説明

プラスチックフィルム製鮮度保持包装材

【課題】 青果物等の生鮮食品、生花等の鮮度保持に有用であり、透明性に優れたプラスチック製の包装材を提供する。
【解決手段】 平均粒径が0.05から10ミクロン(μm)であり、粒径が10ミクロン(μm)を越える粒子の重量が10重量%未満であるブラックシリカの粉末を0.01から0.5重量%の割合で含み、その厚さが10から100ミクロン(μm)であるプラスチックフィルム製鮮度保持包装材である。また、少なくとも1層以上のブラックシリカの粉末を含む層と、少なくとも1層以上のブラックシリカを含まない層との積層フィルムであることを特徴とするプラスチックフィルム製鮮度保持包装材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物等の生鮮食品、生花等の鮮度保持に有用なプラスチックフィルム製包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
青果物、生花等の鮮度保持をするために、従来から種々の提案がされている。そのうち、ブラックシリカ(黒鉛ケイ石ともいう。)を利用した植物鮮度保持材として、陶器類、例えば壺類、植木鉢等が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−250438号 特許請求の範囲 実施例
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、青果物等の生鮮食品、生花等の鮮度保持に有用であり、透明性に優れたプラスチック製の包装材に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、平均粒径が0.05から10ミクロン(μm)であり、粒径が10ミクロン(μm)を越える粒子の重量が10重量%未満であるブラックシリカの粉末を0.01 から0.5重量%の割合で含み、その厚さが10から100ミクロン(μm)であるプラスチックフィルム製鮮度保持包装材に関する。
【0006】
本発明はまた、上記の鮮度保持材であって、少なくとも1層以上のブラックシリカの粉末を含む層と、少なくとも1層以上のブラックシリカを含まない層との積層フィルムであることを特徴とするプラスチックフィルム製鮮度保持包装材に関する。
【0007】
さらに、本発明は上記の鮮度保持材であって、ブラックシリカの粉末が配合された層の両側にブラックシリカを含まない層が積層された積層フィルムであることを特徴とするプラスチックフィルム製鮮度保持包装材に関する。
【0008】
さらに本発明は、上記の積層フィルムが袋状に成形されたプラスチックフィルム製鮮度保持包装材に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラックシリカの割合が比較的わずかなでありならが、優れた鮮度保持効果を効率良く得ることがで、包装材としても透明性に優れたプラスチックフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、2枚のサンプルフィルムの三方周縁部をヒートシールバーにより熱融着した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ブラックシリカ
本発明においてプラスチックフィルムに配合されるブラックシリカは、従来からブラックシリカ、黒鉛ケイ石、グラファイトシリカなどの名称で知られているものであり、これらを使用することができる。なかでも、北海道檜山郡上ノ国町湯の袋神明の平成上ノ国鉱山から産出する石墨質断層角礫岩で神明鉱石と呼ばれているものが好適である。
【0012】
このような鉱石は、通常炭素を0.1から7重量%していることが特徴であり、主な成分であるSiOは通常67から92重量%含有しているものである。
本発明では、これらブラックシリカは、その平均粒径が0.05から10ミクロン(μm)であるものが用いられる。平均粒径は、後記する方法により測定することができる。
【0013】
また、ブラックシリカの平均粒径は、用いられるプラスチックフィルムの厚さの50%以下、中でも30%以下、さらに好ましくは10%以下とすることが望ましい。そして、プラスチックフィルムが後記するように積層フィルムである場合には、ブラックシリカの平均粒径は、それが配合される層のフィルムの厚さの50%以下、中でも30%以下、さらに好ましくは10%以下とすることが望ましい。それを越えると、フィルムの透明性が損なわれるおそれがある。
【0014】
さらに、ブラックシリカは、その粒径が10ミクロン(μm)を越える成分が10重量%未満、好ましくは1重量%未満であるものが使用される。平均粒径が10ミクロン(μm)を越え、粒径が10ミクロン(μm)を越える成分が10重量%を越えると、プラスチックフィルムの透明性が劣る傾向がある。
【0015】
このようなブラックシリカは予め、表面処理剤で表面処理されているものが好適である。このような表面処理剤には、例えばステアリン酸、ステアリン酸のカルシウム、マグネシウム、亜鉛塩などの高級脂肪酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリド、ポリエチレングリコールなどの高級アルコールや高級多価アルコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの各種脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、ステアリン酸グリセリドなどの他、ジメチルシリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルなどの非反応性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルなどの反応性シリコーンオイル、流動パラフィン、さらにはN‐ラウリル‐D,L‐アスパラギン酸‐β‐ラウリルエステルなどが挙げられる。
【0016】
さらにプラスチックフィルムの製造の際に、プラスチックフィルムの原料にこれらブラックシリカの凝集を防ぐため、これらと共にエチルアルコール、エチレングリコール等の分散助剤を共に配合することも必要に応じて行われる。この場合、分散助剤の配合割合は、(表面処理されている場合はその分散助剤の量を含めて)ブラックシリカの粉末の重量の0.1から10重量パーセントが通常であり、中でも0.3から3重量%が好適である。
【0017】
プラスチックフィルムの原料
本発明に用いられるプラスチックフィルムの原料は、フィルム化できるポリマーであれば特に限定されることなく使用することができる。
このようなポリマーのうち、オレフィン系ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数10以下のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンのランダムないしブロック共重合体、又はオレフィンを主成分とし、これと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等との共重合体がある。具体的には、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンゴム、エチレン−ブテン−1−共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンブロック共重合体、ポリ−4−メチル−ペンテン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体もしくはこれらの金属塩が挙げられる。これらのオレフィン系重合体にはさらにその変性ポリマー、例えば、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィン、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性された酸変性ポリオレフィンがあり、さらには、ポリ乳酸などの生分解性樹脂、ポリエステル樹脂、6−ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリウレタンエラストマー、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、スチレン系樹脂、ポリアクリレート、塩化ビニリデン樹脂などがある。本発明においては、必要に応じてこれらの1種類あるいは2種類以上が用いられる。
【0018】
プラスチックフィルム
本発明のプラスチックフィルム製の鮮度保持包装材は、上記のブラックシリカの粉末を含み、上記のプラスチックを原料とするフィルムであり、必要に応じて単層フィルムの他、2層以上の積層フィルムの形態で用いられる。このような単層フィルムは未延伸フィルムの場合と、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルムのいずれの場合も含むものである。
【0019】
延伸フィルムの場合の延伸倍率は、通常タテ方向が約2倍から10倍、ヨコ方向が約2倍から約10倍程度であり、必要に応じて一軸延伸、二軸延伸が行われる。
本発明のプラスチックフィルム製鮮度保持材には、上記のブラックシリカと共に、それ以外に、プラスチックに配合される公知の添加剤を配合することも行われる。そのような添加剤には、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等がある。その他の添加剤としては、天然ゼオライトおよび合成ゼオライト、シリカ、二酸化チタン、合成雲母など、さらには着色剤等が、フィルムの透明性を害することがない範囲内において配合されることも行われる。
【0020】
そのうち、酸化防止剤としては、例えば、3,5―ジーt−ブチルー4−ヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5―ジーt―ブチルー4―ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、n−オクタデシルー3−(4'―ヒドロキシー3,5−ジーt―ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系酸化防止剤、2(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系酸化防止剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
【0021】
また、帯電防止剤としては、例えば、アルキルアミンおよびその誘導体、高級アルコール、高級脂肪酸のグリセリンエステル類、ピリジン誘導体、硫酸化油、石鹸類、オレフィンの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル類、脂肪酸エチルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、琥珀酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等がある。その他、高分子型の帯電防止剤も使用することができ、例えば、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの範囲にあるポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互ポリオレフィン(a)等の高分子型の帯電防止剤が挙げられる。
【0022】
このような、繰り返し交互ポリオレフィンのポリオレフィン(a)としては、低分子量ポリプロピレン、中でも、その末端をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性した低分子量ポリプロピレンがあり、親水性ポリマー(b)には、ポリエーテル、ポリエーテル含有親水性ポリマー、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーなどがある。
【0023】
さらに、紫外線吸収剤としては、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0024】
また、積層フィルムの場合、いずれの層にもブラックシリカを配合してもよいが、その一部の層にのみブラックシリカを配合することも行われる。そして、延伸フィルムの場合、いずれの層も未延伸フィルムの場合や、全ての層が延伸フィルムの場合があり、さらには一部の層が延伸フィルムで残りの層が未延伸フィルムの場合を含むものである。
【0025】
従って、本発明の鮮度保持材が積層フィルムの場合はブラックシリカの粉末が配合された層と、少なくとも1層以上のそれ以外の層との積層フィルムの態様があり、さらに、ブラックシリカの粉末が配合された層の両側にブラックシリカを実質的に含まない層を設けた積層フィルムの態様がある。
【0026】
積層フィルムの場合の好適な態様は、上記のブラックシリカを含むオレフィン系ポリマー、中でもプロピレン系ポリマーからなる層と、その両側にブラックシリカを実質的に含まない層、好適にはオレフィン系ポリマー、中でもプロピレン系ポリマーを積層した積層フィルムが好適であり、それら各層はいずれも延伸されていること、中でも二軸方向に延伸されたフィルムであることが透明性、強度の点から望ましい。
【0027】
これらの場合、表皮層には、ブロッキング防止剤を配合することが望ましい。
ブロッキング防止剤としては、シリカ(合成または天然の二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等の無機系のブロッキング防止剤、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等の有機系ブロッキング防止剤が例示される。これらの中では、ポリメチルメタクリレート、合成シリカが分散性、透明性、傷つき性、ブロッキング防止性等のバランスから好適である。また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、クエン酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、シランカップリング剤等を用いることができる。これらブロッキング防止剤の形状は限定されず、球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができ、その平均粒径は、通常0.5から12ミクロン(μm)程度である。これらの中では、平均粒径0.1から12ミクロン(μm)のシリカが好適である。これらのシリカの市販品には、サイリシア〔富士シリシア化学(株)製、商品名〕、ヒューズレックスクリスタライト〔タツモリ(株)製、商品名〕などがある。
【0028】
ブロッキング防止剤の配合割合は、配合される層の0.05ないし1重量パーセントが通常である。
また、他の好適な態様として、ブラックシリカを含む層とブラックシリカを実質的に含まないガスバリア性を有するプラスチックの層から構成される積層フィルムがある。
【0029】
ガスバリア性を有する層としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂が例示される。
これらの鮮度保持材であるプラスチックフィルムは単層フィルム、積層フィルムのいずれの場合であっても、その厚さは10ないし100ミクロン(μm)、好ましくは15から100ミクロン(μm)である。10ミクロン未満では、フィルムの強度が充分得られず、内容物を充填した際袋が破れ易い。また、100ミクロンを越えるとフィルム剛性が高く、内容物を充填し難くなる。
【0030】
また、コア層の両面に表皮層を設けた三層フィルムの場合、コア層は10〜98ミクロン、特に15から97ミクロン、表皮層はそれぞれ1〜45ミクロン、特に1.5〜42.5ミクロンが好適である。
【0031】
プラスチックフィルム製鮮度保持材の製法
本発明の鮮度保持材は、前記のブラックシリカの粉末、さらには必要に応じて分散助剤、さらには他の添加材等と前記のポリマーを従来公知の方法により混合して、得られた混合物から従来公知の方法によりフィルム成形することにより製造される。
【0032】
フィルムに成形する方法としては、例えばTダイ法、カレンダー法、インフレーション法イ法、カレンダー法等の押出成形法が一般的である。延伸の操作を施すことにより延伸フィルムとすることもできる。
【0033】
また、積層フィルムの場合は、それぞれの層を押出成形した後、ラミネーションにより貼り合わせて積層フィルムとする方法の他、一部の層に他の層を押出ラミネートする方法や、全ての層を共押成形して積層フィルムとする方法がある。この場合も、いずれかの層を予め延伸して用いたり、得られた未延伸の積層フィルムをさらに延伸することも行われる。
【0034】
用途
本発明のプラスチックフィルム製鮮度保材は、フィルム状のまま、キャベツ、レタス、ニラ、ブロッコリー等の葉花菜類、きゅうり、なす、トマト等の果菜類、だいこん、かぶ、ごぼう、にんじん等の根茎菜類、ほうれん草、こまつ菜、春菊等の葉物類からなる野菜をはじめ、きのこ類、メロン、バナナ、いちご、もも、かき、うめ、りんご、キーウィ、マンゴー等の果実類、鮮魚、刺身等の水産品、肉類等の生鮮食品、豆類、油脂食品、種子、球根、切り花等の生花等を包む包装材に用いることができる。また、溶断シール、その他の方法により袋状に加工してこれらの包装袋として使用ことも行われる。
【0035】
さらに、プラスチックフィルムに微少の小孔を多数設けて、それによる酸素の透過をコントロールして、鮮度保持の性能を向上させることも行われる。
以下に本発明のプラスチックフィルム製鮮度保持材の具体例を示す。
(1)第1表皮層//コア層 //第2表皮層(裏面層)
(厚さ2ミクロン//21ミクロン//2ミクロン )
二軸延伸フィルム
延伸倍率 縦方向約5倍 × 横方向約10 倍
第1及び第2表皮層 ポリプロピレン(MFR(230℃)2から10g/10分)
コア層 ポリプロピレン(MFR(230℃)2から10g/10分)
コア層へのブラックシリカの配合割合 0.05重量%
ブラックシリカ 平均粒径 2ミクロン(μm)
10ミクロン(μm)を越える成分の割合 1重量%未満
分散助剤としてエチルアルコールを0.5重量部使用。
(2)第1表皮層//コア層//第2表皮層(裏面層)
(厚さ2ミクロン//23ミクロン//2ミクロン )
一軸延伸フィルム
延伸倍率 縦方向約10倍
第1及び第2表皮層、コア層は上記(1)と同様。
【0036】
コア層には上記(1)と同様のブラックシリカを配合した。
分散助剤も上記(1)と同様に使用した。
このように成形した本発明のプラスチックフィルム製鮮度保持材は、生鮮食品等に対して広く鮮度保持の性能を示し、数日から数十日の期間においても、生鮮食品等の経済的価値を低下させることなく保存できる。
【0037】
実施例
コア層として、ポリプロピレン(プライムポリマー(株)製F153Z)に、ブラックシリカ(コールター社製のコールカウンターを用いて測定した平均粒径は2.0ミクロン(μm)であり、粒径10ミクロンを越える成分は1重量%未満である。)を0.05重量%の割合で配合した組成物を使用し、第1及び第2表皮層としてポリプロピレン(サンアロマー(株)製5C30F)に、アンチブロッキング剤としてポリメチルメタクリレート(PMMA)0.1重量%を添加して用い、多層Tダイフィルム成形機を用いて、コア層とその両面に表皮層からなる未延伸の積層フィルムを成形し、次にそれを延伸倍率が縦方向に5倍、横方向に10倍で、逐次二軸延伸して二軸延伸フィルム(第1表皮層/コア層/第2表皮層=2ミクロン(μm)/21ミクロン(μm)/2ミクロン(μm))を成形した。
【0038】
得られた二軸延伸フィルムから大きさ20cm×30cmのサンプルフィルムを切り出し、その2枚のサンプルフィルムの三方周縁部をヒートシールバーにより、図1に示すように熱融着して包装袋を作成した。
【0039】
この袋に、ほうれん草、又は春菊をそれぞれ入れ、袋を10℃の恒温下に保持して、内容物のしおれを目視により観察し下記の5段階で評価した。
(良)○ , ○△ , △ , △× , ×(悪)
また、水蒸気の蒸散量(%)は、袋に入れた、ほうれん草、又は春菊の重量(W1)を測定し、一定保管後に再度重量を測定し(W2)、その減少分を次の式で求めた。
蒸散量(%)={(W1)−(W2)}/(W1)×100
蒸散量が少ないほど、鮮度保持効果は高いと判断できる。その結果を表1に示す。
【0040】
比較例
上記の実施例において、ブラックシリカを配合しないこと以外は、同様に行った。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
本発明のプラスチックフィルム製鮮度保持材は、生鮮食品等に対して広く鮮度保持の性能を示し、数日から数十日の期間においても、生鮮食品等の経済的価値を低下させることなく保存できる期間を延長することができ、その透明性に優れ、フィルム強度も十分あるので、包装材として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が0.05から10ミクロン(μm)であり、粒径が10ミクロン(μm)を越える粒子の重量が10重量%未満であるブラックシリカの粉末を0.01から0.5重量%の割合で含み、その厚さが10から100ミクロン(μm)であるプラスチックフィルム製鮮度保持包装材。
【請求項2】
少なくとも1層以上のブラックシリカの粉末を含む層と、少なくとも1層以上のブラックシリカを含まない層との積層フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルム製鮮度保持包装材。
【請求項3】
ブラックシリカの粉末が配合された層の両側にブラックシリカを含まない層が積層された積層フィルムであることを特徴とする請求項2に記載のプラスチックフィルム製鮮度保持包装材。
【請求項4】
袋状に成形された請求項1ないし3のいずれかに記載のプラスチックフィルム製鮮度保持包装材。

【図1】
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【公開番号】特開2011−229460(P2011−229460A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102724(P2010−102724)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000220099)三井化学東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】