説明

ブロー成形フィルムおよびそれらの製造方法

ブロー成形フィルムおよびそれらの製造方法がここに記述される。この方法は2モードのエチレンベース重合体を準備し、2モードのエチレンベース重合体を少なくとも約30ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを製造しそして改質ポリエチレンをブロー成形フィルムに製造することを一般的に包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明の態様はポリエチレンで製造される製品に一般的に関する。特に、本発明の態様は2モードのポリエチレンで製造されるブロー成形フィルム製品に一般的に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
特許文献に反映されているように、プロピレン重合体は、例えば、加工性および生ずる製品の性質における改良を示しながら、種々の用途、例えば射出成形、回転成形、ブロー成形フィルム、押し出し成形、および固相延伸方法、において改質されてきた。しかしながら、エチレン重合体の改質(そして特に、過酸化物を用いるエチレン重合体の改質)は加工性および製造される製品性質において所望する性質を一般的に示していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、改良された加工性および製品性質を示すエチレンベース重合体および重合体製品の製造方法を開発する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明の態様はブロー成形フィルムの製造方法を包含する。この方法は2モードのエチレンベース重合体を準備し、2モードのエチレンベース重合体を少なくとも約30ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを製造しそして改質ポリエチレンをブロー成形フィルムに製造することを一般的に包含する。
【0005】
本発明の態様はここに記述される方法により製造されるブロー成形フィルムもさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は種々のフィルム試料の破壊性質に関するダート衝撃を示す。
【0007】
詳細な記述
序論および定義
詳細な記述を次に提供しよう。添付された特許請求の範囲の各々は個別の発明を規定しており、それは侵害目的のためには特許請求の範囲で特定された種々の要素または限定に関する同等物を包含すると認識される。前後関係により、「発明」に関する以下の全ての言及はある場合にはある特定の態様だけをさす。他の場合には、「発明」に関する言及は特許請求の範囲の必ずしも全てではないが1つもしくはそれ以上に列挙された主題をさすであろう。発明の各々は次に特定の態様、変法および実施例を包含する以下の記述でさらに詳細に記述されるであろうが、それらはこの特許における情報を入手可能な情報および技術と組み合わせる時に当業者が発明を実施しそして使用することを可能にするために含まれている。
【0008】
ここで使用される種々の用語を以下に示す。特許請求の範囲で使用される用語が以下で定義されていない範囲では、出願時に印刷されていた文献および発行されていた特許に反映されている用語に対して専門家が与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、断らない限り、ここに記述される全ての化合物は置換されていてもまたは置換されていなく
てもよくそして化合物のリストはそれらの誘導体を包含する。
【0009】
さらに、種々の範囲および/または数値限度は以下で明白に言及されうる。断らない限り、終点は交換可能である意向であることを認識すべきである。さらに、いずれの範囲も明白に言及された範囲または制限内に入る同様な反復範囲も包含する。
【0010】
本発明の態様は改良された気泡安定性を示すブロー成形フィルムを一般的に包含する。
【0011】
触媒系
オレフィン単量体を重合するために有用な触媒系はいずれの適当な触媒系も包含する。例えば、触媒系はクロムベース触媒系、メタロセン触媒系を包含する単一部位遷移金属触媒系、チーグラー−ナッタ触媒系またはそれらの組み合わせを、例えば、包含しうる。触媒は、例えば、その後の重合のために活性化することができそして担体物質と組み合わせられていてもまたはいなくてもよい。そのような触媒系の簡単な論議は以下に包含されるが、発明の範囲をそのような触媒に限定することは何ら意図されない。
【0012】
例えば、チーグラー−ナッタ触媒系は一般的に金属成分(例えば、触媒)と1種もしくはそれ以上の追加成分、例えば触媒担体、共触媒および/または1種もしくはそれ以上の電子供与体、との組み合わせから、例えば、製造される。
【0013】
本発明の1つもしくはそれ以上の態様は、アルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を製造しそして次にマグネシウムジアルコキシド化合物を連続的により強い塩素化剤と接触させることにより一般的に製造されるチーグラー−ナッタ触媒系を包含する(引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,734,134号明細書および米国特許第6,174,971号明細書を参照のこと。)。
【0014】
重合方法
ここでどこかの場所で示されているように、ポリオレフィン組成物を製造するために触媒系が使用される。上記の如くしておよび/または当業者に既知であるようにして、触媒系が製造されたら、その組成物を使用して種々の方法を実施することができる。重合方法で使用される装置、工程条件、反応物、添加剤および他の物質は、製造される重合体の所望する組成および性質によって、指定される方法において変動するであろう。そのような方法は溶液相、気相、スラリー相、塊状相、高圧方法またはそれらの組み合わせを、例えば、包含しうる(引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,525,678号明細書、米国特許第6,420,580号明細書、米国特許第6,380,328号明細書、米国特許第6,359,072号明細書、米国特許第6,346,586号明細書、米国特許第6,340,730号明細書、米国特許第6,339,134号明細書、米国特許第6,300,436号明細書、米国特許第6,274,684号明細書、米国特許第6,271,323号明細書、米国特許第6,248,845号明細書、米国特許第6,245,868号明細書、米国特許第6,245,705号明細書、米国特許第6,242,545号明細書、米国特許第6,211,105号明細書、米国特許第6,207,606号明細書、米国特許第6,180,735号明細書および米国特許第6,147,173号明細書を参照のこと。)。
【0015】
ある種の態様では、上記の方法は重合体を製造するための1種もしくはそれ以上のオレフィン単量体の重合を一般的に包含する。オレフィン単量体はC〜C30オレフィン単量体またはC〜C12オレフィン単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンおよびデセン)を、例えば、包含しうる。単量体はオレフィン系不飽和単量体、C〜C18ジオレフィン類、共役または非共役ジ
エン類、ポリエン類、ビニル単量体および環式オレフィン類を、例えば、包含しうる。他の単量体の非限定例はノルボルネン、ノボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換されたスチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンテンを、例えば、包含しうる。製造される重合体はホモ重合体、共重合体または三元共重合体を、例えば、包含しうる。
【0016】
溶液方法の例は引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,271,060号明細書、米国特許第5,001,205号明細書、米国特許第5,236,998号明細書および米国特許第5,589,555号明細書に記述されている。
【0017】
気相重合方法の一例は連続循環システムを包含しており、そこでは循環気流(再循環流または流動化媒体としても知られる)が反応器内で重合熱により加熱される。熱は循環気流から循環の別の部分において反応器外部の冷却システムにより除かれる。1種もしくはそれ以上の単量体を含有する循環気流を流動床を通して触媒の存在下において反応条件下で連続的に循環させうる。循環気流は一般的には流動床から取り出されそして反応器に逆に再循環される。同時に、重合体生成物を反応器から取り出すことができそして新しい単量体を加えて重合された単量体を置換することができる。気相方法における反応器圧力は約100psig〜約500psig、または約200psig〜約400psigまたは約250psig〜約350psigに、例えば、変動しうる。気相方法における反応器温度は約30℃〜約120℃、または約60℃〜約115℃、または約70℃〜約110℃または約70℃〜約95℃に、例えば、変動しうる(例えば、引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,543,399号明細書、米国特許第4,588,790号明細書、米国特許第5,028,670号明細書、米国特許第5,317,036号明細書、米国特許第5,352,749号明細書、米国特許第5,405,922号明細書、米国特許第5,436,304号明細書、米国特許第5,456,471号明細書、米国特許第5,462,999号明細書、米国特許第5,616,661号明細書、米国特許第5,627,242号明細書、米国特許第5,665,818号明細書、米国特許第5,677,375号明細書および米国特許第5,668,228号明細書を参照のこと。)。
【0018】
スラリー相方法は一般的には固体粒状重合体の液体重合媒体中懸濁液の製造を包含しており、それに対して単量体および場合により水素が触媒と共に加えられる。懸濁液(それは希釈剤を包含しうる)は反応器から間欠的または連続的に除去することができ、そこでは揮発性成分を重合体から分離しそして場合により蒸留後に反応器に再循環させうる。重合媒体中で使用される液化された希釈剤はC〜Cアルカン(例えば、ヘキサンまたはイソブタン)を、例えば、包含しうる。使用される媒体は一般的には重合条件下で液体でありそして比較的不活性である。塊状相方法は、塊状相方法では液体媒体も反応物(例えば、単量体)であること以外は、スラリー相方法と同様である。しかしながら、方法は塊状方法、スラリー方法または塊状スラリー方法で、例えば、ありうる。
【0019】
特定の態様では、スラリー方法または塊状方法を連続的に1つもしくはそれ以上のループ反応器の中で実施することができる。スラリー状または乾燥自由流動性粉末状の触媒を反応器ループに、例えば、規則的に射出することができ、そのループにはそれ自体で希釈剤中の成長する重合体粒子の循環スラリーが充填されうる。場合により、例えば生ずる重合体の分子量調節のために、水素をこの方法に加えることができる。ループ反応器は約27バール〜約50バールまたは約35バール〜約45バールの圧力および約38℃〜約121℃の温度に、例えば、維持されうる。反応熱はループ壁を通るいずれかの適当な方法により、例えば二重被覆パイプまたは熱交換器により、例えば、除去することができる。
【0020】
或いは、重合方法の他のタイプ、例えば連続、並行またはそれらの組み合わせの撹拌反
応器、を例えば使用することができる。1つもしくはそれ以上の態様では、重合方法は複数モードのポリオレフィン類の製造を包含する。ここで使用される際には、用語「複数モードの方法」は複数モードの分子量分布を示す重合体を製造する複数の反応領域(例えば、少なくとも2つの反応領域)を包含する重合方法をさす。ここで使用される際には、複数の分子量ピークを含む単一組成物は「2モードの」ポリオレフィンであると考えられる。例えば、少なくとも1つの同定可能な高分子量画分および少なくとも1つの同定可能な低分子量画分を包含する単一組成物は「2モードの」ポリオレフィンであると考えられる。
【0021】
複数モードのポリオレフィン類はいずれかの適当な方法により、例えば複数の連続している反応器により、製造することができる。上記のように、反応器はいずれの反応器または反応器の組み合わせも包含しうる。1つもしくはそれ以上の態様では、同じ触媒が複数の反応器で使用される。別の態様では、異なる触媒が複数の反応器内で使用される。2モードの重合体の製造では、高分子量画分および低分子量画分はいずれの順序でも反応器内で製造することができ、例えば、低分子量画分を第一反応器内でそして高分子量画分を第二反応器内でまたは逆にして製造することができる。
【0022】
反応器からの除去時に、重合体をさらなる処理、例えば添加剤の添加および/または押し出し成形、のために重合体回収システムに、例えば、送ることができる。
【0023】
重合体を改質剤と配合することもでき(すなわち「改質」)、それは重合体回収システムにおいてまたは当業者に既知である他の方法で行うことができる。1つもしくはそれ以上の態様では、改質剤は過酸化物である。例えば、過酸化物は既知の過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、第三級ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジ第三級ブチル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過酸化メチルシクロヘキシル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化アセチルベンゾイル、テトラリンヒドロペルオキシド、フェニルシクロヘキサンヒドロペルオキシド、過酢酸第三級ブチル、過酸化ジクミル、過安息香酸第三級ブチル、過フタル酸ジ第三級アミル、過アジピン酸ジ第三級ブチル、過炭酸第三級アミルおよびそれらの組み合わせを、例えば、包含しうる。1つもしくはそれ以上の態様では、過酸化物は有機過酸化物を包含する。例えば、有機過酸化物はアクゾ・ノベル・コーポレーション(Akzo
Nobel Corp.)から市販されているL101およびアルケマ・インコーポレーテッド(Arkema,Inc.)から市販されているTriganox301を包含しうる。
【0024】
1つもしくはそれ以上の態様では、過酸化物は改質剤と約30ppmより多い、または約50ppm〜約150ppmまたは約75ppm〜約125ppmの量で、例えば、配合される。
【0025】
重合体を別の改質剤、例えば酸素を包含するフリーラジカル開始剤、と例えば配合しうることが意図される。
【0026】
重合体生成物
ここに記述される方法により製造される重合体(およびそれらの配合物)は線状低密度ポリエチレン、エラストマー類、プラストマー類、高密度ポリエチレン類、低密度ポリエチレン類、中密度ポリエチレン類、ポリプロピレンおよびポリプロピレン共重合体を、例えば、包含しうるが、それらに限定されない。
【0027】
ここで断らない限り、全ての試験方法は出願時において最新の方法である。
【0028】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体はエチレンベース重合体を包含する。ここで
使用される際には、用語「エチレンベース」は用語「エチレン重合体」または「ポリエチレン」と互換的に使用されそして重合体の合計重合体に関して少なくとも約50重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約85重量%または少なくとも約90重量%のポリエチレンを有する重合体を、例えば、さす。
【0029】
エチレンベース重合体は約0.86g/cc〜約0.98g/cc、または約0.88g/cc〜約0.97g/cc、または約0.90g/cc〜約0.97g/ccまたは約0.925g/cc〜約0.97g/ccの(ASTM D−792により測定された)密度を、例えば、有しうる。
【0030】
エチレンベース重合体は約0.01dg/分〜約100dg/分、または約0.01dg/分〜約25dg/分、または約0.03dg/分〜約15dg/分または約0.05dg/分〜約10dg/分の(ASTM D−1238により測定された)メルトインデックス(MI)を、例えば、有しうる。
【0031】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体は低密度ポリエチレンを包含する。ここで使用される際には、用語「低密度ポリエチレン」は約0.92g/ccよりほぼ少ない密度を有するエチレンベース重合体を、例えば、さす。
【0032】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体は中密度ポリエチレンを包含する。ここで使用される際には、用語「中密度ポリエチレン」は約0.92g/cc〜約0.94g/ccまたは約0.926g/cc〜約0.94g/ccの密度を有するエチレンベース重合体を、例えば、さす。
【0033】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体は高密度ポリエチレンを包含する。ここで使用される際には、用語「高密度ポリエチレン」は約0.94g/cc〜約0.97g/ccの密度を有するエチレンベース重合体を、例えば、さす。
【0034】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体は高分子量ポリエチレンを包含する。ここで使用される際には、用語「高分子量ポリエチレン」は約50,000〜約10,000,000の分子量を有するエチレンベース重合体を、例えば、さす。
【0035】
1つもしくはそれ以上の態様では、エチレンベース重合体は2モードの分子量分布を示しうる(すなわち、それらは2モードの重合体である)。例えば、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用いる2つの顕著な分子量ピークを含む単一組成物は「2モードの」ポリオレフィンであると考えられる。例えば、分子量画分は高分子量画分および低分子量画分を包含しうる。
【0036】
高分子量画分は低分子量画分の分子量より大きい分子量を示す。高分子量画分は約50,000〜約10,000,000、または約60,000〜約5,000,000または約65,000〜約1,000,000の分子量を、例えば、有しうる。対照的に、低分子量画分は約500〜約50,000、または約525〜約40,000または約600〜約35,000の分子量を、例えば、有しうる。
【0037】
2モードの重合体は約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70または約60:40〜約40:60の高分子量画分対低分子量画分の比を、例えば、有しうる。
【0038】
生成物用途
重合体およびそれらの配合物は当業者に既知である用途、例えば成形操作(例えば、フィルム、シート、パイプおよび繊維の押し出し成形および共−押し出し成形並びにブロー成形、射出成形および回転成形)、において有用である。フィルムは、例えば、食品接触および非食品接触用途における、収縮フィルム、付着フィルム、延伸フィルム、密封フィルム、配向フィルム、スナック包装、高負荷袋、雑貨大袋、調理済み冷凍食品包装、医学用包装、工業用ライナー、およびメンブレンとして有用な押し出し成形もしくは共−押し出し成形によりまたは積層により製造されるブロー成形、配向または流し込み成形されたフィルムを包含する。繊維は、例えば、大袋、袋、ロープ、撚糸、カーペット裏材、カーペット糸、フィルター、オムツ布、医学用衣服およびジオテキスタイルを製造するための織りまたは不織形態での使用のための、スリットフィルム、モノフィラメント、溶融紡糸、溶液紡糸および溶融ブロー成形繊維操作を包含する。押し出し成形製品は医学用チューブ、ワイヤーおよびケーブルコーティング、シート、熱成形シート、ジオメンブレンおよびポンドライナーを、例えば、包含する。成型製品は瓶、タンク、大型中空製品、硬質食品容器および玩具の形態の、単層および多層構造を、例えば、包含する。
【0039】
本発明の1つもしくはそれ以上の態様は、次にブロー成形フィルム製品、例えば大袋およびライナーを製造しうるブロー成形フィルムを製造するための重合体の使用を、例えば、包含する。溶融重合体を環状ダイの中に強制的に送り、それを次にブロー成形することのような既知の方法によりブロー成形フィルムを製造することができる。生じた気泡を次に平らにしそして片に切断し、それがロール巻きされる時に平らなフィルムのロールを製造する。
【0040】
残念なことに、ブロー成形フィルム方法は気泡不安定性を経験しうる。気泡不安定性は多くの現象、例えば気泡直径の周期的振動により一般的に特徴づけられるドローレジナンス(DR)、その軸方向周辺の気泡の螺旋運動により一般的に特徴づけられる螺旋不安定性、FLHの位置における変動により一般的に特徴づけられるフロストライン高さ(FLH)不安定性、を包含しうる。
【0041】
より具体的には、エチレンベース重合体、そして特に高分子量高密度エチレンベース重合体、で製造されるブロー成形フィルムは加工中に気泡不安定性を示すことがあり、欠陥および/または加工上の難点を有するブロー成形フィルムを生じうる。さらに、気泡不安定性が逆転されない場合には、気泡は破壊を生じて加工ラインの停止をもたらしうる。
【0042】
気泡安定性を改良するためのこれまでの試みは添加剤、例えば炭酸カルシウムおよびフルオロエラストマー類、の使用を、例えば、包含していた。しかしながら、そのような添加剤は気泡安定性における恒常的な改良を示しておらずそしてその結果として使用される重合体のタイプによっては成功を限定してきた。さらに、そのような添加剤はこの方法から製造される生成物の所望する物理的特性を示していなかった。
【0043】
従って、エチレンベース重合体を過酸化物で改質して気泡安定性を改良するための試みがなされていた。しかしながら、エチレン重合体を過酸化物で改質するための試みは低濃度の(例えば、約30ppmより低い)過酸化物を用いる改質に一般的に限定されていた。そのような改質により限定された成功が達成されていたが、それより高い水準の過酸化物を用いて方法および重合体製品性質をさらに改良するための可能性は成就しがたかった。しかしながら、本発明の態様(そして特にここに記述される2モードのエチレンベース重合体の使用)は予期せぬことにより高い(例えば、約30ppmより高い)濃度の過酸化物を使用する可能性をもたらし、気泡安定性において利点をもたらした。例えば、本発明の態様は気泡安定性において過酸化物の不存在下で同一方法により製造される重合体製品より少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%の増加を与える。さらに、本発明の態様はより高い(例えば、約30ppmより高い)濃度の過酸化物を使用する安定なブロー成形フィルムを提供するが、他のチーグラー−ナッタの2モードのエチレンベース重合体に対する同様な過酸化物添加はブローフィルムに対して無効であった。
【0044】
さらに、本発明の態様は、ダート衝撃耐性における損失をほとんどまたは全く伴わずに、横方向(TD)破壊強度(ASTM D446により測定される)の減少を一般的にもたらす。例えば、TD破壊強度は約5g〜約35g、または約7g〜約33gまたは約10g〜約30gで、例えば、ありうる。予期せぬことに、本発明の態様は過酸化物の不存在下で同一方法により製造される重合体製品より少なくとも約85%、または約86%または約90%低いTD強度を示すブロー成形フィルムを生ずる。
【実施例】
【0045】
ここで使用される際には、重合体「A」はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッド(TOTAL PETROCHEMICALS,USA,Inc)から2285として市販されている0.951g/ccの密度を有する高分子量の2モードのチーグラー−ナッタ製造される高密度ポリエチレンであった。
【0046】
ここで使用される際には、重合体「B」はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッドから2290として市販されている0.952g/ccの密度を有する高分子量の2モードのチーグラー−ナッタ製造される高密度ポリエチレンであった。
【0047】
ここで使用される際には、重合体「C」は0.950g/ccの密度を有する高分子量の2モードのチーグラー−ナッタ製造される高密度ポリエチレンであった。
【0048】
ブロー成形フィルムを重合体試料から製造しそして生じたブロー成形フィルム方法を気泡安定性に関して評価した。評価の結果は以下の表1に従う。ここで使用される際には、気泡安定性は安定性評価により評価された。400°Fの平坦温度特徴を有するアルパイン(Alpine)フィルムラインを用いてブロー成形フィルムを製造した。3種のネック高さ(ダイから30、37、44”)および4:1のブローアップ比においてブロー成形フィルムを製造することにより、フィルム安定性を定量化した。安定性評価を各ネック高さにおいてアイリスを閉鎖して記録し、そして3分後にアイリスを完全に開放した。4の数値評価は垂直安定性事象(漂い)または気泡揺れのない最高の安定性である。3の評価はわずかな漂い(中心からの1”より少ない逸脱)および揺れを示す。2の評価は気泡が中心から1”より大きく漂うかまたは揺れることを示す。1の評価は気泡が有意な漂いおよび/または螺旋回転を開放アイリスまでの全ての経過で示す最低の評価である。3回の閉鎖評価および3回の開放評価から得られたデータを掛け算しそしてlog目盛りを用いて標準化することにより、最終的な安定性数値が計算される。試験用の目盛りは従って0〜3.61であり、3.61が最も安定な評価である。
【0049】
【表1】

【0050】
予期せぬことに、ここに記述されるようにして製造されるチーグラー−ナッタ製造される2モードのポリエチレン試料(実験4−6)は比較的高い過酸化物濃度において改良された気泡安定性を生じたが、他の2モードのポリエチレン試料では高められた過酸化物濃度では気泡不安定性が一般的に観察された。特に、チーグラー−ナッタ製造される2モードのポリエチレンおよび約100ppmの過酸化物濃度を有する試料6は3.3の安定性評価をもたらしたが、他の方法により製造される2モードのポリエチレンおよび約90ppmの過酸化物濃度を有する試料3では気泡不安定性が観察された。
【0051】
ブロー成形フィルムの性質はさらに分析されそして図1に示されている。図1に示されているように、チーグラー−ナッタ製造される2モードのポリエチレンは過酸化物の濃度増加で横方向(TD)破壊強度における減少を予期せぬことに示した。
【0052】
上記事項は本発明の態様に関しているが、本発明の基本的範囲から逸脱せずに本発明の他のおよびさらなる態様を考案することができそしてその範囲は以下の特許請求の範囲により決められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2モードのエチレンベース重合体を準備し、
2モードのエチレンベース重合体を少なくとも約30ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを製造し、
改質ポリエチレンをブロー成形フィルムに製造する、
ことを含んでなるブロー成形フィルムの製造方法。
【請求項2】
2モードのエチレンベース重合体がチーグラー−ナッタ触媒系から製造され、アルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を製造しそしてマグネシウムジアルコキシド化合物を連続的により強い塩素化剤と接触させることによりチーグラー−ナッタ触媒系が製造される、請求項1の方法。
【請求項3】
ブロー成形フィルムが気泡安定性において過酸化物の不存在下で同一方法により製造される重合体製品より少なくとも約10%の増加を示す、請求項1の方法。
【請求項4】
ブロー成形フィルムが気泡安定性においてチーグラー−ナッタ触媒系以外の触媒から製造されるエチレンベース重合体を用いて同一方法により製造される重合体製品より少なくとも約10%の増加を示す、請求項2の方法。
【請求項5】
改質ポリエチレンが少なくとも約30ppm〜約200ppmの過酸化物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項6】
改質ポリエチレンが少なくとも約90ppmの過酸化物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項7】
2モードのエチレンベース重合体が少なくとも約0.940g/ccの密度を示す、請求項1の方法。
【請求項8】
2モードのエチレンベース重合体が約50,000〜約10,000,000の分子量を含んでなる高分子量画分および約500〜約50,000の分子量を含んでなる低分子量画分を示す、請求項1の方法。
【請求項9】
エチレンベース重合体が約80:20〜約20:80の高分子量画分対低分子量画分の比を示す、請求項1の方法。
【請求項10】
請求項1の方法から製造されるブロー成形フィルム。
【請求項11】
重合体製品が過酸化物の不存在下で同一方法により製造される重合体製品より少なくとも約85%低い横方向強度を示す、請求項1の方法。
【請求項12】
過酸化物が有機過酸化物を含んでなる、請求項1の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−512771(P2012−512771A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542232(P2011−542232)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/067016
【国際公開番号】WO2010/071744
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】