説明

プライマー組成物

【課題】
自動車外板、鉄道車両、産業機器などの塗装された金属製品の補修塗装に有用であり、且つクロム系の顔料を含まないクロムフリーのプライマー組成物を提供する。
【解決手段】
3級アミノ基含有共重合体、防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類、並びにエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含んでなり、防錆顔料がその成分の一部としてリン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料を含み、その質量比がリン酸・亜鉛系防錆顔料/リン酸・マグネシウム系防錆顔料比で10/90〜90/10の範囲内にあり、防錆顔料及び体質顔料の質量比が防錆顔料/体質顔料比で5/95〜95/5の範囲内にあり、顔料の合計含有量が、塗料中に含まれる樹脂100質量部に対して15〜320質量部の範囲内にあるプライマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車外板、鉄道車両、産業機器などの塗装された金属製品の補修塗装に有用であり、且つクロム系顔料を含まないクロムフリーのプライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種金属素材の塗装の際に、金属素地に対する塗装系の付着性を向上させたり、金属素材の素地調整後から本格塗装を行うまでの間、一時的に防錆力を付与する等の目的で用いられる金属素材の表面処理用のプライマーとして、ウォッシュプライマー(エッチングプライマーと称することもあるJIS K 5633で規定された塗料)がある。
【0003】
かかるウォッシュプライマーとして、素地の金属と反応するリン酸系化合物を含み、ビヒクルとしてポリビニルブチラール樹脂及びジンククロメート系の防錆顔料を含む液状の塗料が一般によく知られている。
【0004】
しかしながら、ウォッシュプライマーに含まれるジンククロメート系の防錆顔料は、亜鉛とクロムを主成分とするものであり、昨今の環境に対する配慮からクロメート系の防錆顔料を使用することなく、上記ウォッシュプライマーと同等以上の塗膜性能を有するプライマーの開発が求められている。
【0005】
ところで自動車の補修塗装は、損傷部を損傷していない既存の塗膜の品質に出来る限り復元することを目的にしている。
【0006】
自動車ボデーには、化成処理、電着塗膜層を含む下塗り塗膜、さらに中塗り塗膜、クリヤー層を含む上塗り塗膜などからなる複層塗膜が施されているが、これが損傷し、該損傷部が金属面まで達した場合、通常、損傷部に上記したようなウォッシュプライマー又はエポキシ系プライマーなどのプライマーを塗装した後、ボデー形状を修復するためのパテ類を充填し、得られたパテ層表面にプライマーサーフェーサー塗装、ベースコート塗料及びクリヤー塗料などの上塗り塗装の順に補修塗装が行われている。
【0007】
かかる補修塗装に適用可能なクロムフリープライマーとして、ポリビニルブチラール樹脂、亜リン酸塩化合物、オルトリン酸アルミニウム及びシランカップリング剤を含有する主剤と、リン酸を含有する添加剤とからなるプライマー組成物やポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、非クロメート系防錆顔料及び体質顔料を含む主剤と、シランカップリング剤を含む添加剤とからなる2液型塗料組成物が提案されている(特許文献1〜2)。
【0008】
特許文献1及び2に記載の組成物は、非クロム型で速乾性があって、金属素材との付着性には優れているものの、このものを損傷部に塗装したあとにパテ類を厚塗りするとプライマー塗膜/パテ層間の付着性が十分ではなく、パテ層上にプライマーサーフェーサー塗装や上塗り塗装等の次工程の補修塗装を行った後に強い衝撃を受けると塗膜ハガレが生じたりすることがあった。
【0009】
一方、3級アミノ基、エポキシ基及びアルコキシシリル基との架橋系の利用により付着性に優れた塗膜を形成できることは知られている。(非特許文献1)しかしながら該文献記載の組成物をクロメートを含むことなくプライマー組成物として適用しても未だ十分な性能が得られてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−302272号公報
【特許文献2】特開2010−168524号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】色材,63〔6〕、p344−352、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、自動車外板、鉄道車両、産業機器などの塗装された金属製品の補修塗装に有用であり、且つクロム系の顔料を含まないクロムフリーのプライマー組成物を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記した課題について鋭意検討した結果、3級アミノ基を有する共重合体、特定の組み合わせからなる防錆顔料並びにエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含むプライマー組成物が、付着性及び耐水性に共に優れることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、
1. 3級アミノ基含有共重合体、防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類、並びにエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含んでなり、防錆顔料がその成分の一部としてリン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料を含み、その質量比がリン酸・亜鉛系防錆顔料/リン酸・マグネシウム系防錆顔料比で10/90〜90/10の範囲内にあり、防錆顔料及び体質顔料の質量比が防錆顔料/体質顔料比で5/95〜95/5の範囲内にあり、顔料の合計含有量が、塗料中に含まれる樹脂100質量部に対して15〜320質量部の範囲内にあるプライマー組成物、
2. 3級アミノ基含有共重合体が、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーを1〜50質量%を含む重合性不飽和モノマー成分を重合して得られる共重合体である1項に記載のプライマー組成物。
3. 3級アミノ基含有共重合体に含まれる3級アミノ基1モルに対してエポキシ基含有加水分解性シリル化合物に含まれるエポキシ基が0.5〜5モルの範囲内にある1項または2項に記載のプライマー組成物、
4. 3級アミノ基含有共重合体並びに防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類を含む成分を主剤とし、エポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含む成分を硬化剤とする1項ないし3項のいずれか1項に記載のプライマー組成物、
5. 基材面に、1項ないし4項のいずれか1項に記載のプライマー組成物を塗装してプライマー塗膜を形成する塗装方法、
6. 5項記載の塗装方法により得られるプライマー塗膜上に補修塗装する補修塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプライマー組成物は付着性や耐水性、防食性に優れており、形成されたプライマー塗膜の上に次の補修塗装工程をさらに行うことで金属素材に対する付着性や耐水性に優れ、既存の塗膜と見分けのつかない外観の優れた補修塗膜を得ることができる。また、本プライマー組成物は低公害型で環境にも配慮されている利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のプライマー組成物は、3級アミノ基含有共重合体、防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類並びにエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含んでなる。
【0016】
本発明における3級アミノ基含有共重合体は、分子中に3級アミノ基を有する共重合体であり、3級アミノ基導入方法、樹脂種、製造方法は特に制限されるものではなく、また、市販品等を使用することも可能である。
【0017】
該共重合体としては、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーを共重合成分として含む共重合体を挙げることができる。
【0018】
かかる3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアクリルアミドなどが挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好適である。
【0019】
また、上記3級アミノ基含有共重合体は、必要に応じて3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー以外のその他の重合性不飽和モノマーを共重合したものであってもよい。かかるその他の重合性不飽和モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート 「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製、商品名)、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのモノエステル化物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の重合性不飽和基含有アミド系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性不飽和基含有ニトリル系化合物;ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル等のビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多ビニル化合物;等が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
上記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーの共重合量としては、共重合体中に1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内にあることが、プライマー組成物の防食性及び金属基材や上塗り塗膜との付着性が良好であることから適している。
【0021】
また、上記3級アミノ基含有共重合体の重量平均分子量としては、一般に、5000以上、特に10,000〜60,000の範囲内が、本発明で得られるプライマー塗膜及びこれに上塗りしてなる複層塗膜又は補修塗膜の耐水性や耐溶剤性などの点から適している。
【0022】
ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー株式会社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー株式会社社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0023】
本発明において、上記プライマー組成物は顔料類として防錆顔料を含有するものであり、かかる防錆顔料としてはその成分の一部としてリン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料を併用して使用することを特徴とする。
【0024】
リン酸・亜鉛系防錆顔料としては、その成分の一部としてリン酸系化合物及び亜鉛系化合物を含む顔料であり、そのようなリン酸・亜鉛系防錆顔料の具体例としては、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛・酸化亜鉛混合物、リン酸亜鉛・酸化ニッケル混合物、亜リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛・酸化亜鉛混合物、塩基性リン酸亜鉛、塩基性リン酸亜鉛・塩基性亜リン酸カルシウム混合物、亜リン酸・亜鉛カリウム混合物・リン・ケイ酸亜鉛、リン酸カルシウム・酸化亜鉛混合物、トリポリリン酸ニ水素アルミニウム・酸化亜鉛混合物等を挙げることができる。
【0025】
上記リン酸・マグネシウム系防錆顔料としては、その成分の一部としてリン酸系化合物及びマグネシウム系化合物を含む顔料であり、そのようなリン酸・マグネシウム系防錆顔料の具体例としては、リン酸マグネシウム、オルトリン酸三マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸ニ水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム・ケイ酸カルシウム混合物、リン酸水素マグネシウム・リン酸水素カルシウム混合物、トリポリリン酸ニ水素アルミニウム・無機マグネシウム混合物、トリポリリン酸ニ水素アルミニウム・酸化マグネシウム混合物等を挙げることができる。
【0026】
本発明では防錆顔料としてトリポリリン酸ニ水素アルミニウム・酸化亜鉛混合物及びトリポリリン酸ニ水素アルミニウム・酸化マグネシウム混合物の組み合わせを含むことが適している。
【0027】
また、上記リン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料の質量比としては、リン酸・亜鉛系防錆顔料/リン酸・マグネシウム系防錆顔料比で10/90〜90/10の範囲内であり、40/60〜80/20の範囲内にあることが適している。リン酸・亜鉛系防錆顔料が多すぎるとプライマー塗膜の防食性が不十分であり、リン酸・マグネシウム系防錆顔料が多すぎるとプライマー塗膜の耐水性が不十分であり好ましくない。
【0028】
上記リン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料の合計の含有量としては、防錆顔料の質量を基準として50質量%以上、好ましくは70質量%以上であることが、金属素材への付着性及び防食性の点から好ましい。
【0029】
本発明のプライマー組成物は防錆顔料として上記以外の公知の防錆顔料を併用することができる。かかるその他の防錆顔料としては、リン酸カルシウム等の上記以外のリン酸系防錆顔料;亜鉛;酸化亜鉛;モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウムなどのモリブデン酸塩系、ホウ酸塩系;メタホウ酸バリウムなどのメタホウ酸塩系;シアナミド亜鉛カルシウム系;ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウムなどのケイ酸カルシウム系;カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウムなどのカチオンを多孔質シリカ粒子に結合させた変性シリカや、カチオンをイオン交換によって結合させることにより得られるイオン交換シリカ;ピロリン酸アルミニウム系;五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム、メタバナジン酸アンモニウム等のバナジウム系化合物等を挙げることができる。
【0030】
本発明において、プライマー組成物に含まれる防錆顔料の合計の配合量としては、3級アミノ基含有共重合体の固形分100質量部に対して、1〜50質量部、さらに5〜30質量部の範囲内であることが、金属素材への付着性及び防食性の点から好ましい。
【0031】
また、上記プライマー組成物は防錆顔料に加えて体質顔料を含む。かかる体質顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、含水珪酸マグネシウム(タルク)、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石膏)、珪藻土、マイカ(雲母粉)、クレー(カオリン)、シリカ等を使用することができる。体質顔料は、上記3級アミノ基含有共重合体との親和性を高めることを目的として、表面処理を行ったものであってもよい。表面処理としては、脂肪酸とその塩,樹脂酸,その他のカルボン酸とその塩及び界面活性剤などによる単独又は併用処理や、チタネート系やシラン系のカップリング剤による処理、無機酸,アルカリ、シリカ、アルミナ、亜鉛化合物等による表面処理を挙げることができる。
【0032】
本発明においては、プライマー組成物の貯蔵性及び塗装して得られたプライマー塗膜の耐水性の点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、含水珪酸マグネシウム(タルク)の中から1種以上を選択して使用することが好ましく、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0033】
上記体質顔料の含有量は、特に限定されないが、プライマー組成物の貯蔵性や塗膜の平滑性の点から、3級アミノ基含有共重合体の固形分合計100質量部に対して5〜170質量部の範囲内であることが好ましく、40〜130質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明において、防錆顔料と体質顔料との配合比は、前者/後者の比率として、5/95〜95/5の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは10/90〜50/50の範囲内であることが望ましい。この範囲を外れると貯蔵性、塗装作業性やプライマー塗膜の耐水性が低下し、好ましくない。
【0035】
また、本発明のプライマー組成物はさらに着色顔料を含んでいてもよい。該着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。着色顔料の具体例としては、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物顔料、チタンイエロー等の複合酸化金属顔料、カーボンブラック、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
上記プライマー組成物が着色顔料を含有する場合、その配合量は、着色力の点から上記3級アミノ基含有共重合体固形分100質量部に対して、0.5〜100質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜50質量部の範囲内であることが望ましい。
【0037】
上記プライマー組成物の顔料の合計量は、金属素材への付着性、プライマー組成物の貯蔵性やプライマー塗膜の平滑性の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して15〜320質量部の範囲内とすることが好ましく、40〜200質量部の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0038】
本発明において、上記プライマー組成物はエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含有する。該化合物により、プライマー塗膜の硬化性が向上し、プライマー塗膜上に上塗りしてなる複層塗膜又は補修塗膜の耐水性や付着性向上に役立つものである。
【0039】
該化合物としては、分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基を有する限り制限されるものではなく、特にエポキシ基とアルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。
【0040】
そのような化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;これらの重縮合物、又はこれら化合物とアルコキシシラン化合物との重縮合物等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
上記プライマー組成物において、3級アミノ基1モルに対してエポキシ基含有加水分解性シリル化合物のエポキシ基が、0.5〜5モル、特に1〜3モルの範囲内にあることがプライマー塗膜の硬化性と耐水性の点から適している。
【0042】
本発明において上記プライマー組成物は、一液型組成物であってもよいが3級アミノ基含有共重合体並びに防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類を含む成分を主剤とし、上記エポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含む成分を硬化剤とする2液型組成物として供されることが適しており、水あるいは有機溶剤等の溶媒や、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤などを主剤又は硬化剤のいずれかに必要に応じて適宜含ませることができる。
【0043】
これらのうち有機溶剤としては、例えばn−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの炭化水素溶剤;ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリットおよびミネラルターペンを含む)等;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤等の従来公知の溶剤を挙げることができる。
【0044】
また、硬化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫等の2価のスズ化合物類;モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアゾビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物等のアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール硬化触媒等が例示できる。
【0045】
上記主剤は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。また、分散混合の効率や貯蔵安定性の点から、主剤の固形分含有率は30〜70質量%の範囲内、好ましくは40〜60質量%の範囲内にすることが好ましい。
【0046】
一方硬化剤が有機溶剤等の揮発成分を含んでもよく、その場合の硬化剤中のエポキシ基含有加水分解性シリル化合物の含有率としては主剤との混合安定性の観点から、一般に0.1〜100質量%、好ましくは5〜90質量%の範囲内である。
【0047】
本発明において、上記プライマー組成物が2液型組成物である場合は主剤と硬化剤を混合し、必要に応じて有機溶剤等により塗装に適した粘度に調整して塗装することができる。
【0048】
また、プライマー組成物が2液型組成物である場合の主剤と硬化剤の使用割合は3級アミノ基とエポキシ基との比率が上記範囲内、すなわち3級アミノ基1モルに対してエポキシ基含有加水分解性シリル化合物のエポキシ基が、0.5〜5モル、特に1〜3モルの範囲内となることが適している。
【0049】
本発明に用いられるプライマー組成物は環境に配慮された低公害型であり、クロム系の顔料を含まずトルエン及びキシレン等の有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。尚、本明細書において「実質的に含まない」なる用語の意味は含有量が1.0質量%未満であるものをいう。
【0050】
本発明のプライマー組成物は金属用防食プライマー及び補修塗装用途など広く使用できるものであり、適用される基材としては、特に制限されるものではない。例えば各種金属や該金属に各種塗料が塗装された塗膜面及び損傷した塗膜面を挙げることができる。
【0051】
また、自動車外板部に塗装された電着塗膜層を含む下塗り塗膜、中塗り塗膜、着色ベース塗膜及びクリヤー塗膜などの上塗り塗膜などからなる複層塗膜が損傷した損傷部にも適用することができる。
【0052】
具体的には自動車、オートバイ、自転車、鉄道等の車両、産業機器等を挙げることができ、これら塗装物品の損傷部に対してプライマー組成物を塗装することができる。特に本発明のプライマー組成物によるプライマー塗膜は金属面に対する付着性に優れていることから、上記塗装物品の損傷部が金属面まで達したものであると本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0053】
プライマー塗膜を形成するにおいては、上記損傷部にケレン処理を行い、さらに溶剤脱脂や水洗等を行った後にプライマー組成物を塗装する。
【0054】
上記プライマー組成物の塗装方法としては従来公知の塗装方法を用いることができるが、プライマー塗膜の仕上がり性の点からスプレー塗装を行うことが好ましい。塗装後の乾燥は、特に制限されるものではないが、例えば常温で放置した後に、例えば20〜100℃、好ましくは40〜100℃の温度条件で、5〜60分間乾燥させることが好ましい。膜厚は、基材の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜50μm、特に10〜30μmの範囲内に調整することが、補修塗膜の防食性や耐水性の点から好ましい。
【0055】
プライマー塗膜形成後は、必要に応じて目的に応じた上塗り塗装、或いはパテ、プライマーサーフェーサー、上塗り塗料を用いた補修塗装を行うことができる。
【0056】
例えば基材が損傷部を有している場合、深さがある場合はプライマー組成物で処理された損傷部に、パテ組成物を充填することができる。
【0057】
該パテ組成物としては、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系など従来公知のものを制限なく使用することができる。
【0058】
プライマー組成物が塗布された損傷部への上記パテ組成物の充填作業は、特に制限されるものではないが、各種コテやヘラを使用して行うことができる。パテ層形成後には必要に応じて研磨してもよい。研磨する方法としては、サンドペーパーを使用した手作業による方法や、ディスクサンダー等の電動工具を使用する方法等を挙げることができる。
【0059】
研磨作業は、通常パテ組成物が硬化乾燥後に行うことができる。パテ層の乾燥は、上記プライマー塗膜工程と同様に行うことができる。
【0060】
また、上記の通り得られるパテ層上に、もしくは本発明のプライマー組成物による塗膜上にプライマーサーフェーサーを塗装し、次いで得られたプライマーサーフェーサー塗膜上に上塗り塗料を塗装して補修塗装を行うことができる。
【0061】
プライマーサーフェーサー及び上塗り塗料としては従来公知の水系及び有機溶剤系のものを制限なく使用することができる。
【0062】
プライマーサーフェーサーの塗装としては従来公知の塗装方法により行うことができるが、塗膜の仕上がり性の点からスプレー塗装を行うことが好ましい。塗装後の乾燥は、特に制限されるものではないが、例えば常温で放置した後に、20〜100℃好ましくは40〜100℃の温度条件で、5〜60分間乾燥させることが好ましい。膜厚は、下地層及びその周囲の旧塗膜の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜100μm、特に10〜60μmの範囲内に調整することが、プライマー塗膜又は該塗膜上のパテ層の平滑性を向上させ、且つプライマーサーフェーサー塗膜の付着性を確保する点から好ましい。乾燥後には、塗膜の仕上がり性の点から、研磨によって表面を平滑にした後に後述する上塗り塗料を塗装することができる。研磨する方法としては、サンドペーパーを使用した手作業による方法や、ディスクサンダー等の電動工具を使用する方法を挙げることができる。研磨した場合には、水洗や溶剤脱脂によって、研磨時のゴミやブツを除去してから、後述する上塗り塗料を塗装することができる。また、プライマーサーフェーサーを塗装後に、表面平滑性に問題がない場合には、特に処理を行うことなく上塗り塗料を塗装してもよい。
【0063】
上塗り塗料による塗装には、メタリック顔料及び/又は着色顔料を配合してなるベースコート塗料のみを使用する1コート仕上げ塗装、あるいは該ベース塗料とクリヤー塗料とを使用する2コート仕上げ塗装など従来公知の塗装方法があり、求める色や質感によって適宜決定することができる。
【0064】
上記プライマー塗膜は付着性や耐水性に優れているので、その上に補修塗装を施しても、仕上がり外観に優れた補修塗膜、すなわち損傷していない既存の旧塗膜との外観に近い補修塗膜を形成することができ、その外観を長期に渡って維持することができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0066】
<プライマー組成物の製造>
実施例1〜20及び比較例1〜6
下記表1記載の配合組成で主剤及び硬化剤を製造し、使用直前に両者を混合して、プライマー組成物を得た。尚、表1の主剤及び硬化剤の樹脂配合量は固形分表示である。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
(注1)3級アミノ基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート=30/30/30/10共重合物、重量平均分子量52,000、
(注2)3級アミノ基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート=20/30/30/20共重合物、重量平均分子量52,000、
(注3)グリシジル基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=30/30/30/10共重合物、重量平均分子量52,000、
(注4)水酸基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレート/nブチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=30/30/30/10共重合物、重量平均分子量52,000、
(注5)ポリビニルブチラール樹脂:「エスレックB BM−1」(商品名、ポリビニルブチラール樹脂、重量平均分子量40,000、積水化学社製)、
(注6)エポキシ樹脂:「jER−1001」(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製)、
(注7)リン酸亜鉛系防錆顔料:「ZAP−2」(商品名、ウィルバーエリス社製、トリポリリン酸ニ水素アルミニウムを酸化亜鉛で処理した顔料)。
(注8)リン酸亜鉛系防錆顔料:「EXPERT−NP−1530」(商品名、東邦顔料工業、亜リン酸亜鉛カリウム)、
(注9)リン酸亜鉛系防錆顔料:「EXPERT−NP−1055C」(商品名、東邦顔料工業、亜リン酸カルシウムを酸化亜鉛で処理した顔料)、
(注10)リン酸マグネシウム系防錆顔料:「K−G105」(商品名、テイカ社製、トリポリリン酸ニ水素アルミニウムを酸化マグネシウムで処理した顔料)、
(注11)リン酸マグネシウム系防錆顔料:オルトリン酸三マグネシウム。
【0071】
<塗装>
冷延鋼板(SPCC−SB)を#120の耐水サンドペーパーで水研し、常温乾燥後にKARシリコンオフ(商品名、脱脂剤、関西ペイント社製)を使用して脱脂洗浄した基材に、上記製造例で得られた各プライマー組成物を「レタンPGエコシンナー」(商品名、関西ペイント社製、シンナー、トルエン及びキシレンの合計含有量1質量%未満)を用いて希釈した組成物(プライマー組成物中の主剤100部に対してシンナー20部の割合で希釈)をエアスプレーにて塗装し、室温にて5分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉を使用して、60℃で10分間加熱し、乾燥膜厚10μmの塗膜を得た。その後に「レタンPGエコパテ」(商品名、2液型ポリエステル系補修用パテ、関西ペイント社製)をベースと硬化剤質量比が100:2となるように混合した組成物を硬化塗膜として200μmとなるように、ヘラを使用して塗装し、室温にて30分間放置した後に塗膜表面を#400の耐水サンドペーパーでから研ぎし、脱脂洗浄後にさらに、「レタンPGハイブリッドエコフィラー」(商品名、アクリルウレタン系2液型プライマーサーフェサー、関西ペイント社製)及び「レタンPGエコシンナー20」をベースと硬化剤とシンナー質量比が100:20:20となるように混合した組成物を乾燥膜厚として50μmとなるようにエアスプレーにて塗装した。室温にて10分間放置した後で、熱風循環式乾燥炉を使用して60℃で30分間加熱した。乾燥した塗膜表面を#600の耐水サンドペーパーで水研し、常温乾燥後に「KARシリコンオフ」を使用して脱脂洗浄した。次いで「レタンPGハイブリッドエコ#202サンメタリックベース」(商品名、アクリル系1液型自動車補修用上塗塗料、関西ペイント社製)に「レタンPGエコシンナー20」を質量比が1:1となるように混合した組成物を乾燥膜厚として15μmになるようにエアスプレーにて塗装した。塗装後室温にて10分間放置した未硬化の塗膜上に、「レタンPGエコHX(Q)クリヤー」(商品名、アクリルウレタン系2液型自動車補修用トップクリヤー塗料、関西ペイント社製)及び「レタンPGエコシンナー」をベース、硬化剤、シンナー質量比が100:50:20となるように混合した組成物を乾燥膜厚として40μmとなるようにエアスプレーにて塗装し、室温にて10分間放置後に熱風循環式乾燥炉を使用して60℃で20分間加熱して、試験板を得た。
【0072】
<評価試験>
上記で得られた各試験塗板を下記試験に供した。結果を表1に併せて示す。
【0073】
(*1)水浸漬後付着性
上記試験塗板を40℃×10日間没水直後に付着性試験を行った。付着性試験にはJIS K 5600 5.6(1999)に準拠した碁盤目試験を用いた。具体的には、塗膜上に縦横に2mmの間隔で碁盤目状に素材に達する100個の切れ目を入れ、幅が25mmの接着テープを貼り付ける。そしてこの接着テープを瞬時に剥ぎ取り、塗膜の剥離状態を調べて下記基準にて評価した。
4:剥離なし、
3:プライマー/パテ間で僅かに剥離あり、
2:プライマー/パテ間で大きく剥離あり、
1:ほとんどないし全てが剥落。
【0074】
(*2)防食性
各試験塗板にクロスカットを入れ、JIS K 5600 7.9(2006)に従い、塩水噴霧試験を行った。240時間試験後、一般部の状態及びカット部からの錆の侵入(最大値)を下記基準で評価した。
4:カット部からの錆が発生なく、且つ一般部にも錆がない、
3:カット部からの錆の浸入が1mm未満(最大片幅)、且つ一般部に錆がない、
2:カット部からの錆の浸入が1mm以上5mm未満(最大片幅)、
1:カット部からの錆の浸入が5mm以上(最大片幅)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3級アミノ基含有共重合体、防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類、並びにエポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含んでなり、防錆顔料がその成分の一部としてリン酸・亜鉛系防錆顔料及びリン酸・マグネシウム系防錆顔料を含み、その質量比がリン酸・亜鉛系防錆顔料/リン酸・マグネシウム系防錆顔料比で10/90〜90/10の範囲内にあり、防錆顔料及び体質顔料の質量比が防錆顔料/体質顔料比で5/95〜95/5の範囲内にあり、顔料の合計含有量が、塗料中に含まれる樹脂100質量部に対して15〜320質量部の範囲内にあるプライマー組成物。
【請求項2】
3級アミノ基含有共重合体が、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーを1〜50質量%を含む重合性不飽和モノマー成分を重合して得られる共重合体である請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
3級アミノ基含有共重合体に含まれる3級アミノ基1モルに対してエポキシ基含有加水分解性シリル化合物に含まれるエポキシ基が0.5〜5モルの範囲内にある請求項1または2に記載のプライマー組成物。
【請求項4】
3級アミノ基含有共重合体並びに防錆顔料及び体質顔料を含む顔料類を含む成分を主剤とし、エポキシ基含有加水分解性シリル化合物を含む成分を硬化剤とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項5】
基材面に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプライマー組成物を塗装してプライマー塗膜を形成する塗装方法。
【請求項6】
請求項5記載の塗装方法により得られるプライマー塗膜上に補修塗装する補修塗装方法。

【公開番号】特開2013−18898(P2013−18898A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154465(P2011−154465)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】