説明

プラスチックの複合材料と消臭吸放湿具の製造方法

【課題】 産業廃棄物と化したホタテの貝殻を利用し、社会問題化している老人介護の環境改善とプラスチックの複合材料としてプラスチックの原料である石油の消費量を押さえ、埋蔵量の温存を図りながら温暖化問題等環境対策の一助とするホタテ貝殻の粉末製造方法を提供する。
【解決手段】 加熱炉及び真空熱処理炉それぞれの特性を生かし、それぞれの異なった粉末を製造し、消臭、吸放湿及び抗菌機能を持った夜具、枕、シートの製造と硬質プラスチックを製造するための複合材料の作成をすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は産業廃棄物としてホタテの貝殻を利用して社会問題化している高齢者の介護分野に関する消臭、吸放湿具、夜具及び環境問題としてのプラスチック複合材料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
地球の環境問題が取り上げられて久しいものがある貝殻、タマゴ等人間が食生活するにはあまりにも大きなウエイトを占めている。一日たりとも無くては生活できないといってもよい。これは決して言い過ぎではなく人間生活への貢献度は計り知れないほど大きなものがある反面これらを食した後の後始末には大きな処理問題が残る。
【0003】
特にホタテ貝は食用として漁獲されるだけでなく養殖もされ、近年では生後一年程度の稚貝から漁獲されている。
【0004】
北海道では貝のうち、ホタテの漁獲量が40万tとも50万tとも言われている。また、青森でも年間5万tものホタテの貝殻が産業廃棄物として廃棄されその処理が問題となっている。
【0005】
そして、近年になって生ごみの処理が大きくクローズアップされているが、それに関連しタマゴの殻の処理も難しい問題であり、現状、大手食品メーカーでは多額の費用を課して処理している。
【0006】
また、食品メーカーではチョーク或いはフィルドライン用等に再利用しているが、国内に多数あるケーキ屋、カマボコ屋では生ごみとして手間かけ、費用かけ処分している。
【0007】
このような食品加工工場から排出されるタマゴの殻は年々増え続け、今では年間20万tとも言われている。その内20%は農業用として土壌改良材として再利用されているものの、残りの80%は処分費用をかけ焼却埋立て処分されている。
【0008】
つまり焼却されCO排出により環境問題に大きく影響を及ぼしているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、年少人口は減少し続け、人口ピラミッドは口がつぼんだタボ型へと変化し高齢化率が急上昇している。このような高齢化は総合人口および年少人口が安定または減少する中で高齢人口が対照的に増加していくことによって生じる。
【0010】
65歳以上の一人暮らしの高齢者の増加は男女共に顕著であり、今後も一人暮らし高齢者は増加を続けたときに、男性の一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれる。
【0011】
そのような社会背景の中で高齢者の生活状況はどのように変化していくだろうか。洗濯の回数は少なくなり、寝具の天日干しも少なく、室内の片付けも出来ず、食べ残しの残飯で室内は異臭を放し、細菌の溜り場と化し不衛生極まりない生活となる。
【0012】
しかしこうした状況下、ホタテの貝殻やタマゴの殻の特に目立った処理方法は開発されていない。抗菌、消臭、吸放湿具の製造方法を提供することにより介護の環境改善。また、プラスチック複合材料を提供することにより、温暖化問題の環境への悪影響改善の一助となる。
【課題を解決する為の手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明はホタテの貝殻を加熱炉の雰囲気温度680℃以下、ホタテの貝殻の温度250℃〜650℃で加熱し、貝殻を覆っているたんぱく質皮膜を除いてその後保持時間を持って前記貝殻を10℃以下の冷却水で急冷する。この際、当然のことながら前記冷却水は高温となり沸騰状態となる。 更に、前記沸騰している冷却水の表面には灰汁と一緒に塩分、にがり等が泡となり浮かんでくるので網等ですくうのがよい。
【0014】
上記目的に達成するために、請求項2記載の発明は前記貝殻を真空熱処理炉で加熱、徐冷し、粉砕することにより多孔質の粉末に抗菌作用を発生させることを特徴とする粉末である。粉砕はロール式粗粉砕またはスクリュー式粗粉砕がよい。
【0015】
上記目的に達成するために請求項3記載の発明は請求項1の発明で発生した沸騰している前記冷却水の中に不織布及び綿素材の布を挿入し煮沸する事によって、前記貝殻等の粉末を前記不織布及び綿素材の布の糸目の中に前記貝殻等の粉末を吸着させ、乾燥させ、消臭及び吸放湿性の不織布及び綿素材の布、シートを作ることを特徴とするものである。
【0016】
上記目的に達成するために、請求項4記載の発明は請求項3の発明で生じた前記不織布及び綿素材の布、及びシートの上に、卵殻膜を除去したタマゴの殻の粉末を天然のりを混ぜ、ハケ塗及び吹き付けで附着させることを特徴とした消臭、吸放湿具である。
【0017】
上記目的に達成するために、請求項5記載の発明は請求項3記載の前記不織布及び綿素材の布及びシートの上に軽石を粉末にしたものに天然のりを混ぜ、ハケ塗または吹付けたことを特徴とした消臭、吸放湿具である。
【0018】
上記目的に達するために、請求項6記載の前記不織布及び綿素材の布及びシートの上に珪藻土を天然のりを混ぜ、ハケ塗又は吹付けたことを特徴とした消臭、吸放湿具である。
【0019】
上記目的に達するために、請求項7記載の発明は請求項1及び2記載の貝殻の粉末をカートリッジ方式で夜具、枕の内部に挿入できるようにした消臭、吸放湿、抗菌機能を持った夜具である。
【0020】
上記目的に達するために、請求項8の発明は請求項1のホタテの貝殻の粉末に関するもので、前記沸騰した冷却水が常温に下がりタンク底部に前記ホタテの貝殻の粉末の蓄積したものを汲取り、乾燥させプラスチックを可塑化して溶融する工程と該溶融したプラスチックに複合材料として前記貝殻の粉末を投入する工程と、前記プラスチックと前記貝殻を混錬する工程と該工程により得た溶融材料を金型に於いて成形する工程と該工程に続く冷却工程からなる成形工程に於いて、前記プラスチックの使用割合に対する前記貝殻の使用割合を比較的大きくして成形したことを特徴とした硬質プラスチック製品である。このような製造方法にしたことによりプラスチックの使用量が大幅に減少し原料である石油の使用量が大幅に抑制できる。石油埋蔵量の減少を抑制すると共に温暖化問題等環境対策に貢献することとなり廃棄にあたってはプラスチックの量が少ないので、その分環境への悪影響が少なくなるのと同時に処理の簡素化が図れる。また、前記貝殻を覆っているたんぱく質皮膜を除去することにより硬質プラスチック製品を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以上説明したように構成されているので下記に説明するような効果を奏する。
【0022】
本発明による消臭、吸放湿具は社会問題化している高齢者介護具や夜具、枕等に使用され、良質の環境の中で介護が出来るようになる。
【0023】
更に本発明による消臭、吸放湿具は産業廃棄物となっているホタテの貝殻やタマゴの殻、さしたる使用価値のない珪藻土、軽石等使用により種々有効活用が図れ廃棄量が少なくなり、その分処理が簡素化され費用も少なくすることが出来る。
【0024】
更に本発明によるプラスチックへの複合材料をホタテの貝殻の粉末としたので、前記貝殻の有効活用が図れ前記プラスチックの使用割合に対する前記複合材料としての前記貝殻の粉末の使用割合を比較的大きくして成形したのでプラスチックの使用量が大幅に減少し、原料である石油の使用量が大幅に抑制できることになり、石油埋蔵量の減少を抑制すると共に環境問題等環境対策に貢献することが可能となるばかりでなく、廃棄にあたってはプラスチックの量が少ないのでその分環境への悪影響が少なくなると同時に処理の簡素化が図れることが出来る。
又、現行硬質プラスチックを製造する方法として、ガラスの粒子をプラスチックに混錬する方法が行われているが、この方法では、ガラスの粒子が硬いため金型の摩耗が早いといった欠点があるが、前期ホタテ貝殻を使用すれば、この欠点をカバーすることができる。そして、ABS樹脂に他の複合材料を混錬するのは難しいが前記ホタテ貝殻は40%を練りこむことは容易である。この際の破壊テストではナイロンG20%に匹敵する再生材のプラスチックを使用すればさらに複合材料の量を増やすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の製造ラインの一実施形態である
【図2】本発明の製造用焼却炉である
【図3】本発明の消臭、吸放湿性の持ったハンガータイプのシートである
【図4】本発明による製造方法により成形された夜具の簡略図である
【図5】本発明による製造方法により成形された硬質プラスチック製の電気笠である
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明の実施の形態を図に基づき詳細に説明する
【0027】
それでは図1を参照しながら本発明による消臭、吸放湿性機能を持つ粉末を製造するラインを説明する。図は加熱炉で重油炉でも、電気炉でも280℃で加熱することによって貝殻を覆っているたんぱく質皮膜を除去し、貝殻を冷却水に挿入させ、急冷することにより粉砕することを目的にしてその後水槽に濁った粉末破片を鋤い出し乾燥させるのである。
【0028】
図2は前記貝殻の粉末に抗菌機能を発生させる真空熱処理炉である。真空熱処理炉は大気圧(1気圧)の10万分の1や1億分の1の圧力に於いて熱処理を行うため、炉内の酸素濃度が非常に低く、酸化を防ぐと共に貝殻の清浄性が得られる。一般的には加熱保持中に酸化が生じやすいが、真空熱処理によれば表面酸化がなく加熱処理が短時間で可能となる。
【0029】
図3は請求項3,4,5,6の消臭、吸放湿性機能を持ったハンガータイプのシートで気密性の高い現代の建築では従来のナフタリンタイプのものでは臭いが強く、衣料に付いて子どもや病人には向かない。請求項3,4,5,6で使用する吸放湿性粉末を貝殻粉末の上に塗るのは出来る限り粉末の消臭機能を長持ちさせるためである。
【0030】
[図4]の発明は消臭、吸放湿抗菌機能を持った夜具、枕であり、本発明の請求項1,

きる。
【0031】
[図5]の発明はプラスチックの複合材料として混錬して成形し、硬質プラスチックの電気笠である貝殻のたんぱく質皮膜を除去することにより従来のプラスチックより、より硬度の高いプラスチックが出来上がる。また所定のプラスチック材料(ペレット)を溶かし、次いで複合材料を投入して混錬する。充分に混錬した後、金型に流し込み、冷却して固化して完了となる。なお、本実施形態では複合材料投入を別工程として説明したが、予め複合材料を混入させたペレットを使用することも可能である。 プラスチックの種類は非常に多く代表的なものを挙げれば、熱可塑性樹脂では、ポリエチレン、ポリプロポレン、ポリ塩化ビニル等の汎用性のあるもの、そしてポリアミド等のエンジニアリングプラスチックとして適したものがあり熱硬化性樹脂としてはポリウレタン等がある。本発明による製品等に於いては特に使用できないプラスチックはないが、重要なことは対象となる商品の使用にマッチさせることであり、汎用性があって成形がよく、安全性が高く、価格的にも有利なものとする。
【符号の説明】
【0032】
1,加熱炉(雰囲気炉)
2,コンベアー
3,冷却水の入った水槽
4,真空熱処理炉
5,ハンガー
6、消臭シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホタテの貝殻を加熱炉の雰囲気温度680℃、前記ホタテの貝殻の温度250℃〜650℃で加熱し、前記貝殻を覆っているたんぱく質皮膜を除去し3分間の保持後10℃以下の冷却水で急冷することにより粉砕することを特徴とした消臭機能、吸放湿性能を持った多孔質粉末。
【請求項2】
ホタテの貝殻を真空熱処理炉使用で650℃で加熱し、徐冷し、粉砕することを特徴とする消臭機能、抗菌作用を持った多孔質粉末。
【請求項3】
請求項1記載の急冷により沸騰している前記冷却水の中に不織布及び綿素材の布及びシートを挿入し、煮沸することによりホタテの貝殻の粉末を浸み込ませる又、糸目に前記粉末を吸着させることを特徴とする消臭機能、吸放湿性機能を持った不織布及び綿素材の布及びシート。
【請求項4】
請求項3記載の前記不織布及び綿素材の布及びシートの上に卵殻膜を除去した卵の殻の粉末を天然のりで混ぜ、ハケ塗又は吹き付けたことを特徴とした消臭、吸放湿具。
【請求項5】
請求項3記載の前記不織布及び綿素材の布及びシートの上に軽石を粉末にしたものを天然のりで混ぜ、ハケ塗又は吹付けたことを特徴とした消臭、吸放湿具。
【請求項6】
請求項3記載の前記不織布及び綿素材の布及びシートの上に珪藻土を天然のりを混ぜハケ塗又は吹付けたことを特徴とした消臭、吸放湿具。
【請求項7】
請求項1,2記載のホタテの貝殻の粉末を夜具、枕の内部に入れ込むことを特徴とする消臭機能、吸放湿性能を持った夜具、枕。
【請求項8】
請求項1記載のホタテの貝殻を覆っているたんぱく質の皮膜を除去した粉末を、プラスチックを可塑化して溶融する工程と該溶融したプラスチックに複合材料として、前記ホタテの貝殻の粉末を投入する工程と前記プラスチックと前記ホタテの貝殻の粉末を混錬する該工程により得た溶融材料を金型に於いて、成形する工程と該工程に続く冷却工程からなる成形工程に於いて、前記プラスチックの使用割合に対する前記複合材料としてのホタテの貝殻の粉末の使用割合を比較的大きくして成形したことを特徴とした硬質プラスチック製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−148758(P2011−148758A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25916(P2010−25916)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(596003443)有限会社タケナカ (7)
【Fターム(参考)】