説明

プライマー組成物

【課題】使用時において、良好な作業環境を維持でき、取り扱いが容易であり、かつ被覆材との良好な接着力を発現しうる、プライマー組成物、及び良好な作業環境で、容易に、かつ安定的に、被覆対象物を被覆することができる、被覆対象物の被覆方法を提供すること。
【解決手段】1.01325×105Paにおける沸点が230〜300℃であり、かつ活性水素基を有しない有機化合物からなる希釈剤(A)と、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有した、プライマー組成物、及び該プライマー組成物を被覆対象物に塗布し、ついで、塗布後のプライマー組成物により形成されるプライマー組成物層の上に、被覆材を塗布する被覆対象物の被覆方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマー組成物、および被覆対象物の被覆方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、被覆対象物と被覆材との接着などに有用な、プライマー組成物、および被覆対象物の保護、防水などに有用な、被覆対象物の被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、土木構造物、建築物などの保護や補修は、当該土木構造物、建築物などに、塗料、被覆材などを塗布することにより行なわれている。前記土木構造物、建築物などに対して、前記被覆材を直接的に塗布した場合、該土木構造物、建築物などの内部に被覆材が吸収されたり、被覆材の塗布部の塗膜が、該土木構造物、建築物などから剥離したりし、被覆材による十分な効果が得られないことがある。そのため、被覆材の塗布に先立ち、前記土木構造物、建築物などに、プライマー組成物が塗布されている(例えば、特許文献1などを参照のこと)。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載のプライマー組成物を用いた場合、特に臭気の面で作業環境を悪化させる場合があるという欠点がある。
【特許文献1】特開2005−272514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、使用時において、良好な作業環境を維持でき、取り扱いが容易であり、かつ被覆材との良好な接着力を発現しうる、プライマー組成物を提供することに関する。また、本発明の目的は、良好な作業環境で、容易に、かつ安定的に、被覆対象物を被覆することができる、被覆対象物の被覆方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、1.01325×105Paにおける沸点が230〜300℃であり、かつ活性水素基を有しない有機化合物からなる希釈剤(A)と、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有した、プライマー組成物に関する。前記希釈剤(A)は、好ましくは、プロピレンカーボネート又はマレイン酸ジブチルである。また、前記プライマー組成物は、好ましくは、防水材の層間接着用プライマーとして用いるための組成物である。前記プライマー組成物は、好ましくは、プレポリマー(B) 100質量部に対して、希釈剤(A) 10〜500質量部配合されていることが望ましい。
【0006】
さらに、本発明は、前記プライマー組成物を被覆対象物に塗布し、ついで、塗布後のプライマー組成物により形成されるプライマー組成物層の上に、被覆材を塗布することを特徴とする、被覆対象物の被覆方法に関する。前記被覆材は、好ましくは、防水材またはトップコート材である。前記防水材は、ウレタン防水材(例えば、一液性ウレタン組成物から得られる防水材、二液性ウレタン組成物から得られる防水材など)、二液性スプレー防水材およびアスファルトウレタン防水材からなる群より選ばれた1種であり、前記トップコート材は、一液性水性トップコート材、二液性水性トップコート材および二液性アクリルウレタントップコート材からなる群より選ばれた1種であることが望ましい。前記被覆対象物は、ウレタン防水材、合成ゴムシート防水材またはこれら防水材に塗布されたトップコート材が望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプライマー組成物によれば、使用時において、良好な作業環境を維持でき、取り扱いが容易であり、かつ被覆材との良好な接着力を発現するという優れた効果を奏する。また、本発明のプライマー組成物によれば、例えば、ローラにより塗布すれば、良好な作業環境で、容易に、かつ安定的に、防水対象物を防水処理することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の被覆対象物の被覆方法によれば、良好な作業環境で、容易に、かつ安定的に、被覆対象物を被覆することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のプライマー組成物は、1.01325×105Paにおける沸点が230〜300℃であり、かつ活性水素基を有しない化合物からなる希釈剤(A)と、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有したものである。
【0009】
本発明のプライマー組成物は、前記希釈剤(A)を含有しているため、使用時において、良好な作業環境を維持できるという優れた効果を発揮する。また、本発明のプライマー組成物は、前記希釈剤(A)と前記プレポリマー(B)とを含有しているため、使用時において、より取り扱いに好適な粘度を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【0010】
前記希釈剤(A)は、1.01325×105Paにおける沸点が230〜300℃であり、かつ活性水素基を有しない化合物からなる希釈剤である。
【0011】
前記希釈剤(A)の1.01325×105Paにおける沸点は、臭気(揮発性)の観点から、230℃以上、好ましくは、240℃以上であり、接着性の観点から、300℃以下、好ましくは、280℃以下である。
【0012】
前記希釈剤(A)としては、プロピレンカーボネート、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)は、ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物であるポリオールとの反応産物である。前記ポリイソシアネートとポリオールとは、好ましくは、イソシアネート基と水酸基との比率(NCO基/OH基)が1.5〜10以下の条件で反応させることが望ましい。
【0014】
前記ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの一般的なイソシアネート化合物が挙げられる。これらのうち、反応性の観点から好ましくは、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートである。なお、本発明においては、本発明の目的を妨げないものであれば、前記ポリイソシアネート化合物は、変性体であってもよい。また、前記ポリイソシアネート化合物は、単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0015】
本発明に用いられる活性水素基含有化合物であるポリオールとしては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどの公知の物質が挙げられる。また、これらのポリオールは、単独または2種以上を混合して用いることができる。前記ポリオールは、接着性の観点から、好ましくは、JIS K 0124規格に準拠して測定された数平均分子量が100〜3000であるものが望ましい。
【0016】
本発明のプライマー組成物は、より具体的には、前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリオール化合物とを反応させて得られるプレポリマー(B) 100質量部に対して、希釈剤(A) 10〜900質量部が配合された組成物である。
【0017】
前記希釈剤(A)の配合量は、被覆対象物への含浸性の観点から、プレポリマー(B) 100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部以上であり、接着性の観点から、500質量部以下、好ましくは、400質量部以下、より好ましくは、250質量部以下である。
【0018】
本発明のプライマー組成物は、特に、防水材との密着性に優れるため、防水材の層間プライマーとして用いるための組成物として好適である。
【0019】
また、本発明のプライマー組成物は、被覆対象物への含浸性が良好であり、かつ被覆材に対して、高い密着性を発揮する。そのため、本発明のプライマー組成物は、被覆対象物の被覆に際して、被覆材と被覆対象物との間を、より強い接着強度で接着し、保持することができる。したがって、本発明は、他の側面では、前記プライマー組成物を被覆対象物に塗布し、ついで、塗布後のプライマー組成物により形成されるプライマー層の上に、被覆材を塗布することを特徴とする、被覆対象物の被覆方法に関する。
【0020】
本発明の被覆方法では、本発明のプライマー組成物が用いられているため、良好な作業環境で、容易に、被覆対象物を被覆することができる。また、本発明の被覆方法では、本発明のプライマー組成物が用いられているため、被覆材、例えば、防水材に対し、高い密着性を得ることができる。そのため、本発明の被覆方法によれば、安定的に、被覆対象物を被覆することができる。
【0021】
前記被覆対象物としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン防水材、塩化ビニルシート、合成ゴムシート、アスファルト防水材、またはこれらに塗布されたトップコートなどが挙げられる。
【0022】
前記被覆対象物への前記プライマー組成物の塗布は、特に限定されないが、例えば、刷毛、ロール、スプレーなどにより行なわれうる。本発明の被覆方法に用いられるプライマー組成物は、低臭気であり、人体または周辺環境に対して温和であるため、作業場所を問うことなく施工できる。
【0023】
前記被覆対象物への前記プライマー組成物の塗布量は、用途および目的に応じて、適宜設定されうる。例えば、被覆材が防水材である場合、接着性の観点から、被覆対象物1m2あたり、30g以上、好ましくは、50g以上であり、乾燥性の観点から、150g以下、好ましくは、100g以下であることが望ましい。
【0024】
前記被覆対象物への前記プライマー組成物の塗布後、プライマー層の上に、被覆材を塗布するまでの間隔時間(インターバル)は、プライマー層を充分に養生させる観点から、好ましくは、1時間以上、より好ましくは2時間以上、接着性の観点から、好ましくは24時間以下、より好ましくは、12時間以下が望ましい。
【0025】
前記被覆材としては、特に限定されないが、防水材、トップコートなどが挙げられる。前記防水材としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン防水材(例えば、一液性ウレタン組成物から得られる防水材、二液性ウレタン組成物から得られる防水材など)、二液性スプレー防水材、アスファルトウレタン防水材などが挙げられる。また、前記トップコート材としては、特に限定されないが、例えば、一液性水性トップコート材、二液性水性トップコート材および二液性アクルウレタントップコート材などが挙げられる。
【0026】
本発明のプライマー組成物は、本発明の目的を妨げないものであれば、種々の助剤、例えば、顔料、添加剤などを含有してもよい。
【0027】
本発明のプライマー組成物を噴霧する場合、該プライマー組成物の噴霧箇所は、被覆対象物、例えば、防水対象物における防水を要する箇所であればよい。
【0028】
本発明のプライマー組成物により防水を行なう場合、該プライマー組成物の適用後、該プライマー組成物中の防水材の硬化に十分な時間維持することにより、防水対象物を防水処理することができる。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
四つ口フラスコに、商品名:ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン株式会社製、物質名:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)と商品名:ハイフレックスD400〔第一工業製薬株式会社製、数平均分子量約400の2官能ポリオール(ポリプロピレングリコール)〕とを、NCO/OH比が2.1となるように仕込んだ。得られた混合物100質量部に対し、希釈剤として沸点が242℃であるプロピレンカーボネート(丸善石油化学株式会社製)100質量部を添加し、80℃にて3時間反応させ、プレポリマー溶液を得た。添加剤としてBYK(登録商標)−361N(BYK Chemie社製、物質名:アクリルポリマー)を前記プレポリマー溶液100質量部に対して1質量部加えて、プライマー組成物を得た。実施例1のプライマー組成物中におけるプロピレンカーボネートの含有率は、50質量%である。
【0031】
(実施例2)
混合物100質量部に対し、希釈剤としてプロピレンカーボネート(丸善石油化学株式会社製)250質量部を添加したことを除き、前記実施例1と同様に行ない、実施例2のプライマー組成物を得た。
【0032】
(実施例3)
四つ口フラスコに、商品名:ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン株式会社製、物質名:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)と商品名:ハイフレックスD400〔第一工業製薬株式会社製、数平均分子量約400の2官能ポリオール(ポリプロピレングリコール)〕とを、NCO/OH比が2.1となるように仕込んだ。得られた混合物100質量部に対し、希釈剤として沸点が242℃であるプロピレンカーボネート(丸善石油化学株式会社製)40質量部を添加し、80℃にて3時間反応させ、プレポリマー溶液を得た。その後、さらに、プレポリマー溶液100質量部に対し、前記ミリオネートMR−20075質量部と添加剤としてBYK(登録商標)−361N(BYK Chemie社製、物質名:アクリルポリマー)1質量部とを添加してプライマー組成物を得た。
【0033】
(実施例4)
希釈剤として沸点が280℃であるマレイン酸ジブチル(大八化学工業株式会社製)を用いたことを除き、前記実施例1と同様に行ない、実施例4のプライマー組成物を得た。実施例4のプライマー組成物中におけるマレイン酸ジブチルの含有率は、50質量%である。
【0034】
(実施例5)
混合物100質量部に対し、希釈剤としてプロピレンカーボネート(丸善石油化学株式会社製)250質量部を添加したことを除き、前記実施例4と同様に行ない、実施例2のプライマー組成物を得た。
【0035】
(実施例6および7)
四つ口フラスコに、商品名:ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン株式会社製、物質名:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)と商品名:ハイフレックスD400〔第一工業製薬株式会社製、数平均分子量約400の2官能ポリオール(ポリプロピレングリコール)〕とを、NCO/OH比が2.1となるように仕込んだ。得られた混合物100質量部に対し、希釈剤としてプロピレンカーボネート(実施例6)またはマレイン酸ジブチル(実施例7)を150質量部添加し、80℃にて3時間反応させ、プレポリマー溶液を得た。添加剤としてBYK(登録商標)−361N(BYK Chemie社製、物質名:アクリルポリマー)を前記プレポリマー溶液100質量部に対して1質量部加えて、プライマー組成物を得た。
【0036】
(比較例1)
希釈剤として沸点が約140℃であるキシレンを用いたことを除き、実施例1と同様に行ない、比較例1のプライマー組成物を得た。比較例1のプライマー組成物におけるキシレンの含有率は60質量%である。
【0037】
(比較例2および3)
希釈剤として沸点が300℃であるジオクチルフタレート(比較例2)または沸点が403℃であるジイソノニルフタレート(比較例3)を用いたことを除き、比較例1と同様に、比較例2または比較例3のプライマー組成物を得た。
【0038】
(試験例1〜9)
前記実施例1〜5および比較例1〜3それぞれのプライマー組成物を、25℃で一日放置し、その後、プライマー組成物の状態を観察した。ここで、プライマー組成物がプレポリマー溶液と希釈剤とに分離していない場合、安定性が、「良好」であり、プライマー組成物がプレポリマー溶液と希釈剤とに分離している場合、安定性が、「不良」であると評価した。さらに、前記プライマー組成物の溶剤臭の有無を、10人のモニターにより評価した。これらの結果を表1に示す。
【0039】
図1に示される試験片を、以下のように作製した。防水材(第一工業製薬株式会社製、商品名:ノンタールコート)を、厚さ2〜3mmになるように綿布1上に塗布した。塗布後の綿布1を、23℃、50%RHの環境下で1週間養生し、防水材下地層2’を形成させた。得られた産物を7.5×10cmに切り、その上に実施例1〜7および比較例1〜3それぞれのプライマー組成物を、50g/m2となるように塗布した。その後、塗布後の産物を、23℃、50%RHの環境下において2時間養生し、プライマー層3を形成させた。この際に、防水材下地層にプライマー組成物が含浸されているかどうか(含浸性)の評価、および該プライマー組成物が硬化しているかどうか(硬化性)の評価を行なった。防水材下地層へのプライマー組成物の含浸性については、2時間養生させている間に、プライマー層3が濡れていない場合は「良好」、濡れている場合は「不良」であると評価した。硬化性については、プライマー層3が2時間養生後に硬化している場合は、硬化性が「良好」であり、硬化していない場合、硬化性が「不良」であると評価した。
【0040】
ついで、前記プライマー層3上の末端の端に、紙テープを貼り、把持部4を設けた。その後、前記プライマー層3および把持部4の上に、防水材(第一工業製薬株式会社製、商品名:ノンタールコート)を、厚さ2〜3mmになるように塗布した。その後、得られた産物の防水材塗布部分上に綿布1を配置させ、23℃、50%RHで1週間養生させ、防水材上地層2’’を形成させた。得られた産物を、2.5cm幅になるように切り出し、試験片を得た。
【0041】
剥離速度:50mm/分で、把持部4を起点に、プライマー層3から防水材上地層2’’を剥がすことによるT型剥離試験を行なった。対照として、プライマー組成物を用いずに、同様の操作を行なった(比較例4)。ここで、比較例4の場合と比較して、接着強度が増大した場合を、接着強度が「改善」されたことの指標として評価した。
【0042】
これらの結果を、表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
その結果、実施例1〜5のプライマー組成物によれば、使用に際して、実質的な臭気の発生がなく、良好な安定性を示すため、使用環境が良好に維持されていることがわかる。また、実施例1〜5のプライマー組成物は、防水材下地層への含浸性および硬化性に優れ、接着強度に優れることがわかる。
【0045】
(試験例10〜14)
離型紙上に、スプレー防水材(第一工業製薬株式会社製、商品名:H−6F14)を厚さ2〜3mmになるように塗布し、23℃、50%RHで1週間養生させ、防水材下地層を形成させた。ついで、前記防水材下地層の上に、前記実施例1、4および比較例1のプライマー組成物それぞれを、50g/m2となるように塗布した。その後、塗布後の産物を、23℃、50%RHの環境下において2時間養生させ、プライマー層を形成させた。この際に、プライマー組成物が硬化しているかどうか(硬化性)の評価、および防水材下地層にプライマー組成物が含浸しているかどうか(含浸性)の評価を行なった。硬化性については、プライマー層が硬化している場合、硬化性が「良好」であり、プライマー層が硬化していない場合、硬化性が「不良」であると評価した。また、防水材下地層へのプライマー組成物の含浸性については、防水材下地層上のプライマー組成物の状態が硬化時に濡れていない場合は「良好」、濡れている場合は「不良」とした。
【0046】
ついで、前記プライマー層上の末端の端に、紙テープを貼り、把持部を設けた。その後、前記プライマー層および把持部の上に、防水材(第一工業製薬株式会社製、商品名:ノンタールコート)を、厚さ2〜3mmになるように、塗布した。塗布後の産物の防水材塗布部分上に綿布を配置させ、23℃、50%RHで1週間養生させ、防水材上地層を形成させた。得られた産物を、2.5cm幅になるように切り出し、試験片を得た。
【0047】
剥離速度:50mm/分で、把持部を起点に、プライマー層から防水材上地を剥がすことによるT型剥離試験を行なった。対照として、前記プライマー組成物を用いずに、同様の操作を行なった(比較例4)。ここで、比較例4の場合と比較して、接着強度が増大した場合を、接着強度が「改善」されたことの指標として評価した。
【0048】
これらの結果を、表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
その結果、実施例6および7のプライマー組成物によれば、使用に際して、実質的な臭気の発生がなく、良好な安定性を示すため、使用環境が良好に維持されていることがわかる。また、実施例6および7のプライマー組成物は、防水材下地層への含浸性および硬化性に優れ、接着強度に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明により、良好な使用環境下で、簡便に、土木構造物、建築物などの保護、補修などを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、プライマー組成物を評価するための試験片の模式図を示す。
【符号の説明】
【0053】
1 綿布
2 防水材層
3 プライマー層
4 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.01325×105Paにおける沸点が230〜300℃であり、かつ活性水素基を有しない有機化合物からなる希釈剤(A)と、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有してなる、プライマー組成物。
【請求項2】
該希釈剤(A)が、プロピレンカーボネート又はマレイン酸ジブチルである、請求項1記載のプライマー組成物。
【請求項3】
防水材の層間接着用プライマーとして用いるための組成物である、請求項1または2記載のプライマー組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載のプライマー組成物を被覆対象物に塗布し、ついで、塗布後のプライマー組成物により形成されるプライマー組成物層の上に、被覆材を塗布することを特徴とする、被覆対象物の被覆方法。
【請求項5】
該被覆材が、防水材またはトップコートである、請求項4記載の被覆対象物の被覆方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−222914(P2008−222914A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65003(P2007−65003)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】