説明

ブレード成形型

【課題】本発明の課題は、カジリ問題が無く安定した膜厚で、ブレード表裏面及び端面に樹脂被覆を連続して成形できるブレード成形型を提供することにある。
【解決手段】本発明は、支持体上に樹脂被覆層を成形するためのブレード成形型において、該支持体を連続して供給する搬送路と、前記搬送路を搬送される前記支持体の当接面、非当接面及び端面に前記樹脂被覆層を形成するための型となるキャビティと、該キャビティに前記当接面側及び前記非当接面側の二方向から樹脂被覆材を供給する被覆材供給ゲートと、を有し、該被覆材供給ゲートは、前記キャビティに繋がる部分であって前記支持体の搬送方向側の部分が曲面を有するR形状であり、該R形状はRが0.5以上5以下であることを特徴とするブレード成形型である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に樹脂被覆を有するブレードの成形型に関し、より詳しくは、電子写真装置の現像装置に設けられる現像剤量規制ブレードの成形に用いる成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の現像装置には、感光体等の静電潜像担持体へ現像剤を供給する現像ローラが設けられている。この現像ローラによって感光体へ供給する現像剤量を一定にすると共に、現像剤を摩擦帯電させるため、現像ローラに当接し、現像ローラ上の現像剤を一定厚の薄膜に形成する現像剤量規制ブレードが設けられている。現像剤量規制ブレードは金属製薄板等の支持体に樹脂又はエラストマーの被覆が設けられたものが用いられている。このような現像剤量規制ブレードの製造方法としては以下の方法が知られている。
【0003】
例えば、転写用シート上に、Tダイを用いて被覆層の原料を均一膜厚に押出し固化させ、被覆層を積層した被覆層積層シートを成形し、この被覆層積層シートにプライマーを介して金属薄板に接着する。その後、ブレード先端部を曲面に切断し、現像剤量規制ブレードを製造する方法が挙げられる(特許文献1、2)。しかしながら、上記方法は被覆層積層シートを作製する工程、金属製薄板にプライマーを塗布する工程、金属製薄板と被覆層積層シートを加圧接着する工程を必要とし、工程数が多く効率性の面で改善の余地がある。また、プライマーが塗布された金属製薄板とブレード部材層に未接着部が発生するのを防止するために金属製薄板より被覆層積層シートを大きめに成形する必要があり、材料にロスが生じる等の問題がある。
【0004】
そこで、被覆材のロスがなく、作業工程が少ない樹脂被覆金属板の製造方法としては、連続的に金属板を通過させるスリットと、スリットの両側から溶融樹脂を供給する樹脂供給路を有する被覆金型を用いて金属板の両表面に樹脂被覆をする方法(特許文献3)がある。しかし、特許文献3に記載される方法を使用した場合、主に金属板の表裏表面が樹脂被膜され、金属板端面に被覆樹脂層を形成しにくい。このため、この方法を現像剤量規制ブレードの製造に使用しても、ブレード端部に被覆樹脂層を形成することは難しく、良好な端部当接面を形成し難い。特に、現像剤量規制ブレードにおいては、ブレード端部の形状が現像ローラ上に形成する現像剤の薄膜の状態を左右するため、その端部の樹脂被覆層は重要である。また、金属板の両側から樹脂を押出す成形方法で被覆樹脂層を成形する場合、金属板を挟んだ両側からの樹脂の押出し量に差をつけることで被覆樹脂層の厚みをコントロールする。しかし、樹脂の押出し量の差が大き過ぎると樹脂押出し量の少ない側に金属板が押寄られ、キャビティと金属板が擦れるカジリが生じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−372855号公報
【特許文献2】特開2002−372854号公報
【特許文献3】特公平4−054572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、カジリ問題が無く安定した膜厚で、ブレード表裏面及び端面に樹脂被覆を連続して成形できるブレード成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、支持体上に樹脂被覆層を成形するためのブレード成形型において、該支持体を連続して供給する搬送路と、前記搬送路を搬送される前記支持体の当接面、非当接面及び端面に前記樹脂被覆層を形成するための型となるキャビティと、該キャビティに前記当接面側及び前記非当接面側の二方向から樹脂被覆材を供給する被覆材供給ゲートと、を有し、該被覆材供給ゲートは、前記キャビティに繋がる部分であって前記支持体の搬送方向側の部分が曲面を有するR形状であり、該R形状はRが0.5以上5以下であることを特徴とするブレード成形型である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブレード成形型は、カジリ問題が無く安定した膜厚で、端面を含む支持体上に樹脂被覆層を成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のブレード成形型によって成形されるブレードの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明のブレード成形型の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明のブレード成形型の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明のブレード成形型の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明のブレード成形型の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明のブレード成形型の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明のブレード成形型の一例で成形したブレードの断面形状である。
【図8】実施例で用いたブレード成形型の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のブレード成形型は、支持体の当接面、非当接面及び端面に樹脂被覆を形成するための成形型である。本発明のブレード成形型は、支持体を連続して供給する搬送路を有する。また、この搬送路を搬送される支持体の当接面、非当接面及び端面に樹脂被覆層を形成するための型となるキャビティを有する。また、このキャビティに当接面側及び非当接面側の二方向から被覆樹脂層の材料となる樹脂被覆材を供給する被覆材供給ゲートを有する。また、この被覆材供給ゲートは、少なくとも、キャビティに繋がる部分であって支持体の搬送方向側の部分が曲面を有するR形状であり、該R形状はRが0.5以上5以下である。被覆材供給ゲートからキャビティに繋がる部分を所定のR形状とすることにより、当接面及び非当接面への樹脂供給による流入圧力を均衡させることができると推測される。
【0011】
また、ブレードとしては、特に制限するものではないが、例えば現像装置における現像ローラ上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードを挙げることができる。
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0013】
(実施形態1)
本発明のブレード成形型の一例を図2に示す。図2(a)はブレード成形型の正面図であり、図2(b)は側面図である。図2(c)はブレード成形型側面図のAA’における断面図である。図2(d)は正面図(a)のBB’における断面図である。図2(e)はブレード成形型正面図CC’の断面図である。図2(f)はブレード成形型正面図DD’の断面図である。
【0014】
また、図7に、本実施形態の成形型により作製されるブレードの概略図を示す。ブレードは支持体2と樹脂被覆層1とから構成される。図7に示すように、樹脂形成側の端面2aは、支持体における長手方向端面であって樹脂被覆層1が形成される側の端面である。本発明において端面とは2aを指す。当接面2cは、支持体において、ブレードとして使用する場合の現像ローラと当接する側の面であり、非当接面2bは当接面2cと反対側の面のことを指す。本発明は、図7に示すように、端面2aを含む支持体表面に被覆樹脂層を形成する。
【0015】
図2に示すブレード成形型は、支持体2を矢印h方向へ挿入する際のガイドとなるスリット8と、該スリット8に繋がって設けられ、支持体2を長手方向に沿って連続して搬送可能な搬送路8aを有する。搬送路8aには、その一部を拡張して設けたキャビティ7が設けられている。
【0016】
キャビティ7はブレードに被覆樹脂層1を形成するための空間である。より具体的には、端面2a、非当接面2b、当接面2cに、樹脂被覆層の材料となる樹脂被覆材を配置するための空間である。すなわち、キャビティ7の形状は樹脂被覆層の形状と一致することが望ましい。また、搬送路の一部を拡張してキャビティ7を設ける場合、搬送路は、支持体2が無理なく通過するサイズであることが好ましい。さらに、キャビティ7に供給された溶融状態の樹脂被覆材が、樹脂被覆を形成しない搬送路部分の支持体2上に流出しない大きさであることが好ましい。溶融した樹脂被覆材の粘度と供給圧力にも関係するが、支持体2と搬送路間の隙間は、例えば5μm以上100μm以下とすることができる。
【0017】
更に、ブレード成形型には、このキャビティ7に溶融状態の樹脂被覆材を供給するための被覆材供給手段が設けられる。本実施形態において、該被覆材供給手段はスプルー3、ランナー4、マニホールド5及び被覆材供給ゲート6からなる。また、被覆材供給ゲート6において、キャビティ7と繋がる部分を6cで表す。
【0018】
まず、ホットランナーで溶融した樹脂被覆材は押出し機(図示せず)から押し出されてスプルー3に供給される。スプルー3は、支持体2の搬送路に対向した位置に設けられる。次に、スプルー3を通過した樹脂被覆材は、スプルー3から分岐してそれぞれ上下方向に延びるランナー4に供給される。次に、ランナー4を通過した樹脂被覆材は、それぞれのランナー4からマニホールド5に供給される。そして、マニホールド5を通過した樹脂被覆材は、キャビティ7に繋がる被覆材供給ゲート6に供給される。樹脂被覆材は被覆材供給ゲート6からキャビティ7に注入される。
【0019】
上記スプルー3、ランナー4、マニホールド5、被覆材供給路6からなる被覆材供給手段は、搬送路8aに対して対称に設けられていることが好ましい。
【0020】
また、被覆材供給ゲート6は、樹脂被覆材の押し出し角度、つまり、被覆材供給ゲート6(とくに6c部分)と支持体2とのなす角度6bは、例えば5°〜75°とすることができ、15°〜75°とすることが好ましく、30°〜70°とすることがより好ましく、40°程度が特に好ましい。
【0021】
被覆材供給ゲート6cから溶融した樹脂被覆材を押し出しつつ、支持体2を矢印h方向に搬送することにより、樹脂被覆材が支持体2の当接面、非当接面及び端面上に配置され、成形される。押し出された樹脂被覆材の流れる方向と支持体2の進行方向とを順ベクトルとすることで、樹脂被覆材の押出状態に乱れが生じにくく、均一な樹脂被覆層を形成することができる。
【0022】
また、被覆材供給ゲート6は、キャビティ7に繋がる部分であって前記支持体の搬送方向側の部分が曲面を有するR形状であり、該R形状はRが0.5以上5以下である。この形状は例えば面取りを施すことにより形成することができる。つまり、被覆材供給ゲート6とキャビティ7が繋がる部分6cにおいて、少なくとも支持体の搬送方向側に面取りを施せばよい。この範囲のR形状とすることにより、樹脂の流入により支持体2にフローティング効果が発生し、支持体が厚さ方向の中央に配置されやすくなる。したがって、圧力バランスの均衡を保ちやすくなり、キャビティの壁面と支持体のカジリを抑制することができる。なお、一般に、支持体の当接面及び非当接面に注入する樹脂被覆材の流入圧力の均衡が崩れた場合、支持体2は樹脂被覆材の供給量の少ない側に押寄られ、キャビティの壁面に擦れてしまい、カジリが生じる。
【0023】
また、該被覆材供給ゲートは、支持体に樹脂被覆層を形成する幅に亘ってキャビティに開口するように形成されることが好ましい。
【0024】
また、当接面側及び非当接面側の被覆材供給ゲートは、支持体を中心に対称であることが好ましい。
【0025】
前記R形状とは、被覆材供給ゲート6とキャビティ7の繋がる部分6c部の面取り処理の形状であり(図2(f)参照)、そのRは0.5以上R5以下であり、3程度がより好ましい。
【0026】
このようなブレード成形型を用いて、ブレードを形成するには、スリット8から支持体2を短手方向端面2dから挿入し、支持体2を長手方向に沿って搬送路8aに連続して供給する。支持体は、一定の張力が取れるよう紙管等に巻き付け、繰出し装置により繰出しつつ、スリットに連続的に挿入させることが好ましい。支持体2の繰出し装置には、ブレーキ機構を設けたものが好ましい。また、支持体2は樹脂被覆材の溶融温度に近い温度に予備加熱をしておくことが、樹脂被覆材の熱接着を容易にすることから好ましい。
【0027】
一方、押出し機から定量の溶融した樹脂被覆材をスプルー3に供給し、順次ランナー4、マニホールド5、被覆材供給ゲート6を通ってキャビティ7に供給する。成形型における被覆材供給手段は搬送路8aに対して対称に設けられ、スプルー3を流れる樹脂被覆材は、各マニホールド5に均等に分けられて流れ込む。スプルー3からマニホールド5の各流路の単位時間当たり流量は均一にする。即ち、スプルー3を流れる樹脂被覆材の流量は、マニホールド5を流れる樹脂被覆材の流量にマニホールド5の数を乗じた値になる。または、キャビティ7にある当接面、非当接面に被覆材供給ゲート6から樹脂被覆材の圧力を均一にして供給することにより、搬送路を進行する支持体の当接面及び非当接面に樹脂被覆材を均衡に供給することができる。
【0028】
また、前記R形状とすることで、被覆材供給ゲート6からキャビティ7に被覆樹脂材が流れやすくなり、支持体2はフローティング効果によりキャビティ7内で厚さ方向においてキャビティ7の中央に配置されやすくなる。また、それと同時に、支持体2の搬送に伴って溶融樹脂を送り易くすることができ、キャビティの側面と支持体2のカジリを防止できる。これにより、支持体2の位置決め機構を不要とし、支持体2の当接面及び非当接面それぞれに均一な厚さを有する樹脂被覆を積層することが可能となる。さらに、支持体2の当接面と非当接面とで樹脂厚みを変える場合においても、支持体2を挟んで配置する被覆剤供給ゲート6の断面積の調整によるオリフィスの原理を用いた樹脂厚みの調整ができる。そのため、樹脂流量差によるキャビティの一方側面と支持体2のカジリ防止を可能とした支持体2の偏在した成形も可能になる。
【0029】
また、前記R形状とすることにより、供給樹脂をキャビティ7に滑らかに取込めるため、樹脂被覆材の乱流を抑制し、当接面及び非当接面への流入圧力バランスを均衡にし易くなる。
【0030】
このように支持体2上に樹脂被覆層が成形された積層部材は、成形型を通過した後、積層部材の当接面、非当接面に形成された樹脂被覆を挟むように積層シートが積層され、引張ローラにより一定速で引取り搬送し、その後、硬化して所望の寸法に切断する。
【0031】
なお、本実施例では、図2に示すように、ブレード成形型を5つの部材に分け、組み立てや分解を行えるように構成することができる。このように部材を分けて構成することにより、容易にブレード成形型を作製することができる。
【0032】
(実施形態2)
本発明のブレード成形型の一実施形態として、図3、図4に示すようなキャビティ構造とすることによりに、樹脂被覆層の端面側を曲面形状とすることができる。図3及び4は、図1の(c)に相当する断面図である。ブレード端面に曲面を有する樹脂被覆を有する現像剤量規制ブレードは、電子写真装置の現像装置において現像ローラと適切に当接することができる。
【0033】
本実施形態のブレード成形型は、例えば、図1に示すブレードを作製することができる。図1において、(a)は側面図、(b)は上面図である。ブレードBは支持体2と樹脂被覆層1とから構成される。図1(a)に示すように、端面2aは、支持体における長手方向端面であって樹脂被覆層1が形成される側の端面である。当接面2cは、支持体において、現像ローラと当接する側の面であり、非当接面2bは当接面2cと反対側の面のことを指す。また、樹脂被覆層1は、図1(a)に示すように、端面被覆部1aと、非当接面被覆部1bと、当接面被覆部1cとに分けられる。
【0034】
支持体の材質としては、特に制限されずに用いることができ、例えば、高硬度の樹脂製であってもよいが、スズ青銅若しくはリン青銅、ステンレススチール、又はアルミ板等のスプリングバックの大きな材質を用いることができる。特にステンレスを用いることが好ましい。支持体の大きさとしては、例えば、幅10mm〜100mm、厚さ0.04mm〜0.2mmの範囲を挙げることができる。支持体の長さは予め作製するブレード長としてもよいが、長尺のままとし、樹脂被覆形成後、切断し、ブレード長としてもよい。
【0035】
樹脂被覆材としては、樹脂を用いることができ、また、樹脂のみならずエラストマーを主成分とするゴムを用いることができる。樹脂被覆材として、具体的には、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステル樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリエステルテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコンゴム、シリコン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂被覆層に導電性を付与する場合は、必要に応じてイオン導電材やカーボンブラック等の導電剤を添加することができる。また、求められる機能に応じてその他の添加剤を含有させることもできる。
【0036】
非当接面被覆部1b、当接面被覆部1cは、支持体の当接面及び非当接面全面に亘って設けてもよいが、例えば、支持体2の端面2aから、1mm以上の幅を有するものであってもよく、5mm以上の幅を有するものが好ましい。また、当接面被覆部1cと非当接面被覆部1bにおいて、幅や厚みはそれぞれ異なるものにしても良い。
【0037】
支持体上に形成する当接面被覆部の層厚としては、例えば、0.01mm以上1mm以下の範囲であってもよく、具体的には、0.03mm以上0.04mm以下が好ましい。
【0038】
(実施形態3)
また、図5(a)、(c)に示すように、端面被覆部1aを形成するキャビティ2の部分に菱形や矩形の角を設け、成形型で成形した菱形や矩形が樹脂自身で安定形状へ変形することにより、曲面形状とすることもできる。
【0039】
また、図3、図5(b)、(d)に示すように、支持体2の当接面、非当接面全面に亘って非当接面被覆部や当接面被覆部を形成するものであってもよい。
【0040】
また、ブレード成形型においては、溶融した樹脂被覆材を供給する樹脂被覆材の供給手段として、スプルー3、ランナー4、マニホールド5、被覆材供給ゲート6を搬送路に対称に設けたものを例示しているが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。例えば、図6のように、キャビティや被覆材供給ゲートを支持体を中心として非対称に設けたものであってもよい。これにより搬送路中の支持体2の当接面、非当接面から異なる流量で樹脂被覆材を供給し、支持体2の当接面、非当接面に異なる厚さの被覆を設けることもできる。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明のブレード成形型を、実施例により具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
支持体には厚さ0.08mm、幅25mm、長さ30mのステンレス(日新製鋼製)を用いた。樹脂被覆材として、ポリエステルエラストマーに導電材としてスルホン酸塩を加えたものを用いた。本実施例におけるブレードは、図7に記載するように被覆樹脂層を形成した。支持体の端面から当接面被覆部及び非当接面被覆部の幅Wはそれぞれ5mmであり、当接面被覆部表面から非当接面被覆部表面までの厚さHは0.35mmであった。
【0043】
成形型は図8(a)に示すものを用い、樹脂の流路形状(被覆材供給ゲート)として図8(b)ように設定した。なお、基本的な構成は図2に示したものと同じである。
【0044】
スプルー径をΦ8.5mm、スプルーから分岐されるランナー数を2、マニホールド径をΦ6mm、ランナーとマニホールドの断面積は等しくした(Φ8.5の半円型の型を使用)。被覆材供給ゲートはマニホールドとの継部で幅Aを5mmの高さB3mmのスリットにし、キャビティへの開口部で幅C5mmの高さD1mmのスリットになるようリニアに高さを変化させた形状にした。被覆材供給ゲートにおけるキャビティへ繋がる部分6cの形状は、支持体の搬送方向側の部分をR3となるようにした。つまり、6c部分の形状をR3とした。
被覆材供給ゲートと、キャビティへの樹脂被覆材の供給位置より上流側の支持体とのなす角度(図8(b)の6bに相当する角度)は40°とした。キャビティは、ブレード形状を形成する部位であるため、高さE0.35mmのものを用いた。
【0045】
搬送路の高さ(図4中のC2に相当)は、0.12mmとした。なお、樹脂被覆層の片側クリアランスを0.03mm以下とすることが好ましい。溶融した樹脂被覆材がこの部分に流入し難くするためである。
【0046】
支持体幅25mmに対して搬送路の横幅は20.5mmとし、端面被覆層を形成しない側の端面を搬送路面に突き当てて搬送した。
【0047】
支持体は紙管からトルクモーターを用いて張力を与えて、2m/minの一定速で繰出し、160〜180℃に加熱し、成形型に搬送した。溶融した樹脂被覆材は160〜180℃で成形機(プラ技研社製)を用いて成形型のスプルーに押出し、同様の温度に加熱した成形型内で、支持体上に成形された。キャビティへの樹脂の供給不足が発生しないように押出し機のスクリュー回転数の調整を行った。そして、樹脂被覆層が形成された支持体を樹脂形成側端面から短辺方向に16.3mm、長辺方向に226mmに切断し、鋼板からなる支持板金にYAG溶接で溶着させ、現像剤量規制ブレードを得た。
【0048】
得られた現像剤量規制ブレードをキヤノン製レーザービームプリンタ(LBP5050)に搭載し、ベタ黒の画像を出力して、出力画像におけるスジ及びムラ等の有無を観察した。また、成形時の支持体を観察し、キャビティの一方側面との擦れが原因のカジリの有無を確認した。結果を表1に示す。
【0049】
画像スジ/ムラ
○:出力画像にスジ、ムラがない。
△:出力画像に僅かにスジ、ムラが見られるが、実用上問題がない。
×:出力画像に明確にスジ、ムラが見られる。
成形時カジリ
○:問題なく成形可能。
×:成形時にカジリによる支持体への傷や破断が発生
【0050】
[実施例2]
前記6cの形状においてRを0.5とした成形型を用いた他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、画像形成能、成形時のカジリを評価した。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例3]
前記6cの形状においてRを5とした成形型を用いた他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、画像形成能、成形時のカジリを評価した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
[比較例1]
前記6cの形状においてRをR0.3とした成形型を用いた他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、画像形成能、成形時のカジリを評価した。結果を表2に示す。
【0054】
[比較例2]
前記6cの形状においてRをR8とした成形型を用いた他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、画像形成能、成形時のカジリを評価した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
比較例の結果から、R0.3とカーブが小さな場合は当接面と非当接面の圧力差を減らし被覆する樹脂厚を均衡にする事は難しく良化する結果は得られない。また、R8とカーブを大きくしすぎると成形型内に樹脂の滞留が発生し樹脂劣化を起こしてしまう。
【符号の説明】
【0057】
1 樹脂被覆層
1a 端面被覆部
1b 非当接面被覆部
1c 当接面被覆部
2 支持体
2a 樹脂形成側端面
2b 非当接面
2c 当接面
2d 短手方向端面
3 スプルー
4 ランナー
5 マニホールド
6 被覆材供給ゲート
6a 開口
6b 被覆材供給ゲートとキャビティへの樹脂被覆材の供給位置より上流側の支持体とのなす角度
6c 被覆材供給ゲートとキャビティへ繋がる部分
7 キャビティ
8 スリット
8a 搬送路
B 現像剤量規制ブレード(ブレード)
h 支持体搬送方向
W 被膜部幅
H 被膜部高さ
A 被膜材供給ゲート幅 (マニホールド側)
B 被膜材供給ゲート高さ (マニホールド側)
C 被膜材供給ゲート幅 (キャビティ側)
D 被膜材供給ゲート高さ (キャビティ側)
E キャビティ高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に樹脂被覆層を成形するためのブレード成形型において、
該支持体を連続して供給する搬送路と、
前記搬送路を搬送される前記支持体の当接面、非当接面及び端面に前記樹脂被覆層を形成するための型となるキャビティと、
該キャビティに前記当接面側及び前記非当接面側の二方向から樹脂被覆材を供給する被覆材供給ゲートと、
を有し、
該被覆材供給ゲートは、前記キャビティに繋がる部分であって前記支持体の搬送方向側の部分が曲面を有するR形状であり、該R形状はRが0.5以上5以下であることを特徴とするブレード成形型。
【請求項2】
前記被覆材供給ゲートは、前記支持体に前記樹脂被覆層を形成する幅に亘って前記キャビティに開口する請求項1に記載のブレード成形型。
【請求項3】
前記当接面側及び前記非当接面側の前記被覆材供給ゲートは、前記支持体を中心に対称である請求項1又は2に記載のブレード成形型。
【請求項4】
前記被覆材供給ゲートと前記支持体とのなす角度が5°〜75°である請求項1乃至3のいずれかに記載のブレード成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247489(P2010−247489A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101841(P2009−101841)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】