説明

プッシュローラ清浄機能を有する舗装機械

【課題】 従来の舗装機械は、プッシュローラの清浄をその都度作業員の手で行っていたため、手間が掛かっていた。
【解決手段】 アスファルトフィニッシャ1は、各プッシュローラ10L,10Rに噴出口が向けられた各ノズル30L,30Rから舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構を備える。このため、各プッシュローラ10L,10Rに舗装材付着防止剤または清浄剤が撒布されることで、各プッシュローラ10L,10Rが洗浄され、また、これら各部に舗装材が付着するのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装材運搬車の後輪と接触して回転しながら舗装材運搬車を押すプッシュローラを備えた舗装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプッシュローラを備えた舗装機械としては、例えばアスファルトフィニッシャがある。アスファルトフィニッシャは、ダンプトラックの後輪にプッシュローラを接触させて回転させながらダンプトラックを押して前進する。そして、ダンプトラックに積載されているアスファルト合材がホッパに投入され、投入された合材をコンベヤにより後方へ搬送して路面に落下させ、スクリュで路面幅方向に撒き拡げる。路面に撒き拡げられた合材は、スクリード装置前方のデフレクタおよびストライクオフにより供給量が調整されて、タンパ装置に供給される。タンパ装置は、タンパモータの駆動によりタンパエッジを上下動させて、路面に撒かれた合材を突き固める。突き固められた合材はスクリードプレートで敷き均される。
【0003】
ストライクオフおよびスクリードプレートは、例えば、特許文献1に開示されるように、加熱装置によって加熱されるため、舗装面が平滑にアイロン仕上げされると共に、合材が付着するのが防止される。また、ストライクオフおよびスクリードプレートの加熱の際の余熱によりタンパエッジも加熱されて、タンパエッジに合材が付着するのも防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のアスファルトフィニッシャは、ストライクオフやタンパエッジに合材が付着するのは防止されるが、ホッパ内の合材が車体の前方に流れ出てしまったり、ダンプトラックの車輪に合材が付着していたりすると、プッシュローラに合材が付着してしまう。プッシュローラに合材が付着すると、付着した合材がプッシュローラ周囲の車体などと干渉してプッシュローラが回転できなくなってしまう。このため、従来、作業員がプッシュローラに付着防止剤や清浄剤を手で撒布することにより、プッシュローラに合材が付着するのが予め防止されたり、付着した合材が取り除かれていた。従って、上記従来のアスファルトフィニッシャは、プッシュローラの清浄をその都度作業員の手で行っていたため、手間が掛かっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
前方を走行する舗装材運搬車から供給される舗装材を収容するホッパと、
ホッパを備えた車体の前方に設けられ、舗装材運搬車の後輪と接触して回転しながら舗装材運搬車を押すプッシュローラと、
プッシュローラに噴出口が向けられて車体に設けられたノズルを有し、ノズルからプッシュローラに舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構と
を備えて、プッシュローラ清浄機能を有する舗装機械を構成した。
【0007】
この構成によれば、車体に設けられたノズルからプッシュローラに舗装材付着防止剤または清浄剤が撒布機構によって撒布されることで、プッシュローラに舗装材が付着するのが防止され、または付着した舗装材が取り除かれる。このため、従来のように、作業員がプッシュローラに付着防止剤や清浄剤を手で撒布する手間を掛けることなく、プッシュローラの清浄が行える。
【発明の効果】
【0008】
この結果、本発明によるプッシュローラ清浄機能を有する舗装機械によれば、プッシュローラを清浄したり、舗装材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャの構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すアスファルトフィニッシャの車体の前方部分を一部拡大した側面図である。
【図3】図2に示すアスファルトフィニッシャのホッパを除いて図示した平面図である。
【図4】図2に示すプッシュローラを一部拡大した側面図である。
【図5】図1に示すアスファルトフィニッシャが備える撒布機構の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明によるプッシュローラ清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0011】
図1は、この一実施の形態によるアスファルトフィニッシャ1の側面図である。
【0012】
アスファルトフィニッシャ1は、車体の前部にホッパ2を備え、車体の前方の車体フレーム13にブラケット14を介してプッシュローラ10が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、前方を走行するダンプトラックなどの舗装材運搬車の後輪とこのプッシュローラ10を接触させて回転させながら舗装材運搬車を押し、ホッパ2にアスファルト加熱混合物であるアスファルト合材(以下、合材という)の供給を受ける。ホッパ2の底には、ホッパ2に供給された合材を搬送するコンベヤ3(図3参照)が設けられており、コンベヤ3の後方の車体下部にはスクリュが設けられている。スクリュは、スクリュ軸の外周にスクリュ羽根が形成されており、スクリュ軸が定速回転するのに伴いスクリュ羽根が旋回し、コンベヤ3から供給されて舗装面R上に落下した合材を舗装面Rの幅方向に撒き拡げる。車体の後方には、撒き拡げた合材を敷き均して舗装面を平滑に仕上げるスクリード装置5が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、車体の前方および後方に設けられた一対の前輪6L,6Rおよび一対の後輪7L,7Rによって進行方向である同図左方に走行し、スクリード装置5を牽引する。また、車体上部の運転席8には操作部9が設けられており、操作部9には、アスファルトフィニッシャ1の走行を操作する走行スイッチや、スクリード装置5を操作する操作レバーや操作スイッチなどが設けられている。
【0013】
図2は、図1に示すアスファルトフィニッシャ1の車体の前方部分を一部拡大した側面図、図3は図2に示すアスファルトフィニッシャ1のホッパ2を除いて図示した平面図、図4は図2に示すプッシュローラ10を一部拡大した側面図である。なお、図2から図4において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0014】
プッシュローラ10は、図3に示すように、車体フレーム13の左側に設けられたプッシュローラ10L、および車体フレーム13の右側に設けられたプッシュローラ10Rからなる。プッシュローラ10Lは、ブラケット14L,14Lによってシャフト12Lの両端が支持され、シャフト12Lの周囲に図示しないベアリングを介してパイプ11Lが回転自在に設けられている。また、プッシュローラ10Rは、同様に、ブラケット14R,14Rによってシャフト12Rの両端が支持され、シャフト12Rの周囲に図示しないベアリングを介してパイプ11Rが回転自在に設けられている。各パイプ11L,11Rの外周と車体フレーム13との間には所定の隙間が設けられている。
【0015】
図2に示すように、アスファルトフィニッシャ1の車体の後部には、洗浄液タンク21が搭載されている。この洗浄液タンク21には洗浄液が収納されており、この洗浄液は、プッシュローラ10L,10Rに合材が付着するのを防止する舗装材付着防止剤、および付着した合材を除去して清浄する清浄剤として用いられる。洗浄液タンク21にはポンプ22が設けられており、ポンプ22にはホース23を介してバルブ24が接続されている。バルブ24には、ホース25Lを介して配管26Lが接続されており、ホース25Rを介して図3に示す配管26Rが接続されている。図3に示すように、配管26Lはプッシュローラ10Lに沿ってブラケット14L,14L間の車体フレーム13に配置され、配管26Rはプッシュローラ10Rに沿ってブラケット14R,14R間の車体フレーム13に配置されている。配管26Lにはプッシュローラ10Lに噴出口が向けられたノズル30Lが所定間隔で複数設けられ、配管26Rにはプッシュローラ10Rに噴出口が向けられたノズル30Rが所定間隔で複数設けられている。ノズル30Lは、図4に示すようにプッシュローラ10Lの右方下部に位置し、ノズル30Rも、ノズル30Lと同様に、プッシュローラ10Rの右方下部に位置し、洗浄液タンク21に収納されている洗浄液をプッシュローラ10L,10Rに撒布する。洗浄液タンク21、ポンプ22、ホース23、バルブ24、ホース25L,25R、配管26L,26Rおよびノズル30L,30Rは、舗装材付着防止剤および清浄剤を撒布する撒布機構を構成している。
【0016】
図5(a)は、アスファルトフィニッシャ1が備える上述した撒布機構の構成を示したブロック図である。なお、図5において図2から図4と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0017】
洗浄液タンク21に収納されている洗浄液は、ポンプ22が発生する送圧力によってホース23を介してバルブ24へ送出される。バルブ24は、通常閉じていてホース23からの洗浄液の流れを阻止している。ポンプ22と洗浄液タンク21との間には、バルブ24が開いていない状態において、洗浄液をポンプ22から洗浄液タンク21に戻し、洗浄液タンク21とポンプ22との間で循環させるリリーフ経路33が設けられている。バルブ24は、運転席8の操作部9などに備えられたスイッチ32の操作に応じて、ホース23からの洗浄液を流路を切り換えて流す。つまり、スイッチ32の操作により、プッシュローラ10Lに洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25L側に切り換えて流し、配管26Lに設けられた各ノズル30Lからプッシュローラ10Lに洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、プッシュローラ10Rに洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25R側に切り換えて流し、配管26Rに設けられた各ノズル30Rからプッシュローラ10Rに洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、プッシュローラ10L,10Rに洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25L,25Rの双方に流し、各配管26L,26Rに設けられた各ノズル30L,30Rから各プッシュローラ10L,10Rに洗浄液を噴霧して撒布させる。
【0018】
このような本実施形態によるアスファルトフィニッシャ1によれば、上記のように、スイッチ32が操作されてポンプ22から送出される洗浄液がバルブ24によりホース25L,25Rの双方に流されると、各ノズル30L,30Rから各プッシュローラ10L,10Rに舗装材付着防止剤または清浄剤が上述した撒布機構によって撒布されることで、プッシュローラ10L,10Rに舗装材が付着するのが防止され、または付着した舗装材が取り除かれる。このため、従来のように、作業員がプッシュローラ10L,10Rに付着防止剤や清浄剤を手で撒布する手間を掛けることなく、プッシュローラ10L,10Rの清浄が行える。この結果、本実施形態によるプッシュローラ清浄機能を有するアスファルトフィニッシャ1によれば、プッシュローラ10L,10Rを清浄したり、合材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【0019】
なお、上記実施形態では、ポンプ22を駆動状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてバルブ24を開いて、洗浄液の流路を切り換えて各ノズル30L,30Rから洗浄液を撒布する構成としたが、本発明はこれに限られることはない。例えば、図5(b)に示すように、スイッチ32をポンプ22に接続し、バルブ24を開いた状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてポンプ22を駆動制御するように構成してもよい。この構成では、スイッチ32がオン操作されるとポンプ22から洗浄液が送出されてホース23を経由してバルブ24へ送出され、各ノズル30L,30Rから洗浄液が撒布される。この構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0020】
また、上記実施形態では、ホイール式のアスファルトフィニッシャ1に本発明を適用した場合について説明したが、クローラ式のアスファルトフィニッシャに本発明を適用してもよい。この場合においても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上記の実施形態においては、本発明によるプッシュローラ清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、リミキサやリペーバといった路上表層再生機などの舗装機械に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1…アスファルトフィニッシャ
10L,10R…プッシュローラ
11L,11R…パイプ
12L,12R…シャフト
13…車体フレーム
14L,14L,14R,14R…ブラケット
21…洗浄液タンク
22…ポンプ
23,25L,25R…ホース
24…バルブ
26L,26R…配管
30L,30R…ノズル
32…スイッチ
33…リリーフ経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方を走行する舗装材運搬車から供給される舗装材を収容するホッパと、
前記ホッパを備えた車体の前方に設けられ、前記舗装材運搬車の後輪と接触して回転しながら前記舗装材運搬車を押すプッシュローラと、
前記プッシュローラに噴出口が向けられて前記車体に設けられたノズルを有し、前記ノズルから前記プッシュローラに舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構と
を備えるプッシュローラ清浄機能を有する舗装機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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