プライマー、プライマーセット、それを用いた核酸増幅方法および変異検出方法
【課題】核酸の二重らせん構造を効果的に検出可能なプライマーの提供。
【解決手段】下記式(16)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸であるプライマー。
Bは、核酸塩基骨格を有する原子団であり、Eは、デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団。
【解決手段】下記式(16)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸であるプライマー。
Bは、核酸塩基骨格を有する原子団であり、Eは、デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団。
Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸配列を増幅するためのプライマーであって、
下記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)または(18b)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸であることを特徴とするプライマー。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
L1、L2およびL3は、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L1、L2およびL3は、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(16)および(16b)中、L1およびL2は前記リンカーであり、L3、Dおよびbは存在せず、L1およびL2がBに直接結合していてもよく、
ただし、
式(16)、(17)および(18)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
式(16b)、(17b)および(18b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
【請求項2】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
L1、L2およびL3の主鎖長(主鎖原子数)が、それぞれ2以上の整数である、請求項1記載のプライマー。
【請求項3】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
Z11およびZ12が、エキシトン効果を示す原子団である、請求項1または2記載のプライマー。
【請求項4】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
Z11およびZ12が、それぞれ独立に、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、シアニン、ヘミシアニン、その他のシアニン色素、メチルレッド、アゾ色素またはそれらの誘導体から誘導される基である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプライマー。
【請求項5】
Z11およびZ12が、それぞれ独立に、下記式(7)から(9)のいずれかで表される原子団である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプライマー。
【化7】
【化8】
【化9】
式(7)〜(9)中、
X1およびX2は、SまたはOであり、
nは、0または正の整数であり、
R1〜R10、R13〜R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、
R11およびR12のうち、一方は、前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中のL1もしくはL2に結合する連結基であり、他方は、水素原子または低級アルキル基であり、
R15は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
R16は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
Z11中のX1、X2およびR1〜R21と、Z12中のX1、X2およびR1〜R21とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項6】
前記式(7)〜(9)中、
R1〜R21において、前記低級アルキル基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であり、前記低級アルコキシ基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルコキシ基である、請求項5記載のプライマー。
【請求項7】
前記式(7)〜(9)中、
R11およびR12において、前記連結基が、炭素数2以上のポリメチレンカルボニル基であり、カルボニル基部分で前記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中のL1もしくはL2に結合する、請求項5または6記載のプライマー。
【請求項8】
標的核酸配列を増幅するためのプライマーセットであって、
一対のプライマーを含み、
前記一対のプライマーの少なくとも一方のプライマーが、請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーであることを特徴とするプライマーセット。
【請求項9】
前記プライマーセットが、等温増幅法に使用するプライマーセットである、請求項8記載のプライマーセット。
【請求項10】
さらに、鎖置換能を有するポリメラーゼを含む、請求項9記載のプライマーセット。
【請求項11】
さらに、ミスマッチ結合タンパク質を含む、請求項9または10記載のプライマーセット。
【請求項12】
前記ミスマッチ結合タンパク質が、MutS、MSH2およびMSH6からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項11に記載のプライマーセット。
【請求項13】
前記一対のプライマーが、一方のプライマーの形態と他方のプライマーの形態とが異なる非対称型である、請求項9から12のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項14】
前記一対のプライマーが、第一のプライマーと第二のプライマーとを含み、
前記第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含んでなり、かつ前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むものであり、
前記第二のプライマーが、前記標的核酸配列の相補配列の3’末端部分の配列(C)にハイブリダイズする配列(Cc’)を3’末端部分に含んでなり、かつ相互にハイブリダイズする2つの核酸配列を同一鎖上に含む折返し配列(D−Dc’)を前記配列(Cc’)の5’側に含むものである、請求項13記載のプライマーセット。
【請求項15】
前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方が、前記標識核酸である、請求項13または14記載のプライマーセット。
【請求項16】
前記プライマーセットが、さらに、第三のプライマーを含み、
前記第三のプライマーは、前記標的核酸配列またはその相補配列にハイブリダイズし、かつ標的核酸配列またはその相補配列へのハイブリダイゼーションについて他のプライマーと競合しないプライマーであり、
前記第三のプライマーは、前記第一のプライマーまたは第二のプライマーの増幅産物が部分的に一本鎖の状態になった時に、その一本鎖部分に存在する標的核酸配列にアニーリングすることができ、これにより前記増幅産物中の標的核酸配列に新たな相補鎖合成起点が提供されるプライマーである、請求項13から15のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項17】
前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方に加えて、または、代えて、前記第三のプライマーが前記標識核酸である、請求項16記載のプライマーセット。
【請求項18】
前記一対のプライマーが、一方のプライマーの形態と他方のプライマーの形態とが同じ対称型である、請求項9から12のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項19】
前記プライマーセットが、ランプ法に使用するプライマーセットである、請求項18記載のプライマーセット。
【請求項20】
前記プライマーセットが、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法に使用するプライマーセットである、請求項8記載のプライマーセット。
【請求項21】
標的核酸配列を増幅する核酸増幅方法に使用する核酸増幅用キットであり、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマー、または、請求項8から20のいずれか一項に記載のプライマーセットを含むことを特徴とする核酸増幅用キット。
【請求項22】
等温増幅法に使用するための核酸増幅用キットであり、請求項9から19のいずれか一項に記載のプライマーセットを含む、請求項21記載の核酸増幅用キット。
【請求項23】
PCR法に使用するための核酸増幅用キットであり、請求項20記載のプライマーセットを含む、請求項21記載の核酸増幅用キット。
【請求項24】
標的核酸配列における変異の有無を検出する変異検出方法に使用する変異検出用キットであり、
請求項21から23のいずれか一項に記載の核酸増幅用キットを含むことを特徴とする変異検出用キット。
【請求項25】
核酸試料中の標的核酸配列を増幅する方法であって、下記(A)工程と、下記(B)または(B’)工程とを含むことを特徴とする核酸増幅方法。
(A) 前記核酸試料を準備する工程
(B) 請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマー、または、請求項8から20のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(B’) 下記(B1’)工程および(B2’)工程を含む工程
(B1’) プライマー、または、一対のプライマーを含むプライマーセットを用いて、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(B2’) 前記(B1’)工程で増幅した一本鎖の核酸配列と、下記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)または(18b)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸からなるプローブとのハイブリダイゼーションを行う工程
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
L1、L2およびL3は、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L1、L2およびL3は、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(16)および(16b)中、L1およびL2は前記リンカーであり、L3、Dおよびbは存在せず、L1およびL2がBに直接結合していてもよく、
ただし、
式(16)、(17)および(18)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
式(16b)、(17b)および(18b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
【請求項26】
前記(B)または(B’)工程における核酸増幅が、等温増幅法による核酸増幅反応である、請求項25記載の核酸増幅方法。
【請求項27】
前記等温増幅法が、鎖置換能を有するポリメラーゼを用いた増幅法である、請求項26記載の核酸増幅方法。
【請求項28】
前記(B)または(B’)工程において、ミスマッチ結合タンパク質の存在下、核酸増幅を行う、請求項26または27記載の核酸増幅方法。
【請求項29】
前記ミスマッチ結合タンパク質が、MutS、MSH2およびMSH6からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項28に記載の核酸増幅方法。
【請求項30】
前記(B)工程における前記プライマーセットが、請求項9から19のいずれか一項に記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項31】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項13から17のいずれか一項に記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項32】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項18または19記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項33】
前記(B)または(B’)工程における核酸増幅が、PCR法による核酸増幅反応である、請求項25記載の核酸増幅方法。
【請求項34】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項20記載のプライマーセットである、請求項33記載の核酸増幅方法。
【請求項35】
前記(B)工程において、検出波長が異なる蛍光性原子団を有する2種類以上の請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用する、請求項25から34のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項36】
前記標的核酸配列が変異を有する核酸配列であって、
前記(B)工程において、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーと、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーとを使用する、請求項25から35のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項37】
核酸試料中の標的核酸配列における変異の有無を検出する方法であって、
下記(a)〜(c)工程を含むことを特徴とする変異検出方法。
(a) 請求項25から36のいずれか一項に記載の核酸増幅方法により、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(b) 前記(a)工程の前後における蛍光強度をそれぞれ測定する工程
(c) 前記(b)工程で測定した前記(a)工程前後の蛍光強度を比較することにより、変異の有無を検出する工程
【請求項38】
前記変異が、塩基の置換、欠失または挿入である、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項39】
前記(a)工程において、検出波長が異なる蛍光性原子団を有する2種類以上の請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用して、標的核酸配列を増幅し、
前記(c)工程において、前記各蛍光性原子団に応じた各検出波長により、それぞれの蛍光強度を測定する、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項40】
前記(a)工程において、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーと、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーとを使用する、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項41】
標的核酸配列に対するプライマーの特異性を向上させる方法であって、
前記標的核酸配列を増幅するための前記プライマーとして、請求項1から7のいずれか一項に記載の蛍光原子団を有するプライマーを使用することを特徴とする特異性の向上方法。
【請求項42】
標的核酸配列に対するプライマーの特異性を向上させる方法であって、
前記標的核酸配列を増幅するための前記プライマーとして、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用し、
さらに、前記プライマーの特異性を向上させるプライマーとして、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーを併用することを特徴とする特異性の向上方法。
【請求項43】
請求項25から36のいずれか一項に記載の核酸増幅方法を実施するための核酸増幅装置であって、
核酸増幅反応を実施する反応部と、前記反応部の温度を制御する温度制御手段と、前記反応部の蛍光強度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする核酸増幅装置。
【請求項44】
請求項37から40のいずれか一項に記載の変異検出方法を実施するための変異検出装置であって、
核酸増幅反応を実施する反応部と、前記反応部の温度を制御する温度制御手段と、前記反応部の蛍光強度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする変異検出装置。
【請求項1】
標的核酸配列を増幅するためのプライマーであって、
下記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)または(18b)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸であることを特徴とするプライマー。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
L1、L2およびL3は、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L1、L2およびL3は、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(16)および(16b)中、L1およびL2は前記リンカーであり、L3、Dおよびbは存在せず、L1およびL2がBに直接結合していてもよく、
ただし、
式(16)、(17)および(18)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
式(16b)、(17b)および(18b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
【請求項2】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
L1、L2およびL3の主鎖長(主鎖原子数)が、それぞれ2以上の整数である、請求項1記載のプライマー。
【請求項3】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
Z11およびZ12が、エキシトン効果を示す原子団である、請求項1または2記載のプライマー。
【請求項4】
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、
Z11およびZ12が、それぞれ独立に、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、シアニン、ヘミシアニン、その他のシアニン色素、メチルレッド、アゾ色素またはそれらの誘導体から誘導される基である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプライマー。
【請求項5】
Z11およびZ12が、それぞれ独立に、下記式(7)から(9)のいずれかで表される原子団である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプライマー。
【化7】
【化8】
【化9】
式(7)〜(9)中、
X1およびX2は、SまたはOであり、
nは、0または正の整数であり、
R1〜R10、R13〜R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、
R11およびR12のうち、一方は、前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中のL1もしくはL2に結合する連結基であり、他方は、水素原子または低級アルキル基であり、
R15は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
R16は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
Z11中のX1、X2およびR1〜R21と、Z12中のX1、X2およびR1〜R21とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項6】
前記式(7)〜(9)中、
R1〜R21において、前記低級アルキル基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であり、前記低級アルコキシ基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルコキシ基である、請求項5記載のプライマー。
【請求項7】
前記式(7)〜(9)中、
R11およびR12において、前記連結基が、炭素数2以上のポリメチレンカルボニル基であり、カルボニル基部分で前記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中のL1もしくはL2に結合する、請求項5または6記載のプライマー。
【請求項8】
標的核酸配列を増幅するためのプライマーセットであって、
一対のプライマーを含み、
前記一対のプライマーの少なくとも一方のプライマーが、請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーであることを特徴とするプライマーセット。
【請求項9】
前記プライマーセットが、等温増幅法に使用するプライマーセットである、請求項8記載のプライマーセット。
【請求項10】
さらに、鎖置換能を有するポリメラーゼを含む、請求項9記載のプライマーセット。
【請求項11】
さらに、ミスマッチ結合タンパク質を含む、請求項9または10記載のプライマーセット。
【請求項12】
前記ミスマッチ結合タンパク質が、MutS、MSH2およびMSH6からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項11に記載のプライマーセット。
【請求項13】
前記一対のプライマーが、一方のプライマーの形態と他方のプライマーの形態とが異なる非対称型である、請求項9から12のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項14】
前記一対のプライマーが、第一のプライマーと第二のプライマーとを含み、
前記第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含んでなり、かつ前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むものであり、
前記第二のプライマーが、前記標的核酸配列の相補配列の3’末端部分の配列(C)にハイブリダイズする配列(Cc’)を3’末端部分に含んでなり、かつ相互にハイブリダイズする2つの核酸配列を同一鎖上に含む折返し配列(D−Dc’)を前記配列(Cc’)の5’側に含むものである、請求項13記載のプライマーセット。
【請求項15】
前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方が、前記標識核酸である、請求項13または14記載のプライマーセット。
【請求項16】
前記プライマーセットが、さらに、第三のプライマーを含み、
前記第三のプライマーは、前記標的核酸配列またはその相補配列にハイブリダイズし、かつ標的核酸配列またはその相補配列へのハイブリダイゼーションについて他のプライマーと競合しないプライマーであり、
前記第三のプライマーは、前記第一のプライマーまたは第二のプライマーの増幅産物が部分的に一本鎖の状態になった時に、その一本鎖部分に存在する標的核酸配列にアニーリングすることができ、これにより前記増幅産物中の標的核酸配列に新たな相補鎖合成起点が提供されるプライマーである、請求項13から15のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項17】
前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方に加えて、または、代えて、前記第三のプライマーが前記標識核酸である、請求項16記載のプライマーセット。
【請求項18】
前記一対のプライマーが、一方のプライマーの形態と他方のプライマーの形態とが同じ対称型である、請求項9から12のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項19】
前記プライマーセットが、ランプ法に使用するプライマーセットである、請求項18記載のプライマーセット。
【請求項20】
前記プライマーセットが、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法に使用するプライマーセットである、請求項8記載のプライマーセット。
【請求項21】
標的核酸配列を増幅する核酸増幅方法に使用する核酸増幅用キットであり、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマー、または、請求項8から20のいずれか一項に記載のプライマーセットを含むことを特徴とする核酸増幅用キット。
【請求項22】
等温増幅法に使用するための核酸増幅用キットであり、請求項9から19のいずれか一項に記載のプライマーセットを含む、請求項21記載の核酸増幅用キット。
【請求項23】
PCR法に使用するための核酸増幅用キットであり、請求項20記載のプライマーセットを含む、請求項21記載の核酸増幅用キット。
【請求項24】
標的核酸配列における変異の有無を検出する変異検出方法に使用する変異検出用キットであり、
請求項21から23のいずれか一項に記載の核酸増幅用キットを含むことを特徴とする変異検出用キット。
【請求項25】
核酸試料中の標的核酸配列を増幅する方法であって、下記(A)工程と、下記(B)または(B’)工程とを含むことを特徴とする核酸増幅方法。
(A) 前記核酸試料を準備する工程
(B) 請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマー、または、請求項8から20のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(B’) 下記(B1’)工程および(B2’)工程を含む工程
(B1’) プライマー、または、一対のプライマーを含むプライマーセットを用いて、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(B2’) 前記(B1’)工程で増幅した一本鎖の核酸配列と、下記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)または(18b)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸からなるプローブとのハイブリダイゼーションを行う工程
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
L1、L2およびL3は、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L1、L2およびL3は、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(16)および(16b)中、L1およびL2は前記リンカーであり、L3、Dおよびbは存在せず、L1およびL2がBに直接結合していてもよく、
ただし、
式(16)、(17)および(18)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
式(16b)、(17b)および(18b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
【請求項26】
前記(B)または(B’)工程における核酸増幅が、等温増幅法による核酸増幅反応である、請求項25記載の核酸増幅方法。
【請求項27】
前記等温増幅法が、鎖置換能を有するポリメラーゼを用いた増幅法である、請求項26記載の核酸増幅方法。
【請求項28】
前記(B)または(B’)工程において、ミスマッチ結合タンパク質の存在下、核酸増幅を行う、請求項26または27記載の核酸増幅方法。
【請求項29】
前記ミスマッチ結合タンパク質が、MutS、MSH2およびMSH6からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項28に記載の核酸増幅方法。
【請求項30】
前記(B)工程における前記プライマーセットが、請求項9から19のいずれか一項に記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項31】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項13から17のいずれか一項に記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項32】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項18または19記載のプライマーセットである、請求項26から29のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項33】
前記(B)または(B’)工程における核酸増幅が、PCR法による核酸増幅反応である、請求項25記載の核酸増幅方法。
【請求項34】
前記(B)工程におけるプライマーセットが、請求項20記載のプライマーセットである、請求項33記載の核酸増幅方法。
【請求項35】
前記(B)工程において、検出波長が異なる蛍光性原子団を有する2種類以上の請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用する、請求項25から34のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項36】
前記標的核酸配列が変異を有する核酸配列であって、
前記(B)工程において、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーと、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーとを使用する、請求項25から35のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
【請求項37】
核酸試料中の標的核酸配列における変異の有無を検出する方法であって、
下記(a)〜(c)工程を含むことを特徴とする変異検出方法。
(a) 請求項25から36のいずれか一項に記載の核酸増幅方法により、核酸試料中の標的核酸配列を増幅する工程
(b) 前記(a)工程の前後における蛍光強度をそれぞれ測定する工程
(c) 前記(b)工程で測定した前記(a)工程前後の蛍光強度を比較することにより、変異の有無を検出する工程
【請求項38】
前記変異が、塩基の置換、欠失または挿入である、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項39】
前記(a)工程において、検出波長が異なる蛍光性原子団を有する2種類以上の請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用して、標的核酸配列を増幅し、
前記(c)工程において、前記各蛍光性原子団に応じた各検出波長により、それぞれの蛍光強度を測定する、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項40】
前記(a)工程において、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーと、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーとを使用する、請求項37記載の変異検出方法。
【請求項41】
標的核酸配列に対するプライマーの特異性を向上させる方法であって、
前記標的核酸配列を増幅するための前記プライマーとして、請求項1から7のいずれか一項に記載の蛍光原子団を有するプライマーを使用することを特徴とする特異性の向上方法。
【請求項42】
標的核酸配列に対するプライマーの特異性を向上させる方法であって、
前記標的核酸配列を増幅するための前記プライマーとして、前記標的核酸配列における変異部位を含む領域に対して完全に相補な配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のプライマーを使用し、
さらに、前記プライマーの特異性を向上させるプライマーとして、前記変異部位を含む領域に対して前記変異部位を除いて完全に相補な配列を有するプライマーを併用することを特徴とする特異性の向上方法。
【請求項43】
請求項25から36のいずれか一項に記載の核酸増幅方法を実施するための核酸増幅装置であって、
核酸増幅反応を実施する反応部と、前記反応部の温度を制御する温度制御手段と、前記反応部の蛍光強度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする核酸増幅装置。
【請求項44】
請求項37から40のいずれか一項に記載の変異検出方法を実施するための変異検出装置であって、
核酸増幅反応を実施する反応部と、前記反応部の温度を制御する温度制御手段と、前記反応部の蛍光強度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする変異検出装置。
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図25】
【図26】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図24】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図25】
【図26】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図24】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2009−171935(P2009−171935A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35325(P2008−35325)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(501293666)株式会社ダナフォーム (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(501293666)株式会社ダナフォーム (25)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]