説明

プラスチックレンズの製造方法

【課題】添加剤や熱処理等の工程を経ても黄色化しないプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上を添加して重合する。


[上記式(1)及び式(2)中、X1及びX2のどちらか一方が塩素原子を示し、他方が水素原子を示す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基から選ばれる基を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡用レンズとして好適な極めて無色透明に近いプラスチックレンズを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明性に優れる光学用樹脂からなるプラスチックレンズは、軽量であり加工性に優れているなどの長所から、無機ガラスレンズに代わり広い分野で使用されており、中でも、眼鏡用レンズとして好適である。
眼鏡用レンズには、有害な紫外線から目を保護するために紫外線吸収能を有していることが要求され、プラスチック材料からなる眼鏡用レンズを製造する際に紫外線吸収剤を添加する場合がある。しかし、紫外線吸収剤を添加することによって、プラスッチクレンズ自体が黄色化するという問題が生じていた。また、プラスチックレンズの黄色化は、熱処理などの製造工程を経ることによっても生じ、この様なプラスチックレンズの黄色化を解消するために、様々な検討が行われている。
例えば、製造工程においてブルーイング剤や青色染料を添加することが知られているが、ブルーイング剤や青色染料はモノマーの種類によって溶解性がなかったり、重合中に変色したりするなどして、十分な効果が得られない場合があった。
特許文献1では、青色染料として特定の構造を有するアントラキノン化合物を、ウレタン系樹脂に添加するレンズの製造方法が開示されているが、ウレタン系樹脂に限定されたレンズの製造方法であり、また得られるレンズの透明性は、用途によっては満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4067204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、紫外線吸収剤の添加や熱処理などの工程を経て製造したとしても、黄色化せずに、極めて無色透明に近いプラスチックレンズを得ることができる製造方法、及び該製造方法により得られるプラスチックレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有するアントラキノン系化合物を添加することにより、紫外線吸収剤の添加や熱処理などの工程を経て製造されたとしても黄色化せずに、極めて無色透明に近いプラスチックレンズとし得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、モノマー組成物を重合して得られるプラスチックレンズの製造において、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上を添加して重合することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法、及び該製造方法により得られるプラスチックレンズである。
【0006】
【化1】

【0007】
[上記式(1)及び式(2)中、X1及びX2のどちらか一方が塩素原子を示し、他方が水素原子を示す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基から選ばれる基を示す。]
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、紫外線吸収剤の添加や熱処理などの工程を経たとしても黄色化せずに、極めて無色透明に近いプラスチックレンズを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上を、モノマー組成物に添加して重合することを特徴とする。
【0010】
【化2】

【0011】
上記式(1)及び式(2)中、X1及びX2のどちらか一方が塩素原子を示し、他方が水素原子を示す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)から選ばれる基を示す。
炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0012】
上記式(1)及び式(2)で表されるアントラキノン系化合物としては、入手し易さの観点から、R1及びR2のいずれも水素原子を示す化合物であることが好ましい。また、上記式(1)及び式(2)で表されるアントラキノン系化合物は、互いに構造異性体であり、いずれを添加しても本発明の効果を発揮することができるが、黄変抑制効果の観点から式(1)で表される化合物が好ましい。
【0013】
本発明の製造方法において、上記式(1)及び式(2)で表されるアントラキノン系化合物の添加量は、プラスチックレンズの原料として用いられるモノマーの種類や必要に応じて添加される添加剤の種類などによって、適宜決定すればよいが、通常、モノマー組成物の全量に対して0.001〜1000質量ppmが好ましく、より好ましくは0.01〜100質量ppmであり、さらに好ましくは0.1〜10質量ppmである。添加量が0.001質量ppm以上であればプラスチックレンズの黄色味を抑える効果を発揮することができ、1000質量ppm以下であればプラスチックレンズの充分な透明性を確保することができる。
なお、2種以上のアントラキノン系化合物を添加する場合、上記の添加量とはこれらの合計量を意味する。
【0014】
本発明の製造方法において、プラスチックレンズに適用されるプラスチックとしては、特に制限はなく通常樹脂レンズに使用されるものでよく、例えば、ウレタン系樹脂、チオウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、メラミン系樹脂などが挙げられる。プラスチックレンズを眼鏡用レンズとする場合、上記の樹脂の中では、透明性及び耐衝撃性に優れ眼鏡用レンズの用途に好適である、ウレタン系樹脂及びチオウレタン系樹脂が好ましい。
【0015】
本発明においてプラスチックとして、例えばウレタン系樹脂又はチオウレタン系樹脂を適用した場合、これら樹脂の原料として、ポリイソシアネート化合物、ポリチオール化合物及びポリオール化合物などのモノマー、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、重合触媒及び離型剤などの添加剤を用いることができる。原料モノマーとしては、少なくとも芳香族ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
上記モノマー及び添加剤としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0016】
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物などを使用することができる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。これらの芳香族ポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、工業的に入手が容易である4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0017】
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、メシチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどが挙げられ、脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。これらの脂肪族及び脂環族ポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0018】
ポリチオール化合物としては、例えば、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールなどを使用することができる。これらのポリチオール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0019】
ポリオール化合物としては、脂肪族又は芳香族ポリオール化合物などを使用することができる。
脂肪族ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0020】
芳香族ポリオール化合物としては、例えば、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールなどが挙げられる。
これらの脂肪族及び脂環族ポリオール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0021】
また、必要に応じ添加される添加剤としては、紫外線吸収剤、重合触媒及び離型剤などを使用することができる。
特に、本発明の製造方法において紫外線吸収剤を添加した場合、前述の式(1)又は(2)で表されるアントラキノン系化合物を添加することによる本発明の効果が極めて顕著に発揮される。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン及び2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどの各種ベンゾフェノン系化合物;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどの各種ベンゾトリアゾール化合物;ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンなどが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0022】
重合触媒は、モノマー重合の反応速度を調整する場合などに好ましく使用され、例えば、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイドなどの有機錫化合物が挙げられる。これらの重合触媒は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0023】
離型剤としては、例えば、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート及びブチルフェニルアシッドフォスフェートなどのリン酸モノエステル化合物;ジイソプロピルアシッドフォスフェート、ジブチルアシッドフォスフェート、ジオクチルアシッドフォスフェート、ジイソデシルアシッドフォスフェート、ビス(トリデシルアシッドフォスフェート)、ジステアリルアシッドフォスフェート、ジプロピルフェニルアシッドフォスフェート、ジブチルフェニルアシッドフォスフェート及びブトキシエチルアシッドフォスフェートなどのリン酸ジエステル化合物などが挙げられる。これらの離型剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0024】
本発明の製造方法における重合は、上述の式(1)及び式(2)で表されるアントラキノン系化合物をモノマー組成物に添加し、必要に応じて添加剤などを混合した後、通常注形重合することが好ましい。
注型重合は、例えば、混合物をガラス又は金属製のモールドと樹脂製のガスケットとを組み合わせたモールド型に注入し、加熱して重合を行う。重合温度及び重合時間は使用する原料の種類にもよるが、一般に0〜150℃で0.5〜72時間程度である。
【実施例】
【0025】
実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、得られたレンズの黄変度(YI値)を、JIS K7103−1977に規定されているプラスチック黄色度及び黄変度試験方法に準じて測定した。
【0026】
[実施例1]
500mlナス型フラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート22.88g、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート25.09gを仕込み、離型剤としてJP−513(商品名、城北化学工業株式会社製)0.05g、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.03g、紫外線吸収剤としてシーソーブ701(商品名、シプロ化成株式会社製)1.00g、上述の式(1)で表される化合物として1,5−ジアミノ−2−クロロ−4,8−ジヒドロキシ−9,10−アントラセンジオン0.8質量ppmを添加し、50℃窒素パージ下で30分間撹拌を続けた。これらが完全に溶解したところで、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)を52.03g配合し、1.3kPaで20分減圧撹拌を行い混合物とした。
この混合物を中心肉厚が2mmのレンズ型に1.0μmのPTFEメンブランフィルターを通して注型し、24時間かけて初期温度30℃から最終温度120℃の温度プログラムにて重合を行い、レンズを得た。
得られたレンズはほとんど黄色味がなく無色透明であり、YI値は1.53であった。
【0027】
[実施例2]
実施例1において、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートをトリレンジイソシアネートに変えたほかは、同様の手順でレンズを得た。
得られたレンズはほとんど黄色味がなく無色透明であり、YI値は1.60であった。
【0028】
[比較例1]
実施例1において、式(1)で表される化合物を下記の式(3)で表される化合物に変えたほかは、同様の手順でレンズを得た。
得られたレンズは著しく黄色を帯びており、YI値は7.81であった。
【0029】
【化3】

【0030】
[比較例2]
実施例1において、式(1)で表される化合物を下記の式(4)で表される化合物に変えたほかは、同様の手順でレンズを得た。
得られたレンズは著しく黄色を帯びており、YI値は8.03であった。
【0031】
【化4】

【0032】
[比較例3]
実施例1において、式(1)で表される化合物を下記の式(5)で表される化合物に変えたほかは、同様の手順でレンズを得た。
得られたレンズは著しく黄色を帯びており、YI値は7.50であった。
【0033】
【化5】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の特定の構造を有するアントラキノン系化合物を添加するプラスチックレンズの製造方法は、紫外線吸収剤などの添加や熱処理などの工程を経て製造しても黄色化せずに、極めて無色透明に近いプラスチックレンズとすることができる。そのため、このような特性を必要とする用途、とりわけ眼鏡用レンズの製造方法として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー組成物を重合して得られるプラスチックレンズの製造において、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上を添加して重合することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
【化1】

[上記式(1)及び式(2)中、X1及びX2のどちらか一方が塩素原子を示し、他方が水素原子を示す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基から選ばれる基を示す。]
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上を0.001〜1000質量ppm添加する、請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項3】
ウレタン系プラスチックレンズ又はチオウレタン系プラスチックレンズである、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項4】
原料モノマーとして少なくとも芳香族ポリイソシアネート化合物を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法により得られるプラスチックレンズ。

【公開番号】特開2013−41228(P2013−41228A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179978(P2011−179978)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】