説明

ブローチ盤

【課題】テーブルに該テーブルを支持する移動体ガイドを持たせる構造にすることにより、ボールネジに作用する偏荷重を軽減する。
【解決手段】ブローチ盤10は、垂直方向に向けて設けられ被加工物29の内面の切削に供されるブローチ11と、上面から下面に貫通しブローチ11が挿通される貫通孔12と、被加工物29を保持する略盤状の移動体13と、移動体13をブローチ11に沿って上下動可能に支持する一対のボールネジ14と、ブローチ11と移動体13と一対のボールネジ14を囲繞するように形成されたフレーム15と、を備える。フレーム15にはブローチ11とボールネジ14との間に設けたガイド取付板15gにより移動体ガイド20をガイドさせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローチに対して被加工物を相対移動させたりあるいは被加工物に対して該ブローチを相対移動させることにより、被加工物の内面または外面を所定の形状に加工するブローチ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブローチ盤においては、一つの駆動軸がブローチよりもブローチ盤の後方側の後方に設けられ、該駆動軸とラムと共に被加工物を移動して加工を行うものとされているため、ラムが片持ち状態で駆動軸に支持され、この支持点に対し被加工物にブローチが切り込まれ加工点がラムの先端側の自由端側に位置することになる。
このため、被加工物の切削に伴って加工点に発生する荷重によりラムに曲げの力が作用して微小ながらもラムが変形し、この変形によりブローチの軸線と該軸線上に配置された被加工物に軸線がずれてしまうという問題があった。このような場合には、加工時に振動が生じるなどして、被加工物の加工精度が低下するという問題が生じる。
【0003】
そこで、上記の問題を解決するために、ブローチの切刃が被加工物を切削する加工点を中心とした点対称位置に、ブローチとテーブル(移動体)とを相対的に移動させるための一対の駆動軸が設けられることによって、テーブルを加工点を中心とした点対称位置の両側で支持することができ、被加工物の切削に伴って加工点に作用する荷重を一対の駆動軸に均等に分散させて受けることができるため、テーブルが前記荷重に伴う曲げの力により極微小に変形することを防止することができる。これにより、高速加工を行った場合においても加工時に振動などが発生することなく、被加工物を高精度で加工することができると共に、被加工物の生産効率の向上を図ることが可能であることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2007−276003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1ではテーブルを一対のボールネジで支持しているため、負荷は該ボールネジに作用するので、駆動方向の負荷に加えて偏荷重が作用するとボールネジ
に十分な寿命が得られないという問題があった。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、テーブルに該テーブルを支持する移動体ガイドを持たせる構造にすることにより、前記問題を解決したブローチ盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、略長方形枠状のフレームと、前記フレームに設けられ略円柱状に形成されその外周に切刃を備えたブローチと、被加工物を保持する移動体と、前記ブローチの切刃と前記被加工物が接触して該被加工物が切削される加工点を中心とした点対称位置に前記ブローチと前記移動体とを前記ブローチの軸線に沿って相対的に移動させる一対の駆動軸と、を備え、前記ブローチと前記移動体とを前記ブローチの軸線に沿って相対的に移動させて前記被加工物を前記切刃で切削するブローチ盤において、
前記ブローチと前記駆動軸との間に前記加工点を中心した対称位置に前記移動体に設けられた溝と、
前記移動体の溝に嵌着され前記フレームに設けられたガイド取付板をガイドに摺動自在に移動する移動体ガイドと、
を備え、
前記被加工物の切削時に、前記駆動軸に作用する偏荷重を前記移動体ガイドにより受けることができることを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記被加工物の切削時に、前記駆動軸に作用する偏荷重を前記移動体ガイドにより受けることができる。
さらに、切削負荷による変位は本構造としたことで従来のオーバーハング構造に対し略1/4に抑えることが解析結果で得られている。
また、切削時の負荷が大きくなるとオーバーハング構造では移動体の形状を大きくする必要があり機械全体のスペースも大きくなるが、本構造では移動体ガイド、ボールネジのサイズアップのみで構造を構成することが可能であり、機械の省スペース化に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るブローチ盤の概略構造を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のIII−III線の断面図である。
【図4】図1の移動体と移動体ガイドとの係合を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るブローチ盤につき好適の実施の形態を挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブローチ盤10の概略構造を示す正面図であり、図2は図1の側面図である。
図1に示すようにブローチ盤10は、軸線O10方向を垂直方向(上下方向)に向けて設けられ被加工物29の内面の切削に供される略円柱棒状のブローチ11と、上面から下面に貫通し前記ブローチ11が挿通される貫通孔12を備えつつ被加工物29を保持する略盤状の移動体13と、前記移動体13をブローチ11の軸線O10に沿って上下動可能に支持する一対のボールネジ(一対の駆動軸)14と、ブローチ11と移動体13と一対のボールネジ14を囲繞するように形成された略長方形枠状のフレーム15と、を備える。
【0010】
ブローチ11には、図1に示すように、略円柱棒状のブローチ本体11aの外周に、径方向外側に突出しつつ軸線O10方向の下端側から上端側に所定の間隔をもって並設された複数の切刃(図示しない)が、周方向にも間隔をあけて略環状をなすように複数列設されている。また、複数の切刃は、ブローチ11の下端側から上端側に位置する切刃ほど例えば外径が漸次大となるように並設されており、上端側の切刃が荒刃とされ、下端側の切刃が仕上げ刃とされ、荒刃と仕上げ刃の間の切刃が中仕上げ刃とされている。
さらに、ブローチ本体11aの上端側と下端側は、それぞれ多段略円柱状を呈するように形成され、上端側が前つかみ部11c、下端側が後つかみ部11dとされている。
【0011】
また、前つかみ部11cには、下端側から上端側に向かうに従い外径が漸次小となるテーパー部が設けられ、後つかみ部11dにも、上端側から下端側に向かうに従い外径が漸次小となるテーパー部が設けられている。この前つかみ部11c及び後つかみ部11dは、それぞれ前つかみ部11cが上部把持装置16の保持孔に係合されて保持され、後つかみ部11dが下部把持装置17の保持孔に係合されて保持されて、ブローチ11をその軸線O10が垂直方向に向くように固定するものとされている。
なお、上部把持装置16及び下部把持装置17は従来公知の構造であって本発明の要旨に関係ないので詳細な説明を省略する。
【0012】
移動体13は、図1及び図4に示すように、上面側からの対向視で略矩形状を呈する一対の移動体本体部13aと、前記移動体本体部13aの平行する左右一対の側端側から、この一対の側端にそれぞれ外方に向けて突出する左右一対の支持部13bから構成されて、左右対称形状にされている。また、移動体13は移動体本体部13a、13a間の略中央部は低くなって略平面を形成する凹部13cを備え、該凹部13cには、上面側からの対向視でその中央に、上面から下面に貫通する貫通孔12が設けられている。この貫通孔12は、その径がブローチ11の最大外径よりも大きく形成されて、該ブローチ11を挿通可能にしている。
【0013】
図4に示すように、一対の移動体本体部13aにはそれぞれ上面側からの対向視で略コ字状を呈する凹溝19が形成され、該凹溝19には軸線O14に沿って移動体本体部13aの上下に移動体ガイド20が取り付けられ、該移動体ガイド20はフレーム15に設けられるガイド板21に摺動自在に嵌挿されている。
凹溝19の底面19aはブローチ11の軸線O10及びボールネジ14の軸線O12を横方向(図3で左右方向)に結ぶ中心線を通る面に対して平行に保持されている。
また、一対の支持部13bのそれぞれには、突設方向(図1のブローチ盤10の前方側からの対向視に左右方向)の先端側に、上面から下面まで垂直方向に貫通し内面に螺刻が施されたネジ孔13dが設けられている。
【0014】
フレーム15は、図1乃至図3に示すように、互いに平行して垂直方向に延びる略平板状の一対の縦枠板15aと、縦枠板15aの一端(図3で上端)を接続する後縦枠板15bと、縦枠板15aの他端(図3で下端)に接続された前縦枠板15cと、縦枠板15aの内側の略中央に配設され後枠板15bに並行して該縦枠板15aに接続された中間縦枠板15dと、縦枠板15aの上端同士を繋げるように水平方向に延設された略平板状の上横枠板15e(図2参照)と、縦枠板15aの下端端同士を繋げるように水平方向に延設された略平板状の下横枠板15fと、を備え構成されている。ここで、一対の縦枠板15aの垂直方向の長さが上横枠板15e及び下横枠板15fの水平方向の長さよりも大きな寸法とされて、フレーム15は、長手方向を垂直方向に向けた略長方形枠状を呈する。
【0015】
また、前縦枠板15cには、図1及び図2に示すように、その上方にボールネジ14を駆動する駆動源、例えばサーボモータ23を設け、前記サーボモータ23により駆動されるボールネジ14が垂直方向に軸線O11に沿って延伸して設けられ、ボールネジ14とサーボモータ23が継手24を介して連結されて該ボールネジ14の両端を支持する軸受25、26により回転自在に設けられている。これにより、サーボモータ23が駆動して一対のボールネジ14を軸線O12(O11)の回りに回転するとともに、移動体13を垂直方向に上下動させることが可能である。
また、一対のボールネジ14で上下動可能に支持された移動体13は、その軸線O15が垂直方向を向き、かつフレーム15の中心軸線O13と一致し、これとともに、移動体13の貫通孔12の軸線O18
がフレーム15の中心軸線O13上に設けられている。
【0016】
一対のボールネジ14は、移動体13の支持部13bに設けられた一対のネジ孔13dにそれぞれ螺合されつつ挿通されて、移動体13をその上面が一対のボールネジ14の軸線O11に直交するようにして支持している。これにより、サーボモータ23を駆動して一対のボールネジ14を軸線O12(011)回りに回転させるとともに、移動体15を垂直方向に上下動させることができる。
また、一対のボールネジ14で上下動可能に支持された移動体13は、その軸線O15が垂直方向を向き、かつフレーム15の中心軸線O13と一致され、これとともに、移動体本体部13aの貫通孔12がフレーム15の中心軸線O13上に設けられている。
このように、サーボモータ23に接続された一対のボールネジ14は、他端(下端)が下枠15fよりも若干上方に位置するまで延設されて軸線O12(O11)回りに回転可能に支持されている。
【0017】
さらに、中間縦枠板15dの前面(図3で下面)及び前縦枠板15cの内方には、サーボモータ23の軸線O11、ボールネジ14の軸線O12に並行に軸線O14を有するガイド取付板15gが設けられ、ブローチ10の全体の軸線O10及びフレーム15の中心軸線O13に並行に設けられている。
また、サーボモータ23の軸線O11、ボールネジ14の軸線O12、ガイド取付板15gの軸線O14は、ブローチ10の全体の軸線O10及びフレーム15の中心軸線O13に対して直交する同一平面上にあって対称位置に設けられている。
【0018】
図4に示すように、ガイド取付板15gには前述したようにガイド板21がねじ部材22により取り付けられている。よって、サーボモータ23の駆動によりボールネジ14が回転して移動体13が上下方向に移動する際、移動体13は該移動体13に取り付けた移動体ガイド20がガイド取付板15gに嵌合し、該ガイド取付板15gをガイドにして移動するようになる。
【0019】
この場合、ガイド取付板15gと移動体ガイド20とが係合する摺動面の前後(図4で上下方向)の出入りはサーボモータ23の軸線O11、ボールネジ14の軸線O12、ガイド取付板15gの軸線O14及びブローチ10の全体の軸線O10、フレーム15の中心軸線O13を結ぶ中心線よりも僅かに後方(図4で上方)に設けられている
ガイド取付板15gと移動体ガイド20とが係合する摺動面の前後(図4で上下方向)の出入りは、フレーム15の中心軸線O13を結ぶ中心線と同一線上でもよいし、該中心線よりも僅かに前方(図4で下方)でもよい。
【0020】
また、このとき、一対のボールネジ14は、移動体13の支持部13bに設けられた一対のネジ孔13dにそれぞれ螺合されつつ挿通されて、移動体13をその上面が一対のボールネジ14の軸線O12(011)に直交するようにして支持している。これにより、サーボモータ23を駆動して一対のボールネジ14を軸線O12回りに回転させるとともに、移動体13を垂直方向に上下動させることが可能とされる。
また、一対のボールネジ14で上下動可能に支持された移動体13は、移動体ガイド20にガイドされてその軸線O15が垂直方向を向き、かつフレーム15の中心軸線O13と一致され、これとともに、移動体本体部13aの貫通孔12がフレーム15の中心軸線O13上に設けられている。
【0021】
そして、上記のように移動体13を上下動可能に支持した一対のボールネジ14は、移動体13の凹部13cに固定した被加工物29とブローチ11の切刃が接触する加工点Hを中心とした点対称位置に設けられ、移動体13と共に被加工物29が上下動した場合においても、上記の加工点Hと一対のボールネジ14の相対位置が変わることがないように設けられている。
【0022】
一方、フレーム15の前縦枠板15cの下方には、上部把持装置16で前つかみ部11cが保持されたブローチ11の後つかみ部11dが係合されてこれを保持可能とされた下部把持装置17が固定されている。この下部把持装置17は、その上面側に軸線O13方向下方側に向けて延びる保持孔(図示しない)を備え、この保持孔が後つかみ部11dに係合されてこれを保持することが可能とされている。このように上部把持装置16及び下部把持装置17で前つかみ部11c及び後つかみ部11dが保持されたブローチ11は、移動体13の貫通孔12に挿通され、その軸線O10がフレーム15の中心軸線O13及び上部把持装置16及び下部把持装置17の軸線O16と同軸線上に配置されて保持されている。
【0023】
なお、上記のように構成された本実施の形態に係るブローチ盤10においては、一対の縦枠板15a、前後の縦枠板15b,15c、中間枠板15d、上下の横枠板15e,15fが一対のボールネジ14を結ぶ直線方向の外側にそれぞれ設けられ、一対の縦枠15a及び前後の縦枠板15b,15c、中間枠板15dの上端同士及び下端同士が上下の横枠板15e,15fにより接続されて、ブローチ11と移動体13と一対のボールネジ14がフレーム15によって囲まれるように配置されている。これにより、ブローチ盤10は、フレーム15によりその全体構造としての剛性に優れたものとされている。
【0024】
本実施の形態に係るブローチ盤10は基本的には以上のように構成されるものであり、次に動作についで説明する。
一対のサーボモータ23を駆動してこれに接続された一対のボールネジ14を回転させることにより、移動体13が、その下面を上部把持装置16に近接させた最下方に位置され、また、サーボモータ23を駆動して上部把持装置16がサーボモータ23側の最上方に位置する。この状態においては、移動体13の貫通孔12からブローチ11が引き抜かれており、後つかみ部11dが移動体13の上面よりも上方に位置されて、ブローチ11と移動体13との間に隙間が設けられている。
【0025】
この状態において、加工する被加工物29を上記隙間から移動体13に固定する。本実施の形態に係るブローチ盤10においては、被加工物29に予め下穴が形成されており、この下穴の内面を本実施のブローチ盤10によって所定の形状に加工する。そして、被加工物29は、下穴の中心軸線O17を貫通孔12の中心軸線(移動体13の軸線)O18と同軸線上に配して下穴と貫通孔12とを連通させた状態で移動体13の上面側に固定される。
【0026】
移動体13に被加工物29を固定した段階で、サーボモータ23を駆動し該サーボモータ23に接続されたボールネジ14を軸線O12(O11)回りに回転させて、前つかみ部11cと上部把持装置16の保持孔とが係合してブローチ11を保持して該上部把持装置16を降下させ、上部把持装置16は、軸線O18方向を確実に維持した状態で下降する。そして、ブローチ11の後つかみ部11dが、被加工物29の下穴、移動体13の貫通孔12に順に挿通され、下部把持装置17の保持孔に係合されることでブローチ11が固定される。
【0027】
次いでブローチ11を固定した段階で、2つのサーボモータ23を同期させつつ駆動して一対のボールネジ14を回転させる。これとともに、移動体13、ひいては被加工物29が上方に移動し、上昇した被加工物29の下穴の内面が、はじめにブローチ11の下端側に形成された荒刃に切り込まれる。そして、継続的に移動体13とともに被加工物29を上昇させることにより、下穴の内面はブローチ11の中仕上げ刃、そして仕上げ刃に順次切り込まれてゆく。ブローチ11の上端側に形成された仕上げ刃が被加工物29の下穴を通過した段階で、被加工物29は、所定の形状精度に切削されて仕上げ加工されることとなる。
【0028】
このように被加工物29を切削加工する際に、本実施の形態に係るブローチ盤10においては、ブローチ11の切刃1bが被加工物29を切削する加工点Hを中心とした点対称位置に、ブローチ11に対して移動体13を昇降移動する一対のボールネジ14が設けられ、かつブローチ11とボールネジ14との間に一対の移動体ガイド20が設けられて該移動体ガイド20により移動体13を摺動自在にガイドしているので、被加工物29の切削時に、ボールネジ14の作用する偏荷重を一対の移動体ガイド20により受けることができるので、加工点Hに負荷される切削荷重が均等に一対のボールネジ14のそれぞれに分散されて受け止められることにより、移動体13に偏荷重が作用しないすることができ、高精度の加工を行うことができる。
【0029】
さらに、移動する移動体13が一対の移動体ガイド20を介してフレーム15に一体になったガイド取付板15gに係合されているため、移動体13を、より確実に被加工物29の下穴の中心軸線O17とブローチ1の軸線O10とを一致させた状態で移動させることができる。また、一対のボールネジ14を回転駆動させるサーボモータ23をフレーム15に支持させて、サーボモータ23の回転の軸線O11とボールネジ14の軸線O12とを同軸とすることができるため、一対のボールネジ14を確実に同期させて回転させることが可能になり、確実に移動体13、ひいては被加工物29を、これらの軸線O18、O17とブローチ1の軸線O11を同軸線上に維持して昇降させることが可能になる。よって、被加工物29をより確実に高精度で加工することが可能になる。
さらに、切削負荷による変位は本構造としたことで従来のオーバーハング構造に対し略1/4に抑えることが解析結果で得られている。
また、切削時の負荷が大きくなるとオーバーハング構造では移動体の形状を大きくする必要があり機械全体のスペースも大きくなるが、本構造では移動体ガイド、ボールネジのサイズアップのみで構造を構成することが可能であり、機械の省スペース化に効果がある。
【0030】
なお、本実施の形態では、被加工物29の下穴の内面を所定の形状に仕上げるものとして説明を行なったが、被加工物29の外面を所定の形状に加工するために適用されてもよいものである。また、移動体13を昇降させる一対の駆動軸3が一対のボールネジ14としたが、例えばシリンダーなどであってもよく、加工点Hを中心として点対称位置に設けられて移動体13を昇降可能とするものであれば、他の機構による駆動軸を用いてよい。
【0031】
さらに、本実施の形態では、ブローチ11に対して、移動体13(被加工物29)を上昇させながら被加工物29の加工を行うものとして説明したが、ブローチ11と移動体13とが相対的に移動することで被加工物29が加工することももできる。
【符号の説明】
【0032】
10 ブローチ盤 11 ブローチ
12 貫通孔 13 移動体
14 ボールネジ 15 フレーム
19 凹溝 20 移動体ガイド
21 ガイド板 22 ねじ部材
23 サーボモータ 24 継手
25、26 軸受 29 非加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形枠状のフレームと、前記フレームに設けられ略円柱状に形成されその外周に切刃を備えたブローチと、被加工物を保持する移動体と、前記ブローチの切刃と前記被加工物が接触して該被加工物が切削される加工点を中心とした点対称位置に前記ブローチと前記移動体とを前記ブローチの軸線に沿って相対的に移動させる一対の駆動軸と、を備え、前記ブローチと前記移動体とを前記ブローチの軸線に沿って相対的に移動させて前記被加工物を前記切刃で切削するブローチ盤において、
前記ブローチと前記駆動軸との間に前記加工点を中心した対称位置に前記移動体に設けられた溝と、
前記移動体の溝に嵌着され前記フレームに設けられたガイド取付板をガイドに摺動自在に移動する移動体ガイドと、
を備え、
前記被加工物の切削時に、前記駆動軸に作用する偏荷重を前記移動体ガイドにより受けることができることを特徴するブローチ盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−42015(P2011−42015A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192714(P2009−192714)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)