プラスチックフィルムおよびその製造方法

【課題】耐熱寸法安定性および耐熱変形性に十分に優れ、良好な透明性を有するプラスチックフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリアリールケトン系樹脂を含有する二軸配向プラスチックフィルムであって、引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率が40ppm/℃以下であり、200℃での熱収縮率の絶対値が2.5%以下であるプラスチックフィルム。ポリアリールケトン系樹脂を含有する前駆体フィルムを製造した後、該前駆体フィルムに対して少なくとも熱処理を含む同時二軸延伸工程を実施するプラスチックフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックフィルム、特に耐熱性プラスチックフィルム、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、半導体、太陽電池等の分野において、プラスチックフィルムと金属箔との積層技術、プラスチックフィルムへの蒸着技術やスパッタリング技術、プラスチックフィルムとセラミックとの積層技術、プラスチックフィルムへの各種樹脂のコーティング技術や積層技術といった複合化技術が盛んであり、複雑化の傾向にある。得られた積層品等の複合体は、そのまま製品として用いられる場合もあれば、当該複合体からプラスチックフィルムを、いわゆる工程フィルム(離型フィルム)として剥離・除去して得られたものが製品として用いられる場合もある。このようにプラスチックフィルムの用途は多岐にわたっている。
【0003】
複合化の際、プラスチックフィルムには一般的に熱が付与される場合が多く、より高い温度が付与される場合が増えている。さらに近年の高性能化ニーズに伴い、プラスチックフィルムに求められる耐熱性は厳しくなっている。具体的には、金属箔の積層時において熱によりプラスチックフィルムに溶融変形が起こらないように、プラスチックフィルムには良好な耐熱変形性が求められている。たとえ良好な耐熱変形性を有していても、熱によりプラスチックフィルムに寸法変動(熱膨張および/または熱収縮)が起こると、積層体に全体として反りが生じるため、プラスチックフィルムには良好な耐熱寸法安定性も求められている。
【0004】
耐熱性プラスチックフィルムとして一般にポリイミド樹脂フィルムが知られているが、ポリイミド樹脂フィルムは耐熱性には優れているものの、高価であるため経済性に問題があり、製膜工法上、設定厚みの自由度に乏しい面がある。また、その色調、透過率の低さが問題となる場合がある。
【0005】
一方、溶融押出成形時の安定性を向上させることを目的として、特定のポリイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトンを特定の配合量で含有するフィルムを延伸させる技術が報告されている(特許文献1)。しかしながら、上記フィルムを単に延伸させただけでは、十分な耐熱寸法安定性はやはり得られなかった。
【0006】
また前記した複合化技術においてプラスチックフィルムには透明性も求められている。例えば、透明プラスチックフィルム上に金属箔を所望のパターン形状で積層してなる透明フレキシブルプリント基板は、不透明なものと比較してデザイン性に優れるため、商品価値は高い。また例えば、透明プラスチックフィルムを工程フィルムとして使用すると、その上に形成される金属層、セラミック層および樹脂層等の積層状態を工程フィルム側から認識できるため、当該工程フィルムの商品価値は高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−178804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、耐熱寸法安定性および耐熱変形性に十分に優れ、厚み設定が容易で、良好な透明性を有するプラスチックフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリアリールケトン系樹脂を含有する二軸配向プラスチックフィルムであって、
引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率が40ppm/℃以下であり、
200℃での熱収縮率の絶対値が2.5%以下であるプラスチックフィルムに関する。
【0010】
本発明はまた、ポリアリールケトン系樹脂を含有する前駆体フィルムを製造した後、該前駆体フィルムに対して少なくとも熱処理工程を含む同時二軸延伸工程を実施するプラスチックフィルムの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプラスチックフィルムは耐熱寸法安定性および耐熱変形性に十分に優れ、良好な透明性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るプラスチックフィルムはポリアリールケトン系樹脂を含有する二軸配向フィルムである。二軸配向とは、当該フィルムを構成するポリマー分子が当該フィルムの面内方向において、主として、互いに異なる2方向、好ましくは略直角をなす2方向で配向していることを意味するものであり、例えば後述する同時二軸延伸により達成することができる。本発明においてはポリアリールケトン系樹脂を含有するフィルムを同時二軸延伸で二軸配向フィルムとすることにより、二軸配向していないフィルムおよび逐次二軸延伸による二軸配向フィルムと比較して、十分に優れた耐熱寸法安定性および耐熱変形性が発現し、透明性を向上させることができる。
【0013】
本明細書中、耐熱寸法安定性とは、フィルムを加熱しても、フィルムの膨張および収縮が十分に防止されるフィルム特性を意味するものとする。
耐熱変形性とは、フィルムを加熱しても、フィルムの溶融変形が十分に防止されるフィルム特性を意味するものとする。
透明性とは、全光線に対する透明性を意味するものとする。
【0014】
<ポリアリールケトン系樹脂>
本発明のプラスチックフィルムに含有されるポリアリールケトン系樹脂は、ポリアリールエーテルケトン類およびポリアリールケトン類を包含するものであり、これらのポリマーからなる群から選択される。ポリアリールケトン系樹脂は、上記群から選択される1種類またはそれ以上のポリマーが使用されて良い。
【0015】
ポリアリールエーテルケトン類は、式(I);
【化1】

で表されるアリールエーテル単位を1以上と、式(II);
【化2】

で表されるアリールケトン単位を1以上とからなる繰り返し単位(以下、単に「繰り返し単位A」という)を有する熱可塑性ポリマーである。すなわちポリアリールエーテルケトン類は、1以上のアリールエーテル単位と1以上のアリールケトン単位とからなる繰り返し単位Aからなる熱可塑性ポリマーである。
【0016】
式(I)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である。アリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または2,6−ナフチレン基等が挙げられる。置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
好ましいArは1,4−フェニレン基である。
【0017】
式(II)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である。アリーレン基としては、例えば、式(I)におけるArと同様のアリーレン基が挙げられる。置換基としては、例えば、式(I)における置換基と同様の置換基が挙げられる。
好ましいArは1,4−フェニレン基である。
【0018】
繰り返し単位Aにおいてアリールエーテル単位の数は好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2であり、アリールケトン単位の数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。
【0019】
繰り返し単位Aにおいてアリールエーテル単位とアリールケトン単位との総数は通常、2〜6であり、好ましくは2〜5である。
【0020】
繰り返し単位Aが2以上のアリールエーテル単位を有する場合、当該2以上のアリールエーテル単位は同一であってもよいし、またはアリーレン基または置換基が異なっていてもよい。
繰り返し単位Aが2以上のアリールケトン単位を有する場合、当該2以上のアリールケトン単位は同一であってもよいし、またはアリーレン基または置換基が異なっていてもよい。
【0021】
繰り返し単位Aにおいてアリールエーテル単位およびアリールケトン単位の向きは、エーテル結合基およびケトン基等の基とアリーレン基とが交互に並ぶ向きであればよい。
繰り返し単位Aにおいてアリールエーテル単位およびアリールケトン単位の配列順序は任意であってよいが、好ましい繰り返し単位Aは、一端にアリールエーテル単位を有し、他端にアリールケトン単位を有する繰り返し単位である。
【0022】
ポリアリールエーテルケトン類を構成する好ましい繰り返し単位Aの具体例として、以下に示す構造式(a1)〜(a5)の繰り返し単位が挙げられる。
【0023】
【化3】

【0024】
ポリアリールエーテルケトン類は、単一の繰り返し単位Aからなるポリマーであってもよいし、または2種類以上の繰り返し単位Aからなるポリマーであってもよく、好ましくは構造式(a1)〜(a5)の繰り返し単位から選択される1種類以上の繰り返し単位からなるポリマーであり、より好ましくは構造式(a1)〜(a5)の繰り返し単位から選択される1種類の繰り返し単位からなるポリマーである。
【0025】
ポリアリールエーテルケトン類は80〜230℃、特に100〜200℃のガラス転移温度を有することが好ましい。
ガラス転移温度はJIS K7121に基づいて測定することができる。
【0026】
ポリアリールエーテルケトン類はまた250〜420℃、特に280〜400℃の融点を有することが好ましい。
融点はJIS K7121に基づいて測定することができる。
【0027】
構造式(a1)の繰り返し単位からなるポリアリールエーテルケトン類はいわゆるポリエーテルケトン(PEK)である。
【0028】
構造式(a2)の繰り返し単位からなるポリアリールエーテルケトン類はいわゆるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、市販品として例えばVICTREX社製の商品名「PEEK151G」、「PEEK381G」、「PEEK450G」、ダイセル・エボニック社製の「VESTAKEEP1000G」、「VESTAKEEP2000G」、「VESTAKEEP3001G」、「VESTAKEEP3300G」、「VESTAKEEP4000G」、ソルベイアドバンストポリマーズ社製の「キータスパイアKT−820P」、「キータスパイアKT−880P」等が挙げられる。
【0029】
構造式(a3)の繰り返し単位からなるポリアリールエーテルケトン類はいわゆるポリエーテルケトンケトン(PEKK)であり、市販品として例えばARKEMA社製の商品名「OXPEKK C」、「OXPEKK SP」、「OXPEKK D」等が挙げられる。
【0030】
構造式(a4)の繰り返し単位からなるポリアリールエーテルケトン類はいわゆるポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)である。
【0031】
構造式(a5)の繰り返し単位からなるポリアリールエーテルケトン類はいわゆるポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)であり、市販品として例えばVICTREX社製の商品名「VICTREX ST」、BASF社製の商品名「Ultrapek」等が挙げられる。
【0032】
ポリアリールエーテルケトン類は、いかなる方法で製造されたものであっても構わないが、例えば特開昭50−27897号公報、特開昭51−119797号公報、特開昭52−38000号公報、特開昭54−90296号公報、特公昭55−23574号公報、特公56−2091号公報等に記載の方法等によって製造することができる。好ましい製造方法の一例は、ビスフェノール化合物またはそのアルカリ塩、複素環系ジハライド化合物、およびベンゾフェノン系ジハライド化合物を単量体として用い、これらを反応させる方法であるが、これに限られるものではない。
【0033】
プラスチックフィルム中、ポリアリールエーテルケトン類は上記した範囲内で組成、ガラス転移温度および/または融点が異なる2種類以上のポリアリールエーテルケトン類が含有されてもよい。
【0034】
ポリアリールケトン類は、式(III);
【化4】

で表される構成単位(以下、単に「構成単位(III)」という)を有する熱可塑性ポリマーである。
【0035】
式(III)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である。アリーレン基としては、例えば、式(I)におけるArと同様のアリーレン基が挙げられる。置換基としては、例えば、式(I)における置換基と同様の置換基が挙げられる。
好ましいArは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または2,6−ナフチレン基であり、より好ましくは1,4−フェニレン基または1,3−フェニレン基である。
【0036】
およびRは、それぞれ独立して、脂肪族、脂環族および芳香族よりなる群から選択される炭素原子数1〜12の炭化水素基、炭素原子数5〜10のヘテロ芳香族基または水素原子であり、好ましくは炭素原子数1〜8の炭化水素基または水素原子である。炭化水素基およびヘテロ芳香族基は置換基を有していてもよく、置換基はハロゲン、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ元素および/または金属元素を含有していてもよい。置換基の具体例として、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、金属塩形態のカルボキシル基およびスルホン酸基等が挙げられる。脂環族および芳香族等の炭化水素基およびヘテロ芳香族基の置換基としては、さらに、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基が挙げられる。
【0037】
およびRの具体例として、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、その他炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8の直鎖あるいは分岐の飽和、不飽和の脂肪族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、その他炭素数3〜12、好ましくは炭素数2〜8の飽和、不飽和の脂環族炭化水素基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシ1−エチル基、3−ヒドロキシ1−プロピル基などの、酸素を含む置換基を有する脂肪族炭化水素基;アミノメチル基、2−アミノ−1−エチル基、3−アミノ−1−プロピル基、N,N−ジメチルアミノメチル基などの、ヘテロ元素を含む置換基を有する脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などの芳香族炭化水素基;ヒドロキシフェニル基、カルボン酸フェニル基などの、酸素を含む置換基を有する芳香族炭化水素基;アミノフェニル基、スルホン酸フェニル基などの、ヘテロ元素を含む置換基を有する芳香族炭化水素基;カルボン酸ナトリウム−フェニル基、スルホン酸ナトリウム−フェニル基などの、金属元素を含む置換基を有する芳香族炭化水素基;および、ピリジニル基などのヘテロ芳香族基;などが挙げられる。
【0038】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましく、特に好ましくは、RおよびRがいずれも水素原子、RおよびRの一方が水素原子であって他方がメチル基、あるいは、RおよびRがいずれもメチル基であることが望ましい。
【0039】
ポリアリールケトン類を構成する好ましい構成単位(III)の具体例として、以下に示す構造式(b1)〜(b6)の構成単位が挙げられる。
【0040】
【化5】

【0041】
ポリアリールケトン類は、単一の構成単位(III)からなるポリマーであってもよいし、2種類以上の構成単位(III)からなるポリマーであってもよいし、または構成単位(III)と他の構成単位とからなるコポリマーであってもよい。
好ましいポリアリールケトン類は、単一の構成単位(III)からなるポリマー、または2種類以上の構成単位(III)からなるポリマーである。
より好ましいポリアリールケトン類は、構造式(b1)〜(b6)の構成単位から選択される1種類以上の構成単位からなるポリマーであり、より好ましくは構造式(b1)〜(b6)の構成単位から選択される1種類の構成単位からなるポリマーである。
【0042】
ポリアリールケトン類は80〜230℃、特に100〜200℃のガラス転移温度を有することが好ましい。
【0043】
ポリアリールケトン類はまた250〜420℃、特に280〜400℃の融点を有することが好ましい。
【0044】
ポリアリールケトン類は、例えば、特開2000−290365号公報に記載の方法によって製造できる。詳しくは、下記一般式(iii−1)で表される化合物と、下記一般式(iii−2)で表される化合物とを、溶媒中、50℃以下で5分〜5時間撹拌下、反応させることにより、ポリアリールケトン類を製造することができる。溶媒は、例えば、テトラヒドロフランやテトラヒドロチオフェンが使用できる。
【0045】
【化6】

【0046】
式(iii−1)中、Arは式(III)におけるArと同様である。
およびXは、それぞれ独立して、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素である。XおよびXは同一であっても、異なっていてもよいが、特に好ましくはXおよびXが共に塩素である。
【0047】
【化7】

【0048】
式(iii−2)中、RおよびRはそれぞれ、式(III)におけるRおよびRと同様である。
およびMは、それぞれ独立して2価の金属元素である。MおよびMは、2価の典型金属元素あるいは、2価をとりうる遷移金属元素のいずれでもよいが、亜鉛またはマグネシウムであるのが好ましく、亜鉛であるのが特に好ましい。MおよびMは同一であっても、異なっていてもよいが、特に好ましくはMおよびMが共に亜鉛である。
およびYは、それぞれ独立して、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素である。YおよびYは同一であっても、異なっていてもよいが、特に好ましくはYおよびYが共にヨウ素である。
【0049】
プラスチックフィルム中、ポリアリールケトン類は上記した範囲内で組成、ガラス転移温度および/または融点が異なる2種類以上のポリアリールケトン類が含有されてもよい。
【0050】
本発明のプラスチックフィルムは、耐熱寸法安定性、耐熱変形性、透明性および製膜性に悪影響を与えない範囲で、上記ポリアリールケトン系樹脂以外に、他のポリマーを含有してもよい。
【0051】
他のポリマーとしては、ガラス転移温度が230℃以下、特に50〜200℃のポリマーを使用し、製膜性の観点から好ましくはガラス転移温度が、プラスチックフィルムに含有されるポリアリールケトン系樹脂より低いポリマーを使用する。他のポリマーの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンサルファイト;ポリアリレート;ポリエーテルサルホン;ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0052】
プラスチックフィルム中のポリマー成分に対するポリアリールケトン系樹脂の含有割合は、耐熱寸法安定性および耐熱変形性のさらなる向上の観点から、60重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上であり、最も好ましくは90重量%以上である。2種類以上のポリアリールケトン系樹脂が含有される場合、それらの合計割合が上記範囲内であればよい。
【0053】
<添加剤>
プラスチックフィルムは上記したポリマー以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
【0054】
着色剤はプラスチックフィルムの分野で使用される任意の顔料および染料が使用できる。着色剤の含有割合は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、ポリマー成分に対して1〜30重量%が好適である。
【0055】
<プラスチックフィルムの製造方法>
本発明のプラスチックフィルムは以下の方法により製造できる。
例えば、前記ポリアリールケトン系樹脂ならびに所望により含有される他のポリマーおよび添加剤を所定の割合で混合し、溶融・混練して前駆体フィルムを製造した後、得られた前駆体フィルムに対して少なくとも熱処理工程を含む二軸延伸工程を実施する。
【0056】
前駆体フィルムの製造方法は公知の方法を採用できる。例えば、所望の成分からなる混合物を押出機により溶融・混練し、混練物をTダイより押し出した後、冷却すればよい。
【0057】
前駆体フィルムの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、20〜2000μmであり、好ましくは30〜1000μmである。
【0058】
二軸延伸工程は、二軸延伸を行った後、熱処理を行う工程である。このような二軸延伸工程によって、フィルムのガラス転移温度を上昇させたり、熱膨張率を減少させたり、熱収縮率の絶対値を減少させることができる。
【0059】
二軸延伸は、MD方向およびTD方向について延伸を行う。延伸方式は、逐次二軸延伸方式と同時二軸延伸方式があるが、同時二軸延伸方式が好ましい。同時二軸延伸の代わりに、MD方向もしくはTD方向のうち一方の方向に延伸を行った後、他方の方向に延伸を行う逐次二軸延伸を行うと、最初に延伸を行った方向の熱膨張率の減少幅が小さくなり、耐熱寸法安定性が低下する。二軸延伸の代わりに、一軸延伸を行うと、延伸していない方向の熱膨張率が減少せず、耐熱寸法安定性が低下する。本明細書中、MD方向とは、いわゆる流れ方向であって、押出機からの前駆体フィルムの引き取り方向(縦方向)を意味するものとする。TD方向とは、いわゆる幅方向であって、当該MD方向に対する直交方向を意味するものとする。
【0060】
二軸延伸を行うに際して、延伸倍率、延伸温度および延伸速度は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではないが、以下の範囲とする。耐熱寸法安定性および透明性がより一層、向上するためである。
【0061】
延伸倍率は、MD方向およびTD方向ともに2.0倍以上の破断が起こらない範囲内であり、特に2.0〜5.0が好ましく、より好ましくは2.2〜3.5倍である。MD方向およびTD方向の延伸倍率は近似していることが好ましい。具体的には、MD方向の延伸倍率をPMD、TD方向の延伸倍率をPTDとしたとき、「PTD−PMD」は−0.6〜+0.6が好ましく、より好ましくは−0.3〜+0.3である。なお、MD方向の延伸倍率は延伸直前のMD方向長さに基づく倍率である。TD方向の延伸倍率は延伸直前のTD方向長さに基づく倍率である。
【0062】
延伸倍率を上記範囲内で調整することにより熱膨張率の減少幅を制御することができる。例えば、所定方向の延伸倍率を増大させると、当該方向の熱膨張率の減少幅は大きくなる。
【0063】
延伸温度は、当該フィルムを構成するポリマー成分のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg以上、Tg+30℃以下であり、耐熱寸法安定性のさらなる向上の観点から好ましくはTg℃以上、Tg+25℃以下である。なお、延伸温度は、延伸を行う雰囲気温度である。ポリマー成分が2種類以上のポリマーからなる場合、ポリマー成分のTgは、各ポリマーのガラス転移温度に当該ポリマーの含有比率を乗じた値の和である。
【0064】
延伸温度を上記範囲内で調整することにより熱膨張率の減少幅を制御することができる。例えば、延伸温度を低くすると、熱膨張率の減少幅は大きくなる。
【0065】
延伸速度は、MD方向およびTD方向ともに50〜10000%/分であり、好ましくは100〜5000%/分、より好ましくは100〜3000%/分である。
延伸速度とは、{(延伸後寸法/延伸前寸法)−1}×100(%)/延伸時間で算出される値である。
【0066】
延伸速度を上記範囲内で調整することにより熱膨張率の減少幅を制御することができる。例えば、延伸速度を大きくすると、熱膨張率の減少幅は大きくなる。
【0067】
熱処理は、延伸フィルムを延伸温度以上の温度で保持することにより、ポリマー分子の配向を固定する処理である。熱処理温度は、当該フィルムを構成するポリマー成分のガラス転移温度をTg(℃)、融点をMp(℃)としたとき、Tg+40℃以上、Mp以下であり、耐熱寸法安定性および耐熱変形性のさらなる向上の観点から好ましくはTg+50℃以上、Mp−20℃以下である。なお、熱処理温度は、フィルム保持を行う雰囲気温度である。ポリマー成分が2種類以上のポリマーからなる場合、ポリマー成分のMpは、各ポリマーの融点に当該ポリマーの含有比率を乗じた値の和である。
【0068】
熱処理温度を上記範囲内で調整することにより熱収縮率絶対値を制御することができる。例えば、熱処理温度を高くすると、熱収縮率絶対値は小さくなる。
【0069】
熱処理は、二軸延伸処理時の張力を維持したまま熱処理を行う緊張式熱処理を実施してもよいし、当該処理と同時に当該張力を弛緩させて熱処理を行う弛緩式熱処理を実施してもよいし、または当該張力を維持して熱処理(第1熱処理)を行った後、当該張力を弛緩させて熱処理(第2熱処理)を行う複合式熱処理を実施してもよい。好ましくは弛緩式熱処理を実施する。熱処理を上記いずれの方式で実施するに際しても、熱処理温度は前記範囲内に設定される。
【0070】
熱処理を上記した弛緩式または複合式で行う場合、熱収縮率の絶対値の低減、耐熱寸法安定性および耐熱変形性のさらなる向上、フィルムの平坦性の観点から、弛緩倍率はMD方向およびTD方向ともに0.8〜1.00倍が好ましく、より好ましくは0.85〜1.00倍、最も好ましくは0.90〜0.98倍である。MD方向およびTD方向の弛緩倍率は近似していることが好ましい。具体的には、MD方向の弛緩倍率をQMD、TD方向の弛緩倍率をQTDとしたとき、「QTD−QMD」は−0.1〜+0.1が好ましく、より好ましくは−0.05〜+0.05であり、最も好ましくは−0.02〜+0.02である。なお、MD方向の弛緩倍率は延伸直後のMD方向長さに基づく倍率である。TD方向の弛緩倍率は延伸直後のTD方向長さに基づく倍率である。
【0071】
弛緩倍率を上記範囲内で調整することにより熱収縮率絶対値を制御することができる。例えば、所定方向の弛緩倍率を低減すると、当該方向の熱収縮率絶対値の減少幅は大きくなる。
【0072】
<プラスチックフィルム>
本発明のプラスチックフィルムの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、10〜150μmであり、好ましくは12〜125μmである。
【0073】
本発明のプラスチックフィルムには著しく優れた耐熱寸法安定性および耐熱変形性が発現する。その結果、本発明のプラスチックフィルムを耐熱フィルムとして使用し、例えば当該フィルム上に高温条件下で積層を行った場合においても、反りや溶融変形を十分に防止することができる。
【0074】
耐熱寸法安定性について詳しくは、本発明のプラスチックフィルムは、例えば、熱膨張率および熱収縮率がそれぞれ特定の範囲内である。
【0075】
具体的には、引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率は40ppm/℃以下であり、好ましくは30ppm/℃以下、より好ましくは25ppm/℃以下である。熱膨張率は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、上記範囲内である。熱膨張率が大きすぎると、耐熱寸法安定性が低下し、反りを十分に防止できない。本発明のプラスチックフィルムの熱膨張率は通常は、+1〜+40ppm/℃、好ましくは+3〜+30ppm/℃、より好ましくは+5〜+25ppm/℃である。
【0076】
熱膨張率について、反りをより一層十分に防止する観点から好ましくは、熱膨張率のMD方向とTD方向との差の絶対値は30ppm/℃以下であり、より好ましくは20ppm/℃以下、さらに好ましくは10ppm/℃以下である。
【0077】
本明細書中、熱膨張率は、試験片(2mm×25mm)を長手方向が鉛直方向になるように吊り下げて、該試験片の下端に5gf/2mm幅の引張荷重を印加し、雰囲気温度を昇温速度10℃/分で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率である。熱膨張率は、引張方向がMD方向の場合およびTD方向の場合について測定され、具体的には後述する方法により測定される。熱膨張率の値は正の値が膨張を意味し、負の値が収縮を意味する。
【0078】
200℃での熱収縮率の絶対値は2.5%以下であり、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。熱収縮率の絶対値は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、上記範囲内である。熱収縮率の絶対値が大きすぎると、耐熱寸法安定性が低下し、反りを十分に防止できない。
【0079】
熱収縮率について、反りをより一層十分に防止する観点から好ましくは、熱収縮率のMD方向とTD方向との差の絶対値は2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
【0080】
本明細書中、熱収縮率は、試験片(200mm×200mm)を雰囲気温度200℃で30分間放置したときのMD方向およびTD方向の各方向における熱収縮率であり、具体的には後述する方法により測定される。熱収縮率の値は正の値が収縮を意味し、負の値が膨張を意味する。
【0081】
耐熱変形性について具体的には、本発明のプラスチックフィルムのガラス転移温度は250℃以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上である。
本発明のプラスチックフィルムはその製造過程において、特に前記した熱処理工程を含む二軸延伸工程の前後で、フィルムのガラス転移温度が80℃以上上昇し、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上上昇している。
なお、通常積層用として用いる本発明のプラスチックフィルムのガラス転移温度は、380℃程度までであるが、特にそれに限定されない。また、ガラス転移温度の上昇温度幅は250℃程度までであるが、特にそれに限定されるものではない。
【0082】
また本発明のプラスチックフィルムは良好な透明性を有する。例えば本発明のプラスチックフィルムの全光線透過率は70%以上であり、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
【0083】
本明細書中、全光線透過率はJIS K7105:1981 測定法Aに基づいて測定された値を用いている。測定の際のフィルム厚みは150μm程度以下であるが、特にそれに限定されない。
【0084】
本発明のプラスチックフィルムは耐熱フィルムとして有用である。
耐熱フィルムとは、例えば80℃以上、特に150℃以上の高温条件下で使用されるために、当該高温条件下であっても、耐熱寸法安定性および耐熱変形性等の耐熱性が要求されるフィルムである。耐熱フィルムとして、例えば、積層用耐熱フィルム、離型用耐熱フィルム、貼着用耐熱フィルム等が挙げられる。
【0085】
積層用耐熱フィルムとは、自己の表面に他の層を積層するために使用されるフィルムであって、積層時に高温条件に曝されるために耐熱性を要するフィルムである。他の層としては、例えば、金属層、セラミックス層、樹脂層等が挙げられる。
積層用耐熱フィルムは、例えば、電子機器等のフレキシブルプリント基板を製造する際に使用される基材フィルム、フレキシブル太陽電池を製造する際に使用される基材フィルム、太陽電池用バックシートを製造する際に使用される基材フィルム等として有用である。
【0086】
具体的には、例えば本発明のプラスチックフィルムをプリント基板の基材フィルムとして使用する場合、当該フィルムの上には、ドライラミネート法、蒸着法またはスパッタリング法等により、例えば80〜200℃の高温条件下で配線用金属層が形成される。このような用途においても、本発明のプラスチックフィルムは、寸法変動および変形が十分に防止されるので、積層体の反りを十分に防止でき、当該フィルムと金属層との剥離も十分に防止できる。このとき本発明のプラスチックフィルムは透明性に優れているため、得られるプリント基板はデザイン性に優れている。
【0087】
離型用耐熱フィルムは、いわゆる工程フィルムとも呼ばれるフィルムである。離型用耐熱フィルムとは、当該フィルムの上に別の層を形成することにより、当該別の層の支持層あるいは保護層として利用される一方で、最終的には剥離・除去されるフィルムである。離型用耐熱フィルムは、別の層の形成工程やその後の工程において熱が付与されるので、寸法変動および変形を防止するために耐熱性が必要とされる。離型用耐熱フィルムは、例えば、樹脂膜形成用工程フィルム、セラミック薄膜形成用工程フィルム、金属薄膜形成用工程フィルム等として有用である。
具体的には、本発明のプラスチックフィルムを離型用耐熱フィルムとして使用する場合、当該フィルムの上には、プリント基板の基材フィルムとして使用する場合と同様に、例えば80〜200℃の高温条件下で金属層が形成される。このような用途においても、本発明のプラスチックフィルムは、寸法変動および変形が十分に防止され、積層体の反りを十分に防止できるので、金属層の形成時において十分に均一な厚みの金属層を形成できる。このとき本発明のプラスチックフィルムは透明性に優れているため、金属層の積層状態を離型用耐熱フィルム側から認識できる。
【0088】
貼着用耐熱フィルムは、例えば80〜200℃の高温条件下で使用される粘着テープの基材フィルムとして有用である。
具体的には、例えば本発明のプラスチックフィルムを耐熱用粘着テープの基材フィルムとして使用する場合、本発明のプラスチックフィルムは寸法変動、強度低下および変形が十分に防止されるので、貼り合わせ品の反りや、粘着テープの剥離を十分に防止できる。また、本発明のプラスチックフィルムは透明性に優れているため、貼着した当該テープ直下の部材の状態を視認できるだけでなく、ガラスや透明プラスチックとの貼着においては、その光透過性を大きく損なわない。
【実施例】
【0089】
実施例/比較例
表1および表2に記載の成分を押出機により樹脂温度380℃でTダイより溶融押し出した後、冷却し、前駆体フィルムを得た。前駆体フィルムを、表1および表2に記載の条件で延伸および熱処理を行った。熱処理は所定の温度および弛緩倍率にて弛緩式熱処理を行った。
同時二軸延伸は、MD方向およびTD方向について同時に延伸した。
逐次二軸延伸は、MD方向で延伸した後、TD方向で延伸した。
一軸延伸は、MD方向のみについて延伸した。
比較例1では、延伸処理も熱処理も行わなかった。
比較例2では、延伸処理は行わず、熱処理のみを行った。
【0090】
PEEKはVICTREX PEEK 381G(ビクトレックス社製、前記構造式(a2)の繰り返し単位を有するPEEK、Tg143℃、融点343℃を使用した。
PIはオーラムPL450C(三井化学社製、Tg250℃、融点388℃)を使用した。
【0091】
熱膨張率
熱機械測定装置(Q400EM;TA INSTRUMENTS社)を用い、試験片(フィルム;2mm×25mm)を、該試験片の長手方向が鉛直方向になるように吊り下げ、該試験片の下端に5gf/2mm幅の引張荷重を印加した。その後、雰囲気温度を昇温速度10℃/分で昇温し、50℃から100℃までの寸法変化を1℃あたりの変化量に換算し、熱膨張率Rを測定した。熱膨張率は引張方向がMD方向およびTD方向の場合について測定した。熱膨張率Rについて正の値は膨張したことを意味する。
◎;R≦25ppm/℃(最良);
○;25ppm/℃<R≦30ppm/℃(良);
△;30ppm/℃<R≦40ppm/℃(実用上問題なし);
×;40ppm/℃<R(実用上問題あり)。
【0092】
熱収縮率
まず、長さ150mmの2本の直線をそれぞれ、MD方向およびTD方向に対して平行に、かつ互いに中点で交わるように、試験片(フィルム;200mm×200mm)上に描いた。この試験片を、標準状態(温度23℃×湿度50%)に2時間放置し、その後試験前の直線の長さを測定した。続いて150℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内で一角を支持した宙吊り状態にて30分間放置した後、取り出して、標準状態に2時間放置冷却した。その後各方向の直線の長さを測定し、試験前の長さからの変化量を求め、当該試験前の長さに対する変化量の割合として熱収縮率Rを求めた。熱収縮率Rについて正の値は収縮したことを意味する。
◎;Rの絶対値≦1.0%(最良);
○;1.0%<Rの絶対値≦1.5%(良);
△;1.5%<Rの絶対値≦2.5%(実用上問題なし);
×;2.5%<Rの絶対値(実用上問題あり)。
【0093】
銅箔と貼り合わせ後の反り
フィルムを銅箔と貼り合わせた後の反りについて評価した。詳しくは、銅箔(厚み35μm)/アクリル系接着剤シート(厚み25μm)/各フィルムを重ね合わせ、150℃の熱ロールで仮ラミネート後、160℃および10kgf/cmで60分間、熱プレスを行い、試料(サイズ:50mm×50mm)を得た。放置冷却後、試料に生じる反りを目視で判断した。
◎:反りは全く認められなかった(最良);
○:反りがわずかしか認められなかった(良);
△:「○」より大きな反りが認められたものの実用上問題なかった;および
×:「△」より著しく大きな反りが認められ、実用上問題があった。
【0094】
ITO膜のスパッタリング後の反り
各フィルム(サイズ:50mm×50mm)上にスパッタリング法により200℃でITO膜を形成した。放置冷却後、試料に生じる反りを目視で判断した。
◎:反りは全く認められなかった(最良);
○:反りがわずかしか認められなかった(良);
△:「○」より大きな反りが認められたものの実用上問題なかった;および
×:「△」より著しく大きな反りが認められ、実用上問題があった。
【0095】
ガラス転移温度(TMA)
JIS C6481:1996「5.17.1 TMA法」に従ってガラス転移温度を測定した。詳しくは、熱機械測定装置(Q400EM;TA INSTRUMENTS社)により、試験片(フィルム;2mm×25mm)を、引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で昇温し、Tgを測定した。Tgは引張方向がMD方向およびTD方向の場合について測定し、それらの平均値で示した。Tgの測定は、最終的に得られたフィルムおよび延伸直前のフィルムについて行い、上昇幅(℃)を求めた。
・最終的に得られたフィルムのTg
◎:300℃≦Tg(最良);
○:280≦Tg<300℃(良);
△:250≦Tg<280℃(実用上問題なし);および
×:Tg<250℃。
・上昇幅
◎:150℃≦上昇幅(最良);
○:100≦上昇幅<150℃(良);
△:80≦上昇幅<100℃(実用上問題なし);および
×:上昇幅<80℃。
【0096】
耐熱変形性
200℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内にフィルム(100mm×100mm)を10分間放置し、そのとき、フィルムに起こる変形を目視で判断した。
◎:変形は全く認められなかった;
△:変形がわずかに認められたものの実用上問題なかった;および
×:変形が明らかに認められた。
【0097】
全光線透過率
JIS K7105:1981 測定法Aに従って全光線透過率を測定した。
◎:80%≦透過率(最良);
○:75%≦透過率<80%(良);
△:70%≦透過率<75%(実用上問題なし);および
×:透過率<70%。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリールケトン系樹脂を含有する二軸配向プラスチックフィルムであって、
引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率が40ppm/℃以下であり、
200℃での熱収縮率の絶対値が2.5%以下であるプラスチックフィルム。
【請求項2】
ポリアリールケトン系樹脂が、ポリアリールエーテルケトン類およびポリアリールケトン類からなる群から選択される請求項1に記載のプラスチックフィルム。
【請求項3】
ポリアリールエーテルケトン類が、式(I);
【化1】

(式(I)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である)で表されるアリールエーテル単位を1以上と、式(II);
【化2】

(式(II)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である)で表されるアリールケトン単位を1以上とからなる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリマーであり、
ポリアリールケトン類が、式(III);
【化3】

(式(III)中、Arは置換基を有しても良いアリーレン基である;RおよびRは、それぞれ独立して、脂肪族、脂環族および芳香族よりなる群から選択される炭素原子数1〜12の炭化水素基、炭素原子数5〜10のヘテロ芳香族基または水素原子であり、炭化水素基およびヘテロ芳香族基は置換基を有していてもよい)で表される構成単位を有する熱可塑性ポリマーである請求項2に記載のプラスチックフィルム。
【請求項4】
ポリアリールケトン系樹脂が、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、およびポリエーテルケトンエーテルケトンケトンからなる群から選択されるポリアリールエーテルケトン類である請求項1に記載のプラスチックフィルム。
【請求項5】
二軸配向プラスチックフィルムが、前記ポリアリールケトン系樹脂を含有するフィルムを少なくとも同時二軸延伸処理してなる請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項6】
熱膨張率が30ppm/℃以下であり、
熱収縮率の絶対値が1.5%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項7】
熱膨張率のMD方向とTD方向との差の絶対値が30ppm/℃以下であり、
熱収縮率のMD方向とTD方向との差の絶対値が2.0%以下である請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項8】
70%以上の全光線透過率を有する請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項9】
250℃以上のガラス転移温度を有する請求項1〜8のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項10】
耐熱フィルムとして使用される請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のプラスチックフィルムの製造方法であって、
ポリアリールケトン系樹脂を含有する前駆体フィルムを製造した後、該前駆体フィルムに対して少なくとも熱処理工程を含む同時二軸延伸工程を実施するプラスチックフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記熱処理工程の前後でフィルムのガラス転移温度が80℃以上、上昇する請求項11に記載のプラスチックフィルムの製造方法。

【公開番号】特開2013−82087(P2013−82087A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222084(P2011−222084)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】