説明

プッシュスイッチ装置

【課題】既存の押しボタンを除去して部品点数を低減すると共に、縦方向の厚さを大幅に薄くすることができ、かつ、組立作業が簡易で、生産性を向上させることができるプッシュスイッチ装置を提供する。
【解決手段】上部が開放された内部空間を有するハウジング10と、前記ハウジング10の開放された上部を覆う蓋板20と、前記ハウジング10内の底面に配置される接続片12b、13bをそれぞれ備える第1及び第2固定端子12、13と、前記ハウジング10の内部に設けられ、押圧により頂点部14aが弾性変形及び復元して前記第1固定端子12の接続片12bと第2固定端子13の接続片13bを電気的に接続または開放させるドーム状の可動端子14を備え、前記蓋板20は弾性変形及び復元可能な金属板材で形成して縁部をハウジング10に固定し、蓋板20の中央部分には可動端子14の頂点部に接触する押し突起21を下方に突設する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明はプッシュスイッチ装置に関するもので、より詳細には、ハウジングの開放部を覆う蓋板を利用して、ドーム状の可動端子の頂点部を下方に押圧するボタン機能を行うように構成することによって、部品点数を減らし、縦方向の厚さを減らしてさらに製品を薄型化することができるプッシュスイッチ装置に関するものである。
【0002】
[背景技術]
一般的に、プッシュスイッチは携帯端末機、ゲーム機、各種電子機器などに多く使用するもので、従来のプッシュスイッチの構成を図5に示した。図5に示したように、従来のプッシュスイッチは、一側が開放された絶縁樹脂材のハウジング1と、ハウジング1内に設けられたドーム状の可動端子2及び複数の固定端子3と、前記ハウジング1に押し操作可能に設けられて可動端子2を作動させる押しボタン4と、前記ハウジング1の開放部を覆う蓋板5から構成されている。
【0003】
したがって、押しボタン4の押し操作で可動端子2の頂点部を押圧すると、頂点部が下方に弾性変形及び復元して複数の固定端子3を電気的に接続または開放することによって、スイッチ機能を行う。
【0004】
このような従来のプッシュスイッチにおいて、前記ハウジング1と蓋板5の組立構成をみると、合成樹脂材のハウジング1に形成した係合突起1aと、金属材の蓋板5に形成した係合孔5aを含み、これらの係合作用により蓋板5がハウジング1に組み立てるようになる。即ち、ハウジング1の係合突起1aを蓋5の係合孔5aに嵌め込んだ後(図5の仮想線で示す状態)、係合孔5aを貫通して突出した係合突起1aの先端部分を熱溶融させて断面積を拡張させることによって、蓋板5をハウジング1に固定した。
【0005】
しかし、前述したような従来のプッシュスイッチ装置は、可動端子2の頂点部を押圧するための押しボタン4により縦方向の厚さが厚くなる短所があり、押しボタン4の上部が蓋板5の孔を通じて露出するので、蓋板5と押しボタン4との隙間にホコリなどが入り込む問題がある。
【0006】
また、ハウジング1の係合突起1aを蓋板5の係合孔5aに挿通させる工程と、係合孔5aに突出された係合突起1aを熱溶融させて断面積を拡張させる工程を行わなければならないため、組立工数が増加して生産性が低下し、さらに組立工程を自動化する場合コストが上昇する問題がある。
【0007】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
本発明は前述した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的はハウジングの開放部を覆う蓋板が可動端子の頂点部を押圧するボタン機能を行うように構成することによって、既存の押しボタンを除去して部品点数を低減すると共に、縦方向の厚さを大幅に薄くすることができるプッシュスイッチ装置を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的は、ハウジングと蓋板の組立構成を単一工程により行うようにして組立工数を減少させることによって、作業を簡易で、迅速に行って生産性が向上することができるプッシュスイッチ装置を提供することにある。
【0009】
[課題を解決するための手段]
前述した目的を達成するための本発明に係るプッシュスイッチ装置は、上部が開放された内部空間を有するハウジングと、前記ハウジングの開放された上部を覆う蓋板と、前記ハウジング内の底面に配置される接続片をそれぞれ備える第1及び第2固定端子と、前記ハウジングの内部に設けられ、押圧により頂点部が弾性変形及び復元して前記第1固定端子の接続片と第2固定端子の接続片を電気的に接続または開放させるドーム状の可動端子を備えたプッシュスイッチ装置において、前記蓋板は弾性変形及び復元可能な金属板材で形成され、その縁部はハウジングに固定され、蓋板の中央部分には可動端子の頂点部に接触する押し突起が下方に突設されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記蓋板の縁部にはU字状の複数の弾性固定片を形成し、前記ハウジングの開放部上面には前記複数の弾性固定片が挿入されて固定される複数の固定溝を形成したことが好ましい。
【0011】
また、前記ハウジングの開放部の上面と前記蓋板の上面には合成樹脂材の保護シートを付着したことが好ましい。
【0012】
さらに、前記蓋板の縁部と前記押し突起との間には容易な弾性変形のために、複数の貫通孔を形成したことが好ましい。
【0013】
[発明の効果]
前述した特徴の構成を有する本発明のプッシュスイッチ装置によれば、ハウジングの開放部を覆う蓋板の中央部分を押し下げると、弾性変形及び復元可能な金属材質で製作した蓋板が押し方向に弾性変形して中央部分の押し突起が下方に移動するようになるので、ドーム状の可動端子の頂点部は押し突起により押圧されて下方に弾性変形するようになり、それによってハウジング内に配置された第1固定端子の接続片と第2固定端子の接続片を電気的に接続させることによって、スイッチング機能を行うようになる。
【0014】
このように本発明は可動端子を押圧するボタン機能を、ハウジングの開放部を覆う開閉板により行うので、従来の押しボタンが不要であり、それによって部品点数を減らして生産性が向上し、製造単価を低減することができ、特に縦方向の厚さを大幅に薄くすることができるので、プッシュスイッチ装置をさらに薄型化できる。
【0015】
また、本発明は蓋板の弾性固定片をハウジングの固定溝に嵌め込む簡単な作業により蓋板う固定することによって、ハウジングと蓋板の組立作業を簡易で、迅速に行うことができる。それによって、製品組立時の工数が減少して生産性が向上し、組立工程を自動化する場合コストを低減できる。
【0016】
[発明を実施するための最良の形態]
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図2aと図2bはそれぞれ、本発明のプッシュスイッチ装置を示した分解斜視図及び断面図であり、本発明のプッシュスイッチ装置は内部空間を有する六面体形状のハウジング10を備える。ハウジング10は絶縁樹脂を射出成形して構成するもので、内部には部品を設けることができるように所定大きさの内部空間を有し、上部は開放されている。部品の設置後、開放部は金属材質の蓋板20で覆うようになっている。
【0017】
ハウジング10にはスイッチ機能のための第1及び第2固定端子12、13と、前記第1及び第2固定端子12、13を接続または開放してスイッチ機能を行う可動端子14が設けられる。
【0018】
第1及び第2固定端子12、13は伝導性金属で製造し、図1及び図3に示したように、ハウジング10の射出成形時共にモールドしてハウジング10内に埋め込む。第1及び第2固定端子12、13は外部との電気的接続のためにハウジング10の両側壁下部で外部に露出される固定片12a、13aをそれぞれ備え、ハウジング10の内部底面には前記可動端子14との接続のために露出した接続片12b、23bをそれぞれ備える。この時、第1固定端子12の接続片12bはハウジング10の底面中央に配置し、第2固定端子13の接続片13bはハウジング10の底面縁部の両側2個所にそれぞれ配置する。
【0019】
可動端子14は伝導性と弾性を有するステンレススチールで製造し、ドーム状に形成してハウジング10の底面上に設ける。上方にふっくらとした可動端子14の頂点部14aは第1固定端子12の接続片12b上に位置し、可動端子14の縁部は第2固定端子13の接続片13bに接触して設ける。したがって、可動端子14の頂点部14aを押圧して下方に弾性変形させると、図2bに示したように、可動端子14の頂点部14aが第1固定端子12の接続片12bに接触される。それによって、第1及び第2固定端子12、13が電気的に接続され、押圧力を除去すると、図2aに示したように、頂点部14aが弾性復元力により元の位置に復帰して第1及び第2固定端子12、13が電気的に開放される。
【0020】
前記可動端子14の頂点部14aを押圧するための押し機能はハウジング10の開放部を覆う蓋板20により行う。
【0021】
蓋板20は自体弾性により変形及び復元が可能な薄い金属板材、例えばステンレススチールで製造する。蓋板20の縁部はハウジング10に固設され、蓋板20の中央部分には可動端子14の頂点部14aに接触する押し突起21が下方に突設されている。
【0022】
したがって、蓋板20を押し操作して下方に弾性変形させると、中央部粉が下方に弾性変形しながら押し突起21が下方に移動し、それによって押し突起21が可動端子14の頂点部14aを押圧するようになる。この時、押し突起21は、可動端子14を押圧する際、押圧力を集中させて可動端子14の頂点部14aをはっきりと下方に弾性変形させる。
【0023】
一方、ハウジング10と蓋板20の固定構造をみると、前記蓋板20の縁部に形成されたU字状の複数の弾性固定片22と、前記ハウジング10の開放部上面に形成され、前記複数の弾性固定片22が挿入固定される複数の固定溝11からなる。
【0024】
この時、前記弾性固定片22と固定溝11は90度の等間隔で4個所に形成することが好ましく、前記U字状になった弾性固定片22の先端部の離間間隔は、これに対応するハウジング10の固定溝11の幅より大きくしなければならない。弾性固定片22の先端部の離間間隔が大きいほど、弾性固定片22を固定溝11に嵌め込む時の弾性復元力が大きくなって、固定溝11の側壁との固定状態を堅固に維持できる。
【0025】
一方、本発明はハウジング10の開放部の上面と前記蓋板20の上面に合成樹脂材の薄い保護シート30を接着剤で付着してハウジング10の内部にホコリなどの異質や湿気が入り込まないようにしている。
【0026】
また、前記蓋板20の変形例として、図4に示したように、縁部と押し突起21との間には容易な弾性変形のために、複数の貫通孔23を形成することが好ましい。前記貫通孔23は中央部分の押し突起21を中心とする円周上に等間隔で複数配置し、また半径方向にも複数の円周上に交互に配置することが好ましく、貫通孔23の形状は円周方向に延びる長孔の形態が好ましい。
【0027】
このように構成した本発明の作用を説明すれば次の通りである。
【0028】
図2a及び図2bに示したように、プッシュスイッチ装置の操作のために蓋板20の中央部分を押さえると、蓋板20の縁部が固定されているので、中央部粉が下方に弾性変形しながら押し突起21が可動端子14の方に移動して可動端子14の頂点部14aを押し下げるようになる。
【0029】
この時、蓋板20は自体弾性による変形及び復元が可能な薄い金属板材で製造したものであるので、弾性変形が容易に行われる。
【0030】
このように蓋板20の押し突起21が可動端子14の頂点部14aを押圧すると、図3bに示したように、可動端子14の頂点部14aが下方に弾性変形してハウジング10に配置された第1固定端子12の接続片12bと接触する。したがって、第1固定端子12と第2固定端子13は電気的に接続された状態になる。
【0031】
この時、蓋板20の押圧突起36は、押圧力を可動端子14の頂点部14aに集中させるので、可動端子14の頂点部14aを下方に弾性変形させる機能をはっきりと行うことができる。
【0032】
次に、蓋板20の押し力を除去すると、可動端子14と蓋板20はそれぞれ、自体の弾性復元力により元の位置に復帰する。それによって、可動端子14の頂点部14aが第1固定端子12の接続片12bと離間するので、第1固定端子12と第2固定端子13は再び電気的に開放された状態になる。
【0033】
このように本発明のプッシュスイッチ装置は蓋板20を押す操作のみにより可動端子14の頂点部14aを押圧するスイッチング機能が行われ、繰り返しにスイッチング機能を行うことができる。
【0034】
また、本発明はハウジング10と蓋板20の固定作業が非常に簡易で、迅速に行われる。即ち、蓋板20のU字状の弾性固定片22をハウジング10の固定溝11に嵌め込むと、固定溝11に挿入される過程で弾性固定片22が収縮して内部に弾性復元力が生じ、固定溝11に完全に挿入された後には内部の弾性復元力により弾性固定片22が拡張されて固定溝11の側壁に密着するようになる。したがって、蓋板20をハウジング10に固定した状態を維持できる。
【0035】
[産業上の利用可能性]
以上のように、本発明によれば、ハウジングの開放部を覆う蓋板が可動端子の頂点部を押圧するボタン機能を行うようにすることによって、既存の押しボタンを除去して部品点数を低減すると共に、縦方向の厚さを大幅に薄くすることができ、ハウジングと蓋板の組立作業を単一工程で行うように構成して組立工数を減少できる。それによって、組立作業が簡易で、迅速に行われて生産性を向上させることができる。従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【0036】
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることがわかるはずである。
【0037】
[図面の簡単な説明]
[図1]
本発明に係るプッシュスイッチ装置を示した分解斜視図である。
【0038】
[図2]
図2a及び図2bは本発明に係るプッシュスイッチ装置の作動状態を示した縦断面図である。
【0039】
[図3]
本発明に係るプッシュスイッチ装置において第1及び第2固定端子の設置状態を示したハウジングの横断面図である。
【0040】
[図4]
本発明に係るプッシュスイッチ装置において蓋板の変形例を示した平面図である。
【0041】
[図5]
従来のプッシュスイッチ装置を示した縦断面図である。
【0042】
[符号の説明]
10 ハウジング
11 固定溝
12、13 第1及び第2固定端子
14 可動端子
20 蓋板
21 押し突起
22 弾性固定片
23 貫通孔
30 保護シート
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るプッシュスイッチ装置を示した分解斜視図である。
【図2a】図2aは本発明に係るプッシュスイッチ装置の作動状態を示した縦断面図である。
【図2b】図2bは本発明に係るプッシュスイッチ装置の作動状態を示した縦断面図である。
【図3】本発明に係るプッシュスイッチ装置において第1及び第2固定端子の設置状態を示したハウジングの横断面図である。
【図4】本発明に係るプッシュスイッチ装置において蓋板の変形例を示した平面図である。
【図5】従来のプッシュスイッチ装置を示した縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された内部空間を有するハウジングと、前記ハウジングの開放された上部を覆う蓋板と、前記ハウジング内の底面に配置される接続片をそれぞれ備える第1及び第2固定端子と、前記ハウジングの内部に設けられ、押圧により頂点部が弾性変形及び復元して前記第1固定端子の接続片と第2固定端子の接続片を電気的に接続または開放させるドーム状の可動端子を備えたプッシュスイッチ装置において、
前記蓋板は弾性変形及び復元可能な金属板材で形成され、その縁部はハウジングに固定され、蓋板の中央部分には可動端子の頂点部に接触する押し突起が下方に突設されていることを特徴とするプッシュスイッチ装置。
【請求項2】
前記蓋板の縁部にはU字状の複数の弾性固定片を形成し、前記ハウジングの開放部上面には前記複数の弾性固定片が挿入されて固定される複数の固定溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ装置。
【請求項3】
前記ハウジングの開放部の上面と前記蓋板の上面には合成樹脂材の保護シートを付着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプッシュスイッチ装置。
【請求項4】
前記蓋板の縁部と前記押し突起との間には容易な弾性変形のために、複数の貫通孔を形成したことを特徴とする請求項3に記載のプッシュスイッチ装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−58450(P2013−58450A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197514(P2011−197514)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(510298263)マグマ カンパニー リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】MAGMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】75−2,Pungmu−dong,Gimpo−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】