説明

プライマー組成物およびこれを用いる積層体

【課題】低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、再塗布しても優れた接着発現性を有するプライマー組成物の提供。
【解決手段】ポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および溶剤を含有し、前記(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000〜150,000であり、前記(メタ)アクリル樹脂と前記ポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]が90/10〜10/90であるプライマー組成物、ならびに無機材料と当該プライマー組成物から得られるプライマー層とを有する積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプライマー組成物およびこれを用いる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人はこれまでに、芳香族ポリイソシアネートと、熱可塑性ポリウレタン樹脂と、塩素化ポリオレフィンおよび塩化ビニリデン共重合体のうちから選ばれた少なくとも1種と、末端にアルコキシシランを有するポリウレタンと、前者4種を溶解する不活性溶媒を含有するプライマー組成物を提案した(特許文献1)。また、本願出願人はガラス等との接着性に関し特許文献2、特許文献3を提案した。ガラス用プライマー組成物として特許文献4が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭53−23335号公報
【特許文献2】特開2008−105416号公報
【特許文献3】特開2005−154573号公報
【特許文献4】特開平2−145661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら本願発明者は造膜樹脂としてポリウレタンを使用する場合低温においてシーリング材のような無機材料に対する接着発現速度に関し改善の余地があることを見出した。また、造膜樹脂がアクリル樹脂のみでありオープンタイムが著しく長くなった場合、プライマー組成物を再塗布する必要があり、その際のプライマー組成物の接着発現性にバラツキが見られることが多いという問題点があることを本願発明者は見出した。
そこで本発明は低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、再塗布しても優れた接着発現性を有するプライマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および溶剤を含有し、前記(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000〜150,000であり、前記(メタ)アクリル樹脂と前記ポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]が90/10〜10/90であるプライマー組成物が低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、オープンタイムが長くなっても再塗布の必要がなく、再塗布しても優れた接着発現性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜10を提供する。
1. ポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および溶剤を含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000〜150,000であり、
前記(メタ)アクリル樹脂と前記ポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]が90/10〜10/90であるプライマー組成物。
2. 前記(メタ)アクリル樹脂が、メチルメタクリレート単独重合体、メチルアクリレート単独重合体、ならびに、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から得られる共重合体のうちの1種または2種以上である上記1に記載のプライマー組成物。
3. 前記反応物の量は、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して10〜400質量部である上記1または2に記載のプライマー組成物。
4. 前記ポリイソシアネート(II)の量は、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して30〜300質量部である上記1〜3のいずれかに記載のプライマー組成物。
5. 前記反応物と前記ポリイソシアネート(II)との量比[反応物/ポリイソシアネート(II)(質量比として)]は、10/90〜90/10である上記1〜4のいずれかに記載のプライマー組成物。
6. さらに、カーボンブラックを含有する上記1〜5のいずれかに記載のプライマー組成物。
7. 前記カーボンブラックの量は、前記反応物、前記ポリイソシアネート(II)、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の、固形分の合計100質量部に対して、3〜100質量部である上記6に記載のプライマー組成物。
8. 無機材料と上記1〜7のいずれかに記載のプライマー組成物から得られるプライマー層とを有する積層体。
9. 前記無機材料がガラスまたはシリコーンハードコートである上記8に記載の積層体。
10. 前記プライマー層の上にさらにシーリング材を有する上記8または9に記載の積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプライマー組成物は低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、当該プライマー組成物を再塗布しても優れた接着発現性を有する。
本発明の積層体は低温において無機材料とプライマー層との接着発現速度が速く、本発明のプライマー組成物を再塗布しても優れた接着発現性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のプライマー組成物は、
ポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および溶剤を含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000〜150,000であり、
前記(メタ)アクリル樹脂と前記ポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]が90/10〜10/90であるプライマー組成物である。
本発明のプライマー組成物は低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、当該プライマー組成物を再塗布する必要がなく、当該プライマー組成物を再塗布しても優れた接着発現性を有する。本発明において、接着発現性としては例えば低温における接着発現性が挙げられる。また接着発現性は、プライマー間、基材とプライマーとの間、およびプライマーとシーリング材のような接着剤との間からなる群から選ばれる少なくとも1種における接着発現性をいう。
【0009】
反応物について以下に説明する。本発明のプライマー組成物に含有される反応物はポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応生成物である。
反応物はポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物であれば特に制限されない。
反応物は低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、さらにイソシアネート基を有するのが好ましい。
反応物がアルコキシシリル基以外に有することができる有機基としては例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。
反応物はヘテロ原子を有することができる。また反応物はさらに例えば、イソシアネート基、イソシアヌレート体骨格、アダクト体由来の骨格、ビューレット体由来の骨格、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合(NH−CO−NH、NH−CO−Nを含む。)を有することができる。
反応物としては例えば下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【化1】


式中、R1はポリイソシアネート(I)からイソシアネート基を除く残基であり、Yはイソシアネート基と反応可能な官能基とイソシアネート基とから形成される基であり、R4は有機基または単結合であり、R2はアルコキシ基であり、R3は炭化水素基であり、mは1〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、xは0〜3の整数である。
1はポリイソシアネート(I)からイソシアネート基を除く残基は特に制限されない。脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状を含む。)、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。残基は例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
Y(イソシアネート基と反応可能な官能基とイソシアネート基とから形成される基)としては、例えば、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合(NH−CO−NH、NH−CO−Nを含む。)が挙げられる。
4としての有機基は炭素原子数1〜8であるのが好ましい。有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプチル基、オクチル基のような脂肪族炭化水素基;フェニレン基、キシリレン基のような芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、フェニル基のような芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。
mは1〜3の整数であるのが好ましい。
nは2〜3の整数であるのが好ましい。
xは0〜2の整数であるのが好ましい。
【0010】
本発明において反応物はポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得ることができる。
反応物の製造の際に使用されるポリイソシアネート(I)は、イソシアネート基が2個以上結合している化合物であれば特に制限されない。例えば、脂肪族ポリイソシアネート(鎖状の脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを含む。)、芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレート体、アダクト体、ビューレット体、ウレタンプレポリマーが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。
【0011】
イソシアヌレートとしては、例えば、下記式で表される、トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとのイソシアヌレート体が挙げられる。この化合物の市販品として商品名ディスモジュールHLが挙げられる。
【化2】

【0012】
アダクト体としては、例えば、下記式で表される、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が挙げられる。この化合物の市販品としてデスモジュールLが挙げられる。
【化3】

【0013】
ウレタンプレポリマーはポリイソシアネートとポリオールとを反応させることによって得られるものであれば特に制限されない。ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリオールとしては例えば、トリメチロールプロパン;ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールのようポリオキシアルキレンポリオール;ポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;そのほかウレタンプレポリマーの製造に使用することができるのものが挙げられる。ウレタンプレポリマーの製造に使用されるポリイソシアネートはイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート(I)と同様のものが挙げられる。
【0014】
反応物を製造する際に使用されるアルコキシシランは、イソシアネート基と反応可能な官能基とアルコキシシリル基とを有する化合物であれば特に制限されない。イソシアネート基と反応可能な官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基が挙げられる。アルコキシシリル基はケイ素原子に少なくとも1個のアルコキシ基が結合するものであれば特に制限されない。モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられる。ケイ素原子に結合する、アルコキシ基以外の基は炭化水素基であればよい。例えば、メチル基、エチル基のような脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、不飽和結合を含む。)、シクロヘキシル基のような脂環式炭化水素基、フェニル基のような芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。アルコキシシリル基としては例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基が挙げられる。
アルコキシシランが官能基およびアルコキシシリル基以外に有することができる有機基は特に制限されない。反応物が有する有機基と同様である。官能基、アルコキシシリル基は有機基に結合することができる。
アルコキシシランとしては、例えば、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、3−(n−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(n−プロピルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランのような第二級アミン(イミノ基)を有するアルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシランのようなメルカプト基を有するアルコキシシランが挙げられる。
【0015】
反応物[ポリイソシアネート(I)とアルコキシシランとの組み合わせ]としては具体的には例えば、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)とトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体、HDIとTDIとから得られるイソシアヌレート体およびTMPとキシリレンジイソシアネート(XDI)との付加物からなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物と、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、3−(n−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(n−プロピルアミノ)プロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上のアルコキシシランとを付加させて得られる反応物が挙げられる。
なかでも、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)とトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体、および/またはHDIとTDIとから得られるイソシアヌレート体と、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとを反応させて得られる反応物が好ましい。
【0016】
ポリイソシアネート(I)とアルコキシシランとの量比は、イソシアネート基/官能基(モル比)で1以上とすることができる。反応物はポリイソシアネート(I)が有するイソシアネート基がすべてアルコキシシランと反応したものであってもよい。また反応物はポリイソシアネート(I)が有するイソシアネート基の一部がアルコキシシランと反応したものであってもよい。
【0017】
反応物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応物を2種以上を組み合わせて使用する場合、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、イソシアネート基を1個以上とアルコキシシリル基を1〜3個とチオウレタン結合、ウレア結合、アダクト体骨格およびトリイソシアヌレート骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有する化合物(III)と、アルコキシシリル基を4個以上とチオウレタン結合、ウレア結合、アダクト体骨格およびトリイソシアヌレート骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種と有する化合物(IV)とを併用するのが好ましい。化合物(IV)はイソシアネート基を有してもよい。
化合物(III)としては具体的には、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとHDI/TDIイソシアヌレート体とをNCO基/SH基=2/1(モル比)で反応させることによって得られた化合物A(化合物Aはイソシアネート基を2個、アルコキシシリル基を2個、イソシアヌレート骨格およびチオウレタン結合を有するイソシアネートシランである。)、
3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランとトルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体とをNCO基/NH基=2/1(モル比)で反応させることによって得られた化合物B(化合物Bはイソシアネート基を2個、アルコキシシリル基を1個、ウレタン結合およびウレア結合を有するイソシアネートシラン)、およびイソシアネート基を1個、アルコキシシリル基を2個、ウレタン結合およびウレア結合を有するイソシアネートシランの混合物である。)が挙げられる。
化合物(IV)としては具体的には、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとHDI/TDIイソシアヌレート体とをNCO基/SH基(モル比)=1/1で反応させることによって得られた化合物C(化合物Cはアルコキシシリル基を4個、イソシアヌレート骨格およびチオウレタン結合を有する反応物である。反応物Cはイソシアネート基を有さない。)が挙げられる。
反応物は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、化合物(III)と化合物(IV)とを併用するのが好ましい。
化合物(III)と化合物(IV)との質量比(化合物AまたはB:化合物C)は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、10:1〜1:10であるのが好ましい。
ポリイソシアネート(I)とアルコキシシランとの反応は特に制限されない。例えば、ポリイソシアネート(I)とアルコキシシランとを溶媒中で混合し室温〜40℃程度の条件下において撹拌することによって反応物を製造することができる。
【0018】
ポリイソシアネート(II)について以下に説明する。本発明のプライマー組成物に含有されるポリイソシアネート(II)はイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート(II)は反応物を製造する際に使用されるポリイソシアネート(I)と同義である。
なかでも、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布しても優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるという観点から、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)あるいはトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体、HDIおよび/またはTDIとから得られるイソシアヌレート体であるのが好ましい。
【0019】
ポリウレタン化合物について以下に説明する。本発明のプライマー組成物に含有されるポリウレタン化合物はウレタン結合を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。本発明においてポリウレタン化合物はバインダー樹脂として使用される。ポリウレタン化合物はプライマー組成物にバインダー樹脂、造膜樹脂、皮膜形成成分として使用されるものとすることができる。例えば、熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。またポリウレタン化合物はウレタンプレポリマーであってもよい。ウレタンプレポリマーは反応物を製造する際に使用することができるウレタンプレポリマーと同義である。例えば、アジペート系ポリエステルポリウレタンが挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル樹脂について以下に説明する。本発明のプライマー組成物に含有される(メタ)アクリル樹脂は、その分子量が15,000〜150,000である。このような範囲の場合低温において無機材料に対する接着発現速度を速くすることができ、プライマー組成物を再塗布する必要がなく、再塗布しても優れた接着発現性を有し、溶剤への溶解性に優れる。(メタ)アクリル樹脂の分子量が150,000を超える場合溶剤への溶解性が低くなりバインダー樹脂としての効果が低下する。本発明において(メタ)アクリル樹脂の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で表わされる重量平均分子量である。(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるいという観点から、30,000〜150,000であるのが好ましく、50,000〜150,000であるのがより好ましい。本発明において(メタ)アクリル樹脂はバインダー樹脂として使用される。なお本発明において(メタ)アクリル樹脂はアクリル樹脂またはメタクリル樹脂のうちの一方または両方であることを意味する。
【0021】
(メタ)アクリル樹脂はその構造について特に制限されない。例えば、アクリル酸、そのエステル、メタクリル酸、そのエステルの、単独重合体または共重合体が挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのような(メタ)アクリルシラン等をモノマーとして用いた重合体、共重合体、これらのブレンド物が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂はモノマーとして上記以外に上記のモノマーと共重合可能な単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリル、ジエン系モノマー)を使用することができる。
なかでも、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有し、耐水性に優れるいという観点から、メチルメタクリレート単独重合体、メチルアクリレート単独重合体、ならびに、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から得られる共重合体のうちの1種または2種以上であるのが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は例えばアルコキシシリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基のような官能基で変性されていないのが分子量アップによる増粘で作業性が低下しないという観点から好ましい態様の一つとして挙げられる。
【0022】
本発明において(メタ)アクリル樹脂とポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]は90/10〜10/90である。このような範囲の場合低温において無機材料に対する接着発現速度を速くすることができ、プライマー組成物を再塗布する必要がなく、再塗布しても優れた接着発現性を有する。(メタ)アクリル樹脂とポリウレタン化合物の重量比は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有するという観点から、70/30〜30/70であるのが好ましい。
【0023】
ここで、反応物の量は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有するという観点から、ポリウレタン化合物および(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して、10〜400質量部であるのが好ましく、20〜300質量部であるのがより好ましい。
ポリイソシアネート(II)の量は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有するという観点から、ポリウレタン化合物および(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して、30〜300質量部であるのが好ましく、40〜250質量部であるのがより好ましい。
反応物とポリイソシアネート(II)との量比[反応物/ポリイソシアネート(II)(質量比として)]は、低温において無機材料・有機材料の双方に対する接着発現速度がより速く、再塗布の必要がなく、再塗布してもより優れた接着発現性を有するいという観点から、10/90〜90/10であるのが好ましく、20/80〜80/20であるのがより好ましい。
【0024】
溶剤について以下に説明する。本発明のプライマー組成物に含有される溶剤は反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物および(メタ)アクリル樹脂に対して不活性であれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。なかでも沸点が低く、アクリル樹脂の溶解性が良い等の理由から酢酸エチル、MEKが好ましい。溶剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤の量は組成物中の50〜95質量%とすることができる。
【0025】
本発明のプライマー組成物はさらにカーボンブラックを含有することができる。本発明のプライマー組成物がさらにカーボンブラックを含有する場合耐候性に優れるという観点から好ましい。本発明のプライマー組成物がさらに含有することができるカーボンブラックは特に制限されない。例えば、米国材料試験協会規格におけるN110、N220、N330、N550、N770等、またはこれらの混合物が挙げられる。カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カーボンブラックの量は、低温において無機材料に対する接着発現速度がより速く、耐候性に優れるいという観点から、カーボンブラック以外のプライマー組成物の固形分100質量部[前記反応物(固形分)、前記ポリイソシアネート(II)(固形分)、前記ポリウレタン化合物(固形分)および前記(メタ)アクリル樹脂(固形分)の固形分合計量:100質量部]に対して、3〜100質量部であるのが好ましく、5〜80質量部であるのがより好ましい。
【0026】
本発明のプライマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で上記各種成分以外に必要に応じてさらに添加剤を含有することができる。添加剤としては例えば、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤が挙げられる。各添加剤は特に制限されない。
本発明のプライマー組成物はその製造について特に制限されない。例えば、反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および必要に応じて使用することができる、カーボンブラック、添加剤を、溶剤中で、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等によって混合する方法が挙げられる。
本発明のプライマー組成物を適用することができる基材(被着体)としては、例えば、無機材料、プラスチック、ゴムが挙げられる。
本発明のプライマー組成物は5℃以下という低温においても接着発現速度が速く、接着性に優れ、当該プライマー組成物を再塗布する必要がなく、本発明のプライマー組成物を用いて形成されたプライマー層の上に本発明のプライマー組成物を再塗布しても優れた接着発現性を有する。
本発明のプライマー組成物は、基材とシーリング材とを接着させるプライマー組成物として使用することができる。シーリング材は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明のプライマー組成物は、低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、被着体に塗布した後の接着保持性が高く、再塗布の必要がなく、再塗布しても優れた接着発現性を有する。特にガラスやシリコーンハードコートのような無機材料の被着体に対する接着性(特に低温接着性)が高く、接着速度が速い。
このため本発明のプライマー組成物は、自動車等のガラス固定用シーラントの使用に際し、高温条件下であっても低温条件下であっても、無機材料(ガラスやシリコーンハードコート)に用いられるプライマー組成物として好適である。
本発明のプライマー組成物は自動車のガラスのほか、例えば、住居、ビル等の窓ガラスに使用することができる。
【0027】
本発明の積層体について以下に説明する。
本発明の積層体は、無機材料と本発明のプライマー組成物から得られるプライマー層とを有する積層体である。
本発明の積層体に使用されるプライマー組成物は本発明のプライマー組成物であれば特に制限されない。本発明の積層体に使用される無機材料としては、例えば、ガラス、シリコーンハードコート、セラミック、モルタル、コンクリート、磁器、金属が挙げられる。
ガラスは特に制限されない。ガラスとして例えば白ガラス、シリコーンハードコートでコーティングされた樹脂ガラスを使用することができる。
無機材料としてシリコーンハードコートが使用される場合、その基材を例えば、シリコーンハードコート以外の無機材料;プラスチック、ゴムのような有機材料とすることができる。
【0028】
本発明の積層体はプライマー層の上にさらにシーリング材を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明の積層体にさらに使用されるシーリング材は特に制限されない。例えば、ウレタン系シーリング材、シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材が挙げられる。なかでも接着性に優れるという観点から、ポリウレタン系シーリング材が好ましい。
本発明の積層体としては、例えば、
無機材料/本発明の組成物/シーリング材、
無機材料/本発明の組成物/シーリング材/塗板、金属、プラスチックまたはゴム
無機材料または有機材料/シリコーンハードコート/本発明の組成物/シーリング材、
無機材料または有機材料/シリコーンハードコート/本発明の組成物/シーリング材/塗板、金属、プラスチックまたはゴム
が挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<プライマー組成物の製造>
第1表に示す成分を同表に示す量で使用しこれらを20℃の条件下で混合してプライマー組成物を製造した。
【0030】
<評価>
上記のようにして得られたプライマー組成物を用いて接着性を以下に示す方法で評価した。結果を第1表に示す。
[接着性]
接着性の評価において被着体としてフロートガラス(白ガラス)またはシリコーンハードコートされたポリカーボネート樹脂を使用した。シーリング材としてウレタン系シーリング材(商品名 WS−222、横浜ゴム社製)を使用した。
被着体にプライマー組成物を不織布を用いて塗布し、20℃、65%相対湿度の条件下で2分間乾燥させた。次いでプライマー層の上にシーリング材を塗布して以下の条件で養生させ積層体を得た。このように、まずプライマー組成物を20℃、65%相対湿度の条件下で2分間乾燥させて得られた積層体を使用して評価された接着性の評価結果を接着性(初期)として第1表に示す。
また、プライマー組成物を密閉状態で60℃の条件下に2週間置き、その後室温に戻して、被着体にプライマー組成物を不織布を用いて塗布し、20℃、65%相対湿度の条件下で2分間乾燥させた。次いでプライマー層の上にシーリング材を塗布して以下の条件で養生させ積層体を得た。このように、まずプライマー組成物を密閉状態で60℃の条件下に2週間置いたのち用いて20℃、65%相対湿度の条件下で2分間乾燥させて得られた積層体を使用して評価された接着性の評価結果を接着性(60℃2W)として第1表に示す。
得られた積層体を用いて手剥離による剥離試験を行い破壊モードを目視で観察した。
評価基準としては、シーリング材が凝集破壊した場合を「CF」、シーリング材とプライマー間の剥離を「PS」、プライマーとプライマーとの間の剥離を「PF」、プライマーと被着体との間の剥離を「AF」とした。
【0031】
・初期 3D:積層体を20℃、65%相対湿度の条件下で3日間養生させた。
・耐熱 100℃ 4W:上記の初期3Dの後、積層体を100℃の条件下に4週間置いた。
・耐水 80℃水 2W:上記の初期 3Dの後、積層体を80℃の水中に2週間置いた。
・低温接着発現 5℃ 1W:積層体を5℃、50%相対湿度の条件下で1週間養生させた。
・S−UV(耐候性) 2C・3C:上記の初期 3Dの後、紫外線(エネルギー量100mJ/m2、岩崎電気社製 アイスーパーUVテスター SUV−F11紫外線照射装置を用いた。)を1サイクル25時間として2回照射を行なったものを2C、3回照射を行なったものを3Cとし、その後剥離試験を行った。
・再塗布性:被着体にプライマー組成物を塗布後、20℃65%相対湿度14日後に、再び同じプライマー組成物を最初のプライマー組成物に上に塗布してから積層体を作製し、5℃、50%相対湿度の条件下で2週間養生させた後、シーリング材としてウレタン系シーリング材(商品名 WS−222、横浜ゴム社製)を塗布して20℃、65%相対湿度の条件下で3日間養生させ、剥離試験を行った。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
・溶剤:酢酸エチル
・カーボンブラック:カーボンブラック
・ポリウレタン化合物:アジペート系熱可塑ポリエステルポリウレタン、商品名パンデックスT5205 、DIC社製、固形分100%
・(メタ)アクリル樹脂A:メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、平均分子量100,000、商品名デルパウダー80N、旭化成ケミカルズ社製、固形分100%
・(メタ)アクリル樹脂B:メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、平均分子量65,000、商品名デルパウダー720V、旭化成ケミカルズ社製、固形分100%
・(メタ)アクリル樹脂C:メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル共重合体、平均分子量8,000、ARUFON UP−1170、東亞合成社製、固形分100%
・反応物A:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業社製)とHDI/TDIイソシアヌレート体(商品名デスモジュールHL、住化バイエルウレタン社製、2個のイソシアヌレート環を形成する以外にNCO基を1分子当り4個有する。)とをNCO基/SH基=2/1(モル比)で用いてこれらを40℃の条件下で酢酸エチルの中で撹拌することによって反応物を得た。得られた反応物を反応物Aとする。反応物Aはイソシアネート基を2個、アルコキシシリル基を2個、イソシアヌレート骨格およびチオウレタン結合を有するイソシアネートシランである。なお反応物A〜Cは濃度40質量%の酢酸エチル溶液として使用した。
・反応物B:3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669、 モメンティブ社製)と、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(デスモジュールL、住化バイエルウレタン社製)とをNCO基/NH基=2/1(モル比)で用いてこれらを40℃の条件下で酢酸エチルの中で撹拌することによって反応物を得た。得られた反応物を反応物Bとする。反応物Bはイソシアネート基を2個、アルコキシシリル基を1個、ウレタン結合およびウレア結合を有するイソシアネートシラン、およびイソシアネート基を1個、アルコキシシリル基を2個、ウレタン結合およびウレア結合を有するイソシアネートシランの混合物である。
・反応物C:NCO基/SH基(モル比)=1/1に変更した他は反応物Aと同様にして反応物を製造した。得られた反応物を反応物Cとする。反応物Cはアルコキシシリル基を4個、イソシアヌレート骨格およびチオウレタン結合を有する反応物である。反応物Cはイソシアネート基を有さない。
・ポリイソシアネート(II)A:デスモジュールL、住化バイエルウレタン社製
・ポリイソシアネート(II)B:デスモジュールHL、住化バイエルウレタン社製
なおポリイソシアネート(II)A、Bは濃度60質量%の酢酸エチル溶液として使用した。
【0035】
第1表に示す結果から明らかなように、(メタ)アクリル樹脂を含有しない比較例1〜4は低温における接着速度が遅く、耐候性が低かった。ポリウレタン化合物を含有しない比較例5は、耐候性が低く、プライマー組成物を再塗布するとプライマー間の接着発現性が低かった。(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000未満である比較例6は、耐水性、耐候性が低く、プライマー組成物を再塗布するとプライマーとシーリング材(接着剤)との間の接着発現性が低かった。
これに対して実施例1〜12は低温において無機材料に対する接着発現速度が速く、再塗布しても優れた接着発現性を有する。また実施例1〜12はその接着に関し優れた耐水性、耐温水性、耐熱性、耐候性を有する。カーボンブラックを含有する実施例1〜6はカーボンブラックを含有しない実施例7〜12よりもより耐候性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート(I)とイソシアネート基と反応可能な官能基を有するアルコキシシランとを反応させることによって得られる、アルコキシシリル基を有する反応物、ポリイソシアネート(II)、ポリウレタン化合物、(メタ)アクリル樹脂、および溶剤を含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂の分子量が15,000〜150,000であり、
前記(メタ)アクリル樹脂と前記ポリウレタン化合物の重量比[(メタ)アクリル樹脂/ポリウレタン化合物]が90/10〜10/90であるプライマー組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル樹脂が、メチルメタクリレート単独重合体、メチルアクリレート単独重合体、ならびに、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から得られる共重合体のうちの1種または2種以上である請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
前記反応物の量は、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して10〜400質量部である請求項1または2に記載のプライマー組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(II)の量は、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の合計100質量部に対して30〜300質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のプライマー組成物。
【請求項5】
前記反応物と前記ポリイソシアネート(II)との量比[反応物/ポリイソシアネート(II)(質量比として)]は、10/90〜90/10である請求項1〜4のいずれかに記載のプライマー組成物。
【請求項6】
さらに、カーボンブラックを含有する請求項1〜5のいずれかに記載のプライマー組成物。
【請求項7】
前記カーボンブラックの量は、前記反応物、前記ポリイソシアネート(II)、前記ポリウレタン化合物および前記(メタ)アクリル樹脂の、固形分の合計100質量部に対して、3〜100質量部である請求項6に記載のプライマー組成物。
【請求項8】
無機材料と請求項1〜7のいずれかに記載のプライマー組成物から得られるプライマー層とを有する積層体。
【請求項9】
前記無機材料がガラスまたはシリコーンハードコートである請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記プライマー層の上にさらにシーリング材を有する請求項8または9に記載の積層体。

【公開番号】特開2012−57125(P2012−57125A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204265(P2010−204265)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】