説明

プッシュオン・プッシュオフ型コネクタ及びジャック型コネクタ

【課題】DCジャックからDCプラグを抜き取る操作を容易にし、抜取り操作におけるDCジャックやDCプラグの損傷を抑制するとともに、汎用のDCプラグの使用を可能にするプッシュオン・プッシュオフ型コネクタの提供。
【解決手段】バネ9で付勢されたフローティングベース13がDCプラグ2のプッシュにより矢印A方向に押されると、ハート状回転カム10により、フローティングベース13がロックされるとともに、DCプラグの電極21,22がジャックの板バネ電極11,12により挟まれ、保持され、DCプラグ2がDCジャック1に保持されたホールド状態に至る。ホールド状態で、再度矢印A方向のプッシュをDCプラグ2に加えると、ハート状回転カム10によるロックが解除され、バネ9によりフローティングベース13が押し出されるとともに、ホールド状態が解除され、DCプラグ2を抜き出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電極を有するコネクタに関し、特にプラグを一度押すとプラグとジャックの接続がONになり、もう一度押すとその接続がOFFになるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ、及びこのプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおけるジャック型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
商用のAC電源をDC電源に変換するAC−DC変換器はACアダプタなる名称で多数市販されている。このACアダプタは、入力のAC電力を整流してDC電力を出力する。出力のDC電力は、ケーブルを介して、直流電力で動作する機器(例えば、ノートパソコン、携帯電話の充電器)に供給される。そのケーブルと直流電力動作機器(以下、単に「機器」と略称する。)とを接続するコネクタは、ケーブル側のプラグと機器側のジャックとからなるのが通常である。このようにDC電源の接続に用いられるプラグ及びジャックは、DCプラグ及びDCジャックとそれぞれ称され、両者はDCコネクタと総称される。
【0003】
ノートパソコンなどの機器に装備されたDCジャックにケーブル先端のDCプラグを接続するには、DCプラグをDCジャックに押し込む。この押し込み操作により、DCプラグの−電極および+電極は、DCジャックの−電極および+電極にそれぞれ接触し、DCプラグとDCジャックとが電気的に接続される。DCプラグは、棒状のティップ電極と、このティップ電極と同軸の円環状のスリーブ電極とを有してなる。両電極の極性は、例えば、ティップ電極が+極であり、スリーブ電極が−極である。DCジャックは、DCプラグのティップ電極に接触する内側電極およびDCプラグのスリーブ電極に接触する外側電極を有してなる。
【0004】
図8及び図9は従来のDCコネクタの構造を概念的に示す縦断面図である。このDCコネクタは、DCジャック100とDCプラグ2とでなる。図8はDCジャック100とDCプラグ2とを結合する前の状態を示し、図9はDCジャック100とDCプラグ2とを結合した状態を示す。DCジャック100は、−(マイナス)電極である外側電極111、+(プラス)電極である内側電極112、−電極端子101および+電極端子102を有している。外側電極111および内側電極112は−電極端子101および+電極端子102にそれぞれ接続されている。外側電極111および内側電極112は、金メッキが施された燐青銅などの金属製の板バネでなる。DCプラグ2は、−極であるスリーブ電極21および+極であるティップ電極22を有してなる。
【0005】
DCジャック100が機器に固定されているとき、図9の如くにDCプラグ2とDCジャック100とを接続するには、図8における矢印Aの方向にDCプラグ2を押し、DCプラグ2をDCジャック100に押し込み、DCプラグ2のスリーブ電極21およびティップ電極22をDCジャック100の外側電極111および内側電極112にそれぞれ接触させる。このとき(図9の接続状態にあるとき)、DCジャック100の外側電極111(板バネ製)はスリーブ電極21に圧接している。同じく板バネでなり、円環状に配列されている内側電極112の中心の空間にはティップ電極22が挿入されており、内側電極112はティップ電極22に強く圧接している。このように、図8及び図9の従来のDCコネクタでは、DCジャック100およびDCプラグ2における電極を相互に強く圧接させる構造で以って、互いに接触する電極の表面における電気的接続の安定化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−357935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DCジャック100およびDCプラグ2を、接続状態(図9)から、接続解除状態(図8)に移行させようとするとき、DCプラグ2を手指で握り、図8の矢印Aとは逆の方向にDCプラグ2を強く引っ張り、DCジャック100からDCプラグ2を抜き取る操作をする。なお、図9ではDCプラグ2の右側(ケーブル側)端部の図示が省略されているが、実際はDCプラグ2の右側(ケーブル側)端部は、DCジャック100の右端より外方に1cmほど突き出ているので、DCプラグ2を手指で握るときは、この突き出し部を握ることとなる。このDCプラグ2を抜き取る操作においては、ジャックDCジャック100およびDCプラグ2における電極が相互に強く圧接しているので、図8の矢印Aとは逆の方向のかなり大きい力をDCプラグ2に加える必要がある。上記のとおり、図9の接続状態において、DCジャック100の右端から右方に突出しているDCプラグ2の軸方向の長さは1cm程度であるので、DCプラグ2を手指で握り、図8の矢印Aとは逆の方向にDCプラグ2に力を加えるとき、その力をDCプラグ2の抜取りに十分な大きさとすることは容易でない。そこで、このDCプラグ2の抜取りに操作においては、DCプラグ2の軸方向の力だけでなく、DCジャック100の軸に対しDCプラグ2の軸を傾ける力をDCプラグ2に加えたり、その傾きの方向を振動的に変えたりして、DCジャック100およびDCプラグ2に無理な力を加えがちである。このように、軸方向以外の力、即ち軸に直交する成分のある力をDCプラグ2に加えると、DCジャック100およびDCプラグ2における部材、例えば内側電極112、を折損したり、変形させたりすることがある。また、DCジャック100からDCプラグ2を抜き取る操作は、手指でDCプラグ2を握り、引き出すのに大きな力を要するから、操作者にとって負担の大きい操作である。
【0008】
ジャック型コネクタ(以下、通称に従って単に「ジャック」と称する。)からプラグ型コネクタ(以下、通称に従って単に「プラグ」と称する。)を抜き取る操作を容易にするとともに、抜取り操作におけるジャックやプラグの損傷を抑制するために、例えば特許文献1の特開2001−357935の「コネクタの嵌合離脱構造」が提案されている。この特許文献1の図1には、ガイド溝(26)を有する雄型コネクタ(4)と、この雄型コネクタ(4)に嵌合される雌型コネクタ(2)とが示されている。雌型コネクタ(2)には、従動ピン(9)が設けてある。雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)に嵌合し、両コネクタを電気的に接続させるためには、ガイド溝(26)の入り口を従動ピン(9)に合わせて、雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)に向けて進行させる。ガイド溝(26)は略ハート型に形成してある。ガイド溝(26)には、往路および復路の中間(往路の終端)にロック部(図4における30)が設けてある。雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)に差し込み、ガイド溝(26)と従動ピン(9)とを摺動させながら、雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)に向けて押し込むと、従動ピン(9)がガイド溝(26)に沿って案内され、従動ピン(9)がロック部に至ったときに、雄型コネクタ(4)は雌型コネクタ(2)にロック(固定)される。そして、このロック状態にあるときに、雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)側に押すと、ロック部から従動ピン(9)が外れ、雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)から抜き出すことができる。このような雄型コネクタ(4)と雌型コネクタ(2)との嵌合離脱構造は、プッシュ・プッシュ型のコネクタ構造であり、前記の略ハート型ガイド溝(26)と従動ピン(9)との組み合わせにより、構成されている。このプッシュ・プッシュ型のコネクタ構造で用いられている略ハート型ガイド溝(26)と従動ピン(9)との組み合わせは、プッシュオン・プッシュオフ型とも称される機構であり、特許文献1には図4−図6に略ハート型ガイド溝の例が図示されている。
【0009】
上に示した特許文献1に記載のコネクタの嵌合離脱構造では、雄型コネクタ(4)と雌型コネクタ(2)との嵌合および離脱の操作が、雄型コネクタ(4)を雌型コネクタ(2)に向けて押す(プッシュ)ことだけである。ところが、このプッシュだけで、コネクタの嵌合・離脱ができる特許文献1の構造では、操作の容易性および離脱(抜取り)の操作の際におけるコネクタの損傷の抑制には一定の効果が期待できるとしても、プッシュオン・プッシュオフの動作を可能にするために、雄型コネクタ(4)には略ハート型ガイド溝(26)を設け、雌型コネクタ(2)には従動ピン(9)を設ける必要がある。したがって、プッシュオン・プッシュオフ動作(オルタネイト動作とも称される。)を可能にする格別な構造が、雄型および雌型のコネクタ双方に必要な特許文献1の構造では、汎用されている市販のプラグ又はジャックは何れも使用できない。
【0010】
例えば、DC 電源入力用のジャックをノートパソコン側に設け、ACアダプタの直流出力を導出するケーブルの先をプラグとするとき、ノートパソコンの製造者は、プッシュオン・プッシュオフ操作を可能にするための専用のDCジャック(ジャック型コネクタ)をノートパソコンに搭載したとしても、ACアダプタの直流出力用のケーブルの先に設けるDCプラグ(プラグ型コネクタ)を汎用品とし、市販されているACアダプタによるDC電源の給電を可能にすることが望まれる。
【0011】
そこで、本発明は、ジャックからプラグを抜き取る操作を容易にし、抜取り操作におけるジャックやプラグの損傷を抑制するとともに、汎用のプラグの使用を可能にするプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ及びジャックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するため、本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ及びジャックは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
(1)本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタは、第1及び第2の板バネ電極を有するジャックと、スリーブ電極およびティップ電極を有し、前記ジャックの入口側から奥側に向かって押し込まれることにより該ジャックに結合されるプラグとを有してなるコネクタであって、
前記プラグが前記ジャックの第1の位置まで押し込まれたとき、該プラグが該ジャックに保持されたホールド状態に該プラグ及び該ジャックを設定するとともに、該プラグ及び該ジャックが前記ホールド状態にあるときに、該プラグが前記奥側に向けてプッシュされると、該ホールド状態の解除を行い、この解除に続いて前記プラグを前記入口側に押し出すプッシュオン・プッシュオフ機構が前記ジャックに設けてあり、
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記プラグが前記第1の位置に向けて押し込まれる過程で前記第1及び第2の板バネ電極を曲げられることにより、前記第1及び第2の板バネ電極を前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触させるとともに、前記ホールド状態が解除されて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記第1及び第2の板バネ電極の曲げを元に戻し、前記第1の板バネ電極と前記スリーブ電極との接触及び第2の板バネ電極と前記ティップ電極との接触を解く
ことを特徴とする。
(2)本発明によるジャックは、プラグが入口側から奥側に向かって押し込まれることにより該プラグとの結合がなされたとき、該プラグのスリーブ電極およびティップ電極に接触する第1及び第2の板バネ電極を有するジャックであって、
前記プラグが第1の位置まで押し込まれたとき、該プラグとの前記結合が保持されたホールド状態に設定されるとともに、該ホールド状態にあるときに、該プラグが前記奥側に向けてプッシュされると、該ホールド状態の解除を行い、この解除に続いて前記プラグを前記入口側に押し出すプッシュオン・プッシュオフ機構が設けてあり、
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記プラグが前記第1の位置に向けて押し込まれる過程で前記第1及び第2の板バネ電極を曲げられることにより、前記第1及び第2の板バネ電極を前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触させるとともに、前記ホールド状態が解除されて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記第1及び第2の板バネ電極の曲げを元に戻し、前記第1の板バネ電極と前記スリーブ電極との接触及び第2の板バネ電極と前記ティップ電極との接触を解く
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ジャックからプラグを抜き取る操作を容易にし、抜取り操作におけるジャックやプラグの損傷を抑制するとともに、汎用のプラグの使用を可能にするプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ及びジャックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態であり、DC ジャックおよびDCプラグでなるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタを概念的に示す縦断面図である。
【図2】図1のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいて、DCプラグの先端がDC ジャックのフローティングベースに当接するまで、DCプラグをDC ジャックに挿入した状態を概念的に示す縦断面図である。
【図3】図1のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいて、DC ジャック内のフローティングベースが外内両電極に当接するまで、図2の状態よりも更に奥までDCプラグをDC ジャックに挿入した状態を概念的に示す縦断面図である。
【図4】図1のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいて、DC ジャック内のフローティングベースが外内両電極の屈曲点を押し下げ、その外内両電極をDCプラグの−+両電極に圧接させ、ハート状回転カム内におけるストッパーをロックされるまで、図3の状態よりも更に奥までDCプラグをDC ジャックに押し込んだホールド状態を概念的に示す縦断面図である。
【図5】図1のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいて、図4のホールド状態にあるときに、DCプラグをDC ジャックに向けて押すことにより、ハート状回転カム内におけるストッパーのロックを解除し、DC ジャック内の外内両電極がDCプラグの−+両電極から離れるまで、DCプラグを右方に押し出したホールド解除の状態を概念的に示す縦断面図である。
【図6】図1のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいて、ホールド解除により、DCプラグが図5の状態より更に右方に押し出された状態を概念的に示す縦断面図である。
【図7】本発明を採用したプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいてジャックからプラグを抜き出す方法と、従来のジャックからプラグを抜き出す方法とを対比して示す図である。
【図8】DCプラグを従来のDCジャックに結合する前の状態を概念的に示す縦断面図である。
【図9】DCプラグを従来のDCジャックに結合した状態を概念的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタは、ジャックがプッシュオン・プッシュオフ機構を有し、一回目にプラグをジャックに押し込むこと、つまり一回目のプラグのプッシュ、によりプラグはジャックにホールドされ、プラグがジャックにホールドされたホールド状態において2回目のプラグのプッシュを行うことにより、そのホールド状態が解除されるとともに、プラグがジャックから押し出される。プラグがジャックから押し出される方向は、プラグを押し込む方向と逆方向である。この本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタの採用により、ホールド状態の解除のために、手でプラグを無理やり強くジャックから引き抜く操作を要しないので、ホールド解除操作におけるジャックやプラグの損傷の可能性を大幅に低減できる。このプッシュオン・プッシュオフ機構はジャックにだけ設ければ足り、プッシュオン・プッシュオフ機構を備えたジャックは、汎用のプラグと結合できる。そこで、本発明によるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタは、ジャックからプラグを抜き取る操作を容易にし、抜取り操作におけるジャックやプラグの損傷を抑制することができ、しかも汎用のプラグの使用を可能にするものである。
【0017】
より具体的には、本発明のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおけるジャックは、プラグの抜き出し方向に付勢するバネで支えられたフローティングベースが第1回目のプラグのプッシュにより押されると、ジャックの筐体またはフローティングベースに設けられたハート状回転カム機構により、フローティングベースがロックされるとともに、プラグの第1及び第2の電極がジャックの第1及び第2の板バネ電極により挟まれ、保持され、ジャックがプラグを保持したホールド状態に至る。このホールド状態で、第2回目のプッシュがプラグに加えられると、ハート状回転カム機構によるロックが解除され、バネによりフローティングベースがプッシュとは逆の方向に押し出されるとともに、ホールド状態が解除される。すなわち、プラグを軸方向に1回プッシュすることにより、プラグとジャックのホールドがなされ、プラグを軸方向にもう1回プッシュすることにより、ホールド状態が解除され、プラグをジャックから抜き出すことができる。
【0018】
以下では、本発明のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタについて詳しく具体的に説明する。本発明のジャックは、このプッシュオン・プッシュオフ型コネクタを構成するジャックであるので、プッシュオン・プッシュオフ型コネクタの説明において、そのジャックも説明される。
【0019】
(図面を参照した実施形態の詳細説明)
次に、図面を参照して、本発明を一層具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態であり、DC ジャックおよびDCプラグでなるプッシュオン・プッシュオフ型コネクタを概念的に示す縦断面図である。この実施形態のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタは、DCジャック1及びDCプラグ2である。DCジャック1及びDCプラグ2は円筒形の筐体を有し、DCジャック1の円筒形筐体の内径はDCプラグ2の円筒形筐体の外径より僅かに大きい。DCプラグ2は、図1に示すように、軸を互いに揃えられて、DCジャック1に挿入される。DCプラグ2を更にDCジャック1の奥側に押し込むことにより、両者の電極が接触し、電極が接触した状態で両者は保持される。DCジャック1にDCプラグ2が結合されているときは、このように、DCジャック1とDCプラグ2とが、電極を互いに接触させ、電極を接触させた状態に維持される状態、すなわち保持状態になっている。
【0020】
DCジャック1は、バネ(圧縮コイルバネ)9、ハート状回転カム10、板バネでなる外側電極(−極)11、板バネでなる内側電極(+極)12、フローティングベース13、ロッド14、筐体に固定されている固定電極であるマイナス(−)電極端子101及びプラス(+)電極端子102を有してなる。板バネでなる外側電極(−極)11および板バネでなる内側電極(+極)12は、弾性を有する金属製である。ハート状回転カム10は、DCジャック1の筐体に固定してある。DCプラグ2は、スリーブ電極21およびティップ電極22を有してなる。スリーブ電極21は円筒形であり、ティップ電極22は細い円柱形の棒状体である。円筒形のスリーブ電極21と円柱形のティップ電極22とは同軸である。
【0021】
フローティングベース13は、円筒状の側壁を有し、表面側(図の右側)が円形開口13a及び13bを有する円板形の板(図においてハッチングを入れた部材。以下では、「前面板」と称することとする。)で覆われ、底面側(図の左側)が円板形の底板13eで覆われた缶状の中空体である。このフローティングベース13の円筒状の側壁には、軸方向に細長く延びたスリットが図の上側および下側に明けてある。但し、この上側および下側のスリットは、図では省略してある。
【0022】
板バネでなる外側電極11は、片端を−電極端子101に固定され、−電極端子101からDCジャック1の円筒形筐体の軸に直交する方向に伸び、フローティングベース13の上側のスリットを通ってやや曲線を描きながら屈曲部11aまで下方に向かって伸び、屈曲部11aで反転して折れ曲がり部11bで折れ曲がり、DCジャック1の筐体およびフローティングベース13の軸方向に伸びて、円形開口13aを通り抜けている。円形開口13aを通り抜けて終端する外側電極11の他端部は、図示のように、波形に成型してある。
【0023】
板バネでなる内側電極12は、片端を+電極端子102に固定され、+電極端子102からDCジャック1の円筒形筐体の軸に直交する方向に伸び、フローティングベース13の下側のスリットを通ってやや曲線を描きながら屈曲部12aまで上方に向かって伸び、屈曲部12aで反転して折れ曲がり部12bで折れ曲がり、DCジャック1の筐体およびフローティングベース13の軸方向に伸びて、円形開口13bを通り抜けている。円形開口13bを通り抜けて終端する内側電極12の他端部は、図示のように、45度程度外側に折れ曲げて成型してある。
【0024】
次に、DCジャック1にDCプラグ2を結合するときの動作について詳しく説明する。DCジャック1の内壁とDCプラグ2の外壁とは互いに接触し、摺動して挿入および取り出しが可能なように、DCジャック1の内壁面およびDCプラグ2の外壁面は成型してある。まず、図1に示すように、DCジャック1にDCプラグ2を挿入し、図の矢印Aの方向にDCプラグ2を押し込む(プッシュする)と、図2に示すように、DCプラグ2の先端がフローティングベース13に当接する。この図2の状態では、フローティングベース13の前面板は、外側電極11の屈曲部11aおよび内側電極12の屈曲部12aから離れている。
【0025】
図2の状態から、更に、図の矢印Aの方向にDCプラグ2を押し込む(プッシュする)と、図3に示すように、フローティングベース13の前面板がDCプラグ2の先端に押され、フローティングベース13の前面板が外側電極11の屈曲部11aおよび内側電極12の屈曲部12aに当接する。フローティングベース13が、図2の状態から図3の状態まで押し込まれる過程で、バネ9はDCジャック1の底面とフローティングベース13の底板13eとの間で圧縮され、バネ9はフローティングベース13を矢印Aとは逆の方向に押し戻そうとする力をフローティングベース13に加え続ける。図2の状態から図3の状態までプラグ2を押し込むとき、そのバネ9の反力に抗する力をプラグ2に加えて居ることになる。
【0026】
図2の状態から図3の状態までフローティングベース13が押し込まれる過程で、ハート状回転カム10の案内溝10aに嵌められているガイドピン14bは、フローティングベース13の移動量に応じた距離だけロッド14で押され、矢印Cの方向に移動する。フローティングベース13の底板13eに固定された固定ブロック13fには軸受け13gが設けてある。ロッド14の片端は、軸受13gと軸結合され、自在に回動できる。ガイドピン14bは、ロッド14の他端に設けてあり、ハート状回転カム10の案内溝10aに嵌められていて、ロッド14の片端(軸受13gに軸結合している部分)がDCジャック1の軸方向に前後するのに応じて、案内溝10aに案内されて時計回りに移動する。ハート状回転カム10の案内溝10a内に太線で描いてある部分は案内溝10aにおける高低差(段差)を示している。これら高低差は、ガイドピン14bが案内溝10a内を一方向だけに移動できるように規定するために設けてある。本実施形態では、ガイドピン14bは案内溝10a内を時計方向だけに移動できるように、高低差が設けてある。ハート状回転カム10は、オルタネイト動作機構を有するカムとして知られたカムである。オルタネイト動作機構は、プッシュオン・プッシュオフ型の押しボタンスイッチの操作機構等に使用されている。オルタネイト動作機構としては、ハート状カム方式、回転カム方式、ラチェットカム方式などが知られている。オルタネイト動作機構については、「小形ボタンスイッチ」、「制御機器の基礎知識 選び方・使い方 スイッチ・表示灯編」、(2001年8月)、社団法人日本電気制御機器工業会発行51頁、図3.8 ハートカム方式に記載されている。
【0027】
図4は、図3の状態から、更に、図の矢印Aの方向にDCプラグ2を押し込のだ(プッシュした)状態を示す。DCプラグ2に押されてフローティングベース13が図3の状態からDCジャック1の奥側に向けて更に押されると、ロッド14もその方向に押され、ガイドピン14bは図4の矢印D方向に進み、一旦最も奥側に到達し、行き止まりとなり、そこでDCプラグ2の押し込みは停止する。DCプラグ2をDCジャック1の奥に向けて押していた操作者は、DCプラグ2の押し込みが停止することにより、DCジャック1内に押し込める限界にまでDCプラグ2を押し込んだことを感得するので、DCプラグ2の押し込みを停止し、DCプラグ2から指を離す。すると、一旦案内溝10aの奥端まで案内されて行き止まりとなり、DCプラグ2を押す力が除かれると、バネ9の弾力によりフローティングベース13を図4の矢印B方向に押し戻す。ガイドピン14bは、この押し戻しに応じて、図4の矢印Eの方向に進み、図4に示す位置(案内溝10aの奥側の中央位置)で停止する。この状態は、ハート状回転カム10がロックされた状態である。
【0028】
固定ピン13c及び13dは、DCジャック1の筐体に固定されている。フローティングベース13が固定ピン13c及び13dに妨げられずにDCジャック1の軸方向に移動できるように、フローティングベース13の側壁には、固定ピン13c及び13dの太さより僅かに幅の広いスリットが明けてある。但し、これらのスリットの図示は省略してある。
【0029】
図3および図4に示すように、図3の状態から図4の状態に移行する過程で、フローティングベース13の前面板がDCプラグ2の先端に押され、フローティングベース13の前面板は外側電極11の屈曲部11aおよび内側電極12の屈曲部12aをDCジャック1の奥に向けて押す。このとき、外側電極11は固定ピン13cと屈曲部11aとの間で矢印Jの方向に曲げられ、内側電極12は固定ピン13dと屈曲部12aとの間で矢印Kの方向に曲げられる。
【0030】
図4に示すように、ハート状回転カム10がロックされた状態では、外側電極11が固定ピン13cと屈曲部11aとの間で矢印Jの方向に曲げられるので、折れ曲がり部11bから先の外側電極11はDCジャック1の筐体の軸方向、図4の矢印L方向に曲げられ、先端部(前述した外側電極11の他端)はDCプラグ2のスリーブ電極21に押し付けられる。
【0031】
このとき、内側電極12は、外側電極11と同様に、固定ピン13dと屈曲部12aとの間で矢印Kの方向に曲げられるので、折れ曲がり部12bから先の内側電極12はDCジャック1の筐体の軸方向、図4の矢印M方向に曲げられ、先端部(前述した内側電極12の他端)はDCプラグ2のティップ電極22に押し付けられる。
【0032】
図4における矢印LとMとは互い向き合う方向であるから、DCプラグ2は外側電極11の先端部および内側電極12の先端部により挟まれ、DCジャック1に保持される。この状態は、DCプラグ2がDCジャック1にホールドされた状態である。図4は、ハート状回転カム10がロックされた状態では、DCプラグ2がDCジャック1にホールドされることを示している。
【0033】
次に、DCプラグ2にホールドされたDCジャック1を、DCプラグ2から抜き出す操作を説明する。DCプラグ2にホールドされたDCジャック1を、DCプラグ2から抜き出す操作は、図4の状態にある、即ちホールド状態にあるDCプラグ2を図4の矢印Aの方向に押す(プッシュ)ことだけである。この第2回目のDCプラグ2の押し込みにより、ハート状回転カム10のロック状態が解除され、図5に示すように、ガイドピン14bは矢印F方向に進み、そのDCプラグ2の押し込みにより、ハート状回転カム10の案内溝10aの最も奥側にガイドピン14bに到達し、ガイドピン14bの進行が行き止まり点(最も奥の点)に達し、停止すると、DCプラグ2の押し込みが停止する。DCプラグ2を押している操作者は、DCプラグ2の押し込みが限界に達したことを感得し、DCプラグ2から手指を離すと、バネ9の弾力により、フローティングベース13が押し戻され、この押し戻しに応じてガイドピン14bは図5のG方向に進み、図6の状態、即ち図1の点(DCジャック1におけるフローティングベース13の押し込みが最も浅い点)に達して、ガイドピン14bは停止する。
【0034】
図5における矢印G方向にガイドピン14bが進められることにより、フローティングベース13及びDCプラグ2が図5の矢印B方向に押し出される。この過程で、フローティングベース13が図の右方向に押し出されるので、固定ピン13cと屈曲部11aとの間における外側電極11の曲がり(図4)は、図5に矢印Pで示す方向に戻る。同様に、固定ピン13dと屈曲部12aとの間における内側電極12の曲がり(図4)は、図5に矢印Qで示す方向に戻る。
【0035】
このように外側電極11の曲がりが戻ることにより、DCジャック1の軸に近づくように傾き、スリーブ電極21に押し付けられていた外側電極11の先端部は、図5に矢印Rで示す方向に動き、スリーブ電極21との接触を解く。同様に、内側電極12の曲がりが戻ることにより、DCジャック1の軸に近づくように傾き、ティップ電極22に押し付けられていた内側電極12の先端部は、図5に矢印Sで示す方向に動き、ティップ電極22との接触を解く。
【0036】
上記のように、ハート状回転カム10におけるロック状態が解除され、バネ9の弾力により、ガイドピン14bが案内溝10a内を矢印G方向(図5)に進み、フローティングベース13及びDCプラグ2が押し出されて図5の矢印B方向に進行する過程で、外側電極11の先端部および内側電極12の先端部で挟み付けられていたDCプラグ2が外側電極11の先端部および内側電極12の先端部から開放されるので、ガイドピン14bが案内溝10aの右端に到達したとき(図6)、フローティングベース13の押し出しは停止するが、DCプラグ2は慣性によりそのまま図6の矢印B方向に押し出される。かくして、図4に示すようにDCジャック1にホールドされていたDCプラグ2は、DCプラグ2をDCジャック1の奥側に向けてプッシュするだけで、DCジャック1とのホールド状態を解除され、押し込み方向とは逆の方向(図6の矢印Bの方向)に押し出され、DCジャック1との結合が解かれる。DCジャック1からDCプラグ2を抜き取る操作がDCプラグ2を1回プッシュするだけの簡単な操作であり、力任せの抜取り操作を要しないから、この抜き取る操作によりDCジャック1又はDCプラグ2が損傷することを抑制することができる。
【0037】
図7は、前述のとおり、本発明を採用したプッシュオン・プッシュオフ型コネクタにおいてジャックからプラグを抜き出す方法と、従来のジャックからプラグを抜き出す方法とを対比して示す図である。従来のジャックからプラグを抜き出す方法では、DCジャック100にDCプラグ2を結合するためには、図7(1)のようにDCジャック100とDCプラグ2との軸を互いに揃えてDCプラグ2を手指で把持し、図7(2)のようにDCジャック100の開口にDCプラグ2を押し込む。次に、DCジャック100とDCプラグ2との結合を解除するためには、図7(3)のように、DCプラグ2を手指で把持し、DCプラグ2を手前方向に引っ張る強い力を手指でDCプラグ2に加え、力任せにDCジャック100からDCプラグ2を抜き取る。これに対し、本願発明の実施の形態のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタでは、DCジャック1にDCプラグ2を結合する方法は上記従来の方法と同様であるが、DCジャック1とDCプラグ2との結合を解除する方法は、従来の方法とは全く異なる。実施の形態のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタでは、図7(3)に示すように、図の矢印A方向にDCプラグ2を押し込むという簡単な操作だけで、図7(4)に示すように、DCジャック1からDCプラグ2を抜き取ることができる。
【0038】
上に詳しく説明したように、本実施の形態によれば、DC ジャック1からDC プラグ2を抜き取る操作が容易であり、抜取り操作におけるDC ジャック1やDC プラグ2の損傷を抑制するとともに、このような簡易な抜き取りを可能にするプッシュオン・プッシュオフ機構はDC ジャック1側だけに設ければたり、DC プラグ2側には何らの格別な構造を要しないので、汎用のDC プラグの使用を可能にするプッシュオン・プッシュオフ型DC コネクタ及びDC ジャックを得ることができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、斯かる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。例えば、上述の実施形態では、ハート状回転カム10の案内溝10aはDC ジャック1の筐体に設けたが、本発明ではハート状回転カムの案内溝はフローティングベースに設けても差し支えない。ハート状回転カムの案内溝をフローティングベースに設けるときは、その案内溝で案内されるガイドピンが片端に設けられたロッドは、DC ジャック1の筐体に設けられた軸受と他端で軸結合するようにする。このような構造により、フローティングベースは、上述の実施形態のものと同様に、動作することができる。
【0040】
1 DCジャック
2 DCプラグ
9 バネ
10 ハート状回転カム
10a ハート状回転カム10の案内溝
11 外側電極
11a 屈曲部
11b 折れ曲がり部
12 内側電極
12a 屈曲部
12b 折れ曲がり部
13 フローティングベース
13a,13b 円形開口
13c,13d 固定ピン
13e フローティングベースの底板
13f 底板固定ブロック
13g 軸受
14 ロッド
14a 回転軸
14b ガイドピン
21 スリーブ電極
22 ティップ電極
100 DCジャック
101 マイナス(−)電極
102 プラス(+)電極
A,B DCプラグ2の移動方向を示す矢印
C,D,E,F,G,H ガイドピン14bの移動方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の板バネ電極を有するジャックと、スリーブ電極およびティップ電極を有し、前記ジャックの入口側から奥側に向かって押し込まれることにより該ジャックに結合されるプラグとを有してなるコネクタにおいて、
前記プラグが前記ジャックの第1の位置まで押し込まれたとき、該プラグが該ジャックに保持されたホールド状態に該プラグ及び該ジャックを設定するとともに、該プラグ及び該ジャックが前記ホールド状態にあるときに、該プラグが前記奥側に向けてプッシュされると、該ホールド状態の解除を行い、この解除に続いて前記プラグを前記入口側に押し出すプッシュオン・プッシュオフ機構が前記ジャックに設けてあり、
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記プラグが前記第1の位置に向けて押し込まれる過程で前記第1及び第2の板バネ電極を曲げられることにより、前記第1及び第2の板バネ電極を前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触させるとともに、前記ホールド状態が解除されて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記第1及び第2の板バネ電極の曲げを元に戻し、前記第1の板バネ電極と前記スリーブ電極との接触及び第2の板バネ電極と前記ティップ電極との接触を解く
ことを特徴とするプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ。
【請求項2】
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、フローティングベースと、バネと、ハート状回転カム機構とを有し、
前記バネは、前記ジャックの筐体を支点として前記フローティングベースを支え、前記プラグが前記第1の位置に向かって押し込まれる過程にあるとき、前記プラグ及び前記ジャックが前記ホールド状態にあるとき、並びに前記ホールド状態の解除がされ、この解除に続いて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記入口方向に向かう力で該フローティングベースを付勢し、
前記ローティングベースは、前記プラグが前記第1の位置に向かって押し込まれる過程にあるときに当接する位置に、該プラグの押込み・押し出され方向に移動可能に、配設してあり、
前記ハート状回転カム機構は、前記プラグが前記第1の位置に至ったときに、該プラグに押されている該フローティングベースをロック状態にすることにより、該プラグを前記ホールド状態に設定するとともに、該ホールド状態にある該プラグに対し前記奥側に向けたプッシュがされると、該プッシュに伴う該フローティングベースの前記奥側への移動に応じて、該ロック状態の解除を行い、該ロック状態の解除により該ホールド状態の解除を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ。
【請求項3】
前記フローティングベースには、前記第1及び第2の板バネ電極がそれぞれ通される第1及び第2の穴が設けてあり、
前記第1及び第2の板バネ電極は、前記第1及び第2の穴より前記奥側において前記ジャックの筐体に固定されている第1及び第2の固定電極に片端をそれぞれ固定され、該片端から、内側でかつプラグの押込み・押し出され方向である該ジャックの軸と交差する方向に向かって延伸するとともに、途中で屈曲して屈曲部をなし、該屈曲部から該片端側に折り返すとともに、更に前記入口側に折れ曲がって折れ曲がり部をなし、該折れ曲がり部から該ジャックの軸に概ね平行な方向に向けて延伸して、該第1及び第2の穴をそれぞれ通り抜け、前記入口側に更に延伸しており、
前記第1及び第2の穴をそれぞれ通り抜け、前記入口側に延伸した前記第1及び第2の板バネ電極の端を該第1及び第2の板バネ電極それぞれの他端とするとき、前記プラグが前記奥側に押し込まれることにより前記フローティングベースが該奥側に押し込まれる過程で、前記屈曲部が該フローティングベースにより該奥側に押され、前記片端から該屈曲部に至る間の前記第1及び第2の板バネ電極が曲げられることにより、前記折れ曲がり部から該他端に至る間の該第1及び第2の板バネ電極は、前記ジャックの軸に対し傾斜し、前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触する
ことを特徴とする請求項2に記載のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ。
【請求項4】
前記ハート状回転カム機構の案内溝が前記フローティングベースに設けてあり、
前記案内溝に嵌って案内されるガイドピンを片端に設けてあり、他端が前記ジャックにおける前記奥側の筐体に揺動可能に連結されている連結ロッドが前記ジャックに設けてある
ことを特徴とする請求項2または3のうちのいずれかに記載のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ。
【請求項5】
前記ジャックがDCジャックであり、前記プラグがDCプラグであることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれかに記載のプッシュオン・プッシュオフ型コネクタ。
【請求項6】
プラグが入口側から奥側に向かって押し込まれることにより該プラグとの結合がなされたとき、該プラグのスリーブ電極およびティップ電極に接触する第1及び第2の板バネ電極を有するジャックにおいて、
前記プラグが第1の位置まで押し込まれたとき、該プラグとの前記結合が保持されたホールド状態に設定されるとともに、該ホールド状態にあるときに、該プラグが前記奥側に向けてプッシュされると、該ホールド状態の解除を行い、この解除に続いて前記プラグを前記入口側に押し出すプッシュオン・プッシュオフ機構が設けてあり、
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記プラグが前記第1の位置に向けて押し込まれる過程で前記第1及び第2の板バネ電極を曲げられることにより、前記第1及び第2の板バネ電極を前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触させるとともに、前記ホールド状態が解除されて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記第1及び第2の板バネ電極の曲げを元に戻し、前記第1の板バネ電極と前記スリーブ電極との接触及び第2の板バネ電極と前記ティップ電極との接触を解く
ことを特徴とするジャック。
【請求項7】
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、フローティングベースと、バネと、ハート状回転カム機構とを有し、
前記バネは、筐体を支点として前記フローティングベースを支え、前記プラグが前記第1の位置に向かって押し込まれる過程にあるとき、前記ホールド状態にあるとき、並びに前記ホールド状態の解除がされ、この解除に続いて前記プラグが前記入口側に押し出される過程で、前記入口方向に向かう力で該フローティングベースを付勢し、
前記ローティングベースは、前記プラグが前記第1の位置に向かって押し込まれる過程にあるときに当接する位置に、該プラグの押込み・押し出され方向に移動可能に、配設してあり、
前記ハート状回転カム機構は、前記プラグが前記第1の位置に至ったときに、該プラグに押されている該フローティングベースをロック状態にすることにより、前記ホールド状態に設定するとともに、該ホールド状態にあるときに該プラグに対し前記奥側に向けたプッシュがされると、該プッシュに伴う該フローティングベースの前記奥側への移動に応じて、該ロック状態の解除を行い、該ロック状態の解除により該ホールド状態の解除を行う
ことを特徴とする請求項6に記載のジャック。
【請求項8】
前記フローティングベースには、前記第1及び第2の板バネ電極がそれぞれ通される第1及び第2の穴が設けてあり、
前記第1及び第2の板バネ電極は、前記第1及び第2の穴より前記奥側において筐体に固定されている第1及び第2の固定電極に片端をそれぞれ固定され、該片端から、内側でかつプラグの押込み・押し出され方向である該ジャックの軸と交差する方向に向かって延伸するとともに、途中で屈曲して屈曲部をなし、該屈曲部から該片端側に折り返すとともに、更に前記入口側に折れ曲がって折れ曲がり部をなし、該折れ曲がり部から該ジャックの軸に概ね平行な方向に向けて延伸して、該第1及び第2の穴をそれぞれ通り抜け、前記入口側に更に延伸しており、
前記第1及び第2の穴をそれぞれ通り抜け、前記入口側に延伸した前記第1及び第2の板バネ電極の端を該第1及び第2の板バネ電極それぞれの他端とするとき、前記プラグが前記奥側に押し込まれることにより前記フローティングベースが該奥側に押し込まれる過程で、前記屈曲部が該フローティングベースにより該奥側に押され、前記片端から該屈曲部に至る間の前記第1及び第2の板バネ電極が曲げられることにより、前記折れ曲がり部から該他端に至る間の該第1及び第2の板バネ電極は、前記ジャックの軸に対し傾斜し、前記スリーブ電極および前記ティップ電極にそれぞれ接触する
ことを特徴とする請求項7に記載のジャック。
【請求項9】
前記ハート状回転カム機構の案内溝が前記フローティングベースに設けてあり、
前記案内溝に嵌って案内されるガイドピンを片端に有し、他端が前記ジャックにおける前記奥側の筐体に揺動可能に連結されている連結ロッドが設けてある
ことを特徴とする請求項7または8のうちのいずれかに記載のジャック。
【請求項10】
前記プラグがDCプラグであることを特徴とする請求項6ないし9のうちのいずれかに記載のジャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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