説明

ブローブラシ

【課題】一回当たりのブラッシングで少なくとも3回連続的にテンションを与えることで比較的短い時間でスタイリングを可能にすること。
【解決手段】ドライヤーを使用して髪を調えるスタイリングを行う場合に使用するブローブラシ1である。ブローブラシ1は、ブラッシング用のブラシ毛5を有する植毛部20と、この植毛部20と一体に形成された把持部40とを有する。そして、植毛部20の横断面を多角形状、例えば正三角形とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブローブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライヤーを使用して髪を調えるスタイリングを行う場合、一回あたりのブラッシング実行時に髪にはできるだけ長い間テンションを与えた状態でブローすることが好ましい。
【0003】
これは髪にテンションを与えた方がいろんな髪型にセットし易いからである。そして、ドライヤーからの熱風が髪に当たる時間が長いほど髪の傷みを伴うが、ブラッシング一回につき髪に掛かるテンションの時間が短いと、髪にテンションを与えるために髪にブラシを掛け直す回数が多くなる。このときドライヤーの電源を切れば問題ないが、何度も電源を切ったり付けたりするのは作業性の低下を招くため、電源は付いたままの状態となり、細切れではあっても不必要にドライヤーからの熱風が髪に当たる時間が総じて長くなるからである。
【0004】
ブローブラシとして周知の半回転ブラシがあるが(特許文献1参照)、半回転ブラシの植毛範囲は、植毛部を横断面で見た場合の120°〜180°の範囲であり、理容師や美容師は、各種セットを行う場合、その範囲に植毛されたブラシ毛に髪を巻き付ける。
【0005】
ところで、当該植毛範囲ではブラシ毛に髪を巻き付けられた髪の引っ掛かりが緩んでテンションが弱まってしまった場合、半回転ブラシに再度髪を巻き付ける必要が生じるが、巻き付けが頻繁に行われるのでは作業効率が悪い。
そこで、植毛部の全周にブラシ毛を植毛した全回転ブラシというブローブラシが提案されている(特許文献2,特許文献3参照)。
【0006】
全回転ブラシは、その横断面が円形又は楕円形であり、全回転ブラシに髪を巻き付けた場合の髪の巻き付け量が半回転ブラシよりも多くなるので、髪を梳いた時に半回転ブラシよりもテンションの掛り具合いがよく、またテンションの持続性も高い。
【0007】
しかしこれまでよりもさらにテンションの持続性を高め、これにより作業性を良くしてブローの時間を短縮することで、髪に与えるダメージを少しでも減少させるのに好適なブローブラシが求められている。
【特許文献1】実開平7−39569号公報
【特許文献2】公表特許公報2005−502412号公報
【特許文献3】公開特許公報2002−112835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、これまでよりも一回当たりのブラッシングを行うのに、髪に掛けるテンションの持続性を高めることができるブローブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0010】
すなわち、本発明のブローブラシは、ブラッシング用のブラシ毛を有する植毛部と、この植毛部と一体に形成された把持部とを有するブローブラシであって、前記植毛部の横断
面形状が多角形であることを特徴とする。
【0011】
ここで多角形とは、三つ以上の線分で囲まれた平面図形であり、内角がみな二直角(180°)より小さい多角形を凸多角形といい、そうでないものを凹多角形という。
【0012】
凸多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形又は八角形その他の正多角形を挙げられる。凹多角形としては、内角の少なくとも一つが二直角よりも大きなものであればその形状にはこだわらないが、内角のうち、隣接する少なくとも3つの角の大きさが等角な凸角であることが好ましい。
【0013】
本発明のブローブラシによれば、植毛部の凸角をした頂点で髪を噛むことができるので、ブラシの髪への当たりが確実になり、特に頂点近傍のブラシ毛と髪との絡みが確実になる。このためブラシと髪との間の滑りが少なくなる。
【0014】
これはタイヤにタイヤチェーンを巻き付けると、タイヤが角数の多い円に近い多角形となり、よって地面との摩擦力が増大し、滑りを起こし難くなることと似ている。
【0015】
また、多角形の隣りあっている二辺が多角形の内部につくる角(内角)のうち隣接する角が少なくとも3つ連続して凸角を有するから、ブラッシング実行時、テンションが緩んだ場合には、ブラシの一回の回転につき少なくとも3回は凸角の頂点で髪を噛むことができる。よって、髪へのテンションが弱まっても少なくとも3回は連続的に髪にテンションを掛けることができる。
【0016】
さらに、隣接する角の大きさが等角であれば髪への当たりも均等となって心地好い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、植毛部の凸角をした頂点で髪を噛むことができるので、ブラシの髪への当たりが確実になり、特に頂点近傍のブラシ毛と髪との絡みが確実になる。このためブラシと髪との間の滑りが少なくなるので、髪に持続的にテンションをかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係るブローブラシの好適な実施形態を説明する。
【0019】
ブローブラシ1は、例えば合成樹脂や木材でできたものであり、植毛部20と、この植毛部20と一体に形成されかつ同軸の把持部40とを有する。植毛部20の横断面形状は、多角形状(この実施形態では正三角形)である。なお、横断面で見た頂点を符号A,B,Cで示す。
【0020】
植毛部20は、その各面(以後、植毛面)22にブラシ毛5が植毛されている。
【0021】
次にこのようなブローブラシ1を用いて、ドライヤー26からの温風を髪28に加えながら各種セットを行なう手順を図2〜図6を参照して述べる。なお、図中の符号Sは手順(ステップ)の意である。
【0022】
S1:理容師や美容師は、図1に示すように、一方の手にドライヤー26を持つと共に他方の手にブローブラシ1を持つ。そして、ドライヤー26の熱風を髪28にあてながらブローブラシ1を毛元から毛先に向けて移動して髪28を梳く。この時、ブローブラシ1の例えば頂点Aを頭皮に当ててからブラシを幾分回転(図では反時計回り)させて髪5を頂点A近辺のブラシ毛5に巻き付けた状態にして、毛先に向けてスライドする。その間、
髪28にはテンションが掛かる(図2及び図5の各S1参照)。なお図2〜4においてブロー領域とあるのは、ドライヤー26の熱風が当てられる範囲である。
【0023】
S2:ブローブラシ1をスライドしている間に髪28にテンションが掛かっていればそのままS3に進むが、髪28が緩んだ場合はS5に進む(図2のS3,図5のS2,S3参照)。
【0024】
S3:ブローブラシ1の回転角度をそのまま維持しながらさらにスライドする(図2のS3,図5のS3参照)。
【0025】
S4:髪28のテンションをそのまま維持した状態で毛先めがけてスライドする(図2のS4,図5のS4参照)。
【0026】
S5:ブローブラシ1を頂点Bまで回転させて、頂点B近辺のブラシ毛5に髪28を巻き付ける(図3のS1,S5,図5のS5参照)。
【0027】
S6:そのままブローブラシ1の回転角度を維持しながらスライドする(図5のS6参照)。
【0028】
S7:ブローブラシ1をスライドしている間に髪28にテンションが掛かっていればそのままS8に進むが、髪28が緩んだ場合はS9に進む(図3のS5,S8,図5のS7,S9参照)。
【0029】
S8:ブローブラシ1の回転角度をそのまま維持した状態で毛先めがけてスライドする(図3のS8,図5のS8参照)。
【0030】
S9:ブローブラシ1を頂点Cまで回転させて、頂点C近辺のブラシ毛5に髪28を巻き付ける(図4のS5,S9,図5のS9参照)。
【0031】
S10:そのままブローブラシ1の回転角度を維持しながらスライドする(図4,図5のS10参照)。
【0032】
S11:ブローブラシ1をスライドしている間に髪にテンションが掛かっていればそのままS12に進むが、髪が緩んだ場合はS1に進む(図4のS11,図2のS1,図5のS12参照)。
【0033】
S12:ブローブラシ1の回転角度をそのまま維持した状態で毛先めがけてスライドする(図4のS12,図5のS12参照)。
【0034】
次にブローブラシ1の作用効果について述べる。
ブローブラシ1の頂点A,B,Cで髪28を噛むことができるので、ブローブラシ1の髪28への当たりが確実になり、特に頂点近傍のブラシ毛5と髪28との絡みが確実になる。このためブローブラシ1と髪28との間の滑りが少なくなり、髪28に確実にテンションをかけられ、かつ髪28にテンションが掛かった状態を持続できる。この結果、比較的短い時間でスタイリングが可能である。よって、ドライヤ26からの熱風により髪を傷めることを効果的に防止できる。
【0035】
さらに、植毛部20の横断面が正三角形であり内角が60°の凸角であるから、ブラッシング実行時、テンションが緩んだ場合には、ブローブラシ1の一回の回転につき3回、頂点A,B,Cで髪28を噛むことができる。したがって、ブローブラシ1の一回の回転
につき3回、連続的に髪28にテンションを掛けられる。この結果、ドライヤの電源が付いたままでも、よってドライヤーからの熱風が髪に当たる時間が総じて長くなる。
【0036】
そして、内角はすべて60°で等しい角度であるから、ブローブラシ1を回転した時の髪28への頂点A,B,Cの当たりが均等となって、心地好いスタイリングができる。
【0037】
なお、本発明は上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0038】
例えばこの実施形態では植毛部20の横断面形状が三角形のものを例示したが、横断面形状がその他の正多角形、例えば正四角形、正五角形、正六角形又は正八角形でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るブローブラシを右手でもっている状態の斜視図である。
【図2】本発明に係るブローブラシを用いてブラッシングを行っている状態を説明するための図であってS1〜S4に係る図である。
【図3】本発明に係るブローブラシを用いてブラッシングを行っている状態を説明するための図であってS5〜S8に係る図である。
【図4】本発明に係るブローブラシを用いてブラッシングを行っている状態を説明するための図であってS9〜S12に係る図である。
【図5】本発明に係るブローブラシを用いブラッシングを行う場合の作業手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 ブローブラシ
A,B,C 頂点
5 ブラシ毛
20 植毛部
22 植毛面
26 ドライヤー
28 髪
40 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラッシング用のブラシ毛を有する植毛部と、この植毛部と一体に形成された把持部とを有するブローブラシであって、
前記植毛部の横断面形状が多角形であることを特徴とするブローブラシ。
【請求項2】
前記多角形は、正多角形であることを特徴とする請求項1に記載のブローブラシ。

【請求項3】
前記多角形は、その内角がみな二直角より小さい凸多角形、及びそうでない凹多角形であることを特徴とする請求項1に記載のブローブラシ。
【請求項4】
前記多角形は、内角のうち、隣接する少なくとも3つの角の大きさが等角な凸角であることを特徴とする請求項2に記載のブローブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−29424(P2007−29424A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217000(P2005−217000)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(504302358)
【Fターム(参考)】