説明

プラグホールプレート、および、プラグホールの閉塞方法

【課題】プラグホールの閉塞状態を良好にし、車両外部の騒音をアンダーパネルと同等に遮蔽させ、外部騒音の車両内部への進入を、従来に増して防止可能とする。
【解決手段】プラグホールプレート1の材料を形状記憶合金とし、塗装ラインにおける乾燥工程での加熱により、記憶した形状に戻すことで、プラグホールPHを被覆させ、プラグホールPHを閉塞させる。プラグホールPH閉塞後、アンダーパネルPとプラグホールプレート1とに塗装工程で各種塗装を施し、プラグホールPHの遮音性能を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車ボディー製作時にアンダーパネル等のパネルに穿設され、基準孔や水抜き孔等に供され、自動車ボディー製作後には閉塞される貫通孔を閉塞するプラグホールプレート、および、このプラグホールプレートによる貫通孔の閉塞方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディー製作時には、自動車ボディーのアンダーパネル等のパネルに、基準孔や水抜き孔等、自動車製造終了時には不要となる貫通孔が穿設されている。
該貫通孔を開口状態にしておくと、走行時に跳ね上げた砂利などの進入が有ったり、外部の騒音が車内に侵入してしまうなどの弊害があるため、自動車ボディー製造終了時には、プラグによって該貫通孔(以後、プラグホールという。)を閉塞させていた。
【0003】
図10は、特許文献1に開示されたプラグを示す説明図である。
特許文献1に開示されたプラグ102は、ゴム、軟質合成樹脂等、弾性変形可能な可撓性を有する材料から成り、中央部に断面円弧状の凸面状に形成された薄肉部102aと、該薄肉部102aを囲繞する厚肉の土手部120と、該土手部120の外周をスリット溝状に形成したリング溝102cと、前記土手部120の貫通孔101a(背面側)側に形成される断面楔状部120bを具え、前記リング溝102c上方に位置する土手部本体120a外周を前記楔状部120b外径より拡径した構造である。
【0004】
そして、特許文献1に開示されたプラグ102は、車両塗装工程を終了して塗装が施された自動車ボディーの車両組立工程において、プラグホールへ取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−121437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来のプラグは、塗装工程終了後にプラグホールへ嵌合させるため、プラグは、プラグホールへ外部から入り込めるように、高分子樹脂やゴムなどの比較的変形が容易な素材(大半が塩化ビニル)を用いて製造されていた。このため、プラグホールを閉塞しても、車両外部の音がプラグホールを経由して入ってきてしまうと言う問題点を有した。これは、プラグが、自動車ボディーのアンダーパネル等のパネルを形作る鋼板に比べて音の透過率が良い(音の遮蔽性能が悪い)ことに起因しており、アンダーパネル等に比べ透過される騒音が各周波数を平均しても5[dB]ほど高くなってしまっていた。
【0007】
また、プラグは、塗装工程において塗料による変質や乾燥炉での熱による変質等を伴ってしまう。そのため、プラグをプラグホールへ嵌め込む工程は、車両塗装が終了した後の車両組立工程以降に行わなければならず、プラグとフロアとの僅かな間隙のシールが不可能であるか、あるいは、別途工程を設けて行わなければならないという問題点を有した。 更には、プラグを嵌め込むので、嵌め込まれた後のプラグホールの状態が、プラグホール毎に異なり、プラグホールの閉塞にばらつきが生じてしまうという問題点を有した。
【0008】
この発明は、上記問題点に鑑み、外部の騒音をアンダーパネル等のパネルと同等に遮蔽可能であり、プラグホール毎のばらつきが生じないプラグホールの閉塞、および、該閉塞方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記問題点を解決するためのプラグホールプレートを、成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、前記載置部から折曲されて前記パネルから立設された状態に位置され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を設ける被覆部と、を備え、所定温度において折曲部から被覆部が伸展可能な形状記憶合金からなり、伸展時に載置部および被覆部がプラグホールおよびその周囲部を被覆可能とする。
【0010】
また、該プラグホールプレートを用いてプラグホールを閉塞させるために、成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、前記載置部から折曲され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を形成し、該縁部の内側が前記プラグホール形状に突出させた突部を形成する被覆部と、を備える鋼板製のプラグホールプレートを用いたプラグホールの閉塞方法であって、自動車ボディーを塗装する塗装工程前に、前記プラグホールプレートの前記被覆部に備える突部をプラグホールに位置させ、プラグホールプレートを前記パネルに仮固定させるプレート取り付け工程と、前記塗装工程における乾燥炉による乾燥工程において、所定温度が付加され、前記プラグホールプレートにおける前記折曲部が伸展し、プラグホールおよびその周囲部を被覆させるプラグホールプレート固定工程と、を備える。
【0011】
更に、他の方法でプラグホールを閉塞させるために、成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、前記載置部から延設されて前記パネルから立設された状態に位置され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を設ける被覆部と、を備え、所定温度において折曲部から被覆部が伸展可能な形状記憶合金からなり、伸展時に載置部および被覆部がプラグホールおよびその周囲部を被覆可能なプラグホールプレートを用いたプラグホールの閉塞方法であって、自動車ボディーを塗装する塗装ライン前に、前記プラグホールプレートの前記載置部を、プラグホールに隣接させて載置するプレート取り付け工程と、前記塗装ラインにおける塗装工程において、前記仮止めされたプラグホールプレートがプラグホールを被覆した状態で前記パネルと共に塗装を施すプラグホールプレート固定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
従って、この発明によれば、プラグホールを閉塞するプラグホールプレートが、形状記憶合金や鋼板からなり、プラグホールを備えるパネルと同等かそれ以上の遮音効果を有し、塗装工程によってプラグホールプレートとパネルとに塗装を施されてプラグホールを完全に閉塞可能となり、プラグホールを閉塞したパネルを、プラグホールを穿設していないパネルと同等の遮音効果を奏する構造にできるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態が取付けられるアンダーパネルを示す説明図
【図2】実施の形態を示す斜視説明図
【図3】実施の形態の取り付け過程を示す図2の中央縦断面の端面説明図
【図4】実施の形態の塗装ラインにおける各工程を表す工程説明図
【図5】実施の形態を載置した状態を示す図2の中央縦断面の端面説明図
【図6】実施の形態が変形した状態を示す図2の中央縦断面の端面説明図
【図7】実施の形態の完成状態を示す図2の中央縦断面の端面説明図
【図8】実施の形態の音透過損失を示す折れ線グラフ
【図9】他の実施の形態を示す中央縦断面の端面説明図
【図10】従来例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
1は、この発明にかかるプラグホールプレートである。プラグホールプレート1は、アンダーパネルPに予め貫通されたプラグホールPHを閉塞させるための部材である。尚、この実施の形態では、プラグホールプレート1を取り付けるパネルとしてアンダーパネルPを例に説明するが、ドアパネル等他のパネルに施されたプラグホールPHに実施することも可能であり、パネルはアンダーパネルPに限定されるものではない。
アンダーパネルPは、図1に示すように、例えば、フロントフロアパンのような自動車の底部構造の一部であり、アンダーパネルPには、製造工程中に基準とするための基準孔や水抜き用などに供するための孔等のプラグホールPHが空けられている。これらのプラグホールPHは、製造工程では必要であるが、自動車ボディーとしての製品となったときには不要であるために、製造工程のどこかで塞がなければならない貫通孔である。
【0015】
プラグホールプレート1は、形状記憶合金からなり、図2に示すように、アンダーパネルPの車両室内側表面に載置する載置部2と、載置部2から折曲部1aで折曲されて車両室内側へ延設される被覆部3とからなる。プラグホールプレート1は、アンダーパネルPに取付けるときには、折曲された状態であるが、所定温度まで加熱されると、伸びて一枚のプレート形状に戻るように予め設定されている。この所定温度は、自動車の塗装ライン中に設けられている乾燥工程の乾燥炉内で加熱されて折曲する温度に予め設定されている。
【0016】
プラグホールプレート1の載置部2は、図3に示すように、アンダーパネルPのプラグホールPH周囲部の車両内部側上面に載置可能な面を備える。そして、プラグホールプレート1には、プラグホールプレート1の位置決め用にアンダーパネルP上面に突出するように予め形成されているビード突起PBと合わせることで載置場所の位置決めが可能な位置決めビード部4を備えている。ビード部4は、載置部2の略中央に設けてある。
【0017】
ビード部4によって位置決めされてアンダーパネルP上に載置されたプラグホールプレート1は、固定用の粘着テープなど適宜手法によって仮固定される。尚、プラグホールプレート1の仮固定は、例えば、ビード部4がビード突起PBと嵌合係止可能に形成して上方からホックを嵌め込むようにして固定させても良く、この場合には、仮固定の工程を省くことが可能となる。
【0018】
載置部2から折曲された被覆部3は、折曲部1aを伸ばしたときにプラグホールPHを被覆可能な面積を有している。被覆部3の中央には、折曲部1aを伸ばしたときにプラグホールPHに入り込めるような突部として湾曲部5を備える。尚、この実施の形態では、突部として湾曲部5を形成したが、突部は必ずしも湾曲させて設けなくとも良く、例えば、断面形状が台形となる円錐の中間部の一部のような形状としても良く、その形状は適宜決定すれば足りる。
【0019】
また、湾曲部5の周囲には、折曲部1aを伸ばしたときに、プラグホールPHへ湾曲部5が入り込んだ際にプラグホールPHの周囲と当接する縁部6を備える。
従って、被覆部3は、仮固定された状態で、加熱により折曲部1aが伸びたとき、プラグホールPHの周囲部との間に隙間ができにくいように、湾曲部5と縁部6とを設けている。しかしながら、被覆部3は、折曲部1aが伸びたときに、プラグホールPHの周囲部と縁部6とが密着できるのであれば、湾曲部5を備えずに、一枚のプレート状としてもよい。
【0020】
プラグホールプレート1を形成している形状記憶合金は、プラグホールPH上へ載置して仮固定するときには、折曲部1aが折曲した状態を保ち、自動車製造工程中の塗装ラインに有る乾燥炉における乾燥工程で加熱された際には、折曲部1aが伸びて被覆部3がプラグホールPHを被覆するように変形するよう予め製造されている。
【0021】
次いで、プラグホールプレート1を用いてプラグホールPHを閉塞する方法について説明する。
図3は、プラグホールプレート1をアンダーパネルPに設けたビード突起PBへ取付ける状態を示しており、先ず、ビード突起PBとビード部4とを合わせてプラグホールプレート1をアンダーパネルP上面に載置する。このプラグホールプレート載置工程は、自動車製造工程に於ける塗装ライン前に行われる。
【0022】
次いで、プラグホールプレート1をアンダーパネルP上面への載置した状態で、粘着テープ等の適宜手段によって載置部2とアンダーパネルPとを仮固定する。このように、仮固定を塗装ライン前に行うことで、塗装ラインにおいて、プラグホールプレート1を含めてアンダーパネルPに、シーラー塗布や中塗り、耐チップ塗布などの各種塗装を施すことが可能となる。
【0023】
プラグホールプレート1をアンダーパネルP上面に仮固定したところで、車体は塗装ラインによって各種塗装工程が施される。
図4は、塗装ラインの代表的な各工程を示す説明図であり、図4中、工程(a)乃至工程(g)の順に順次各工程がなされる。工程(a)は、洗浄・化成処理工程であり、通常の塗装ラインに設けられる洗浄・化成処理工程と同様に処理される。
【0024】
工程(b)は、電着塗装工程であり、通常の塗装ラインに於ける電着塗装工程と同様に処理される。電着塗装工程(b)では、アンダーパネルPは勿論のこと、仮固定されたプラグホールプレート1表面も電着塗装される。
電着塗装工程(b)を終了したアンダーパネルPは、図5に示すように、プラグホールプレート1がプラグホールPHを閉塞するように変形しておらず、プラグホールプレート1およびアンダーパネルPに電着塗装が施されている。
【0025】
次いで、塗装ラインでは、電着塗装工程(b)で自動車ボディーに施した電着塗装の乾燥を行うため、乾燥炉7による自動車ボディー塗装の乾燥が施される。この工程が乾燥工程(c)である。乾燥工程(c)では、高温による塗料の乾燥を行うので、図6に示すように、形状記憶合金からなるプラグホールプレート1が、折曲部1aを伸ばすように変形され、被覆部3がプラグホールPHの上へと移動する。そして、やがて湾曲部5がプラグホールPH内に入り込み縁部6がプラグホールPHを塞ぐ。乾燥工程(c)では、同時に、アンダーパネルPに施された電着塗装を乾燥させることとなる。この乾燥によって、アンダーパネルPのプラグホールPH周囲部と縁部6との間の塗料も乾燥されるので、プラグホールPHはプラグホールプレート1によって閉塞された状態となる。
【0026】
乾燥工程(c)に続けて、防錆工程(d)が実施される。防錆工程(d)では、乾燥工程(c)を終了した自動車ボディーに対して、防錆塗料の塗布が行われる。防錆工程(d)で塗布される防錆塗料は、プラグホールプレート1によってプラグホールPHを閉塞済みのアンダーパネルPとプラグホールプレート1とに行われる。
防錆工程(d)に続けて、防錆塗料の乾燥工程(e)が実施される。乾燥工程(e)では、乾燥炉7’により、防錆工程(d)で施された防錆塗料の乾燥が行われる。この時、プラグホールPHを閉塞しているプラグホールプレート1は、既に乾燥工程(c)による高熱によって形状記憶した状態へと変形した後なので、特に変形することなく乾燥工程(e)を終了することとなる。
【0027】
乾燥工程(e)に続けて、中塗り工程(f)が実施される。中塗り工程(f)では、中塗りブース8内で、中塗り塗装が施される。中塗り工程(f)でも、防錆工程(d)同様にプラグホールプレート1でプラグホールPHを閉塞したアンダーパネルPとプラグホールプレート1とに中塗り塗装が施されることとなる。
【0028】
中塗り工程(f)に続けて、中塗り乾燥工程(g)が実施される。中塗り乾燥工程(g)では、中塗り工程(f)で施された中塗り塗装した塗料の乾燥が行われる。
【0029】
以下、詳細は省くが、シーラー塗装工程や、シーラー塗装の乾燥工程、耐チップ塗装工程、耐チップ塗装乾燥工程など、種々の塗装および該塗装に対する乾燥が、必要に応じ繰り返されても良いが、通常行われる塗装ラインにおける各工程と同様に行われるのので、詳説しない。
【0030】
上記のように、各種塗装工程と乾燥工程とが終了した状態を図7に示す。図7に示すとおり、アンダーパネルPは、プラグホールプレート1によってプラグホールPHを被覆した状態で各種塗料9が施され乾燥された状態となって、塗装ラインによる塗装工程を終了し、塗装を終了した自動車ボディーは、車両組み立て工程など、次の工程へと移動される。
【0031】
図8は、従来のような塩化ビニル等の高分子樹脂製のプラグを、自動車ボディーの塗装終了後に、単にプラグホールPHにはめ込んだだけの場合と、この実施例のように、形状記憶合金である金属プレートからなるプラグホールプレート1によってプラグホールPHを閉塞後に塗装を施した場合との、音の遮蔽性能を比較したグラフである。図8の横軸は、周波数を表し、縦軸は音の透過損失を表している。音の透過損失は、数値が高いほど損失が大きくなり、遮蔽性能の反対を表す数値である。即ち、音の透過損失が大きければ遮蔽性能が良いことを示している。また、図8中、αで表す折れ線は、この実施の形態のプラグホールプレート1を用いたアンダーパネルPの透過損失を示し、βで表す折れ線は、塩化ビニル等の高分子樹脂製の従来のプラグによるアンダーパネルPの透過損失を示している。図8から明らかなように、本実施の形態によれば、略全ての周波数において、従来よりも良好な音の遮蔽性能を有していることがわかる。周波数によっては、10[dB]以上の透過損失の差が現れている。
【0032】
上記のような構造をもつプラグホールプレート1によれば、プラグホールプレート1をアンダーパネルPに仮固定した後に塗装工程を施すことにより、プラグホールプレート1によるプラグホールPHの閉塞を、電着塗装を施した縁部6と、電着塗装を施したプラグホールPH周囲部とを当接させた状態で塗料を乾燥させる際に同時に行うことが可能となるので、乾燥された塗料をプラグホールPHとプラグホールプレート1との接着剤の用に作用させることができる。
しかしながら、プラグホールプレート1の縁部6とプラグホールPH周囲部とを接着することなく、プラグホールPHにプラグホールプレート1を被覆させた状態で、アンダーパネルPとプラグホールプレート1とに各種塗装を施し、アンダーパネルPにプラグホールプレート1を固定させても良い。
【0033】
このように、単にプラグホールPHを閉塞させる場合には、プラグホールプレートの材料を形状記憶合金とせず、予め折曲させた状態としなくても良い。
即ち、図9は、他の実施の形態であるプラグホールプレート11を示す。このプラグホールプレート11は、アンダーパネルPと同様な鋼板をプレス加工などにより成型して折曲部を設けずに湾曲部15を備える。そして、プラグホールプレート11のその他の構造も、プラグホールプレート1と同様に、載置部12、被覆部13、ビード部14、縁部16を、それぞれ備える。従って、プラグホールプレート11は、プラグホールプレート1とは、構造上は折曲部を有していないこと、素材としては形状記憶合金でないことが異なるだけである。
【0034】
上記のような構造をもつプラグホールプレート11は、プラグホールプレート1と同様、塗装ラインによる各種塗装工程前に、ビード部14をアンダーパネルPに設けたビード突起PBと合わせることで位置合わせを行って載置部12載置し、粘着テープなどで載置部12を仮固定しておく。
そして、塗装工程と乾燥工程とを繰り返すことで、プラグホールプレート11がプラグホールPHを被覆した状態で、アンダーパネルPおよびプラグホールプレート11に各種塗装を施し、アンダーパネルPにプラグホールプレート11を固定させ、且つ、プラグホールPHを閉塞させる。
なお、プラグホールプレート11によるプラグホールPHの被覆工程は、電着塗装工程(b)において、プラグホールPH周囲部とプラグホールプレート11の縁部16とに直接電着塗装が施されないことと、乾燥工程(c)において、プラグホールプレート11が記憶した形状へと熱変形を起こさないことが異なるだけであって、その他はプラグホールプレート1による場合と同様である。
【0035】
尚、この実施の形態では、プラグホールプレート1やプラグホールプレート11の仮固定を、粘着テープなどによって行わせたが、例えば、マテハンロボットを用いるなどしてアンダーパネルP上面に載置させた状態でスポット溶接を施し仮固定するようにしても良く、仮固定などは自動車製造ライン内で適宜選択される事項である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、自動車ボディーの製造工程で、車両完成後に開口しておく必要のないアンダーパネル等に穿設した貫通孔を閉塞させるために利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
P アンダーパネル
PH プラグホール
PB ビード突起
1 プラグホールプレート
1a 折曲部
2 載置部
3 被覆部
4 ビード部
5 湾曲部
6 縁部
7、7’、7” 乾燥炉
8 中塗りブース
9 各種乾燥塗料
11 プラグホールプレート
12 載置部
13 被覆部
14 ビード部
15 湾曲部
16 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、
前記載置部から折曲されて前記パネルから立設された状態に位置され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を設ける被覆部と、を備え、
所定温度において折曲部から被覆部が伸展可能な形状記憶合金からなり、伸展時に載置部および被覆部がプラグホールおよびその周囲部を被覆可能なプラグホールプレート。
【請求項2】
成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、
前記載置部から折曲され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を形成し、該縁部の内側が前記プラグホール形状に突出させた突部を形成する被覆部と、を備える鋼板製のプラグホールプレートを用いたプラグホールの閉塞方法であって、
自動車ボディーを塗装する塗装工程前に、前記プラグホールプレートの前記被覆部に備える突部をプラグホールに位置させ、プラグホールプレートを前記パネルに仮固定させるプレート取り付け工程と、
前記塗装工程における乾燥炉による乾燥工程において、所定温度が付加され、前記プラグホールプレートにおける前記折曲部が伸展し、プラグホールおよびその周囲部を被覆させるプラグホールプレート固定工程と、を備えるプラグホールの閉塞方法。
【請求項3】
成形されたパネルに穿設されたプラグホールに隣接して設置される載置部と、
前記載置部から延設されて前記パネルから立設された状態に位置され、前記プラグホールを閉塞可能な面積を有し、周縁部がプラグホール周囲部を被覆可能な縁部を設ける被覆部と、を備え、所定温度において折曲部から被覆部が伸展可能な形状記憶合金からなり、伸展時に載置部および被覆部がプラグホールおよびその周囲部を被覆可能なプラグホールプレートを用いたプラグホールの閉塞方法であって、
自動車ボディーを塗装する塗装ライン前に、前記プラグホールプレートの前記載置部を、プラグホールに隣接させて載置するプレート取り付け工程と、
前記塗装ラインにおける塗装工程において、前記仮止めされたプラグホールプレートがプラグホールを被覆した状態で前記パネルと共に塗装を施すプラグホールプレート固定工程と、を備えるプラグホールの閉塞方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−37358(P2011−37358A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185730(P2009−185730)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】