説明

プライマ層およびオーバーコートとしてフルオロポリマー粉末塗料を被着させる方法

本発明は、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)としても知られているテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ビニルアルキルエーテル)コポリマーの粉末オーバーコートと一緒にプライマ粉末として被着させたテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーであって、基材上に焼付けられたとき、基材への塗料系の優れた且つより耐久性の粘着力を与えるコポリマーの使用に関する。粘着力の品質は沸騰水剥離試験によって測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材にプライマ粉末を被着させて前記基材上にフルオロポリマープライマ層を形成させ、前記プライマ層上にフルオロポリマー粉末を被着させてオーバーコートを形成させることにより耐久性剥離表面を形成させる分野である。詳しくは、本発明は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ビニルエーテル)コポリマー粉末オーバーコートとの良好な被膜間粘着力を達成するとともに前記基材との長持ちする付着を維持するフルオロポリマープライマ粉末の選択に関する。
【背景技術】
【0002】
良好な耐薬品性、優れた剥離、良好な耐熱性および電気絶縁性などの特性を有するフルオロポリマー樹脂は多くの用途において望ましい。溶融流動性であるフルオロポリマー粉末は、炊飯器、グリルおよびオーブンウェアなどのクックウェア物品を被覆する際、ならびに複写機および印刷機のための定着機構ロールまたはベルトならびに化学処理反応器などの無数の工業用途において有用と見られてきた。液体塗料の代わりに粉末塗料を被着させる利点の1つは、液体塗料を被着させる際に用いられる乾燥工程およびガス抜き工程ならびに液体塗料の被着に関連した装置をなくすことである。更に、粉末塗料は、環境問題を提起するとともに高価な改善手順を必要とする揮発性有機溶媒の使用を必要としない。
【0003】
プライマ層とオーバーコートの両方のための粉末塗料は、ラウ(Rau)らによる米国特許公報(特許文献1)に記載されている。この特許において、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)は、プライマ層とオーバーコートの両方のために例示されている。この特許は、PFA樹脂を金属基材に付着させることが困難であり、比較的高温、すなわち約675〜約720°F(375〜382℃)の範囲内でPFAを被着させなければならないことを認めている。ラウ(Rau)らは、PFAに対する著しい一切の劣化(分解)を伴わないでこれらの高温で金属基材へのPFA樹脂の付着を達成するためにポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)などの結合剤の使用を開示している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,093,403号明細書
【特許文献2】米国特許第4,380,618号明細書
【特許文献3】米国特許第3,065,205号明細書
【特許文献4】米国特許第3,441,538号明細書
【特許文献5】米国特許第3,442,857号明細書
【特許文献6】米国特許第5,357,040号明細書
【特許文献7】米国特許第5,131,827号明細書
【特許文献8】米国特許第4,578,427号明細書
【特許文献9】米国特許第6,232,372号明細書
【特許文献10】米国特許第6,518,349号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その高い使用温度、良好な耐摩擦性および優れた剥離特性のゆえに、PFAは、商用オーブンウェアのための剥離表面向けなどの厳しい商業用途において用いられる表面のために好まれる樹脂である。商用ベーク皿は毎日無数の高温サイクルを受け、ベーク商品の商業生産を経済的にするために相当な長時間にわたって剥離特性を保持しなければならない。しかし、経験によると、PFAプライマ層上にPFAオーバーコートを被着させると経時的に系の不適切な粘着力をもたらすことが示されてきた。結果として、ラウ(Rau)らにおいて開示されたPFA/PFA系は余りにも迅速に破損する場合があり、剥離表面を有する基材に年当たり数千のベークサイクルを受けさせる商業運転のニーズに適切に対処していない。
【0006】
従って、良好な剥離特性および耐摩擦性を維持しつつ改善された粘着力およびより長い寿命と合わせて高い使用温度で用いることができるプライマ/トップコート系を可能にするPFAトップコートと合わせて用いることができる改善された粉末プライマ組成物が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
意外なことに、基材上に焼付けられたとき、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)としても知られているテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ビニルアルキルエーテル)コポリマーの粉末オーバーコートと一緒にプライマ粉末として被着させたテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーの使用が基材への塗料系の優れた且つより耐久性の粘着力を与えることが見出された。粘着力の品質は沸騰水剥離試験によって測定される。
【0008】
更に、オーバーコートの中でPFAを用いる本発明の系は、この層の中のPFAの既知の良好な剥離特性、耐摩擦性および高い使用温度を利用する。
【0009】
従って、本発明は、基材上に剥離表面を形成させる方法であって、(a)プライマ粉末を前記基材に被着させてプライマ層を前記基材上に形成させる工程であって、前記プライマがテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤を含む工程と、(b)オーバーコート粉末を前記プライマ層上に被着させて前記プライマ層上にオーバーコート層を形成させる工程であって、前記オーバーコートがテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマーを含む工程と、(c)前記プライマ層および前記オーバーコート層を焼付けて、前記剥離表面を形成させる工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。粉末層は、好ましくは静電吹付けによって被着される。ポリマー結合剤は、好ましくは、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドおよびポリアリーレンエーテルケトンからなる群から選択される。一実施形態において、テトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーを含むプライマ粉末は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマーを更に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によると、基材上に剥離表面を形成させる方法が提供される。本方法は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤を含むプライマ粉末を基材に被着させてプライマ層を前記基材上に形成させる工程と、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマーを含む粉末オーバーコートを前記プライマ層上に被着させて前記プライマ層上にオーバーコート層を形成させる工程とを含む。プライマ層およびオーバーコート層は焼付けられて、基材上に剥離表面を形成させる。
【0011】
(フルオロポリマー)
本発明のプライマとオーバーコートの両方の中で用いられるフルオロポリマーは溶融流動性である。溶融粘度は、米国特許公報(特許文献2)に記載されたように修正されたASTM D−1238およびコポリマーに応じてASTM D−2116またはD−3307の方法によって372℃で測定して、典型的には102〜約106Pa・s、好ましくは103〜105Pa・sの範囲である。こうした溶融流動性フルオロポリマーの例には、テトラフルオロエチレン(TFE)と、TFEホモポリマーの融点より実質的に下に、コポリマーの融点を下げるのに十分な量でポリマー中に存在する少なくとも1種のフッ素化共重合性モノマー(コモノマー)、例えば、315℃以下の溶融温度に下げるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とのコポリマーが挙げられる。
【0012】
本発明において用いられるプライマ粉末は、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロオレフィンのコポリマーを含み、このパーフルオロオレフィンコモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)のように好ましくは3〜8個の炭素原子を有する。一実施形態において、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロオレフィンのコポリマーを含むプライマ粉末は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)のコポリマー60重量%以下を含み、PAVEにおいて、直鎖または分岐のアルキル基は好ましくは1〜5個の炭素原子を含む。
【0013】
オーバーコート粉末は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)のコポリマーを含み、PAVEにおいて、直鎖または分岐のアルキル基は好ましくは1〜5個の炭素原子を含む。好ましいPAVEモノマーは、アルキル基が1、2、3または4個の炭素原子を含むモノマーであり、前記コポリマーは、幾つかのPAVEモノマーを用いて製造することが可能である。好ましいTFEコポリマーには、PFA(TFE/PAVEコポリマー)、TFE/HFP/PAVE(但し、PAVEはPEVEおよび/またはPPVEである)およびMFA(TFE/PMVE/PAVE)(但し、PAVEのアルキル基は少なくとも2個の炭素原子を有する)が挙げられる。
【0014】
プライマの中のTFE/パーフルオロオレフィンコポリマーの融点は、典型的にはオーバーコート粉末のTFE/PAVEコポリマーの融点より低い。例えば、FEPとしても知られているTFE/HFPの融点は典型的には約510°F(266℃)であり、典型的には約590°F(310℃)であるTFE/PPVEの融点より低い。従って、より低い融点のTFE/パーフルオロオレフィンコポリマーを含むプライマ層が、より高い融点のTFE/PAVE(PFA)コポリマーオーバーコートと合わせて、優れているとともに耐久性の塗料系を形成させることは意外なことである。より低い融点のフルオロポリマーを有するプライマ系がPFA系により用いられる高い硬化温度または焼付け温度、典型的には675°(357℃)〜720°F(382℃)に耐えることができず、より低い融点のコポリマーが分解し(泡立ち)、基材からの離層を引き起こすことが予期され得たであろう。意外なことに、PFA粉末オーバーコートと合わせたTFE/パーフルオロオレフィンプライマ粉末層が焼付けられたときに先行技術のPFAプライマ/PFAオーバーコート系より粘着力において優れている塗料系を形成させることが見出された。
【0015】
(ポリマー結合剤)
本発明において用いられるプライマ粉末塗料は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーに加えて、フルオロポリマーおよびポリマー結合剤の総合重量を基準にして5〜90重量%の高耐熱性ポリマー結合剤を更に含む。結合剤成分は、融解に至るまで加熱すると膜形成性であり、熱安定性であり、そして持続した高温使用を有するポリマーを含む。結合剤は、基材へのフルオロポリマーの接着のため、および膜形成のために非粘着仕上塗りの中での使用が周知されている。結合剤は、一般に、フッ素を含んでおらず、けれどもフルオロポリマーに接着する。本発明において用いられる好ましいポリマー結合剤には1つまたは複数が挙げられる。すなわち、(1)ガラス転移温度約230℃および持続温度使用約170℃〜190℃の非晶質熱可塑性ポリマーであるポリエーテルスルホン(PES)および(2)溶融温度約280℃および持続温度使用約200℃〜240℃の部分結晶質ポリマーであるポリフェニレンスルフィド(PPS)および(3)ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエーテルケトン(PEK)などのポリアリーレンエーテルケトンである。ポリアリーレンエーテルケトンは少なくとも250℃で熱的に安定であり、少なくとも300℃の温度で溶融し、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)の1つまたは複数において開示されている。上でリストされたポリマー結合剤のすべては、持続使用範囲内の温度およびそれより低い温度で熱的に安定であるとともに寸法的に安定であり、そして、それらは耐磨耗性である。これらのポリマーは汚れていない金属表面にもよく接着する。
【0016】
(その他の添加剤)
フルオロポリマーに加えて、粉末プライマおよび粉末オーバーコートは、無機充填剤、膜硬化剤、顔料、安定剤および他の添加剤を含んでもよい。適する充填剤および膜硬化剤の例には、ケイ素、ジルコニウム、タンタル、チタン、タングステン、ホウ素およびアルミニウムの無機酸化物、窒化物、ホウ化物および炭化物ならびにガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸ジルコニウム、マイカ、金属フレーク、金属繊維、微細セラミック粉末、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、カーボンブラックなど、ならびにポリアミド、ポリエステルおよびポリイミドの合成繊維が挙げられる。一実施形態において、粉末プライマは、フルオロポリマー、ポリマー結合剤および充填剤の総合重量を基準にして10〜20重量%の無機充填剤を含む。
【0017】
(プライマ粉末の調製)
テトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーと、ポリマー結合剤と、任意に他のフルオロポリマーと、上で論じた他の添加剤とを含む粉末プライマは、個々の成分の粉末をブレンドする従来の機械的方法を用いて製造してもよい。
【0018】
あるいは、粉末プライマの多成分粒子、すなわち、任意に他のフルオロポリマーと合わせたテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤は、フルオロポリマー粒子および他の成分をポリマー結合剤の溶液と組み合わせ、フルオロポリマーをポリマー結合剤の溶液と混合し、非分散ポリマー結合剤を有するフルオロポリマーの多成分粒子の組成物を単離することによって、ブラザーズ(Brothers)らによる米国特許公報(特許文献9)の教示により製造することが可能である。「非分散ポリマー結合剤」とは、プライマ粉末の粒子の多成分状態が、ポリマー結合剤成分がフルオロポリマー成分に分散されている状態ではないことを意味する。従って、本発明の一実施形態において用いられるポリマー結合剤成分はフルオロポリマー成分に分散された充填剤の形態を取らないで、逆にフルオロポリマー粒子を取り巻く被膜として存在する。この実施形態の多成分粒子の表面に存在する非分散ポリマー結合剤は、この組成物がプライマ塗料として用いられるとき、基材への粒子の接着性を促進する。
【0019】
より好ましい実施形態において、プライマ粉末は、ポリマー結合剤および上で論じた任意に他の成分と合わせてテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーの一次粒子の液体分散液を噴霧乾燥して、テトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤の凝集粒子の砕けやすい粒体を製造することによって、米国特許公報(特許文献10)におけるフェリックス(Felix)らの教示により吹付け可能な粉末に製造することが可能である。「砕けやすい」とは、粉砕粒子から広がるフィブリルの形成などのはっきり認められるほどの粒子歪みを引き起こさずに、より小さい粒度に粒体を縮小させる(微粉砕する)ことが可能であることを意味する。噴霧乾燥法によって形成されたポリマーと成分のブレンドは、粉末形成後に個々の成分の粉末をブレンドする従来の機械的方法によって形成されたブレンドより均一である。噴霧乾燥によって形成された多成分粉末は静電塗布中に分離せず、よって基材上により均一な被膜を提供する。
【0020】
噴霧乾燥において用いられるフルオロポリマー成分は、塗布の容易さおよび環境許容性に関して本発明の組成物のために好ましい形態である水中のポリマーの分散液として一般に市販されている。「分散液」とは、分散液を用いるときに粒子の沈降が時間内に起きないようにフルオロポリマー粒子が水性媒体に安定に分散されていることを意味する。これは、典型的にはほぼ0.2マイクロメートルのフルオロポリマー粒子(一次粒子とも呼ばれる)の小さいサイズおよび分散液製造業者による水性分散液の中での界面活性剤の使用によって達成される。こうした分散液は、分散重合として知られているプロセス、任意にその後の濃縮および/または界面活性剤の更なる添加によって直接得ることが可能である。
【0021】
(粉末の塗布)
必要に応じて適する界面活性剤または粘度調節剤と合わせて適する液体に乾燥粉末を懸濁させ、湿式塗布技術によって組成物を沈着させることにより、プライマ粉末およびオーバーコート粉末を基材に被着させることが可能である。好ましくは、本発明において用いられる粉末塗料は、周知された従来の技術、例えば、ホットフロッキング、静電吹付け、静電流動層およびロトライニングなどによって乾燥形態を取って沈着される。摩擦電気吹付けまたはコロナ吹付けなどの静電吹付けは好ましい。
【0022】
プライマ粉末は、基材への被膜の粘着力を助けるためにグリットブラスト、エッチングまたは化学処理などの従来の処理によって好ましく処理された、清浄化され脱脂された基材に典型的に被着される。適するいかなる基材も被覆することが可能である一方で、典型的な金属基材の例には、特に、スチール、高炭素鋼、ステンレススチール、アルミニウム被覆鋼およびアルミニウムが挙げられる。基材に粉末プライマおよびオーバーコートプライマを被着させるプロセスは、好ましくは基材が15〜25℃の温度にあるときである。
【0023】
粉末オーバーコートは、単一焼付塗布と呼ばれる方法、すなわち、オーバーコートの焼付けが典型的にはプライマ層を焼付ける方法において最初に粉末プライマを焼付けずに粉末プライマ上にわたって基材に被着させてもよい。単一焼付系において、被覆された基材は、典型的には約735°F(390℃)で60分にわたり焼付けられる。あるいは、二重焼付塗布と呼ばれる方法でプライマ層を焼付けた後、粉末オーバーコートを被着させ、焼付けることが可能である。典型的には、粉末プライマは基材に被着され、725°F(385℃)で約30分にわたり焼付けられる。その後、オーバーコート粉末が被着され、その後、725°F(385℃)でもう約30分にわたり焼付けられる。典型的な用途において、プライマ層は厚さ約2ミル(50マイクロメートル)未満であり、オーバーコート層は約25ミル(650マイクロメートル)以下である。他の用途において、プライマ層は厚さ約1.5ミル(38マイクロメートル)未満であり、オーバーコート層は厚さ約1.5ミル〜厚さ約3ミル(38マイクロメートル〜76マイクロメートル)の間である。
【0024】
上述した粉末塗料は、本発明の基材上で剥離表面のためのプライマ層およびオーバーコート層として用いられる。こうした塗料は、クックウェアおよびオーブンウェアへの用途、ならびに複写機および印刷機のための定着機構ロールまたはベルト、バルブ、タンク、インペラ、パイプ、金属フォイル、靴型、スノーシャベルおよびスノープラウ、船底、シュート、コンベヤ、ダイ、ツール、工業容器、型、内張反応容器、自動車パネル、熱交換器およびチューブなどの無数の工業用途を有する。
【0025】
(試験方法)
(付着強さ粘着力試験)
4.0インチ×12.0インチ(10.1cm×30.5cm)のアルミニウムパネルをアセトンによるリンスにより清浄化する。パネルはグリットブラスト表面を有する。実施例の各々における説明によりパネルを被覆する。以下で詳述する付着強さ粘着力試験にパネルを供する。
【0026】
被覆された基材を単純化T−剥離試験(接着剤の剥離抵抗)に供することにより、被覆された金属パネルの付着強さを決定する。焼付けられた被膜を1インチ離れた平行線を有する金属基材に押し付ける。固定しておくのに十分である被膜のフラップを押し上げるために幅1インチのたがねを用いる。被膜を手でまたは別法として一対のプライアで基材から引っ張る。
【0027】
付着強さを沸騰水試験の前後に採点する。沸騰水試験のためにパネルを所定の時間にわたり沸騰水に浸漬させる。1〜4の採点システムにより付着破壊を定性的に採点する。4の評点は最善の粘着力評点である。非常に容易に剥離する膜をもたらした接着剤破壊を示すサンプルに1の評点を与える。膜を剥離するために著しい努力を必要とした接着剤破壊を示したサンプルに2の評点を与える。剥離によって破壊したが、膜の著しい伸びまたは膜の伸びの後に膜の緩やかな引裂をもたらしたサンプルに3の評点を与える。きれいな被膜破壊または伸びの後に破壊を示したサンプルに4の評点を与える。
【実施例】
【0028】
以下の実施例において、約4インチ×12インチのアルミニウムパネル基材をアセトンで清浄化し、エンパイア・アブレーシブ・イクイップメント・カンパニー(Empire Abrasive Equipment Company)から入手できる「プロ−フィニッシュ(Pro−Finish)」ブラストキャビネット、モデルPF−3648を用いて、約70〜125マイクロインチRaの粗度に100グリット酸化アルミニウムでグリットブラストした。
【0029】
「ノードセン・シュア−コート(Nordsen Sure−Coat)静電粉末塗料ガンを用いて粉末塗料を基材に被着させる。実施例で規定された時間と温度で電気加熱ホットエア対流炉内で、被覆されたパネルを焼付ける。これらの実施例で用いた炉はクラスA溶媒ベント炉である。
【0030】
噴霧乾燥によってテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤からプライマ粉末を調製する実施例に関して、用いた噴霧乾燥機は、デンマーク国コペンハーゲンのAPVアンヒドロAS(APV Anhydro AS(Copenhagen,Denmark))によって製造された「APVパイロットスプレードライヤ(APV Pilot Spray Dryer)」タイプPSD52である。300℃〜320℃の入口空気温度および110℃〜125℃の出口温度で噴霧乾燥機を運転する。粉末をサイクロンセパレータ内に集め、微粉を最終フィルタ内に集め、ホットエアおよび水蒸気を排出する。ぜん動ポンプを用いて分散液を送り、二流体(空気および液体)ノズルで噴霧する。ノズルの空気圧力は60psigである。
【0031】
(フルオロポリマー)
以下の実施例において特に指定がない限り、分散液の濃度は固体および液体の総合重量を基準にして重量%である。分散液の固体含有率は重力測定で決定され、固体および液体の総合重量を基準にして重量%で記載される。
【0032】
メルトフローインデックスは、ASTM(D−2116またはD−3307)の方法によって372℃で測定される。MFRがg/10分の単位であり、溶融粘度(MV)が103Pa・sの単位であるとき、MFRは、MV=53.15/MFRという関係によってMVに関連付けられる。
【0033】
生分散液粒度(RDPS)は陽子相関分光分析によって測定される。
【0034】
粉末粒子の平均粒度は、(ハネウェル・コーポレーション(Honeywell Corporation)の一部門であるリーズ&ノースラップ(Leeds & Northup)から入手できる「マイクロトラック101レーザーパーティクル・カウンタ(Microtrac 101 Laser Particle Counter)」を用いて)乾燥粒子に関するレーザー光散乱によって測定した。
【0035】
(FEP分散液)
28〜32重量%の固体含有率および160〜220ナノメートルの生分散液粒度(RDPS)を有する水中のTFE/HFPコポリマー樹脂分散液。樹脂は10.3〜13.2重量%のHFP含有率および2.95〜13.3のメルトフローインデックスを有する。樹脂の融点は507°F(264℃)である。
【0036】
(PFA分散液)
28〜32重量%の固体含有率および150〜245ナノメートルの生分散液粒度(RDPS)を有する水中のTFE/PPVEコポリマー樹脂分散液。樹脂は2.9〜3.6重量%のPPVE含有率および1.3〜2.2のメルトフローインデックスを有する。樹脂の融点は590°F(310℃)である。
【0037】
(FEP粉末(本願特許出願人から市販されている製品コード532−8110))
TFE/HFPコポリマー粉末は10.3〜13.2重量%のHFPを含み、粒度は26.3〜46.6マイクロメートルの範囲内であり、メルトフローインデックスは2.95〜13.3g/10分であり、嵩密度は48〜72g/100ccである。樹脂の融点は507°F(264℃)である。
【0038】
(PFA粉末(本願特許出願人から市販されているタイプ350、製品コード532−7410))
TFE/PPVEフルオロポリマー粉末は2.9〜3.6%のPPVEを含み、粒度は28.5〜0.9マイクロメートルの範囲内であり、メルトフローインデックスは1.3〜2.2g/10分であり、嵩密度は56〜87g/100ccである。樹脂の融点は590°F(310℃)である。
【0039】
(ポリマー結合剤)
ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、「ライトン(Ryton)」PR11−10としてシェブロン・フィリップス・ケミカル・カンパニー(Chevron Phillips Chemical Company)から市販されている。
ポリエチレンスルホン(PES)は、「スミカ・エクセル・ペス(Sumika Excel PES)」4100mpとして住友化学(Sumitomo Chemical)から市販されている。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、150PFグレードとしてビクトレックス(Victrex)から市販されている。
【0040】
(他の成分)
マイカは、アフラー(Afflair)のグレードとしてEMDケミカルズ(EMD Chemicals)から市販されている。
「シルウェット(Silwet)」L−77界面活性剤はGEシリコーンズ(GE Silicones)から市販されている。
ブラック顔料は、C.I.ピグメントブラック28としてエンゲルハルド(Engelhard Corporation)から市販されている。
【0041】
(比較例1−機械的にブレンドされたPFA/PPSプライマ粉末)
PPS結合剤とPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を表1に記載された比率によりプラスチック瓶に入れ、15分にわたり回転させることにより、機械的にブレンドされたプライマ粉末を製造する。上で調製されたグリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けすることにより粉末を被着させる。PFAオーバーコート粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)をプライマ粉末塗料の上に静電被着させて、オーバーコート層を形成させる。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、単一焼付け運転で1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表1で提示している。
【0042】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前に剥離に耐えるが、パネルを14時間にわたり沸騰水に入れた後では、被膜は基材から剥離する。従って、試験は劣った耐久性のない付着の証拠を示している。
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例1−機械的にブレンドされたFEP/PPSプライマ粉末)
PPS結合剤とFEP粉末(「デュポン(DuPont)」532−8110)を表2に記載された比率によりプラスチック瓶に入れ、15分にわたり回転させることにより、機械的にブレンドされたプライマ粉末を製造する。上で調製されたグリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けすることにより粉末を被着させる。PFAオーバーコート粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)をプライマ粉末塗料の上に静電吹付けにより被着させて、オーバーコート層を形成させる。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、単一焼付け運転で1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表2で提示している。
【0045】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で剥離に耐える。強い耐久性付着の証拠である。
【0046】
【表2】

【0047】
(実施例2−機械的にブレンドされたFEP/PFA/PPSプライマ粉末)
PPS結合剤とFEP粉末(「デュポン(DuPont)」532−8110)とPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を表3に記載された比率によりプラスチック瓶に入れ、15分にわたり回転させることにより、機械的にブレンドされたプライマ粉末を製造する。上で調製されたグリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けすることにより粉末を被着させる。PFAオーバーコート粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)をプライマ粉末塗料の上に静電吹付けにより被着させて、オーバーコート層を形成させる。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、単一焼付け運転で1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表3で提示している。
【0048】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前と沸騰後の両方で剥離に耐える。
【0049】
【表3】

【0050】
(比較例2−噴霧乾燥させたPFA/PPSプライマ粉末)
噴霧乾燥を用いてPFA/PPSプライマ粉末を調製する。表4aに示した量の脱イオン水と、界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)と、PPSとを高剪断混合ブレードで最初に混合する。5分の混合後、ミキサーを止め、低剪断混合を用いてPFA分散液を攪拌し入れる。APVパイロットサイズの噴霧乾燥機を作動させ、300℃の入口空気温度に予熱し、DI水を噴霧器にフィードして115℃の出口温度を維持する。噴霧乾燥機へのフィードをDI水からPFA混合物に変える。混合物のためのポンプ速度を調節して、噴霧器の出口温度を115℃に保つ。噴霧乾燥機において、水をホットエアストリームの中で蒸発させ、サイクロンセパレータを通して得られた粉末を集める。プライマ粉末粒子の組成を表4bで提示している。
【0051】
上で調製されたグリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。プライマ粉末塗料の上に静電吹付けによってPFAオーバーコート粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を被着させてオーバーコート層を形成させる。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、単一焼付け運転で1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表4bで提示している。
【0052】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前に剥離に耐えるが、パネルを14時間にわたり沸騰水に入れた後では、被膜は基材から剥離する。従って、試験は劣った耐久性のない付着の証拠を示している。
【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
(実施例3−噴霧乾燥させたFEP/PPSプライマ粉末)
噴霧乾燥を用いてFEP/PPSプライマ粉末をプライマ層のために調製する。表5aに示した量の脱イオン水と、界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)とPPSとを高剪断混合ブレードで混合する。5分の混合後、ミキサーを止め、低剪断混合を用いてFEP分散液を攪拌し入れる。APVパイロットサイズの噴霧乾燥機を作動させ、300℃の入口空気温度に予熱し、DI水を噴霧器にフィードして115℃の出口温度を維持する。噴霧乾燥機へのフィードをDI水からFEP混合物に変える。混合物のためのポンプ速度を調節して、噴霧器の出口温度を115℃に保つ。噴霧乾燥機において、水をホットエアストリームの中で蒸発させ、サイクロンセパレータを通して得られた粉末を集める。集めた粉末の平均粒度は25マイクロメートルである。プライマ粉末粒子の組成を表5aで提示している。
【0056】
グリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。プライマ層の上にPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を粉末被覆する。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表5bで提示している。
【0057】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で剥離に耐える。強い耐久性付着の証拠である。
【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
(実施例4−噴霧乾燥させたFEP/PFA/PPSプライマ粉末)
PFA/FEP/PPSプライマ粉末に関して実施例3の手順に従う。表6aに示した量の脱イオン水と、界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)とPPSとを高剪断混合ブレードで最初に混合する。高剪断混合後、FEP分散液とPFA分散液を混合物に至るまで攪拌し、噴霧乾燥させる。集めた粉末の平均粒度は22マイクロメートルである。プライマ粉末粒子の組成を表6bで提示している。
【0061】
グリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。プライマ層の上にPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を粉末被覆する。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミルのオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験し、結果を表6bで提示している。
【0062】
一般に、焼付けられた被膜は沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で剥離に耐える。強い耐久性付着の証拠である。
【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
(実施例5−商業シミュレーション、ベーカリー試験)
プライマ粉末が顔料および充填剤を追加的に有することを除き、FEP/PPSプライマ粉末を形成させるために実施例3の手順に従う。3266gの脱イオン水と、9.9gの界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)と、460gのPPSと、85gの硫酸バリウムと、65gの「アフラー(Afflair)」520(マイカ)と40gのブラック顔料とによりプライマ粉末を製造する。高剪断混合後、1084gのFEP分散液を攪拌して入れる。プライマ粉末の組成は、46%のPPS、35%のFEP、8.5%の硫酸バリウム、6.5%の「アフラー(Afflair)」(マイカ)、4%のブラック顔料である。
【0066】
上で略述した手順によって清浄化し、グリットブラストした約2ft.×3ft.のグリットブラストアルミニウム被覆バン皿上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。皿はハンバーガーバンの一焼分に関して収容するために凹部を有する。PFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)をプライマ層の上に粉末被覆する。バン皿を735°F(390℃)の炉に入れ、1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。顔料および充填剤は、基材の良好な隠蔽および均一な外観を被膜に与える。
【0067】
上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験する。焼付けられた被膜は沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で剥離に耐え、それは強い耐久性付着を示す付着強さ評点によって証明される。
【0068】
このように調製されたバン皿をベーカリー試験において模擬商業用途に供した。1日4サイクルに関して、生の生地をバン皿の凹部に入れ、皿をベークオーブンに入れ、オーブンの温度を20分のベークサイクルにわたって450°F(232℃)に傾斜させて、ハンバーガーバンを製造する。6ヶ月および1500サイクル後、バン皿基材への被膜の付着破壊の証拠はない。
【0069】
(実施例6−噴霧乾燥させたFEP/PESプライマ粉末)
FEP/PESプライマ粉末を形成させるために実施例3の手順に従う。表7aに示した量の脱イオン水と、界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)と、PESとを高剪断混合ブレードで最初に混合する。高剪断混合後、FEP分散液を混合物に至るまで攪拌し、噴霧乾燥させる。集めた粉末の平均粒度は15マイクロメートルである。プライマ粉末粒子の組成を表7bで提示している。
【0070】
グリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。プライマ層の上にPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を粉末被覆する。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験する。
【0071】
塗料系の付着強さは、沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で4であり、それは強い耐久性付着の証拠である。
【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
(実施例7−噴霧乾燥させたFEP/PEEKプライマ粉末)
FEP/PEEKプライマ粉末を形成させるために実施例3の手順に従う。表8aに示した量の脱イオン水と、界面活性剤(「シルウェット(Silwet)」L−77)とPEEKとを高剪断混合ブレードで最初に混合する。高剪断混合後、FEP分散液を混合物に至るまで攪拌し、噴霧乾燥させる。集めた粉末の平均粒度は19マイクロメートルである。プライマ粉末粒子の組成を表8bで提示している。
【0075】
グリットブラストアルミニウムパネル上に静電吹付けによってプライマ粉末を被着させる。プライマ層の上にPFA粉末(「デュポン(DuPont)」532−7410)を粉末被覆する。パネルを735°F(390℃)の炉に入れ、1時間にわたり焼付ける。最終被膜厚さは2.8ミルであり、約1ミル(25.4マイクロメートル)のプライマ厚さおよび約1.8ミル(45.7マイクロメートル)のオーバーコート厚さを有する。上で記載された剥離試験を用いて基材への被膜の付着の接着強度を試験する。
【0076】
塗料系の付着強さは、沸騰する前と14時間にわたる沸騰後の両方で4であり、それは強い耐久性付着の証拠である。
【0077】
【表12】

【0078】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に剥離表面を形成させる方法であって、
(a)プライマ粉末を前記基材に被着させてプライマ層を前記基材上に形成させる工程であって、前記プライマがテトラフルオロエチレン/パーフルオロオレフィンコポリマーおよびポリマー結合剤を含む工程と、
(b)オーバーコート粉末を前記プライマ層上に被着させて前記プライマ層上にオーバーコート層を形成させる工程であって、前記オーバーコートがテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマーを含む工程と、
(c)前記プライマ層および前記オーバーコート層を焼付けて、前記剥離表面を形成させる工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パーフルオロオレフィンが3〜8個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パーフルオロオレフィンがヘキサフルオロプロピレンであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)のアルキル基が1〜5個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)がパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プライマ粉末を静電吹付けによって被着させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記オーバーコート粉末を静電吹付けによって被着させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー結合剤がポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドおよびポリアリーレンエーテルケトンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー結合剤がポリフェニレンスルフィドを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記プライマ粉末が60重量%以下のテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プライマ粉末が前記フルオロポリマーおよび前記ポリマー結合剤の総合重量を基準にして5〜90重量%のポリマー結合剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プライマが、前記フルオロポリマー、前記ポリマー結合剤および充填剤の総合重量を基準にして10〜20重量%の無機充填剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プライマ粉末の粉末が、前記フルオロポリマーおよび前記ポリマー結合剤の両方を含む粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プライマ粉末が噴霧乾燥によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基材が、炭素鋼、アルミニウムまたはアルミニウム被覆鋼からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)および(b)が行われるときに、前記基材が15〜25℃の温度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記プライマ層上への前記オーバーコート粉末の前記被着を前記プライマ層を焼付ける前に行い、それによって前記オーバーコート層の前記焼付けが前記プライマ層も焼付けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記プライマ層上への前記オーバーコート粉末の前記被着を前記プライマ層を焼付けた後に行い、前記オーバーコート層を前記オーバーコート粉末の被着後に焼付けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プライマ層が厚さ2ミル(50マイクロメートル)未満であり、前記オーバーコート層が25ミル(650マイクロメートル)以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記プライマ層が厚さ1.5ミル未満であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記オーバーコート層が厚さ1.5〜3ミル(38マイクロメートル〜76マイクロメートル)であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法に製造された剥離被膜をその上に有する基材。

【公表番号】特表2008−520434(P2008−520434A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543369(P2007−543369)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/042197
【国際公開番号】WO2006/055923
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】