説明

ブロック玩具

【課題】 多種形状のブロックを次々に連結していき、ロボットや動物等の各種形状の対象物を創作することができるブロック玩具を提供する。
【解決手段】 多様な形状を有する複数種類からなり、所定位置にボールジョイントの一方を構成するボール部20と、このボール部20を収容、保持可能なボール収容部30とが形成された本体ブロック10を、ボール部20とボール収容部30との連結により、ボール部20とボール収容部30との間で少なくとも可動に保持させ、あるいは解除自在にロックされ保持された状態で多数個を連結することで、所定形状の対象物を創作するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロック玩具に係り、ブロック間の連結をブロックに設けられたボール部と、そのボール部を収容するボール収容部とから構成されたボールジョイントで次々に連結していき、ロボットや動物等の各種形状の対象物を創作することができるブロック玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積み木ような多数のブロックを連結して、各種の形状のものを創作して遊べるブロック玩具として、レゴ(登録商標)やダイヤブロック(登録商標)等の樹脂成形ブロック玩具が広く知られている。これらの玩具ブロックは直方体状、板状、棒状等の所定寸法およびその倍数寸法の数種のサイズ、数色の基本ブロックから構成され、これら基本ブロックおよび特殊形状のブロックを連結して遊ぶことができる。これら基本ブロックや特殊ブロックは、共通的に各種の形状の本体部と、本体部の大きさに合った数が上面に配列された複数個の嵌合円柱突起と、その底面に各嵌合円柱突起と嵌合可能な嵌合凹部とを有し、嵌め込むようにして連結させるようになっている。その連結は子供の力でも容易に行うことができ、また連結した状態では前述した嵌合凹部の弾性変形で容易に分離しない程度の連結力が保持されるようになっている。
【0003】
これらの基本ブロック、特殊形状ブロックを、それぞれのサイズ、色を使い分けて連結していくことにより、さまざまな形状の建物や乗物、人形、動物等を組み立てて創作することができる。そして最近では、製作例のバリエーションをふやすために、基本ブロックに加えて基本ブロック同士を関節として連結する応用ブロックも各種、開発され、提供されるようになってきた。たとえば、この種の関節部には、ボール部と、ボール収容部とからなるボールジョイント構造が採用され、このボールジョイント構造のボール部とそのボール部を収容する収容部とが、それぞれの基本ブロックの一部に一体的に形成され、基本ブロックに設けられたボールジョイント部を連結することにより、例えばロボットや人形や動物等の腕や脚の関節部分、乗り物等の連結部分、その他の可動部分等を組み立てていくことができる。
【0004】
この種のブロック玩具の関節部(ジョイント部)の発明として特許文献1がある。このジョイントのブロック玩具では、球軸部とこの球軸部を収容する球軸受部との間に弾性体を介在させることにより、パーツの磨耗の進行を抑えるようになっている。
【0005】
また、ボールジョイントを関節部として採用した人形玩具の発明として、特許文献2がある。この人形玩具は、関節可動部分を実際の人体の可動部分に模すことにより、人形がよりリアルなアクションポーズをとれるようにしたものである。この人形玩具は、完成形で販売されるため、ブロック玩具等と異なり、組立おもちゃとしての発想、パーツを無限に組み立てていくという発展性はない。これに対して特許文献3には、関節部に簡単なボールジョイント構造を採用した組立式創作玩具が開示されている。この組立式創作玩具は、鉛筆等の筆記具を組立用のパーツの一部として利用し、鉛筆を中心骨格として、その中心骨格に手足を取り付けるための関節及び腕、脚に相当する基本パーツと、手、足、肩、頭部等、キャラクターをイメージさせるような特徴的な形状をした特殊パーツとを順に組み立てることにより、ロボットや動物等を模した形状を完成させることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平5−293256公報。
【特許文献2】特開2004−73514公報。
【特許文献3】特開平9−173656公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示したボールジョイント構造は、あくまで基本ブロック同士で組み立てたパーツ(部分)の可動連結を実現するための特殊ブロックに設けられた特殊構造であり、組み立てられる人形や動物の胴体、腕、脚部分、車両本体は基本ブロックで組み立てられ、関節や車両連結器等を構成するために、この特殊ブロックが用いられる。また、基本ブロックに形成された突起によりブロックの積み上げ(連結)方向が規制されるため、ボールジョイント構造の可動範囲もほぼブロックの平面に沿った面上を90°〜180°に動かして遊べる構造となっている。
【0008】
特許文献2に示した人形玩具は、上述したように、完成された小型の人形(フィギュア)のリアルなアクションポーズを実現させることを目的としている。このために、肩、肘、手首、股関節、膝、足首の各関節において、その関節が実際の関節の動きに近くなるようにボールジョイントのボール収容部の形状が加工されている。したがって、この種のボールジョイント構造は、ブロック玩具等のように、様々な形状においてブロックが自在に動かすことができるような汎用的な連結構造を実現することはできない。
【0009】
特許文献3に示した組立式創作玩具は、鉛筆等の筆記具を骨格とすることを前提としており、図7に示されたように、基本的にその骨格となる筆記具に保持部材を取り付け、その保持部材に、関節に相当する中継部材と腕や脚に相当する、両端にボール部を有する棒状部材(アーム部材)とを組み付けるようになっている。このため、ロボット、動物等を工夫して組み立てたとしても、筆記具を骨格とした単純な棒状の手足が連結されたものしか組み立てられない。
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、従来のブロック玩具に比べ、組み立てられた対象の各パーツがきわめて可動性に優れ、組立後の形状も全体的にあるいは部分的に容易に変化させることができるブロック玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は多様な形状を有する複数種類からなり、所定位置にボールジョイントの一方を構成するボール部と該ボール部のボールを収容、保持可能なボール収容部とが形成された本体ブロックを、前記ボール部とボール収容部との連結により、前記ボール部とボール収容部との間で少なくとも可動に保持され、あるいは解除自在にロックされた状態で多数個を連結することで、所定形状の対象物を創作することを特徴とする。
【0011】
前記ボール部は、所定長さのステムを介して、あるいはボールの一部が切り取られた面接触状態で前記本体ブロックに一体成形された樹脂成形品であることが好ましい。
【0012】
前記ボール収容部は、前記ボール部を収容する球状収容部と、前記ステムを収容するステム収容部とが一体成形された樹脂成形品であることが好ましい。
【0013】
前記球状収容部は、前記ボールを収容可能な内径を有し、開口からの深さは前記ボールの半径より深く設定することが好ましい。
【0014】
前記ステム収容部は、前記ステムを収容可能な内径を有し、開口からの深さは前記ステムの半径より深く設定され、該ステム収容部に前記ステムを収容して前記ボールジョイントは解除自在にロックできるようにすることが好ましい。
【0015】
前記本体ブロックは、人体あるいは動物の一部を模した立体形状に仕上げられ、その長手方向の両端部に前記ボール部とボール収容部とが形成され、連結部が関節部を構成することが好ましい。
【0016】
前記ボール部と、ボール収容部とが形成された本体ブロックは、多種形状のパーツとしてランナー枠に保持され、前記各パーツがランナー枠ごとに各色からなる樹脂成形品で成形することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多種、多様な形状の本体ブロック間の連結を本体ブロックの一部に設けられたボール部と、そのボール部を収容するボール収容部とから構成されたボールジョイントで次々に連結していくことで、ロボットや動物等の各種形状の対象物を創作することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のブロック玩具の実施するための最良の形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、以下に説明する14種類のブロック(以下、組立体の部品を構成するという意味でパーツと呼ぶ。)を使って組み立てたロボットの一例を示した斜視図である。このロボットは、図1に示した符号からわかるように、14種類の部品のうちの10種類を使って連結して組み立てた戦闘ロボットである。このロボット製作例では、連結された頭部、胴体、腕、脚(足)に加え、戦闘ロボットらしさを表現するために、肩部分に装甲パーツを装着した。
【0020】
以下、これら14種類のパーツのコンセプト(特徴)、実際の部品形状、適用例等について、各パーツの説明図を参照して説明する。これら14種類のパーツは、図2及び図3に示したように、一枚のランナー枠1内に14種類が一度に成形された樹脂成形品からなる。本実施例では、ボールジョイント部の脱着時の装着感、耐久性を考慮してABS樹脂成形品とした。この他、POM等、成形作業性がよく、パーツとしての弾力性、耐久性に優れたものが安価に提供できる樹脂であれば、種々の樹脂材料が適用可能である。図2は、このランナー枠1に取り付けられた各パーツを表面から見た状態を示し、図3は裏面から見た状態を示している。各パーツは、このようにランナー枠1に一体的に取り付けた状態でユーザーに提供(販売)される場合は、通常のプラモデルと同様に、細いランナーをニッパー等できれいに切り離して、適宜、必要なパーツを取り出すことができる。また、特定のパーツの補充の便宜を考慮したり、あらかじめパーツを切り離した形態で、セットあるいは単独のパーツで販売することも可能である。
【0021】
以下、各パーツの特徴について説明する。図4(a)に示したパーツAは、もっとも基本的な形状の基本パーツで、略立方体の本体部対向する2面にボール収容部30が直角をなすように形成され、他の一面にステム付きボールが一体成形されている。この基本ブロックの特徴は、上下を反転させても、そのジョイントの収容部及びジョイントボールの取り付け構造が変わらないという点にある。実際にランナー枠1で成形される際には、上述の基本形状をふまえて、さらに2個のボール部20と2本のステム付きボール部20とが形成されるようになっている(同図(b))。図4(c)は、これらのステム付きボール部20及びボールの取り付けの変形例を示した図である。
【0022】
このボールジョイントの構成としては、ボール部20は所定長さの円柱状のステム21を介して、あるいはボール部20の一部が切り取られた面接触状態で本体部10に一体成形されている。一方、ボール収容部30は、ボール部を収容する球状収容部30と、ステムを収容するステム収容部31とが一列をなすように一体成形されている。このとき、球状収容部30は、ボール部20を収容可能な内径を有し、開口からの深さはボール部20の半径より深く設定されることで、樹脂の変形を利用してボールをこの球状収容部にはめ込めば、そのままでは脱落することはない。取り外すときには、ボール収容部の開口縁の弾性変形を利用して収容部から引き抜くことができる。同様に、ステム収容部31は、ステム21を収容可能な内径を有し、開口からの深さはステム21の半径より深く設定され、ステム収容部31にステム21を収容した状態では、ボールジョイントは解除自在にロックされた状態で保持される。
【0023】
図5各図に示したパーツBは、外装パーツ(以下、骨格としての本体の外側面に取り付けられ、たとえばロボットの装甲等のアクセサリー的要素の強いパーツを外装パーツと呼ぶ。)連結用パーツで、他の扁平な直方体の本体部の裏面にステム収容部31が一体成形されたボール収容部30が設けられ、表面側に連結用の突起25が形成されている。本実施例では、同図(b)に示したように、複数のボール部20とステム21で保持されたボール部20とが合わせて成形されている。これらのパーツBは、同図(c)に示したように、各部のステム21を本体部から切り離して別形状として使用することもできる。同図(c)に示したように、突起25を切り離すと、本体部の表面に外装パーツの内面を面接着させることができる(同図(e)参照)。ここで、パーツBの適用例について説明する。同図(d)は、人形モデル等において、図示しない胴体の首に相当する位置にあるボールジョイントの先端にパーツBの突起25に頭部Hの穴26を差し込むように取り付ける例を示している。同図(e)は、上述したようにパーツBの突起25を切除し外装板40を面接着で取り付ける例を示している。
【0024】
図6各図に示したパーツCも、本体部10としての四角形平板の表面に、ボール部20あるいはステム付きボール部20を一体成形し、その裏面に連結用の筒状突起25を設けた外装連結用パーツである。同図(b)に示したように、外装板4の内側面の取り付け穴4’に突起25を差し込むことで外装板4を連結されることができる。一方、ボール部20によって本体側のパーツAのボール収容部30を連結させることができる。図(c)と図(d)とは、ステム21の長さが異なるボール部20を示しており、図(d)に示したようにステム21があるパーツの場合には、図(e)に示したように、部品を直角にまで曲げた状態でステム収容部31にステム21を収容させ、ロックさせることができる。
【0025】
図7各図に示したパーツDは、主に戦闘ロボット等の装甲板等の外装パーツを取り付けるために用いられる連結用パーツである。この基本パーツは本体部10が、同図(a)に示したように、側面視して略L字型の屈曲形状をなし、その屈曲部11の上面にボール収容部30が、先端側にステム付きボール部20が長手方向に沿って形成されている。同図(b)は、同図(a)に対して両側にステム付きボール部20が形成されたパーツ形状を示している。この連結用パーツDを連続して用いることにより、たとえばステム収容部31にステム21を収容させた状態で連結することで、同図(c)に示したような全体が捻り動作を生じるような棒状部材を組み立てることができる。また先端側のステム付きボール部20を切除するとその形状が人形等の足に似ることから、同図(d)に示したように、脚部に相当する他のパーツの下端のボール部20の先端にボール収容部30を連結することにより、人形の足部とし、人形をバランスよく立たせることができる。
【0026】
図8各図に示したパーツEは、主にパーツを長手方向に延長するために用いる棒状パーツである。その用途に応じて、同図(a)に示したように、本実施例では、本体部10を連結するように中間位置にボール部20を有する3種類の長さのパーツを製作した。この中間部のボール部20には、同図(b)に示したように、パーツB等のボール収容部30をはめ込むように連結させることができ、棒状パーツの中央に位置するボール部20を中心としてパーツBを旋回可能に連結させることができる。このように、直線状をなすパーツEの本体部10をパーツBの回転軸として利用することも可能である。また他のパーツに旋回を規制した状態で連結して全体が一体となった長尺パーツとして使用することも好ましい(図8(c),(d)参照)。
図9各図に示したパーツF1,F2は、ステム収容部31が一体成形されたボール収容部30を複数個成形することで、複数のボールジョイントのボール部を受けるようにしたパーツである。同図(a)に示したように、パーツF1は両端及び中間部に設けられたステム収容部31が一体成形されたボール収容部30のロックの向きが直交するように成形されている。また同図(b)には、2個のボール収容部30が平行して配置されている。このパーツF1の全長を短くしたパーツF2も使い勝手がよい。(図9(c))。このパーツF2の裏側には、1個のボール収容部30が成形されている。
【0027】
図10各図に示したパーツGは、連結したパーツの旋回を行わせるための基本パーツである。同図(a)に示したように、L字形をしたフランジ10a,10bに挟まれ、フランジ10aの内側にボール部20が取り付けられるとともに、フランジ底面10bにボール部20あるいはステム21付きボール部20が一体的に成形されている。このパーツGを他のパーツの間に介在させることでこのパーツGに連結された他のパーツの旋回を実現することができる。また、本実施例では、同図(b)に示したように、ボール部20をフランジ側面の両側に設けたパーツを製作した。また同図(c)に示したように、同図(a)の基本位置のボール部20を切除し、反対側のボール部20を残すこともできる。その場合にはこのボール部20に外装パーツを取り付けたりして使用することが容易になる。
【0028】
図11各図に示したパーツHは、二重関節のための屈曲用ボールパーツである。同図(a)に示したように、図示しない両側から連結されたパーツのボール収容部30に収容するための2個のボール部20が縦長小判形状のベースプレート10の片面に長手方向に並んで形成されている。本実施例では、このベースプレート10の両側面にそれぞれ2個ずつ、計4個のボール部20が成形されている。この屈曲用パーツを用いることにより、同図(c)に示したようなパーツI(後述)と二重関節を形成させることができる。また同図(b)のパーツHを用いることにより、同図(d)に示したように、パーツIを対に配置して屈曲させるような丈夫な二重関節を形成することもできる。さらに同図(e)に示したように、4つのボール部20のうち、対角位置にあるボール部20を切除して、変則的な屈伸用パーツとして利用することもできる。
【0029】
図12各図に示したパーツIは、二重関節のための屈曲用のパーツである。同図(a)に示したように、直方体形状の本体部にステム収容部31が一体成形された縦長のボール収容部30が片面に形成され、長手方向の両側から連結されたパーツを収容することができる。本実施例では、同図(b)に示したように、長手方向の側面に2個のボール部20が一体的に成形されている。この屈曲用パーツを用いることにより、パーツHを連結するようにした二重関節を形成させることができる(同図(c))。
【0030】
図13各図に示したパーツJは、同じく二重関節のための屈伸用パーツである。クランク形状をなしたフランジ面が90°に捻れた面を構成するベースプレートの一方の面にボール部20が、他の面にボール収容部30が一体的に成形されている。本実施例では、同図(b)に示したように、ベースプレートの両側にボール部20が形成されている。このパーツJを関節部に使用すると、同図(c)に示したように、仮想線で示したパーツIを直交平面で可動させることができる。同図(d)は、パーツJのボール部20に対向するようにパーツを取り付けられ、一体的に成形されている。この屈伸用パーツを用いることにより、同図(c)に示したように、2個の連結されたパーツIは直交方向の旋回が可能になる。同図(d)は、パーツJの加工例を示している。内側ボール部20を切除することにより、同図(a)と逆位置でのパーツの連結が可能になる。
【0031】
図14各図に示したパーツKは、個々のパーツが旋回可能に連結した長尺パーツを形成するためのパーツである。同図(a)に示したように、略L字型のフランジの内面にボール収容部30が、他のフランジの外面にステム付きボール部20あるいはボール部20とが取り付けられている。このパーツKを、同図(b)に示したように、複数個連結することにより、後述するパーツOなどと一対に用いることで、屈伸関節を形成することができ、また他のパーツをその関節に連結させることもできる。また、この関節部をパーツEを用いて長尺のパーツとすることも可能である(同図(c))。
【0032】
図15各図に示したパーツLは、連結部を複数位置での確保して他のパーツとの屈伸関節、一体パーツ化を実現するためのパーツである。同図(a)に示したように、略L字型のパーツ本体にステム付きボール部20とボール部20とが側面に取り付けられ、その高さの異なる上面には2個所のステム収容部31が一体成形されたボール収容部30が設けられている。同図(b)に示したように、パーツLを、後述するパーツOと一対に用いることで屈伸関節を形成することができ、さらにこの屈曲関節を他のパーツに連結させた発展形パーツを製作することもできる。たとえば関節部としてのパーツLにパーツEを継ぎ足して長尺のパーツとすることも可能である(同図(c))。
【0033】
図16各図に示したパーツNは、パーツLと同様に連結部を複数位置で確保した状態で屈伸関節を形成させることができるパーツである。同図(a)に示したように、側面視して略T字状をなし、各段10a,10bの上面にボール収容部30が形成され、長手方向の側面両側に2個のボール部20が一体的に成形されている。このパーツNを用いることにより、同図(b)に示したように、人形等の可動玩具の肘や膝などの関節部を組み立てることができる。また図15(d)と同様に、パーツEを継ぎ足して長尺のパーツとすることも可能である(同図(c))。
【0034】
図17各図に示したパーツOも、パーツL,Nと同様に連結部を複数位置で確保した状態で屈伸関節を形成させることができるパーツである。このパーツは左右対称形状の2種類のパーツが用意され、たとえば人形の腰を構成するパーツに大腿部を構成するパーツとして利用して胴から股関節にかけての部分を形成することができる。同図(a)、(b)この関節を利用することにより、パーツI等を用いて関節屈曲部を形成することができる(同図(c))。
【0035】
図18〜図21は、以上に説明したパーツAからパーツOまでのいくつかのパーツの一部を加工して接着等により、複合的な新たな特殊パーツを作るようにした変形例を示している。図18に示したように、パーツBの各部位(ボール部20、突起25、ステム21)を本体部から切り離し、本体部の上面にパーツCの下面突起25を切除したパーツを接着することにより、同図(b)に示したような、オリジナルの複合パーツ(C+B)を製作する。この複合パーツは従来のパーツBの突起25による外装パーツ等の連結に際し、可動連結構造とすることができる。
【0036】
また同様に、図19に示したように、パーツF2のボール収容部30が1個形成された面にパーツGのボール部20を保持するステム21を切除した加工パーツを接着して、安定した形の軸受パーツを作ることも可能である。
【0037】
図20は、パーツNの側面にパーツJのボール部20を切除したパーツJ’を接着し、さらにパーツEを長手方向に連結させた複合長尺パーツを組み立てた例を示している。また、図21に示したように、パーツF1の長手方向の中央の両側面にパーツCの加工パーツC’を固着することにより、棒状部材を旋回させることができる大型の連結用パーツを作りだすことができる。これら各パーツは面接着により、接着するように、パーツの加工(部位の切除)を行うことが好ましい。また、接着には、パーツの樹脂種類の接着に好適な種類の瞬間接着剤を用いることが好ましい。図2、図3に示したランナー枠を様々な色の樹脂で成形することにより、各パーツを組み合わせて組み立てるときに、配色を工夫した組み立て体を得ることができる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例として図22及び図23に示したランナー枠41内に一括して成形された各パーツを用いて組み立てたロボットの製作例について説明する。ロボットは、図22に示したランナー枠で成形された17種類のパーツのうちの主要パーツを連結することにより図24に示したような骨格ロボット40を製作することができる。この骨格ロボット40は、ロボットの基本的な骨格系である脚部、腕部、胴体部を有し、その各部にはステム付きボール部20及びボール部20が配置されており、このボール部20に、バリエーションとしての各種形状の外装パーツを、自由に取り付けるようになっている。
【0039】
この骨格ロボットの組立は、例えば図25に示したように、左右の脚(足)はパーツOからなる大腿部材50L,50R、パーツMからなる下腿部材51L,51R、パーツKからなる足部材52L,52Rを連結させ、パーツJからなる腰部材46の下面に形成された股関節に相当するボールジョイント部を構成するようになっている。さらに、胴体部材45,43,42を構成するパーツI、パーツB、パーツAを組み上げることにより、左右の脚と胴体を一体的に組み立てることができ、その胴体部材の両側部に位置するパーツAが肩に相当し、その部分にパーツE,パーツGを連結させることにより、腕部分を組み立てることができる。これにより、脚部及び腰部及び胴部及び肩及び腕の各部に連結用のボール部20が配置された骨格ロボット40が完成する。
【0040】
図23は、この骨格ロボット40に形成されたボール部20に取り付け可能な各種の外装パーツの成形例を示したランナー枠を示した図である。外装パーツを取り付けるには、骨格ロボットの各部に位置するボール部20に外装板の内面側に形成されたボール収容部30をはめ込む取り付け方、反対に骨格ロボットの各部に形成されたボール収容部30にボール部20をはめ込む取り付け方、あるいは骨格ロボット側から突出した突起25を外装パーツの内面側に形成された穴に差し込んで連結させる方法等がある。
【0041】
図26は、図24に示した骨格ロボット40に、図23に示した外装パーツと武器パーツのうちの外装パーツを、装甲部材として図を取り付けて完成し、骨格ロボット40が装甲ロボット70に変身した状態を示した斜視図である。図27は、この装甲ロボット70に取り付けられた各外装パーツ62〜68と頭部67の取り付け状態を示した組立斜視図である。同図に示したように、板状の外装板は主に骨格ロボットの各部のボール部20に連結され、骨格ロボットのボール部20収容部には小型の外装部品が取り付けられるようになっている。また外装パーツ62,68の下端にハンドとしてのパーツ53R,53Lを取り付け、たとえば図23に示した武器パーツA1〜A6を装甲状態のロボット70(図26)に保持させることができるようなっている。図23に示したように、色々な武器を外装パーツを、アームの先端に持たせることで、ロボットのバリエーションもさらに増えることになる。
【実施例3】
【0042】
以上では、骨格ロボット40の外側に種々の外装パーツを、ボールジョイントを介して取り付けて組み立てたロボットを説明したが、実施例3では、パーツA〜パーツO等の基本パーツの本体部を、たとえば脚であれば、太さを変化させたり、筋肉をイメージするような曲線を取り入れた形状とし、その両端にボール部20とボール収容部30を設けた種々の特殊パーツを取り混ぜて、より組立形状がリアルなものとなるようにした製作例を示す。以下の各製作例では、上述した基本パーツの組立を基本として、
【0043】
図28各図は、フィギュアとしてのリアルさを強調した戦士の製作例である。基本パーツに相当する各部位に特殊パーツを取り入れて、骨格と装甲とを同時にイメージさせるような形状を実現している。例えば、同図(a)では、腕部分に、通常、翼部等に用いるとよい異形平板状の特殊パーツ81を取り入れ、アーマー(鎧)を装着した戦士の感じを出している。同図(b)に示した戦士80は、図2の基本パーツと図22の骨格パーツと、さらに特殊パーツとを組み合わせて大型の形状とし、脚、腕等の関節部での動きが大きく表現できるようにした。そのため、様々なアクションポーズをとることができる。
【0044】
図29各図は、甲虫としてのカブトムシ90(同図(a))と、クワガタ91(同図(b))の製作例である。同図(a)に示したカブトムシの角91は、図28(b)に示した戦士の武器パーツ82の一部を改変したものである。このように、特定形状の特殊パーツであっても一部のパーツの向きを変えたり、分離したり、合体したりすることで種々の複合的な様々な形状を実現することができる。同図(b)に示したクワガタ91も胴体、足はカブトムシ90と同一構造であるが、頭部と、ハサミの一部93として上述の異形平板形状の特殊パーツ81を用いている。この特殊パーツ81は、図28(a)の戦士の下腿部にも利用されている。また、甲虫の足の先端部分の特殊パーツ92は、図28(b)の戦士の頭部の角84と同一パーツである。このように、基本パーツは各製作例で共通的に使用されるのはもちろんのこと、特殊パーツも組み立てる者のアイデア次第で様々な部位として組み合わせて使用できることがこのブロック玩具の優れた点である。
【0045】
図30各図は、組み立てられたパーツが自立しやすくした足の特殊パーツを利用した獣等の製作例である。図30(a)はパンサー(豹)100を、図30(b)はティラノサウルス105(恐竜)の製作例を示している。本体部に3本の爪状部を形成した特殊パーツ96を、湾曲平板状の脚パーツ97に取り付けることにより、「く」字形をなす、いわゆる獣足の形状がリアルに表現できる。また、この爪状部を有する特殊パーツ96は、図28(a)の戦士の兜の羽根状の装飾部85にも利用されている。このように足としての実用的なパーツと、装飾としてのパーツとしても転用できる。このように、特に、特殊パーツは形状が様々であるため、アイデア次第で、その用途、使用個所も様々に適用して使用することができる。
【0046】
また、このブロック玩具では、各色に成形された各種形状のパーツをランナー枠ごとに購入して、形状と色彩の組み合わせによって、自由な発想で、変化のある各種のブロックによるモデルを創作できる。また、所定形状の戦士ロボットや動物の完成品を製作するために、各パーツの組立手順図を添付し、必要なパーツ数を配置してランナー枠に成形したり、パーツを切り離して袋詰めしたキット製品として販売することもできる。また、複雑な立体形状等の造形モデルを提示し、その造形モデルを正確に完成させるためにパーツを組み立てるパズルとしての遊び方もできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図2、図3に示したランナー枠に成形された各パーツを利用して組み立てたロボットの一例を示した斜視図である。
【図2】図2はパーツAからパーツOまでが成形されたランナー枠の平面形状を示した平面図
【図3】図2に示したランナー枠を裏面から示した平面図。
【図4】パーツAの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図5】パーツBの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図6】パーツCの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図7】パーツDの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図8】パーツEの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図9】パーツFの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図10】パーツGの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図11】パーツHの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図12】パーツIの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図13】パーツJの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図14】パーツKの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図15】パーツLの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図16】パーツNの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図17】パーツOの基本形状、ランナーに成形された部品形状、及び連結例を示した斜視図。
【図18】複数のパーツを合体させて作られた複合パーツの組み立て例を示した斜視図。
【図19】複数のパーツを合体させて作られた複合パーツの組み立て例を示した斜視図。
【図20】複数のパーツを合体させて作られた複合パーツの組み立て例を示した斜視図。
【図21】複数のパーツを合体させて作られた複合パーツの組み立て例を示した斜視図。
【図22】実施例2の骨格ロボットを組み立てるための各パーツを成形したランナー枠体の一例を示した図。
【図23】実施例2として、骨格ロボットに取り付けられる外装パーツを示したランナー枠体。
【図24】図22に示した各パーツによって組み立てられた骨格ロボットを示した斜視図。
【図25】図24の骨格ロボットの組み立て状態を示した組み立て斜視図。
【図26】図23で示した外装パーツが取り付けられた変身後のロボットを示した斜視図。
【図27】図24に示した外装パーツを骨格ロボットに取り付ける状態を示した斜視図。
【図28】実施例3として、基本パーツ、特殊パーツの組み合わせによって製作した戦士の製作例を示した斜視スケッチ図。
【図29】実施例3として、基本パーツ、特殊パーツの組み合わせによって製作した甲虫(カブトムシ、クワガタ)の製作例を示した斜視スケッチ図。
【図30】実施例3として、基本パーツ、特殊パーツの組み合わせによって製作した獣類(豹、恐竜)の製作例を示した斜視スケッチ図。
【符号の説明】
【0048】
1,41 ランナー枠
4 外装パーツ
10 本体ブロック
20 ボール部
21 ステム
25 突起
30 ボール収容部
31 ステム収容部
40 骨格ロボット
70 装甲ロボット
80 戦士
90 カブトムシ
91 クワガタ
100 パンサー
105 ティラノサウルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多様な形状を有する複数種類からなり、所定位置にボールジョイントの一方を構成するボール部と該ボール部のボールを収容、保持可能なボール収容部とが形成された本体ブロックを、前記ボール部とボール収容部との連結により、前記ボール部とボール収容部との間で少なくとも可動に保持され、あるいは解除自在にロックされ保持された状態で多数個を連結することで、所定形状の対象物を創作することを特徴とするブロック玩具。
【請求項2】
前記ボール部は、所定長さのステムを介して、あるいはボールの一部が切り取られた面接触状態で前記本体ブロックに一体成形された樹脂成形品であることを特徴とする請求項1記載のブロック玩具。
【請求項3】
前記ボール収容部は、前記ボール部を収容する球状収容部と、前記ステムを収容するステム収容部とが一体成形された樹脂成形品であることを特徴とする請求項1記載のブロック玩具。
【請求項4】
前記球状収容部は、前記ボールを収容可能な内径を有し、開口からの深さは前記ボールの半径より深く設定されたことを特徴とする請求項3に記載のブロック玩具。
【請求項5】
前記ステム収容部は、前記ステムを収容可能な内径を有し、開口からの深さは前記ステムの半径より深く設定され、該ステム収容部に前記ステムを収容して前記ボールジョイントは解除自在にロックされることを特徴とする請求項3に記載のブロック玩具。
【請求項6】
前記本体ブロックは、人体あるいは動物の一部を模した立体形状に仕上げられ、その長手方向の両端部に前記ボール部とボール収容部とが形成され、連結部が関節部を構成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のブロック玩具。
【請求項7】
前記ボール部と、ボール収容部とが形成された本体ブロックは、多種形状のパーツとしてランナー枠に保持され、前記各パーツがランナー枠ごとに各色からなる樹脂成形品で成形されたことを特徴とする請求項1に記載のブロック玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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