説明

プライマー組成物およびその製造方法

【課題】建築物などの無機質基材に対する浸透固化性能に優れるとともに、人体や環境に優しいプライマー組成物を提供すること。
【解決手段】数平均分子量4000〜120000、水酸基価5〜200mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)とポリイソシアネート(A2)とを反応させて得られ、分子中にイソシアネート基を1個以上有するアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上500未満のポリイソシアネート(B)、および分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量500〜2000のポリイソシアネート(C)を含有し、アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の含有量が(A)〜(C)成分の合計質量に対して20〜65質量%であり、かつ、(B)および(C)成分の含有質量比が(B)/(C)=0.2〜5.0であるプライマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマー組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スレート瓦などの建築物の無機質基材のプライマーとしては、エポキシ/アミンの2液硬化システム(特許文献1:特開2002−256221号公報参照)が汎用されている。
このエポキシ/アミン系のプライマーは、無機質基材への浸透固化性に優れているものの、人体へのアレルギー性や、環境負荷が大きい等の問題を抱えている。
【0003】
この点に鑑み、近年、アクリル系やウレタン系のプライマーが提案されている(特許文献2:特開2002−308961号公報、特許文献3:特開2005−350892号公報、特許文献4:特開2006−206708号公報、特許文献5:特開2006−83372号公報参照)。
しかし、これらのプライマーは、エポキシ/アミン系のプライマーと比べて人体や環境に対する負荷は小さいものの、スレート瓦等の無機質基材に対する浸透固化性、特に、劣化の激しい基材に対する浸透固化性が低いため、必ずしもプライマーとして実用上十分な性能を有しているとは言えない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−256221号公報
【特許文献2】特開2002−308961号公報
【特許文献3】特開2005−350892号公報
【特許文献4】特開2006−206708号公報
【特許文献5】特開2006−83372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建築物などの無機質基材に対する浸透固化性に優れるとともに、人体や環境に優しいプライマー組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のアクリル変性(ポリ)イソシアネートと、分子量の異なる2種類のポリイソシアネートとを所定割合で配合してなる組成物が、スレート瓦等の無機質基材に対する浸透固化性能に優れ、建造物の塗膜のプライマーとして好適であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
1. 数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、ポリイソシアネート(A2)とを反応させて得られ、分子中にイソシアネート基を1個以上有するアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)、および分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)を含有し、前記アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の含有量が、前記アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)の合計質量に対して20〜65質量%であり、かつ、前記ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)の含有比が、質量比で(B)/(C)=0.2〜5.0であることを特徴とするプライマー組成物、
2. 前記ポリイソシアネート(A2)が、前記ポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)である1のプライマー組成物、
3. 前記ポリイソシアネート(A2)が、前記ポリイソシアネート(B)である1または2のプライマー組成物、
4. 前記ポリイソシアネート(B)が、脂肪族炭化水素系ポリイソシアネートである1〜3のいずれかのプライマー組成物、
5. 前記脂肪族炭化水素系ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、および水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種である4のプライマー組成物、
6. 前記ポリイソシアネート(C)がヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビュレット体、および各種ポリオールとのアダクト体から選ばれる少なくとも1種である1〜5のいずれかのプライマー組成物、
7. さらにトルエンおよびキシレンを含まない有機溶剤(D)を含有する1〜6のいずれかのプライマー組成物、
8. さらに有機溶剤中毒予防規則第三種有機溶剤および/または有機溶剤中毒予防規則に規定されていない有機溶剤(D)を含有する1〜6のいずれかのプライマー組成物、
9. スレート瓦の改修用である1〜8のいずれかのプライマー組成物、
10. 数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、イソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)、および/または分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)とを、未反応の前記ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)が残存する割合で反応させることを特徴とする2のプライマー組成物の製造方法、
11. 数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)とを、未反応の前記ポリイソシアネート(B)が残存する割合で反応させた後、得られた反応液と、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)とを配合する2のプライマー組成物の製造方法、
12. 前記アクリルポリオール(A1)と前記ポリイソシアネート(B)とを、前記ポリイソシアネート(B)のNCO基モル濃度[NCO]と、前記アクリルポリオール(A1)のOH基モル濃度[OH]との比が[NCO]/[OH]≧2.5となる割合で反応させる11のプライマー組成物の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定のアクリル変性(ポリ)イソシアネートと、分子量の異なる2種類のポリイソシアネートとを所定割合で配合してなる組成物であるから、スレート瓦等の建築材の無機質基材に対する浸透固化性能に優れており、プライマー組成物として好適である。
また、本発明のプライマー組成物は、エポキシ/アミンの2液硬化システムと異なり、1液湿気硬化タイプであることから、可使時間が長いだけでなく、調合残といった廃棄物の低減につながる。しかも、エポキシ樹脂に代表される人体へのアレルギー性も大きく低減されているため、環境・人体への負荷が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るプライマー組成物は、数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価(固形分換算)5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、ポリイソシアネート(A2)とを反応させて得られ、分子中にイソシアネート基を1個以上有するアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)、および分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)を含有するものである。
【0010】
本発明において、アクリルポリオール(A1)の数平均分子量が、4,000未満であると、塗膜の初期硬化が遅くなり、長時間にわたりタック感が残る虞があり、一方、120,000を超えると、他のプライマー成分との相溶性が不足し、造膜性が悪化する虞がある。好ましくは数平均分子量6,000〜90,000、より好ましくは、8,000〜60,000である。
なお、数平均分子量は、示差屈折率計検出によるゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)測定による測定値(ポリスチレン換算値)である。
また、アクリルポリオール(A1)の水酸基価(固形分換算)が、5mgKOH/g未満であると、他成分との架橋が少なくなり、プライマー強度、接着性が悪化する虞があり、150mgKOH/gを超えると、アクリル変性(ポリ)イソシアネートの1分子中の官能基数が増えることから、プライマーの安定性が悪化し、貯蔵中の粘度上昇やゲル化の虞がある。好ましくは水酸基価5〜100mgKOH/gである。
【0011】
アクリルポリオール(A1)としては、上記数平均分子量および水酸基価の範囲を満たすものであれば特に限定されるものではなく、水酸基を有するアクリルモノマーと、不飽和二重結合を有するその他の重合性モノマーとをラジカル共重合して得られる各種アクリルポリオールを用いることができる。
水酸基を有するアクリルモノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール化アクリルアミド、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、カーボネート変性メタクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、HEMAC)等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0012】
不飽和二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso―ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デカニル(メタ)アクリレート、ウンデカニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のC1〜C24のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。特に、不飽和二重結合を有する重合性モノマーとして、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを用いることが好ましい。
【0013】
上記ラジカル共重合は、無溶剤または適当な有機溶媒存在下、重合開始剤を用いて行われる。
有機溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば任意であり、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族または脂環族炭化水素;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、低沸点芳香族ナフサ、高沸点芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤から適宜選択することができ、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
反応温度は、通常、60〜150℃程度である。反応時間は、通常、1〜12時間程度である。
【0014】
上記アクリルポリオール(A1)と反応させるポリイソシアネート(A2)は任意であり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等の各種ポリイソシアネートや、それらのヌレート体、ビュレット体などを、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
アクリルポリオール(A1)と、ポリイソシアネート(A2)との反応条件は特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン化触媒の存在下、20〜150℃でアクリルポリオール(A1)と、過剰量のポリイソシアネート(A2)とを反応させて、アクリルポリオールの全水酸基をイソシアネート基で封止する手法が挙げられる。
特に、ポリイソシアネート(A2)として、プライマー組成物の構成成分であるポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)に相当するポリイソシアネートを用いることが好ましく、特に、ポリイソシアネート(B)に相当するポリイソシアネートを用いることが好適である。これらのポリイソシアネートを用いることで、未反応のポリイソシアネートを除去する必要がなくなるため、プライマー組成物の製造工程が簡略化でき、さらにポリイソシアネート(B)を用いる場合、アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の高分子量化を抑制でき、プライマーの貯蔵安定性が高まるという利点がある。
【0016】
なお、上記ウレタン化触媒は公知のものから適宜選択することができ、例えば、ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレートなどが挙げられる。
また、ウレタン化反応の際に、後に詳述するプライマー組成物の任意構成成分である有機溶剤(D)に相当する溶媒を反応溶媒として用いてもよい。
【0017】
本発明のプライマー組成物を構成するポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネートである。その具体例としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。特に、プライマーの無機質基材への含浸性を向上させることを考慮すると、脂肪族炭化水素系ポリイソシアネートが好ましく、中でも、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートが好適である。
【0018】
本発明のプライマー組成物を構成するもう一方のポリイソシアネート(C)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネートである。その具体例としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートのビュレット体、イソシアヌレート体、ウレトンイミン体、ウレトジオン体、カルボジイミド体などの変性ポリイソシアネートや、上記脂肪族イソシアネートと、グリセロール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオールとを反応させてなるアダクト体、さらにポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートなどが挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。特に、当該プライマーから形成される塗膜の強度を高めることから、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、ビュレット体、アダクト体を用いることが好ましい。
なお、上記脂肪族イソシアネートの変性体は、従来公知の各種手法で製造することができる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体は、市販品としても入手可能であり、例えば、コロネートHXR(日本ポリウレタン工業株式会社製ヌレート体)、デュラネートD24A−100(旭化成ケミカルズ株式会社製ビュレット体)、デュラネートTSS−100(旭化成ケミカルズ株式会社製アダクト体)等がある。
【0019】
さらに、本発明のプライマー組成物には、必要に応じて有機溶剤(D)を配合してもよい。有機溶剤(D)としては、従来、プライマーに用いられる各種溶剤を用いることができるが、プライマーの臭気を少なくし、人体や環境への負荷を低減させることを考慮すると、トルエンおよびキシレンを含まない有機溶剤や、有機溶剤中毒予防規則(以下、有規則という)第三種有機溶剤および/または有規則に規定されていない有機溶剤が最適である。
【0020】
有規則第三種有機溶剤の具体例としては、低沸点芳香族ナフサ、高沸点芳香族ナフサ、ミネラルスピリット等が挙げられ、これらの市販品としては、ミネラルスピリットA(アニリン点=43℃)、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、イソパラフィン、ソルベント灯油、芳香族ナフサ、VM&Pナフサ、ソルベントナフサなどがある。これらの市販品としては、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、エッソナフサNo.6(アニリン点=43℃)(以上、エッソ石油株式会社製);スワゾール1000、スワゾール1500(以上、コスモ石油株式会社製);イプゾール100(アニリン点=12.4℃、出光興産株式会社製);HAWS(アニリン点=15℃)、LAWS(アニリン点=43℃)(以上、シェルケミカルズジャパン株式会社製);Aソルベント(アニリン点=44.5℃、日本石油株式会社製)などが挙げられる。
有規則に規定されていない有機溶剤の具体例としては、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等のC9〜C12のアルキルシクロヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、エステル系溶剤が挙げられる。
上記各有機溶剤は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
本発明のプライマー組成物は、上述したアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)を、(A)、(B)および(C)成分の合計質量に対して20〜65質量%、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは40〜60質量%含有する。
ここで、アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の含有量が、20質量%未満であると、塗膜の初期硬化性が低下するとともに、上塗り塗料への適合性が低下する虞があり、一方、65質量%を超えると、得られる塗膜と、下地である無機質基材との付着強度が低下するとともに、この場合も上塗り塗料への適合性が低下する虞がある。
【0022】
また、本発明のプライマー組成物は、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)を、質量比で(B)/(C)=0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、より好ましくは0.5〜3.5の割合で含有する。
ここで、(B)/(C)の含有比が、0.2未満であると、得られる塗膜と、下地である無機質基材との付着強度が低下するとともに、上塗り塗料への適合性が低下する虞があり、一方、5.0を超えると、塗膜の初期硬化性が低下するとともに、この場合も上塗り塗料への適合性が低下する虞がある。
すなわち、本発明では、(A)〜(C)の各成分を上記割合で配合してプライマーとすることで、無機質基材への含浸性、塗膜の初期硬化性、塗膜と基材との付着強度、上塗り塗料への適合性などの諸特性を向上し得るものである。
【0023】
さらに、本発明のプライマー組成物が有機溶剤(D)を含有する場合、その含有量は、プライマー全体中において、99〜30質量%が好ましく、98〜40質量%であることが好ましい。
なお、本発明のプライマー組成物は、上記各必須成分(A)〜(C)および任意成分(D)の他に、必要に応じて、無機充填剤、表面調整剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、触媒等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0024】
本発明のプライマー組成物の製造法は特に限定されるものではなく、(A)〜(D)成分を任意の順序で混合して調製することができるが、特に、ポリイソシアネート(A2)として、ポリイソシアネート(B)および/または(C)に相当するものを使用する場合は、上記アクリルポリオール(A1)と、上記ポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)とを、未反応のポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)が残存する割合で反応させてアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)を含む組成物とする手法や、上記アクリルポリオール(A1)と、上記ポリイソシアネート(B)とを、未反応のポリイソシアネート(B)が残存する割合で反応させてアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)およびポリイソシアネート(B)との混合物とし、この混合物と、ポリイソシアネート(C)とを配合してアクリル変性ポリイソシアネート(A)、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)を含む組成物とする手法が最適である。なお、イソシアネート化反応の詳細については上述のとおりである。
ただし、ポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)を2種類以上含むプライマーとする場合、アクリルポリオール(A1)とポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)の全種類とを反応させてプライマーとしても、それらの特定種類をアクリルポリオール(A1)と反応させた後に、その他の種類のポリイソシアネートを加えてプライマーとしてもよい。
【0025】
アクリルポリオール(A1)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させる場合、それらの反応割合は、ポリイソシアネート(B)のNCO基モル濃度とアクリルポリオール(A1)のOH基モル濃度[OH]との比[NCO]/[OH]が2.5以上となる割合が好ましく、4.0以上となる割合がより好ましい。
なお、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)の使用量は、上述したアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の含有量および、(B)/(C)比を満たす量とすればよい。
また、プライマー組成物が有機溶剤(D)含む場合、イソシアネート化反応の溶媒として有機溶剤(D)を用いても、(A)〜(C)の混合組成物中に有機溶剤(D)を加えても、それらを併用してもよい。
【0026】
以上説明したプライマー組成物は、無機質基材に対する浸透固化性能に優れているため、スレート瓦や、壁材などの補修や改修に好適に用いることができる。
その使用法としては、例えば、スレート瓦などの被改修材の塗装面の洗浄、および旧塗膜の除去後、本発明のプライマー組成物を塗布し、これを常温にて放置または加熱して乾燥し、さらに上塗り塗料を塗布する手法が挙げられる。
この場合、塗布法は特に限定されるものではなく、刷毛塗り、ローラ塗りなどの公知の手法から適宜選択すればよい。また、塗布量、塗膜の厚み、乾燥時間などは、被塗装面の材質や、上塗り塗料の種類などに応じて適宜なものとすればよい。
【実施例】
【0027】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、「部」は質量部を意味する。
なお、以下において、粘度は、B型回転粘度計による測定値であり、数平均分子量は、示差屈折率計検出によるGPC測定値(ポリスチレン換算値)である(装置:東ソー株式会社製HLC−8120GPC、分離カラム:東ソーTSKgel Super HM−Mのミックスカラム)。
【0028】
[1]アクリルポリオール樹脂の合成
[合成例1]アクリルポリオール樹脂の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、商品名:イプゾール100)を360部仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温した。そこに、メチルメタアクリレート144部、tert−ブチルメタアクリレート144部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート32部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル6部、低沸点芳香族ナフサ40部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた。さらに、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部、低沸点芳香族ナフサ80部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分40.6%、粘度500mPa・s(25℃)、数平均分子量30000、水酸基価42mgKOH/g(固形分)の透明なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0029】
[合成例2]アクリルポリオール樹脂の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、商品名:イプゾール100)を360部仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温した。そこに、メチルメタアクリレート168部、シクロヘキシルメタクリレート88部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート64部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル12部、低沸点芳香族ナフサ40部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた。さらに、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部、低沸点芳香族ナフサ80部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分41.0%、粘度1600mPa・s(25℃)、数平均分子量18000、水酸基価83mgKOH/g(固形分)の透明なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0030】
[合成例3]アクリルポリオール樹脂の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、商品名:イプゾール100)を360部仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温した。そこに、メチルメタアクリレート196部、iso−ブチルメタアクリレート60部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート32部、γ−2,2′−アゾビスイソブチロニトリル8部、低沸点芳香族ナフサ40部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた。さらに、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部、低沸点芳香族ナフサ80部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分40.7%、粘度360mPa・s(25℃)、数平均分子量20000、水酸基価42mgKOH/g(固形分)の透明なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0031】
[比較合成例1]アクリルポリオール樹脂の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、商品名:イプゾール100)を360部仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温した。そこに、メチルメタアクリレート160部、tert−ブチルメタアクリレート160部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル6部、低沸点芳香族ナフサ40部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた。さらに、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部、低沸点芳香族ナフサ80部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分40.6%、粘度300mPa・s(25℃)、数平均分子量30000、水酸基価0mgKOH/g(固形分)の透明なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0032】
[比較合成例2]アクリルポリオール樹脂の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、商品名:イプゾール100)を360部仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温した。そこに、メチルメタアクリレート144部、tert−ブチルメタアクリレート144部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート32部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1部、低沸点芳香族ナフサ40部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた。さらに、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部、低沸点芳香族ナフサ80部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分40.2%、粘度500mPa・s(25℃)、数平均分子量150000、水酸基価43mgKOH/g(固形分)の透明なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0033】
[2]プライマー組成物の調製
[実施例1]アクリルウレタン系プライマー溶液の調製
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた反応器に、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、イプゾール100)240部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、アクリルポリオール樹脂 100部(固形分換算40部)、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールI)30部、ジブチル錫ジラウレート0.1部を仕込み、80℃で4時間反応させた。さらにヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートHXR)30部を仕込み同温度で1時間混合後、固形分20%、NCO含量3.3%のアクリルウレタン系プライマー溶液を得た。
【0034】
[実施例2〜11,比較例1〜6]アクリルウレタン系プライマー溶液の調製
各成分を表1,2に示される組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法でアクリルウレタン系プライマー溶液を得た。
【0035】
[比較例7]エポキシ/アミン系プライマー溶液の調製
エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業製、エピクロン5900−60)100部、アミン樹脂(大日本インキ化学工業製、ラッカマイドB−2100−40ES)100部、低沸点芳香族ナフサ(出光興産株式会社製、イプゾール100)200部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混合容器に加え、攪拌機で3000rpm×1分間攪拌し、固形分20質量%のエポキシ/アミン系プライマー溶液を調製した。
【0036】
上記各実施例および比較例で調製した各プライマーを、埼玉県久喜市において、南面30°で10年間暴露した基材(株式会社クボタ製(現クボタ松下電工外装株式会社製)スレート瓦)に、塗布量0.4kg/m2でローラにて塗布し、試験片とした。
作製した試験片について、下記の手法により、造膜性、初期硬化性、下地の補強強度、上塗り適合性、および環境・人体への負荷の評価を行った。評価結果を表1,2に示す。
【0037】
(1)造膜性
プライマー乾燥時の造膜状態を目視で評価した。
○:クリヤーな連続膜を形成している
△:クリヤーではないが、連続膜を形成している
×:連続膜を形成していない
(2)初期硬化性
プライマー塗布後、23℃×1h後のタック感を指触で評価した。
○:タック感なし
△:ややタック感あり
×:タック感あり
(3)下地の補強強度
プライマー塗布後、23℃で24時間養生し、23℃の水に7日間浸漬した後、太平理化工業株式会社製 elcometer F106−2で接着力を測定した。
○:1.5N/mm2以上
△:1.5N/mm2未満1.0N/mm2以上
×:1.0N/mm2未満
(4)上塗り適合性
プライマー塗布後、23℃で72時間養生し、上塗り(弱溶剤ウレタン塗料)0.2kgをローラで塗装し、23℃×1日養生後、23℃の水に7日間浸漬した。その後、JIS K5600−5−6クロスカット法により付着性を評価した。
○:分類0
△:分類1または2
×:分類3以上
(5)環境・人体への負荷
○:比較的環境に対する負荷が少なく、また人体に対してもアレルギー等を引き起こす可能性が少ないもの
×:環境に対する負荷が大きく、また人体に対してもアレルギー等を引き起こす可能性が高いもの
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表1,2に示されるように、実施例1〜11で得られたアクリルウレタン系のプライマー組成物は、成分や組成比が本発明の範囲外である比較例1〜6のアクリルウレタン系のプライマー組成物に比べ、各性能のバランスが良好であることがわかる。また、アクリルウレタン系のプライマーでありながら、無機質基材への浸透固化性に優れていることから従来汎用されているエポキシ/アミンの2液硬化システム(比較例7)と同様の浸透性、表面残存性、初期硬化性、接着性を有していることがわかる。さらにはエポキシ樹脂が有する人体へのアレルギー性も、大きく低減されていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、ポリイソシアネート(A2)とを反応させて得られ、分子中にイソシアネート基を1個以上有するアクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、
分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)、および
分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)を含有し、
前記アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)の含有量が、前記アクリル変性(ポリ)イソシアネート(A)、ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)の合計質量に対して20〜65質量%であり、かつ、前記ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)の含有比が、質量比で(B)/(C)=0.2〜5.0であることを特徴とするプライマー組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート(A2)が、前記ポリイソシアネート(B)および/またはポリイソシアネート(C)である請求項1記載のプライマー組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート(A2)が、前記ポリイソシアネート(B)である請求項1または2記載のプライマー組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(B)が、脂肪族炭化水素系ポリイソシアネートである請求項1〜3のいずれか1項記載のプライマー組成物。
【請求項5】
前記脂肪族炭化水素系ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、および水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種である請求項4記載のプライマー組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート(C)が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビュレット体、および各種ポリオールとのアダクト体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項記載のプライマー組成物。
【請求項7】
さらにトルエンおよびキシレンを含まない有機溶剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載のプライマー組成物。
【請求項8】
さらに有機溶剤中毒予防規則第三種有機溶剤および/または有機溶剤中毒予防規則に規定されていない有機溶剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載のプライマー組成物。
【請求項9】
スレート瓦の改修用である請求項1〜8のいずれか1項記載のプライマー組成物。
【請求項10】
数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、
イソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)、および/または分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)とを、
未反応の前記ポリイソシアネート(B)およびポリイソシアネート(C)が残存する割合で反応させることを特徴とする請求項2記載のプライマー組成物の製造方法。
【請求項11】
数平均分子量4,000〜120,000、水酸基価5〜150mgKOH/gのアクリルポリオール(A1)と、
分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量150以上400未満のポリイソシアネート(B)とを、未反応の前記ポリイソシアネート(B)が残存する割合で反応させた後、
得られた反応液と、分子中にイソシアネート基を2個以上有し、数平均分子量400〜2,000のポリイソシアネート(C)とを配合する請求項2記載のプライマー組成物の製造方法。
【請求項12】
前記アクリルポリオール(A1)と前記ポリイソシアネート(B)とを、前記ポリイソシアネート(B)のNCO基モル濃度[NCO]と、前記アクリルポリオール(A1)のOH基モル濃度[OH]との比が[NCO]/[OH]≧2.5となる割合で反応させる請求項11記載のプライマー組成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−189735(P2008−189735A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23701(P2007−23701)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000116301)亜細亜工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】