説明

プソイドエフェドリン及びレボセチリジンを含む経口用複合組成物

本発明は、プソイドエフェドリン及びレボセチリジンを含む経口用複合組成物に関して、(i)膨潤性ヒドロゲル形成剤とプソイドエフェドリンまたはこれの薬学的に許容可能な塩を含むコアと、(ii)前記コアを囲み、水溶性基材を含む第1のコーティング層と、及び(iii)前記第1のコーティング層上に形成され、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト(graft)共重合体またはこれらの混合物と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2のコーティング層とを含むことを特徴とし、本発明の経口用複合組成物はレボセチリジンの放出率が高く、長期保管後にも遅延放出を示さない。よって、本発明の経口用複合組成物は鼻詰まり、くしゃみ、鼻漏を伴う季節性及び通年性アレルギーの治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[技術分野]
本発明は、レボセチリジンの放出率が高く、長期保管後にも遅延放出を示さないプソイドエフェドリンとレボセチリジンとからなる経口用複合組成物に関するものである。
【0002】
[背景技術]
プソイドエフェドリンとセチリジンとは、鼻詰まり、くしゃみ、鼻漏を伴う季節性又は通年生アレルギーを治療するために、よく組み合わせて使われる薬物である。市販のこのような製品としては、ジルテックプラス(登録商標)(Zyrtec Plus(登録商標)、UCB社製)、コサック(登録商標)(KOSSAK(登録商標)、韓美薬品社製)等がある。この両製品の場合、プソイドエフェドリンは10時間〜12時間にわたって放出される徐放性放出を示し、セチリジンは2時間以内に放出される速放性放出を示す。
【0003】
特に、プソイドエフェドリンは半減期が略5〜7時間であり、一日3〜4回経口投与する製剤が一般的であるので、セチリジンのような一日単回投与する製剤と併用するためには、プソイドエフェドリンを徐放性製剤に製剤化して複合剤に製造することが患者の使い勝手が良い。
【0004】
このようにプソイドエフェドリンとセチリジンとからなる多くの複合製剤が開発されている。例えば、韓国特許公開第2009-26140号は、前記両薬物を各々のセグメント(segment)として含有してなる錠剤であって、プソイドエフェドリン及び徐放性基材であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む第1層と、セチリジン、ラクトース、及び微結晶性セルロースを含む第2層とからなる二層錠を開示している。かかる製剤は、一般的な単層打錠機を使用しては製造できず、両薬物を分離させたそれぞれの顆粒を個別に打錠できる二層錠打錠機を必要とする。
【0005】
韓国特許公開第2006-2235号は、白糖顆粒に塩酸プソイドエフェドリンをコーティングし、放出制御用コーティング層形成剤としてエチルセルロースをコーティングして放出性コアを作った後、その上にプソイドエフェドリン及びセチリジンをコーティングすることにより製造された、速放性プソイドエフェドリン及び徐放性プソイドエフェドリンを同時に含み、徐放性セチリジンを含む徐放性製剤を開示している。
【0006】
一方、レボセチリジンはセチリジンの異性体であって、セチリジンのようにヒスタミンH1受容体拮抗薬(histamine H1 receptor antagonist)として作用する抗ヒスタミン剤である。レボセチリジンは韓国内でザイザル(XYZAL(登録商標)、UCB社製)という商品名で販売されているが、これは30分以内にレボセチリジンの80%以上が放出される速放性製剤である。レボセチリジンもセチリジンと類似に鼻詰まり、くしゃみ、鼻漏を伴う季節性及び通年性アレルギーの治療のためにプソイドエフェドリンと併用されている。
【0007】
しかし、レボセチリジンの放出率の向上と、長期保管後にも遅延放出を示さないプソイドエフェドリン−レボセチリジン複合製剤の開発が求められている。
【0008】
[発明の概要]
従って、本発明の目的はレボセチリジンの放出率が高く、長期保管後にも遅延放出を示さない、プソイドエフェドリンとセチリジンとからなる経口用複合組成物を提供することである。
【0009】
本発明の一態様によれば、
(i)膨潤性ヒドロゲル形成剤とプソイドエフェドリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアと、
(ii)前記コアを囲み、水溶性基材を含む第1のコーティング層と、
(iii)前記第1のコーティング層上に形成され、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト(graft)共重合体またはこれらの混合物と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2のコーティング層とを含む経口用複合組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の前記及び他の目的と特徴は、添付の図面とともに本発明の説明から明確になる。
【図1】図1は、実施例1〜3で得た複合組成物のプソイドエフェドリンの溶出率を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例4〜8で得た複合組成物のプソイドエフェドリンの溶出率を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例4〜8で得た複合組成物の第1のコーティング層の重量によるプソイドエフェドリンの溶出の類似性因子(f2)値を示すグラフである。
【図4】図4は、比較例1〜4で得た複合組成物、及びザイザル(登録商標)のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例4〜8で得た複合組成物、及びザイザル(登録商標)のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例9〜13で得た複合組成物のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【図7】図7は、比較例1及び実施例4〜6で得た複合組成物の第1のコーティング層の重量による15分及び120分以内のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例1〜4で得た複合組成物、及びザイザル(登録商標)の加速貯蔵期間(30分)中のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例4〜13で得た複合組成物、及びザイザル(登録商標)の加速貯蔵期間(30分)中のレボセチリジンの溶出率を示すグラフである。
【0011】
[発明の詳細な説明]
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0012】
従来の複合組成物では、レボセチリジンコーティング層がプソイドエフェドリンコアに直接に形成された。これにより、複合組成物が水を吸収すると、プソイドエフェドリンコアに存在する膨潤性ヒドロゲル形成剤が膨らみ、レボセチリジンコーティング層が溶け切る前にこれを囲むようになり、溶出されなかったレボセチリジンがヒドロゲル化するため、その結果レボセチリジンの放出が遅延される。
【0013】
従って、本発明者らは、ヒドロゲルによるレボセチリジンの放出阻害を防ぐために、プソイドエフェドリンコアとレボセチリジンのコーティング層との間に水溶性コーティング層を形成してこれらを分離し、また、複合製剤の保管期間中に表れる遅延放出を最小化するために、レボセチリジンコーティング層にポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールクラフト共重合体またはこれらの混合物を含ませることで、放出試験30分以内にレボセチリジンの80%以上が放出され、40℃、75%相対湿度(RH)条件下で6ヶ月間保管した後にも遅延放出を示さない複合製剤を製造することを見出した。
【0014】
本発明による複合組成物は、(i)プソイドエフェドリンの徐放化のために膨潤性ヒドロゲル形成剤とプソイドエフェドリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアと、(ii)前記コアを囲み、水溶性基材を含む第1のコーティング層と、(iii)前記第1のコーティング層上に形成され、速放性レボセチリジンを製造するためのポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体またはこれらの混合物と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2のコーティング層を含むことを特徴とする。
【0015】
(a) 薬理活性成分
本発明に使用される薬理活性成分は、プソイドエフェドリンまたはその薬学的に許容可能な塩及びレボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩であって、プソイドエフェドリンはコアに存在し、レボセチリジンはコーティング皮膜に存在する。これらは両方とも鼻詰まり、くしゃみ、鼻漏を伴う季節性及び通年生アレルギーの治療に有用である。
【0016】
単位投与量当たり、例えばプソイドエフェドリンまたはこれの薬学的に許容可能な塩は約30mg〜約240mg範囲の量で、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩は約1mg〜約10mg範囲の量で使用することができる。
【0017】
(b) 膨潤性ヒドロゲル形成剤
本発明に使用される膨潤性ヒドロゲル形成剤は、プソイドエフェドリンの徐放化のために使用する賦形剤であって、溶出中または体内で水を吸収することによりその容積が増加して膨潤し、ゲル化する性質を有する。かかる膨潤性ヒドロゲル形成剤としては、ポリオキシエチレン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カルボマー、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガムなどのガム類、アルギン酸またはその塩(例:プロピレングリコール塩及びナトリウム塩)、またはその混合物を使用することができ、好ましくはポリオキシエチレンを使用することができる。
【0018】
膨潤性ヒドロゲル形成剤はプソイドエフェドリン1重量部に対して0.1〜10重量部の量で使用することができる。
【0019】
コアは、前記膨潤性ヒドロゲル形成剤とプソイドエフェドリンまたはこれの薬学的に許容可能な塩以外にも、必要によって薬学的に許容可能な添加剤を含むことができる。
【0020】
(c) 水溶性基材(第1のコーティング層基材)
本発明に使用される水溶性基材は、コア中の膨潤性ヒドロゲル形成剤の膨潤の際に一緒に膨脹してヒドロゲルによる第2のコーティング層のレボセチリジンの放出に影響を与えることを防止するとともに、コア中のプソイドエフェドリンの放出速度に影響を与えないコーティング基材でなければならない。本発明に使用可能な好適な水溶性基材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこれらの混合物である。
【0021】
第1のコーティング層は、前記水溶性基材以外にも、必要によって薬学的に許容可能な添加剤を含むことができる。
【0022】
本発明の複合組成物は、前記コア100重量部に対して17重量部以下、好ましくは1〜17重量部の量で第1のコーティング層を含むことができる。第1コーティング層が17重量部を超えると、コア中のプソイドエフェドリンの放出に有意な変化をもたらすので好ましくない。
【0023】
(d) 第2のコーティング層基材
本発明に使用される第2のコーティング層基材は、レボセチリジンと一緒にコーティングされる基材であって、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体またはこれらの混合物である。前記第2のコーティング層基材は、レボセチリジンの迅速な放出に寄与し、保管期間中にレボセチリジンの遅延放出を防止する役目を果たす。
【0024】
第2のコーティング層は、前記第2のコーティング層基材とレボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩以外にも、必要によって薬学的に許容可能な添加剤を含むことができ、第2のコーティング層基材はレボセチリジン1重量部に対して10〜100重量部の量で使用することができる。
【0025】
本発明の複合組成物は、前記コア100重量部に対して、好ましくは5〜50重量部の量で第2のコーティング層を含むことができる。
【0026】
薬学的に許容可能な添加剤としては、通常的に使用される崩解剤、希釈剤、安定化剤、結合剤及び滑沢剤等を適正量使用できる。
【0027】
本発明の複合組成物は、通常の製剤化方法によってコーティングされた錠剤の形態で製剤化され、経口投与され得る。例えば、(1)膨潤性ヒドロゲル形成剤、プソイドエフェドリンまたはその薬学的に許容可能な塩、及び任意の薬学的に許容可能な添加剤を混合した後打錠し、徐放性コアを製造し、(2)水溶性基材及び任意の薬学的に許容可能な添加剤を適当な溶媒(例:アセトンと水との混合溶媒)に溶解させて作ったコーティング液で前記コアをコーティングした後、乾燥させて第1のコーティング層を形成し、(3)ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体またはこれらの混合物、レボセチリジンまたはこれの薬学的に許容可能な塩、及び任意の薬学的に許容可能な添加剤を適当な溶媒(例:アセトンと水との混合溶媒)に溶解させて作ったコーティング液で前記第1のコーティング層が形成されたコアをコーティングした後、乾燥させて第2のコーティング層を形成することで、本発明の複合組成物を製剤化することができる。
【0028】
本発明による経口用プソイドエフェドリン−レボセチリジンの複合組成物は、放出試験(0.1N HCI溶液)30分以内にレボセチリジンの80%以上が放出され、40℃、75%の相対湿度(RH)条件下で6ヶ月間保管後にも遅延放出を示さないので、本発明による複合製剤は鼻詰まり、くしゃみ、鼻漏を伴う季節性及び通年性アレルギーの治療に有用である。
【0029】
下記実施例によって本発明をより詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけであって、本発明の範囲がこれらに限定されることではない。
【0030】
実施例1〜3:プソイドエフェドリン徐放錠(徐放性コア)の製造
下記表1に示された組成(単位:mg)によって、塩酸プソイドエフェドリン(Cheng Fong Chemical社製、台湾)、膨潤性ヒドロゲル形成剤としてのポリオキシエチレン(Dow Chemical社製、米国)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製、日本国)及びキサンタンガム(ISP社製、米国)、及び添加剤としてのルディプレス(登録商標)(Ludipress(登録商標)、BASF社製、ドイツ)、軽質無水ケイ酸(Degussa社製)、ブチル化されたヒドロキシトルエン(BHT、UENO Fine Chemical社製、米国)、及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、錠剤機(MRC-45、Sejong Pharmatech社製、韓国)を使用して、プソイドエフェドリンを含む徐放錠(徐放性コア)を製造した。
【表1】

【0031】
実施例4〜8:本発明の複合組成物の製造−(1)
前記実施例1で得たプソイドエフェドリン徐放錠をコアとして、下記表2に示された組成によって、第1のコーティング液と第2のコーティング液をそれぞれ作り、順次にコーティングを行って複合組成物を製造した。
【0032】
具体的に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製、日本国)、アセチル化されたモノグリセリド(Myvacet、Kerry Bio-Science社製、米国)及びタルクをアセトンと水との混合液に溶解させて第1のコーティング液を製造し、コーティング機(SFC-30C、Sejong Pharmatech社製)を使用して第1のコーティング液でコアをコーティングした後、乾燥させて第1のコーティング層を形成した。次いで、ポリビニルアルコール(クライ社製、日本国)、ヒドロキシプロピルセルロース(Nisso chemical社製、日本国)及び塩酸レボセチリジンをアセトンと水との混合液に溶解させて第2のコーティング液を製造し、コーティング機を使用して第2のコーティング液で第1のコーティング層を有するコアをコーティングした後、乾燥させて第2のコーティング層を形成することで、目的とする複合組成物を製造した。この際、コーティング時の給気温度は50℃、製品温度は30℃にそれぞれ調節し、コーティング工程が完了した後30分間乾燥を行い、コーティング後にも残存するアセトンと水とを除去した。
【表2】

【0033】
比較例1〜3:既存の複合組成物の製造
下記表3に示された組成によって、レボセチリジンコーティング層(第2のコーティング層)の形成前に水溶性第1のコーティング層を形成しないことを除いて、前記実施例4と同様の方法でレボセチリジンコーティング層形成を遂行して、既存の複合組成物を製造した。
【表3】

【0034】
実施例9及び10:本発明の複合組成物の製造−(2)
前記実施例2及び3で得たそれぞれのプソイドエフェドリン徐放錠をコアとし、下記表4に示された組成によって実施例4と同様の方法で目的とする複合組成物を製造した。
【表4】

【0035】
実施例11〜13:本発明の複合組成物の製造−(3)
前記実施例1で得たプソイドエフェドリン徐放錠をコアとし、下記表5に示された組成によって実施例4と同様の方法で目的とする複合組成物を製造した。この際、第2のコーティング層基材としてポビドン(BASF社製、ドイツ)及びPVA-PEGグラフト共重合体(Kollicoat IR、BASF社製、ドイツ)を使用した。
【表5】

【0036】
比較例4:比較複合組成物の製造
前記実施例1で得たプソイドエフェドリン徐放錠をコアとし、下記表6に示された組成によって、実施例4と同様の方法で複合組成物を製造し、第2のコーティング層基材としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した。
【表6】

【0037】
試験例1:プソイドエフェドリン徐放錠の溶出試験
前記実施例1〜3で得たプソイドエフェドリン徐放錠を0.1N HCI 900mLの溶出試験液中で、韓国薬典の溶出試験法第2法であるパドル法50rpmの回転速度で溶出試験を施した。また、実施例4〜8において、レボセチリジンをコーティングする前に第1のコーティング層を形成した試料に対しても同一の方法で溶出試験を施した。
【0038】
溶出開始後、2、4及び8時間後に溶出液を取り、プソイドエフェドリンの溶出率を算出し、溶出率のグラフを図1及び2に示した。また、実施例1及び4〜8のプソイドエフェドリン溶出の類似性因子(f2)値を算出して図3に示した。
【0039】
図3に示しているように、第1のコーティング層の重量がコア重量の17%を超えると、類似性因子であるf2値が50以下に下がることになり、溶出の有意な変化が認められるので、第1のコーティング層はコア重量の17%以下にコーティングすることが好ましい。
【0040】
試験例2:レボセチリジンの溶出試験
前記比較例1〜4及び実施例4〜13で得たそれぞれの複合組成物を0.1N HCI 900mLの溶出試験液中で、韓国薬典の溶出試験法第2法であるパドル法100rpmの回転速度で溶出試験を施した。溶出開始後、15、30、60及び120分後に溶出液を取り、レボセチリジンの溶出率を算出し、溶出率のグラフを図4〜7に示した。この際、レボセチリジンの速放性製剤として市販されるザイザル(登録商標)(XYZALR、UCB社製)に対しても溶出試験を施し、その結果をともに示した。
【0041】
図4〜7に示しているように、比較例1〜3の場合、溶出率が30分以後から増加せずに停滞する傾向にあることが分かる。これはプソイドエフェドリンコア中のヒドロゲルが水分を吸収して膨潤し、レボセチリジンを含むコーティング層に影響を与え、結果的にレボセチリジンの溶出を妨害するからである。しかし、実施例4〜13の場合には、プソイドエフェドリンコアとレボセチリジンコーティング層との間に水溶性コーティング層を形成させることにより、レボセチリジンの溶出率が改善されたことが確認できる。また、第2のコーティング層基材としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した比較例4も溶出率が改善されたことが確認できる。即ち、第1のコーティング層をコア重量の1%以上に形成する場合、レボセチリジンの溶出がコア錠剤の影響を殆ど受けないことが分かる。
【0042】
試験例3:加速貯蔵期間中のレボセチリジンの溶出率の変化
前記比較例1〜4及び実施例4〜13で得たそれぞれの複合組成物を、高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに仕込んた後、40℃及び75%の相対湿度条件下で保管した。試験の開始から3ヶ月及び6ヶ月後、試料を取り、前記試験例2と同一の方法でレボセチリジンの溶出率を確認した。その結果を図8及び9に示した。この際、ザイザル(登録商標)に対する結果をともに示した。
【0043】
図8及び9に示しているように、比較例1〜4は何れも加速貯蔵条件下で顕著な溶出低下を示した反面、実施例4〜13は何れも安定した溶出率を示したことが分かる。
【0044】
以上、本発明を前記実施例を中心にして説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば多様な変形及び均等な他の実施例が、機能であることを理解するはずである。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)膨潤性ヒドロゲル形成剤とプソイドエフェドリンまたはこれの薬学的に許容可能な塩を含むコアと、
(ii)前記コアを囲み、水溶性基材を含む第1のコーティング層と、
(iii)前記第1のコーティング層上に形成され、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト(graft)共重合体またはこれらの混合物と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2のコーティング層と
を含む経口用複合組成物。
【請求項2】
前記膨潤性ヒドロゲル形成剤がポリオキシエチレン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カルボマー、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アルギン酸またはその塩、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項3】
前記膨潤性ヒドロゲル形成剤がプソイドエフェドリン1重量部に対して0.1〜10重量部の量で使用されることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項4】
前記水溶性基材がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項5】
前記第1のコーティング層をコア100重量部に対して17重量部以下の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項6】
前記第1コーティング層をコア100重量部に対して1〜17重量部の量で含むことを特徴とする請求項5に記載の経口用複合組成物。
【請求項7】
前記膨潤性ヒドロゲル形成剤がポリオキシエチレンであり、前記水溶性基材がヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項8】
前記ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体またはこれらの混合物が、レボセチリジン1重量部に対して10〜100重量部の量で使用されることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項9】
前記第2のコーティング層をコア100重量部に対して5〜50重量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項10】
前記コア、第1のコーティング層または第2のコーティング層が、薬学的に許容可能な添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。
【請求項11】
前記組成物が0.1NのHCI溶液中で30分以内にレボセチリジンの80%以上を溶出させることを特徴とする請求項1に記載の経口用複合組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−518872(P2013−518872A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551906(P2012−551906)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/KR2011/000367
【国際公開番号】WO2011/093612
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(510316693)ハンミ・サイエンス・カンパニー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】