説明

プラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法

【課題】架等に固定された筐体内に挿抜可能なカードのプリント基板に搭載された発熱体の熱を簡単に効率良く筐体外に放熱し、かつ、静電気による誤作動防止やEMC特性を劣化させることがないプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法を提供する。
【解決手段】プリント基板1と、プリント基板1の一つの端部に備えられたフロントパネル2と、プリント基板1の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタ7とを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の、プリント基板1上の発熱体6に一端が熱的に接続され、所定の経路を経て他端がフロントパネル2に熱的に接続されて、発熱体6の熱をフロントパネル2の所定部分に移動するマイクロヒートパイプ8を備えた、プラグインタイプ装置の放熱装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板の端部にフロントパネルを備えたカードが筐体に装入されるプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラグインタイプの装置は、通常少なくとも1枚のプリント基板が挿抜可能に実装される筐体を備えており、各プリント基板の一方端にはフロントパネルが取り付けられている。プリント基板には半導体素子等の発熱体が搭載され、半導体素子の集積度が高くなり、発熱量が多く、例えば、垂直方向に送風して、筐体内の温度を低下させている。従来のプラグインタイプ装置を図4および図5に示す。図4は、設置された状態の従来のプラグインタイプ装置を示す図である。
【0003】図5は、フロントパネルが取り付けられたプリント基板からなるカードを示す図である。図4に示すように、プリント基板31の1つの端部にフロントパネル32が取り付けられたカードが筐体34に実装されたプラグインタイプ装置である。筐体34は、垂直方向に設置された架35等に実装される。カードは1枚または複数枚からなっており、各カードは前後方向に挿抜できる機構を有している。更に、各カードは筐体のバックボードと図5に示すコネクタ37によって嵌合する。
【0004】従来、図5に示すように、各カードのフロントパネル32には、プリント基板31からの信号等を出力するためのコネクタ38やアラーム用のLED(Light Emitting Diode)39等が並んで配置されている。更に、フロントパネルの役割として、プリント基板内ICの内容表示、粉塵からの保護、感電など人体に対する保護、電磁波からの保護などが挙げられる。また、電磁波防護をより強化するために、図4に示すように、フロントパネル32の両側辺に金属片33が付いているものもある。
【0005】プラグインタイプ装置の性能に対する様々な要求が高まり、それに伴って、フロントパネルに直接配置される部品等が多くなっている。上述したように、プラグインタイプの装置においては、プリント基板に搭載されている発熱体の発熱量が増加し、高性能を維持するために、各種冷却方法が採用されている。従来、プラグインタイプの装置において装置内部品の温度を下げるための、一般的な方法として、発熱体の上にヒートシンクを設置して、発熱体の発する熱を筐体内に放熱したり、更には、ファン等の使用による強制空冷方式を採用したり、または、プリント基板上の発熱部品の実装密度を分散させてスペースを広く取り、熱の集中を回避する等の方法があった。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、従来のプラグインタイプの装置の放熱方法には下記の問題点がある。即ち、発熱体の上にヒートシンクを設置して放熱する方法は、熱発生源からの熱を効率よく放熱させる効果があるけれども、放熱容量に限界があった。更に、プラグインタイプの装置の場合には、カードを挿抜するので、放熱部となる箇所がほとんど無く、筐体内に放熱する際にも、発熱体の実装密度の小さい部分に放熱する等の処理が必要であった。また、発熱体となる電子部品をフロントパネルに近接配置すれば放熱し易いが、装置を人が操作する際に静電気による誤作動の恐れがあるため、前記発熱体はフロントパネルから遠ざける必要があった。
【0007】従って、ヒートシンク周辺の部品に対して熱の影響が出ないように処理する必要があり、例えば、プリント基板上の部品実装密度を分散させる等スペースを広くとる必要があった。更に、装置に冷却用の外気取り込み口を設けるとノイズも進入するため高性能のシステムのEMC(Electromagnetic Compatibility)特性を劣化させるという問題点が有る。
【0008】従って、この発明の目的は、架等に固定された筐体内に挿抜可能なカードのプリント基板に搭載された発熱体の熱を簡単に効率良く筐体外に放熱し、かつ、静電気による誤作動防止やEMC特性を劣化させることがないプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置のEMC特性を劣化させないフロントパネルの所定部分を特定し、プリント基板上の発熱体の熱をマイクロヒートパイプによってフロントパネルの特定した所定部分に移動させることによって、即ち、フロントパネルの所定部分をヒートシンクの一部として利用することによって、発熱体の熱を効果的に放熱することができることを知見した。
【0010】この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置の第1の態様は、プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の、前記プリント基板上の発熱体に一端が熱的に接続され、所定の経路を経て他端が前記フロントパネルに熱的に接続されて、前記発熱体の熱を前記フロントパネルの所定部分に移動するマイクロヒートパイプを備えた、プラグインタイプ装置の放熱装置である。
【0011】この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置の第2の態様は、前記カードの少なくとも1つの側方に、前記フロントパネルと熱的に接続された金属片が備えられ、前記フロントパネルに移動した熱が更に前記金属片に移動することを特徴とする、プラグインタイプ装置の放熱装置である。
【0012】この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置の第3の態様は、前記マイクロヒートパイプは三次元的に屈曲加工され、前記フロントパネルの、放熱部として利用可能な前記所定部分に密着接続されていることを特徴とする、プラグインタイプ装置の放熱装置である。
【0013】この発明のプラグインタイプ装置の放熱方法の第1の態様は、プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の前記フロントパネルの所定部分を特定し、前記発熱体と前記フロントパネルとの間をマイクロヒートパイプで接続する経路を特定し、前記プリント基板上の発熱体に前記マイクロヒートパイプの一端を熱的に接続させ、前記所定経路を経て前記マイクロヒートパイプの他端を前記フロントパネルに熱的に接続させ、前記発熱体の熱を前記フロントパネルの所定部分に移動して放熱する、プラグインタイプ装置の放熱方法である。
【0014】この発明のプラグインタイプ装置の放熱方法の第2の態様は、前記カードの少なくとも1つの側方に、前記フロントパネルと熱的に接続された金属片を備え、前記フロントパネルに移動した熱を更に前記金属片に移動して放熱することを特徴とする、プラグインタイプ装置の放熱方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法にの態様について詳細に説明する。この発明のプラグインタイプ装置は、プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の、プリント基板上の発熱体に一端が熱的に接続され、他端がフロントパネルに熱的に接続されて、発熱体の熱をフロントパネルの所定部分に移動するマイクロヒートパイプを備えた、プラグインタイプ装置の放熱装置である。
【0016】即ち、この発明のプラグインタイプ装置は、架等に固定され、バックボードを備えた筐体に、プリント基板とフロントパネルからなる挿抜可能な少なくとも1枚のカードがコネクタを介して実装される装置である。筐体の背面側は、他の装置等の配置への影響を避けるために、筐体内のプリント基板上に搭載された発熱体からの熱を放熱する放熱部位として利用できないという制限がある。この発明のプラグインタイプ装置は、このように放熱部位が制限された状況下において、放熱だけでなく、更に、高性能のシステムのEMC特性を劣化させることなく、筐体内のプリント基板上に搭載された発熱体からの熱を効率的に放熱することが可能な放熱装置を備えている。
【0017】図1は、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置を説明する図である。図1に示すように、この発明のプラグインタイプ装置の1つの態様においては、架5によって垂直に固定された筐体4に、プリント基板1とフロントパネル2からなる挿抜可能な2枚のカードが装入されている。各カードは、図示しない、端部に備えられたバックボード用コネクタによって筐体4に装着される。
【0018】この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置には、更に、上述したカードの少なくとも1つの側方に、フロントパネルと熱的に接続された金属片が備えられており、フロントパネルに移動した熱が更に金属片に移動する。前記金属片は、前記カードの隣に配置されるカードのフロントパネルであるのが好ましい。その場合、2つのフロントパネル間の間隙を埋めるように電磁遮蔽部材(金属等)が設けられていると熱移動し易くなり、発熱体の放熱効果がより高まる。
【0019】図2は、この発明のプラグインタイプ装置の筐体に装着されるカードを示す図である。プリント基板1の一方端にはフロントパネル2が設けられている。プリント基板上に搭載された半導体素子等の発熱体6の上には放熱フィンを備えたヒートシンク9が載置されている。発熱体に接して配置されたマイクロヒートパイプ8は、カードの所定空間を通ってプリント基板1に沿ってフロントパネル2まで延伸して、フロントパネル上部の所定部分12の裏面に固定金具11によって固定されている。プリント基板の他方端にはバックボード用のコネクタ7が備えられている。
【0020】この発明のプラグインタイプ装置においては、フロントパネルは、上述したように、プリント基板内ICの内容表示、粉塵からの保護、感電など人体に対する保護、電磁波からの保護などの多くの機能を発揮することを要求されている。一般に、放熱対策とEMCの劣化を防止することとは両立させることが非常に難しい。即ち、この発明のプラグインタイプ装置においては、上述したこれらの多くの機能を充分に発揮しつつ、更に、その限られた一部分を放熱のために機能させて、EMCの特性を劣化させることなく、プリント基板に搭載された発熱体の熱を効率良く筐体外に放熱している。
【0021】このため、多くの機能を充分に発揮しつつ、更に、その限られた一部分を放熱のために機能させることができる、フロントパネルの所定部分を特定し、更に、発熱体に接して配置されたマイクロヒートパイプを、カードの所定空間を通ってプリント基板に沿ってフロントパネルの所定部分まで延伸することが重要である。
【0022】図2においては、高い発熱量の発熱体6を対称にマイクロヒートパイプ8を配置しているけれども、図2に示す別の発熱体6'に別のマイクロヒートパイプ8'を配置し、所定の空間を通ってフロントパネル上部の所定部分12の裏面に延伸し、固定してもよい。なお、マイクロヒートパイプは細い外径で、かつ、加工性に優れているため、このような3次元の間隙を縫うような配置が容易になる。
【0023】図3は、この発明のプラグインタイプ装置の筐体に装着されるカードの別の態様を示す図である。図3において、プリント基板1の一方端にはフロントパネル2が設けられている。プリント基板1上に搭載された半導体素子等の発熱体6の上には放熱フィンを備えたヒートシンク9が載置されている。発熱体に接して配置されたマイクロヒートパイプ8は、カードの所定空間を通ってプリント基板1に沿ってフロントパネル2まで延伸して、フロントパネル上部の所定部分12の裏面に固定金具11によって固定されている。プリント基板の他方端にはバックボード用のコネクタ7が備えられている。
【0024】図3に示すように、プリント基板内ICの内容表示、粉塵からの保護、感電など人体に対する保護、電磁波からの保護などの多くの機能を充分に発揮しつつ、更に、EMCの特性を劣化させることなく放熱のために機能させることが可能なフロントパネルの所定部分12を特定し、更に、プリント基板上に搭載された発熱体からの熱の移動が可能なマイクロヒートパイプ8の経路を特定する。
【0025】図3に示すように、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置において、マイクロヒートパイプ8は、上述したように特定された経路を通るように三次元的に屈曲加工され、フロントパネルの、放熱部として利用可能な所定部分12に密着接続されている。なお、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置において、図2、図3に示すように、発熱体に別のヒートシンクが更に備えられていてもよい。
【0026】上述したように、発熱体が搭載されたプリント基板とフロントパネルとからなる挿抜可能なカードに、所定経路を通って発熱体とフロントパネルの所定部分に接続されたマイクロヒートパイプと発熱体に接して設けられたヒートシンクを装着することによって、発熱体の熱は、空気の対流によってプリント基板上方に移動されるルートと、マイクロヒートパイプによってフロントパネルに移動されるルートによって放散される。その結果、先に述べたような多機能を果たすフロントパネルの十分な機能を損ねることなく、直接外気に触れているフロントパネルの所定部分をヒートシンクの一部として利用することができ、放熱効果を高めることができる。
【0027】更に、マイクロヒートパイプとヒートシンクの間、マイクロヒートパイプとフロントパネルとの間の熱抵抗を減らすために、それぞれの間に熱伝導シートを装着してもよい。更に、この発明のプラグインタイプ装置において、放熱体にペルチェ素子が備えられていてもよい。例えば、発熱体がLD(Laser Diode)モジュールのようなペルチェ素子を用いている場合には、LDモジュールの真下にマイクロヒートパイプを引き込むことにより、ペルチェ素子による放熱効果を更に高めることができる。ペルチェ素子LDモジュールの筐体をフレームGNDに落とせない場合は、マイクロヒートパイプとLDモジュールの筐体の間に絶縁タイプの熱伝導シートを挟むか、または、マイクロヒートパイプとフロントパネルの間に絶縁タイプの熱伝導シートを挟み、固定に用いるネジを樹脂ネジにするとよい。
【0028】上述したように、この発明のプラグインタイプ装置の放熱方法においては、EMC特性を劣化させない前記フロントパネルの所定部分を特定し、更に、発熱体とフロントパネルとの間をマイクロヒートパイプで接続する経路を特定し、このように特定された経路を通って、フロントパネルの特定された所定部分にマイクロヒートパイプが密着接続される。
【0029】即ち、プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置のEMC特性を劣化させないフロントパネルの所定部分を特定し、発熱体とフロントパネルとの間をマイクロヒートパイプで接続する経路を特定し、プリント基板上の発熱体にマイクロヒートパイプの一端を熱的に接続させ、所定経路を経てマイクロヒートパイプの他端をフロントパネルに熱的に接続させ、発熱体の熱をフロントパネルの上部の所定部分に移動して放熱する。
【0030】この発明におけるマイクロヒートパイプのコンテナの材質は、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等の熱伝導性に優れた、屈曲加工が容易な材質であればよい。コンテナ内に封入される作動流体として、水、代替フロン、アセトン、メタノール、ヘリウム、窒素、アンモニア、ナトリウム等を使用することができる。作動流体は、上述した中からコンテナの材質との適合性を考慮して選定することができる。
【0031】この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置は、例えば、光波長多重伝送システム等に用いられる光増幅中継器に適用することができる。従来、光増幅中継器は、消費電力が大きく、更に、省スペース化が要求されており、光増幅中継器の放熱が大きな課題となっているが、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置を用いることによって、光増幅中継器のEMC特性を劣化させることなく、放熱効果を高めることができる。更に、光増幅中継器は、一般的に、無人局舎が多いので、保守の都合上、強制空冷方式を採用することが困難であり、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置を用いることによって、強制空冷方式を採用することなく、高い放熱効果を得ることができる。以下に、この発明のこの発明のプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法を実施例によって、更に詳細に説明する。
【0032】
【実施例】実施例1図1に示すように、架によって垂直に固定された筐体に、プリント基板の一方端にフロントパネルが取り付けられた挿抜可能な2枚のカードが装入されたこの発明のプラグインタイプ装置を調製した。筐体の大きさは、縦30cm×横20cm×高さ40cmであった。筐体の上面および下面は、空気の対流が可能なように開放された形状からなっている。筐体のその他の面は閉塞されている。
【0033】各カードのプリント基板の一方端にはフロントパネルが設けられている。プリント基板上に搭載された半導体素子等の発熱体の上には放熱フィンを備えたヒートシンクが載置されている。プラグインタイプ装置のEMC特性を劣化させないフロントパネル上の部位を前もって調査し、特定した。発熱体に接して配置されたマイクロヒートパイプは、カードの所定空間を通ってプリント基板に沿ってフロントパネルまで延伸して、3次元的に屈曲加工されて、EMC特性を劣化させない特定された部位であるフロントパネル上端から4cmの部分の裏面にマイクロヒートパイプの端部を固定金具によって固定した。プリント基板の他方端にはバックボード用のコネクタが備えられている。
【0034】マイクロヒートパイプは、銅(C1020)製の直径3mmの丸型コンテナからなっており、コンテナ内には作動流体としての純水が封入されている。各カードのプリント基板上の発熱体の発熱量は約25wであった。このようなカードを筐体に装入して、プラグインタイプ装置を作動させて、筐体内の被冷却部品の温度を測定したところ約40℃であった。更に、プラグインタイプ装置のEMC特性を調査したところ、後述する比較例のEMC特性と比較して劣化しなかった。
【0035】比較例1比較のために、架によって垂直に固定された筐体に、プリント基板の一方端にフロントパネルが取り付けられた、マイクロヒートパイプを備えていない挿抜可能な2枚のカードが装入された比較用のプラグインタイプ装置を調製した。筐体の大きさは、縦30cm×横20cm×高さ40cmであった。筐体の上面および下面は、空気の対流が可能なように開放された形状からなっている。筐体のその他の面は閉塞されている。
【0036】各カードのプリント基板の一方端にはフロントパネルが設けられている。プリント基板上に搭載された半導体素子等の発熱体の上には放熱フィンを備えたヒートシンクが載置されている。各カードのプリント基板上の発熱体の発熱量は約25wであった。このようなカードを筐体に装入して、プラグインタイプ装置を作動させて、筐体内の被冷却部品の温度を測定したところ約50℃であった。
【0037】上述したところから明らかなように、この発明のプラグインタイプ装置によると、プラグインタイプ装置の自然空冷用開口によるEMC特性を劣化させることなく、筐体温度は、プラグインタイプ装置の作動に影響が生じない程度に維持され、高い放熱効果が得られた。これに対して、マイクロヒートパイプを備えない、空気の対流による放熱を行う比較例1においては筐体内温度が高くなり、プラグインタイプ装置の作動に支障をきたしている。
【0038】即ち、プラグインタイプ装置のEMC特性を劣化させないフロントパネルの部位を予め調査し、その部位にマイクロヒートパイプの端部を固定することによって、上下方向の空気の対流のみが可能で、後方への放熱が不可能なプラグインタイプ装置に対しても、その性能を低下させることなく、効果的な放熱が行えることが実証される。
【0039】
【発明の効果】上述したように、この発明によると、架等に固定された筐体内に挿抜可能なカードのプリント基板に搭載された発熱体の熱を簡単に効率良く筐体外に放熱し、かつ、静電気による誤動作防止やEMC特性を劣化させることがないプラグインタイプ装置の放熱装置および放熱方法を提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のプラグインタイプ装置の放熱装置を説明する図である。
【図2】図2は、この発明のプラグインタイプ装置の筐体に装着されるカードを示す図である。
【図3】図3は、この発明のプラグインタイプ装置の筐体に装着されるカードの別の態様を示す図である。
【図4】図4は、設置された状態の従来のプラグインタイプ装置を示す図である。
【図5】図5は、フロントパネルが取り付けられたプリント基板からなるカードを示す図である。
【符号の説明】
1.プリント基板
2.フロントパネル
3.金属片
4.筐体
5.架
6.発熱体
7.バックボード用コネクタ
8.マイクロヒートパイプ
9.ヒートシンク
10.プラグインタイプ装置
11.固定金具
12.フロントパネル上部の所定部分
31.プリント基板
32.フロントパネル
33.金属片
34.筐体
35.架
36.空気の対流方向
37.コネクタ
38.コネクタ
39. LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の、前記プリント基板上の発熱体に一端が熱的に接続され、所定の経路を経て他端が前記フロントパネルに熱的に接続されて、前記発熱体の熱を前記フロントパネルの所定部分に移動するマイクロヒートパイプを備えた、プラグインタイプ装置の放熱装置。
【請求項2】前記カードの少なくとも1つの側方に、前記フロントパネルと熱的に接続された金属片が備えられ、前記フロントパネルに移動した熱が更に前記金属片に移動することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインタイプ装置の放熱装置。
【請求項3】前記マイクロヒートパイプは三次元的に屈曲加工され、前記フロントパネルの、放熱部として利用可能な前記所定部分に密着接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインタイプ装置の放熱装置。
【請求項4】プリント基板と、プリント基板の一つの端部に備えられたフロントパネルと、プリント基板の他の1つの端部に備えられたバックボード用コネクタとを有する少なくとも1枚の挿抜可能なカードを備えたプラグインタイプ装置の前記フロントパネルの所定部分を特定し、前記発熱体と前記フロントパネルとの間をマイクロヒートパイプで接続する経路を特定し、前記プリント基板上の発熱体に前記マイクロヒートパイプの一端を熱的に接続させ、前記所定経路を経て前記マイクロヒートパイプの他端を前記フロントパネルに熱的に接続させ、前記発熱体の熱を前記フロントパネルの所定部分に移動して放熱する、プラグインタイプ装置の放熱方法。
【請求項5】前記カードの少なくとも1つの側方に、前記フロントパネルと熱的に接続された金属片を備え、前記フロントパネルに移動した熱を更に前記金属片に移動して放熱することを特徴とする、請求項4に記載のプラグインタイプ装置の放熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−16388(P2002−16388A)
【公開日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−198391(P2000−198391)
【出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】