説明

ブロワー型空気吸入装置

【課題】自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置(1)は、ブロワーモータ(3)、ブロワーロータ(4)、及びブロワー開口(11)からなる垂直な配置を備え、ブロワースクロール(5)によって被われたブロワー(2)と、前壁(19)内に形成された外気開口(7)と、内気開口(8)と、を備えた空気流入筺体(6)と、を有し、上記ブロワー(2)の装置が懸垂支持され、上記ブロワーロータ(4)がブロワーモータ(3)の下側にあり、空気流入筺体(6)が上記ブロワー(2)下側の流路内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直なブロワー構造を備えた自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直なブロワー構造を備えた空調装置では、ブロワーロータは、通常、ブロワーモータの上方に配置される。このような構造は、同時にブロワーの上方に外気フラップと内気フラップとを備えた空気流入筺体の構造を要する。さらに、個別の事例では、ブロワーと流入筺体との間にフィルタが追加的に配置される。この結果、相当の装着高さとなる。このような構造では、内気開口は後方に差し向けられ、外気開口は前方に差し向けられる。
【0003】
先行技術の欠点は、装着高さのみならず、特に、外気給送用の前壁開口をブロワーの高さに配置する場合には、車両の長手方向に要する容積にある。この場合、外気流を案内する外気ダクトに加えフラップ機構を配置しなければならない。その結果、車両の上側前部領域において、空間の要求量が大きなものとなる。多くの場合、必要とされる空間は、風防フレームのために利用できない。
【0004】
他の欠点は、室内に向けて後方に差し向けられた内気開口にある。このような構造は、ブロワーから乗員への直接的な騒音経路を容認するものであり、音響効果としても不利である。さらに、従来の構造は、方向が異なるブロワー流入流を有する。「外気」位置では、ブロワーの流入方向は前部からがより多く、内気選択位置では後部からがより多い。この結果、出力や効率と音響効果に影響を及ぼす。さらなる欠点では、コンパクトな構造とした場合に、2枚の内気フラップが所望な調整を行うことができるように要求される点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、平坦な設置空間内で風防フレーム上に直接配置することのできるコンパクトで省スペースのブロワー型空気吸入装置を提供することにある。この課題には、ブロワー内への効率的な空気流の達成と、改善された音響効果、すなわち、内気操作時における、より低い騒音値と振動暴露値(vibration exposure values)の達成もまた含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置によって構成され、このブロワー型空気吸入装置は、ブロワーモータ、ブロワーロータ、及びブロワー開口からなる垂直な構造を備えたブロワーであって、ブロワースクロールによって被われたブロワーと、前壁に形成された外気開口と、内気開口と、を備えた空気流入筺体と、を有するものである。
【0007】
本発明によれば、ブロワーの設置は「懸垂支持」による。これは、ブロワーがブロワーモータ下側のブロワーロータを用いて設置されることを意味し、これは「オーバーヘッド」設置とも呼ばれる。空気流入口は、ブロワー下側の流路内に配置されており、内気開口は、ブロワー手前で給気方向に前壁近くに配置され、下方に差し向けられている。外気開口は、ブロワー開口直前の前壁に、ブロワー軸内又はその手前に配置される。
【0008】
ブロワーの「オーバーヘッド」設置によってブロワー型空気吸入装置のコンパクトな設計が可能となる。この「オーバーヘッド」設置では、ブロワー内への流れは、下側から到達する。その結果、設置空間は、前側上部領域においてより小さな容積を有する。したがって、ブロワーは、車両内のより高い位置に配置することができる。ブロワーモータの形状は上部領域において自由空間にとなり、その中に風防フレームを「配置」することができる。
【0009】
上述したように、外気開口は、ブロワー開口直前でブロワー軸上又はその手前に配置される。本発明の好ましい実施形態では、空気流入筺体は、外気開口から始まり、流入外気が外気ダクトを介して先ず下向きに、次に、給気方向後方に案内され、外気流入口と内気流入口についてブロワー内への流入方向が同一になるように設計される。内気開口の下向きの配置は、音が乗員に放射されず、車両の床に向かって放射されるため、さらに音響的な利点を有している。
【0010】
全体的に、本発明による装置は、設置空間の観点から、特にz方向に利点がある。内気の配置から生ずる音響的な利点も言及しなければならない。さらに、効率と音響関連利点は、外気と内気が同一の流入方向を有するブロワーから得られる。加えて、本発明は、基本的な機能として、簡単なフラップ機構を提供する。
【0011】
本発明による装置では、ブロワーがオーバーヘッド位置にあり、外気と内気の流入がブロワー下側であり、点検用にブロワーへの簡単なアクセスを可能にする筺体設計用の新規概念を要求する。従来の適用では、ブロワーが、これにアクセス可能となるよう配置されている。脱着については、装置を空調装置から直接取り外すことができる。
【0012】
本発明による平坦な空調装置では、ブロワーの設置を懸垂支持した状態で、ブロワーロータがブロワーモータの下側に配置される。その結果、従来のブロワーへの直接的なアクセスは、ダッシュボードや風防フレームにより上方向に制限された設置空間のために制限されるため、より困難になる。完全に取り外し可能な空気流入口を用いる解決策は、ブロワースクロールと前壁との間の流入口への制限されたアクセスのために難しいものとなる。空気流入筺体の設置は、めくら操作となる。同時に、取り外し用のスペース、すなわち、分解用のスペースは制限される。
【0013】
したがって、本発明のさらなる形態は、ブロワー分解用の取り外し可能な筺体部分を備えた空調装置に関する。これに関する本発明の課題は、懸垂支持(オーバーヘッド)ブロワーを用いた構造において、ブロワーの取り外しを可能にすることである。この課題に対する解決策として、懸垂支持されたブロワーを備えた自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置を提案するが、これは、ブロワーに対し側方と下方に隣接する、いくつかの小さな筺体ユニットからなり、水平方向に個別に取り外し可能であるため、懸垂支持ブロワーへのアクセスを可能にするものである。
【0014】
ここで、本発明の一実施形態によれば、ブロワーと空気流入筺体との間のフィルタの配置用として、フィルタシート筺体ユニットが設けられるが、このフィルタシート筺体ユニットは、ブロワー流入口リングを備え、フィルタの取り外し後に、ブロワー流入口リングと共に取り除き、ブロワーを下方へ取り外すことができる。
【0015】
流入筺体の一部は、フィルタの取り外し後に側方に取り外すことができる。ここで、この筺体は、フィルタシートに加えてブロワー流入口リングも備えている。筺体は、下方に取り外すことができる。筺体のねじ結合は、好ましくは、ブロワースクロールを介して下向きに行われる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、ブロワー下側のカバー付きフィルタ筺体が提供される。ここで、カバーは、フィルタサービス用のフィルタカバーとして機能する。カバーを取り除いた後、ブロワー流入口リングもまた下方へ取り外すことができる。ブロワー流入口リングを取り外した後、ブロワーを下方に取り出すことができる。ここでも、ブロワーの取り付けは、好ましくは、ブロワースクロールを介して下側から行なう。
【0017】
本発明のさらなる追加の実施形態では、ブロワースクロールの一部を取り外すことができるように設計し、その部分を取り外した後、ブロワーを水平方向、好ましくは、後方に取り外せるようにする。
【0018】
有利にも、ブロワースクロールの取り外し可能部分は、第1のブロワー筺体であり、その端部領域を楔形形状に設計し、第1のブロワー筺体を水平方向に挿入して第2のブロワー筺体との実矧ぎ接合(a tongue and groove connection)状態にできるようにする。ここでは、ブロワーは、次いでブロワー筺体との間のクランプ接続により取り付けることができる。加えて、第1のブロワー筺体の水平方向の整列用に誘導具、例えば、ねじを挿入することができる。
【0019】
上述した本発明の有利な実施形態を用いることにより、懸垂支持ブロワーに対する点検の概念が提供される。保守あるいは修理については、運転席を分解することなく行うことができる。
【0020】
上述したすべての実施形態の利点により、空調装置の設置空間の低減にもかかわらず、点検中に車両内のブロワーへの簡単なアクセスが可能となる点にある。
【0021】
コンパクト設計と懸垂支持ブロワーの場合のさらなる課題は、空気流入口用の小さな断面に合わせた個別フラップと簡単なシール形状とを備えた標準的なフラップの形態を提供することにある。これらの小さな断面は、空気流入口領域に整合するコンパクトな構造を妨げる。既知の解決策として、設置空間を低減するために、いくつかのフラップを使用しており、すなわち、外気開口用に少なくとも1つのフラップと内気開口用に少なくとも1つの追加フラップが設けられている。
【0022】
この課題に対する解決策として、本発明のさらなる実施形態では、内気給送用の断面を増大させるべく、流入口フラップにより封入される挿入フィルタを設ける。このため、フラップは、複雑なフラップのシール設計を備えている。より明確には、外気開口と内気開口の有効断面をシールするために、旋回可能なフラップ(以下「内気旋回フラップ」)を設け、その側壁シール輪郭は、外気流入口をシールするために、フラップがフィルタを側方に封鎖し、ブロワーと空気流入筺体との間に配置するフィルタが外気開口の拡大有効断面を可能にする。
【0023】
フラップの有利な実施形態によれば、シール面自体は、給気方向に対しフラップの背面側に位置し、この目的に合わせ、好ましくは、90°の角度を有する複雑な段付き形状の断面を備えた経路を設けている。シールは、外気流入口が閉じた位置にあるときは、断面が水平方向に差し向けられた領域と、垂直方向に差し向けられたフラップシール領域とに細分される。水平方向のフラップシール領域は、フラップの旋回軸から開始し、大きなフィルタ面と実質的に平行に延び、また、フィルタ面の縁部を超えて延びる。このことは、垂直領域への遷移を生じ、それがフィルタ側方へのシート領域内に延び、傾斜端部への遷移を生じさせる。この傾斜端部は、傾斜当接面に対応しており、フィルタ用の側方取り付け部によって利用可能とされ、外気流入口が閉じた位置にあるとき、この当接面に当てがわれる。先行技術と比べた利点は、最大の断面に合わせた1枚の扉の設計にある。
【0024】
本発明の追加的な詳細、特徴や利点は、関連図面を参照し、下記のいくつかの実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】先行技術の空気流入口の構造を示す。
【図2】懸垂支持ブロワーを備えたブロワー型空気吸入装置の断面を示す。
【図3】懸垂支持ブロワーとラム式空気フラップを備えたブロワー型吸入装置の断面を示す。
【図4】前壁に外気開口を備えた風防フレームの下側のブロワー型空気吸入装置の断面を示す。
【図5】取り外し前のブロワー型空気吸入装置の概略図を示す。
【図5a】空気流入筺体ユニットを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図5b】空気流入筺体ユニットを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図5c】空気流入筺体ユニットを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図5d】空気流入筺体ユニットを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図6】分解前のブロワー型空気吸入装置の概略図を示す。
【図6a】フィルタカバーを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図6b】フィルタカバーを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図6c】フィルタカバーを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図6d】フィルタカバーを取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図7】分解前のブロワー型空気吸入装置の概略図を示す。
【図7a】ブロワースクロールの一部を取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図7b】ブロワースクロールの一部を取り外した後のブロワーの分解図を示す。
【図8a】外気選択位置における先行技術の内気旋回フラップを有するブロワー型空気吸入装置を示す。
【図8b】内気選択位置における先行技術の内気旋回フラップを有するブロワー型空気吸入装置を示す。
【図9a】本発明による内気旋回フラップ付きブロワー型空気吸入装置を示す。
【図9b】内気旋回フラップの側壁シール輪郭によるフィルタ格納容器付きブロワー型吸入装置を示す。
【図10a】複雑なシール設計を用いたフラップの正面側を示す。
【図10b】複雑なシール設計を用いたフラップの背面側を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ブロワー上方に配置された先行技術による空気流入筺体を示している。この結果、車両の上前部領域に多くのスペースが要求される。多くの場合、風防フレームのために、スペースを利用することができない。ここでの欠点は、特に、室内に差し向けられた内気開口にある。このような構造は、ブロワーから乗員への直接的な騒音経路を許すものであり、これは音響効果に対する不利な影響を有する。さらに、この構造では、ブロワーへの流入方向が異なる流れとなる。図1に示すように、「外気」位置では、ブロワーは前部からより多量に流れるよう露出し、「内気」位置にあっては、後部からより多く露出する。このことは、出力や効率と音響効果に影響を及ぼす。
【0027】
図2は、本発明による自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置1の断面を示す。このブロワー型空気吸入装置は、ブロワーモータ3(図2では単に外形線で示されている)とブロワーロータ4によって構成されている垂直な構造を備えたブロワー2を有し、このブロワー2は、ブロワースクロール5によりブロワーロータ4の領域を被われている。さらに、ブロワー型空気吸入装置1は、空気流入筺体6を備え、これには、前壁(図示せず)に形成した外気開口7と、内気開口8とを備えている。
【0028】
ブロワー2は、ブロワーモータ3の下側にブロワーロータ4を備えた懸垂設備を有する。これにより、空気流入口6は、ブロワー2の下側に配置される。図2では、矢印9は、上方に差し向けられている。内気開口8は、ブロワー2の手前の前壁近くに、給気方向10にあって下方に差し向けられ、一方、外気開口7は、前壁内にブロワー開口11の直前で、ブロワー軸11.1上又はその手前に配置される。さらに、図2によれば、ブロワー2と空気流入筺体6との間にフィルタ12が配置される。「オーバーヘッド」設置の場合、ブロワー2内への流れは下側からとなる。
【0029】
図2によれば、空気流入筺体6は、外気開口7から開始し、流入外気13が外気ダクト14を介して先ず下向きに、次いで、給気方向10後方に差し向けられ、ブロワー2内への流入方向が外気流入口と内気流入口とで同一となるように設計されている。内気開口8の下向きの配置は、流入内気15によって騒音が乗員にでなく車両の床に向けて放射されるため、音響的な利点を備えている。さらに、図示の実施形態におけるブロワー又はフィルタの流入方向が外気選択位置と内気選択位置の両方で同一もしくはほぼ同一であることは好都合である。図2によれば、個別の旋回可能な内気旋回フラップ16によって、外気13又は内気15の流入を調整することができる。
【0030】
図3は、懸垂支持したブロワー2を備えたブロワー型空気吸入装置1の断面を示しており、このブロワーは、更に、空気流入筺体6内の外気ダクト14の下端にラム式の空気フラップ17を備えている。このラム式空気フラップにより、ラム圧力により増大する空気処理量をフラップ17により調節できるため、広範囲の車両速度に亘って空気処理量を一定に保つことができるようになっている。
【0031】
図4は、本発明によるブロワー型空気吸入装置1の断面を示すものであり、この装置は前壁19上に外気開口7を持たせ風防フレーム18の下側に配置される。ブロワー2の「オーバーヘッド」設置により、ブロワー型空気吸入装置1のコンパクトな設計が可能となる。「オーバーヘッド」設置では、ブロワー2内への流れは下側から流れ込む。このことにより、設置スペースが、前部上側領域により小さな容積を有するものとなる。したがって、ブロワー2は、車両内のより高い位置に配置することができる。ブロワーモータ3の形状は、図4の断面に示すように、上部領域において、その中に風防フレーム18を配置することのできる自由なスペースをもたらす。
【0032】
ブロワー2がオーバーヘッド位置にあって、外気又は内気の流入が下側である図2〜図4の構造では、点検用にブロワー2への簡単なアクセスを可能にする筺体設計用の新規な概念を必要とする。
【0033】
従来の装置では、ブロワーは、これにアクセス可能とされるよう配置される。脱着目的で、装置は空調装置から直接取り出すことができる。
【0034】
図5〜図7に提案されている自動車用空調装置ユニットのブロワー型空気吸入装置1は、懸垂支持された「オーバーヘッド」ブロワー2の簡単な取り外しを可能にするものである。これら全てのブロワー型空気吸入装置1は、ブロワー2に対し側方又は下方に当接し、水平方向に個別に取り外し可能で、結果的に懸垂支持ブロワー2に対するアクセスを可能にする個別の小さな筺体ユニットで構成される。
【0035】
図5は、空気流入筺体ユニット20を取り外した後でブロワー2を分解する概略図を示す。空気流入筺体ユニット20はブロワー2と空気流入筺体6との間にフィルタ12を配置するフィルタシート筺体ユニット20であり、ここでフィルタシート筺体ユニット20はブロワー流入口リング21を含んでおり、フィルタ分解後(図5a参照)に、それはブロワー流入口リング21と共に取り外すことができ(図5b参照)、これによりブロワー2を下方へ分解することができる(図5c参照)。
【0036】
点検のためのブロワー2に対するアクセスの更なる可能性が、図6に概略図示されている。図6によれば、フィルタ筺体22にはブロワー2の下側にカバー23が設けられており、ここではカバー23がフィルタサービス用のフィルタカバー23として機能する。フィルタカバー23とフィルタ12を側方に取り外した後(図6a参照)、ブロワー流入口リング21を下方へ取り外すことができる(図6b参照)。ブロワー流入口リング21を取り外した後、ブロワー2を下方に取り出すことができる(図6c及び図6d参照)。
【0037】
図7は、更なる変形例を示すものであり、ここではブロワースクロール5と、ブロワースクロール5の水平方向に取り外し可能な筺体部分24の取り外し(図7a参照)が、ブロワー2へのアクセスを可能にするよう図示されている。ブロワー2は、第1の筺体部分24を取り外した後、水平方向に取り外すことができる(図7b参照)。
【0038】
図7aによるブロワースクロール5の取り外し可能な筺体部分24は、第1のブロワー筺体24であり、これは巻回体の一部として設計され、その端部領域24.1において、同様に巻回体の一部として設計される第2の固定ブロワー筺体25の端部領域25.1に対応する。第1のブロワー筺体24は、好ましくは、その端部領域24.1において楔形形状に設計し、これにより、第1のブロワー筺体24を第2のブロワー筺体25内へ水平方向に挿入し、後者に対し、実矧ぎ接続(a tongue and groove connection)により接続できるようにする。ブロワー2は、それによってブロワー筺体24と25との間にクランプ接続される。さらに、第1のブロワー筺体24の水平整列用に誘導具を導入することができる。
【0039】
図8aは、懸垂支持ブロワー装置付き自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置を示す。ブロワー型空気吸入装置は、先行技術に従って設計された内気旋回フラップを有する。内気旋回フラップの側壁のシール輪郭は、それぞれの場合において旋回軸に対し真っすぐに内気旋回フラップの外側縁部から延び、断面における(すなわち、側壁上での)内気旋回フラップは実質的に三角形状である。ここで、内気旋回フラップの前面は、凸状湾曲をもって屈曲している。図8aでは、内気旋回フラップは、ここでは外気選択位置にあり、すなわち、フラップが内気開口を閉じている一方、外気は外気開口の最小(有効)外気断面を介して前部側からブロワー内に流入することができる。
【0040】
図8bは、同じブロワー型空気吸入装置を示しており、ここでは、先行技術に従って設計された内気旋回フラップが内気選択位置にある。このことは、内気開口の開いた最小(有効)内気断面を介して内気が下側からブロワー筺体内に流入できる一方、外気開口の最小(有効)外気断面が内気旋回フラップにより覆われていることを意味する。内気流入口(内気開口)の最小内気断面は、ここでは内気旋回フラップが覆うことが可能な断面を上回ってはならない。このことは、内気流入口の最大限可能な有効内気断面を設計することに目標がある場合、かなりの制限となる。
【0041】
図9a及び図9bは、自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置1を示し、この装置は本発明の好ましい実施形態による内気旋回フラップ16を有する。ブロワー2は、ブロワーモータ3とブロワーロータ4と共に垂直方向に差し向けられている。ここで、ブロワー2は、懸垂設備、すなわち、ブロワーモータ3の下側にブロワーロータ4がある状態を有する。空気流入筺体6は、ブロワー2下側の流路内に配置されている。ブロワー2と空気流入筺体6との間に、フィルタ12が配置されている。空気流入筺体6は、給気方向10に、前壁(図9a及び図9bには図示せず)に形成された外気開口7に加え、前壁近くに配置され下方に差し向けられる内気開口8を有する。内気開口8は、ブロワー2の給気方向10手前に配置され、外気開口7は、ブロワー開口11の直前に配置されている。ここで、図9aは、外気選択位置にあるブロワー型空気吸入装置1を示し、外気開口7が開口し、内気旋回フラップ16により内気開口8が閉じた状態にあり、外気13は外気開口7の最小(有効)外気断面26を介して前面側からブロワー2内へ流入することができる。
【0042】
内気フラップ16自体は、大部分が凸状湾曲をもって断面が屈曲する前面27を有する。図9aでは、外気選択位置にあっては、内気旋回フラップ16の端部16.1は、内気開口8の縁部28に位置する対応する当接面に当てがわれる。この縁部28は、給気方向10について内気開口8の後側の縁部28を構成する。同時に、100%外気選択位置にある内気旋回フラップ16が、その対向端部16.2をもって水平仕切り壁29に当てがわれ、この壁が(給気方向10について)内気開口8の前縁を形成し、さらに互いが相互に垂直方向に差し向けられる内気開口8と外気開口7とを仕切っている。
【0043】
図9bは、内気選択位置にあるブロワー型空気吸入装置1を示し、内気開口8が開き、内気旋回フラップ16により外気開口7が閉じており、内気15は内気開口8の最小内気断面30を介して下側からブロワー2内に流入することができる。内気旋回フラップ16の形状により、内気開口8の最小(有効)内気断面30を著しく増大させることが可能である。対照的に、最小(有効)外気断面26の大きさは先行技術と比べ不変のままである(図8a参照)。図9bでは、100%内気選択位置にあっては、内気旋回フラップ16がここで上端部16.2でもってフラップ保持空間31内の対応する当接面に当てがわれ、空間はフィルタ12の給気方向10に前部フィルタ縁部12.1の側方に位置する。対応する当接面は、フラップ保持空間31の壁32により形成され、この壁はフィルタ12に向かって差し向けられ、給気方向10とは反対側に下方傾斜している。内気旋回フラップ16の端部16.1は、内気選択位置においてフラップ保持空間31内にはないが、その代りに外部空間旋回フラップ16の下端部16.1を形成しており、仕切り壁29に当てがわれる。
【0044】
図9a及び図9bは、さらに内気旋回フラップ16のシール輪郭33を断面で示しており、この輪郭(以下「側壁シール輪郭33」と呼ぶ)は、ここで内気旋回フラップ16が図9aの外気選択位置にあり、それによって内気開口8を覆っている。輪郭33に関する対応当接面に対する内気フラップ16の当接により、外部開口8のシールとなる。側壁シール輪郭33は、ここでは段付き形状を有する。内気旋回フラップ16は、旋回軸34上に旋回可能に取り付けられている。旋回軸34の位置は、先行技術(図8a及び図8b参照)とは対照的に不変のままである。図9aによれば、一方で旋回軸34から、側壁シール輪郭33の部分33.1が給気方向10とは反対方向に延び、この部分が実質的に水平方向に差し向けられ、或いは僅かに下方に傾斜し、他方で側壁シール輪郭33の垂直部分33.2が延び、この部分33.2が部分33.1に対し実質的に垂直に且つ下方へ差し向けられる。さらに、部分33.1は、側壁シール輪郭33の一部33.3へ変化し、この部分が下方へ実質的に垂直に差し向けられ、最終的には縁部28で終わる。
【0045】
内気開口8をシールするために、旋回軸34を始端とする側壁シール輪郭33の他方の部分33.2が、上述したように実質的に垂直な方向に且つ下方に延びる。側壁シール輪郭33の部分33.2は、短い部分33.4内へ遷移し、この部分が給気方向10において水平か又は僅かに下方へ傾斜し、最終的には、仕切り壁29の領域内で終わり、この壁に対し内気旋回フラップ16の端部16.2が当てがわれる。側壁シール輪郭33に沿って、100%外気選択位置にある段付き形状の内気旋回フラップ16に対し対応当接面が設けられている。
【0046】
図9bは、上述したように、内気選択位置にある、すなわち外気開口7が閉じた内気旋回フラップ16を示している。内気旋回フラップ16の側壁シール輪郭33の上述した部分33.2は、一方の側において旋回軸34から開始する。内気旋回フラップ16の側壁シール輪郭33の部分33.2は、外気開口7が閉じた状態で、旋回軸34を始端とし、フィルタ12の下向きの水平方向に差し向けられた面に実質的に平行に延びる。前部フィルタ縁部12.1の領域では、給気方向10において側壁シール輪郭33の部分33.2が、ここでは垂直方向に差し向けられた(給気方向10に上向きに傾斜する)部分33.4に上向きに遷移し、この部分33.4は、内気旋回フラップ16が内気選択位置へ旋回する前に外気選択位置において仕切り壁29に当てがわれる(図9a参照)。最終的には、側壁シール輪郭33の部分33.4が、上述した傾斜壁32に当てがわれる。このことは、図9bに示された内気旋回フラップ16の側壁シール輪郭33は、外気開口7をシールするために内気旋回フラップ16がフィルタ12を側方に「封鎖」するように部分33.2及び33.4と共に形成されていることを意味する。
【0047】
側壁シール輪郭33の部分33.1は、外気開口7が閉じた内気選択位置において旋回軸34から他側へ延び、実質的に垂直な方向に下向きに延びる。側壁シール輪郭33の部分33.1は、給気方向10において短い水平方向の又は僅かに下方へ傾斜した部分33.3へ遷移する。この部分33.3は、内気旋回フラップ16が内気選択位置へ旋回する前は、依然として外気選択位置において内気開口8の後側の縁部28に当てがわれている(図9a参照)。内気選択位置では、外気開口7は閉じており、部分33.3は、最終的には、仕切り壁29で終わる。流路内では、内気旋回フラップ16が内気選択位置にあるときに、同時に内気旋回フラップ16用の追加の当接面が仕切り壁29により提供される。
【0048】
このように設計された側壁シール輪郭33は、内気旋回フラップ16を内気選択位置の最終位置において、フィルタ12の側部に保持する可能性と共に、空気流入口領域におけるコンパクトな構造に合わせ、数枚のフラップの使用を必要とすることなく、それぞれの場合に、内気開口8用の大きな最小(有効)断面30(内気断面30)を提供する。外気開口7と内気開口8は、内気開口8が100%開口する場合の外気開口7が閉じた状態の最終位置と、内気開口8が閉じて外気開口7が100%開口する最終位置との間で内気旋回フラップ16を、空気流入筺体6内に位置する旋回軸34を中心に移動させることができるように、互いに対し(実質的に垂直に)差し向けられるように配置されている。
【0049】
複雑なシール設計を用いた適当な空気旋回フラップ16が図10に示されており、ここで、図10aはフラップの正面側を示し、図10bはフラップの背面側を示している。内気旋回フラップ16は、上述したように、断面の大部分が凸状に湾曲する前面27を有する。前面27の上端部領域と下端部領域では、凸状湾曲部は凹部35内へ遷移し、この凹部35は、前面27を終端させる突出部36で終わる。湾曲した前面27は、2つの互いに対向した側壁37と共に開口する中空本体38を形成している。中空本体38の自由縁部上にシール面39.1及び39.2が形成される。対向した側壁37の自由縁部は、対応する側壁シール輪郭33に合致するよう段付き形状の断面で設計され、それぞれが、内気旋回フラップ16が旋回可能に装着される旋回軸34ごとに保持固定具を提供する。シール面39.1及び39.2の端部領域は、いずれの場合も突出部36上に位置する。それぞれの場合の端部領域は、自由中空本体38の上部長手方向縁部40上又は下部長手方向縁部41上に延びる。
【符号の説明】
【0050】
1 ブロワー型空気吸入装置
2 ブロワー
3 ブロワーモータ
4 ブロワーロータ
5 ブロワースクロール
6 空気流入筺体、空気流入口
7 外気開口
8 内気開口
9 矢印方向
10 給送方向
11 ブロワー開口
11.1 ブロワー軸
12 フィルタ
12.1 フィルタ前縁
13 流入外気
14 外気ダクト
15 流入内気
16 フラップ、内気旋回フラップ
16.1 内気旋回フラップの端部
16.2 内気既回フラップの端部
17 ラム式空気フラップ
18 風防フレーム
19 前壁
20 空気流入筺体ユニット、フィルタシート筺体ユニット
21 ブロワー流入口リング
22 フィルタ筺体
23 フィルタカバー、カバー
24 ブロワースクロールの筺体部分、第1のブロワー筺体
24.1 ブロワー筺体の筺体部分の端部領域
25 第2のブロワー筺体
25.1 第2のブロワー筺体の端部領域
26 外気開口7の最小(有効)外気断面
27 内気旋回フラップの前面
28 内気開口の縁部
29 仕切り壁
30 内気開口の最小(有効)内気断面、断面
31 フラップ保持空間
32 傾斜壁
33 内気旋回フラップの側壁シール輪郭
33.1 側壁シール輪郭の部分
33.2 側壁シール輪郭の部分
33.3 側壁シール輪郭の部分
33.4 側壁シール輪郭の部分
34 旋回軸
35 前面上の内気旋回フラップの凹部
36 内気旋回フラップの端部領域の突出部
37 内気旋回フラップの対向側壁
38 前面と側壁とにより形成された中空本体
39.1 シール面
39.2 シール面
40 中空本体の長手方向縁部の上部
41 中空本体の長手方向縁部の底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置(1)であって、
ブロワーモータ(3)、ブロワーロータ(4)、及びブロワー開口(11)からなる垂直な構造を備え、ブロワースクロール(5)によって被われたブロワー(2)と、
前壁(19)に形成された外気開口(7)と、内気開口(8)と、を備えた空気流入筺体(6)と、を有し、
上記ブロワー(2)の装置が懸垂支持され、上記ブロワーロータ(4)が上記ブロワーモータ(3)の下側にあり、上記空気流入筺体(6)が上記ブロワー(2)下側の流路内に配置されていることを特徴とする自動車用空調装置のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項2】
上記内気開口(8)は、前壁(19)に近接する上記ブロワー(2)の前で給気方向(10)に配置され、下方に差し向けられており、上記内気開口(7)は、上記前壁(19)に上記ブロワー開口(11)の直前でブロワー軸(11.1)上又はその手前に配置されている請求項1記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項3】
上記空気流入筺体(6)は、上記外気開口(7)から始まって、流入外気(13)が外気ダクト(14)を介して先ず下方へ、次に通風方向(10)に後方へ案内され、外気流入口と内気流入口に対し、上記ブロワー(2)内への同一の流入方向になるように構成されている請求項1又は2に記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項4】
上記ブロワー型空気吸入装置(1)は、複数の小さな筺体ユニット(22,23,24)から構成され、これらのユニットが上記ブロワー(2)に対し側方又は下方に隣接すると共に、それらが水平方向に個別に取り外し可能であり、上記懸垂支持されたブロワー(2)に対するアクセスを可能とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項5】
上記ブロワー(2)と上記フィルタ流入筺体(6)との間のフィルタ(12)の配置用として、フィルタシート筺体ユニット(20)が設けられ、上記フィルタシート筺体ユニット(20)は、ブロワー流入口リング(21)を含み、フィルタの取り外し後に、上記ブロワー流入口リング(21)と共に取り外すことができる請求項4記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項6】
上記ブロワー(2)の下側にカバー(23)を備えたフィルタ筺体(22)が設けられ、上記カバー(23)は、フィルタサービス用のフィルタカバー(23)として機能し、上記フィルタカバー(23)を取り外した後、上記ブロワー流入口リング(21)を下方へ分解して、上記ブロワー流入口リング(21)を取り外した後、上記ブロワー(2)を下方へ取り出すことができる請求項4又は5に記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項7】
上記ブロワー(2)は、上記ブロワースクロール(5)を介して下からねじ結合により取り付けられている請求項4乃至6の何れか1項に記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項8】
上記ブロワースクロール(5)の筺体部分(24)は、分解してこの部分(24)を取り外した後、水平方向に上記ブロワー(2)を取り外せるように構成されている請求項4記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項9】
上記ブロワースクロール(5)の取り外し可能部分(24)は、その端部領域(24.1)に楔形形状を備えた第1のブロワー筺体(24)であり、この第1のブロワー筺体(24)は、第2のブロワー筺体(25)との実矧ぎ接続部(a tongue and groove connection)に水平方向に挿入され、上記ブロワー(2)は、上記ブロワー筺体(24,25)の間にクランプ接続によって取り付けられている請求項8記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項10】
上記ブロワー筺体(24)は、誘導具によって水平方向に差し向けられている請求項9記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項11】
上記外気開口(7)と上記内気開口(8)の有効断面(26,30)をシールするために、旋回フラップ(16)が設けられ、その側壁のシール輪郭(33)は、上記外気開口(7)をシールするために上記フラップ(16)が上記フィルタ(12)を側方に対してシールするように形成され、上記ブロワー(2)と上記空気流入筺体(6)との間に配置されたフィルタが、上記内気開口(8)の拡大された有効断面(30)をもたらす請求項1乃至10の何れか1項に記載のブロワー型空気吸入装置(1)。
【請求項12】
上記フラップ(16)のシール面(39.1及び39.2)は、段付き形状の経路を備えている請求項11記載のブロワー型空気吸入装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【公開番号】特開2013−14323(P2013−14323A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146966(P2012−146966)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(505450755)ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド (140)
【Fターム(参考)】