説明

ブロック塀補強装置

【課題】ブロック塀が瞬時に倒壊することがなく、さらにコンクリートブロックの飛散を防止できるブロック塀補強装置を提供する。
【解決手段】複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されたブロック塀100を補強するブロック塀補強装置であって、ブロック塀100の上段50に配置された横並びのコンクリートブロック51,52,53,54,55を水平方向に繋ぎ止めるように横並びのコンクリートブロック51,52,53,54,55に取り付けられた帯状部材1aと、ブロック塀100に隣接する地面に固定された基部2と、一端が帯状部材1aに取り付けられ他端が基部2に取り付けられたロープ状部材3と、ロープ状部材3の両端の間に設けられた弾性伸縮機構4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されたブロック塀を補強する、ブロック塀補強装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自己の所有する敷地と道路の間や、隣接する他人の土地との間を区画するために、複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されたブロック塀が用いられている。
このようなブロック塀は、地面に埋設されたブロック塀基礎の上に、複数のコンクリートブロックを積み上げてモルタルで固定して形成されており、また鉄筋等の補強部材が芯材として内部に用いられている。そして、比較的低コストの設置が可能となっている。
【0003】
しかしながら、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食により、ブロック塀の強度は年々弱まるため、外部から力を受けることによりブロック塀が倒壊する危険性がある。特に、地震のような大きな力を受けた場合には、一瞬にしてブロック塀が倒壊し、付近を歩いていた歩行者を直撃し下敷きにして、大きな被害をもたらす原因となっている。
【0004】
このようなブロック塀の倒壊を防止するために、例えば特許文献1には、ブロック塀の隣接位置に支柱を立設してブロック塀を支持するとともに、支柱と建築物との間にワイヤーを張設した発明が記載されている。
また、特許文献2には、木材ブロック塀に補強用の控え壁を設けるとともに、木材ブロック塀の上部と地面の基礎部分との間にワイヤーを張設した発明が記載されている。
【特許文献1】特開2007−32124号公報
【特許文献2】特開2005−315043号公報
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、いずれもブロック塀を補強する補強部材を設置するとともに、さらにワイヤーで引っ張ることでブロック塀の倒壊を防止するようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された発明における補強部材やワイヤーによれば、ブロック塀と地面や建築物との間が固定的に結び付けられているため、
地震等によるブロック塀の揺れに対して柔軟に対応することができない。従って、揺れが小さい場合には、ブロック塀の倒壊を防止することができても、一定限度を超えた力が加わった場合にはブロック塀が根元部分から折れるようにして瞬時に倒壊する危険性がある。そうすると、ブロック塀の付近を歩いていた歩行者が逃げる時間がないため、大きな被害を防止することができない。
また、ブロック塀が倒壊したときに、コンクリートブロックがバラバラになって敷地の外側の歩行者を直撃する恐れもある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ブロック塀が瞬時に倒壊することがなく、さらにコンクリートブロックの飛散を防止できるブロック塀補強装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明のブロック塀補強装置は、複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されたブロック塀を補強するブロック塀補強装置であって、前記ブロック塀の上段に配置された横並びのコンクリートブロックを水平方向に繋ぎ止めるように前記横並びのコンクリートブロックに取り付けられた帯状部材と、前記ブロック塀に隣接する地面に固定された基部と、一端が前記帯状部材に取り付けられ他端が前記基部に取り付けられたロープ状部材と、前記ロープ状部材の両端の間に設けられた弾性伸縮機構とを有することを特徴とする。
ここで、「ロープ状部材」は、1本のロープ状部材を用いてもよいし、2本以上のロープ状部材を例えば滑車等により連結して用いてもよい。
また、「弾性伸縮機構」は、ロープ状部材に加えられた引っ張り力に応じて伸縮する弾性を有するものであり、例えばバネを用いた構成とすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のブロック塀補強装置において、前記ロープ状部材が、前記帯状部材に取り付けられた一端から前記ブロック塀に対して垂直方向でかつ地面に対して水平方向に延び、さらに滑車を介して下方向に延びて他端が前記基部に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のブロック塀補強装置において、前記ブロック塀を形成する複数のコンクリートブロックを覆うように貼り付けられた合成樹脂製シートを有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のブロック塀補強装置において、前記合成樹脂製シートに印刷が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明においては、ブロック塀の上段に配置された横並びのコンクリートブロックを水平方向に繋ぎ止めるように帯状部材が取り付けられ、またブロック塀に隣接する地面には基部が固定されている。そして、帯状部材と基部との間にロープ状部材が取り付けられている。従って、地震等によりブロック塀に力が加わった場合に、ロープ状部材を介してブロック塀が倒壊しないように支持することができる。このとき帯状部材により水平方向のコンクリートブロックを同時にロープ状部材で支持することができる。また大きな力が加わって倒壊する場合であっても、ブロック塀をできるだけ基部が固定された側に倒すことができる。
さらに、ロープ状部材の両端の間には、弾性伸縮機構が設けられているので、ブロック塀の揺れによってロープ状部材に引っ張り力が加えられた場合に、弾性伸縮機構が伸縮することによりブロック塀に加わる力をある程度まで吸収することができる。従って、ブロック塀に大きな力が加わった場合に、ブロック塀がいきなり根元から折れて瞬時に倒壊することがない。そのため、ブロック塀の付近を歩いていた歩行者が逃げる時間を確保することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明においては、ロープ状部材が、帯状部材に取り付けられた一端からブロック塀に対して垂直方向でかつ地面に対して水平方向に延びている。そして、滑車を介して下方向に延びて他端が基部に取り付けられている。従って、ブロック塀に力が加わって外側(基部の反対側)に傾いた場合に、ブロック塀の傾く方向に対して逆方向の一直線上にロープ状部材が延びているため、傾きかけたブロック塀を確実に支持することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明においては、合成樹脂製シートがブロック塀を形成する複数のコンクリートブロックを覆うように貼り付けられている。従って、仮にブロック塀が倒壊した場合にも、コンクリートブロックが飛散するのを防止することができ、ブロック塀の大部分を基部が固定された側に倒すことができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明においては、合成樹脂製シートに印刷が施されている。従って、任意の図柄や模様等を印刷することにより、老朽化したブロック塀の外観を装飾することができる。
【0016】
以上のように、本発明によれば、ブロック塀が瞬時に倒壊することがなく、さらにコンクリートブロックの飛散を防止することができ、ブロック塀の倒壊による被害を小さくすることができる。
【0017】
本発明は、「ブロック塀の上段に配置された横並びのコンクリートブロックを水平方向に繋ぎ止めるように帯状部材を取り付けた点」、及び「ロープ状部材の両端の間に弾性伸縮機構を設けた点」に基本的な特徴がある(請求項1〜4)。また、「ブロック塀を形成する複数のコンクリートブロックを覆うように合成樹脂製シートを貼り付けた点」にも特徴がある(請求項3〜4)。そして、これにより、ブロック塀が瞬時に倒壊することがなく、さらにコンクリートブロックの飛散を防止することができるようになっている。
これに対して、特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、ワイヤー(ロープ状部材)を用いる点で共通しているものの、このワイヤーは単にブロック塀と地面や建築物との間を固定的に結び付けているものである。そして、特許文献1及び特許文献2には、本発明の「帯状部材」、「弾性伸縮機構」、「合成樹脂製シート」に相当するものは記載されていない。従って、特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、地震等によるブロック塀の揺れに対して柔軟に対応することができず、本発明とはその作用効果が大きく異なるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置について説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を示す斜視図である。また、図3は、本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を示す側面図である。
なお、本実施形態に係るブロック塀補強装置は、建物等の敷地と敷地に面した道路とを区画するブロック塀100に用いられるものであり、図中、「S」は敷地側を、「R」は道路側を示している。従って、図1は敷地側Sからみた斜視図であり、図2は道路側Rからみた斜視図である。
【0019】
図1に示すように、ブロック塀100は、地中に埋設されたT字状のブロック塀基礎101の上に複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されている。ブロック塀基礎101の上にはコンクリートブロック第1段10が積み上げられ、その上に第2段20,第3段30,第4段40,第5段50が順次積み上げられている。コンクリートブロックの各段はそれぞれ5個のコンクリートブロックを横に並べて形成されている。上下左右に隣り合うコンクリートブロック同士はモルタルで固定されるとともに、必要に応じてコンクリートブロックを貫く芯材として鉄筋が内部に用いられている。
【0020】
ブロック塀の最上段である第5段50には、横に並べられた5個のコンクリートブロック51,52,53,54,55が配置されている。そして、コンクリートブロック51,52,53,54,55を水平方向に繋ぎ止めるように、帯状部材1a,1bが取り付けられている。
図1乃至図3に示すように、帯状部材1aは、コンクリートブロック51,52,53,54,55の敷地側Sの面に取り付けられている。また、帯状部材1bは、コンクリートブロック51,52,53,54,55の道路側Rの面に取り付けられている。そして、複数のボルト固定部材8により固定されて、コンクリートブロック51,52,53,54,55を両側から強固に繋ぎ止めている。
さらに、敷地側Rの帯状部材1aには、L字金具9が固定されており、後述するようにロープ状部材3aの一端を取り付けるようになっている。
【0021】
なお、帯状部材1a,1bは、金属板や樹脂板等、種々の材質のものを用いることができる。
また、帯状部材は必ずしも敷地側Sと道路側Rの両側に設ける必要はないが、コンクリートブロックをより強固に繋ぎ止めるためには、両側に設けることが好ましく、少なくとも道路側Rに設けることが好ましい。
また、帯状部材1a,1bを取り付ける位置は、最上段である第5段ではなく、その下の第4段であってもよいが、ブロック塀100に力が加わったときに最も揺動幅の大きい最上段に取り付けることが好ましい。
【0022】
また、図2及び図3に示すように、ブロック塀100の道路側Rの面には、複数のコンクリートブロックを覆うように、合成樹脂製シート6が貼り付けられている。合成樹脂製シート6は、例えば厚さ1mm程度のポリプロピレン製のものを用いることができる。さらに、合成樹脂製シート6には、図2に示すように、図柄・模様プリント6aを施しておくことが好ましい。
合成樹脂製シート6は、ブロック塀100を構成する複数のコンクリートブロックの一部を覆うようにしてもよいが、後述する飛散防止効果を高めるためには、全体を覆うように貼り付けることが好ましい。また、合成樹脂製シート6を、ブロック塀100の敷地側Sの面に貼り付けることも可能である。
もちろん、合成樹脂製シート6を貼り付けない構成とすることも可能である。
【0023】
一方、敷地側Sのブロック塀100に隣接する地面には、基部2が埋設されている。基部2は、下部が地面に埋設されてコンクリート等により強固に固定されている。基部2からは上方に向けて支柱7が延出しており、支柱7はブロック塀100の上段部分で敷地側Sに向けて折曲している。そして、支柱7の先端には、滑車5aが軸着されている。
ブロック塀100と支柱7との間隔は例えば100〜150mm程度とし、敷地が狭くならないようにすることが好ましい。また、ブロック塀100が敷地側Sに倒れてきたときに衝撃を和らげるように、支柱7の上端部にウレタンゴム等を貼付してもよい。
【0024】
帯状部材1aに固定されたL字金具9には貫通孔が設けられ、ロープ状部材3aの一端が取り付けられている。L字金具9を介して帯状部材1aに取り付けられたロープ状部材3aは、ブロック塀100に対して垂直方向でかつ地面に対して水平方向に延びている。言い換えれば、ロープ状部材3aは、帯状部材1aに取り付けられた一端から敷地側Sに向けて延びている。さらに、ロープ状部材3aは、支柱7の先端に軸着された滑車5aを介して略直角に方向を変えて下方向に延びている。そして、ロープ状部材3aの他端は二股状に分割し、分割したそれぞれの先端で滑車5bを軸支するようになっている。
【0025】
滑車5bにはロープ状部材3bが掛けられており、ロープ状部材3bの一端は基部2の上面に固定され、他端は弾性伸縮機構4に繋がっている。さらに、弾性伸縮機構4にはロープ状部材3cの一端が取り付けられ、ロープ状部材3cの他端は基部2の上面に固定されている。
なおロープ状部材3a,3b,3cは針金等の鋼製のワイヤーや織糸製など種々の材質のものを用いることができる。
【0026】
次に、図4を参照して、弾性伸縮機構4について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る弾性伸縮機構4を示す部分破断斜視図である。
図4に示すように、弾性伸縮機構4は、筒状体4a,バネ4b,台座部4cから構成されている。筒状体4aは、円柱の内部を空洞にしたものであり、上面にロープ状部材3bが貫通する貫通孔4dが形成されている。そして、貫通孔4dから筒状体4aの内部に挿入されたロープ状部材3bの下端には、筒状体4aの内部を上下方向にスライド可能な円板状の台座部4cが取り付けられている。
また、ロープ状部材3bを囲むようにバネ4bが配置されている。バネ4bの上端は筒状体4a内部の天井面(図示しない)に固定されており、バネ4bの下端は台座4cの上面に固定されている。
さらに、筒状体4aの下面には、ロープ状部材3cの上端が取り付けられている。
【0027】
このように、ロープ状部材3a,3b,3cは、滑車5a,5bを介して、一つのロープ状部材3を形成しており、ロープ状部材3の一端が帯状部材1aに取り付けられ他端が基部2に取り付けられるとともに、ロープ状部材3の両端の間に弾性伸縮機構4が設けられた構成となっている。
【0028】
次に、本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置の作用効果について説明する。
地震等によりブロック塀100に力が加わると、ブロック塀100が道路側Rに向けて傾斜する。そうすると、ブロック塀100に取り付けられた帯状部材1aも道路側Rに向けて移動する。そして、帯状部材1aに取り付けられたロープ状部材3aが道路側Rの方向に引っ張られる。
ロープ状部材3aに加えられた引っ張り力は、滑車5a,滑車5b,弾性伸縮機構4を介してロープ状部材3b,3cに伝達される。
【0029】
このとき、弾性伸縮機構4の内部では、筒状体4aの内部で、台座部4cがロープ状部材3bに引っ張られて上方にスライドするとともに、筒状体4aの天井面と台座部4cとの間でバネ4bが圧縮される。そして、圧縮されたバネ4bは、元の状態に復元しようとするため、台座部4cを下方に押し下げる力が働き、その力がロープ状部材3b,3bへと伝わり、帯状部材1aとブロック塀100を敷地側Sに引き戻すことになる。
仮に、ロープ状部材3の両端の間にこのような弾性伸縮機構4が存在せず、ロープ状部材3が完全に固定された状態であれば、一定限度以上の力がブロック塀100に加わると、ブロック塀100がいきなり根元から折れて瞬時に倒壊する危険性がある。これに対して、本実施形態にかかるブロック塀補強装置は、弾性伸縮機構4が伸縮することによりブロック塀100に加わる力をある程度まで吸収することができるのである。
【0030】
本実施形態に係るブロック塀補強装置においては、ブロック塀100の最上段50に配置された横並びのコンクリートブロック51,52,53,54,55を水平方向に繋ぎ止めるように帯状部材1a,1bが取り付けられ、またブロック塀100に隣接する敷地側Sの地面には基部2が固定されている。そして、帯状部材1aと基部2との間にロープ状部材3(3a,3b,3c)が取り付けられている。従って、地震等によりブロック塀100に力が加わった場合に、ロープ状部材3を介してブロック塀100が倒壊しないように支持することができる。このとき帯状部材1a,1bにより水平方向のコンクリートブロックを同時にロープ状部材3で支持することができる。また大きな力が加わって倒壊する場合であっても、ブロック塀100をできるだけ基部2が固定された敷地側2に倒すことができる。
さらに、ロープ状部材3の両端の間には、弾性伸縮機構4が設けられているので、ブロック塀100の揺れによってロープ状部材3に引っ張り力が加えられた場合に、弾性伸縮機構4が伸縮することによりブロック塀100に加わる力をある程度まで吸収することができる。従って、ブロック塀100に大きな力が加わった場合に、ブロック塀がいきなり根元から折れて瞬時に倒壊することがない。そのため、ブロック塀100の付近を歩いていた歩行者が逃げる時間を確保することができる。
【0031】
また、ロープ状部材3が、帯状部材1aに取り付けられた一端からブロック塀100に対して垂直方向でかつ地面に対して水平方向に延びている。そして、滑車5aを介して下方向に延びて他端が基部2に取り付けられている。従って、ブロック塀100に力が加わって道路側Rに傾いた場合に、ブロック塀100の傾く方向に対して逆方向の一直線上にロープ状部材3が延びているため、傾きかけたブロック塀100を確実に支持することができる。
【0032】
また、合成樹脂製シート6がブロック塀100を形成する複数のコンクリートブロックを覆うように貼り付けられている。従って、仮にブロック塀100が倒壊した場合にも、コンクリートブロックが飛散するのを防止することができ、ブロック塀100の大部分を基部2が固定された敷地側Sに倒すことができる。
【0033】
また、合成樹脂製シート6に印刷が施されている。従って、任意の図柄や模様等を印刷することにより、老朽化したブロック塀100の外観を装飾することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るブロック塀補強装置によれば、ブロック塀100が瞬時に倒壊することがなく、さらにコンクリートブロックの飛散を防止することができ、ブロック塀100の倒壊による被害を小さくすることができる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、3本のロープ状部材3a,3b,3cを2つの滑車5a,5bを介して連結する構成としたが、図5に示す他の実施形態のように、滑車5aのみを用いて2本のロープ状部材3a,3cを連結する構成としてもよい。すなわち、ブロック塀100に加わる力の想定、弾性伸縮機構4のバネ定数、滑車の原理等を考慮して、滑車の数を適宜調整すればよい。
【0036】
また、図6に示す他の実施形態のように、滑車を用いずに、帯状部材1aと基部2とを直線的に連結する構成としてもよい。この場合、ブロック塀100の傾斜する方向とロープ状部材3a,3cの方向が直線上でないため支持力が劣る点を除けば、同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
なお、弾性伸縮機構4としては、上記構成の他、ロープ状部材3を単なるバネにより連結したり、エアシリンダを用いたりするなど、種々の変更が可能である。すなわち、弾性伸縮機構は、ロープ状部材に加えられた引っ張り力に応じて伸縮する弾性を有するものであれば、どのような構成であってもよい。
また、複数のブロック塀補強装置を例えば3.5m間隔で設置することにより、横幅の広いブロック塀の補強を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を敷地側から示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を道路側から示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る弾性伸縮機構を示す部分破断斜視図である。
【図5】他の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を示す側面図である。
【図6】他の実施形態に係るブロック塀補強装置を設置した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1a 帯状部材
1b 帯状部材
2 基部
3 ロープ状部材
3a ロープ状部材
3b ロープ状部材
3c ロープ状部材
4 弾性伸縮機構
4a 筒状体
4b バネ
4c 台座部
4d 貫通孔
5a 滑車
5b 滑車
6 合成樹脂製シート
6a 図柄・模様プリント
7 支柱
8 ボルト固定部材
9 L型金具
10 コンクリートブロック第1段
20 コンクリートブロック第2段
30 コンクリートブロック第3段
40 コンクリートブロック第4段
50 コンクリートブロック第5段
51 コンクリートブロック
52 コンクリートブロック
53 コンクリートブロック
54 コンクリートブロック
55 コンクリートブロック
100 ブロック塀
101 ブロック塀基礎
R 道路
S 敷地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンクリートブロックを縦横に積み上げて形成されたブロック塀を補強するブロック塀補強装置であって、
前記ブロック塀の上段に配置された横並びのコンクリートブロックを水平方向に繋ぎ止めるように前記横並びのコンクリートブロックに取り付けられた帯状部材と、前記ブロック塀に隣接する地面に固定された基部と、一端が前記帯状部材に取り付けられ他端が前記基部に取り付けられたロープ状部材と、前記ロープ状部材の両端の間に設けられた弾性伸縮機構とを有することを特徴とするブロック塀補強装置。
【請求項2】
前記ロープ状部材は、前記帯状部材に取り付けられた一端から前記ブロック塀に対して垂直方向でかつ地面に対して水平方向に延び、さらに滑車を介して下方向に延びて他端が前記基部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のブロック塀補強装置。
【請求項3】
前記ブロック塀を形成する複数のコンクリートブロックを覆うように貼り付けられた合成樹脂製シートを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブロック塀補強装置。
【請求項4】
前記合成樹脂製シートに印刷が施されていることを特徴とする請求項3に記載のブロック塀補強装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−62770(P2009−62770A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232952(P2007−232952)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507301497)有限会社エリアプロスパ (1)
【Fターム(参考)】