説明

ブロック共重合体の製造方法

【課題】顔料の分散剤等として有用な新規共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、保護された酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B)を含有する共重合体前駆体をグループトランスファー重合により得る工程、場合により、前記ブロック鎖(A)の3級アミノ基を4級アンモニウム塩に変換する工程、及び、前記共重合体前駆体を加熱する工程により、4級アンモニウム塩基を有していてもよいブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、保護された酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B1)を含有するブロック共重合体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤として有用な新規ブロック共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3級アミノ基を含有する繰り返し単位と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位と、酸性基を含有する繰り返し単位を含むランダム共重合体が知られている。
これらの重合体は、その特異な構造に基づく様々な特性を有しているため、様々な分野で開発が検討されている。
特許文献1では、当該ランダム共重合体が、光リソグラフィー分野に応用されている。特許文献1では、具体的に、メタクリル酸と、メタクリル酸ジメチルアミノエチルと、アクリル酸エチルと、分子量350のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとメタクリルとのエステル化合物から得られた共重合体等が記載されている。それらは、ラジカル開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いて、メチルエチルケトン溶媒中で、各モノマーの混合溶液をラジカル重合することにより、ランダム共重合体として得られている。
また、特許文献2では、当該ランダム共重合体が、塗料、インク、建材などの各分野における顔料分散剤として応用されている。特許文献2では、具体的に、スチレン10部、メタクリル酸メチル15部、メタクリル酸エチル15部、メタクリル酸20部、メタクリル酸トリデシル10部、メタクリル酸PEGモノメチルエーテル(数平均分子量400)20部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル10部のランダム共重合体等が記載されている。それらは、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて、エタノール/メタノール=95/5の混合アルコール溶媒中で、各モノマーの混合溶液をラジカル重合することにより、ランダム共重合体として得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−128336
【特許文献2】特開2009−24165
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、共重合体の用途は多様化しており、様々な特性を有する共重合体が求められている。
例えば、カラー液晶表示装置分野では、可視光の高透過率化と高コントラスト化の要望の強まりから、顔料粒子は少なくとも可視光の波長以下まで微粒子化されている。そのような微粒子では、顔料粒子の比表面積が通常よりも大きくなるため、従来使用されてきた顔料分散剤用の共重合体では、初期の顔料分散性及び経時の分散安定性が不十分であった。また、最近では、分散性能以外でもより高い性能が要求されおり、従来の共重合体では、十分な性能が得られなかった。
上記の性能を満たす共重合体を得るために、発明者らは、3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(II)で表される酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B1)を含有するブロック共重合体を製造する必要があった。
しかし、そのような構造を含有するブロック共重合体を製造する方法は知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(I)で表される繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B)を含有する共重合体前駆体がブロック共重合体の有用な中間体となり得ることを見出した。
前記共重合体前駆体は、グループトランスファー重合法により効率よく製造することができ、さらに、該共重合体前駆体を加熱することによって、式(I)で表される繰り返し単位を式(II)で表される酸性基を含有する繰り返し単位へと変換することにより、目的とするブロック共重合体を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Xは、単結合又はC1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1a−、−C(=O)NHR1a−、−OC(=O)R1a−及び−R2a−OC(=O)R1a−からなる群より選ばれる基(R1a、R2aは、それぞれ独立してC1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、Rは、水素原子、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基を表し、Rは、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基を表す。RとRは一緒になって環を形成していてもよい。)で表される保護した酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B)を含有する共重合体前駆体をグループトランスファー重合により得る工程、場合により、前記ブロック鎖(A)の3級アミノ基を4級アンモニウム塩に変換する工程、及び、前記共重合体前駆体を加熱する工程を含むことを特徴とする、4級アンモニウム塩基を有していてもよいブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(II)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R、R、R、Xは、式(I)と同じ意味を表す。)で表される酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B1)を含有するブロック共重合体の製造方法、
(2)ブロック鎖(B)及び(B1)が、さらに、式(III)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表し、Rは、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする(1)に記載のブロック共重合体の製造方法、
(3)3級アミノ基を含有する繰り返し単位が、式(IV)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R10、R11、R12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Yは、C1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1b−、−C(=O)NHR1b−、−OC(=O)R1b−及び−R2b−OC(=O)R1b−からなる群より選ばれる基(R1b、R2bは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、R13、R14は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される繰り返し単位であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のブロック共重合体の製造方法、及び、
(4)ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位が、式(VI)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、R21、R22、R23は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Zは、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−及び−R1d−OC(=O)−からなる群より選ばれる基(R1dは、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、R24は、C2〜C4アルキレン基を表し、R25は、水素原子又はC1〜C6アルキル基を表し、mは、2〜150のいずれかの整数を表し、R24O同士は、同一でも相異なっていてもよい。)で表されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のブロック共重合体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、3級アミノ基を含有する繰り返し単位及び、場合により前記3級アミノ基から変換された4級アンモニウム塩基を有する繰り返し単位を有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(II)で表される酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B1)を含有するブロック共重合体を製造することができる。それらのブロック共重合体は、特にカラー液晶用顔料分散剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)共重合体前駆体
本発明の共重合体前駆体は、以下のブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)を、それぞれ少なくとも1個含有する。
ブロック鎖(A):3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含む重合体
ブロック鎖(B):ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位と、保護した酸性基を含有する繰り返し単位を含む共重合体
また、本発明の共重合体前駆体は、上記ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)以外に他のブロック鎖を含有していてもよい。
【0019】
1)ブロック鎖(A)
ブロック鎖(A)において、3級アミノ基を含有する繰り返し単位とは、繰り返し単位の側鎖に上記3級アミノ基を有しているものであれば、特に制限されない。
具体的には、ブロック鎖(A)の重合体は、3級アミノ基を含有する繰り返し単位の1種のみからなる単独重合体、3級アミノ基を含有する繰り返し単位の2種以上からなる共重合体、及びこれらと他の共重合しうるモノマー由来の繰り返し単位との共重合体を包含する。共重合体は、ランダム、交互、ブロックなどの共重合体を包含する。
【0020】
(3級アミノ基を含有する繰り返し単位)
上記3級アミノ基を含有する繰り返し単位としては、3級アミノ基を含有する限り特に制限はないが、例えば、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位が例示される。
【0021】
【化6】

【0022】
式(IV)中、R10、R11、R12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。Yは、C1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1b−、−C(=O)NHR1b−、−OC(=O)R1b−及び−R2b−OC(=O)R1b−からなる群より選ばれる基(R1b、R2bは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)である。R13、R14は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基である。
ここで、C1〜C3アルキル基及びC1〜C6アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が例示される。
C1〜C10アルキレン基としては、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、メチルエチレン鎖、ブチレン鎖、1,2−ジメチルエチレン鎖、ペンチレン鎖、1−メチルブチレン鎖、2−メチルブチレン鎖又はヘキシレン鎖等が例示される。
C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基としては、ベンジル、フェネチル、3−フェニル−n−プロピル、1−フェニル−n−へキシル、ナフタレン−1−イルメチル、ナフタレン−2−イルエチル、1−ナフタレン−2−イル−n−プロピル、インデン−1−イルメチル等が例示される。
【0023】
式(IV)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0024】
(他の含有しうる繰り返し単位)
ブロック鎖(A)中の他の含有しうる繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー等由来の繰り返し単位が例示される。
上記繰り返し単位の原料となる(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマーとしては以下のものが例示される。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸1−エチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を例示することができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルアニリン、ビニル安息香酸、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン、2−ビニルチオフェン、4−ビニルチオフェン等のヘテロアリール化合物等を挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
共役ジエン系モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−トリシクロデカジエン、ミルセン、クロロプレン等を挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
【0025】
2)ブロック鎖(B)
ブロック鎖(B)は、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位の少なくとも1種と保護した酸性基を含有する繰り返し単位の少なくとも1種を含有する共重合体である。
共重合体は、ランダム、交互、ブロックなどの共重合体を包含する。
【0026】
(ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位)
ブロック鎖(B)におけるポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位としては、ポリオキシアルキレン鎖を含有する限り、特に制限はないが、例えば、式(VI)で表される繰り返し単位が例示される。
【0027】
【化7】

【0028】
式(VI)中、R21、R22、R23は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。Zは、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−及び−R1d−OC(=O)−からなる群より選ばれる基(R1dは、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基である。)である。R24は、C2〜C4アルキレン基を表し、R25は、水素原子又はC1〜C6アルキル基を表す。mは、2〜150のいずれかの整数を表し、R24O同士は、同一でも相異なっていてもよい。
ここで、C1〜C3アルキル基及びC1〜C6アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が例示される。
C2〜C4アルキレン基及びC1〜C10アルキレン基としては、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、メチルエチレン鎖、ブチレン鎖、1,2−ジメチルエチレン鎖、ペンチレン鎖、1−メチルブチレン鎖、2−メチルブチレン鎖又はヘキシレン鎖等が例示される。
上記式(VI)において、mは、好ましくは2〜10である。
【0029】
式(VI)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、ポリエチレングリコール(2〜150:式(VI)中のmの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(1〜75)・プロピレングリコール(1〜75))(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(2〜150)(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
(保護した酸性基を含有する繰り返し単位)
ブロック鎖(B)における保護した酸性基を含有する繰り返し単位は、式(I)で表される繰り返し単位である。
【0031】
【化8】

【0032】
式(I)中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。Xは、単結合又はC1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1a−、−C(=O)NHR1a−、−OC(=O)R1a−及び−R2a−OC(=O)R1a−からなる群より選ばれる基(R1a、R2aは、それぞれ独立してC1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基である。)であり、Rは、水素原子、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基であり、Rは、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基である。RとRは一緒になって環を形成していてもよい。
【0033】
式(I)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸メトキシメチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシメチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エトキシ−エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メトキシ−エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エトキシ−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸1−プロポキシ−エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロポキシ−エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−ベンジルオキシ−エチルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−エトキシ−エチルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−メトキシ−エチルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−エトキシ−プロピルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−プロポキシ−エチルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−イソプロポキシエチルエステル、2−メチル−(メタ)アクリル酸1−ベンジルオキシ−エチルエステル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニルが好ましい。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
保護した酸性基を含有する繰り返し単位は、本発明の製造方法によって保護基を脱保護することにより、以下に説明する酸性基を含有する繰り返し単位へ変換することができる。
【0034】
(他の含有しうる繰り返し単位)
ブロック鎖(B)中の他の含有しうる繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー等由来の繰り返し単位が例示される。
これらのうち、好ましくは、式(III)で表される繰り返し単位である。
【0035】
【化9】

【0036】
式(III)中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。Rは、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基である。
ここで、C1〜C3アルキル基及びC1〜C6アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が例示される。
C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基としては、ベンジル、フェネチル、3−フェニル−n−プロピル、1−フェニル−n−へキシル、ナフタレン−1−イルメチル、ナフタレン−2−イルエチル、1−ナフタレン−2−イル−n−プロピル、インデン−1−イルメチル等が例示される。
上記繰り返し単位の原料となる(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマーとしては以下のものが例示される。
【0037】
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸1−エチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を例示することができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルアニリン、ビニル安息香酸、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン、2−ビニルチオフェン、4−ビニルチオフェン等のヘテロアリール化合物等を挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
共役ジエン系モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−トリシクロデカジエン、ミルセン、クロロプレン等を挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
【0038】
(共重合体中のブロック鎖(A)、(B)以外の含有しうるブロック鎖)
本発明の共重合体は、ブロック鎖(A)及び(B)以外に、他の重合体からなるブロック鎖を有していてもよい。
そのような重合体としては、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー等由来の繰り返し単位を含有する、単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等が例示される。
(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー等については、上記と同様のものが例示される。
【0039】
(共重合体中のブロック鎖(A)とブロック鎖(B)の比及び分子量等の物性)
本発明の共重合体中のブロック鎖(A)とブロック鎖(B)の比は、特に制限はないが、重量%比で、10〜40対90〜60、好ましくは、15〜35対85〜65である。
また、GPCを用いて測定した、重量平均分子量は、2,000〜50,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましい。共重合体前駆体としては特に、4,000〜30,000が好ましく、4,000〜15,000がより好ましい。GPCを用いて測定した、重量平均分子量と数平均分子量との比は、1.0〜2.0であり、1.0〜1.5が好ましい。
【0040】
(2)共重合体前駆体の製造方法
本発明の共重合体前駆体は、公知のグループトランスファー重合により製造することができる。例えば、ケイ素含有化合物等の重合開始剤及び触媒の存在下、モノマーを重合させて得ることができる。
ブロック共重合体とするには、ブロック鎖(A)又は(B)のモノマーを重合した後、連続的に別のブロックのモノマーを重合させてブロック共重合体化してもよいし、ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)の各モノマーを別々に反応させてブロックを作製した後、各ブロックを結合してもよい。例えば、重合開始剤および触媒を添加した溶媒に、所望のモノマーを滴下して重合することができる。この際、所望の配列のブロックポリマーとするためには、各ブロックのモノマーを、所望の配列になるよう順次滴下して、反応させる。
あるブロックのモノマーを重合し、次のブロックのモノマーを重合するには、先のブロックの重合反応の終了後、次のブロックのモノマーの滴下を開始する。重合反応の進行は、モノマーの残量をガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフフィーで検出することによって確認できる。また、先のブロックのモノマー滴下終了後、モノマーや溶媒の種類により異なるが、1分から1時間攪拌後、次のブロックのモノマーの滴下を開始することもできる。
各ブロックに複数種類のモノマーが含まれる場合には、それらを別々に滴下してもよいし、同時に滴下することもできる。
【0041】
重合開始剤としては、シリルケテンアセタールなどのケイ素含有化合物を用いることができる。シリルケテンアセタールとしては、式(VII)で表される化合物を挙げることができる。
【0042】
【化10】

【0043】
式(VII)中、RおよびR’は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基である。式(VII)で表される化合物として具体的には、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール、ジエチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール、ジメチルケテンメチルトリエチルシリルアセタール、ジエチルケテンメチルトリエチルシリルアセタールなどを挙げることができる。
【0044】
触媒としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化ジイソブチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウムなどのルイス酸触媒や、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムビブロミドなどの4級アンモニウム塩触媒や、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドなどの有機分子触媒や、18−クラウン−6のカリウム錯体、フッ化水素カリウム、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムなどを挙げることができる。
【0045】
重合開始剤の使用量は、用いるアニオン重合性モノマー全体に対して、通常0.0001〜0.2当量、好ましくは0.0005〜0.1当量である。この範囲の重合開始剤を用いることによって、目的とする重合体を収率よく製造することができる。
重合温度は、モノマーが消費され重合が完結する温度範囲であれば特に制限されないが、−100℃以上溶媒沸点以下の温度範囲で行なわれることが好ましく、−10℃〜30℃で行われることがより好ましい。また、モノマーの重合溶媒に対する濃度は、特に制限されないが、通常、1〜40重量%であり、2〜15重量%であることが好ましい。
本発明の製造方法に用いられる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある溶媒であれば特に制限されず、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサンなどのエーテル系化合物や、ヘキサンやトルエンなどの脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物などの非極性溶媒又は低極性溶媒を例示することができる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0046】
本発明の共重合体前駆体は、さらに、場合により、ブロック鎖(A)の3級アミノ基の一部又は全部を4級アンモニウム塩に変換してもよい。
3級アミノ基を4級アンモニウム塩に変換するには、公知の手法により行うことができる。例えば、3級アミノ基を有する共重合体前駆体を、溶媒中または無溶媒中で、公知の4級化剤と反応させることにより変換することができる。
【0047】
4級化剤としては、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等や、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤を挙げることができる。
4級化反応に用いられる重合溶媒は、特に制限されず、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサンなどのエーテル系化合物や、ヘキサンやトルエンなどの脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物などの非極性溶媒又は低極性溶媒を例示することができる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
4級化反応の反応温度は、−100℃以上溶媒沸点以下の温度範囲で行なわれることが好ましく、−10℃〜150℃で行われることがより好ましい。
【0048】
(3)ブロック共重合体
本発明のブロック共重合体は、以下のブロック鎖(A)及びブロック鎖(B1)を、それぞれ少なくとも1個含有する。
ブロック鎖(A):3級アミノ基を含有する繰り返し単位及び、場合により、4級アンモニウム塩基を有する繰り返し単位を含む重合体
ブロック鎖(B1):ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位と、酸性基を含有する繰り返し単位を含む共重合体
また、本発明の共重合体前駆体は、上記ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B1)以外に他のブロック鎖を含有していてもよい。
【0049】
1)ブロック鎖(A)
ブロック共重合体におけるブロック鎖(A)は、前記の共重合体前駆体におけるブロック鎖(A)と同様であるか、3級アミノ基の一部又は全部が4級アンモニウム塩に変換されたものである。
【0050】
上記4級アンモニウム塩基を含有する繰り返し単位としては、4級アンモニウム塩基を含有する限り、特に制限はないが、例えば、下記一般式(V)で表される繰り返し単位が例示される。
【0051】
【化11】

【0052】
式(V)中、R15〜R19及びYは、それぞれ、式(IV)における、R10〜R14、及びYと同じである。
20は、C1〜C6のアルキル基、又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基である。Zはハロゲン化物イオン、ハロゲン化アルキルイオン、アルキルカルボキシレートイオン、ニトロキシドイオン、アルキルスルフェートイオン、スルホネートイオン、ホスフェートイオン又はアルキルフォスフェートイオン等の対イオンを表す。
ここで、C1〜C6のアルキル基、C1〜C10アルキレン基、及び、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基は、上記3級アミノ基を含有する繰り返し単位の式(IV)におけるものと同様のものを例示できる。
【0053】
2)ブロック鎖(B1)
ブロック鎖(B1)は、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位の少なくとも1種と酸性基を含有する繰り返し単位の少なくとも1種を含有する共重合体である。
共重合体は、ランダム、交互、ブロックなどの共重合体を包含する。
【0054】
(ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位)
ブロック鎖(B1)におけるポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位は、前記の共重合体前駆体における、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位と同様である。
【0055】
(酸性基を含有する繰り返し単位)
ブロック鎖(B1)における酸性基を含有する繰り返し単位は、式(II)で表される繰り返し単位である。
【0056】
【化12】

【0057】
式(II)中、R、R、R、Xは、式(I)で表される保護した酸性基を含有する繰り返し単位におけるものと同じ意味である。
式(II)で表される繰り返し単位は、式(I)で表される保護した酸性基の保護基を、本発明の製造方法によって脱保護することにより得ることができる。
【0058】
(他の含有しうる繰り返し単位)
ブロック鎖(B1)中の他の含有しうる繰り返し単位としては、前記の共重合体前駆体における、ブロック鎖(B)における他の含有しうる繰り返し単位と同様である。
【0059】
(ブロック共重合体中のブロック鎖(A)、(B1)以外の含有しうるブロック鎖)
本発明の共重合体は、ブロック鎖(A)及び(B1)以外に、他の重合体からなるブロック鎖を有していてもよい。
そのようなブロック鎖は、共重合体前駆体において、ブロック鎖(A)、(B)以外の含有しうるブロック鎖と同様である。
【0060】
(共重合体中のブロック鎖(A)とブロック鎖(B1)の比及び分子量等の物性)
本発明の共重合体中のブロック鎖(A)とブロック鎖(B1)の比は、特に制限はないが、重量%比で、10〜40対90〜60、好ましくは、15〜35対85〜65である。また、共重合体中の酸性基を有する繰り返し単位の含有割合は、0.5〜20重量%、好ましくは、1〜15重量%である。
また、GPCを用いて測定した、重量平均分子量は、2,000〜50,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましい。分散剤としては特に、4,000〜30,000が好ましく、4,000〜15,000がより好ましい。GPCを用いて測定した、重量平均分子量と数平均分子量との比は、1.0〜2.0であり、分散剤としては特に、1.0〜1.5が好ましい。
【0061】
(4)ブロック共重合体の製造方法
本発明のブロック共重合体は、前記の共重合体前駆体を加熱することにより得ることができる。共重合体前駆体を加熱することにより、共重合体前駆体中の酸性基を保護していた保護基が脱保護される。
脱保護反応は、共重合体前駆体をそのまま加熱してもよく、又は、共重合体前駆体を溶媒に溶解した状態で加熱してもよい。そのような溶媒として、水;エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル系溶媒;エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールモノ又はジエーテル系溶媒;トルエン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)等のアルコール系溶媒;乳酸エチル、酢酸ブチル及びピルビン酸エチル等のエステル系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;などを挙げることができる。これらのうち、グリコールエーテルエステル系溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒と水との混合溶媒が好ましい。反応温度を低くすることができるという観点からは、グリコールエーテルエステル系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒と水との混合溶媒が好ましく、グリコールエーテルエステル系溶媒と水との混合溶媒が特に好ましい。
加熱する温度は、酸性基を保護していた保護基の構造、反応溶媒によって異なるが、脱保護反応が速やかに進行する温度であれば特に制限されない。
グリコールエーテルエステル系溶媒の場合は、通常80℃〜200℃で行うことが好ましく、100℃〜160℃で行うことがより好ましい。グリコールエーテルエステル系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒の場合は、100℃〜140℃で行うことが好ましく、110℃〜140℃で行うことがより好ましい。グリコールエーテルエステル系溶媒と水との混合溶媒の場合は、70℃〜120℃で行うことが好ましく、90℃〜120℃で行うことがより好ましい。脱保護反応により生成するポリマー溶液の着色を低減するという観点からは、加温する温度はより低くするのが好ましい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0063】
500mLフラスコにテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)333.0g、テトラブチルアンモニウムビブロミド(以下、TBABBと略す)0.1g、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール(以下、MTSと略す)1.8gを仕込み、5分間撹拌した。メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(以下、DMMAと略す)22.6gを滴下し、30分反応継続した。そしてGCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタクリル酸n−ブチル(以下、nBMAと略す)47.1g、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PME−200 日油株式会社製)26.1g、メタクリル酸テトラヒドロピラニル9.7gの混合液を滴下し、30分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール1.6gを加えて反応を停止した。得られた共重合体をGPC(移動相THF、PMMAスタンダード)により分析し、分子量(Mw)が16500、分子量分布(Mw/Mn)が1.14であることを確認した。
この重合液にPGMEAを加え、溶媒置換を行った。モノマーと同量の水を加え、110℃で3時間撹拌した。水分を留去し、40%PGMEA溶液に調整した。
得られた共重合体をGPC(移動相DMF、PMMAスタンダード)により分析し、分子量(Mw)が14600、分子量分布(Mw/Mn)が1.34、組成比がDMMA−[nBMA/PME200/MA]=22−[47/26/5]重量%の共重合体であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3級アミノ基を含有する繰り返し単位を含有する重合体からなるブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(I)
【化1】

(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Xは、単結合又はC1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1a−、−C(=O)NHR1a−、−OC(=O)R1a−及び−R2a−OC(=O)R1a−からなる群より選ばれる基(R1a、R2aは、それぞれ独立してC1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、Rは、水素原子、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基を表し、Rは、C1〜C6アルキル基、C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリール基を表す。RとRは一緒になって環を形成していてもよい。)で表される保護した酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B)を含有する共重合体前駆体をグループトランスファー重合により得る工程、場合により、前記ブロック鎖(A)の3級アミノ基を4級アンモニウム塩に変換する工程、及び、前記共重合体前駆体を加熱する工程を含むことを特徴とする、4級アンモニウム塩基を有していてもよいブロック鎖(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位及び、式(II)
【化2】

(式中、R、R、R、Xは、式(I)と同じ意味を表す。)で表される酸性基を含有する繰り返し単位を含有する共重合体からなるブロック鎖(B1)を含有するブロック共重合体の製造方法。
【請求項2】
ブロック鎖(B)及び(B1)が、さらに、式(III)
【化3】

(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表し、Rは、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体の製造方法。
【請求項3】
3級アミノ基を含有する繰り返し単位が、式(IV)
【化4】

(式中、R10、R11、R12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Yは、C1〜C10アルキレン基、−C(=O)OR1b−、−C(=O)NHR1b−、−OC(=O)R1b−及び−R2b−OC(=O)R1b−からなる群より選ばれる基(R1b、R2bは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、R13、R14は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロック共重合体の製造方法。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン鎖を含有する繰り返し単位が、式(VI)
【化5】

(式中、R21、R22、R23は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す。Zは、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−及び−R1d−OC(=O)−からなる群より選ばれる基(R1dは、C1〜C10アルキレン基又はC1〜C10アルキレン−O−C1〜C10アルキレン基を表す。)を表し、R24は、C2〜C4アルキレン基を表し、R25は、水素原子又はC1〜C6アルキル基を表し、mは、2〜150のいずれかの整数を表し、R24O同士は、同一でも相異なっていてもよい。)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2013−82825(P2013−82825A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224269(P2011−224269)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】