説明

ブロックポリマー及びそのブロックポリマーを含む化粧品組成物

【課題】新規ブロックポリマーを含む化粧品組成物の提供。
【解決手段】特定の化学構造を有する新規ブロックポリマー及びそれを含む化粧品組成物。該新規ブロックポリマーにおける第一ブロックが、a)40℃以上のガラス転移温度を有するブロック、b)20℃以下のガラス転移温度を有するブロック、c)20℃から40℃のガラス転移温度を有するブロックから選択され、第二のブロックが前記第一のブロックとは異なるカテゴリーa)、b)、c)から選択されるポリマーである。第一および第二ブロック共に好ましい単量体は(メタ)アクリレート誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の構造の新規ポリマーに関する。
【0002】
本発明は、また、そのようなポリマーを含む化粧品組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、様々なタイプのポリマーが、それらが化粧品組成物に与える様々な特性を考慮して化粧品組成物中で使用されている。
【0004】
それらは、例えばマニキュア等の、皮膚、唇又は外皮のメークアップ又はケア組成物、または、ヘアケア組成物中で使用されている。
【0005】
しかし、非混和性(非相容性、非適合性)の2つのポリマー、すなわち同一の溶媒に同一の組成で混和しない2つのポリマーを使用すると、ポリマーの非混和性の結果、配合者は相分離又はデカンテーションの問題に直面し、一般に不均一な組成物の製造という問題が生じる。これらの問題は、組成物中において前記ポリマーを相互に混和性とする化合物の存在によってのみこれまで解決されてきたようである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、組成物、特に化粧品組成物中に配合されたときに、該組成物が先行技術の組成物の欠点、制限、欠陥及び不利益を回避することを可能とするポリマーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、相互に非混和性であり異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも第1のブロックと少なくとも第2のブロックとを含み、前記第1のブロックの構成モノマーの少なくとも1つと、前記第2のブロックの構成モノマーの少なくとも1つとを含む中間セグメントを介して前記第1のブロックと前記第2のブロックが一緒に連結され、2より大きい多分散性指標Iを有するポリマー(以下、「ブロックポリマー」とも称する)によって達成される。なお、「『少なくとも』1つのブロック」の表現は1以上のブロックを意味する。
【0008】
「相互に非混和性であるブロック」の表現は、前記第1のブロックから形成されたポリマーと前記第2のブロックから形成されたポリマーの混合物が、25℃及び大気圧(10Pa)で、ブロックポリマーの主要重合有機溶媒中において、混合物(ポリマー+溶媒)の全重量の5重量%以上のポリマー含量で、非混和性であることを意味し、そこでは、i)前記混合物中でのポリマー含量は10/90から90/10の範囲の対応重量比であり、ii)第1及び第2のブロックに対応するポリマーのそれぞれはブロックポリマーの平均質量+/−15%に等しい平均平均モル質量(重量平均又は数平均モル質量)を有する。
【0009】
「主要重合有機溶媒」とは、重合溶媒の混合物の場合は、その複数の有機重合溶媒の全重量に対して最高の含量を有する重要溶媒を意味する。重合溶媒の混合物であって同一の重量比で2つ以上の溶媒が存在する場合は、前記ポリマー混合物は少なくとも1つの溶媒に非混和性である。重合溶媒が単一の溶媒からなる場合は、前記溶媒は主要溶媒である。
【0010】
これらの新規ポリマーを化粧品組成物中に導入することにより、以下で詳細に説明されるこれらのポリマーが非常に有利な化粧特性を有することを本出願人は見出した。一般に、これらのポリマーは高固体含量で、典型的には組成物の全重量の10重量%より多く、組成物に導入され、非常に配合が容易である。ヘアケア製品に使用される場合は、このポリマーはスタイリング力と柔軟性の両者を改善する。このポリマーは使用者に不快感を感じさせることなく、マニキュアの衝撃強度を増大させ、広範な様々なメークアップ組成物の保持力を改善する。
【0011】
本発明の主題は、そのようなポリマーを含む化粧品組成物である。
【0012】
本発明の他の主題は、本発明の化粧品組成物のケラチン物質への塗布を含む、ケラチン物質のメークアップ又はケア美容方法である。
【0013】
本発明は、また、化粧品組成物における該組成物の保持力改善剤としての本発明のポリマーの使用にも関する。
【0014】
最後に、本発明は、改善された保持力特性を有する組成物中における本発明のポリマーの使用に関する。
【0015】
本発明のブロックポリマーは有利には皮膜形成性直鎖ブロックエチレンポリマーである。
【0016】
「エチレンポリマー」の用語は、エチレン性不飽和を含むモノマーの重合によって得られるポリマーを意味すると理解される。「ブロックポリマー」の用語は、少なくとも2つの異なるブロックを含むポリマー、好ましくは少なくとも3つの分離したブロックを含むポリマーを意味すると理解される。ポリマーとは直鎖構造を有する重合体である。対照的に、非直鎖構造を有する重合体は、例えば、分岐、スター、グラフト又は他の構造を有するポリマーである。
【0017】
「皮膜形成(性)ポリマー」の用語は、それ自体で又は皮膜形成助剤の存在下で、特にケラチン物質等の基体に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味すると理解される。
【0018】
本発明のポリマーは、好ましくは、その骨格中にケイ素原子を含まない。「骨格」の用語は、ポリマーの主鎖を意味し、ペンダント位の側鎖を意味しない。
【0019】
好ましくは、本発明のポリマーは非水溶性である。換言すれば、該ポリマーは、pH調整のない室温(25℃)で、1重量%未満の活性物質含量で、水又は2から5の炭素原子を有する直鎖又は分岐低級モノアルコール(エタノール、イソプロパノール又はn-プロパノール)と水との混合物に溶解しない。
【0020】
「親水性有機溶媒」の表現は、アルコール、特に、2から5の炭素原子を有する直鎖又は分岐低級モノアルコールを意味し、例えば、エタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールであり、または、ポリオールを意味し、例えば、グリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール及びペンチレングリコール、並びに、ポリエチレングリコールであり、または、親水性Cエーテル及びC−Cアルデヒドを意味する。
【0021】
本発明のポリマーは、好ましくはエラストマーではない。
【0022】
「非エラストマー性ポリマー」の表現は、伸長ストレス(例えば元の長さの30%の伸び)をかけたときに、解放してもほぼその元の長さに戻らないポリマーを意味する。
【0023】
特に、「非エラストマー性ポリマー」は、30%の伸びを受けたときに、R<50%の即時回復とR2h<70%の遅延回復を有するポリマーを意味する。好ましくは、R<30%且つR2h<50%である。
【0024】
より具体的には、ポリマーのエラストマー性は下記のプロトコルに従って決定される。
【0025】
ポリマーをテフロン(登録商標)被覆された型に注型し、23±5℃に調整された周囲条件及び50±10%の相対湿度の下で7日間乾燥することによってポリマーフィルムを調製する。
【0026】
こうして得られた約100μmの厚みのフィルムを15mm幅及び80mm長さの長方形の標本に切断(例えばパンチを使用して)する。
【0027】
乾燥操作と同じ温度及び湿度条件下で、このサンプルにZwickの名称で市販の機械を用いて引張りストレスをかける。
【0028】
標本は50mm/分の速度で引っ張られ、挟み口の間の距離は50mmとされるが、これは標本の初期長(l)に相当する。
【0029】
即時回復Rは以下の方法で測定される。
− 標本を30%(εmax)、すなわちその初期長(l)の約0.3倍伸長させる
− 引張り速度に等しい回帰速度(すなわち50mm/分)を適用することによってストレスを解放し、0ストレス(ε)に戻った後に、標本の残留伸び率を測定する
【0030】
即時回復率(R)は次式で与えられる:R=((εmax−ε)/εmax)×100
【0031】
遅延回復を決定するためには、0ストレスに戻った2時間後に、標本の残留伸度率(ε2h)を測定する。
【0032】
遅延回復率(R2h)は次式で与えられる:R2h=((εmax−ε2h)/εmax)×100
【0033】
本発明のポリマーは、互いに非混和性で、異なるガラス転移温度(Tg)を有する、少なくとも第1のブロックと少なくとも第2のブロックとを含み、前記第1及び第2のブロックは、前記第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと前記第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントを介して一緒に連結されており、該ポリマーは2より大きい多分散性指標Iを有する。
【0034】
上記及び下記において「第1」及び「第2」のブロックの用語は、ポリマーの構造中における当該ブロックの順序条件を何ら規定するものではない。
【0035】
前記ポリマーの多分散性Iは数平均質量Mnに対する重量平均質量Mwの比に等しい。
【0036】
重量平均(Mw)及び数平均(Mn)モル質量はゲル浸透液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖ポリスチレン基準で確立された補正カーブ、屈折測定器)で測定される。
【0037】
本発明のポリマーの重量平均分子量(Mw)は好ましくは300000以下であり、例えば、35000から200000、好ましくは45000から150000の範囲である。
【0038】
本発明のポリマーの数平均質量(Mn)は好ましくは70000以下であり、例えば、10000から60000、好ましくは12000から50000の間である。
【0039】
好ましくは、本発明のポリマーの多分散性指標は、2より大きく、例えば2から9の範囲であり、好ましくは2.5以上、例えば2.5から8の範囲であり、より好ましくは2.8以上、例えば2.8から6の間である。
【0040】
本発明のポリマーの各ブロックは1つのタイプのモノマー、または、幾つかの異なるタイプのポリマーから誘導される。
【0041】
これは、各ブロックがホモポリマー又はコポリマーからなりうることを意味し、該ブロックを構成するこのコポリマーはランダム又は交互型でもよい。
【0042】
有利には、前記第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと前記第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントはランダムポリマーである。
【0043】
好ましくは、中間ブロックは本質的に第1のブロック及び第2のブロックの構成モノマーから誘導される。
【0044】
「本質」の用語は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、更により好ましくは100%を意味する。
【0045】
有利には、中間ブロックは前記第1及び第2のブロックのガラス転移温度の間のガラス転移温度Tgを有する。
【0046】
本発明では、前記第1及び第2のブロックは異なるガラス転移温度を有する。
【0047】
前記第1及び第2のブロックについて示したガラス転移温度は各ブロックの構成モノマーの理論Tg値から決定される理論Tg値でもよく、これは、Polymer Handbook, 3rd Edition, 1989, John Wiley等の参照マニュアルに見出すことができ、それはフォックスの法則(Fox’s law)として知られる下記の関係:
【数1】

(ωは考慮下のブロック中のモノマーiの質量フラクションであり、Tgはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である)
によるものである。
【0048】
特に断らない限り、本明細書中の第1及び第2のブロックについて示されるTg値は理論Tg値である。
【0049】
第1及び第2のブロックのガラス転移温度の差は一般に10℃より大きく、好ましくは20℃より大きく、より好ましくは30℃より大きい。
【0050】
特に、前記第1のブロックは、
− a)40℃以上のTgを有するブロック、
− b)20℃以下のTgを有するブロック、
− c)20℃から40℃の間のTgを有するブロック
から選択され、前記第2のブロックは前記第1のブロックとは異なるカテゴリーa)、b)又はc)から選択されることができる。
【0051】
本発明では、「〜から〜の間」の表現は、その明記された上下端値が排除された範囲の値を表すことを意図しており、「〜から〜の」及び「〜から〜の範囲」の表現は、上下端値が含まれることを意図する。
【0052】
a)40℃以上のTgを有するブロック
40℃以上のTgを有するブロックは、例えば、40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば、50から120℃の範囲、より好ましくは50から100℃の範囲、更に好ましくは60℃以上、例えば、60から120℃の範囲のTgを有する。
【0053】
40℃以上のTgを有するブロックはホモポリマー又はコポリマーであることができる。
【0054】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、そのモノマーから調製されたホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーから誘導される。この第1のブロックは1つのタイプのモノマーのみからなるホモポリマー(対応するホモポリマーのTgは40℃以上)であってよい。
【0055】
第1のブロックがコポリマーである場合、それは、得られるコポリマーのTgが40℃以上となるように特性及び濃度が選択された1以上のモノマーから全体的又は部分的に誘導されうる。それは例えば以下のものを含む:
− そのモノマーから調製されたホモポリマーが40℃以上の、例えば40℃から150℃の範囲の、好ましくは50℃以上の、例えば50℃から120℃の範囲の、より好ましくは60℃以上の、好ましくは60℃から120℃の範囲のTgを有する、モノマー;並びに
− そのモノマーから調製されたホモポリマーが40℃未満のTgを有するモノマーであって、20℃から40℃の間のTgを有するモノマー、及び/又は、20℃未満の、例えば−100から20℃、好ましくは15℃未満、特に−80℃から15℃の範囲、より好ましくは10℃未満、例えば−50℃から0℃の範囲のTgを有する後述するモノマーから選択されるモノマー;
【0056】
ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーは、例えば、以下のモノマー(主モノマー)から選択される:
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の直鎖又は分岐の1から4の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、或いは、RはCからC12シクロアルキル基を表す)のメタクリレート;
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、イソボルニル基等のCからC12シクロアルキル基又はtert-ブチル基を表す)のアクリレート;
− 式
【化1】

(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、又は、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基等の直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し;或いは、RはHを表し、且つ、Rは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を表す。R'はH又はメチルを表す)の(メタ)アクリルアミド。このモノマーの例にはN−ブチルアクリルアミド、N−t-ブチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及び、N,N−ジブチルアクリルアミドが含まれる;
− これらの混合物。
【0057】
特に好ましい主モノマーは、メチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニル(メタ)アクリレート、並びに、これらの混合物である。
【0058】
b)20℃以下のTgを有するブロック
20℃以下のTgを有するブロックは、例えば、−100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に、−80から15℃の範囲、より好ましくは10℃以下、例えば−100℃から0℃、更に好ましくは−50から0℃の範囲のTgを有する。
【0059】
20℃以下のTgを有するブロックはホモポリマー又はコポリマーであることができる。
【0060】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、そのモノマーから調製されたホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーから誘導される。この第2のブロックは1つのタイプのモノマーのみからなるホモポリマー(対応するホモポリマーのTgは20℃以下)であってよい。
【0061】
20℃以下のTgを有するこのブロックがコポリマーである場合、それは、得られるコポリマーのTgが20℃以下となるように特性及び濃度が選択された1以上のモノマーから全体的又は部分的に誘導されうる。それは例えば以下のものを含む:
− 対応するホモポリマーが20℃以下の、例えば−100℃から20℃の範囲の、好ましくは15℃未満の、特に−80℃から15℃の範囲の、より好ましくは10℃未満の、例えば−50℃から0℃の範囲のTgを有する1以上のモノマー;並びに
− 対応するホモポリマーが20℃より高いTgを有するモノマーであって、例えば、40℃以上、例えば30から150℃の範囲の、好ましくは50℃以上の、例えば50℃から120℃の、より好ましくは60℃以上の、例えば60℃から120℃のTgを有するモノマー、及び/又は、20℃から40℃の間のTgを有する既述のモノマー;
【0062】
好ましくは、20℃以下のTgを有するブロックはホモポリマーである。
【0063】
そのホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーは、好ましくは、以下のモノマー(又は主モノマー)から選択される:
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、tert-ブチル基以外の、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のアクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のメタクリレート、
− 式R−CO−O−CH=CH(式中、Rは、直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表す)のビニルエステル、
− C−C12アルコール及びビニルアルコールエーテル、
− N−オクチルアクリルアミド等のN−(C―C12)アルキルアクリルアミド
− 並びに、これらの混合物。
【0064】
20℃以下のTgを有するこのブロックに特に好ましい主モノマーは、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート等のそのアルキル鎖(tert-ブチル基を除く)が1から10の炭素原子を含むアルキルアクリレート、並びに、それらの混合物である。
【0065】
c)20℃から40℃の間のTgを有するブロック
20℃から40℃の間のTgを有するブロックはホモポリマー又はコポリマーであってよい。
【0066】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、そのモノマーから調製されたホモポリマーが20℃から40℃の間のガラス転移温度を有するモノマー(又は主モノマー)から誘導される。この第1のブロックは1つのタイプのモノマーのみからなるホモポリマー(対応するホモポリマーのTgは20℃から40℃の間)であってよい。
【0067】
そのホモポリマーが20℃から40℃の間のガラス転移温度を有するモノマーは好ましくはn-ブチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、ネオペンチルアクリレート及びイソデシルアクリルアミド、並びに、これらの混合物から選択される。
【0068】
20℃から40℃の間のTgを有するこのブロックがコポリマーである場合、それは、得られるコポリマーのTgが20℃から40℃の間となるように特性及び濃度が選択された1以上のモノマー(又は主モノマー)から全体的又は部分的に誘導される。
【0069】
有利には、20℃から40℃の間のTgを有するブロックは、全体的に又は部分的に以下のものから誘導されるコポリマーである:
− 対応するホモポリマーが40℃以上の、例えば40℃から150℃の範囲の、好ましくは50℃以上の、例えば50℃から120℃の範囲の、より好ましくは60℃以上の、好ましくは60℃から120℃の範囲のTgを有する、既述した主モノマー;及び/又は
− 対応するホモポリマーが20℃以下の、例えば−100℃から20℃の範囲の、好ましくは15℃以下の、特に−80℃から15℃の範囲の、より好ましくは10℃以下の、例えば−50℃から0℃の範囲のTgを有する、既述した主モノマー。前記モノマーは第1のブロックを形成するコポリマーのTgが20から40℃の間となるように選択される。
【0070】
そのような主モノマーは、例えば、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート、並びに、これらの混合物から選択される。
【0071】
好ましくは、20℃以下のTgを有する第2のブロックの割合は、ポリマーの重量の、10から85重量%の範囲、好ましくは20から70重量%の範囲、より好ましくは20から50重量%の範囲である。
【0072】
しかし、各ブロックは他のブロックの少なくとも1つの構成モノマーを少量含んでもよい。
【0073】
したがって、第1のブロックは第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーを含んでもよく、また逆も成立する。
【0074】
第1及び/又は第2のブロックのそれぞれは、上記のモノマーに加えて、上記の主モノマーとは異なる、追加のモノマーとして知られる、1以上の他のモノマーを含んでもよい。
【0075】
この追加のモノマーの性質及び量はそれが存在するブロックが所望のガラス転移温度を有するように選択される。
【0076】
この追加のモノマーは、例えば、以下のものから選択される:
a)親水性モノマー、例えば、
− 少なくとも1つのカルボン酸又はスルホン酸官能性を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、及び、これらの塩、
− 少なくとも1つの第3級アミン官能性を有するエチレン性不飽和モノマー、例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、並びに、これらの塩、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の1から4の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基(例えば、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)(例えば、トリフルオロエチルメタクリレート)から選択される1以上の置換基で置換されている)のメタクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が任意に介在する直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1以上の置換基で置換されている)のメタクリレート、
− 式CH=CHCOOR10(式中、R10はヒドロキシル基(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1以上の置換基で置換されている直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し、或いは、R10は、例えばメトキシ−POE等の5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有する(C−C12)アルキル−O−POE(ポリオキシエチレン)を表し、或いは、R10は、5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン化基を表す)のアクリレート、
b)1以上のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及びメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
及び、
− これらの混合物。
【0077】
特に好ましい追加のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸及びトリフルオロエチルメタクリレート、並びに、これらの混合物である。
【0078】
ある好ましい態様では、本発明のポリマーは非シリコーンポリマー、すなわちケイ素原子がないポリマー、である。
【0079】
前記追加のモノマーは、一般に、前記第1及び/又は第2のブロックの全重量に対して、30重量%以下、例えば1から30重量%、好ましくは5から20重量%、より好ましくは7から15重量%を占める。
【0080】
好ましくは、第1及び第2のブロックのそれぞれは、(メタ)アクリル酸エステル類から選択される少なくとも1つのモノマー、そして、最終的には(メタ)アクリル酸及びその混合物から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
【0081】
有利には、前記第1及び第2のブロックのそれぞれは、アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル類、そして最終的には(メタ)アクリル酸及びその混合物から選択される少なくとも1つのモノマーから全面的又は部分的に誘導される。
【0082】
好ましくは、本発明のポリマーはスチレンを含まない。「スチレンを含まない」ポリマーとは、スチレン、並びに、例えばメチルスチレン、クロロスチレン又はクロロメチルスチレン等のスチレン誘導体等のスチレンモノマーをポリマーの全重量の10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満、更により好ましくは1重量%未満、更により好ましくは全く含まないポリマーを意味する。
【0083】
本発明のポリマーは以下の調製方法に従ってフリーラジカル溶液重合によって得ることができる:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に導入して重合に適当な温度(典型的には60から120℃)に達するまで加熱する、
− 前記温度に到達すると、重合開始剤の存在下で、前記第1のブロックの構成モノマーを導入する、
− 90%の最大転換度に相当する時間Tの後に、前記第2のブロックの構成モノマー及び重合開始剤の残りを導入する、
− この混合物をT'時間(3から6時間)の間反応させ、その後、混合物を室温へ冷却する、
− 前記重合溶媒に溶解しているポリマーを得る。
【0084】
用語「重合溶媒」とは、単一の溶媒又は複数の溶媒の混合物を意味する。重合溶媒は特に酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール又はエタノール等のアルコール、イソドデカン等の脂肪族アルカン、及びこれらの混合物から選択されうる。好ましくは、重合溶媒は酢酸ブチルとイソプロパノール又はイソドデカンの混合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
第1の態様
第1の態様では、本発明のポリマーは、a)において既述したような、40℃以上のTgを有する第1のブロックを含み、且つ、b)において既述したような、20℃以下のTgを有する第2のブロックを含む。
【0086】
好ましくは、40℃以上のTgを有する第1のブロックは、そのモノマーから調製されるホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するような(上記のモノマー等の)モノマーから誘導されるコポリマーである。
【0087】
有利には、20℃以下のTgを有する第2のブロックは、そのモノマーから調製されるホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するような(上記のモノマー等の)モノマーから誘導されるホモポリマーである。
【0088】
好ましくは、40℃以上のTgを有する前記のブロックの割合はポリマーの重量の20から90%、好ましくは30から80%、より好ましくは50から70%の範囲である。好ましくは、20℃以下のTgを有する前記のブロックの割合はポリマーの重量の5から75%、好ましくは15から50%、より好ましくは25から45%の範囲である。
【0089】
そして、第1の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば70から110℃の範囲のTgを有する、メチルメタクリレート/アクリル酸コポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば0から20℃の範囲のTgを有する、メチルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−メチルメタクリレート/アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0090】
第2の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば70から100℃の範囲のTgを有する、メチルメタクリレート/アクリル酸/トリフルオロエチルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば0から20℃の範囲のTgを有する、メチルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−メチルメタクリレート/アクリル酸/メチルアクリレート/トリフルオロエチルメタクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0091】
第3の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば0から20℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−85から−55℃の範囲のTgを有する、2−エチルヘキシルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0092】
第4の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば85から115℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−85から−55℃の範囲のTgを有する、2−エチルヘキシルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0093】
第5の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば95から125℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−85から−55℃の範囲のTgを有する、2−エチルヘキシルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0094】
第6の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば85から115℃の範囲のTgを有する、イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−35から−5℃の範囲のTgを有する、イソブチルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0095】
第7の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば95から125℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−35から−5℃の範囲のTgを有する、イソブチルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0096】
第8の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば60から90℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマーである、40℃以上のTgを有する第1のブロック;
−例えば−35から−5℃の範囲のTgを有する、イソブチルアクリレートホモポリマーである、20℃以下のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0097】
下記の実施例は、(本発明を)制限するものではないが、この第1の態様に相当するポリマーを例証するものである。量はグラムで表されている。
【実施例1】
【0098】
実施例1:ポリ(メチルメタクリレート)/アクリル酸/メチルアクリレート)ポリマーの調製
【0099】
100gの酢酸ブチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、180gのメチルメタクリレート、30gのアクリル酸、40gの酢酸ブチル、70gのイソプロパノール及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0100】
次に、90gのメチルアクリレート、70gの酢酸ブチル、20gのイソプロパノール及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0101】
混合物は90℃で3時間維持され、次に105gの酢酸ブチル及び45gのイソプロパノールで希釈された。そして混合物は冷却された。
【0102】
酢酸ブチル/イソプロパノール混合物中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0103】
100℃のTgを有するポリ(メチルメタクリレート/アクリル酸)の第1のブロック、10℃のTgを有するポリメチルアクリレートの第2のブロック、及び、メチルメタクリレート/アクリル酸/ポリメチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0104】
このポリマーは52000の重量平均(分子)量及び18000の数平均(分子)量、すなわち2.89の多分散性指標を有していた。
【0105】
実施例2:ポリ(メチルメタクリレート)/アクリル酸/メチルメタクリレート)ポリマーの調製
【0106】
100gの酢酸ブチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、150gのメチルメタクリレート、30gのアクリル酸、30gのメチルアクリレート、40gの酢酸ブチル、70gのイソプロパノール及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0107】
次に、90gのメチルアクリレート、70gの酢酸ブチル、20gのイソプロパノール及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0108】
混合物は90℃で3時間維持され、次に105gの酢酸ブチル及び45gのイソプロパノールで希釈された。そして混合物は冷却された。
【0109】
酢酸ブチル/イソプロパノール混合物中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0110】
80℃のTgを有するポリ(アクリル酸/メチルメタクリレート)の第1のブロック、10℃のTgを有するポリメチルアクリレートの第2のブロック、及び、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0111】
このポリマーは50000の重量平均(分子)量及び17000の数平均(分子)量、すなわち2.95の多分散性指標を有していた。
【0112】
実施例3:ポリ(アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルアクリレート/トリフルオロエチルメタクリレート)ポリマーの調製
【0113】
100gの酢酸ブチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、150gのメチルメタクリレート、30gのアクリル酸、60gのトリフルオロエチルメタクリレート、40gの酢酸ブチル、70gのイソプロパノール及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0114】
次に、90gのメチルアクリレート、70gの酢酸ブチル、20gのイソプロパノール及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0115】
混合物は90℃で3時間維持され、次に105gの酢酸ブチル及び45gのイソプロパノールで希釈された。そして混合物は冷却された。
【0116】
酢酸ブチル/イソプロパノール混合物中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0117】
85℃のTgを有するポリ(アクリル酸/メチルメタクリレート/トリフルオロエチルメタクリレート)の第1のブロック、10℃のTgを有するポリメチルアクリレートの第2のブロック、及び、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルアクリレート/トリフルオロエチルメタクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0118】
このポリマーは53000の重量平均(分子)量及び17500の数平均(分子)量、すなわち3.03の多分散性指標を有していた。
【0119】
実施例4:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0120】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、120gのイソボルニルアクリレート、90gのイソブチルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0121】
次に、90gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0122】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0123】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0124】
80℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート)の第1のブロック、−70℃のTgを有するポリ−2−エチルヘキシルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0125】
このポリマーは77000の重量平均(分子)量及び19000の数平均(分子)量、すなわち4.05の多分散性指標Iを有していた。
【0126】
実施例5:ポリ(イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0127】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、150gのイソボルニルアクリレート、60gのメチルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0128】
次に、90gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0129】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0130】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0131】
100℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート)の第1のブロック、−70℃のTgを有するポリ−2−エチルヘキシルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0132】
このポリマーは76500の重量平均(分子)量及び22000の数平均(分子)量、すなわち3.48の多分散性指標Iを有していた。
【0133】
実施例6:ポリ(イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0134】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、90gのイソボルニルアクリレート、60gのメチルメタクリレート、50gのイソドデカン、及び1.5gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0135】
次に、150gの2−エチルヘキシルアクリレート、150gのイソドデカン、及び1.5gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0136】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0137】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0138】
100℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート)の第1のブロック、−70℃のTgを有するポリ−2−エチルヘキシルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0139】
このポリマーは76500の重量平均(分子)量及び22000の数平均(分子)量、すなわち3.48の多分散性指標Iを有していた。
【0140】
実施例7:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0141】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、105gのイソボルニルアクリレート、105gのイソボルニルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0142】
次に、90gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0143】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0144】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0145】
110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート)の第1のブロック、−70℃のTgを有するポリ−2−エチルヘキシルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0146】
このポリマーは103900の重量平均(分子)量及び21300の数平均(分子)量、すなわち4.89の多分散性指標Iを有していた。
【0147】
実施例8:ポリ(イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレート)ポリマーの調製
【0148】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、120gのイソボルニルメタクリレート、90gのイソブチルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0149】
次に、90gのイソブチルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0150】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0151】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0152】
95℃のTgを有するポリ(イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレート)の第1のブロック、−20℃のTgを有するポリイソブチルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0153】
このポリマーは100700の重量平均(分子)量及び20800の数平均(分子)量、すなわち4.85の多分散性指標Iを有していた。
【0154】
実施例9:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレート)ポリマーの調製
【0155】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、105gのイソボルニルアクリレート、105gのイソボルニルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0156】
次に、90gのイソブチルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0157】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0158】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0159】
110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート)の第1のブロック、−20℃のTgを有するポリイソブチルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0160】
このポリマーは151000の重量平均(分子)量及び41200の数平均(分子)量、すなわち3.66の多分散性指標Iを有していた。
【0161】
実施例10:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレート)ポリマーの調製
【0162】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、120gのイソボルニルアクリレート、90gのイソブチルメタクリレート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0163】
次に、90gのイソブチルアクリレート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0164】
混合物は90℃で3時間維持され、次に冷却された。
【0165】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0166】
75℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート)の第1のブロック、−20℃のTgを有するポリイソブチルアクリレートの第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0167】
このポリマーは144200の重量平均(分子)量及び49300の数平均(分子)量、すなわち2.93の多分散性指標Iを有していた。
【0168】
第2の態様
第2の態様では、本発明のポリマーは、c)において既述したブロックに従う、20℃から40℃の間のTgを有する第1のブロックを含み、且つ、b)において既述したような、20℃以下のTgを有する、又は、a)において既述したような、40℃以上のTgを有する、第2のブロックを含む。
【0169】
好ましくは、20℃から40℃の間のTgを有する第1のブロックの割合はポリマーの重量の10から85%、好ましくは30から80%、より好ましくは50から70%の範囲である。
【0170】
第2のブロックが40℃以上のTgを有するブロックである場合は、それは好ましくはポリマーの重量の10から85%、より好ましくは20から70%、更に好ましくは30から70%の範囲で存在する。
【0171】
第2のブロックが20℃以下のTgを有するブロックである場合は、それは好ましくはポリマーの重量の10から85%、より好ましくは20から70%、更に好ましくは30から70%の範囲で存在する。
【0172】
好ましくは、20℃から40℃の間のTgを有する第1のブロックは、対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するようなモノマー、及び、対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するようなモノマーから誘導されるコポリマーである。
【0173】
有利には、20℃以下のTgを有する又は40℃以上のTgを有する第2のブロックはホモポリマーである。
【0174】
そして、第1の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば25から39℃の範囲のTgを有する、少なくとも1つのメチルアクリレートモノマー、少なくとも1つのメチルメタクリレートモノマー及び少なくとも1つのアクリル酸モノマーを含むコポリマーである、20℃から40℃の間のTgを有する第1のブロック;
−例えば85から125℃の範囲の、40℃以上のTgを有する、メチルメタクリレートモノマーからなるホモポリマーである第2のブロック;
−少なくとも1つのメチルアクリレート、メチルメタクリレートモノマーを含む中間ブロック、及び、
−メチルメタクリレート、少なくとも1つのアクリル酸モノマー及び少なくとも1つのメチルアクリレートモノマーを含む中間ブロック
を含みうる。
【0175】
第2の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば21から39℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートを含むコポリマーである、20から40℃の間のTgを有する第1のブロック;
−例えば−65℃から−35℃の範囲の、20℃以下のTgを有する、メチルメタクリレートホモポリマーである、第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0176】
第3の形態では、本発明のポリマーは、
−例えば21から39℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸コポリマーである、20から40℃の間のTgを有する第1のブロック;
−例えば85から115℃の範囲のTgを有する、イソボルニルアクリレートホモポリマーである、40℃以上のTgを有する第2のブロック;及び
−イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸ランダムコポリマーである中間ブロック
を含みうる。
【0177】
(本発明を)制限するものではないが、この第2の態様に相当するポリマーは以下のように調製されることができる。
【実施例2】
【0178】
実施例11:ポリ(ブチルメタクリレート/ブチルアクリレート)ポリマーの調製
【0179】
100gの酢酸ブチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、210gのブチルメタクリレート、110gの酢酸ブチル、及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0180】
次に、90gのブチルアクリレート、90gのイソプロパノール、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で30分かけて上記の混合物に添加した。
【0181】
混合物は90℃で3時間維持され、105gの酢酸ブチル及び45gのイソプロパノールで希釈され、次に冷却された。
【0182】
酢酸ブチル/イソプロパノール混合物中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0183】
25℃のTgを有するポリブチルメタクリレートの第1のブロック、−50℃のTgを有するポリブチルアクリレートの第2のブロック、及び、ブチルメタクリレート/ブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0184】
このポリマーは57560の重量平均(分子)量及び19025の数平均(分子)量、すなわち3.03の多分散性指標Iを有していた。
【0185】
実施例12:ポリ(メチルメタクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸)ポリマーの調製
【0186】
100gの酢酸ブチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、50.4gのメチルメタクリレート、21gのアクリル酸、138.6gのメチルアクリレート、40gの酢酸ブチル、70gのイソプロパノール及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0187】
次に、90gのメチルメタクリレート、70gの酢酸ブチル、20gのイソプロパノール、及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0188】
混合物は90℃で3時間維持され、105gの酢酸ブチル及び45gのイソプロパノールで希釈され、次に冷却された。
【0189】
酢酸ブチル/イソプロパノール混合物中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0190】
35℃のTgを有するポリ(メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸)の第1のブロック、100℃のTgを有するポリ(メチルメタクリレート)の第2のブロック、及び、メチルメタクリレート/アクリル酸/ポリメチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0191】
実施例13:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0192】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、105gのイソボルニルアクリレート、50.4gのイソブチルメタクリレート、54.6gの2−エチルヘキシルアクリレート、110gのイソドデカン及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0193】
次に、90gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカン及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0194】
混合物は90℃で3時間維持され、次に希釈及び冷却された。
【0195】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0196】
得られたポリマーは、35℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)の第1のブロック、−50℃のTgを有するポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)の第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含む。
【0197】
実施例14:ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
【0198】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、54gのイソボルニルアクリレート、75.6gのイソブチルメタクリレート、50.4gの2−エチルヘキシルアクリレート、110gのイソドデカン及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0199】
次に、120gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカン及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0200】
混合物は90℃で3時間維持され、次に希釈及び冷却された。
【0201】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0202】
25℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート)の第1のブロック、−50℃のTgを有するポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)の第2のブロック、及び、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0203】
実施例15:ポリ(イソボルニルアクリレート/アクリル酸/メチルアクリレート)ポリマーの調製
【0204】
100gのイソドデカンが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から90℃へ上昇させた。次に、210gのイソボルニルアクリレート、110gのイソドデカン及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を90℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間30分維持された。
【0205】
次に、18gのイソボルニルアクリレート、71.1gのメチルアクリレート、0.9gのアクリル酸、90gのイソドデカン及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを90℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0206】
混合物は90℃で3時間維持され、次に希釈及び冷却された。
【0207】
イソドデカン中に活性物質として50%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0208】
25℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸)の第1のブロック、100℃のTgを有するポリイソボルニルアクリレートの第2のブロック、及び、(イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸)ランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られた。
【0209】
以下のポリマーが調製された。
【0210】
実施例16:ポリ(メチルメタクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸)ポリマーの調製
【0211】
210gの酢酸エチルが1lの反応器に導入され、次いで、1時間で温度を室温(25℃)から78℃へ上昇させた。次に、54gのメチルメタクリレート、21gアクリル酸、135gのメチルアクリレート及び1.8gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Trigonox 141(登録商標)アクゾノーベル社)を78℃で1時間かけて添加した。混合物は90℃で1時間維持された。
【0212】
次に、90gのメチルメタクリレート、90gの酢酸エチル及び1.2gの2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを78℃で1時間かけて上記の混合物に添加した。
【0213】
混合物は78℃で3時間維持され、次に150gの酢酸エチルで希釈され、次に冷却された。
【0214】
酢酸エチル中に活性物質として40%のポリマーを含む溶液が得られた。
【0215】
得られたポリマーは、35℃のTgを有するポリ(メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸)の第1のブロック、100℃のTgを有するポリ(メチルメタクリレート)の第2のブロック、及び、メチルメタクリレート/アクリル酸/ポリメチルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含むものである。
【0216】
このポリマーは141000の重量平均(分子)量及び50000の数平均(分子)量、すなわち2.82の多分散性指標Iを有していた。
【0217】
本発明は、少なくとも1つの上記の特定構造のポリマーを含む化粧品組成物にも関する。
【0218】
一般に、これらの組成物は本発明のポリマーの活性成分(又は固体)を0.1から60重量%、好ましくは0.5から50重量%、より好ましくは1から40重量%含む。
【0219】
本発明の化粧品組成物は、上記ポリマーの他に、生理学的に許容可能な媒体、すなわち、ケラチン物質(例えば皮膚、毛髪、睫毛、眉毛及び爪)に適合する媒体を含む。
【0220】
前記生理学的に許容可能な媒体は、一般に、生理学的に許容可能な適当な溶媒を含む。
【0221】
前記生理学的に許容可能な媒体は、水を含む親水性媒体、並びに、アルコール(特に2から5の炭素原子を含む直鎖又は分岐低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn−プロパノール)、ポリオール(例えばグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はペンチレングリコール、及び、ポリエチレングリコール)、又は、親水性Cエーテル及びC−Cアルデヒド等の親水性有機溶媒と水との混合物を含む。
【0222】
水、又は、水と親水性有機溶媒との混合物は本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1から99重量%、好ましくは10から80重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0223】
前記組成物は、本発明の上記ポリマーの他に、皮膜形成ポリマー等の追加のポリマーを含むことができる。本発明では、「皮膜形成ポリマー」とは、それ自体で、又は、補助皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。
【0224】
本発明の組成物で使用可能な皮膜形成ポリマーの中では、フリーラジカル型又は重縮合型の合成ポリマー、並びに、天然起源のポリマーに言及することができる。特に言及しうる皮膜形成ポリマーは、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、及び、例えばニトロセルロースといったセルロースベースのポリマーである。
【0225】
前記組成物は、特に室温(一般に25℃)で液体の脂肪物質及び/又は室温で固体の脂肪物質(ワックス、ペースト状脂肪物質、ゴム及びこれらの混合物)からなる脂肪相をも含むことができる。これらの脂肪物質は動物、植物、鉱物又は合成起源のものであってよい。この脂肪相は親油性有機溶媒をも含むことができる。
【0226】
本発明で使用されうる室温で液体の脂肪物質(しばしば油と称される)としては、以下のものが挙げられる:
ペルヒドロスクアレン等の動物起源の炭化水素油;
例えばヘプタン酸又はオクタン酸といった4から10の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリド、或いは、向日葵油、トウモロコシ油、大豆油、葡萄種油、胡麻種油、アプリコット油、マカダミア油、ひまし油、アボガド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、ホホバ油、カリテバター等の植物起源の炭化水素油;
液体パラフィン及びその誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、パーリーム等の水素化ポリイソブテン等の鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐炭化水素;
特に脂肪酸の、合成エステル又はエーテル、例えば、パーセリン油、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;
ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート及び脂肪アルコールのヘプタノエート、オクタノエート及びデカノエート;
ポリオールエステル、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、及び、ジエチレングリコールジイソノナノエート、並びに、ペンタエリトリトールエステル;
12から26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール;
部分的に炭化水素ベースのフルオロ油及び/又はフルオロシリコーン油;
シリコーン油、例えば、揮発性又は不揮発性の、室温で液体又はペースト状の、線状又は環状ポリジメチルシロキサン(PDMSs)、例えば、任意にフェニル基を含む、シクロメチコーン、ジメチコーン、例えば、フェニルトリメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコーン、フェニルジメチコーン、及び、ポリメチルフェニルシロキサン;及び
これらの混合物。
【0227】
これらの油は前記組成物の全重量に対して0.01から90重量%、好ましくは0.1から85重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0228】
ペースト状脂肪物質とはすなわち液体部分と固体部分を含む粘性製品である。ペースト状脂肪物質なる用語は、本明細書においては、20から55℃、好ましくは25から45℃の範囲の融点、及び/又は、60Hzの回転数の回転子を備えたContraves TV又はRheomat 80で測定して40℃で0.1から40Pa・s(1から400ポアズ)、好ましくは0.5から25Pa・sを有する脂肪物質を意味するものと理解される。当業者は、一般的な知識に基づいて、MSr3及びMSr4回転子から粘度測定を可能とする回転子を選択することができ、テストされるペースト状化合物の測定を実施することができる。
【0229】
本発明での融点は、5又は10℃/分の温度上昇で、「Dynamic Scanning Colorimetry」で測定された融点のピークに相当する。
【0230】
本発明の組成物には1以上のペースト状脂肪物質が使用可能である。これらの脂肪物質は好ましくは炭化水素系化合物(主に炭素及び水素原子と、任意にエステル基を含む)であり、任意にポリマー型である。それらは、シリコーン及び/又はフッ化化合物から選択されることもできる。それらは、炭化水素系化合物及び/又はシリコーン及び/又はフッ化化合物の混合物の形態で提供されうる。様々なペースト状脂肪物質の混合物の場合は、主に炭化水素系のペースト状化合物が好ましく使用される。
【0231】
本発明の組成物で使用可能なペースト状化合物の中では、18から21Pa・s、好ましくは19から20.5Pa・sの粘度及び/又は30から55℃の融点を有する、ラノリン、及び、アセチル化ラノリン又はオキシプロピレン化ラノリン又はイソプロピルラノレート等のラノリン誘導体並びにこれらの混合物を挙げることができる。脂肪酸又は脂肪アルコールのエステル、特に20から65の炭素原子を有するもの(20℃から35℃のオーダーの融点及び/又は40℃で0.1から40Pa・sの粘度)、例えばトリ−イソステアリル又はセチルシトレート、アラキジルプロピオネート、ポリ(ビニルラウレート)、植物起源のトリグリセリド等のコレステロールエステル(例えば水素化植物油)、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)等の粘性ポリエステル、並びにこれらの混合物を使用することもできる。植物起源のトリグリセリドとしては、Rheox社の「Thixinr」等の水素化ひまし油の誘導体を使用することができる。
【0232】
シリコーンペースト状脂肪物質としては、8から24の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ型のペンダント鎖を有する20から55℃の融点の、ステアリルジメチコーン等のポリジメチルシロキサン(PDMSs)(特に、Dow Corning社からDC2503及びDC25514の商品名で販売されているもの)を挙げることができる。
【0233】
前記ペースト状脂肪物質は組成物の全重量に対して0.5から60重量の割合で、好ましくは2から45重量%の割合で、より好ましくは5から30重量%の割合で存在することができる。
【0234】
本発明の組成物は、1以上の化粧品的に許容可能(許容可能な耐性、毒性及び感覚)な有機溶媒をも含むことができる。これらの有機溶媒は一般に組成物の全重量に対して、0から90重量%、好ましくは0.1から90重量%、より好ましくは10から90重量%、更により好ましくは30から90重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0235】
本発明の組成物に使用可能な溶媒として、上記の親水性有機溶媒の他に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン及びアセトン等の室温で液体のケトン;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の室温で液体のプロピレングリコールエーテル;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル及び酢酸イソペンチル等の短鎖(全部で3から8の炭素原子を含む)エステル;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル等の室温で液体のエーテル;デカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン及びシクロヘキサン等の室温で液体のアルカン;トルエン及びキシレン等の室温で液体の芳香環状化合物を;ベンズアルデヒド及びアセトアルデヒド等の室温で液体のアルデヒド;並びにこれらの混合物を言及することができる。
【0236】
本発明では、「ワックス」の用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆の固体/液体の状態変化を受け、且つ、30℃以上の(120℃までとしうる)融点を有する、親油性化合物を意味する。
【0237】
ワックスを液体とする(溶融)と、油が存在すればそれと混和して微視的に均一な混合物を形成することが可能となるが、その混合物を室温に戻すと、当該混合物の油中でワックスの再結晶が得られる。ワックスの融点は示差熱量計(DSC)を用いて測定することができ、例えば、Mettler社のDSC30の名称で市販の熱量計が使用可能である。
【0238】
ワックスは0.05MPaから15MPaの範囲の、好ましくは6MPaから15MPaの範囲の硬度を有することができる。硬度は、0.1mm/秒の測定速度で動き0.3mmの浸透深さまでワックスに侵入する直径2mmのステンレス鋼シリンダーを備えるRheo社からTA-XT2Iの名称で市販のtexturometerを用いて20℃で圧縮力を測定することによって決定される。
【0239】
ワックスは炭化水素系ワックス、フルオロワックス及び/又はシリコーンワックスであってよく、植物、動物、鉱物及び/又は合成起源であってよい。特に、ワックスは25℃より高い、好ましくは45℃より高い融点を有する。
【0240】
本発明の組成物で使用されうるワックスとしては、ミツロウ、カルナウバワックス又はカンデリラワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン又はオゾケライト、合成ワックス、例えば、ポリエチレンワックス又はフィッシャートロプシュワックス、及び、シリコーンワックス、例えば、16から45の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシジメチコーンを挙げることができる。
【0241】
ゴムは一般に高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMSs)又はセルロースゴム又は多糖類であり、ペースト状物質は一般に炭化水素系化合物、例えば、ラノリン及びその誘導体、又は、PDMSsである。
【0242】
前記固体物質の性質及び量は所望の機械特性及びテキスチャーに依存する。参考として、前記組成物は組成物の全重量に対して0から50重量%、好ましくは1から30重量%のワックスを含むことができる。
【0243】
前記ポリマーは1以上の補助皮膜形成剤と組み合わされてもよい。そのような皮膜形成剤は所望の機能を満たしうる、当業者に周知の任意の化合物から選択されることができ、特に、可塑剤及び凝集剤から選択されうる。
【0244】
本発明の組成物は、当業者に周知の、水溶性染料、及び、顔料、真珠光沢顔料及びフレーク等の粉体染料から選択される1以上の染料をも含むことができる。染料は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.01から50重量%、好ましくは0.01から30重量%の含量で存在することができる。
【0245】
「顔料」の用語は、任意の形状の、白色又は有色の、鉱物又は有機物粒子を意味するものと理解されるべきであり、生理学的に許容可能な媒体には不溶であり、組成物を着色するためのものである。
【0246】
「真珠光沢顔料」の用語は、任意の形状の、真珠光沢粒子を意味するものと理解されるべきであり、特にある種の貝殻中で軟体動物によって生産され、或いは、合成される。
【0247】
顔料は白色又は有色であり、鉱物又は有機物である。鉱物顔料の中では任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、また、酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄色及び赤)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、並びに、アルミニウム粉末又は銅粉末等の金属粉末を挙げることができる。有機顔料の中ではカーボンブラック、D&C型ピグメント、コチニールカーマイン系、バリウム系、ストロンチウム系、カルシウム系又はアルミニウム系レーキを挙げることができる。
【0248】
天然又は合成の、有機又は無機物質、例えばガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、テレフタレート、セラミックス又はアルミナを含む粒子等の所定の効果を有する顔料も言及されうる。前記物質は例えばアルミニウム、金、銀、プラチナ、銅又は青銅等の金属物質或いは例えば二酸化チタン、酸化鉄又は酸化クロム等の金属酸化物、並びに、これらの混合物で被覆され又は被覆されていないものである。
【0249】
真珠光沢顔料は、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ等の白色真珠光沢顔料;酸化鉄で被覆された雲母チタン、特にフェリックブルー又は酸化クロムで被覆された雲母チタン、上記のタイプの有機顔料で被覆された雲母チタン等の有色真珠光沢顔料;並びにオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢顔料から選択することができる。干渉顔料、特に液晶顔料又は多層顔料もまた使用されうる。
【0250】
水溶性染料は、例えば、ビートの根の汁又はメチレンブルーである。
【0251】
本発明の組成物は、1以上のフィラーをも含むことができ、特に、組成物の全重量の0.01から50重量%、好ましくは0.01から30重量%含むことができる。「フィラー」の用語は、無色又は白色の、任意の形状の鉱物性又は合成粒子を意味するものと理解されるべきであり、それは組成物が製造される温度に関係なく、組成物の媒体中に不溶である。これらのフィラーは組成物のレオロジー又はテキスチャーを特に修正するものである。
【0252】
フィラーは、(例えばリーフレット形、立方形、六角形、直斜方晶等の)結晶形に係わらず、板状、球状又は長方形といった任意の形状の鉱物性又は有機性のものであることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))粉末(Atochem社のOrgasol(登録商標))、ポリ−β−アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))の粉末、ラウロイルリジン、澱粉、窒化硼素、例えば(Nobel Institute)Expancel(登録商標)といったポリビニリデンクロライド/アクリロニトリル製のもの等の中空ポリマーミクロスフェア、アクリル酸コポリマー(Dow Corning社のPolytrap(登録商標))、シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば東芝シリコーン社のTospearls(登録商標))、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社のSilica Beads(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8から22の、好ましくは12から18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸(例えば亜鉛、マグネシウム又はリチウムステアレート、亜鉛ラウレート、又はマグネシウムミリステート)等が挙げられる。
【0253】
本発明の組成物は、化粧品で通常使用される成分、例えば、ビタミン、増粘剤、微量元素、軟化剤、金属イオン隔離剤、香料、酸性化剤、塩基性化剤、保存剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、抗酸化剤、抜け毛防止剤、抗ふけ剤、プロペラント、又は、これらの混合物をも含むことができる。
【0254】
言うまでもないが、当業者は、本発明の組成物の有利な特性が、全く或いは実質的に全く悪影響を受けないように、添加する場合は、これらの任意追加成分及び/又はその量を注意深く選択するであろう。
【0255】
本発明の組成物は、特に、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)エマルション、油中水型(W/O)エマルション、又は、多相エマルション(W/O/W又はポリオール/O/W又はO/W/Oエマルション)の形態;クリーム、ムース、ベシクル分散物、特にイオン性又は非イオン性脂質の分散物、二相又は多相ローション、スプレー、パウダー、又は、ペースト、特にソフトペースト(特に、コーン/プレートジオメトリーで10分間測定後に、200/sの専断速度下で25℃で約0.1から40Pa・sの動粘度を有するペースト)の形態にあることができる。前記組成物は無水であることもでき、例えば、無水ペーストでもよい。
【0256】
当業者であれば、使用される成分の特性、特に基体への溶解性を第1に、そして、組成物の用途を第2に考慮しつつ一般的な知識に基づいて、適切な存在形態及びその調製方法をも選択することができる。
【0257】
本発明の組成物は、メークアップ組成物、例えば肌色製品(ファンデーション)、メークアップルージュ、アイシャドウ、リップケア製品、コンシーラー製品、ブラッシャー、マスカラ、アイライナー、アイブローメークアップ製品、リップペンシル又はアイペンシル、ネイルケア製品、例えばマニキュア、ボディメークアップ製品及びヘアメイクアップ製品(マスカラ)でありうる。
【0258】
本発明の組成物が肌色製品である場合は、それは好ましくは前記第1の態様のポリマー、特に50℃から100℃の範囲のガラス転移温度を有するブロック及び−100℃から0℃のガラス転移温度を有するブロックを含むポリマーを含む。好ましくは、前記ブロックポリマーは既述した第1の態様の第3及び第8の形態のブロックポリマーから選択される。
【0259】
本発明の組成物はボディ及び顔の皮膚のケア製品であってもよく、特に、抗太陽製品又は皮膚着色製品(日焼け製品等)であってよい。
【0260】
本発明の組成物はヘアケア製品であってもよく、特に、ヘアスタイルを保持し、又は毛髪を形作るための製品であってよい。ヘア組成物は好ましくはシャンプー、ヘアセッティングゲル及びローション、ブロー乾燥ローション及び固定及びスタイリング組成物である。
【0261】
下記の実施例は、(本発明を)制限するものではなく、またその組成物は本発明のポリマーを含んでいる。量はグラムで表される。
【実施例3】
【0262】
実施例17:マニキュア
下記の組成を有するマニキュアが調製された。
【0263】
実施例1のポリマー 活性成分で23.8g
酢酸ブチル 24.99g
イソプロパノール 10.71g
へキシレングリコール 2.5g
DCレッド7レーキ 1g
ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト(Elementis社からのBentone(登録商標)27V) 1.3g
酢酸エチル 全量が100gとなる量
【0264】
爪への塗布後、このマニキュアは非常に良好な保持力と衝撃強度特性を有することがわかった。
【0265】
実施例18:マスカラ組成物
下記の組成を有するマスカラが調製された。
【0266】
ミツロウ 8g
パラフィンワックス 3g
カルナウバワックス 6g
ジステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト(Elementis社からのBentone(登録商標)38V) 5.3g
プロピレンカーボネート 1.7g
フィラー 1g
顔料 5g
実施例4のポリマー 活性成分で12g
イソドデカン 全量が100gとなる量
【0267】
睫毛への塗布後、このマスカラの皮膜の保持力は非常に満足のいくものであった。
【0268】
実施例19:マスカラ組成物
下記の組成を有するマスカラが調製された。
【0269】
ミツロウ 8g
パラフィンワックス 3g
カルナウバワックス 6g
ジステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト(Elementis社からのBentone(登録商標)38V) 5.3g
プロピレンカーボネート 1.7g
フィラー 1g
顔料 5g
実施例7のポリマー 活性成分で12g
イソドデカン 全量が100gとなる量
【0270】
睫毛への塗布後、このマスカラの皮膜の保持力は非常に満足のいくものであった。
【0271】
実施例20:スティック形口紅
下記の組成を有する口紅が調製された。
【0272】
ポリエチレンワックス 15%
実施例5のポリマー 活性成分で15%
水素化ポリイソブテン(日本油脂(株)からのパーリーム) 26%
顔料 8.6%
イソドデカン 全量が100gとなる量
【0273】
唇への塗布後に得られた組成物の皮膜は良好な保持力特性を示した。
【0274】
実施例21:W/Oファンデーション
下記の化合物を含むファンデーションが調製された。
【0275】
相A セチルジメチコーンコポリオール(Goldschmidt社のAbil EM 90) 3g
イソステアリルジグリセリルスクシネート(Condea社のImwitor 780K)0.6g
イソドデカン 18.5g
顔料混合物(疎水性酸化チタン及び酸化鉄) 10g
実施例5のポリマー 活性成分で8.7g
ポリアミド粉末(Dupont de Nemours社のNylon-12) 8g
香料 0.5g
相B 水 全量が100gとなる量
硫酸マグネシウム 0.7g
保存剤(メチルパラベン) 0.2g
相C 水 2g
保存剤(ジアゾリルウレア) 0.25g
【0276】
実施例22:マニキュア
【0277】
実施例12のポリマー 活性成分で23.8g
酢酸ブチル 24.99g
イソプロパノール 10.71g
へキシレングリコール 2.5g
DCレッド7レーキ 1g
ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト(Elementis社からのBentone(登録商標)27V) 1.3g
酢酸エチル 全量が100gとなる量
【0278】
実施例23:マスカラ組成物
【0279】
ミツロウ 8g
パラフィンワックス 3g
カルナウバワックス 6g
ジステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト(Elementis社からのBentone(登録商標)38V) 5.3g
プロピレンカーボネート 1.7g
フィラー 1g
顔料 5g
実施例14のポリマー 活性成分で12g
イソドデカン 全量が100gとなる量
【0280】
実施例24:スティック形口紅
【0281】
ポリエチレンワックス 15%
実施例13のポリマー 活性成分で10%
水素化ポリイソブテン(日本油脂(株)からのパーリーム) 26%
顔料 8.6%
イソドデカン 全量が100gとなる量
【0282】
実施例25:W/Oファンデーション
【0283】
相A セチルジメチコーンコポリオール(Goldschmidt社のAbil EM 90) 3g
イソステアリルジグリセリルスクシネート(Condea社のImwitor 780K)0.6g
イソドデカン 18.5g
顔料混合物(疎水性酸化チタン及び酸化鉄) 10g
実施例15のポリマー 活性成分で8.7g
ポリアミド粉末(Dupont de Nemours社のNylon-12) 8g
香料 0.5g
相B 水 全量が100gとなる量
硫酸マグネシウム 0.7g
保存剤(メチルパラベン) 0.2g
相C 水 2g
保存剤(ジアゾリルウレア) 0.25g
【0284】
実施例26:W/Oファンデーション
【0285】
相A オキシプロピレン化オキシエチレン化ジメチルポリシロキサンとシクロジメチルペンタシロキサンとの混合物(85/15)(Goldschmidt社のAbil EM 97) 1.8g
イソステアリルジグリセリルスクシネート(Condea社のImwitor 780K)0.6g
シクロペンタジメチルシロキサン 6g
イソドデカン 全量が100gとなる量
顔料混合物(疎水性酸化チタン及び酸化鉄) 10g
実施例4のポリマー 活性成分で2.1g
ポリアミド粉末(Dupont de Nemours社のNylon-12) 8g
相B 水 41.4g
硫酸マグネシウム 0.7g
保存剤 0.3g
【0286】
実施例27:W/Oファンデーション
【0287】
相A オキシプロピレン化オキシエチレン化ジメチルポリシロキサンとシクロジメチルペンタシロキサンとの混合物(85/15)(Goldschmidt社のAbil EM 97) 1.8g
イソステアリルジグリセリルスクシネート(Condea社のImwitor 780K)0.6g
シクロペンタジメチルシロキサン 6g
イソドデカン 全量が100gとなる量
顔料混合物(疎水性酸化チタン及び酸化鉄) 10g
実施例10のポリマー 活性成分で2.1g
ポリアミド粉末(Dupont de Nemours社のNylon-12) 8g
相B 水 41.4g
硫酸マグネシウム 0.7g
保存剤 0.3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに非混和性で、異なるガラス転移温度(Tg)を有する、少なくとも第1のブロックと少なくとも第2のブロックとを含み、
前記第1及び第2のブロックは、前記第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと前記第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントを介して一緒に連結されており、
2より大きい多分散性指標Iを有するポリマー。
【請求項2】
前記第1のブロックが、
− a)40℃以上のTgを有するブロック、
− b)20℃以下のTgを有するブロック、
− c)20℃から40℃の間のTgを有するブロック
から選択され、
前記第2のブロックが前記第1のブロックとは異なるカテゴリーa)、b)又はc)から選択される、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
40℃以上のTgを有するブロックが、全て又は部分的に、40℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項1又は2記載のポリマー。
【請求項4】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の直鎖又は分岐の1から4の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、或いは、RはCからC12シクロアルキル基を表す)のメタクリレート、
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、イソボルニルアクリレート基等のCからC12シクロアルキル基又はtert-ブチル基を表す)のアクリレート、
− 式
【化1】

(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、又は、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基等の直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し;或いは、RはHを表し、且つ、Rは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を表す。R'はH又はメチルを表す)の(メタ)アクリルアミド、
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項3記載のポリマー。
【請求項5】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーがメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、並びに、これらの混合物から選択される、請求項3又は4記載のポリマー。
【請求項6】
前記20℃以下のTgを有するブロックが、全て又は部分的に、20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項2記載のポリマー。
【請求項7】
対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、tert-ブチル基以外の、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のアクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のメタクリレート、
− 式R−CO−O−CH=CH(式中、Rは、直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表す)のビニルエステル、
− C−C12アルコール及びビニルアルコールエーテル、
− N−オクチルアクリルアミド等のN−(C―C12)アルキルアクリルアミド
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項6記載のポリマー。
【請求項8】
対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーがアルキル鎖(但し、tert-ブチル基は除く)が1から10の炭素原子を含むアルキルアクリレートから選択される、請求項6又は7記載のポリマー。
【請求項9】
20℃から40℃の間のTgを有するブロックが、全て又は部分的に、20℃から40℃の間のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項2記載のポリマー。
【請求項10】
20℃から40℃の間のTgを有するブロックが、全て又は部分的に、対応するホモポリマーが40℃以上のTgを有するモノマー、並びに、対応するホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーから誘導される、請求項9記載のポリマー。
【請求項11】
20℃から40℃の間のTgを有するブロックが、全て又は部分的に、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート、並びに、これらの混合物から選択されるモノマーから誘導される、請求項9又は10記載のポリマー。
【請求項12】
互いに非混和性の、少なくとも第1のブロックと少なくとも第2のブロックとを含み、
前記第1のブロックは40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有し、
前記第2のブロックは20℃以下のガラス転移温度を有し、
前記第1及び第2のブロックは、前記第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと前記第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントを介して一緒に連結されており、
2より大きい多分散性指標Iを有するポリマー。
【請求項13】
前記第1のブロックが、全て又は部分的に、40℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項12記載のポリマー。
【請求項14】
前記第1のブロックが、40℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーから誘導されるコポリマーである、請求項12記載のポリマー。
【請求項15】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の直鎖又は分岐の1から4の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、或いは、RはCからC12シクロアルキル基を表す)のメタクリレート、
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、イソボルニル基等のCからC12シクロアルキル基又はtert-ブチル基を表す)のアクリレート、
− 式
【化2】

(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、又は、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基等の直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し;或いは、RはHを表し、且つ、Rは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を表す。R'はH又はメチルを表す)の(メタ)アクリルアミド、
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項13又は14記載のポリマー。
【請求項16】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーがメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、並びに、これらの混合物から選択される、請求項13乃至15のいずれかに記載のポリマー。
【請求項17】
前記第1のブロックの割合がポリマーの重量の20から90%、好ましくは30から80%、より好ましくは50から70%の範囲である、請求項12乃至16のいずれかに記載のポリマー。
【請求項18】
前記第2のブロックが、全て又は部分的に、20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項12乃至17のいずれかに記載のポリマー。
【請求項19】
前記第2のブロックが、20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーから誘導されるホモポリマーである、請求項12乃至18のいずれかに記載のポリマー。
【請求項20】
対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、tert-ブチル基以外の、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のアクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のメタクリレート、
− 式R−CO−O−CH=CH(式中、Rは、直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表す)のビニルエステル、
− C−C12アルコール及びビニルアルコールエーテル、
− N−オクチルアクリルアミド等のN−(C―C12)アルキルアクリルアミド
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項18又は19記載のポリマー。
【請求項21】
対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーがアルキル鎖(但し、tert-ブチル基は除く)が1から10の炭素原子を含むアルキルアクリレートから選択される、請求項18乃至20のいずれかに記載のポリマー。
【請求項22】
20℃以下のTgを有する前記第2のブロックの割合がポリマーの重量の5から75%、好ましくは15から50%、より好ましくは25から45%の範囲である、請求項12乃至21のいずれかに記載のポリマー。
【請求項23】
互いに非混和性の少なくとも第1のブロックと少なくとも第2のブロックとを含み、
前記第1のブロックは20℃から40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有し、
前記第2のブロックは20℃以下のTg又は40℃以上のTgを有し、
前記第1及び第2のブロックは、前記第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと前記第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む中間セグメントを介して一緒に連結されており、
2より大きい多分散性指標Iを有するポリマー。
【請求項24】
20℃から40℃の間のTgを有する前記第1のブロックが、全て又は部分的に、20℃から40℃の間のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項23記載のポリマー。
【請求項25】
20℃から40℃の間のTgを有する前記第1のブロックが、対応するホモポリマーが40℃以上のTgを有するモノマーと、対応するホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーから誘導されるコポリマーである、請求項23又は24記載のポリマー。
【請求項26】
20℃から40℃の間のTgを有する前記第1のブロックが、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタアクリレート、ブチルアクリレート、及び、2−エチルヘキシルアクリレート、並びに、これらの混合物から選択される、請求項23乃至25のいずれかに記載のポリマー。
【請求項27】
20℃から40℃の間のTgを有する前記第1のブロックの割合がポリマーの重量の10から85%、好ましくは30から80%、より好ましくは50から70%の範囲である、請求項23乃至26のいずれかに記載のポリマー。
【請求項28】
40℃以上のTgを有する前記第2のブロックが、全て又は部分的に、40℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項23乃至27のいずれかに記載のポリマー。
【請求項29】
40℃以上のTgを有する前記第2のブロックが、40℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーから誘導されるホモポリマーである、請求項23乃至28のいずれかに記載のポリマー。
【請求項30】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の直鎖又は分岐の1から4の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、或いは、RはCからC12シクロアルキル基を表す)のメタクリレート、
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、イソボルニルアクリレート等のCからC12シクロアルキル基又はtert-ブチル基を表す)のアクリレート、
− 式
【化3】

(式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、又は、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基等の直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し;或いは、RはHを表し、且つ、Rは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を表す。R'はH又はメチルを表す)の(メタ)アクリルアミド、
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項27乃至29のいずれかに記載のポリマー。
【請求項31】
対応するホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーがメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、並びに、これらの混合物から選択される、請求項27乃至30のいずれかに記載のポリマー。
【請求項32】
40℃以上のTgを有する前記第2のブロックの割合がポリマーの重量の10から85%、好ましくは20から70%、より好ましくは30から70%の範囲である、請求項28乃至31のいずれかに記載のポリマー。
【請求項33】
20℃以下のTgを有する前記第2のブロックが、全て又は部分的に、20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーの1以上から誘導される、請求項23乃至27のいずれかに記載のポリマー。
【請求項34】
20℃以下のTgを有する前記第2のブロックが、20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを調製するモノマーから誘導されるホモポリマーである、請求項23乃至27のいずれかに記載のポリマー。
【請求項35】
対応するホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが下記:
− 式CH=CH−COOR(式中、Rは、tert-ブチル基以外の、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のアクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、直鎖又は分岐のC−C12非置換アルキル基を表し、任意に、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が介在する)のメタクリレート、
− 式R−CO−O−CH=CH(式中、Rは、直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表す)のビニルエステル、
− C−C12アルコール及びビニルアルコールエーテル、
− N−オクチルアクリルアミド等のN−(C―C12)アルキルアクリルアミド
− 並びに、これらの混合物
のモノマーから選択される、請求項33又は34記載のポリマー。
【請求項36】
そのホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが、アルキル鎖(但し、tert-ブチル基は除く)が1から10の炭素原子を含むアルキルアクリレートから選択される、請求項33乃至35のいずれかに記載のポリマー。
【請求項37】
20℃以下のガラス転移温度を有する前記ブロックの割合がポリマーの重量の20から90%、好ましくは30から80%、より好ましくは50から70%の範囲である、請求項33乃至36のいずれかに記載のポリマー。
【請求項38】
前記第1のブロック及び/又は第2のブロックが少なくとも1つの追加のモノマーを含む、請求項1乃至37のいずれかに記載のポリマー。
【請求項39】
前記追加のモノマーが、親水性モノマー及び1以上のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、並びに、これらの混合物から選択される、請求項38記載のポリマー。
【請求項40】
前記追加のモノマーが、
− 少なくとも1つのカルボン酸又はスルホン酸官能性を含むエチレン性不飽和モノマー、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基等の1から4の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基(例えば、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)(例えば、トリフルオロエチルメタクリレート)から選択される1以上の置換基で置換されている)のメタクリレート、
− 式CH=C(CH)−COOR(式中、Rは、O、N及びSから選択される1以上のヘテロ原子が任意に介在する直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1以上の置換基で置換されている)のメタクリレート、
− 式CH=CHCOOR10(式中、R10はヒドロキシル基(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1以上の置換基で置換されている直鎖又は分岐C−C12アルキル基を表し、或いは、R10は、例えばメトキシ−POE等の5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有する(C−C12)アルキル−O−POE(ポリオキシエチレン)を表し、或いは、R10は、5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン化基を表す)のアクリレート、
− 少なくとも1つの第3級アミン官能性を含むエチレン性不飽和モノマー、及び、
− これらの混合物
から選択される請求項38又は39記載のポリマー。
【請求項41】
前記追加のモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸及びトリフルオロエチルメタクリレート、並びに、これらの混合物から選択される、請求項38乃至40のいずれかに記載のポリマー。
【請求項42】
前記追加のモノマーが、前記第1及び/又は第2のブロックの全重量に対して、1から30重量%を占める、請求項38乃至41のいずれかに記載のポリマー。
【請求項43】
前記第1及び第2のブロックのそれぞれが、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー、及び、最終的に(メタ)アクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマー並びにそれらの混合物を含む、請求項1乃至42のいずれかに記載のポリマー。
【請求項44】
前記第1及び第2のブロックのそれぞれが、アクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマー、(メタ)アクリル酸、及び、最終的に(メタ)アクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマー、並びに、これらの混合物から全体的に誘導される、請求項1乃至43のいずれかに記載のポリマー。
【請求項45】
前記第1及び第2のブロックのガラス転移温度の差が10℃、好ましくは20℃、より好ましくは30℃、更により好ましくは40℃より大きい、請求項1乃至44のいずれかに記載のポリマー。
【請求項46】
前記中間ブロックが前記第1及び第2のブロックのガラス転移温度の間のガラス転移温度を有する、請求項1乃至45のいずれかに記載のポリマー。
【請求項47】
2.5以上、好ましくは2.8以上の多分散性指標を有する、請求項1乃至46のいずれかに記載のポリマー。
【請求項48】
2.8から6の間の多分散性指標を有する、請求項1乃至47のいずれかに記載のポリマー。
【請求項49】
重量平均分子量(Mw)が300000以下である、請求項1乃至48のいずれかに記載のポリマー。
【請求項50】
重量平均分子量(Mw)が35000から200000、好ましくは45000から150000の範囲である、請求項1乃至49のいずれかに記載のポリマー。
【請求項51】
数平均分子量(Mn)が70000以下である、請求項1乃至50のいずれかに記載のポリマー。
【請求項52】
数平均分子量(Mn)が10000から60000、好ましくは12000から50000の間である、請求項1乃至51のいずれかに記載のポリマー。
【請求項53】
pH調整のない室温(25℃)で、水、又は、水及び2から5の炭素原子を有する直鎖又は分岐低級モノアルコールの混合物中に少なくとも1重量%の活性物質含量まで溶解しない、請求項1乃至52のいずれかに記載のポリマー。
【請求項54】
エラストマーではない、請求項1乃至53のいずれかに記載のポリマー。
【請求項55】
皮膜形成性の鎖状ブロックエチレンポリマーである、請求項1乃至54のいずれかに記載のポリマー。
【請求項56】
請求項1乃至55のいずれかに記載のポリマーの製造方法であって、下記の工程:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に導入して重合に適当な温度に達するまで加熱する工程、
− 前記温度に到達すると、重合開始剤の存在下で、前記第1のブロックの構成モノマーを導入する工程、
− 90%の最大転換度に相当する時間Tの後に、前記第2のブロックの構成モノマー及び重合溶媒の残りを導入する工程、
− この混合物をT'時間の間反応させ、その後、混合物を室温へ冷却する工程、
− 前記重合溶媒に溶解しているポリマーを得る工程
を含む、製造方法。
【請求項57】
前記重合温度が60から120℃である、請求項56記載の製造方法。
【請求項58】
請求項1乃至55のいずれかに記載のポリマーを含む化粧品組成物。
【請求項59】
0.1から60重量%、好ましくは5から50重量%、より好ましくは10から40重量%のポリマー活性物質を含む、請求項58記載の化粧品組成物。
【請求項60】
生理学的に許容可能な媒体を含む、請求項58又は59記載の組成物。
【請求項61】
前記生理学的に許容可能な媒体が、
水、並びに、
アルコール(特に2から5の炭素原子を含む直鎖又は分岐低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn−プロパノール)、並びに、ポリオール(例えばグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はペンチレングリコール、及び、ポリエチレングリコール)等の親水性有機溶媒と水との混合物
を含む、請求項58乃至60のいずれかに記載の組成物。
【請求項62】
室温で液体又は固体の、動物、植物、鉱物又は合成起源の脂肪物質からなる脂肪相をも含む、請求項58乃至61のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項63】
1以上の化粧品的に許容可能な有機溶媒をも含む、請求項58乃至62のいずれかに記載の組成物。
【請求項64】
可塑剤及び凝集剤から選択される1以上の補助皮膜形成剤をも含む、請求項58乃至63のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項65】
水溶性染料、及び、顔料、真珠光沢顔料及びフレーク等の粉体染料から選択される1以上の染料をも含む、請求項58乃至64のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項66】
フィラーをも含む、請求項58乃至65のいずれかに記載の組成物。
【請求項67】
ビタミン、増粘剤、微量元素、軟化剤、金属イオン隔離剤、香料、酸性化剤、塩基性化剤、保存剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、抗酸化剤、抜け毛防止剤、抗ふけ剤、プロペラント、及び、これらの混合物から選択される1以上の成分をも含む、請求項58乃至66のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項68】
懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)エマルション、油中水型(W/O)エマルション、又は、多相エマルション(W/O/W又はポリオール/O/W又はO/W/Oエマルション)の形態にある、クリーム、ムース、ベシクル、特にイオン性又は非イオン性脂質の分散物、二相又は多相ローション、スプレー、パウダー、又は、ペースト、特にソフトペースト又は無水ペーストの形状の、請求項58乃至67のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項69】
ケラチン物質のメークアップ又はケア組成物である、請求項58乃至68のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項70】
ヘアケア製品である、請求項58乃至68のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項71】
マニキュアである、請求項58乃至69のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項72】
リップメークアップ製品である、請求項58乃至69のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項73】
目のメークアップ製品である、請求項58乃至69のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項74】
肌のメークアップ製品である、請求項58乃至69のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項75】
前記ブロックポリマーが50℃から100℃の範囲のガラス転移温度を有するブロック、及び、−100℃から0℃の範囲のガラス転移温度を有するブロックを含む、請求項74記載の組成物。
【請求項76】
前記ブロックポリマーが、
(i)− 40℃以上、例えば0から20℃、のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマーである第1のブロック、
− 20℃以下、例えば−85から−55℃、のTgを有する、2−エチルヘキシルアクリレートホモポリマーである第2のブロック、及び
− イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである、中間ブロック
を含むブロックポリマー;並びに
(ii)− 40℃以上、例えば60から90℃、のTgを有する、イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマーである第1のブロック、
− 20℃以下、例えば−35から−5℃、のTgを有する、イソブチルアクリレートホモポリマーである第2のブロック、及び
− イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである、中間ブロック
を含むブロックポリマー
から選択される、請求項74記載の組成物。
【請求項77】
追加の皮膜形成ポリマーを含む、請求項1乃至76のいずれかに記載の組成物。
【請求項78】
ワックス、ペースト状脂肪物質及びガム、並びにこれらの混合物から選択される室温で固体の脂肪物質を含む、請求項1乃至77のいずれかに記載の組成物。
【請求項79】
請求項58乃至78のいずれかに記載の化粧品組成物をケラチン物質に塗布することを含む、ケラチン物質のメークアップ又はケア美容方法。
【請求項80】
請求項1乃至57のいずれかに記載のポリマーの、化粧品組成物の保持力改善剤としての、該組成物中における使用。
【請求項81】
改善された保持力特性を有する組成物中における、請求項1乃至57のいずれかに記載のポリマーの使用。

【公開番号】特開2008−69362(P2008−69362A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264844(P2007−264844)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【分割の表示】特願2003−336449(P2003−336449)の分割
【原出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】