説明

ブロックおよびそれを用いた建屋べた基礎の下部に設けられた軟弱地盤対策用の基礎構造

【課題】本発明は、軟弱地盤に設ける基礎構造の提案にある。
【解決手段】本発明は、長方形で、表裏いずれかの面が平坦とされ、長手方向ををA部、B部、C部に区分しA部は正方形でかつA部の長さがC部の長さの2倍とされ、両側のA部、C部と中央のB部との高さの比が0.5:1とし、かつA部、C部にはブロック相互間を連結するピン孔が設けられ、かつ水平方向に水が流通するための透孔を有するブロックであり、このブロックを使用した軟弱地盤対策用基礎構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤上に建設する建屋の基礎に属する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤の上にも家屋を立てる必要がある。例えば特開平9−275160号公報には、コンクリート基礎の下に発泡樹脂を敷設し、建屋の地盤にかける負荷を軽減し不等沈下を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−275160号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記工法では、発泡樹脂を敷き詰めているため、コンクリートべた基礎同様通水性がない。従って、大雨などで土中水位が上昇した際、せり上がってくる水を基礎の地際部が排水するため、水位が地表面まで上昇すると冠水する事態になりやすい。また、発泡樹脂は地中水位が上昇すると大きな浮力を生ずる。建屋の建築終了後には建屋の重量で浮力は抑えられるが、発泡樹脂を施工中に降雨があると発泡樹脂が浮き上がり施工不能となり、これを防止するため排水ポンプで排水するする必要がでる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、長方形で、表裏いずれかの面が平坦とされ、長手方向をA部、B部、C部に区分しA部は正方形でかつA部の長さがC部の長さの2倍とされ、両側のA部、C部と中央のB部との高さの比が0.5:1とし、かつA部、C部にはブロック相互間を連結するピン孔が設けられ、かつ水平方向に水が流通するための透孔を有するブロックである。
本第2の発明は、上記ブロックを、建屋基礎としてのべた基礎の下部に周辺部、中央部と約均等に上からの荷重を受けるように連続して配置した基礎構造であって、建屋べた基礎の下部で、地表面を掘削した部分に荷重軽減用に設けられた軟弱地盤対策用の基礎構造である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記記載の形状を有するブロックを使用するため、直線状、L状、T字状、十字状の基礎構造が形成できる。ブロックには水平方向に透孔を設けたため、水が上昇してきても地際で排水する前に地中で水平方向に建屋の外に流出するため冠水しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のブロックの形状を示す概念図である。
【図2】基礎構造を形成するブロックの配置組み合わせ方法を示す概念図である。
【図3】べた基礎の下部に約均等に配置した概念図である。
【図4】建屋べた基礎の下部に約均等に配置した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を図により詳細に説明する。
図1は、本発明のブロックの形状を示す斜視図および平面図、断面図である。
図に示すとおり、ブロックは長方形で、表裏いずれかの面は平坦とされ、長手方向にA部、B部およびC部の3部に区画される。A部は正方形で、A部の長さはC部の長さの2倍となっている。図ではA部、B部とも正方形とされているがB部は長方形であってもよい。B部に横方向に透孔を設け、必要に応じてA部およびC部にも透孔を設け、水が自由にブロック内を通過できるようにしてある。
A部とC部の高さはB部の高さの半分としてあるので、A部とC部が相互に重なるとB部の高さとなる。
A部とC部にはピン孔が設けられている。図では、A部には4箇所、C部には2箇所設けられ、その位置はA部を4等分した平方形の中心に各1箇所、C部を2つの正方形に分けその中心に各1ヶ所設けている。ブロックを図2に示す形状に組み合わせ連結する際、ピン孔が一致する位置に設ける。
【0009】
図2は、ブロックを直線状、角に使用するL状、T字分岐部、十字分岐点を形成するための配置方法を斜視図も合わせて示している。
【0010】
建屋基礎はべた基礎およびその下に配設する基礎構造からなる。図3は、基礎構造の概念図である。建屋基礎は以下の手順で形成する。
(1)べた基礎分を掘削する。(2)さらにべた基礎分として掘削した底面に溝を掘削してブロックを配置組み合わせて配設し、基礎構造とする。べた基礎の周辺部および中心線に沿って形成し、べた基礎面にかかる家屋からかかる荷重を均等に受けるように配置する。図では田形状に配設されている。(3)基礎構造上にべた基礎を打設する。
【0011】
図4は、本ブロックによる基礎構造、べた基礎からなる建屋基礎面上に建屋を設けた状態を示す概念図である。ブロックによる基礎構造は地中に埋設されているため、降雨により地下水位が上昇しても、べた基礎面際で流出するのではなく、ブロックに設けた透孔により矢印に示すように地中から建屋基礎外に流出するため冠水することがない。
【0012】
建屋基礎全体を軽量化し地盤にかかる荷重を軽減するため、ブロックの透孔を含めた見かけの密度が1以下とすることが好ましい。リブを組み合わせた構造とすることができる。ブロックの材料は、樹脂製、金属製あるいはコンクリート製であっても差し支えがない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
軟弱地盤上に建築される建屋の基礎として利用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 ブロック
2 A部
3 B部
4 C部
5 透孔
6 ピン孔
7 べた基礎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形で、表裏いずれかの面が平坦とされ、長手方向をA部、B部、C部に区分しA部は正方形でかつA部の長さがC部の長さの2倍とされ、両側のA部、C部と中央のB部との高さの比が0.5:1とし、かつA部、C部にはブロック相互間を連結するピン孔が設けられ、かつ水平方向に水が流通するための透孔を有するブロック。
【請求項2】
請求項1記載のブロックを、建屋基礎としてのべた基礎の下部に周辺部、中央部と約均等に上からの荷重を受けるように連続して配置した基礎構造であって、建屋べた基礎の下部で、地表面を掘削した部分に荷重軽減用に設けられた軟弱地盤対策用の基礎構造。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−117335(P2012−117335A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270002(P2010−270002)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】