ、搬送中等における結束条材の荷ズレを防止するものが種々知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
ところで、建物の軸組フレームの製造において、従来は、同一品種の軸組フレームを所定単位数量毎ロット生産し、軸組フレームの完成品在庫をストックしておき、受注があった場合に、この完成品在庫から必要な軸組フレームをピッキングして出荷していた。この場合、軸組フレームにブレースを溶接する工程では、同一の長さ及び径のブレースを溶接するので、ブレースを積載して、溶接工程に供給するパレットには同一の長さ及び径のブレースを積載していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−2068号公報
【特許文献2】特開2004−189308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなロット生産では完成品在庫が多くなる問題が有り、このような完成品在庫を減らすために、受注毎に受注された品種の軸組フレームを生産したい課題がある。そして、受注毎に受注された品種の軸組フレームを生産する場合は、生産する軸組フレームの品種毎に長さ及び径の異なるブレースを溶接工程に供給する必要があり、ブレースを供給するパレットにも異なる長さ及び径のブレースを積載する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、異なる径及び長さのブレースを安定して積載することができるブレース搬送用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のブレース搬送用パレットは、建物躯体を構成する矩形の軸組フレームに所定単位本数づつ溶接される円柱長手形状のブレースを搬送するブレース搬送用パレットであって、上方から見て長方形の枠体と、該枠体の上に前記枠体の短辺に平行に架設され、その上端に前記ブレースを載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成された複数のブレース支持体と、前記ブレース支持体の前記溝部に載置された前記ブレースを前記所定単位本数づつ押さえる押さえ部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載のブレース搬送用パレットは、前記押さえ部は、前記枠体の長辺を構成する2本の側材にそれぞれ基端部が揺動自在に固定される腕部と、前記腕部の先端同士を連結する連結棒と、前記連結棒の下側に複数連設され、可撓性を有する筒状の当接体とを備え、前記当接体は、前記ブレース支持体の前記溝部に互いに連続して載置された前記所定単位本数のブレースに当接可能な長さであることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載のブレース搬送用パレットは、少なくとも2本の前記ブレース支持体が、最も短い前記ブレースの長さよりも短い間隔で設けられており、前記当接体は、当該2本の前記ブレース支持体の間で前記ブレースに当接することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の長手材搬送用パレットは、長手材を搬送する長手材搬送用パレットであって、上端に前記長手材を載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成され、互いに平行に複数設置される長手材支持体と、前記長手材支持体の前記溝部に載置された長手材を所定単位本数づつ押さえる押さえ部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のブレース搬送用パレットによると、枠体の上に、上端にブレースを載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成された複数のブレース支持体を備えているので、ブレースを溝部に載置することにより、円柱長手形状のブレースが転がって荷ズレを起こすことを防止できるとともに、押さえ部により溝部に載置されたブレースを所定単位本数づつ押さえるので、例えば運搬中にブレースが上方に跳ね上がることも防止することができ、ブレースやパレットが互いに衝突して破損することを防止できる。ここで、ブレースは、1枚の軸組フレームに所定単位本数づつ設けられるものであり、同一の軸組フレームに溶接して固定されるブレースは同一の長さ及び径を有する。したがって、ブレースを工場のラインに供給するためのブレース搬送用パレットには所定単位本数づつ同一形状のブレースが積載されることになるので、このブレースを押さえ部により当該所定単位本数づつ押さえるので、ブレース搬送用パレットに積載された様々な径のブレースを確実に押さえることができる。
【0012】
請求項2に記載のブレース搬送用パレットによると、可撓性を有する筒状の当接体が溝部に連続して載置された所定単位本数のブレースに当接するので当接体がそれぞれのブレースの径に応じて変形してブレースを確実に抑えることができる。この当接体は中空の筒状に形成されているので、変形がより容易であり、ブレースの径に応じて容易に変形することができる。
【0013】
請求項3に記載のブレース搬送用パレットによると、少なくとも2本のブレース支持体が、最も短いブレースの長さよりも短い間隔で設けられているので、ブレースの長さが最も短い場合でも少なくとも2本のブレース支持体にそれぞれ形成された溝部に載置することができ、しかも当接体がこれら2本のブレース支持体の間でブレースに当接するので、最も短いブレースであっても確実に当接体で押さえることができるので、様々な長さのブレースを荷ズレすることなく搬送することができる。
【0014】
請求項4に記載の長手材搬送用パレットによると、互いに平行に複数設置される長手材支持体に形成された溝部に長手材を載置して、この長手材を押さえ部により所定単位本数毎に抑えるので、所定単位本数毎に太さの異なる長手材を確実に押さえて、搬送中に長手材同士やパレットと長手材とが衝突して破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ブレース搬送用パレットの構成を示す上面図。
【図2】押さえ部がブレースを押さえていない状態、及びブレースを押さえている状態のブレース搬送用パレットを示す右側面図。
【図3】押さえ部がブレースを押さえていない状態、及びブレースを押さえている状態のブレース搬送用パレットを示す正面図。
【図4】ブレース搬送用パレットにブレースを積載した状態を説明する上面図。
【図5】複数のブレース搬送用パレットを積み上げる状態を説明する右側面図。
【図6】ブレースを押さえるときの当接体の形状を説明する省略拡大図。
【図7】ブレースを押さえるときの当接体の断面形状を説明する省略断面拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のブレース搬送用パレット1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。ブレース搬送用パレット1は、図1から図3に示すように、上方から見た場合に長方形に形成された枠体2と、この枠体2の長辺を構成する一対の側材21の間に当該枠体2の短辺に対して平行に架設されるブレース支持体3と、それぞれの側材21の一端に揺動自在に固定される押さえ部4とを備えている。
【0017】
枠体2は、金属製の角パイプを組み合わせて形成されており、一対の側材21と、これら一対の側材21を連結するように一対の側材21の間に形成された複数の桟材22とにより構成されている。一対の側材21は、図2(A)及び(B)に示すように、上下一対の長材23と、長材23の間に4本の縦材24を設けて形成されたものであり、縦材24のうち中間の2本の縦材24はその上部が長材23よりも上に突き出ており、また下部が下方に向かって広がっており、ブレース搬送用パレット1を支持する脚部25が設けられている。側材21の上下の長材23の間には、四角い筒状に形成されたフォーク受け部26が左右の側材21に架かるように両側が開口して設けられており、このフォーク受け部26に図示しないフォークリフトや先端にフォークが設けられたロボットアームのフォーク部を差し込んで持ち上げることで、ブレース搬送用パレット1を運搬することができる。
【0018】
ブレース支持体3は、図3に示すように、一対の側材21の上に架設されるように立設される長い板状であって、上端にブレース5を載置してこのブレース5の移動を規制する溝部31が複数形成されている。この溝部31は上端が少なくとも所定の建物規格の中で最大径のブレース5よりも広がったV字状に切り欠かれて形成されている。ブレース支持体3のうち押さえ部4に近接する2本のブレース支持体3a,3bの間の間隔は、所定の建物規格の中で最も短いブレース5の長さよりも短く形成されており、最も短いブレース5であっても少なくとも2本のブレース支持体3の上に架かるように載置することができる。
【0019】
押さえ部4は、図2及び図3に示すように、一対の側材21の端部近傍にそれぞれ基端部が揺動自在に固定される2本の腕部41と、これらの腕部41の先端同士を連結する連結棒42と、連結棒42の下側に複数連設され、可撓性を有する筒状の当接体43とを備えている。腕部41の中間位置には内側に向かって突出するストッパ44がそれぞれ形成されており、図2(A)(B)に示すように、押さえ部4を揺動させるときに、このストッパ44が側材21にあたることで、押さえ部4の揺動範囲を規制している。当接体43は、図6(A)、図7(A)及び(B)に示すように、可撓性を有する樹脂により形成されたチューブであり、当接体43の長さdは互いに隣り合う2つの溝部31の上端の長さdと同じであるか僅かに大きく形成されており、当接体43をブレース5に接近させたときに隣り合う2つの溝部31に載置された2本のブレース5に当接体43が当接する。
【0020】
ブレース搬送用パレット1にブレース5を積載する際には、図3(A)及び図4に示すように、まずブレース5の押さえ部4に近接する側の端部を揃えつつ、複数のブレース支持体3に架かるようにブレース5を溝部31に載置する。
【0021】
なお、ブレース搬送用パレット1に積載するブレース5は、本実施形態においては、図示しないターンバックルで長短の丸鋼を連結する前の円柱長手形状の鋼材であるが、ブレース搬送用パレット1に積載するブレース5は、これに限定されるものではなく、ターンバックルにより長短の丸鋼を連結して形成されたものであってもよい。1つの軸組フレームには2本の同一径で同一長さのブレース5が両対角線に溶接されるものであり、このブレース5は溶接される順に積載されるので、ブレース搬送用パレット1には、2本づつ同一径で同一長さのブレース5が積載される。
【0022】
なお、本実施形態においてブレース5は軸組フレームの両対角線にそれぞれ溶接されるので、1つの軸組フレームに2本溶接されるものであるが、建物の水平荷重を支持するものであれば2本に限定されるものではなく、1本又は3本以上であってもよい。この場合、当接体43の長さdは、1つの軸組フレームに溶接されるブレースの本数分の溝部の上端の長さdと同じであるか僅かに大きく形成されていればよい。また、本実施形態においてはブレース5は円柱長手形状のものであるが、建物の水平荷重を支持するものであれば円柱に限定されるものではなく、四角柱等の多角柱長手形状であってもよい。
【0023】
ブレース支持体3に形成される溝部31は、上端が少なくとも最大径のブレース5よりも広がっているので最大径のブレース5を載置することができるとともに、V字状に切り欠かれているので最小径のブレース5も荷ズレを起こすことなく載置することができる。また、押さえ部4に近接する2本のブレース支持体3a,bは、すくなくとも最も短いブレース5の長さよりも短い間隔で設置されているので、最も短いブレース5であっても2本以上のブレース支持体3の溝部31に架設されることになり、安定して積載できる。
【0024】
そして、図2(A)及び図3(A)に示すように、載置されたブレース5から当接体43が離反するように保持されている押さえ部4を、積載されたブレース5に当接体43が接近するように揺動させて、図2(B)及び図3(B)に示すように、当接体43をブレース5に当接させる。押さえ部4の当接体43は可撓性を有する樹脂チューブで形成されているので、図6(B)及び図7(C)に示すように、径の大きいブレース5に当接する当接体43は、より大きく歪んでブレース5を押さえ、径の小さいブレース5に当接する当接体43は、図6(B)及び図7(D)に示すように、小さく歪んでブレース5を押さえる。このように当接体43は可撓性を有するとともに中空のチューブで形成されているので、変形がより容易であり、ブレース5の径に応じて容易に変形することができる。
【0025】
ブレース搬送用パレット1にはブレース支持体3の溝部31に2本づつ同一径のブレース5が積載されており、当接体43は互いに隣り合う2つの溝部31に重なる長さに形成されて、複数連設されているので、図6(B)に示すように、互いに隣り合う同一径のブレース5を2本づつ当接体43で押さえることができるので、2本づつ異なる径の異なるブレース5を積載する場合にも確実にブレース5を押さえることができる。
【0026】
なお、ブレース5を積載したブレース搬送用パレット1は、図5に示すように、中間の2本の縦材24の上端に別のブレース搬送用パレット1の脚部25を載置することにより、複数段に積み上げることができ、効率的にブレース搬送用パレット1を搬送することができる。
【0027】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【0028】
本実施形態においては、ブレース搬送用パレット1を例示したが、ブレース5以外の所定単位本数毎に太さの異なる長手材を搬送する長手材搬送用パレットであってもよい。この場合、当接体43は、所定単位本数の溝部の上端の長さと同じであるか僅かに大きく形成されていればよい。また溝部31の形状はV字状に限定されず、載置する長手材の形状に応じて、長手材を固定できる様々な形状の溝部31を採用することができる。また、枠体の形状は上方から見て長方形に限定されず、長手材を効率的に載置することができ、且つ、効率的に運搬することができる種々の形状を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るブレース搬送用パレット1は、受注に基づいて、多品種の軸組フレームを生産する工場にブレース5を搬送するパレットとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 ブレース搬送用パレット
2 枠体
3 ブレース支持体
4 押さえ部
5 ブレース
21 側材
31 溝部
41 腕部
42 連結棒
43 当接体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体を構成する矩形の軸組フレームに所定単位本数づつ溶接される円柱長手形状のブレースを搬送するブレース搬送用パレットであって、
上方から見て長方形の枠体と、
該枠体の上に前記枠体の短辺に平行に架設され、その上端に前記ブレースを載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成された複数のブレース支持体と、
前記ブレース支持体の前記溝部に載置された前記ブレースを前記所定単位本数づつ押さえる押さえ部と、
を備えることを特徴とするブレース搬送用パレット。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記枠体の長辺を構成する2本の側材にそれぞれ基端部が揺動自在に固定される腕部と、前記腕部の先端同士を連結する連結棒と、前記連結棒の下側に複数連設され、可撓性を有する筒状の当接体とを備え、
前記当接体は、前記ブレース支持体の前記溝部に互いに連続して載置された前記所定単位本数のブレースに当接可能な長さであることを特徴とする請求項1に記載のブレース搬送用パレット。
【請求項3】
少なくとも2本の前記ブレース支持体が、最も短い前記ブレースの長さよりも短い間隔で設けられており、
前記当接体は、当該2本の前記ブレース支持体の間で前記ブレースに当接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレース搬送用パレット。
【請求項4】
長手材を搬送する長手材搬送用パレットであって、
上端に前記長手材を載置可能な溝部が所定間隔を開けて複数形成され、互いに平行に複数設置される長手材支持体と、
前記長手材支持体の前記溝部に載置された長手材を所定単位本数づつ押さえる押さえ部と、
を備えることを特徴とする長手材搬送用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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